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現下の引き続く半導体関連市場活況の中、台湾でのリスク&抑制懸念

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜29日午前時点、世界全体で1億6926万人を超え、1週間前から約341万人増とまだまだ高水準である。我が国では、緊急事態宣言が6月20日まで延長され、一層気を緩められない状況である。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)の世界半導体販売高が、2021年第一四半期について前年同期比17.8%増と、年間最高をうかがえる勢いが発表されたが、IC Insightsからも、違った見方ながら同四半期のトップ15サプライヤの販売高合計が同21%増と好調な内容のデータがあらわされている。半導体製造装置Billingsなど現下の関連市場データも最高水準の推移であるが、台湾でのリスク&抑制要因懸念が見え隠れである。

≪最高の勢いの中の気がかり≫

半導体関連市場の活況が相次いであらわされる現時点である。月次恒例の北米半導体製造装置メーカーの世界billingsデータが、5ヶ月連続の記録的な伸びで最高を更新し続けている。

◇North American Semiconductor Equipment Industry Posts April 2021 Billings, Logs Fifth Consecutive Month of Record Growth (5月24日付け SEMI)
→SEMIのApril Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report発。2021年4月の北米半導体装置メーカーの世界billingsが$3.41 billion(3ヶ月平均ベース)、2021年3月の$3.27 billionを4.1%、2020年4月の$2.28 billionを49.5%上回る旨。「4月の北米半導体装置billingsは、5ヶ月連続の記録的な伸びを示している。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。「広範囲のend-market分野にわたって加速する半導体需要に業界が適合する動き、装置メーカーは引き続き着実に伸びている。」ここ半年の推移(金額:USM$):

Billings
Year-Over-Year
(3か月平均)
November 2020
$2,611.6
23.1%
December 2020
$2,680.8
7.6%
January 2021
$3,038.2
29.8%
February 2021
$3,143.1
32.4%
March 2021 (final)
$3,273.9
47.9%
April 2021 (prelim)
$3,409.5
49.5%

[Source: SEMI (www.semi.org), May 2021]

我が国の製造装置についても同様である。

◇半導体製造装置、4月販売17%増 (5月24日付け 日刊工業)
→日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた日本製半導体製造装置の4月の販売高(速報値、2−4月の3カ月平均)は、前月比17.2%増の2820億5400万円と、2カ月連続で過去最高を更新した旨。

キャパ逼迫のファウンドリー業界、第三四半期でのさらなる見積もり値上げが見込まれている。

◇Foundries to continue raising quotes in 3Q21-Foundries still increasing Q3 quotes, sources say (5月24日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のUnited Microelectronics(UMC), Vanguard International Semiconductor(VIS)およびPowerchip Semiconductor Manufacturing(PSMC), 中国のSemiconductor Manufacturing International(SMIC), およびGlobalfoundriesがすべて、8-および12-インチfabsでのcapacitiesが引き続き逼迫、ファウンドリー見積もりを上げる見込みの旨。第三四半期に向けてのファウンドリー見積もりの計画上げ幅は、今年前半よりも大きくなる旨。

本年1-3月、第一四半期の世界半導体販売高は、米国・SIAより前年同期比17.8%増とすでに発表されているが、IC Insightsからは、ファウンドリーも含めた半導体サプライヤ・トップ15社の第一四半期販売高があらわされている。該15社の販売高合計では、前年同期比21%増となっている。

◇Top-15 Semi Companies Log Year-Over-Year Growth of 21% in 1Q21-Excluding Intel, the group would have shown a 29% jump in 1Q21/1Q20 sales. (5月25日付け IC Insights)
→IC Insightsが先週リリースしたMay Update to the 2021 McClean Reportより、2021年第一四半期のIC業界市場トップ15半導体サプライヤランキングの注目データ:

1
Intel
$ 18,676M
前年同期比 -4%
2
Samsung
17,072
15%
3
TSMC
12,911
25%
4
SK Hynix
7,628
26%
5
Micron
6,580
31%
6
Qualcomm
6,281
55%
7
Broadcom
4,840
19%
8
Nvidia
4,630
51%
9
TI
4,028
27%
10
Mediatek
3,849
90%
11
AMD
3,445
93%
12
Infineon
3,253
20%
13
Apple
3,080
11%
14
ST
3,005
35%
15
Kioxia
2,585
1%

販売高は、IC+O S D(optoelectronic, sensor, and discrete)。
ファブレスが6社(Qualcomm, Broadcom, Nvidia, MediaTek, AMD, およびApple)、専業ファウンドリーが1社(TSMC)。

◇Top-15 semi companies log 21% growth in 1Q21-IC Insights: Q1 saw top chip vendors grow sales by 21% collectively (5月25日付け DIGITIMES)

首位を維持したIntelと第2位のSamsungの差が詰まっている。トップ15の中で、前年同期比マイナスはIntelのみという状況である。

◇Intel hangs on to No.1 rank in Q1-IC Insights: Intel was top chip vendor in Q1 -Intel hung on to its No.1 slot in Q1 although the gap with Samsung narrowed, reports IC Insights in its May Update to the 2021 McClean Report. (5月26日付け Electronics Weekly (UK))
→IC Insights発。今年第一四半期における半導体販売高において、Intelが首位を維持、Samsung Electronicsが接近して続く旨。TSMCが3位となり、SK HynixそしてMicron Technologyが続いてトップ5の旨。

◇Top-15 Semi Companies Log Year-Over-Year Growth of 21% in 1Q21 (5月26日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

TSMCとMediatek、台湾2社のトップ10入り、と地元紙である。

◇Taiwan's TSMC, MediaTek among top 10 semiconductor companies-IC Insights names Taiwan Semiconductor Manufacturing Company top pure-play foundry based on Q1 revenue (5月26日付け Taiwan News)

SEMIからは、半導体の不足に対応、200mm fab capacityの増強の見込みが2024年にわたってあらわされている。

◇Global 200mm Fab Capacity on Pace to Record Growth to Meet Surging Demand and Address Chip Shortage (5月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMIの200mm Fab Outlook Report。世界の半導体メーカーが、2020年から2024年まで200mm fab capacityを950,000枚、すなわち17%高める軌道にあり、6.6 million枚/月の最高に達する旨。200mm fab装置投資は、2012年から2019年まで$2 billion〜$3 billion、2020年に$3 billion台を突破してから、2021年に約$4 billionに達する見込みの旨。該投資増加は、1つには現状の半導体の不足を高水準の200mm fab稼働継続で克服するグローバル半導体業界の推進を映し出している旨。

◇Global 200mm fab capacity to grow at record pace, says SEMI-SEMI: 200mm IC gear spending will hit almost $4B in 2021 (5月26日付け DIGITIMES)

◇Chip Makers Ramping Up Fab Capacity to Meet Surging Demand-Record monthly wafer production also reflects efforts to address the current chip shortage. (5月27日付け EE Times India)

台湾のシンクタンクからの今年そして来年のグローバル半導体市場、やはり活況の見方である。

◇Global semiconductor market to rise by 10.9% in 2021: think tank-Taiwan think tank: Chip market to grow 10.9% this year (5月25日付け Focus Taiwan)
→Institute for Information IndustryのMarket Intelligence & Consulting Institute(MIC)発。2021年のグローバル半導体市場は、notebook computers, internet-関連機器などelectronic製品の力強い需要から10.9%増の$488.3 billionに達する見込みの旨。2022年には、さらに12.7%伸びて$550.3 billionと見ている旨。

スマートフォンについても、今年は予想より伸びるとの以下の見方である。

◇The amazing, resilient smartphone grows after pandemic dip (5月26日付け FierceElectronics)
→スマートフォンが、2021年についてトップアナリストが以前予想していたより大きな弾力性を示しており、ネットワークスが運用されている5Gスマートフォンの成功に依るが、新興市場でのlower-end 4Gスマートフォンの売上げにも依っている旨。IDCが、2021年全体のグローバルスマートフォンの予測を1.37 billion台に上方修正、pandemicによる悪い年で2019年に対して約6%減の1.292 billion台の全体出荷となった2020年に対して7.7%増。

NANDフラッシュ市場は第一四半期は供給過剰だったとのこと。第二四半期は需要に不足して売上げの伸びが見込まれている。

◇Global NAND flash revenue set to grow in 2Q21, says TrendForce-TrendForce: NAND flash oversupplied in Q1; Q2 looks better (5月27日付け DIGITIMES)
→TrendForce発。2021年第一四半期のグローバルNANDフラッシュ市場は依然供給過剰、該メモリASPsが前四半期比約5%低下。しかしながら、供給が需要に不足して、第二四半期のNANDフラッシュASPsおよびbit出荷は上がる見込みの旨。

コロナ禍で伸びているPC需要。半導体の不足の中でも好調、コロナ関連規制が緩和されても需要増加は続く、と以下の見方である。

◇PC demand, shipments remain high with Covid despite chip shortages (5月27日付け FierceElectronics)
→半導体の不足が引き続き自動車組み立てを削減しているが、PC市場は2021年全体で出荷の18%の伸びが見込まれて増大している旨。IDCは最近、今年の出荷全体が357 million台に達するとしているが、来年は約3%低下の旨。それでも5年の年間成長が3%と依然プラスになる旨。pandemicは、需要を引っ張る在宅の仕事および学習での使用で非常に大きな増加を牽引の旨。

◇Dell, HP say chip shortages will hit PC supplies this year-2021 PC supplies will be hit by chip shortages, Dell and HP say (5月27日付け Reuters)
→Dell Technologies社およびHP社が木曜27日、Wall Street評価を上回る四半期売上げを発表、pandemic-led規制が世界の多くで緩和されても、消費者は引き続きpersonal computersを買い求める旨。

1-3月の世界の半導体大手の好調な業績ぶりが、以下あらわされている。

◇半導体大手、1〜3月増益、5四半期連続、5G向け需要増、10社合計 (5月28日付け 日経)
→世界の半導体大手の業績が拡大している旨。26日発表した米エヌビディアなど大手10社の2021年1〜3月期決算(一部は直近業績)は、合計の純利益が5四半期連続で増えた旨。1〜3月期では2018年以来、3年ぶりの高水準。高速通信規格「5G」向け需要が増え、世界の上場企業全体(2四半期連続増益)と比べても好調さが目立つ旨。一方、膨らむ投資や競争環境の激化という好調業種ならではのリスクもある旨。

半導体について活況一辺倒のあらわし方になってきているが、世界大手顧客の受託生産の大方を抱える台湾について、リスク&抑制要因の懸念が以下の通りあらわれている。

◇台湾企業に「8重苦」、半導体の世界供給にさらなる不安−水不足、電力不足、コロナ急増…… (5月25日付け 日経 電子版 19:30)
→半導体や米アップルのスマートフォン「iPhone」を世界に供給する台湾企業を「8重苦」が襲っている旨。56年ぶりの干ばつで水不足が深刻化し、大量に水を使う半導体工場の操業を脅かす旨。電力不足で大規模停電が続き、新型コロナウイルス感染者の急増も影を落とす旨。世界で半導体不足が深刻になるなか、最大の供給源の台湾の停滞は、世界的なリスクにもなりかねない状況。

◇台湾IT、部品足りず停滞、19社、4月売上高18%増止まり (5月26日付け 日経産業)
→米アップルなど世界大手のデジタル製品を大量に受託生産している台湾IT企業の業績にブレーキがかかり始めた旨。関連する主要上場企業19社の4月の売上高を調べたところ、合計額が18%の増収にとどまった旨。過去5カ月間で最低の伸び率。部品不足で製品が作れず、旺盛な需要に応えられていないことが主な原因。

水不足、新型コロナ感染急増、半導体の不足、など今後の台湾でのインパクトの推移に目が離せないところである。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□5月25日(火)

すでに過去最高値圏にある米国株式市場、小幅な上げ下げを繰り返す今週の動きである。

◇NYダウ続伸186ドル高、ビットコイン反発でテック株上昇 (日経 電子版 06:02)
→24日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比186ドル14セント(0.5%)高の3万4393ドル98セントで終えた旨。23日に大きく下げた暗号資産(仮想通貨)のビットコインが反発し、投資家心理が上向いた旨。米長期金利も落ち着いた値動きとなり、ハイテク株が買い直された旨。経済活動の正常化への期待から景気敏感株にも買いが入った旨。

中国での巨大IT(BATH)に対する政府締めつけが、顕在化している。

◇中国巨大IT、政府監視で成長神話陰り、時価総額90兆円減 (日経 電子版 11:37)
→中国のIT、ハイテク株から資金が流出している旨。習近平(シー・ジンピン)指導部が締め付けを強めるアリババ集団をはじめ、騰訊控股(テンセント)など主要10社合計の時価総額は2月のピークから90兆円近く(3割弱)減少した旨。習氏の肝煎りで開設した新株式市場「科創板」も安値圏で推移する旨。海外マネーをひき付けて巨大化してきた成長モデルは曲がり角にある旨。

□5月26日(水)

◇NYダウ4日ぶり反落、81ドル安、最高値迫り利益確定売り (日経 電子版 07:22)
→25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落、前日比81ドル52セント(0.2%)安の3万4312ドル46セントで終えた旨。米国の経済活動の正常化期待やビットコインの下げ止まりを受けて買いが先行した旨。ただ、前日までの続伸でダウ平均は過去最高値に近づき、このところ値持ちが良かった景気敏感株を中心に短期的な利益確定売りに押された旨。

□5月27日(木)

◇NYダウ小反発、10ドル高、経済正常化の期待で (日経 電子版 05:32)
→26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小反発し、前日比10ドル59セント高の3万4323ドル05セントで終えた旨。米国で新型コロナウイルスワクチンの接種が進み、経済活動の正常化が進むとの見方から景気敏感株中心に買いが入った旨。ただ、ダウ平均は過去最高値近辺にあり、短期的な利益確定売りも出て上値は重かった旨。

Biden政権の中国との貿易協議が始動、そして半導体製造強化も一角の連邦予算案があらわされている。

◇バイデン米政権、中国と初の閣僚級貿易協議、懸念を伝達 (日経 電子版 11:33)
→米通商代表部(USTR)は26日、中国と閣僚級の貿易協議を開いたと発表、バイデン政権では初めてで「懸念事項を取り上げた」旨。知的財産権の侵害など不公正な慣行をやめるとともに、両政府が結んだ「第1段階の合意」を順守するよう求めたとみられる旨。

◇Biden to Propose $6 Trillion Budget to Make U.S. More Competitive-Biden reportedly to propose $6T federal budget-The president's plans to invest in infrastructure, education, health care and more would push federal spending to its highest sustained levels since World War II. (The New York Times)
→Biden大統領が、来るfiscal yearについて$6 trillionの連邦予算を発表の運び、第二次世界大戦以降最も積極的なpackageの旨。該予算には、ヘルスケア、教育、輸送および気候変動への投資などがあり、2031年末まで年間$8.2 trillionを充てる道筋となる旨。

□5月28日(金)

◇NYダウ続伸141ドル高、雇用回復観測で景気敏感株に買い (日経 電子版 05:38)
→27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比141ドル59セント(0.4%)高の3万4464ドル64セントで終えた旨。朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数が市場予想より少なかった旨。雇用回復が続いているとの観測を後押しし、景気敏感株を中心に買いが優勢だった旨。

□5月29日(土)

我が国では、緊急事態宣言が延長されている。

◇緊急事態宣言、6月20日まで延長決定、9都道府県−首相「接種100万回、6月中旬以降」 (日経 電子版 05:25)
→政府は28日、31日に期限を迎える9都道府県に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言を6月20日まで延長すると決めた旨。医療の提供体制や変異ウイルスの感染拡大を踏まえ判断した旨。菅義偉首相は28日の記者会見でワクチンに関し、6月中旬以降は1日100万回接種できる体制が整うと表明した旨。

◇NYダウ3日続伸64ドル高、好決算セールスフォース牽引 (日経 電子版 05:45)
→28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比64ドル81セント(0.2%)高の3万4529ドル45セントで終えた旨。27日夕に市場予想を上回る四半期決算を発表した顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが大幅高となり、ダウ平均を牽引した旨。もっとも、ダウ平均は過去最高値圏にあり、短期的な利益確定売りも出て上値は重かった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Arm関連】

Armが、活発なIPの展開、同社のArmv9アーキテクチャー搭載のCPUsおよびGPUsなどであり、来年のAndroidスマホの概要をうかがわせている。

◇Arm rolls out first CPUs, GPUs based on v9 architecture (5月25日付け FierceElectronics)
→Armが、Total Compute戦略を披露、最近発表されたv9半導体アーキテクチャーの後に続き、該アーキテクチャーに基づく最初のCortex CPUsおよびMali GPUsなどがある旨。

◇Arm introduces its first Armv9 architecture CPUs and GPUs, previewing 2022's Android flagships-Armv9 architecture CPUs, GPUs debut, previewing phones-The Cortex-X2, Cortex-A710, and Mali-G710 will power the smartphones of tomorrow (5月25日付け The Verge)
→Armが、Cortex-X2およびCortex-A710 CPUsおよびMali-G710 graphics processing units(GPUs)を投入、すべて同社のArmv9アーキテクチャー装備の旨。該microchip設計coresにより、来年のAndroidスマートフォンが如何に動作し、振舞うかが示される旨。

◇Arm Upgrades Its Entire PC And Mobile Portfolio (5月28日付け EE Times)
→非常に多くの新しいIP発表、Armが、自らのみでなく他のIPおよび半導体会社に向けて新しい基準を設けている旨。

一方、Nvidiaによる同社買収の懸案があり、設備投資の削減がみられている。

◇Arm battens down the spending hatches-Report: Arm reduces spending as it awaits Nvidia closing-Arm has gone into cost reduction mode as it awaits the result of its takeover by Nvidia. (5月27日付け Electronics Weekly (UK))
→The Register発。Armが、Nvidiaによる同社の$40 billion買収提案の結果を待っており、corporate expendituresを削減の旨。

【Huawei関連】

車載用半導体が含まれるHuaweiと中国自動車メーカーとの連携である。

◇EXCLUSIVE Huawei-Changan smart car partnership expands to include chips -sources-Sources: Changan Auto, Huawei team on car chip design (5月21日付け Reuters)
→本件に通じる4つの筋発。中国・Huawei Technologiesが、国有Chongqing Changan Automobile Co Ltd(重慶長安汽車股?有限公司)とのsmart car連携を拡大、車載用半導体の設計&開発を含める旨。

Huaweiの創業者、任正非氏が、米国の制裁に対抗、ソフトウェア移行に向けて社員に発破をかけている。

◇EXCLUSIVE Huawei founder urges shift to software to counter U.S. sanctions-Huawei founder wants to take the lead in software (5月24日付け Reuters)
→中国ハイテク大手、Huawei Technologiesの創業者、Ren Zhengfei(任正非)氏が、同社スタッフに対し、米国の制裁で損なわれているハードウェアoperationsを越える成長を追求、ソフトウェアで"勇気をもって世界をリードする"よう要求の旨。

Huaweiが、Arm半導体なしの開発ボードをお披露目している。

◇Huawei unveils its first post-Arm board-Huawei debuts dev board without Arm-based chips-The RISC-V development board appears to have all the capabilities of the Raspberry Pi (5月24日付け TechRadar)
→Huawei TechnologiesのHiSilicon半導体unitが、同社operating systems(OSs)、HarmonyOSラインの開発者向けRISC-V開発ボードを投入、該open-source RISC-V instruction-set architecture(ISA)が、Armのcoresの人気あるlicensing代替になってきている旨。

【SK HynixのIntelノンボラメモリ事業買収】

SK HynixによるIntelからのNANDフラッシュおよびsolid state drive(SSD)事業$9 billion買収について、欧州EU、そして韓国の独禁当局が承認を与えている。残るは中国および英国となる。

◇SK Hynix Wins Europe's Approval for $9 Billion Intel Unit Deal (5月21日付け Bloomberg)

◇SK hynix's acquisition of Intel's NAND biz gets approval from Europe-EU clears SK Hynix's $9B purchase of Intel's NAND line (5月21日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→European Commission(EC)が、SK Hynixによるメモリ半導体portfolioを拡大するIntelのnonvolatileメモリ事業の$9 billion買収案を承認の旨。米国Federal Trade Commission(FTC)およびCommittee on Foreign Investment in the United States(CFIUS:対米外国投資委員会)はすでに該取引を承認しており、中国、韓国および英国のregulatorsによる承諾を依然残している旨。

◇Korea's FTC clears SK hynix’s acquisition of Intel NAND flash, SSD biz-SK Hynix's $9B Intel unit purchase gets S. Korea's FTC approval (5月27日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→韓国の独禁当局が木曜27日、米国半導体メーカー、IntelからのNANDフラッシュおよびsolid state drive(SSD)事業のSK hynixによる$9 billion買収を承認の旨。

【注目のAppleプロセッサ】

iMacなど搭載のAppleのcustom M1プロセッサの優位性が、以下の通りあらわされている。

◇Apple's rivals may never be able to catch up to its powerful new chip-Analysis: Why Apple's M1 chip is leaving rivals behind (5月21日付け CNN)
→Appleのcustom M1 microchipの性能が、該M1を特徴とする最初のiMac desktopおよびiPad Proラインなど新製品で特に"比類ない性能速度"を示している旨。「他のPCベンダーがAppleに追いつくのにしばしかかっている主な理由として、彼らのほとんどがハードウェア&ソフトウェアの全体stackを制御していないこと。」と、IDCのJitesh Ubrani氏。これがAppleの優位性と特に言及の旨。

今年の新型iPhone搭載のA15プロセッサの量産が、TSMCにて開始とのこと。

◇TSMC kicking off production for new iPhone chips-Sources: TSMC starts new iPhone chips production (5月26日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCが、今年のiPhoneモデルに入るAppleの次世代A15プロセッサの量産を開始の旨。該custom半導体設計は、昨年のiPhoneプロセッサを規模で上回ると見込まれる旨。

【TSMCの日本での合弁】

三次元半導体について経済産業省とTSMCの合弁が発表されているが、こんどはソニーとTSMCの熊本での20-nm半導体工場建設の取り組みが取り沙汰されている。今後に注目するところである。

◇Japan wants TSMC, Sony to build 20 nanometre chip plant -Nikkan Kogyo-Nikkan Kogyo: Japan seeks TSMC, Sony to build 20nm chip fab (5月25日付け Reuters)
→日刊工業新聞、水曜26日発。日本政府が、TSMCおよびソニーに対し、日本初の20 nanometre半導体工場建設に向けて1兆円($9.2 billion)の投資を望んでいる旨。

◇ソニー・TSMC、合弁構想、熊本に1兆円新工場 (5月26日付け 日刊工業)


≪グローバル雑学王−673≫

超富裕層時代の到来、富裕層の新潮流、そして作られる新貴族文化、と見てきたが、最後は、危うさはらむ新格差社会として、

『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
 (太田 康夫:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行

より、3回に分けていくつかの切り口での実態に迫っていく、その1回目である。政治的な発言権を強める富裕層にまず注目。案の定、トランプ政権が引き合いであり、大金持ち揃いの閣僚の顔ぶれである。綺麗ごとにはいかない政治の世界、上位1%の人々が富の半分近くを握っている世界の現実がある。次に、傲慢さ増す富裕層として、裏口入学、そしてタックス・ヘイブンの抜け穴が示されている。二極化を示すK字経済の現状、新型コロナウイルス収束後での格差の固定化や市場の波乱など経済リスクが増す恐れの指摘もある現時点である。


第四章 危うさはらむ新格差社会 …3分の1

(1)表に出始めた新支配者

◇トランプ大金持ち政権
・ドナルド・トランプ政権が誕生、多くの人はその異様さに驚いた
 →突然、自国第一主義を掲げ始めた
 →驚きは、トランプ流の政策だけにとどまらない
  →大統領が選んだ新閣僚は大金持ちぞろい
 →大金持ちが政治を操るビリオネアの時代到来を印象付けた
・大金持ちによって支配される政治は古代ギリシャでも
 →「plutocracy」と呼ばれた
・さまざまな時代、さまざまな場所で大金持ちが政治を操っていた
 →その後、市民が力をつけ、民主主義が定着し始めると、一般国民の代表が政治を担うことに
 →市場原理主義が浸透、貧富の格差が著しく拡大、選挙に勝ち抜くには巨額の資金が必要に
 →結果的に大金持ちが政治を握る時代に戻ってしまったかのよう

◇1%の人が44%のお金を支配
・富裕層が政治的な発言権を強めている背景には、その経済支配力の拡大
・スイスの大手金融機関、Credit SuisseのGlobal wealth report 2019発
 →富保有(不動産など非金融資産を含む)

100万ドル以上
4700万人(0.9%)
158兆ドル(43.9%)
うちビリオネア
約2000人
8兆ドル
10万〜100万ドル
4億9900万人(9.8%)
140兆ドル
1万〜10万ドル
16億6100万人(32.6%)
55兆ドル
1万ドル以下
28億人(56.6%)
6兆ドル(1.8%)

 →上位1%の人々が富の半分近くを握っている現実
 →ビリオネアへの富の集中は驚異的
・お金の力がさまざまな支配の源泉となる社会が組み上げられている

◇人民の、エリートによる、富裕層のための政府
・大金持ちの政治支配力が強まっている現象について、さまざまな分析
 →とりわけ注目、富裕層が金に物を言わせることができる選挙の仕組み
 →選挙キャンペーンの寄付は、企業が集まった特定の利益グループが政府や議員に影響を及ぼす一つの経路に
 →議会による規制権限が弱められ、候補者、政党、企業や組合を含むそのほかの関係者のキャンペーンへの無制限の支出が可能に
・これは米国だけの状況ではない
 →1980年から2013年までのドイツの事例
  →政策決定と富裕層の意見には注目すべき関連性

(2)傲慢さ増す富裕層、固定化する階層

◇デスパレートな米裏口入学
・富裕層にとって、お金の管理に負けず劣らず重要なのが子弟の教育
 →何代にもわたって有力なファミリーの地位を維持しようとする傾向
・米国では2019年3月、富裕層の教育を巡って、驚きの事態
 →米検察当局は、子供を名門大学に入学させるため詐欺に関与したとして、富裕層などおよそ50人を訴追
 →米国は富裕層に甘い国柄、金の力による裏口入学が横行していたのは公然の秘密
 →Yale Universityなどは不正入学した学生の合格を取り消している
・超富裕層の場合、子弟を入学させる合法的な抜け穴
 →多くの大学は高額の慈善寄付や、大学施設の建設資金提供者の子弟に特別入学を認めている
・各地域に、歴史があり富裕層が子弟を送り込むことが多い中高等教育を担うBoarding School(全寮制の寄宿学校)が存在
 →マサチューセッツ州GrotonにあるLawrence Academy
 →ニューヨーク郊外にあるThe Masters School

・米国ほど極端ではないが、日本でも裏口入学が明らかに
 →2018年、東京医科大学の1件
 →それを受けて当局がほかでも、卒業生やその関係者を優遇する不正が実施されていたことが判明

◇富裕層の利用する税制の抜け穴 タックス・ヘイブン(Tax Haven)
・富裕層には、彼らが特にアクセスしやすい税金の抜け穴
 →租税回避地(タックス・ヘイブン)
 →富裕層がお金を蓄え、さらに豊かになりやすい環境を提供
・政府はさまざまな税金の税率によって、国の経済の在り方を決めていく
 →タンカーにはパナマ船籍が多い
  →パナマが船舶の置籍に関する税金を低く抑えて、その置籍船料を稼いでいる
・タックス・ヘイブンを、富裕層が課税回避のための金融取引に利用し始めたのは20世紀の前半
・銀行の業務に富裕層の資金管理を手伝うプライベート・バンキング
 →主な仕事の1つは富裕層が節税をしたい時に、租税回避地を紹介、口座開設や会社設立の手伝いをすること
・国際化の時代、どこに資金を預けようと基本的には自由
 →タックス・ヘイブンを利用すれば納税額を縮減できる
 →実質的には富裕層が合法的に自国の課税をすり抜けるための穴

・富裕層がタックス・ヘイブンを活用すれば、その居住国の税収が減ってしまう恐れ
 →放置するとタックス・ヘイブンは脱税天国になりかねない
・課税に必要なのは、タックス・ヘイブンの利用者の情報
 →OECDが、協力しない地域に関しては、ブラック・リストに載せて透明化の圧力
 →さらにOECDは2012年6月に租税委員会でBEPSプロジェクトと呼ばれるプロジェクトを立ち上げ
  →Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転
  …課税所得を人為的に操作、課税逃れすることを防ぐ作業
 →G20各国は入手する多くの口座情報を税務調査などに使えるようになった
  →G20が実質所有者の透明性を高めるための10の原則を打ち出し
 →とはいえ、国によっては財務当局の高官がタックス・ヘイブンを利用している場合も

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