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10月世界半導体販売高、2年ぶり高水準、2021年過去最高の期待

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新型コロナウイルスによる累計感染者数は金曜4日正午前時点、世界全体で6500万人を上回り、1週間前から約415万人増加と変わらない勢いである。米国では死者も急増、西海岸Bay Areaのいくつかのcountiesでは都市封鎖の動きが見られている。米国・Semiconductor Industry Association(SIA)よりこの10月の世界半導体販売高データが発表され、$39.0 billionに達して、前月比3.1%増、前年同月比6.0%増となっており、2018年11月以来の高水準である。本年の世界半導体販売高が、5.1%増の$433.1 billionと予測され、さらに来年、2021年は8.4%増の$469,4 billionと、これまでの最高、2018年の$468.9 billionを僅かながら上回る見方となっている。

≪10月販売高および中期予測≫

米国・SIAからの今回の発表、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇10月のグローバル半導体販売高が前年比6%増;2020年の年間販売高が5.1%増の見通し-業界予測が上方改定、2020年、穏やかな伸び、2021年、より力強い伸び …12月3日付け SIA/Latest News
Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2020年10月の世界半導体販売高が$39.0 billionに達し、前年同月、2019年10月の$36.8 billionに対し6.0%増、前月、2020年9月の$37.9 billionを3.1%上回る、と発表した。
月次販売高の数字はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。加えて、新たにリリースされたWSTS業界予測見通しでは、2020年の年間グローバル販売高が5.1%増、そして2021年で8.4%の増加としている。該両年の見通しは、7月にリリースされた前回のWSTS予測におけるそれを上回っている。SIAは、売上げで米国半導体業界の98%およびnon-U.S.半導体会社の約3分の2を代表している。

「10月のグローバル半導体販売高は、3月以降最大の前年比percentage増加、引き続きpandemicなどマクロ経済要因が引き起こす逆風に対するグローバル半導体市場の弾力性をこれまで示している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「2020年の年間半導体販売高は穏やかな増加の見通し、2021年についていくぶんより大きな伸びが予測されている。」

地域別には、前年同月比では、Americas(14.2%), China(6.3%),およびAsia Pacific/All Other(5.3%)で増加したが、Japan(-1.0%)およびEurope(-4.8%)では減少した。前月比では、すべての地域にわたって、Europe(6.0%), Americas(3.2%), China(2.9%), Asia Pacific/All Other(2.8%), およびJapan(1.6%)と増加した。

Americas
前年同月比  14.2%/
前月比  3.2%
Europe
-4.8%/
6.0%
Japan
-1.0%/
1.6%
China
6.3%/
2.9%
Asia Pacific/All Other
5.3%/
2.8%

【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Oct 2019
Sep 2020
Oct 2020
前年同月比
前月比
========
Americas
7.31
8.09
8.35
14.2
3.2
Europe
3.38
3.03
3.21
-4.8
6.0
Japan
3.15
3.07
3.12
-1.0
1.6
China
13.02
13.45
13.84
6.3
2.9
Asia Pacific/All Other
9.99
10.23
10.52
5.3
2.8
$36.84 B
$37.86 B
$39.03 B
6.0 %
3.1 %

--------------------------------------
市場地域
5- 7月平均
8-10月平均
change
Americas
7.71
8.35
8.2
Europe
2.78
3.21
15.5
Japan
2.98
3.12
4.6
China
12.11
13.84
14.3
Asia Pacific/All Other
9.38
10.52
12.2
$34.96 B
$39.03 B
11.6 %

--------------------------------------

加えて、SIAは本日、WSTS Autumn 2020 Semiconductor Market Forecastを支持、該業界の2020年世界販売高が$433.1 billionで、2019年の販売高総計$412.3 billionから5.1%増と見通している。WSTSは2020年につい市場地域別の販売高増減を次の通り見ている。

 Americas 18.7%
 Asia Pacific 3.8%
 Japan -0.6%
 Europe -8.4%

2021年では、グローバル販売高は8.4%増と見込まれている。2020年7月にリリースされた前回WSTS予測では、2020年の伸びを3.3%、2021年を6.2%と見ていた。WSTSは、グローバル半導体メーカーの広大なグループを招集、年に2回業界予測をまとめて表わしており、半導体の流れの正確でタイムリーな指標となる。

※10月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2020/12/October-2020-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

この発表を受けた業界各紙の反応&取り上げである。

◇Global Semiconductor Sales Up 6% in October (12月3日付け Printed Circuit Design & Fab)

◇Global semiconductor sales increase 6 percent year-to-year in October (12月4日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Global semiconductor sales forecast to rise 5.1% in 2020, jump 8.4% in 2021 (12月4日付け The Edge Markets)

◇Global semiconductor sales grow in October, says SIA (12月4日付け DIGITIMES)

本年そして来年、2021年の年間半導体販売高予測の基になる世界半導体市場統計(WSTS)データについて、以下の通りである。

◇WSTS Semiconductor Market Forecast Autumn 2020-THE WORLDWIDE SEMICONDUCTOR MARKET IS EXPECTED TO INCREASE 5.1 PERCENT IN 2020, ACCELERATING TO 8.4 PERCENT IN 2021 (12月1日付け WSTS)

◇半導体市場、来年最大に、世界48兆円、5G普及が追い風 (12月2日付け 日経)
→半導体市場の回復が鮮明になってきた旨。主要メーカーで構成する業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)は2021年の半導体市場規模が前年比8.4%増の$469.4 billion(約48兆円)と、過去最大になると1日に発表。高速通信規格「5G」の普及や自動車産業の回復が追い風になる旨。
これまでの最高は2018年の$468.7 billionで、WSTSが2020年6月に公表した2021年予想ではこれを下回っていた旨。5Gの普及で、半導体やセンサの需要が高まることなどから、今回、6月時点の予想から$17.1 billion上積みした旨。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やオンライン授業が広がり、パソコンやデータセンター関連の投資も期待できる旨。

◇Global semiconductor market growth to accelerate in 2021, says WSTS (12月4日付け DIGITIMES)

半導体製造装置の7-9月billingsデータも、前年比30%増となっている。

◇Semiconductor equipment billings surge 30% in 3Q20, says SEMI-SEMI: Q3 billings for IC gear up 30% on year to $19.4B (12月3日付け DIGITIMES)
→SEMI発。2020年第三四半期のグローバル半導体装置billingsが$19.4 billion、前四半期比16%増、前年同期比30%増。中国が最大で$5.62 billion、次いで台湾の$4.75 billion。韓国が前年比最大の伸び92%で$4.22 billion。

IC製品カテゴリー別の伸びの状況が、IC Insightsによりあらわされている。

◇DRAM Leads in Revenue, NAND With Top Percentage Growth in 2020 (12月3日付け IC Insights)
→33のIC製品カテゴリーのうち21が2020年にプラスの伸び、pandemic-inducedグローバル経済低迷の間でのIC市場の著しい弾力性を示している旨。

◇Strong rebound and double-digit growth for 2021-IC Insights sees continued growth for DRAMs, NAND flash (12月4日付け Electronics Weekly (UK))

遡って、2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りそこからの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年後半の折角の戻し加減がコロナウイルス・インパクトにより大きく水を差されて、下振れが避けられない情勢の中、今年の1月から7月まで$35 B前後を小幅にキープして踏み止まり、8月は$36 B台に、そして9月には$38 B近く、そして10月は$39 B台に乗せている。
以下の通り、これは2018年11月以来の高水準である。先行き不安定性の中、増勢基調を保てるかどうか、引き続き注目である。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
→史上最高
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %
2019年10月 
$36.59 B
-13.1 %
2.9 %
2019年11月 
$36.65 B
-10.8 %
-0.3 %
2019年12月 
$36.10 B
-5.5 %
-1.7 %
$411.10 B
 
2020年 1月 
$35.39 B
-0.3 %
-2.2 %
2020年 2月 
$34.50 B
5.0 %
-2.4 %
2020年 3月 
$34.85 B
6.9 %
0.9 %
2020年 4月 
$34.43 B
6.1 %
-1.2 %
2020年 5月 
$34.97 B
5.8 %
1.5 %
2020年 6月 
$34.53 B
5.1 %
-0.3 %
2020年 7月 
$35.20 B
4.9 %
2.1 %
2020年 8月 
$36.23 B
4.9 %
3.6 %
2020年 9月 
$37.86 B
5.8 %
4.5 %
2020年10月 
$39.03 B
6.0 %
3.1 %


過去最高の半導体販売高の期待がかかる2021年について、各方面それぞれの予測&事情勘案の好材料が以下示されている。

◇Demand for ICs to stay robust in 2021, say sources-Sources see chip demand staying strong next year (12月2日付け DIGITIMES)
→半導体supply chain筋発。clientsの熱心な在庫準備および米国政府による貿易禁止を前にしたHuaweiの活発な短期発注から、台湾のIC distributorsは2020年これまで力強い売上げとなっており、その勢いは2021年でも続く見込みの旨。

◇Samsung Elec, SK Hynix shares fly on projection of another memory boom in 2021-A memory chip boom in 2021? Samsung, SK Hynix hope so (12月2日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsは来年の世界DRAM市場が15-20%高まると見ている一方、NANDフラッシュメモリ市場は30-35%伸びるとし、SamsungおよびSK Hynixの株価を高める予測の旨。

◇IC design houses eyeing lucrative IC demand from 5G phone sector-Sources: Chip design firms benefit from 5G phone demand (12月3日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のIC design housesが、5Gスマートフォン向け半導体をより多くつくる備え、2021年での該handsets需要増大を期待の旨。
Digitimes Researchは、今年の5Gスマートフォンの世界出荷が楽に200 million台を越えると評価、2020年の上限250 million台としている旨。

◇Qualcomm 5G sales expected to increase two-fold-Qualcomm sees 5G phone shipments doubling in 2021 (12月3日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Qualcomm社の予測。来年の5Gスマートフォンのグローバル出荷が、450 millionから550 million台と今年から倍を上回る伸び、世界中での5Gネットワーク運用増加およびスマートフォン以外での5G技術の採用の広がりが引っ張る旨。


コロナ禍のもと、いっそう収まらない状況推移に対して当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに引き続き行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□12月1日(火)

米中摩擦、双方の応酬が続いている。

◇中国、輸出管理強化の新法、1日施行、米制裁に対抗 (日経 電子版 05:23)
→中国は戦略物資などの輸出管理を強化する輸出管理法を12月1日施行した旨。安全保障などを理由に特定の外国企業への輸出を禁じられるようにする旨。米国を念頭に海外の対中輸出規制への対抗措置と位置づけており、貿易面での報復がエスカレートする危険をはらむ旨。

米国株式市場は、冒頭落ち込みの後、続く4日は上げが続き、過去最高値を上回るところまでいった今週である。

◇NYダウ反落で推移、289ドル安、利益確定の売り優勢 (日経 電子版 05:24)
→30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、15時現在は前週末比289ドル97セント安の2万9620ドル40セントで推移している旨。11月に入り前週末までに13%上げており、月末とあって持ち高調整や利益確定の売りが出ている旨。新型コロナウイルスの感染拡大や米中関係の悪化への懸念も相場の重荷になっている旨。

□12月2日(水)

◇NYダウ、200ドル超高で推移、ワクチン実用化期待の買い (日経 電子版 05:26)
→1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、15時現在、前日比253ドル05セント高の2万9891ドル69セントで推移している旨。新型コロナウイルスのワクチン実用化が近づいているとの期待から、景気敏感株中心に買いが続いている旨。

英国、米国でのワクチン接種が始まろうとしている。

◇英、ファイザーのワクチン承認、7日にも接種へ (日経 電子版 16:25)
→英政府は2日、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスのワクチンの使用を承認したと発表、7日にも医療機関などで接種を始める予定。米国も中旬にも接種が始まる見通しで、パンデミック(世界的大流行)収束に向けた期待が欧米で高まっている旨。

□12月3日(木)

◇NYダウ続伸で推移、ワクチン普及や経済対策に期待 (日経 電子版 06:29)
→2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、15時現在、前日比59ドル44セント高の2万9883ドル36セントで推移している旨。英政府は2日、米ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスワクチンの使用を承認したと発表、ワクチン実用化が世界経済の正常化を後押しするとの見方が強まり、景気敏感株が買われている旨。

□12月4日(金)

◇NYダウ続伸で推移、3万ドル回復、追加経済対策に期待 (日経 電子版 05:17)
→3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸、15時現在は前日比168ドル23セント高の3万0052ドル02セントと11月24日に付けた過去最高値(3万0046ドル24セント)を上回っている旨。追加経済対策の早期成立への期待から買いが優勢となった旨。ただ、足元で感染者数や死者数の増加が続く新型コロナウイルスを巡る警戒感も強く、上値はやや重い旨。

シリコンバレーでは、感染急拡大からロックダウンの動きである。

◇BREAKING NEWS: Bay Area counties to lockdown again because of Covid-19 (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa Clara CountyなどBay Areaのいくつかのcountiesが、Covid-19感染急拡大から都市封鎖の旨。

□12月5日(土)

◇NYダウ続伸、最高値上回って推移、経済対策に期待 (日経 電子版 05:31)
→4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日続伸、15時現在、前日比202ドル41セント高の3万0171ドル93セントと、11月24日に付けた過去最高値(3万0046ドル24セント)を上回って推移している旨。朝方発表の11月の米雇用統計が市場予想を下回った旨。雇用回復にブレーキがかかりつつあることから、追加の経済対策の必要性が増したとの思惑が広がり、早期成立への期待が強まった旨。

◇コロナ感染、世界で再加速、米国で死者も急増 (日経 電子版 07:43)
→新型コロナウイルスの感染が世界で再び加速してきた旨。1日あたりの新規感染は60万人超と過去最多を更新。特に米国では感謝祭の休日後の感染増が目立ち、死者も増えてきた旨。気温低下とともに感染が増える傾向が強まっており、各国当局は警戒を強めている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

Huaweiの5G装置を排除していく英国の対応、現時点である。

◇UK bans installation of Huawei 5G equipment from September-UK bans Huawei 5G network gear from September 2021 (11月30日付け CNBC)
→英国は7月、carriersが年末までにHuawei 5G装置の購入を止め、該kitを2027年までにインフラから除去するよう命じている旨。Huaweiを段階的に除去するロードマップが敷かれており、1つのkey尺度が2021年9月からのHuaweiの5G装置据えつけ禁止である旨。英国lawmakersは月曜30日、議会での第二読会で新しいTelecommunications Security Billを審議の旨。

米国政権が、中国・SMICを防衛関連ブラックリストに加えようとしている。

◇SMIC to be banned from buying US equipment-US to bar SMIC from buying American IC gear (11月30日付け Electronics Weekly (UK))
→Trump政権が、中国最大の半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が中国軍を重要顧客としているとして、同社に対し半導体装置の米国サプライヤからの購入を禁ずるよう動いている旨。SMICはその告発を否定、同社は"中国軍とは関係がなく、軍事用の末端ユーザあるいは末端用途に向けて製造していない"、というステートメントをReutersに出している旨。

◇The Trump administration will add SMIC, China's largest chipmaker, to its defense blacklist: report (11月30日付け TechCrunch)

◇SMIC, CNOOC headed for US list (12月1日付け Taipei Times)
→documentおよび複数筋発。米国Donald Trump大統領の政権が、中国の軍事会社とするブラックリストに中国のトップ半導体メーカー、Semiconductor Manufacturing International Corp(SMIC, 中芯國際)および石油&ガス生産のChina National Offshore Oil Corp(CNOOC, 中國海洋石油)を加える運び、次期大統領、Joe Biden氏就任前に米国投資家へのアクセスを抑制、北京との摩擦を激化の旨。

東南アジアでの市場開拓で存続を図るHuaweiである。

◇ファーウェイ、東南アジアに望み、事業存続探る (12月2日付け 日経 電子版 05:20)
→中国の華為技術(ファーウェイ)が東南アジアへの働きかけを強めている旨。高速通信規格「5G」に関連しインドネシア政府と協力することで合意した旨。欧米で排除の動きが強まるなか、経済面では米中と「等距離」を保つ国が多い東南アジア市場を取り込むことが事業存続の条件になりそう。

米国に対抗する中国の輸出管理強化リスト第1弾に、半導体が挙げられている。

◇中国輸出、暗号技術や半導体を許可制に、リスト第1弾 (12月3日付け 日経 電子版 05:07)
→中国の商務省や税関総署は2日、電力や金融などの実務でセキュリティーを守るために使う暗号技術の輸出を許可制にすると発表、データ漏洩を防ぐ半導体も含む旨。1日に施行した戦略物資やハイテク技術の輸出管理を強める新法に基づく許可品目リストの第1弾。中国が6割強の生産シェアを握るレアアース(希土類)は含まれていない旨。

Kioxiaが、Huawei向け輸出許可の承認を以下の通り米国政府から得ている。

◇キオクシアがファーウェイへの輸出許可取得、サーバ向け汎用品 (12月4日付け 日経)
→半導体メモリ大手のキオクシア(旧東芝メモリ)が中国の華為技術(ファーウェイ)に対する半導体の輸出許可を一部の製品で取得したことが分かった旨。データセンターのサーバなどに使われる汎用品が中心とみられる旨。キオクシアはファーウェイ向け製品の出荷停止を理由に、10月の上場を延期した旨。一部の製品でも出荷が再開されれば、上場に向けた追い風となる旨。

◇Japan's Kioxia gets US go-ahead to supply server chips to Huawei-Report: US allows Kioxia to ship server chips to Huawei-Exclusive: License to bypass ban brightens outlook for delayed IPO (12月4日付け Nikkei Asian Review (Japan))

【Qualcommの最新5Gチップセット】

Qualcommのイベント、Snapdragon Tech Summitにて、来年のhigh-end Android phonesのベースとなるSnapdragon 888チップセットがプレゼンされている。グラフィックスおよびArtificial Intelligence(AI) capabilitiesが大きく改善されているとのこと。

◇Qualcomm Teases Its Latest 5G Chipset - The Snapdragon 888 (12月1日付け EE Times)
→QualcommのSnapdragon Tech Summitが火曜1日朝開幕、これまでは5Gの有望性についてであったが、今回は5Gの進展および同社のpremium 5Gスマートフォン向け最新モバイルSoC、Snapdragon 888への簡潔な紹介に重点の旨。

◇Qualcomm's new Snapdragon 888 processor will power the Android flagships of 2021-Qualcomm offers first view of Snapdragon 888 -A first look at the chipset that will power 2021's best Android phones (12月1日付け The Verge)
→Qualcommが、Snapdragon 888チップセットを披露、来年のhigh-end Android phonesのベースとなる旨。同社X60 5G modemがフルに統合され、該graphics processing unit(GPU)は前モデルでのそれより35%上回る性能の旨。

◇Qualcomm unveils the Snapdragon 888 5G, its next smartphone processor-Qualcomm promises significantly improved graphics and AI capabilities in the new chip. (12月1日付け PCWorld)

◇Snapdragon Ups Ante in Photography, Mobile Gaming (12月2日付け EE Times)
→Qualcomm Snapdragon Tech Summitの2日目、Snapdragon 888の詳細が示され、Qualcommは、3つのkey領域、カメラ, gaming, およびAIの改善に向けてSnapdragon 888の技術強化の重点化の旨。

【最先端半導体関連の動き】

Intel、SamsungおよびTSMCに注目。まずは、TSMCの3-nm対応について。優位性が随所謳われている。

◇TSMC confirms 3nm tech for 2022, could enable epic 80 billion transistor GPUs-TSMC sets 2022 for debut of 3nm chip volume production (11月26日付け PC Gamer)
→中国のハイテクsite、ItHome(中国語)発。TSMCが、3nm生産nodeについて2022年後半にフル量産の運びを確認、該3nm nodeは、シリコンmm2あたり250 million個を上回るトランジスタを収める、と見なし、Intelの最新10nm nodeより少なくとも2.5倍高密度となる旨。理論的には、TSMCの3nm技術によりAMDの新しいRadeon RX 6000 Series半導体より3倍複雑なGPUが可能になる旨。

線幅最先端では後れるものの、多彩な先端アプローチが、Intelから繰り広げられている。

◇Intel Looks Ahead to Stacked Nano-Ribbon Transistors, Anti-Ferroelectric E-DRAM at IEDM (11月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Covid-19で今年のIEDMは、12月5日から18日にわたってvirtual開催、advanceプログラムに目を通して止まったInteからの論文、1つはcomplementary stacked nanoribbonトランジスタ、もう1つはanti-ferroelectric(AFE) capacitorsを用いるembedded DRAMの詳説。

Intelが専ら引っ張る3D XPoint技術では、元々の連携相手、Micronはじめ競争相手があらわれ来る様相である。

◇Intel's 3D XPoint dominance will face challenge from Micron-Micron, others to challenge Intel's 3D XPoint dominance -Intel's Optane memory and storage products have no competition now, but that will change as Micron and potentially other vendors ramp up production in the future. (11月30日付け TechTarget)
→Flash Memory Summit(2020年11月10-12日:virtual)でのパネル討議にて、MKW Venturesのpresident、Mark Webb氏。Micron Technologyなどメモリ半導体ベンダーが、IntelおよびMicronが共同で開発した3D XPoint技術を用いるIntelのOptane製品に向けた競合の不足を変えようとしている旨。Samsung Electronics, SK HynixおよびWestern Digitalが、Optaneラインの競争相手としてあらわれる可能性、と予想の旨。

Intelはそれでも5-nm、3-nmと取り組んでいく、と同社CEOのコメントである。

◇Despite 7nm Struggle, Intel to Keep Investing in 5nm, 3nm Chip Technologies-Intel to develop 5nm/3nm processes, struggles with 7nm-Intel CEO Bob Swan says the company will remain an integrated devices manufacturer, even as it mulls whether to outsource its 7nm chip production to a third-party foundry. (12月2日付け PC Magazine)
→IntelのCEO、Bob Swan氏が投資家に対し、同社の7-nanometerプロセス技術での問題で、5nmおよび3nmプロセスの開発開始を思いとどまることはない旨。「我々は力強い製品lineupを得ているが、2023年では我々の顧客に向けて確実に届けられるようにしたい。」と同氏。

Intelの量子computing制御用半導体の取り組みが以下の通り、これも業界を引っ張るアプローチである。

◇Intel builds second-gen Horse Ridge chip for quantum computing control (12月3日付け FierceElectronics)
→Intelが木曜3日のIntel Labs virtualイベントにて、低温量子computers制御用の第2世代Horse Ridge半導体を披露、該半導体によりIntelは向こう10年以内にやってくる商用応用に向けた大型システムを漸次構築していく旨。当初のHorse Ridgeコントローラ半導体は、2019年に投入の旨。

◇Intel upgrades quantum computer ambitions with new control chip-Intel develops a control chip for quantum computers-The chipmaker argues that its Horse Ridge 2 processor will make quantum computers practical and help the company leapfrog competitors (12月3日付け CNET)
→Intelが、量子computers制御用、Horse Ridge 2プロセッサを投入、業界の量子computing技術に向けた大志についていく旨。

いろいろ入り混じる中、Intelでは次世代プロセッサ生産のTSMCへの委託が行われようとしている。

◇Intel to Outsource 'Atom & Xeon Based SoCs' to TSMC-TSMC to produce next-generation Atom & Xeon SoCs for Intel (12月3日付け Tom's Hardware)
→Intelが、次世代AtomおよびXeonプロセッサの生産をTSMCに委託、同社の製造practicesにおける大きな変更の旨。

最後にSamsung。TSMCとの競い合いが実装技術にも及んでいる。

◇Diversifying Packaging Services:Samsung Electronics Squaring Off with TSMC in Packaging Technology-Samsung competes with TSMC in advanced packaging tech (11月30日付け BusinessKorea magazine online)
→世界のトップファウンドリープレイヤー、TSMCとSamsung Electronicsの間の競合が、micro-fabricationプロセスから実装技術に拡がっている旨。

Samsungの最先端256層V-NANDフラッシュメモリへのアプローチである。

◇Samsung says 256-layer V-NAND memory possible with double-stack technology (12月1日付け Yonhap News Agency)
→業界officials、火曜1日発。Samsung Electronics Co.が、double-stack技術を用いて次世代V-NANDフラッシュメモリの開発を計画、世界最大のメモリ半導体メーカーが該分野を引っ張る位置づけをさらに固めようとしている旨。

【Amazon関連】

Appleに続いてAmazonが自前の半導体に移行する様相が、あらわれてきている。

◇Amazon and Apple are powering a shift away from Intel's chips (12月1日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelの半導体技術が長らく大方のパソコンおよびより大きなサーバシステムを支配しているが、その席巻が、Intelの技術への依存を落としているAppleおよびAmazonにより挑戦を受けている旨。

◇Amazon's cloud unit taps own chips for new supercomputing offering-AWS uses custom IC designs for supercomputing (12月1日付け Reuters)
→Amazon Web Services(AWS)が、Arm cores搭載設計のcustom半導体を用いるsupercomputing offeringを開始、該市場分野に向けてIntelおよびAdvanced Micro Devices(AMD)と競っていく旨。「コストを減らすことができ、スーパーコンピュータはもはや必要ない。」と、AWSのvice president of Elastic Compute Cloud、Dave Brown氏。

Intel傘下のHabana Labsのartificial intelligence(AI) trainingプロセッサにAmazon Web Services(AWS)が出資する取引、Nvidiaの席巻に対抗する動きである。

◇Intel's Habana starts to chip away at Nvidia in cloud with AWS deal-Intel unit makes progress against Nvidia in cloud chips (12月2日付け Reuters)
→Intelが1年前に約$2 billionで買収したHabana Labsが、Amazon Web ServicesにGaudi artificial intelligence(AI) trainingプロセッサを供給する取引を締結、Amazon Elastic Compute Cloud instances for machine learning(ML) workloadsで用いる旨。Nvidiaがcloud computingサービスプロバイダーが用いる該半導体市場を席巻しているが、Habanaのchief business officer、Eitan Medina氏は、この取引は競合の高まりが該市場にやってきていることを示すとしている旨。

◇AWS Invests in Habana AI Training Chips -The cloud giant is rolling out Habana Gaudi processors, and developing its own specialised AI training chips (12月3日付け EE Times)

【M&A関連】

シリコンウェーハ業界でのM&A。台湾・GlobalWafersがドイツ・Siltronicを買収、以下の通り進められている。

◇Siltronic shares up 10% on takeover talks with GlobalWafers-GlobalWafers is in acquisition talks with Siltronic (11月30日付け Reuters)
→GlobalWafers(台湾)が、ドイツのシリコンウェーハサプライヤ、Siltronicの約$4.5 billion相当取引での買収を提示、この組み合わせ提案により、GlobalWafersの世界ウェーハ市場シェアは18%から25%に高まって、日本のShin-Etsu Chemical Co.およびSumco社に次ぐウェーハ市場シェアとなる旨。

◇GlobalWafers in advanced talks to acquire German company Siltronic (11月30日付け Focus Taiwan/Central News Agency)

◇ウエハー4位独社を買収、3位の台湾グローバルウェーハズ、最終調整 (12月1日付け 日経)
→シリコンウエハー世界3位の環球晶円(グローバルウェーハズ)は30日、競合する同4位の独シルトロニックを買収することで最終調整に入ったと発表、買収額は約45億ドル(約4700億円)になる見込み。SUMCOを抜き、世界首位の信越化学工業に次ぐ世界2位のメーカーに躍り出る旨。
グローバルウェーハズの経営トップである徐秀蘭董事長は30日、電話会見し「両社は来週、正式に合意する」と語った旨。

Nordic Semiconductor(ノルウェー)が、Imagination Technologies(英国)のEnsigma Wi-Fi IPを買収している。

◇Nordic Semiconductor expands into Wi-Fi by acquiring Imagination's Wi-Fi development team and IP-Nordic Semi buys Imagination's Wi-Fi IP, adds its team (11月30日付け New Electronics)
→Nordic Semiconductor(ノルウェー)が、Imagination Technologies Ensigma Wi-Fi開発チームおよび関連Ensigma Wi-Fi IP全体を買収、Wi-Fiへの社内ワイヤレス技術expertiseを拡大の旨。

◇Imagination Sells Ensigma Wi-Fi Assets to Nordic-Imagination Technologies has sold its Ensigma Wi-Fi development operations and Wi-Fi intellectual property (IP) technology assets to Nordic Semiconductor (12月3日付け EE Times India)

Microsoft対抗の米国での動き、SalesforceのSlack買収、以下の概要である。

◇Salesforce to Acquire Slack for $27.7 Billion-Slack to be bought by Salesforce for $27.7B -The move caps an acquisitive streak by Salesforce and ends Slack's run as an independent publicly traded company. (12月1日付け The New York Times)

◇Salesforce、Slackを2.9兆円で買収、Microsoftに対抗 (12月2日付け 日経 電子版 08:53)
→企業向けソフトウエア大手の米セールスフォース・ドットコムは1日、ビジネスチャットを手掛ける米スラック・テクノロジーズを買収すると発表、買収額は277億ドル(約2兆8900億円)。世界で14万社が利用しているスラックとの連携を深め、企業向けのサービスを幅広く手掛ける米マイクロソフトに対抗する旨。

最後に、XilinxのFalcon Computing買収である。

◇Xilinx acquires Falcon Computing Solutions-Xilinx buys Falcon Computing for HLS compilers (12月2日付け New Electronics)
→Xilinxが、ソフトウェア応用のハードウェア加速に向けたhigh-level synthesis(HLS) compiler最適化技術のprivately-heldプロバイダー、Falcon Computing Solutionsを買収の旨。


≪グローバル雑学王−648≫

シリコンバレーでの2010年代の金儲け、ビジネスの変遷史を、

『シリコンバレーの金儲け』
 (海部 美知:講談社+α新書 831-1 C) …2020年7月20日 第1刷発行

より辿っていく後半である。2014年、スマートスピーカー、IoT(Internet of Things)機器の登場、そして自動運転と、いろいろなブームが到来、2014〜2015年は「ベンチャー百花繚乱」の時期とあらわされている。
半導体業界で見ても、2014年はIoTはじめ新市場への期待、2015年は吹きまくるM&Aの嵐と締めのあらわし方である。ただこの後半でも2017年からは従来のVCより1桁〜2桁大きい規模のファンドが登場、「メガディール」と「ユニコーン」が幅を利かせてくる。身に余る巨額の資金を手にしたプレイヤーの破綻事例が相次いで、「適切な資金規模」があるとの下りがある。渦巻く欲望、思いの中で、度を越して出っ張ると、是正が働く、ビジネスの世界の必然の習わしを感じるところである。


第2部 シリコンバレー型金儲けの仕組み

第6章 シリコンバレー2010年代史 …後半…

◆AIのブレイクスルー「深層学習革命」
・AI(人工知能:Artificial Intelligence)
 →この言葉が出てきた1950年代には、いまのコンピュータそのものがAI
・広義のAI技術の一部として、「機械学習(Machine Learning)」と呼ばれる手法
 →たくさんのデータを投入してコンピュータに自動的に学習させるという技術
・さらにその一部として、「深層学習(Deep Learning)」
 →人間の神経のはたらきを模したニューラル・ネットワークを複数の層に重ねて使うもの
・ブレイクスルーの年となった2012年
 →深層学習を使った画像解析で、多数の研究者の論文が同時多発的に数多く出された
 →背景には、「写真データ」の蓄積
  …2006年頃から解析技術を競うコンテストが何度か開催
・ゲームのグラフィックのために作られた高速チップ、GPU(Graphics Processing Unit)を使うようになったことも、技術的な背景に
・一般人の目にもわかる実際のモノとなって出現、AIが流行語となり始めたのが2014年頃のこと
 →1950年代からのAIの歴史上、過去2回「AIの冬」と呼ばれる時期
 →2014〜2015年頃「AIが人間の知能を追い越して暴走を始める、シンギュラリティと呼ばれる通過点がまもなくやってくる」という意見を複数の有名人が発言
・2014年、アマゾンがスマートスピーカー「Echo」を発売
 →本体は「Alexa」というボイスアシスタント
 →「音声認識」と「自然言語解析」の技術の塊
・もう1つのAIの大きな成果が「自動運転」
 →「画像認識」の技術が不可欠、深層学習の技術ブレイクスルーにより実現に大きく前進
・実はAIはまだまだ高コスト
 →「リアルなモノ」への応用では。まだまだ手探りの段階
 →応用先として単価の高い自動車や「医療」が突破口

◆2014〜2015年、いろいろなブームが到来
・2014年、種々の「家電」が直接クラウドと無線でつながり、送信したデータをクラウドで解析し、その結果をまた無線で返して自動的に家電を操作する、方式に注目
 →「IoT(モノのインターネット:Internet of Things)」
・自動サーモスタットのベンチャー、NEST Labsが2014年1月にGoogleに買収された
 →家に人がいるかどうかなどの環境をセンサで感知して、自動的に温度を調節
・2013年には同じくGoogleが、犬型ロボットで知られるBoston Dynamicsなど、複数のロボットのベンチャーを立て続けに買収
・2015年には、アマゾンも参入、あらゆる個人のサービスをアマゾンのウェブサイト上で販売する「Amazon Home Services」を開始
・アメリカの金利は、2011年秋ごろに底を打ち、その後しばらく低金利が続いた
 →VCの資金源である機関投資家は、高リスクだが高リターンの望めるVCにお金を振り向けるように
 →年金基金では「カネ余り現象」
・多くの分野の新しいベンチャーに資金が流入
 →2014〜2015年は「ベンチャー百花繚乱」の時期に
・その一方、GAFAによる支配が深く静かに進行する時期でも
・シリコンバレーではそれまでいつも「仮想敵」の存在、厳しい評価をされがちだったマイクロソフト
 →2014年にSatya NadellaがCEOとなって「クラウド戦略」へと大きく舵切り
 →劇的に変化し、いまや大いにリスペクトされるように
・クラウドサービスの原点ともいえる老舗企業、salesforce.com, Inc.
 →ここ数年、ベンチャーキャピタルやテック企業でのセクハラ、所得格差拡大、データのプライバシー問題など、シリコンバレー大手に対する社会の目が厳しくなっている中、相対的に企業イメージの向上に成功

◆2017年のソフトバンク・ビジョン・ファンド登場
・2015年に入って徐々に金利が上がり始め、ベンチャー資金市場に不安が広がり始めた
 →オンデマンド系サービスはもともと収益性が疑問視されていた分野でもあり、一部の勝ち残り組を除いて淘汰が始まった
・2017年は前年よりも投資額が増加
 →資金の出し手と受け手の変化の最も象徴的な存在
  →ソフトバンクグループとその傘下の投資ファンド、ソフトバンク・ビジョン・ファンド
   →サウジアラビアの政府系ファンドからの巨額の資金提供など、資金量1000億ドル規模の巨大ファンド
・2017年、従来の典型的なVC投資よりも1桁〜2桁大きい額の投資活動が始動、VC業界に衝撃
 →レイトステージに至った企業に、まとまった設備投資や開発の先行投資、世界展開のための営業活動など向けに、規模の大きい投資
 →「独り勝ち」体制に持っていき、利益を出せるようにして上場すること
・この頃、投資家だけではなく、突然巨額のカネを手にしたベンチャー創業者がやりたい放題になり墓穴を掘る事例
 →資金の大型化の流れもテック業界のバブル風潮も、止まることなくまだまだ続く

◆メガディールとユニコーンの跋扈
・大企業による投資ディール
 →VCが分散投資するスタイルと異なり、自社の戦略に適合するものに投資
 →1社に大きな額をどんと入れることも
・2017年には「1件あたりの金額が増大」という状況となり、その傾向は2018年にさらに強まった
 →情報公開の義務が厳しくなったため、一般的にベンチャーはなるべく上場を後に延ばす傾向に
 →上場するのとあまり変わらない規模の資金が入手できる別の方法ができたので、従来と比べはるかに大きくなるまで上場しないという傾向が強まった
・「IT・ソフトウェア技術が、パソコンとスマホの中だけでなく、リアルな世界に広がる」動きがさらに強まっている
 →アーリーステージのベンチャーまでも、それに引っ張られて調達資金額が大型化
・こうした資金背景の中、「ユニコーン(一角獣)」がベンチャー界隈を跋扈するように
 …企業評価額が10億ドル(約1000億円)を超える大物ベンチャー。「実在しない空想上の動物」
 →2015年1月に82社だった世界のユニコーンは、2020年4月現在で400社にまで
 →日本でも、メルカリが2017年にユニコーンに仲間入り
・2020年4月現在で世界最大のユニコーンは、TikTokを提供する中国のバイトダンス(ByteDance)社
 →評価額780億ドル

◆2019年の上場ラッシュの明暗
・2019年3月、Uberのライバル、Lyftが上場
 →いまだに黒字化できておらず財政的にはまだまだ不安定、ずるずると株価は低迷
 →5月にいよいよUberが上場
 →Uberの場合もLyftと同様に、この先長いこと利益が出そうにない事業体質であることが基本としてある
 →2020年6月現在まで、Uberの株価は一度も上場価格45ドルに戻っていない。Lyftも同様
・ドットコム・バブルの初期のように、上場が成功してますます株式市場が盛り上がる、という状況にはならず、企業により明暗
 →本来の姿ではある

◆ウィーワーク事件の衝撃
・2019年後半テック業界震撼、WeWork株式上場(IPO)中止の事件
 …「コワーキングスペース」という種類の共同オフィスを運営
 →噴出したいろいろな問題点は、現在のシリコンバレーの「影」の部分のカタログと言えるほど
・当時は流行りの「ケチケチ」商売の1つ
 →そのままコツコツとやっていけばよかったのだが、途中から急にVCや機関投資家のお金が集まるようになり、「カッコイイ商売」に
 →2019年8月、いよいよ株式を上場しようということで、S-1という形式の情報開示書類を当局に提出、それが公開された
 →巨額の赤字を出し続け、今後も利益を出す見通しが薄く、企業の構成が複雑
 →ガバナンスの問題が投資家の反発に
 →1ヶ月半で急転直下、CEO辞任、上場中止、リストラという事態に
・私(著者)は、もしWeWorkの調達資金がもう1桁ぐらい小さい、平常の規模で収まっていれば、こんなことにはならなかったのではないかと思っている
 →ベンチャーにも「適切な資金規模」がある
・その後2019年後半の大型の投資先
 →自動車関係、業務ソフトウェア、バイオ・医療など、「通常」の優良と見られるベンチャーが主流という、「平常運転」ペースへ

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