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9月の世界半導体販売高、3ヶ月連続前月比増、米中協議が進展&継続

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今回締めてまとめる段になって、同時に2大インプット。米中貿易交渉の「部分合意」を巡る閣僚級電話協議が行われ、様々な分野で進展がみられ懸案事項についても進展中であるとのこと。引き続き次官級協議を行うとしており、今後の歩みよりの推移に注目である。もう1つ、恒例の米国・SIA(Semiconductor Industry Association)からの月次世界半導体販売高発表であるが、この9月について$35.6 billion、前月比3.4%増、前年同月比14.6%減となっている。単月としては今年最高の販売高であり、米中摩擦の快方を好感、一層の回復基調に戻していく市場の反応に期待するところである。まだまだ一寸先は予断を許さず、いろいろな切り口の推移に目が離せない。

≪9月の世界半導体販売高≫

今回の米国・SIAの発表、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇9月のグローバル半導体販売高が前月比3.4%増−第三四半期販売高が、前四半期比8.2%増、しかし前年同期比14.6%減 …11月1日付け SIA/Latest News

Semiconductor Industry Association(SIA)が本日、2019年第三四半期の世界半導体販売高が$106.7 billionに達し、前四半期比8.2%増、前年同期比14.6%減と発表した。2019年9月のグローバル販売高は$35.6 billionに達し、前月、2019年8月総計に対し3.4%増、前年同月、2018年9月からは14.6%下回った。月次販売高はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。
SIAは、半導体製造、設計および研究における米国のleadershipを代表している。

「今年始めに販売高が鈍化した何ヶ月か経て、グローバル半導体市場は2019年第三四半期にいくぶん持ち直している。」と、SIAのpresident and CEO、John Neuffer氏は言う。「昨年の記録的な販売高総計からは依然かなり下回る一方、販売高前月比では9月に3ヶ月連続の増加となり、すべての主要製品カテゴリーにわたって増えている。販売高前月比はまた、すべての地域別市場にわたって増加し、ChinaとAmericasが引っ張っている。」

9月販売高の地域別では、前月比ですべてプラスの伸びであったが、前年同月比ではいずれも落ち込みが続いている。

Americas
前年同月比 -30.4%/
前月比  4.3%
Europe
-6.4%/
2.9%
Japan
-10.0%/
1.2%
China
-12.9%/
4.4%
Asia Pacific/All Other
-6.9%/
2.4%

                  【3ヶ月移動平均ベース】

市場地域
Sep 2018
Aug 2019
Sep 2019
前年同月比
前月比
========
Americas
9.50
6.34
6.61
-30.4
4.3
Europe
3.58
3.26
3.35
-6.4
2.9
Japan
3.40
3.02
3.06
-10.0
1.2
China
14.53
12.13
12.66
-12.9
4.4
Asia Pacific/All Other
10.61
9.65
9.88
-6.9
2.4
$41.62 B
$34.40 B
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %

--------------------------------------
市場地域
4- 6月平均
7- 9月平均
change
Americas
5.89
6.61
12.2
Europe
3.27
3.35
2.4
Japan
2.97
3.06
3.2
China
11.73
12.66
7.9
Asia Pacific/All Other
9.00
9.88
9.8
$32.86 B
$35.57 B
8.2 %

--------------------------------------

※9月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2019/11/September-2019-GSR-table-and-graph-for-press-release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

これを受けた業界紙の反応、取り上げは、タイミング上これからである。

2016年後半から2年あまり史上最高を更新し続ける勢いの熱い活況が続いた半導体業界であるが、これまで通りの販売高の推移の見方を続けると以下の通りとなる。昨年11月から販売高が前月比マイナスとなって以降、12月、今年に入って急激に落ち込む経緯があらわれているが、2月以降は$32 billion〜$33 billion台に押しとどまって、8月は$34 billion台に戻すに至っている。9月は$35 billion台半ばを越えて今年最高の水準である。米中摩擦の懸念が薄らぐ期待もあるが、相まって市場の推移には一層目が離せないところである。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
2016年 7月 
$27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月 
$28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月 
$29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月 
$30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月 
$31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月 
$31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月 
$30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月 
$30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月 
$30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月 
$31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月 
$31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月 
$32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月 
$33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月 
$34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月 
$35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月 
$37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月 
$37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月 
$37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月 
$37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月 
$36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月 
$37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月 
$37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月 
$38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月 
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
2018年 7月 
$39.49 B
17.4 %
0.4 %
2018年 8月 
$40.16 B
14.9 %
1.7 %
2018年 9月 
$40.91 B
13.8 %
2.0 %
2018年10月 
$41.81 B
12.7 %
1.0 %
2018年11月 
$41.37 B
9.8 %
-1.1 %
2018年12月 
$38.22 B
0.6 %
-7.0 %
$468.94 B
 
2019年 1月 
$35.47 B
-5.7 %
-7.2 %
2019年 2月 
$32.86 B
-10.6 %
-7.3 %
2019年 3月 
$32.28 B
-13.0 %
-1.8 %
2019年 4月 
$32.13 B
-14.6 %
-0.4 %
2019年 5月 
$33.06 B
-14.6 %
1.9 %
2019年 6月 
$32.72 B
-16.8 %
-0.9 %
2019年 7月 
$33.37 B
-15.5 %
1.7 %
2019年 8月 
$34.20 B
-15.9 %
2.5 %
2019年 9月 
$35.57 B
-14.6 %
3.4 %

こんどは、米中協議に目を転じて、「部分合意」に向かう中、"Big Fund"フェーズIIなど中国関連のいくつかの動きに特に注目させられている。

米中協議については、首脳会談の場が予定されていた南米・チリでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)が突如中止という事態になったが、米中双方ともに事態打開に前向きのコメントが出され、次の通りである。

◇チリ、APEC首脳会議を断念、米は11月に対中合意めざす (10月30日付け 日経 電子版 23:32)
→南米チリのピニェラ大統領は30日、11月16〜17日に首都サンティアゴで開催を予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を中止すると表明、公共交通機関の運賃引き上げに端を発した大規模な抗議デモが続き、安全確保が困難と判断した旨。主催国によるAPEC首脳会議の開催断念は初めて。

◇米、対中貿易合意「11月中旬に」、APEC見送りでも (10月31日付け 日経 電子版 02:01)
→米ホワイトハウスは30日、中国と交わした貿易交渉の「部分合意」について、当初の予定通り11月中旬の正式署名をめざすとの声明を発表した旨。
米国は同じ時期に予定していたチリでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせた米中首脳会談で署名をめざしていた旨。

◇APEC Setback Won't Harm Trade Truce Effort, China Insiders Say-China positive on trade talks despite APEC cancellation (10月31日付け BNN Bloomberg (Canada))
→2人の中国insiders発。米国・Donald Trump大統領と中国・習近平(Xi Jinping)国家主席の会談開催が予定されていたグローバルconferenceの中止で、両国の間の貿易戦争を休止する努力には害はない旨。

そして、閣僚級電話協議にて、以下の通り順調な進展があるとともに今後も継続していくとのことである。段階を踏んだ歩み寄りがまだまだ求められる様相となっている。

◇米中、様々な分野で進展、部分貿易協定巡り閣僚級電話協議 (11月2日付け ロイター 03:01)
→米通商代表部(USTR)は1日、米中の部分貿易協定を巡りライトハイザー代表とムニューシン米財務長官、および中国の劉鶴副首相が電話協議を行い、様々な分野で進展があったと明らかにした旨。USTRは「協議は様々な分野で進展があり、懸案事項についても進展中」とした上で「今後も引き続き次官級協議を行う」と表明した旨。中国の国営新華社通信は、米中の主要貿易交渉官らが協議した結果、原則合意に到達したと報道。ウェブサイト上で「双方が核心的懸念への適切な対応を巡り、真剣かつ建設的な協議を行い、原則合意に達した。双方は次回協議について話し合った」とした旨。

◇米中、通商合意は第3段階まで必要=ナバロ補佐官 (11月2日付け ロイター 07:12)
→ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は1日、米中の第1段階の通商合意に向けた交渉は順調に進捗しているとしながらも、中国の構造的な問題に対応するためには第3段階まで必要になるとの考えを示した旨。

中国関連の動きとして、まず、中国現地の半導体メーカーに向けた中国国家IC産業投資基金(CICIIF:China Integrated Circuit Industry Investment Fund)を通した資金支援の第2フェーズである。

◇China Big Fund to spend over CNY200 billion in 2nd-phase support for local chipmakers-China's "Big Fund" to invest another $28.9B in chipmakers (10月28日付け DIGITIMES)
→中国のNational Integrated Circuit Industry Investment Fund(Big Fund)が、中国の半導体メーカーへの資金投入第2フェーズに向けて$28.9 billionの新しいファンドを構築、該投資は、5G cellular通信およびartificial intelligence(AI)などemerging機器応用に向けられる旨。

◇China to Funnel $29 Billion Towards its Chip Ambitions-Second of its kind, the fund is mainly backed by state capital -China wants to become self-reliant in chip-making and design (10月29日付け Bloomberg)

◇China IC 'Big Fund' Phase II Aims Self-Sufficiency (10月30日付け EE Times)
→中国の“Big Fund”が、法人化したばかりの会社、National Integrated Circuit Industry Investment Fund Phase II Co., Ltd.(National Big Fund Phase II)を通して第2フェーズのfundingを展開の旨。5年前に始まったPhase Iに比べて、Big Fund Phase IIは204.15 billion yuan($28.9 billion)の規模、市場予想を僅かに上回っている旨。Phase II投資は今年11月にも始まると予期される旨。Phase IIの目標は、中国IC業界に向けた独立、自己充足そして"controllable"業界chainの構築にある旨。

次に、中国からのインドへの注目が次の通りである。

◇A Chinese Perspective of India's Manufacturing Industry, Part 1 (10月30日付け EE Times India)
→最近派遣団がインドに出かけ、地勢を得て中国の会社にとっての投資機会を見い出そうとしている旨。該派遣団のhead、Jenny Liu氏の率直なレポート。米中貿易戦争により、多くの会社が貿易障壁を避けるために東南アジアに注目しており、半導体業界は例外ではない旨。

◇A Chinese Perspective of India's Manufacturing Industry, Part 2 (10月31日付け EE Times India)
→中国の投資を誘起するインドにある投資opportunitiesについて、IC SupermanのCo-founderで海外派遣団のhead、Jenny Liu氏レポートPart 2。IC Supermanが36Kr(中国最大の36ベンチャー・ITメディア)と連携、ふたたびこの魔法のような国で、Invest India、現地政府代表およびずらりと並んだ会社を訪問の旨。

Huawei関連の内容が続いており、同社にとってプラスマイナスいろいろあるが、時間順に示している。

◇Patent king Huawei lags Intel and Qualcomm in quality, study finds-Chinese group on buying and hiring spree to close any innovation gap (10月27日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Huaweiは引き続き数多く特許出願を行っているが、該分野の研究者は高度に革新的とみられるものは21%程度としている旨。

◇Huawei Set for Boost from UK After Decisions on Arm and 5G (10月28日付け EE Times)
→英国はちょうど今、少なくとも2点で中国には良いところに思われる旨。
1つは、Armが英国で開発されたアーキテクチャーは現在の米国輸出制限の範囲外と認めていること。第2は、週末のニュースが英国首相が5Gネットワークの議論のない部分へのHuaweiの供給を認める予定と伝えていること。

◇Huawei to be allowed into UK network-Report: UK will allow Huawei to be 5G network gear supplier (10月28日付け Electronics Weekly (UK))
→The Sunday Times発。Huawei Technologiesを英国のネットワークスへの5G infrastructure装置プロバイダーとする決定が、クリスマス前に発表される旨。

◇Xilinx rules out any more revenue from Huawei-Xilinx CEO: We won't get more revenue from Huawei -Xilinx has ruled out any further revenue streams from Huawei following the US government ban on certain semiconductor exports to the Chinese telecoms company. (10月29日付け Electronics Weekly (UK))
→XilinxがHuawei Technologiesに半導体を販売する米国政府licensesを問い合わせたが、該licensesは認められなかった、とXilinxのCEO、Victor Peng氏。「Huaweiとの貿易制限継続および我々のビジネスに降りかかる不安定性を考えると、Huaweiに関して残るすべての売上げの期待を2020年度見通しから除くことが賢明と思う。」と同氏。

◇China's Huawei sees 480 million households worldwide with 5G access by 2025: executive (10月29日付け Reuters)
→Huawei Technologiesのブラジルテレコムoperationsのchief executive、Derrick Sun氏が火曜29日、Sao Pauloでの主要テレコム・イベントで講演。世界中の約480 million世帯が、2025年までにfifth-generation(5G)ブロードバンドサービスにアクセスする旨。同社としては、70を上回る国々が2021年までに5Gにspectrumを割り当てると見ている旨。これまでのところ、56ヵ国が5Gネットワークスを運用、40ヵ国がある種の5Gサービスを打ち上げている旨。

中国の半導体業界団体、China Semiconductor Industry Association(CSIA)より、2018年売上げの分野別内訳があらわされている。

◇IC design rises as largest segment in China semiconductor industry (10月29日付け DIGITIMES)
→China Semiconductor Industry Association(CSIA)のdeputy director and secretary general of the IC Branch、Yu Xiekang氏、China IC Development Seminarでの講演。中国の半導体業界が一層筋の通った構造調整、2018年の中国IC業界が記録した売上げ、CNY653.2 billionの分野別でIC設計が実装&テストを次の通り抜いた旨。

IC設計
CNY251.9 billion($35.69 billion)
売上げ全体の38.6%
実装&テスト
CNY219.39 billion
33.5%
ウェーハファウンドリー
CNY181.82 billion
27.8%

最後に、米国での対中国の動き。米連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)が、HuaweiおよびZTEを排除していく動きがまたまた持ち上がっている。

◇FCC Targets China's Huawei and ZTE -U.S. moves to cut off the telecom giants from subsidies (10月28日付け The Wall Street Journal)

◇U.S. regulator to bar China's Huawei and ZTE from government subsidy program-FCC prepares to take more action vs. Huawei, ZTE (10月29日付け Reuters)
→連邦regulatorsがZTEおよびHuaweiに対する圧力を高めており、carrier補助金を受ける米国の会社が該中国ベンダーの装置購入を禁ずる11月投票を準備している旨。11月19日に本件を取り上げるFederal Communications Commission(FCC)なまた、carriersにすでに据えつけているHuaweiあるいはZTEの装置置き換えを求めるかどうかも調べる旨。

◇米通信当局、ファーウェイ排除要求へ、既存設備も交換 (10月29日付け 日経 電子版 06:33)
→米連邦通信委員会(FCC)は28日、国内の通信会社に対して中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を使わないよう求める採決を11月に実施すると発表、新規調達を禁じるだけでなく、既存製品の撤去・交換も要請する旨。スパイ活動などを懸念した措置で、米国による中国企業への締め付けが一段と厳しくなる旨。


≪市場実態PickUp≫

【景気拡大を維持する利下げ】

階層分断、ロシア/ウクライナ問題と民主党に激しく攻撃される共和党のトランプ大統領であるが、米国の経済指標は半世紀ぶりの低い失業率はじめ拡大基調を維持する内容。これを適度に維持すべく、米国・Federal Reserve(FRB)が今年3回目の金利引き下げである。

◇U.S. Fed cuts interest rates, signals it is on hold-Fed makes 3rd rate cut; Powell signals pause ahead (10月30日付け Reuters)
→Federal Reserve(FRB)が今年3回目の金利引き下げ、しかしJerome Powell議長は経済状況が大きく悪化しなければ当面切り下げはこれが最後と知らせている旨。該中央銀行の政策は経済が穏やかに拡大し続けるのに適当する、とPowell氏。

◇Powell Signals Fed Policy on Hold as Economy Eyes Soft Landing (10月30日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇Here's what the Federal Reserve chair really thinks about the economy-Deciphering Jay Powell's Fedspeak after the rate cut. (10月30日付け Politico)

◇FRBが3連続利下げ、0.25%、先行きは休止示唆 (10月31日付け 日経 電子版 03:02)
→米連邦準備理事会(FRB)は30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を0.25%引き下げ、7月、9月に続く3会合連続の利下げに踏み切った旨。貿易戦争のリスクを警戒し、金融緩和で景気悪化を未然に防ぐ旨。ただ、パウエル議長は先行きの金利政策を「適切に見極める」と表現するにとどめ、利下げはいったん打ち止めとの考えをにじませた旨。

米国経済はより低い伸び、中国は引き続く縮小、ともに摩擦対応の舵取りが難しくなってきているが、特に米国の企業投資の減少が続いている。

◇China GDP and PMI Contraction A Risk Factor For Global Economy (10月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→IC Insightsが最近リリースしたOctober Update to The McClean Report 2019。updateの1つとして、米国と中国の間の現状の貿易摩擦に照らして米国および中国のGDPおよびPMI(Purchasing Manager's Index:購買担当者景気指数)の流れを見直しの旨。

◇Economy Grew at 1.9% Rate in Quarter, Hit by Trade Fight and Global Weakness -US GDP rose 1.9% in the 3rd quarter (10月30日付け The New York Times)
→貿易摩擦を巡る不安およびグローバル成長弱含みが付きまとって、第三四半期のアメリカ経済の伸びはより低い進み方、消費者出費は依然堅実、しかしビジネス投資は減少の旨。

◇米1.9%成長、企業心理悪化、7〜9月、設備投資2期連続マイナス (10月31日付け 日経)
→米商務省が30日発表した7〜9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で1.9%増えた旨。個人消費と住宅投資が伸びて、成長率は前期(2.0%)並みを維持した旨。ただ、設備投資は3.0%減と2期連続のマイナスで、貿易戦争による企業心理の悪化は鮮明。
成長率は市場予測(1.7%程度)をやや上回り、潜在成長率(2%弱)並みとなった旨。米景気は7月に拡大局面が過去最長の11年目に突入し、失業率も3.5%と50年ぶりという歴史的な低さ。GDPの7割を占める個人消費は堅調で、雇用の拡大が家計支出を後押ししている旨。

FRBの利下げ、これ以上は休止のスタンスについて、トランプ大統領の批判のコメントである。

◇「金利下げよ、FRBは問題!」、トランプ氏が再批判 (11月1日付け 日経 電子版 02:29)
→トランプ米大統領は31日、米連邦準備理事会(FRB)が利下げを一時休止すると示唆したことに対して「中国ではなくFRBが問題だ!」とツイッターで批判、同氏は「人々はジェイ・パウエルにがっかりしている。ドル相場は製造業を痛めつけており、日独よりも金利を下げるべきだ」と、パウエル議長を呼び捨てにしながら金融緩和へ圧力を強めた旨。

【Brexit関連】

なんとも収まらない動きを前回示したが、European Union(EU)がBrexitの期限を2020年1月31日まで認めることになり、英国は、12月12日に総選挙を行い国民の審判をまた改めて問うことになっている。半導体業界としても関心事、引き続き注目である。

◇British lawmakers reject new election as EU agrees Brexit delay-EU grants Brexit delay until Jan. 31 (10月28日付け USA Today)
→European Union(EU)が月曜28日、新たなBrexitの遅れを1月31日まで認め、英国議会がそれに先立ってBoris Johnson首相が交渉する離脱取引を批准すれば、早く引っ込める注意書きの旨。当初は、英国は10月31日にEUを離脱する運びであり、これは期限を変更する2度目である旨。

◇Brexit: Johnson agrees to Brexit extension - but urges election (10月28日付け BBC)

◇英議会、解散提案3たび否決、首相は新法案を準備 (10月29日付け 日経 電子版 04:00)
→英議会下院は28日、ジョンソン首相が出していた「12月12日総選挙」の提案を否決、欧州連合(EU)からの早期離脱を目指した提案だったが、3分の2以上の賛成を得られなかった旨。EUは10月末の離脱期限を最長3カ月延長することで合意したものの、肝心の英議会はまとまらなかった旨。ジョンソン首相は総選挙のための新たな法案を別途提出する方針で、年内の離脱実現に向けた攻防はなお続く旨。

◇英、12月12日総選挙、下院可決、国民にEU離脱問う−EU離脱が争点に (10月30日付け 日経 電子版 05:25)
→英議会下院は29日、総選挙を12月12日に前倒しで行う特例法案を賛成多数で可決した旨。ジョンソン首相が欧州連合(EU)離脱への国民の信を問うために提案し、野党議員の一部も賛成に回った旨。与党・保守党は総選挙で過半数の議席を取り戻したうえで、EU離脱を確実にしたい考え。離脱をめぐる泥沼からの脱却へ、国民の審判を仰ぐことになった旨。

【特許係争和解】

TSMCとGlobalFoundriesが半導体製造特許侵害について互いに訴えていた1件であるが、「クロスライセンス」契約を結んで和解に至っている。米中摩擦の中でさらにかぶさる雲行きと気がかりの観測が見られていた。

◇TSMC, GlobalFoundries settle patent disputes (10月28日付け Reuters)

◇TSMC and Globalfoundries end legal disputes through patent cross-licensing-TSMC, GF resolve patent lawsuits with cross-licensing pact (10月29日付け DIGITIMES)
→TSMCとGlobalFoundriesが、cross-licensing契約に達し、特許を巡る法的係争の決着で合意の旨。「該解決は、前向きの展開であり、innovationを引き続き生活にもたらす技術に向けた顧客のニーズを進めて半導体業界全体の繁栄を可能にしていく我々の重点を保つもの」と、TSMCの法務部長、Sylvia Fang氏。

◇GLOBALFOUNDRIES and TSMC Announce Resolution of Global Disputes Through Broad Global Patent Cross-License (10月30日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇台湾TSMCと米GF、特許訴訟で和解、半導体巡り相互使用契約 (10月30日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)は29日、同3位の米グローバル・ファウンドリーズ(GF)との特許侵害訴訟で和解したと発表、両社は互いに、半導体の製造に関わる特許を侵害されたとして訴えていた旨。和解を機に、両社は一部の特許の使用を相互に認め合う「クロスライセンス」契約を結ぶ旨。技術力で劣るとされるGFにはメリットがありそうな旨。

【注目の業績発表】

Appleは、4四半期連続で利益減少ながら2四半期連続増収、wearablesおよびサービス部門が引っ張っている模様である。

◇Apple's wearables and services help drive record fourth-quarter revenue (10月30日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Apple(Cupertino)が水曜30日、iPhoneの重要性が減る将来でも繁栄できる証明を示し、holiday seasonに向けて強気なguidanceを出した旨。同社第四四半期売上げが$64bn、前年同期比2%増、スマートフォンおよびMacの売上げが各々減ってもの結果。該売上げは、median Wall Street estimate、$62.9bnを上回った旨。

◇Apple forecast is upbeat as profit falls (10月31日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが水曜30日、4四半期連続で利益減少、2016年以降最長の連続、しかし先行き好転を予測の旨。2019年7〜9月期の利益が$13.69 billion、前年同期の$14.13 billionから3.1%減。

◇Apple、2四半期連続増収、サービス部門牽引−7〜9月期 (10月31日付け 日経 電子版 06:02)
→米アップルが30日発表した2019年7〜9月期決算は売上高が前年同期比2%増の$64.04 billion(約6兆9000億円)。主力の「iPhone」の売上高は減少傾向が続いたものの、アプリ配信や音楽配信などサービス部門の伸びで補い、全体の売上高は2四半期連続で増収を確保した旨。販売費用の増加などで最終利益は136億8600万ドルと3%減少し、4四半期連続で減益となった旨。

Samsungは、メモリ半導体の価格低迷から減収そして大きく減益という内容である。

◇Samsung flags smartphone profit fall, upbeat on chips (10月30日付け Reuters)

◇Samsung hit with 56% slash to profits following memory weakness-Samsung's Q3 operating profit falls 56% on memory chip slump-But the performances of its smartphones and mobile OLED screens showed improvements. (10月31日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsの第三四半期operating profitが$6.7 billion、前年同期比55.7%減、メモリ半導体価格弱含みが該四半期業績を圧迫している旨。Samsung Galaxy Note 10スマートフォンの力強い販売高が同社モバイル事業のQ3 operating profitを31.5%高めている一方、ディスプレイ事業はモバイルorganic light-emitting diode(OLED)画面の需要からoperating profitを6.4%増やしている旨。

◇サムスン、7〜9月の半導体事業78%減益、特需反動で (10月31日付け 日経 電子版 10:17)
→韓国サムスン電子が31日発表した2019年7〜9月期の半導体部門の営業利益は3兆500億ウォン(約2850億円)と前年同期に比べ78%減った旨。半導体メモリの特需で四半期ベースで過去最高の営業利益を記録した前年同期の反動で大幅な減益となった旨。スマートフォンを中心とするIT&モバイル部門の営業利益は32%増だった旨。
全社の営業利益は同56%減の7兆7800億ウォンで、売上高は5%減の62兆ウォンだった旨。

前回、「量子超越」で世界を驚かせたAlphabet傘下のGoogleであるが、大きく増収ながらR&Dおよびマーケティング投資で利益を大きく落とす結果があらわされている。

◇Google, in rare stumble, posts 23% decline in profit (10月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Googleの親会社、Alphabetが月曜28日、急激な投資増加から四半期利益が23%減、同社まれな財務のつまずき。第三四半期売上げが前年同期比20%増の$40.5 billionだったが、利益は$7.07 billionに落ち込みの旨。Wall Street予測を守れなかった利益は、R&Dおよびマーケティングのコスト上昇により損なわれた旨。

◇Google's search for sales in cloud, hardware clip Alphabet profit (10月29日付け Reuters)

◇アルファベット20%増収、初の400億ドル超え、7〜9月 (10月29日付け 日経 電子版 05:38)
→米グーグルの持ち株会社アルファベットが28日発表した2019年7〜9月期決算。売上高が前年同期比20%増の$40.499 billion(約4兆4000億円)。モバイル機器向けの広告事業のほか、法人向けのクラウドサービスが堅調に伸び、売上高が四半期ベースで初めて400億ドルを超えた旨。

【「量子超越」へ続く反応】

そのGoogleの「量子超越」達成に対する反応、関連する動きが、依然相次いで以下の通りである。今までのコンピュータでの不可能を可能にする大きな期待感である。

◇Google's Quantum Tech Milestone Excites Scientists and Spurs Rivals-Google's quantum supremacy demonstration is a grand physics experiment underwritten by Silicon Valley money (10月25日付け IEEE Spectrum)

◇量子技術の研究後押し、自民議連が年内に提言 (10月27日付け 日経 電子版 23:00)
→自民党内で量子技術の研究開発を後押しする量子技術推進議員連盟が発足した旨。超高速の「量子コンピュータ」や、解読が困難とされる「量子暗号」の技術は世界各国の研究開発競争が激化している旨。日本が出遅れれば安全保障上の脅威に直結するとも指摘されている旨。政府は年末に量子技術イノベーション戦略を策定する予定で、その前に議連が提言をまとめる旨。米グーグルは23日、従来のコンピュータでは困難な問題を解く性能を示す「量子超越」を達成した、と発表、自民党の議連は同発表より前に発足している旨。

◇Achieving Quantum Supremacy (10月28日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇「量子超越」が意味するもの、NISQ時代が幕開け (10月28日付け 日経 電子版 02:00)
→米グーグルが次世代の計算機として期待される量子コンピュータを使い、最先端のスーパーコンピュータより極めて短い時間で複雑な計算問題を解く実験に成功、従来のコンピュータでは困難な問題を量子コンピュータが解く「量子超越」を世界で初めて達成した旨。この事実は何を意味するのか。量子超越は、2012年にカリフォルニア工科大学のジョン・プレスキル教授が提唱した概念。従来のコンピュータには難しい計算問題を量子コンピュータが解けるようになることは、本格的な実用化へのマイルストーンと位置づけられてきた旨。
「量子超越によって『NISQ時代』が到来を告げる」。グーグルが発表した論文には、こんな一文がある旨。NISQとは「Noisy Intermediate-Scale Quantum (Computer)」の略で、直訳すると「ノイズのある中規模の量子コンピュータ」となる旨。
今回、グーグルは53個の量子ビットで実験を行った旨。「中規模」といえる段階が見え、量子超越を達成したことで「従来のコンピュータでは不可能だったことができるようになるかもしれない」というステージに入りつつある。これがNISQ。

◇Google Are Making Quantum Computing a Reality-A new Google computing experiment published in Nature has ushered in a new era of computing. (10月31日付け EE Times India)

【ソニーの半導体新工場】

5Gはじめ新分野展開にも欠かせない画像センサであるが、現在CMOSイメージセンサ(CIS)で世界トップのソニーが、長崎での新工場建設を以下の通り発表している。

◇ソニー、5Gにらみ半導体新工場、1000億円投資 (10月29日付け 日経 電子版 18:00)
→ソニーはスマートフォンのカメラなどに使う半導体画像センサの新工場を長崎県内に建設、1000億円規模を投じ、2021年度にも稼働する旨。ソニーは画像センサの世界首位で、スマホカメラの高機能化や次世代通信規格「5G」の普及を背景に成長が続くと判断した旨。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代の基幹部品で日本企業が攻めの投資に出る旨。

◇Sony to build sensor fab-Sony sets sights on new sensor fab in Nagasaki -Today Sony is announcing a $918 million provision in its budget for its next fiscal year to pay for a new fab to build image sensors. (10月30日付け Electronics Weekly (UK))
→ソニーが、$918 millionを充てて長崎にセンサfabを建設する計画、2021年に生産開始予定、同社のイメージセンサcapacityを高める工場の旨。同社はまた、史上最善の第二四半期業績を報告、operating profitsが16%増大の旨。

◇Sony in record second quarter profit, image sensor demand offsets slide in gaming earnings (10月30日付け Reuters)

◇ソニー、「電子の目」で勝負、半導体画像センサの新工場、業績回復で積極投資 (10月30日付け 日経)
→ソニーが半導体画像センサの新工場を建設するのは、テクノロジーの企業として成長するには世界シェア首位の画像センサが欠かせないため。次世代通信規格「5G」時代の到来を控え、「電子の目」と呼ばれる画像センサはスマートフォンだけでなく、自動運転や医療向けで需要が増える旨。人工知能(AI)も活用し、半導体でもサービスで稼ぐ新たなビジネスモデルを目指す旨。


≪グローバル雑学王−591≫

中国の通信機器メーカーの1、2位がファーウェイ、ZTE(中興通訊)。昨年4月に米国はZTEに対し、すべてのアメリカ企業との取引を禁止、破綻しかかったZTEである。この措置はその後解除され、そして今年5月、本命のファーウェイのEntity List入りが発表されていく経緯であるが、

『ファーウェイと米中5G戦争』
 (近藤 大介 著:講談社+α新書 711−2 C) …2019年7月18日第一刷発行

より、トランプ政権が仕掛ける対中ハイテク覇権戦争の細かい経過を2回に分けて見ていく1回目である。ファーウェイの5G技術先行に決定的な危機感を抱く米国、そして米国製コア半導体は自分でもやれると強気なファーウェイであるが、米中双方意地の張り合いで身動きがとれない中、水面下で当面のビジネスをつなぐ動きが垣間見える現状を受け止めている。


第2章 トランプ政権が仕掛けた対中ハイテク覇権戦争 …2分の1

■トランプの怒り
・(著者が)ここ2年半ほど、朝起きて真っ先に行う「日課」
 →トランプ大統領のツイッターを確認すること
 →日本を含む世界の多くの国々の外務省が、「トランプ・ツイッター担当チーム」を設置
・トランプ大統領は、極めて「特異」な存在
 →それまで政治家経験がゼロだったことに始まり、外交面でもまったく違う考えの持ち主
 →「実利外交」――短期的な損得を追求する外交を展開
・トランプ大統領のツイッター
 →「つぶやく(ツイッター)」というより、まるで速射砲を撃ちまくっているイメージ
 →国内外のことに関して自己主張を「撃ちまくる」
・2019年5月10日、「米中決裂!」
 →11回目の米中閣僚級貿易協議のさなかに、2000億ドル分の中国製品への追加関税を、10%から25%に引き上げ
 →中国側も同日、報復措置を発表
・すると、アメリカはさらなる報復
 →5月13日、USTR(米通商代表部)が、新たな中国製品3805品目、約3000億ドル分に対して、最大25%の追加関税をかけると発表
 →実施時期は、2019年夏か秋が想定

■"新冷戦"布告
・だがトランプ政権の対中報復は、さらにもう1つの「奥の手」を用意
 →5月15日、米中の「ハイテクのカーテン」、すなわち「新冷戦」を決定づけるような発表
   …「米中新冷戦」のアメリカからの「宣戦布告」とも言えるもの
・この日、まず先に出したホワイトハウスの声明文
 …〈本日、ドナルド・トランプ大統領が、「情報と通信技術とサービスのサプライチェーンの保護」と題する大統領令にサイン〉
 …〈アメリカの情報、通信技術、サービスに対する脅威への国家緊急事態を宣言するもの〉
・アメリカ商務省が同日に行った、もう1つの声明文
 …〈アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は本日、ファーウェイ・テクノロジーズとその関連会社を、「エンティティ・リスト(Entity List)」に追加することを発表〉
 …〈ファーウェイがアメリカの国家安全保障上の、もしくは外交政策上の利益に反する活動に従事していると結論づける合理的な根拠〉
 …〈アメリカの技術を「エンティティ・リスト」上の企業もしくは個人に販売・譲渡するには、BISによる認可が必要〉
・翌16日にファーウェイは、「エンティティ・リスト」に入った
 →事実上、アメリカ企業から部品などを購入することができなくなってしまった
・ファーウェイは2018年10月、同年の大口取引先、いわゆる「92社リスト」を発表
 →アメリカ企業が33社も
 →トランプ政権の措置は、ファーウェイの世界170ヵ国にまたがるサプライチェーン(供給網)を崩壊させることを意図
・ファーウェイは、2019年に入ってからは、「5G商用化元年」と位置づけ、世界の5G推進の牽引役
 →アメリカとしては、これ以上黙認していたら、「巨竜」をストップできなくなるとの危機感
・この日(アメリカ時間5月15日)、トランプ大統領のツイッターは意外にも何もつぶやいていなかった
 →トランプ大統領自身は「ファーウェイ叩き」に関心がないことを意味
 →5月18日から21日まで令和最初の国賓として来日したトランプ大統領が安倍首相に漏らしたこと:
  …「強硬な部下たちが言うことを聞かないんだ」

■ファーウェイの危機感
・トランプ政権の「奇襲」を受けたファーウェイは、5月16日に緊急声明を発表
 …〈この決定は誰の利益にもならない〉
 …〈ファーウェイが取引しているアメリカ企業に大きな経済的ダメージを与え、アメリカ国内の雇用に影響を与える〉
・同日、中国商務部の高峰(コウホウ)報道官
 …〈国内法に基づいて中国企業に対して一方的な制裁を実施することに、決然と反対する〉
・「エンティティ・リスト」に入ったことでファーウェイが最も受ける打撃
 →アメリカ製の半導体部品の供給が受けられなくなること
 …グーグルのOS「アンドロイド」:アームのCPU:クアルコムのコアチップ
・ファーウェイは自前で半導体の設計を行うべく、2004年、ハイシリコン(海思半導体)を設立
 →現在は本部機能を深センから上海に移し、2019年第一四半期売上げが世界5位、約1万人の社員
・ハイシリコンの名物女性経営者・何庭波総裁が、5月17日、全社員に向けて危機感溢れる激励文を一斉メール
 …〈いまがまさに、運命の暗黒の時。超大国が一片の情もなく、最も狂った決定を下した〉
 …〈今日は歴史の選択の日。我々が準備してきたものを、一夜にしてすべて表に出すのだ!〉
・5月21日、ファーウェイの任正非CEOも、中国広播電視総合(CCTV)で強気な発言
 …〈5Gの技術にかけては、他社は2年か3年の間は、全体にファーウェイに追いつけるものではない〉
 …〈我々も、アメリカ製のコアチップと同じレベルのものを作れる〉

■「中国の指定5社」
・すでに2018年夏から始まっていた、アメリカからの「ファーウェイ攻撃」
 →同年8月13日、トランプ大統領は、膨大かつ精緻な法律――国防権限法に署名
 →その核心は、中国とのハイテク覇権戦争における中国側の最大最強の「戦士」、すなわちファーウェイを撃滅すること
・次の2点に収斂
 →(1)2019年8月13日以降、「中国の指定5社」を、アメリカ公的機関の調達から排除する
 →(2)2020年8月13日以降、「中国の指定5社」と取引があるアメリカおよび世界の企業も、アメリカ公的機関の調達から排除する
・「中国の指定5社」
 →(1)ファーウェイ(華為技術)…世界最大の通信機器メーカー
  (2)ZTE(中興通訊)…世界4位(中国2位)の通信機器メーカー
  (3)ハイテラ(海能達)…世界最大の無線メーカー
  (4)ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)…世界最大の防犯カメラメーカー
  (5)ダーファ(浙江大華技術)…世界2位の防犯カメラメーカー

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