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半導体不足、米中応酬継続の渦中、高水準の2月の世界半導体販売高

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜10日午前時点、世界全体で1億3434万人を超え、1週間前から約424万人増と拡大が続いている。東京はじめ「蔓延防止等重点措置」のゴールデンウイーク明けにわたる期間での適用が打ち出されている。半導体業界では、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)から月次世界半導体販売高が発表され、日数の少ない2月について$39.6 billion、前月比1.0%減ながら前年同月比14.7%増と、高水準を維持継続している。米中摩擦、コロナ禍が作用する世界的半導体不足で米国はじめ各国の確保せめぎ合いの様相が引き続くとともに、米中の応酬も米国Biden政権の新たな措置はじめ見られている激動の中での販売高である。

≪増勢推移に目が離せない販売高≫

米国・SIAからの今回の販売高発表が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇2月のグローバル半導体販売高が前年同月比14.7%増−世界販売高、前月比では1.0%減 …4月5日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2021年2月のグローバル半導体業界販売高が$39.6 billionで、前年同月、2020年2月の$34.5 billionを14.7%上回ったが、前月、2021年1月の$40.0 billionを1.0%下回った。月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。SIAは、売上げで米国半導体業界の98%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「本年1-2月のグローバル半導体販売高は、pandemicが世界各地で広がり始めた2020年始めからは上回っている。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「中国市場販売高が前年同月比で最も大きく伸びているが、大方はそこでは昨年始め販売高が大きく落ち込んだことによる。」

地域別には、前年同月比ではすべての市場にわたって、China (18.9%), Asia Pacific/All Other (18.2%), the Americas (9.7%), Japan (7.6%), およびEurope (6.8%)と増加した。前月比では、Asia Pacific/All Other(1.5%)およびEurope(0.8%)と増加、中国では横這い、そしてJapan(-3.4%)およびthe Americas(-5.9%)では減少した。

2021年2月地域別販売高増減

Americas
前年同月比  9.7%/
前月比 -5.9%
Europe
6.8%/
0.8%
Japan
7.6%/
-3.4%
China
18.9%/
0.0%
Asia Pacific/All Other
18.2%/
1.5%

        【3ヶ月移動平均ベース】
市場地域
Feb 2020
Jan 2021
Feb 2021
前年同月比
前月比
========
Americas
7.29
8.50
8.00
9.7
-5.9
Europe
3.26
3.45
3.48
6.8
0.8
Japan
2.94
3.28
3.17
7.6
-3.4
China
11.55
13.73
13.74
18.9
0.0
Asia Pacific/All Other
9.48
11.04
11.20
18.2
1.5
$34.53 B
$40.01 B
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %

--------------------------------------
市場地域
9-11月平均
12- 2月平均
change
Americas
8.93
8.00
-10.4
Europe
3.38
3.48
3.1
Japan
3.29
3.17
-3.8
China
13.90
13.74
-1.2
Asia Pacific/All Other
10.75
11.20
4.2
$40.24 B
$39.59 B
-1.6 %

--------------------------------------

※2月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2021/04/February-2021-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けて、業界各紙の取り上げである。

◇Chip sales up 15% as leaders focus on government subsidies (4月5日付け FierceElectronics)

◇Global Semiconductor Sales Up 14.7% Year-to-Year in February (4月6日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semiconductor sales up 14.7% y-o-y to US$39.6b in February, says SIA-SIA: Feb. chip sales reach $39.6B, up 14.7% on year (4月6日付け The Edge Markets (Malaysia))

◇Feb. Global Semi Sales Up 15% (4月6日付け Printed Circuit Design & Fab)

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、2021年が現下の活況を維持してこれまで最高の2018年の年間販売高の更新となるかどうか、以下の販売高の推移の見方を続けていくことにする。先行き不安定性が漂う中、増勢基調を保てるかどうか、引き続き注目である。2021年1月そして2月の販売高が従来に比べて高い水準にあることは以下に示す通り明らかである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %
2020年 5月 
$34.97 B
5.8 %
1.5 %
2020年 6月 
$34.53 B
5.1 %
-0.3 %
2020年 7月 
$35.20 B
4.9 %
2.1 %
2020年 8月 
$36.23 B
4.9 %
3.6 %
2020年 9月 
$37.86 B
5.8 %
4.5 %
2020年10月 
$39.03 B
6.0 %
3.1 %
2020年11月 
$39.41 B
7.0 %
1.1 %
2020年12月 
$39.16 B
8.3 %
-2.0 %
$439.0 B
 
2021年 1月 
$40.01 B
13.2 %
1.0 %
2021年 2月 
$39.59 B
14.7 %
-1.0 %


グローバルな半導体の不足関連の現下の動きである。米国・SIAの調査レポート、そして米国政府への念押しの働きかけである。

◇Taiwan chip production halt would cost industry nearly US$500bn (4月2日付け Radio Taiwan International)
→Semiconductor Industry Association(SIA)とBoston Consulting Groupによる最新レポートは、グローバル半導体supply chainsにおけるいろいろな難所の可能性を浮き彫りにしている旨。もし台湾が半導体生産を急に止めたら、グローバルelectronic機器メーカーに約$500 billionのコスト負担となる旨。台湾が、最先端半導体で92%のグローバル市場シェアであり、韓国が残る8%を占める旨。

◇SIA Urges U.S. Government Action to Strengthen America's Semiconductor Supply Chain (4月5日付け SIA/Latest News)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、アメリカの重要supply chainsを確保するBiden大統領の大統領令に対して、米国商務省にコメントを提出、強力な半導体業界維持に向けたグローバル半導体supply chainの重要性を強調、該supply chainにおけるある範囲の脆弱性を同定の旨。また、アメリカの半導体supply chainの長期的な強み&弾力性を確実にするよう、国内半導体生産への連邦incentivesおよび半導体リサーチ投資の施行をBiden政権および議会に督促の旨。

米国の自動車業界団体も、政府への切実な要求である。

◇U.S. auto industry calls for government help as it warns of impact of chip shortage-American automakers seek government aid for IC shortage (4月5日付け Reuters)
→米国に工場を持つ自動車メーカーを代表するAlliance for Auto Innovationが、世界的な重要コンポーネントの不足あるいは長引く生産の混乱および2021年の自動車製造1.28 million台減の打開支援を連邦政府に求めている旨。

半導体の不足に関してWhite Houseが主催する会議に、IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が出席するとしている。

◇Intel CEO to attend White House meeting on chip supply chain-Report: Gelsinger to attend White House meeting on chips (4月5日付け Reuters)
→IntelのCEO、Pat Gelsinger氏が、引き続く半導体の不足を話し合うためにWhite Houseが調整する4月12日virtual conferenceに参加予定の旨。Joe Biden大統領のnational security adviser、Jake Sullivan氏およびtop economic aide、Brian Deese氏も参加する見込みの旨。

◇Intel's Pat Gelsinger To Appear At White House Chip Supply Chain Meeting: Report-The White House confab comes just a couple weeks after Intel unveiled its a roughly $20 billion investment for two new fabs in Arizona as part of its “IDM 2.0” strategy. ‘It is definitely encouraging to see this,’ one Intel distributor told CRN. (4月5日付け CRN (US))

Biden大統領も、米上院が半導体不足対応の法制化に乗り出すとして、自動車業界との話し合いに備えている。

◇U.S. Senate readying legislation on semiconductors, Biden says-Biden: Senate will take up chip shortage legislation (4月7日付け Reuters)
→Joe Biden大統領が水曜7日、上院指導者が自動車、computersなどの製品用の重要コンポーネントの世界的不足に対応する法制化に備えている旨。White Houseは、月曜12日、政府officialsとともにFord MotorおよびGeneral MotorsのCEOsと本件についてのvirtual conferenceを開く予定の旨。

米国・SIA主催プレゼンでは、米国での半導体生産が価格を上昇させるのでは、との提起が行われている模様である。

◇Could more U.S. chip production lead to price increases? (4月7日付け FierceElectronics)
→Semiconductor Industry Association(SIA)が水曜7日主催のvirtualプレゼンにて。Peterson Institute for International Economicsのエコノミスト、Chad Bown氏は、半導体業界への政府支援が何らか衝突および価格上昇につながるかどうか、問いかけの旨。

半導体の不足関連についての現時点の実態&動きを、以下見ていく。まずは、引き続く自動車業界でのインパクトである。

◇Subaru to temporarily shut its plant due to chip shortage-Subaru sets halt at its Yajima plant; not enough chips (4月5日付け Reuters)

◇スバル、群馬・矢島工場の操業停止、半導体不足 (4月5日付け 産経新聞)
→SUBARU(スバル)は5日、群馬製作所矢島工場(群馬県太田市庄屋町)の操業を10〜27日に停止すると発表、半導体が世界的に供給不足となっているためで、減産規模は約1万台にのぼる見通し。矢島工場は「アウトバック」「フォレスター」「XV」の3車種を生産している旨。

◇日産、半導体不足で減産、今月3000台、SUVなど2車種 (4月8日付け 日経)
→日産自動車が4月から従来の計画に比べて約3000台を減産することが7日、分かった旨。半導体不足で一部の部品の供給に支障が出る恐れがある旨。対象は主力の多目的スポーツ車(SUV)など2車種。SUBARU(スバル)やスズキも4月に一部の工場の稼働を停止する旨。半導体不足の影響が広がってきた旨。7日日までに部品などの取引先に生産計画の変更を伝えた旨。

台湾での水不足が、改めてあらわされている。

◇水不足で半導体産業ピンチ……台湾の降雨を世界中が願う理由 (4月5日付け 文春オンライン)
→昨年から雨に恵まれなかった台湾が、数十年ぶりの渇水に見舞われている。民進党の蔡英文政権は4月から給水制限に踏み切る構えだが、心配されるのが、大量の工業用水を必要とする半導体産業への影響だ。台湾には世界の半導体受託製造(ファウンドリー)の半分以上を供給する台湾積体電路製造(TSMC)がある。同社は多数の給水車を手配済みとして「水不足がただちに生産に影響を与えることはない」と火消しのコメントを出した。もし減産となれば世界の製造業が大ダメージを受けかねず、台湾の降雨を世界が祈願する状況に陥っている。・・・・・

工場火災に見舞われたルネサスエレクトロニクスの状況についてである。

◇ルネサス、愛媛で代替生産、海外メーカー委託も調整 (4月7日付け 日経)
→ルネサスエレクトロニクスは、茨城県の工場火災で生産できなくなった半導体製品の一部を、愛媛県の工場で生産する方針を固めた旨。出荷が火災前まで戻るまでに時間がかかることから代替生産の準備を進めてきた旨。愛媛工場だけでは補いきれず、国内の別拠点や海外メーカーへの生産委託などさらに代替生産を広げる方向で調整を続ける旨。

◇ルネサス、生産再開へ、那珂工場の火災棟、19日までに (4月9日付け 朝日新聞デジタル 07:00)
→半導体大手ルネサスエレクトロニクスは、那珂工場(茨城県ひたちなか市)の火災があった棟での生産を、火災発生から1カ月後の19日までに再開する方針を固めた旨。ただし、出荷量が火災前まで戻るのは6月下旬以降になる見通し。

白物家電にも影響している、と中国発である。

◇After hitting carmakers like Tesla and Sony’s PlayStation 5, chip shortages have now spread to China's vast home appliances industry -Report: Chip shortages hit China's appliances industry (4月9日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→世界最大のhome appliancesメーカー、中国・Midea Group発。重要コンポーネントの拡がる不足がこんどはappliances市場をかき乱している旨。該不足は、appliances搭載のmicrochips価格上昇を引き起こしており、大方はmicrocontrollers(MCUs)の旨。中国は、世界のエアコン、テレビジョンおよび電子レンジの約3分の2、および冷蔵庫および洗濯機の約半分を生産の旨。

韓国でも、半導体業界が政府に一層の支援を求めている。

◇Semiconductor industry urges for government support amid supply shortage-Chip industry turns to governments for IC supply woes (4月9日付け The Korea Herald (Seoul))
→韓国現地の半導体会社が、引き続くグローバルな半導体不足を背景に生産拠点拡大に向けて支援を政府に求めている旨。

来る日米首脳会談でも、半導体の不足が取り上げられる運びである。

◇Semiconductor shortage on the agenda when Biden, Suga meet-Japan's PM will discuss chip shortages with Biden (4月9日付け The Asahi Shimbun (Japan))
→大きな損害を与える半導体の世界的な不足が、来る日米summitで議論される、と、8日、White Houseの報道官、Jen Psaki氏。

次に、米中摩擦関連について。この1年で大きくクローズアップされてきている台湾があらわされている。

◇米の中国制裁が変えた台湾の今、運命の「2020年5月」 (4月6日付け 日経 電子版 14:06)
→米国が中国・華為技術(ファーウェイ)への制裁を強化すると2020年5月に発表してから間もなく1年がたつ。これをきっかけに世界では多くのモノの流れが変わり、代わって注目を集めるようになったのが半導体企業が集積する台湾だ。1年で多くの変化が起きたが、世界は台湾をさらに大きく変える可能性がある。・・・・・

TSMC製の半導体が中国の兵器に使われているとする次の記事が、波紋を広げている。TSMC、そして台湾政府もこれを打ち消している。

◇China builds advanced weapons systems using American chip technology (4月7日付け The Washington Post)

◇Taiwan's TSMC denies Washington Post story about chips for Chinese military-TSMC denies supplying chips to the Chinese military-China developing hypersonic missiles with help of US technology, Taiwanese chips: Washington Post (4月8日付け Taiwan News)
→TSMCが軍事用electronicsで用いるmicrochipsをつくっているとするWashington Postの記事は正しくない、とTSMC。中国の会社、Phytium Technologyが人民解放軍のために米国で開発された半導体およびソフトウェアを用いたとしている、とThe Postの報道の旨。

◇No TSMC chips in China arms: MOEA (4月9日付け Taipei Times)
→台湾・Ministry of Economic Affairs(MOEA)、昨日発。"知る限り"台湾半導体会社製半導体は、中国のミサイルに入っていない旨。

米国の台湾を巡る中国への牽制である。

◇中国の台湾攻撃抑止へ、経済対抗策検討、米下院小委員長 (4月8日付け 日経 電子版 16:00)
→中国による台湾攻撃を抑止するため、米議会として中国が武力行使した際の経済対抗策を検討し始めた旨。与党・民主党のアミ・ベラ下院議員が日本経済新聞の電話インタビューで明らかにした旨。現段階で具体的な内容には踏み込んでいないが、米軍のアジアシフトと合わせ、中国を牽制する狙いがある旨。

米国の制裁を受ける中国は、パワー半導体に活路を見い出す動きである。

◇中国、EV用半導体に触手、ウィングテックが上海に新工場、需給逼迫、国産化急ぐ、米制裁対象外で拡大余地 (4月9日付け 日経)
→中国の電子機器大手、聞泰科技(ウィングテック)が電気自動車(EV)用半導体の国産化に乗り出す旨。120億元(約2000億円)を投じ、電力制御に使うパワー半導体の新工場を上海市に建てる旨。生産する半導体は米国による制裁の対象外のため拡大余地も大きい旨。中国政府が目指す「EV強国」に必要な主要部品の国内での供給網づくりを急ぐ旨。新工場はオランダの半導体子会社ネクスペリアと建設し、2022年に稼働させる旨。パワー半導体やトランジスタなど「ディスクリート」と呼ぶ半導体を生産する旨。大口径の12インチウエハーを使い、年産能力は40万枚とディスクリートで世界最大級となる旨。

米国が、スーパーコンピュータ関連で追加の対中制裁措置である。

◇米、中国スパコン7社・団体に制裁、ハイテク摩擦拡大も (4月9日付け 日経 電子版 05:10)
→米商務省は8日、中国でスーパーコンピュータの開発を手掛ける企業や研究機関など7社・団体に事実上の禁輸措置を発動すると発表、米国技術が核兵器などの軍事開発に使われるのを防ぐ旨。バイデン政権が中国企業に制裁を科すのは初めてで、米中のハイテク摩擦が激しくなる旨。安全保障上の問題がある企業を並べた「エンティティー・リスト」に7社・団体を追加した旨。制裁対象に米国製品を輸出するのは商務省の許可が必要になり、企業の申請は原則却下される旨。

敏感な情勢推移に、引き続き注目である。


コロナ対応のなかなか収まらない状況推移に対して、直面する事態への警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の政治経済の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□4月4日(日)

打ち上げたインフラ投資計画に対して、超党派の支持を切に求めるBiden大統領である。

◇Buttigieg: 'Now’s our chance' for infrastructure plan-Biden seeks bipartisan support for infrastructure plan -"Right now, we're still coasting off of infrastructure choices that were made in the 1950s." (Politico)
→Joe Biden大統領は、共和党lawmakersの支持をもって、あるいはなしで、5月末までに遠大なインフラ計画を進める狙いであるが、政権officialsは大統領は共和党のinputを望み意義深い対話が求められているとしている旨。共和党はspendingおよび税金の増大から該計画に反対する見込みであるが、運輸長官、Pete Buttigieg氏は、該計画は売上げを高め、15年超採算がとれ、それから赤字を減らし始める、としている旨。

□4月6日(火)

基本上げ基調で最高値更新で締めた今週の米国株式市場である。

◇NYダウ続伸373ドル高、最高値、良好な経済指標受け (日経 電子版 07:04)
→5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前営業日の1日に比べ373ドル98セント(1.1%)高の3万3527ドル19セントで終えた旨。過去最高値を1週間ぶりに更新した旨。3月の米雇用統計など主要経済指標が市場予想以上に回復し、投資家のリスク選好姿勢が強まった旨。消費関連など景気敏感株が買われた旨。米長期金利の落ち着いた動きを好感し、ハイテク株にも買いが広がった旨。

□4月7日(水)

国際通貨基金(IMF)が、本年の経済見通しを上方修正している。

◇世界経済、2021年6.0%成長、IMFが見通し上方修正 (日経 電子版 05:17)
→国際通貨基金(IMF)は6日改定した世界経済見通しで2021年の成長率見通しを6.0%とし、前回1月の予測から0.5ポイント引き上げた旨。一時的な景気過熱を指摘する声も出るなか、世界は急回復する景気の勢いを御しながら、成長の持続力を高める政策へ軸足を移す難しい局面に入った旨。

◇NYダウ反落、96ドル安、ワクチン期待で消費株は堅調 (日経 電子版 05:31)
→6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落、前日比96ドル95セント(0.3%)安の3万3430ドル24セントで終えた旨。前日に好調な米経済指標を支えに1週間ぶりに過去最高値を更新しており、直近に上昇が目立っていた銘柄に短期的な利益確定売りが出た旨。ただ、新型コロナワクチンの普及による経済再開の期待は根強く、下値は堅かった旨。

□4月8日(木)

◇NYダウ小反発16ドル高、金融緩和の長期化観測が支え (日経 電子版 05:55)
→7日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小反発し、前日比16ドル02セント(0.04%)高の3万3446ドル26セントで終えた旨。新型コロナウイルスワクチンの普及を受けた米経済再開への期待や、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の長期化観測が相場を下支えた旨。ダウ平均は過去最高値圏にあり、このところ上昇が目立っていた銘柄への利益確定売りで下げる場面もあった旨。

□4月9日(金)

◇NYダウ続伸57ドル高、長期金利低下でハイテク株に買い (日経 電子版 05:34)
→8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比57ドル31セント(0.2%)高の3万3503ドル57セントで終えた旨。米長期金利の低下で相対的な割高感が和らぎ、ハイテク株に買いが入った旨。米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の長期化観測も買いを後押しした旨。

□4月10日(土)

◇NYダウ3日続伸297ドル高、最高値更新、景気回復期待で (日経 電子版 05:46)
→9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比297ドル03セント(0.9%)高の3万3800ドル60セントと5日以来となる過去最高値を更新した旨。米経済活動の正常化への期待や緩和的な金融政策の長期化観測から、景気敏感株を中心に買いが優勢だった旨。


≪市場実態PickUp≫

【Intelの10-nmプロセスCPU】

Intelがサーバ/データセンター向けCPU「第3世代Xeonスケーラブルプロセッサ(Ice Lake)」を発表、遅れた10-nmプロセス技術でつくられる最初のCPUファミリーというところに目が行きがちである。すでに出荷が進んでおり、今回品の評価、そして今後の展開に注目である。

◇Intel touts latest Xeon processor for scaling 5G networks-Intel: Xeon chips can boost 5G by 62% (4月6日付け VentureBeat)
→Intelの新しい第3世代Xeon Scalableプロセッサは、5G性能およびworkloadsを平均62%改善、通信プロバイダーに向けてユーザplane functionが42%ほど良くなる旨。該半導体は、5Gネットワークス並びにデータセンターに入り、confidential computingおよび暗号法として機能する旨。

◇Intel launches Xeon Ice Lake processor with built-in AI (4月6日付け FierceElectronics)
→Intelが火曜6日、最新第3世代Ice Lake Xeon Scalableプロセッサを打ち上げ、hybrid cloud, high performance computing(HPC), networkingおよびintelligent edgeなど複数の応用に向けて46%の性能向上および内蔵AIが得られる旨。同社は、2021年第一四半期に該プロセッサ200,000個をすでに出荷、十数のnetworking装置メーカーおよびパートナーが該半導体を使用する装置をすでに構築あるいは運用している旨。

◇Ice Lake Launch: First CPU From Intel's Delayed 10nm Process-Intel's Ice Lake CPU for the data center is better late than never, and promises performance advantages across AI, 5G and crypto workloads (4月7日付け EE Times)
→Intelが、ついにIce Lakeを打ち上げ、同社の遅れた10-nmプロセス技術でつくられる最初のCPUファミリーの旨。第3世代Xeon Scalable partsの2番目のファミリーであるIce Lakeは、第2世代partsに比べてデータセンターworkloadsで46%の性能増大が約束される旨。Ice Lakeは、2019年1月にCESにて発表され、そのときは2020年に出てくる予定であった旨。14-nmから10-nmへの移行困難による生産の遅れが、この遅れの理由となっている旨。

【東芝買収提案関連】

次の海外発の記事に驚かされた後、連日の国内発の報道に注目させられている。以下、時間順に示している。

◇Activists Get Their Moment With $21 Billion Toshiba Bid-Private equity firm makes a $20B+ bid for Toshiba (4月7日付け Bloomberg)
→private equity会社、CVC Capital Partnersが、東芝を$20 billionで上回る規模で買収する提示、東芝のCEO、Nobuaki Kurumatani氏が株主票決を失った後の動きとなる旨。東芝は該提示を検討している旨。

◇東芝に買収提案、英投資ファンドなど、2兆円超で非公開化 (4月7日付け 日経 電子版 05:27)
→英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズなどが東芝に買収提案することが6日分かった旨。物言う株主との対立が続いている東芝の株式を非公開化して、経営判断を速める旨。今後経営陣と条件などの交渉を始め、当局を含め合意できればTOB(株式公開買い付け)に乗り出す旨。買収額は2兆円を超える見通し。日本を代表する企業が統治体制を変えるため、非公開化を検討する異例の事態となった旨。

◇東芝買収、実現にハードル――外為法の審査対象、原子力など安保関連事業 (4月8日付け 日経)
→当局との調整も待ち受ける旨。2020年に施行した改正外為法は、安全保障に関わる事業を手掛ける国内企業に対し、外国の投資家が1%以上の株を保有するときに事前届け出を求め、国が審査すると定める旨。原子力事業などを持つ東芝は重点審査の対象で、財務省と経済産業省が事前審査する旨。

◇東芝買収、実現にハードル、既存株主の理解得られるか (4月8日付け 日経 電子版 05:31)
→東芝は7日、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受けたと明らかにした。実現すれば東芝の株式は非公開化され、東芝と物言う株主の対立は終わる。経営判断を速めたい東芝は打開策を与えられた形だが、この先には3つのハードルが待ち構える。・・・・・

◇東芝買収、焦点は「誰のため」、企業価値向上の説明カギ (4月8日付け 日経 電子版 15:00)
→英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから買収提案を受けた東芝は、受け入れ可否の検討に入った旨。株式の非公開化を見据え、東芝側の一部は「アクティビスト(もの言う株主)との対立が解消し、経営が迅速になる」と歓迎する旨。一方で法律家からは「経営陣の自己保身との批判を招きかねない」との指摘もある旨。焦点は「誰のための買収か」。企業価値の向上を示す説明が求められる旨。

◇東芝の企業価値、評価に幅、キオクシアへの見方割れる−市場想定1.2兆〜2.6兆円、CVCの買収交渉左右 (4月9日付け 日経 電子版 09:33)
→東芝が英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズからの買収提案の検討を始めた旨。CVCは目安として6日終値(3830円)より約3割高い1株5000円での買収案を提示したもよう。東芝の株式価値を2兆3000億円程度と評価していることになるが、評価は4割の株を持つ半導体メモリ大手、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の価値の見方に左右される旨。

◇東芝買収に日本勢の参加打診、英CVC案、7月にもTOB【イブニングスクープ】 (4月9日付け 日経 電子版 18:00)
→英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが東芝に提出した買収提案の詳細が分かった旨。政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)や事業会社の参加を想定し、1株5000円での買い取りを提案した旨。早ければ10月の上場廃止を見込む旨。アクティビスト(物言う株主)との対立が続く東芝を非公開にして企業価値を高め、約3年後の再上場をめざすとしている旨。

◇東芝買収、もろ刃の官頼み、CVC・政府系の連携想定 (4月10日付け 日経 電子版 05:22)
→上場廃止を避けるために株主として招き入れたアクティビスト(物言う株主)から友好的なファンドが株を買い取り、経営改革のスピードを速める――。東芝の買収提案の最大の狙いは、株式非公開化によるガバナンス(統治)の一本化。

【Samsungの第一四半期業績】

Texas州の半導体工場が寒波で生産が中断に追い込まれたSamsung Electronicsであるが、スマホおよび家電が好調で前年比45%増の利益と補って余りある結果となっている。

◇Samsung first-quarter profit likely surged 45% on bumper smartphone, appliance sales-Appliances, phones, TVs boosted Samsung's Q1 profit (4月4日付け Reuters)
→米国工場にて寒波で生産が中断、半導体部門の収益が下落と見られるが、Samsung Electronics Co Ltdの1-3月利益が、スマートフォン、TVsおよびhome appliancesの力強い販売で45%増となりそうな旨。Refinitiv SmartEstimateによると、該四半期operating profitが9.3 trillion won($8.2 billion)に上る見込みの旨。

◇Samsung Electronics says Q1 profit likely rose 44%, matching expectations-Samsung meets expectations on Q1 profit with $8.32B (4月6日付け Reuters)

◇サムスン営業益44%増、1〜3月、スマホ旗艦モデル好調 (4月7日付け 日経 電子版 09:42)
→韓国サムスン電子が7日発表した2021年1〜3月期の連結業績。売上高が前年同期比17%増の65兆ウォン、営業利益が同44%増の9兆3000億ウォン(約9120億円)。スマートフォンの旗艦モデルが好調で、家電とテレビの販売も伸びた旨。米国の寒波に伴う工場稼働停止に見舞われた半導体部門の不振を補った旨。

【韓国業界関連】

LG電子が、スマートフォン事業について、売却は断念して撤退を発表している。中国勢の台頭であり、繰り返す業界史の様相である。

◇LG will shut down smartphone business in July to focus on smart home, robotics-LG to exit smartphone market, aiming at robotics, homes-It's the end of an era for the one-time phone giant, which has struggled to compete with Apple, Samsung and Chinese brands. (4月2日付け CNET)

◇韓国LGがスマホ撤退発表、技術流出懸念で売却を断念 (4月5日付け 日経 電子版 11:01)
→韓国LG電子は5日、スマートフォン事業から撤退すると発表、外部への技術流出を懸念して売却を断念した旨。約3700人いるスマホ部門の人材は業績好調の家電やテレビ部門に転籍し技術を生かす旨。かつて日本の電機を追い込んだ韓国勢も中国企業の追い上げを受け、撤退戦を強いられ始めている旨。

SK Hynixが、自動車用メモリ半導体供給についてドイツ・Boschと合意に近づこうとしている。

◇South Korea's SK Hynix near deal to supply auto chips to Germany's Bosch - media (4月6日付け Reuters)

◇SK hynix in talks with Bosch over supply of automotive memory chips: sources-Sources: SK Hynix, Bosch discuss auto memory chips (4月7日付け The Korea Herald (Seoul)/Yonhap News Agency)
→業界筋発。SK Hynixが、自動車用メモリ半導体供給の長期的合意についてRobert Bosch GmbHと交渉している旨。

【半導体出荷数量データ】

IC Insightsが半導体(ICsおよびO-S-Dデバイスなど)出荷の個数データをあらわしている。1 trillion個を初めて超えたのが2018年、そして昨年、2020年に続いて今年も超えて最高更新との予測である。半導体販売高も、これまでの史上最高の2018年を今年が上回れるかどうかに注目しているところである。

◇Semiconductor Units Forecast To Exceed 1 Trillion Devices Again in 2021-A 13% increase is expected to lift total semiconductor shipments to a new record high. (4月7日付け IC Insights)

◇Semiconductor Units Forecast To Exceed 1 Trillion Devices Again in 2021 (4月8日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC InsightsのMcClean Report-A Complete Analysis and Forecast of the Integrated Circuit Industry、2021年版データ。integrated circuits(ICs)並びにoptoelectronics, sensor/actuator, and discrete(O-S-D)デバイスなど半導体出荷数量が、2021年に13%増の1,135.3 billion(1.1353 trillion)個になる見込みの旨。calendar yearで半導体数量が1 trillion個を上回るのは、次の経過で3度目。

2018年
2019年
2020年
2021年
1,046.0
975.8
1,001.5
1,135.3
billion個


◇Semiconductor units forecast to exceed 1 trillion devices in 2021-IC Insights: 1 trillion O-S-D devices to ship this year (4月8日付け DIGITIMES)


≪グローバル雑学王−666≫

スーパーリッチ(富裕層)の4つの新しい潮流、すなわち、激増するミリオネア、最も影響力があるチャイナ・リッチ、若く勢いのあるウーマン・リッチ、そして新しい価値観を持つミレニアル・リッチについて、

『スーパーリッチ――世界を支配する新勢力』
 (太田 康夫:ちくま新書 1524) …2020年10月25日 第2刷発行

より、後半の2つについて今回見ていく。女性ビリオネアは2010年の89人から2020年は244人(フォーブスのデータ)と10年で2.5倍、自分で稼いで上り詰めたセルフ・メイド(自作)、そして多いのが富豪の相続をした人。アジアでは前者が半分以上と多い特徴とのこと。そして、富裕層という視点で見ると、圧倒的な勢力の戦後生まれのbaby boomers世代に対し、1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代であるミレニアル世代において、他の世代とは異なる消費行動やライフスタイル、価値観などを持ったミレニアル・リッチが台頭している。GAFAはじめネット、IT長者が主流であり、世界の富裕層ワールドも様変わりする可能性が指摘されている。


第二章 スーパーリッチ(富裕層)の新潮流 …2分の2

(3)若く勢いのあるウーマン・リッチ

◇カイリー・ジェンナーが更新したビル・ゲイツの最年少ビリオネア記録
・フォーブスのビリオネア登録、ひとりの女性が最年少記録を塗り替え
 →2019年に21才で番付に名を連ね、2020年もビリオネアの地位を維持
 →テレビ・タレントでファッションモデル、Kylie Jenner
  →19才の時に化粧品ブランド「カイリー・コスメティクス」を立ち上げ、主にオンラインで化粧品を販売
  →化粧品小売り大手と独占販売契約締結、1000軒を超える店舗で販売されたことで、売上げが激増

・女性のビリオネアをみると、相続で富を築いた人が多い
 →2020年に世界で最も裕福な女性はAlice Walton
  →Walmart創業者の娘:世界で9番目の金持ち
 →Jeffrey Preston Bezosと離婚、事実上の慰謝料としてAmazon株の4%を手にしたMacKenzie Scott Bezos
 →Steve Jobsの妻、いまもAppleの大株主、Laurene Powell Jobs

◇セルフ・メイドでは中国女性が躍進
・相続でなく、自ら稼いで上り詰めた富豪はセルフ・メイド(自作)と呼ばれている
 →中国で目立っている
 →不動産開発の「竜湖集団(Longfor Group)」の董事会(取締役会)主席の呉亜軍(Wu Yajun)
 →タッチパネルなどを手掛ける技術企業、「藍思科技股分有限公司(Lens Technology)」の董事長、周群飛(チョウ・チュンフェイ)
  →スマートフォン拡大の流れに乗り、深セン上場を果たした
・中国の経済運営
 →女性が活躍して、その成果をあげられるという点においては世界でも群を抜いている
 →ビリオネアが少ないうえ、女性は相続で富を得た1人だけという日本とはずいぶん異なっている

・女性の活躍が著しい米国
 →セルフ・メイドのビリオネアトップはDiane Hendricks
  …建築材料卸業「ABC Supply」のオーナー
 →有力企業の女性経営者として著名、Margaret Cushing “Meg” Whitman
  …2011年、HPとサーバを扱うHPEに分割する大改革
・フォーブスによると、女性ビリオネアは2010年の89人から2020年は244人
 →10年で2.5倍
 →地域ではアジアが急増
  →アジアでは女性ビリオネアの半分以上がセルフ・メイドであることが特筆

◇主張を始めた女性富裕層ネットワーク、ウエルシーハー
・増加するリッチ・ウーマンは、自己主張を始めている
 →彼女たちが成功するまでに障害となってきたような男性主体の価値観の変更を求める声を強めている
・2019年3月、「ウエルシーハー・ネットワーク」を立ち上げ
 →富裕層ビジネスが、男性の視点で運営されることに違和感を覚え、お金持ちの世界に女性の目線を入れていくという活動
 →プライベート・バンクに対して、
  「専門用語を使わないで、よりオープンで、近づきやすい対応を取るべきだ」
  「より個人の事情に合わせたサービスが必要だ」
  「業界において女性の役割を高めるべきだ」
  などと提言
 →ウエルシーハー・ネットワークは2020年に、アジアでの活動を始めた
  →アジアでの依然として根強く残っている女性蔑視的な考え方
  →リッチ・ウーマンがどうアジアを変えていくのかに注目

(4)新しい価値観を持つミレニアル・リッチ

◇恵まれない世代―ミレニアル―の台頭、世代交代で団塊世代から相続する巨額資産
・富裕層の世代交代が起きようとしている
 →米国では戦後生まれはbaby boomersと呼ばれる
  …1946年から1964年までに生まれた世代
  →戦後、米国の躍進を牽引
 →次の世代はGeneration X …1965年から1980年生まれ
 →さらに下はGeneration Y …1981年から1995年生まれ →ミレニアル世代とも
・世代の人口構成
 →baby boomers世代が7500万人を上回って推移
 →Generation Xは6600万人程度
 →ミレニアル世代は7500万人を上回る
・富裕層という視点で見ると、baby boomers世代が圧倒的な勢力を形成
 →ミレニアル世代は人口が多いのだが、あまり恵まれた世代だとは認識されていない
  →金融危機やグローバル経済のスローダウン、雇用機会は以前ほど多くなかった

 ◇躍動しはじめたミレニアル富裕層
・GAFAに代表される新しい企業が育ち、関連分野では活発な起業が続いている
 →富裕層の世界でも、ミレニアル世代の台頭は目を見張るもの
 →FacebookのMark Elliot Zuckerbergほかネット長者
・中国ではJihan Wu
 →ビットコインマイニング用の集積回路チップ設計のBitmainを設立した暗号通貨企業家

・今後、baby boomers層から富の移転が始まると見られている
 →ミレニアル・ミリオネアが、現在のbaby boomers層の富を上回る規模の富を握ることに

◇富を動かす新しい価値観――豪華さより環境・体験・多様性
・ミレニアル・ミリオネアへの注目
 →彼らの考え方がbaby boomers層などと大きく異なる
 →リーマン・ショックの直撃を受け、経済的な厳しさを経験
 →小さいころからIT時代
  →パソコンやスマートフォンに接し、SNSを活用
 →まずネットで検索:ネットのインフルエンサーを信用
 →物よりも自らの体験を重視
・世代交代とともに、富裕層の生活や行動様式にも変化の波が訪れるだろう
 →もうひとつ見逃せないのが、中国のミレニアル世代の動向
  →4億人を超える人口を抱え、米国のミレニアル世代の6倍の規模
  →高度成長が続いたため、基本的に好景気のもとで育ってきた
  →一人っ子政策がとられていたため、親がとても大事に育てた
  →共通しているのは、ネット世代である点
  →一人っ子であるだけに、ネットにつながりを求める傾向が強い
  →米国のミレニアル同様に物欲はあまり強くなく、ブランド物への関心も上の世代より低い
 →彼らが中国の富裕層の主流を形成し始めると、世界の富裕層ワールドも様変わりする可能性

◇ミレニアルの環境志向
・ミレニアル世代に共通するのは、地球環境への配慮
 →親の世代が環境を犠牲にしてまで高い成長を追い求めたのに対して、自分たちが大気汚染をはじめ環境破壊の犠牲になっているとの考え方が考え方が根強い
・富裕層の行動でも、環境配慮が目立ち始めている
 →ファッション・ブランドの方でも、グルメの世界でも、環境重視の流れは顕著
  →近年、世界の富裕層を引きつける高級料理界をリードしているのは2003年にコペンハーゲンに開店した「ノーマ」
   →北欧の地産地消的な料理
   →2018年、東京・飯田橋に姉妹店「INUA」を開いた
    →日本の食材をベースに、「ノーマ」のコンセプト
  →富裕層の地球環境問題など世界の潮流への関心が、世界のグルメの在り方にも影響

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