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引き続く感染拡大:米国制裁実施を控えた米中双方の関連する動き

新型コロナウイルスによる累計感染者数は土曜15日お昼時点、世界全体で2100万人を超え、勢いが衰えず中南米が最も多く、北米が続いている。また、アジアは8月11日以降、欧州を上回っている。Huaweiなどに対する米国のさらなる制裁措置の実施が8月13日からということで、中国はもちろん米国の半導体関連各社でも影響を受ける可能性から様々な波紋の動きが見られてきている。当のHuaweiは、米国の技術を用いる半導体製造委託から最先端Kirinモバイルプロセッサの生産を9月半ばに止める、としている。米国半導体各社は、中国での販売を制限していく一方、むしろ拡大も政府に働きかける錯綜した動きとなっている。開催予定の米中協議に注目の現時点である。

≪Huaweiのモバイルプロセッサ生産中止などの波紋≫

コロナ禍で米中摩擦への注目が削がれがちなところがあるが、ここ数ヶ月の動きからの以下抽出である。

◇U.S. Targets Huawei's Chip Supply (5月15日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→米国・商務省の一機関、Bureau of Industry and Security(BIS:産業安全保障局)が、Huaweiの半導体の海外での設計&製造に向けた米国の技術&ソフトウェア使用を制限する計画を発表、米国の輸出管理を害するHuaweiの活動を遮断するよう目論まれた動きの旨。

◇U.S. moves to cut Huawei off from global chip suppliers as China eyes retaliation (5月15日付け Reuters)

◇米の対ファーウェイ制裁「抜け穴」封じ、ハイテク圧力強化 (5月16日付け 日経 電子版 05:32)
→トランプ米政権が中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する制裁強化に乗り出した旨。ファーウェイが仕様を指示した外国製の半導体について規制を課し、2019年5月に発動した事実上の禁輸措置の「抜け穴」をふさぐ旨。ただ外国企業の事業にも大きな影響を及ぼす副作用も大きい旨。米中のハイテク覇権争いに他国が巻き込まれる構図が鮮明となっている旨。

Huaweiへのさらなる引き締め実施が8月からとなっている。

◇米、ファーウェイ禁輸の例外措置、8月にも廃止 (5月16日付け 日経 電子版 10:08)
→米商務省は15日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を巡り、一部の取引を容認する例外措置を廃止する可能性があると発表、通信網の保守に必要な場合に限って米国製品の輸出を認めてきたが、8月にも打ち切る旨。5月15日に同時発表した制裁強化に加え、例外措置もなくなれば禁輸の影響は一段と大きくなる旨。

◇米政府、中国5社製品使う企業の取引排除、8月から (7月17日付け 日経 電子版 05:26)
→米政府は8月、華為技術(ファーウェイ)など中国企業5社の製品を使う企業が米政府と取引することを禁じる法律を施行する旨。対象の日本企業は800社を超え、該当する中国製品の排除が必要となる旨。米中対立の激化で、世界のハイテク市場の分断が加速する旨。中国製品への依存を強めていた日本企業の調達戦略も修正を迫られる旨。
7月14日付の官報で「国防権限法」を8月13日から実施するための暫定規則を掲載した旨。対象5社は通信機器のファーウェイと中興通訊(ZTE)、監視カメラの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、浙江大華技術(ダーファ・テクノロジー)、無線通信機大手の海能達通信(ハイテラ)。

米中貿易協議の「第1段階合意」も、耳懐かしくなる感じ方があるが、現下の8月15日にビデオ会議開催とのこと。期限にきている上記の制裁措置の発動が取り上げられるかどうかがある。

◇米中、15日に「第1段階合意」巡り貿易協議、米紙報道 (8月5日付け 日経 電子版 10:43)
→米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は4日、米中両政府が貿易交渉の「第1段階の合意」を巡り、閣僚級で15日に協議すると報じた旨。米国産品の購入拡大という約束を中国が履行しているか検証する旨。
同紙によると、交渉責任者を務める米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と劉鶴(リュウ・ハァ)副首相がビデオ会議する旨。閣僚級協議を開けば、5月上旬以来となる旨。

米国側の現状として、中国への販売許可を政府に働きかける一方、中国での販売を抑えていく動きが見られる半導体各社である。

◇Qualcomm lobbies U.S. to sell chips for Huawei 5G phones: WSJ (8月8日付け Reuters)
→Qualcommによるプレゼンを引用、Wall Street Journal発。Qualcommが、5G phonesに向けたHuaweiへの半導体の販売について米国政府からの許可を求めている旨。

◇Major US semiconductor firms tighten sales channels in China-Big US chip companies restrict sales in China (8月11日付け Global Times (China))
→Micron Technology, Texas Instrumentsなど米国半導体サプライヤ大手が、米国政府による輸出管理に合わせて、中国における製品販売を制限している旨。「年半ば中国本土でTexas Instrumentsのagentsを見つけるのが難しくなっている。」と、Shenzhen Yudamei Electronic Ltdのhead、Sun Zhenxiang氏。

米国での半導体製造についての議論が続いている。

◇CHIPS Act Targets Post-Globalized Industry-CHIPS Act recognizes the post-globalization world (8月12日付け EE Times)
→1.ここ米国で高度なintegrated circuits(ICs)を製造することは、もはや単にそうであれば幸いの考えではなく、弾みをつけてきている旨。
 2.米国でのさらなるmicrochip生産を奨励する意味合いのCreating Helpful Incentives for Producing Semiconductors in America Act(CHIPS Act)は、近年post-globalization経済たるものに基づいている旨。「ここでの重点はアメリカの1社をチャンピオンにすることではなく、TSMCが敵に売らないことを確実にすることにある。」と、Center for Strategic and International Studies(CSIS)のJames Lewis氏。

中国のアプリ禁止の動きも、Appleはじめ懸念を引き起こしている。

◇Corporate America Worries WeChat Ban Could Be Bad for Business -US companies raise concerns about Trump's WeChat moves (8月13日付け The Wall Street Journal)
→Apple, DisneyおよびWalmartなどの各社が、中国の最も重要なアプリに反対する動きを巡ってWhite Houseとの会議に参加の旨。

一方の中国側であるが、米国の技術を用いる半導体製造への委託はまかりならぬと米国の圧力を受けて、HuaweiがTSMCでつくっている最先端のKirinモバイルプロセッサの生産を9月半ばに中止する、と以下関連の動きである。

◇Huawei: Smartphone chips running out under US sanctions (8月8日付け Reuters)
→Huawei社内のエンジニアが設計したKirin半導体の生産は、米国の製造技術を必要とするcontractorsによる製造ということで、9月15日に中止する、と同社consumer unitのpresident、Richard Yu氏。同氏は、Huaweiは自前の半導体を製造する能力がない、としている旨。

◇Huawei to end production of leading edge mobile chipsets-Report: Huawei to discontinue Kirin mobile chipsets (8月10日付け Electronics Weekly (UK))
→中国国有news site、Caixin Global発。Huawei Technologiesが、米国のHuaweiとのビジネス遂行についての制限から、9月に同社top-of-the-rangeのKirinモバイルプロセッサの生産を止める旨。

◇Huawei to stop smartphone chip production due to US sanctions (8月10日付け Shine)

◇Huawei running out of phone chips-‘BIG LOSS’: This year might see the last generation of Huawei's Kirin chips, as their production would stop next month because they are made using US technology (8月10日付け Taipei Times)

米国の圧力を受けても、中国は5Gで盛り返せるとの見方である。

◇Beijing May Score Its Biggest 5G Win at Home (8月10日付け Bloomberg Opinion)
→米国がHuaweiを海外で鈍らせても、中国国内の5Gネットワークスが今後の工場についてカギとなる可能性の旨。

とはいっても、中国の半導体自己充足は多難との見方もあらわされている。

◇China's push to boost local chip industry could backfire by creating excess capacity (8月10日付け South China Morning Post)
→中国は、米国との長期的な経済、科学技術および地政学の敵対に備えて、自己充足を図っている旨。しかし、electrical vehicles(EVs)など7つのkey産業を伸ばすよう10年前に採用された同様の計画は、まったくうまくいかなかった旨。

当面の中国の国内ファウンドリー推進対応である。

◇China to push for foundry process advancements-DigiTimes Research: China supports domestic foundry growth (8月11日付け DIGITIMES Research)
→Digitimes Research発。中国政府が第14期5ヶ年計画(2021-2025)において、7-nanometerおよびfully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)プロセス技術の開発で国内ファウンドリーを助ける旨。中国最大のファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が、7nm, sub-7nmおよびextreme ultraviolet(EUV) lithographyプロセス技術を引っ張っていく見込みの旨。

TSMCからの半導体人材引き抜きについてである。

◇China hires over 100 TSMC engineers in push for chip leadership-Emerging chipmakers offer lavish pay packages to snap up talent (8月12日付け Nikkei Asian Review)
→複数の筋がNikkei Asian Reviewに語ったこと。2つの中国政府支援半導体プロジェクトで合わせて、昨年以降TSMCから100人を上回るveteran engineersおよびmanagersが採用されている旨。

米国の制裁を受けた後での基本スタンスを、中国・SMICがあらわしている。

◇SMIC says it 'will abide by local law,' in response to US trade ban -With Huawei trade ban, SMIC "will abide by local law" (8月13日付け Global Times (China))
→米国が米国製装置を用いる会社にHuaweiへの供給を禁止した後、Huawei向けhigh endチップセット生産の可能性を投資家に問われて、中国・Semiconductor Manufacturing International Corporation(SMIC)は、"現地のビジネス法を守って適宜稼働していく"としている旨。

HuaweiとSMICのコラボの動きである。

◇Huawei reportedly developing display driver ICs in-house -Sources: Huawei is designing its own display driver ICs (8月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Huawei TechnologiesがSemiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)とコラボ、ディスプレイdriver半導体を設計&製造の旨。Huawei社内の半導体設計部門、HiSilicon Technologiesが該推進の一翼を担い、organic light-emitting diode(OLED) driver半導体の試行生産に備えている旨。

米国の制裁のHuaweiへの現下のインパクトを改めて知る以下の内容である。

◇New US sanctions could slowly strangle Huawei's smartphone business-US export controls threaten Huawei's smartphone sales (8月14日付け CNN)
→Huaweiは最近、競争力のある価格で最先端phonesを消費者に提示、SamsungおよびAppleを上回って世界最大のスマートフォンメーカーになった旨。同社は、米国の技術を用いるcontractメーカーによる製造ということで、来月から超高速先端Kirinチップセットの供給を失う、と先週のconferenceにてHuaweiのconsumer businessのhead、Richard Yu氏。
Associated Pressおよび複数の現地メディア報道によると、「これは我々にとって非常に大きな損失。」とYu氏。Huaweiは該報道へのコメントを控えている旨。

米中摩擦の狭間に位置する台湾であるが、TSMCの波乱を切り抜ける動き、そしてFoxconnの率直な世界市場の見方である。

◇Semiconductors are a weapon in the U.S.-China trade war. Can this chipmaker serve both sides? (8月10日付け Fortune)
→2ヶ月での違いの事態。5月に、世界最大手半導体メーカー、TSMCは、米中の間の地政学的災難として、最大の中国顧客であり売上げの13%を占めるHuawei Technologiesのビジネスを失った旨。しかし、TSMCの株主はその損失を切り抜けて、7月末までにライバル、Intelによるつまずきから、TSMCの株価は5月以降約50%上昇、世界10大時価総額会社の1つになっている旨。

◇G2 looms-Nikkei: World economy leans toward "G2," China vs. US (8月13日付け Electronics Weekly (UK))
→Nikkei発。Foxconnのchairman、Young Liu氏。AppleのiPhonesの大方を組み立てるFoxconnには、2つの市場に分離される世界が見えており、1つは中国がもう1つは米国が席巻の旨。

Huaweiへのさらなる制裁の期限、8月13日が過ぎているが、米国政府の具体的な動きはこれからとなっている。今後に引き続き注目である。

◇米のファーウェイ禁輸、例外措置の期限到来−米商務省「公表できることない」、継続の有無明らかにせず (8月14日付け 日経 電子版 14:31)
→米商務省が中国の華為技術(ファーウェイ)に発動した事実上の禁輸を巡る例外措置が13日、期限を迎えた旨。同社製品の保守に関わる取引のみ米国製品の輸出を認めてきたが、14日以降も続けるかは明かしていない旨。
商務省は13日、「現時点で公表できることはない」と述べ、例外措置を同日で終了するか延長するか明言しなかった旨。措置を打ち切れば、米国によるファーウェイへの締め付けが一段と強くなる旨。

コロナ禍のもと、経済再開への当面の警戒感を伴った舵取りが各国それぞれに行われている世界の概況について、以下日々の動きからの抽出であり、発信日で示している。

□8月10日(月)

シリコンバレーでの様々な対応の動き、以下に続いていく。

◇Coronavirus roundup: San Mateo County health officer disapproves of business closures (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San Mateo CountyのHealth Officer、Scott Morrow氏が、California州のビジネス制限が"San Mateo Countyには間違った‘処置’"と考える理由について。

□8月11日(火)

◇Coronavirus roundup (updated): Palo Alto sticks with downtown street closures | Malls turn to open-air shopping (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→San JoseのWestfield Valley FairおよびOakridgeモールが、お店およびお客が一休みできるよう屋外にもっていく旨。

米国株式市場は、続伸基調から上げ下げを繰り返す展開となっている。

◇NYダウ5カ月半ぶり高値、357ドル高、経済対策を好感 (日経 電子版 06:03)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は7日続伸し、前週末比357ドル96セント(1.3%)高の2万7791ドル44セントと2月24日以来、5カ月半ぶりの高値で終えた旨。トランプ米大統領が8日に失業給付の増額を含む追加の経済対策の大統領令を発動し、目先の米景気懸念が後退した旨。業績が景気に左右されやすい金融、エネルギーなど景気敏感株が買われた旨。

□8月12日(水)

英国の第二四半期GDPも史上最悪を呈している。

◇UK crashes into deepest recession of any major economy-UK economy contracted by 20.4% in Q2 (CNN)
→2020年第二四半期の英国経済outputが20.4%縮小、第一四半期に対するこのGDP急落は1955年に四半期記録が始まって以降最悪の旨。

◇Coronavirus roundup: Santa Clara County starts fines for violating health orders (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Santa Clara Countyの健康指令(マスク着用&社会的距離)施行に向けた新しい罰金が、county全体に即日発効の運びの旨。

◇NYダウ104ドル安、8営業日ぶり反落、ハイテク株に売り (日経 電子版 05:15)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は8営業日ぶりに反落し、前日比104ドル53セント安の2万7686ドル91セント(速報値)で終えた旨。新型コロナウイルスのワクチン普及で世界経済が正常化に向かうとの期待から買いが先行した旨。ただ、スマートフォンのアップルなど主力ハイテク株を中心に利益確定売りが加速して午後に伸び悩み、下げに転じて終えた旨。

□8月13日(木)

◇Coronavirus roundup (updated): Stanford ends plans to bring undergrads back for fall | State unemployment claims keep falling (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Stanford大の在校生をキャンパス生活にもっていく計画について。
California州の失業申請状況。

◇NYダウ反発、289ドル高、主力ハイテク株が上昇牽引 (日経 電子版 05:32)
→12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発、前日比289ドル93セント(1.0%)高の2万7976ドル84セントと、2月21日以来、約半年ぶりの高値で終えた旨。トランプ米大統領が11日夕に1億本のコロナワクチンの購入を発表し、ワクチン実用化への期待から市場心理が改善。主力ハイテク株が大幅高となったのも相場を支えた旨。

□8月14日(金)

◇NYダウ反落80ドル安、高値警戒の利益確定売りで (日経 電子版 05:40)
→13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落、前日比80ドル12セント(0.3%)安の2万7896ドル72セントで終えた旨。12日にダウ平均は約半年ぶりの高値で終えており、高値警戒感からの利益確定売りが優勢だった旨。

□8月15日(土)

◇Coronavirus roundup: California judges lift statewide eviction ban (SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Californiaの追い立て停止は、このほど9月1日の真夜中で終わる運びの旨。

◇NYダウ反発、34ドル高、米景気の底堅さ意識 (日経 電子版 05:41)
→14日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比34ドル30セント(0.1%)高の2万7931ドル02セントで終えた旨。薄商いのなか、米経済の底堅さを意識した買いが出遅れ感のある資本財関連に入った旨。もっとも、米中貿易協議を15日に控え様子見ムードが強く、方向感に欠く時間帯が長く続いた旨。


≪市場実態PickUp≫

【2020年半導体市場予測&データ】

ともにIC Insightsより、まずは、半導体製品カテゴリーごとの本年の伸びの予測である。コロナが抑え加減の中、昨年の大きな落ち込みを埋める見え方で、NANDフラッシュメモリが最も高い伸び率の見方である。DRAMはさらに大きな去年の落ち込みを埋められず、やっとプラスの伸びとなっている。

◇Pandemic to limit growths for many IC products in 2020-IC Insights: 2020 chip sales are limited by pandemic (8月10日付け DIGITIMES)
→IC Insightsの予測。8つの半導体製品カテゴリーの販売高が今年伸び、2020年に27%の伸びが見込まれるNANDフラッシュメモリデバイスが引っ張る旨。6つのカテゴリーの販売高が伸びた昨年よりは良い、と特に言及の旨。
販売高伸び率ランキング、次の通り:

2019
2020e
NAND flash
(26%)
27%
Computer and peripherals - Spcl purpose logic
(1%)
6%
Embedded MPUs
9%
5%
Auto - Spcl purpose logic
16%
3%
DRAM
(37%)
3%
Total IC market
(15%)
3%
Computer CPUs
(3%)
2%
Wired Comm - Spcl purpose logic
(1%)
1%
Wireless Comm - Spcl purpose logic
(10%)
1%

次に、本年前半の半導体サプライヤ・トップ10があらわされ、トップ10販売高合計が前年比17%増である。ファウンドリーを含めたデータの見方であるが、日本勢は入っていない状況である。10位の中国・HiSiliconは上記の通り米国制裁の渦中で先端品生産中止に追い込まれており、今回の顔出しも短命とならざるを得ないところである。

◇China-Based HiSilicon's Time in the Top-10 Ranking May be Short Lived -Top-10 semiconductor suppliers logged strong 17% jump in 1H20/1H19 sales. (8月11日付け IC Insights)
→IC InsightsのAugust Update to the 2020 McClean Reportから2020年前半の半導体サプライヤ・トップ10データ。米国から6社、韓国2社、台湾および中国各1社。該ランキングには、ファブレスが4社(Broadcom, Qualcomm, Nvidia, およびHiSilicon)、専業ファウンドリーが1社(TSMC)。トップ10の2020年前半販売高総計が$147.093 billion、前年同期($125.980 billion)比17%増。前年16位から今回10位の中国・Huawei傘下のHiSiliconは、米国の制裁措置を受けて在位短命との見方。

◇Top-10 semiconductor suppliers log 17% surge in 1H20 sales, says IC Insights-IC Insights: Leading chip firms boost H1 sales by 17% (8月12日付け DIGITIMES)

【Qualcommのantitrust係争】

米連邦取引委員会(FTC)がQualcommを相手取って起こしたantitrust訴訟で、Qualcommが逆転勝訴している。FTCはQualcommが過剰な特許使用料で競争を阻害と主張、スマホメーカーとのライセンス契約はQualcommの大きな収入源という中での係争である。

◇In Victory for Qualcomm, Appeals Court Throws Out Antitrust Ruling-A three-judge panel reversed a 2019 ruling that found that Qualcomm had abused its monopoly position in wireless chips. (8月11日付け The New York Times)

◇Qualcomm handed a huge win as US court overturns the ‘no-license, no-chips’ antitrust ruling-Appeals court rules for Qualcomm in antitrust case-Looks like the FTC lost (8月11日付け The Verge)
→米国Court of Appeals for the Ninth Circuitが下級裁の決定を逆転、Qualcommの半導体特許に関するantitrust違反申し立てを取り除いた旨。
該決定で、Qualcommは引き続きhandsetメーカーにlicensing feesを求められることになる旨。

◇U.S. Appeals Court Throws Out Antitrust Ruling Against Qualcomm -Court rules federal government hadn't shown chip maker engaged in illegal monopolization (8月11日付け The Wall Street Journal)

【Intel関係】

IntelがAMDに対し、DDR5 RAMサポート対応で出し抜く動きである。

◇Intel's 12th-generation desktop processors could support DDR5 RAM before AMD-Report: Intel's 12th-gen "Alder Lake" chips embrace DDR5 (8月7日付け TechRadar)
→匿名筋を引用、Videocardz発。Intelが、Advanced Micro Devices(AMD)を出し抜き、第12世代"Alder Lake" desktopプロセッサで新しいDDR5 RAM仕様をサポートの旨。AMDは、Zen 4半導体で2022年にDDR5技術を受け入れる 旨。

Intelも、在宅勤務を来年前半まで延長している。

◇Intel extends work from home through June 2021 (8月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intelが他のハイテク大手に加わって、従業員の在宅勤務を来年前半まで延長する旨。

プロセスnodeを進めなくても20%のmicrochip性能アップが得られるという"SuperFin"トランジスタに注目である。

◇Intel says new transistor technology could boost chip performance 20% (8月13日付け Reuters)

◇Intel targets 20% performance increase without a node switch-Intel aims at 20% performance boost with new transistors-Intel is saying that its next generation CPUs will have a 20% performance improvement over the current generation. (8月14日付け Electronics Weekly (UK))
→Intelが、現状の製造プロセスで"SuperFin"トランジスタを実行、プロセスnodeをさらに進めなくてもmicrochip性能を20%高められる旨。

第11世代Core "Tiger Lake"プロセッサの謳い文句である。

◇Intel Tiger Lake chips mean faster PCs with longer battery life for 2020-Gamers will get faster graphics, too. (8月13日付け CNET)
→Intelが、同社第11世代Core "Tiger Lake"プロセッサによりビデオゲームでより現実的なimageryが得られ、電池電力が節減される一方、より長いPowerPoint slide decksで動作する、と謳っている旨。

【Samsung関連】

NvidiaがArm買収に独占先行と取り沙汰されている中、SamsungはArm入札のコンソーシアムに加わる可能性である。

◇Samsung Electronics may mull joining consortium bidding for chip designer Arm-Consortium bidding to buy Arm may include Samsung (8月10日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→SoftBank Group社が4年前に$32 billionで買収、売却の可能性が出ている英国の半導体設計トップ、Arm Ltdを巡る熱いM&Aについて爆発寸前の憶測の渦中、Samsung Electronicsが有望なコンソーシアムに加わるという仄めかしに注目する向きがある旨。Nvidia, TSMCおよびSamsung Electronicsなどすべての半導体メジャーが、取沙汰されており、Samsungはこれまでいかなる関心も否定しているが、安定なsupply chainの獲得に向けて勝ちを得るコンソーシアムに加わる可能性の旨。

SamsungのPyeongtaek(平澤)拠点での建設の取り組みである。

◇Samsung to break ground for 3rd chip fab in Pyeongtaek in Sept. (8月10日付け Yonhap News Agency)
→業界insiders、月曜10日発。Samsung Electronics Co.が、早くとも来月ソウルの南、Pyeongtaekで同社韓国3つ目の半導体fab拠点の建設を開始、半導体需要増大に向けた生産capacity立ち上げを図る旨。

Samsung X-Cube(eXtended-Cube)三次元実装ソリューションが、披露されようとしている。

◇Samsung Announces Availability of its Silicon-Proven 3D IC Technology for High-Performance Applications (8月13日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Samsung X-Cubeについてのさらに詳細が、高性能computingについてのannual conference、Hot Chips(8月16-18日livestreamed)にてプレゼンされる旨。

◇Samsung Elec introduces 3D IC packaging solution for high-performance chip design-Samsung debuts 3DIC packaging for high-performance ICs (8月13日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsが、5G, artificial intelligence(AI)など先端computing応用に向けて3DIC実装技術を用いるロジック半導体の量産を開始の旨。7-nanometerプロセスで製造される該半導体は、同社eXtended-Cube実装を使用、through-silicon via(TSV)技術をもってロジックデバイスをstatic RAMsに同じパッケージでつないでいる旨。

Samsung内でのディスプレイから半導体への人員配転である。

◇200 Samsung Display workers reassigned to Samsung Electronics' chip unit (8月13日付け Yonhap News Agency)
→業界insiders、木曜13日発。LCD TVパネル事業の中止決定に続いて、Samsung Display Co.の約200人の従業員がSamsung Electronics Co.の半導体部門に移される旨。

【TSMC関連】

TSMCの7月売上げが、次の通りあらわされ、2020年年間では20%増の目標である。

◇TSMC revenue increases 25 percent from last year (8月11日付け Taipei Times)
→TSMC(台積電)の7月売上げがNT$105.96 billion($3.59 billion)、前月比12.8%減、前年同月比25%増。1-7月累計がNT$727.26 billion、前年同期(NT$544.46 billion)比33.6%増。TSMCは、今年20%を上回る売上げの伸びを目指している旨。

最先端微細化を引っ張るTSMCの設備投資への役員会承認が、このほど以下の通りである。

◇TSMC board approves US$5 billion for advanced process manufacturing-TSMC budgets $5.27B for advanced processes (8月12日付け DIGITIMES)
→TSMCの役員会が、今年約$5.27 billionの設備投資(capex)を承認、先端製造技術の強化に向けたウェーハfab拠点建設などのプロジェクト向け。また最大$1 billionのunsecured corporate bonds発行、およびTSMC Globalの最大$3 billionのbonds発行も認めた旨。


≪グローバル雑学王−632≫

"次世代半導体"がタイトルに入った新書が目に入って、世界初の青色LEDに必要な高品質結晶創製技術の発明に成功して赤崎勇氏、中村修二氏とともに2014年ノーベル物理学賞を受賞した天野浩氏の著になる、

『次世代半導体素材GaNの挑戦−22世紀の世界を先導する日本の科学技術』
 (天野 浩 著:講談社+α新書 825-1 C) …2020年4月13日 第1刷発行

を、今回から読み進めていく。光の三原色(赤・緑・青)のなかで、LEDとして唯一光らせることができなかった青を光らせてみたいという思いをもとに、赤崎研究室にて青色LEDに取り組んで、1985年、修士課程の最後に、青色LEDに必要な高品質の結晶成長に成功など、ノーベル賞につながった実験の繰り返し&進展があらわされている。省エネ技術、二酸化炭素排出削減技術など「良いイノベーション」を生み出す取り組みが本書のテーマであり、青色LEDを実現した半導体素材、窒化ガリウム(GaN)の飽くなき追求が22世紀の世界を先導、世界の人々を豊かにする技術が実現されていくという道筋に触れていく。


≪まえがき――世界の人々を豊かにする技術の実現を目指して≫

・経済成長を生み出し人々を豊かにする
 →それこそがイノベーション、技術革新の原動力たるべき
・地球環境問題を解決する省エネ技術、二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減する技術、など
 →「良いイノベーション」
 →日ごろからそのための研究を行いたい
・「日本の科学技術は大丈夫か?」と直接、質問されたことが何度も
 →私自身は、悲観的になる必要はない、と考えている
 →「日本の科学技術は22世紀の世界を先導することができる」とさえ
・以前の日本の産業界
 →飛躍と思えるような考えや、実際に使えるようになるまでに時間がかかると見られるアイデアも取り入れ、研究していた
 →ただ一方、当時の日本の企業は、研究開発から試作や生産まで、すべてを1社で囲い込んだことの問題も
 →日本は米国と違って「就社」意識が強く、中央研究所にいられなくなった研究者は会社を辞めずに工場や営業など他部門に異動するケースが多かった
・国内の研究開発の環境に多くの課題があることは事実
 →現在もその呪縛から抜け出せず、多くの企業や大学が停滞しているのが実情
・いったいどこから改善すべきか?
 →自分たちだけで研究開発を行う傾向を改め、大胆にオープンイノベーションを進めるべき
 →新しく生まれた科学や技術の分野では、企業も大学も壁を取り払い、将来の社会を創るという目標を共有すべき
  →名古屋大の次世代の半導体素材として期待している「窒化ガリウム(GaN)」などの材料を中心とした研究
 →必ず日本に新しい産業を生み出すことができる、そしてその延長線上に、新しい社会インフラを創る技術を世界の人々に提供する未来がある
・日本の強みは、研究者の「幅の広さ」
 →日本はパテント・ファミリーの数では、現在も世界1位
  …あるコアとなる発明を出願したあと、優先権を主張するために他国に出願した特許群
・本書では、「良いイノベーション」を生むためにどのような取り組みを行なっているかについて述べていきたい

第一章 青色発光ダイオードが教えてくれた真実 …前半

■学生の手で作った実験装置
・私は学生のころ、光の三原色(赤・緑・青)のなかで、LEDとして唯一光らせることができなかった青を光らせてみたいという思い
 →もし自分が、青色LEDを作れば、テレビやディスプレイをスクリーンのように薄く軽くできると考えた
・窒化ガリウム(GaN)との出会い
 →恩師、赤崎 勇先生の研究室の卒業論文のテーマ案、「窒化ガリウムによる青色LED」がきっかけ
・赤崎先生は名古屋大を経て、松下電器産業の東京研究所で、化合物半導体の結晶成長、さらにLEDの研究を続けられ、赤色LEDや緑色LEDを開発
 →残る青色LEDも精力的に開発、残念ながら道半ばで開発中止を余儀なくされ、名古屋大に戻る決心をされた
 →私は1年後の1982年、学部生として先生の研究室に
  →決め手となったのは、青色LEDという研究テーマ
・当時、まだGaNを成長させるための「MOVPE装置」が市販されていなかった
 →「有機金属気相成長法(Metalorganic vapor phase epitaxy)」
  …原料となる有機金属ガスを高温で分解して基板上に反応させ、半導体結晶を作製する装置
 →手当てして学生の手によって、なんとかMOVPE装置を作ることができた
 →装置に問題が見つかったら、業者に任せずに、すぐに自分たちで修理・改良
・4年生の卒業研究では、誰もやったことのない実験に取り組むことができた
 →とはいえ、綺麗な結晶にはまったく仕上がらず、毎回、真っ白なゴツゴツした磨りガラスのようなGaNができるだけだった
・いったん、すべてのガスを1つにまとめ、高速で基板に吹き付けるように装置を改良
 →少ない原料で多くの結晶ができることが分かった
・結局は綺麗な結晶ができぬまま、忸怩たる思いで修士論文を提出することに
 →残りの修士課程(博士前期課程)の期間、ひたすら実験を繰り返していた

■ノーベル賞につながった実験
・修士論文を提出した後も、私は何かに取り憑かれたように実験を始めた
 →「最初に窒化アルミニウムを付けてから、その上にGaNの結晶を作る」というアイデアに至った
 →先生や先輩たちから教えてもらったことを、自分なりに応用しただけ
・当時の私は焦っていた
 →学部4年生から3年もの間、実験で一度も綺麗な結晶ができなかった
 →とにかく学術論文を書いて工学博士の学位を取らなければ、という気持ちしか
・藁にもすがる思いで試みた「低温で窒化アルミニウムを付着させる」という方法は、結果的には正しい判断
 →サファイア上に窒化アルミニウムのバッファ層を付けて、当時としては世界で最も綺麗なGaN結晶の成長に、1回目で成功
  →バッファ層…GaNを成長させる前に基板上に形成する下地層
 →電気炉の調子が悪かったという偶然と、普段から結晶成長にまつわる興味深い話を教えてくれる先輩たちがいたからこそ
・当時の私は、元日以外の日はすべて実験を行なっていた
 →のちにノーベル賞受賞につながるとは、実際に受賞するまで考えたこともなかった
・1985年、修士課程の最後に、青色LEDに必要な高品質の結晶成長に成功
 →学術論文を1本書くことができた

■青色LEDを目指した3つの素材
・当時、青色に光る素子の研究は、国内外で多くの研究者が実験継続
 →誰が最初に青いLEDを光らせるかという競争
 →日本やアメリカ、そしてヨーロッパの国々の研究者が、しのぎを削っていた
・当初、世界の大半の研究者は「SiC派」と「ZnSe派」に分かれて研究
 →対する「GaN派」は、私たちを含め、ほんの少ししかいなかった
・私は、LEDの基礎となるp型半導体を作ることに頭を切り替え、博士後期課程は、p型結晶の実現に集中することに
 →結晶成長時に様々な条件で亜鉛を添加する実験を、3年にわたって続けた
 →最初のうちは、いくらホール効果で測定しても、p型を示す挙動はまったく見られなかった
  →ホール効果…半導体がn型かp型かを見極めるために用いる現象
 →夏休みにNTTの武蔵野研究開発センタにインターンシップで2週間ほどお邪魔
  →最後の1日だけ、陰極線発光観察用の電子顕微鏡を使わせてもらう機会
  →電子線照射が青色発光に対して良い効果があることがわかった
  →ただ、電子線照射した後でも、亜鉛添加したGaNはp型にはなってくれなかった
 →結局は学位を取得できず課程を終えた
・その後も、赤崎先生の研究室で助手にしていただいて、私は研究を続けることに
 →亜鉛よりもイオン化しやすいMgを添加した方が効果的だということに気づき
 →当時は高価だったMg用原料の購入を許可してもらい、使用する元素を亜鉛からMgに切り替えた
 →電子線を当てることで、結晶がp型に変わっていることが分かった
 →なんとか学位を取得することに
・私がいまでも大学で研究を続けられているのは、赤崎先生のおかげ

■歓喜した青い輝き
・GaNのLEDを青く光らせた瞬間のことは、いまもよく覚えている
 →p型とpn接合型LED、「中日新聞」に赤崎先生とともに掲載していただいた
・しかし実際には、「紫外」がよく光っていた
 …可視光線より波長が短く、紫色の外側の領域の光
・綺麗なGaNができるようになった直後から、修士の学生たちとともに、より青色で明るくするための窒化インジウム・ガリウム(InGaN)の研究を始めていた
 →光の波長を、より人間の目に見やすい青い光にするもの
 →結晶を作る際、原料を運ぶキャリアガスの問題が非常に難しく、解決できず
 →この実験は頓挫することに
・それを1989年に成功させたのが、当時NTTの松岡先生
 →キャリアガスに、水素ガスでなく、窒素ガスを用いていた

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