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新分野、最先端技術、新製品に臨む各社活発な取り組み&打ち上げ

秋の気配が日に日に濃くなる時節、恒例の各種展示会や各社販促イベントが控えているが、米中貿易摩擦インパクトが圧し掛かる中、振り払うかのように各社から活発な取り組み&打ち上げが続いている。5G、artificial intelligence(AI)など新分野は、戦々恐々のHuaweiを巡る駆け引きが引き続く中での活路を見い出す動きが続く様相に映っている。AlibabaからはAI半導体が披露されている。Samsungからは0.7µm画素イメージセンサが披露される一方、TSMCの7-nm半導体が本年後半の業績を戻す期待となっている最先端微細化の現時点である。Appleは最新「Mac Pro」の生産を、米中摩擦の中、米国での生産を維持する決着を行っている。

≪摩擦勘案の各社取り組み≫

現下の引き続く各社取り組みから、まずAppleであるが、一時は中国に移すとしていた最新「Mac Pro」の生産を米国で引き続き行っていく決着である。

◇Apple to make new Mac Pro in Austin after securing tariff waivers (9月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Appleが、Washingtonとの掛け合いであるコンポーネントについての関税waivers確保後、同社の新しいMac ProをAustin, Texasでつくることを確認の旨。

◇Apple、「Mac Pro」の米国生産を維持、中国移管見送り (9月24日付け 日経 電子版 06:00)
→米アップルは23日、今秋発売予定のデスクトップパソコンの最上位機種「Mac Pro」の次期モデルを現行モデルと同じ米テキサス州オースティンで生産すると発表、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が6月末にアップルが次期モデルの生産を中国に移すと報じ、アップルも追認姿勢を示していたが、一転して米国生産を維持することで決着した旨。

Qualcommは、Qualcomm 5G Workshopイベント、The Future of 5Gにて、5Gの将来は同社技術に乗っかかっていく、とワイヤレス半導体の老舗ならではの訴えかけである。一方、同社はHuaweiへのmicrochips供給再開を明らかにしている。

◇Qualcomm: the Future of 5G Flows on its Innovations (9月25日付け EE Times)
→Qualcommのheadquarters(San Diego)でのgrandイベント、Qualcomm 5G Workshop:The Future of 5Gにて、同社executivesが数10年前に5Gの種子が如何に育まれたかを思い起こし、5Gの将来は同社技術に乗っかかると謳った旨。同社CTO、Jim Thompson氏および同社R&Dおよび製品headsなど講演者は、EV-DO(Evolution Data Only)が最初にワイヤレスインターネットの基本概念を導入した1990年代、今日5Gで用いられるOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多重接続)などの技法をもたらしたLTE(Long Term Evolution)、そして5Gの将来を焚きつけるdirect device-to-deviceなどの概念に時空旅行させた旨。

◇Qualcomm says it's flogging its components to Huawei again-Qualcomm resumes component sales to Huawei (9月25日付け The Inquirer (U.K.))
→Qualcommはまた再びHuawei Technologiesへmicrochipsを供給している、と同社CEO、Steve Mollenkopf氏。「どの米国の会社も貿易規制にある程度まで従っているが、実際QualcommはHuaweiへの供給を再開しており、今後継続供給を確かにしようとしている。」と付け加える同氏。

次にSamsungについて、業界初、0.7μm-pixelモバイルイメージセンサの投入、次世代パネルへの1兆円投資、そしてSolid State Drive(SSD)でのkey value(KV)スペック抜け駆け対応、と新領域打上げが以下の通りである。

◇Samsung's new camera sensor has the tiniest pixels ever-Samsung unveils camera sensor with 0.7-micron pixels-This one goes to 0.7µm (9月23日付け The Verge)
→Samsung Electronicsが、0.7-micron pixelsのイメージセンサを投入、スマートフォンカメラ向けにずっと高い解像度が得られる旨。該ISOCELL Slim GH1センサは、43.7 megapixelsの旨。

◇Samsung Introduces Industry's First 0.7μm-pixel Mobile Image Sensor (9月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)

◇Samsung introduces 0.7-micron-pixel mobile image sensor (9月25日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、0.7-micrometer-pixelイメージセンサ, 43.7-megapixel(Mp) ISOCELL Slim GH1を投入、先端ISOELL Plus技術が奏功、該新超高解像度GH1イメージセンサは、小型パッケージに43.7-million 0.7-micron-sized pixelsを受け入れの旨。

◇Samsung Display plans $11 billion investment in South Korean LCD plant: report (9月24日付け Reuters)
→聯合ニュース、火曜24日発。Samsung Displayが、より先端のscreensを製造できるよう韓国liquid crystal display(LCD)工場格上げに向けて13 trillion won($11 billion)を充てる計画の旨。

◇サムスン、次世代パネルに1兆円投資 (9月27日付け 日経産業)
→韓国サムスン電子がテレビ向けの次世代パネルで1兆円規模の設備投資を計画している旨。韓国中部の工場に「量子ドット」と呼ぶ新型パネルの生産設備を導入する旨。液晶パネルでは中国企業が攻勢を強めており、付加価値の高い製品で価格競争を避ける狙いがある旨。

◇Samsung Steps up KV Spec with SSD Prototype (9月25日付け EE Times)
→Samsung Electronics Co., Ltd.が、key value application programming interface(KV API)に向けた新しいオープン標準ベースのSSD prototypeをもって抜け駆けの1社となっている旨。該APIは、最近Storage Networking Industry Association(SNIA)により承認され、SNIAスペックはストレージ動作をhost CPUからSSDに移す旨。

Intelからは、先端実装技術の取り組みが繰り返され、そして先端メモリ技術、Optaneおよび3D NAND技術開発の展開が韓国・ソウルでのイベントにてあらわされている。

◇Intel Updates Advanced Packaging Technologies at SEMICON West Part 3 (9月24日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
 →SEMICON West workshopは、プレゼンターがすべてIntelのAssembly Test Technology Development(ATTD)グループからということで稀であり、該セッションはCorporate VP、Babak Sabi氏によるATTDレビューで始まった旨。

◇Intel highlights new technology being developed at its New Mexico plant-Intel's Rio Rancho wafer fab will develop Optane tech (9月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ソウルが舞台、Intel社が木曜26日、同社Rio Rancho工場で開発された先端メモリおよびストレージ技術におけるmilestonesおよび投資を発表の旨。Intelは、Rio Rancho, New Mexico拠点で新しいOptaneおよびその関連の3D NAND技術開発ラインを動かす計画の旨。Optaneは、メモリとcentralあるいはmainプロセッサの間のデータを早めユーザにとって性能を高めるよう設計された新しい先端メモリ技術の旨。Santa Clara, Californiaのハイテク大手の同社は、該新技術によりcloud, artificial intelligence(AI)およびnetwork edge応用に向けたソリューションが得られる、としている旨。

◇Intel to launch 2nd gen Optane DC persistent memory 'Barlow Pass' next year-Intel preps Optane DC "Barlow Pass" memory for 2020 launch-Intel will launch its second generation Optane Data Centre Persistent Memory and SSD, as well as a 144-layer 3D NAND next year. (9月26日付け ZDNet)
→Intelが、第2世代Optane Data Center Persistent Memory, コード名"Barlows Pass"の来年市場投入に備えている旨。同社は、第四四半期に96-層3D NANDフラッシュメモリデバイスを出荷、2020年に144-層3D NANDフラッシュメモリが続いて、Optane "Alder Stream" solid-state drives(SSDs)に用いられる旨。

新分野に向けた半導体の取り組みとして、AlibabaからAI推論accelerator半導体が披露されている。

◇Alibaba unveils powerful AI Inference chip (9月26日付け EE Times)
→AlibabaのApsara cloud computing conference(Hangzhou, China[浙江省杭州市])にて本日。同社CTO、Jeff Zhang氏が、cloud向けAI推論accelerator半導体を披露、今日のGPUsのcompute powerの10倍が得られる旨。古代中国からの伝説の剣に因んだ該半導体、Hanguang 800を、Zhang氏は"世界で最も強力なAI推論半導体"と表わした旨。ResNet50-v1推論でのピーク性能が78,563 images/secに達し、500 images/second/wattのピーク電力効率の旨。TSMC 12-nmプロセスでつくられている旨。

MediaTekは、来年のhandsetモデルに向けた5G system-on-a-chip(SoC)デバイスを備えている。

◇MediaTek Readies 5G SoC for 2020-MediaTek's 5G SoC will be in 2020 smartphone models (9月25日付け Light Reading)
→MediaTekが、今年末前に同社5G system-on-a-chip(SoC)デバイスを出荷する計画、2020年投入のhandsetモデルに使える旨。該SoCは、7-nmプロセスで製造、sub-6GHz 5G周波数を扱う旨。

メモリ技術のRambusが、新分野に向けた先端メモリおよびSerDes PHYsを披露している。

◇Rambus unveils portfolio of advanced memory and SerDes PHYs-Rambus debuts memory and SerDes PHY IP (9月23日付け New Electronics)
→Rambusが、HBM2, GDDR6および112G LR PHY半導体に向けたintellectual property(IP)を投入、TSMCの7-nmプロセスで製造できる旨。該半導体は、5G, advanced driver-assistance systems(ADAS), artificial intelligence(AI), データセンター, machine learning, 高性能computingおよびnetworking応用に入っていく旨。

Huaweiを軸にいろいろなスタンスがあらわれている5G領域での動き、次の通りである。

◇ベトテル、ノキア5G採用、ファーウェイ使わず−エリクソン製も導入、来年商用化 (9月24日付け 日経 電子版 22:30)
→ベトナム通信最大手、ベトナム軍隊工業通信グループ(ベトテル)は次世代通信規格「5G」の機器について、ノキア(フィンランド)やエリクソン(スウェーデン)を採用することを決めた旨。2020年に商用サービスを始める旨。米国が圧力をかける中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)製品は見送る旨。ベトナム2位、3位はノキアなどと組んでおり、両社も見送りで追随する可能性がある旨。

◇英アーム、今後もファーウェイにライセンスを提供、中国メディアが報道 (9月26日付け YAHOO! JAPANニュース)
→ソフトバンク傘下の英アームが、米国から制裁を受けている華為技術(ファーウェイ)に対し、半導体アーキテクチャーのライセンスを今後も提供することになったと、複数の中国メディアが9月25日に伝えた旨。
新京報は9月25日夜の記事で、アームの幹部が「(ファーウェイが永久ライセンスを取得している)v8アーキテクチャーと、それに続く新しいアーキテクチャーは、どちらも英国の技術に基づいて開発されており、米国の法規的な影響を受けない」と発表したと報じた旨。

◇Huawei says it has begun producing 5G base stations without U.S. parts (9月26日付け Reuters)
→Huawei Technologies Co Ltdが、5G基地局の米国製コンポーネントなしでの製造を開始、ますます多くの国々が該技術を導入、5G基地局の全体生産は来年倍以上になる旨。

上のIntelでも示したが、先端実装の各社取り組みの現状である。

◇The Race To Next-Gen 2.5D/3D Packages-Intel, TSMC, others advance 2.5D/3D IC packages-New approaches aim to drive down cost, boost benefits of heterogeneous integration. (9月23日付け Semiconductor Engineering)
→Intel, TSMCなどの半導体メーカーが、2.5Dおよび3D IC実装技術を改善、copper-to-copper hybrid bonding interconnectsに向かっている旨。
「いくつかの機関&各社が、20μm to 10μmそして以下のpitchesに向けてdirect bond interconnectあるいはhybrid bonding採用を計画している。」と、TechSearch Internationalのpresident、Jan Vardaman氏。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中摩擦の実態データ、そして両国へのインパクトが、引き続きあらわされている。

◇Chinese theft of trade secrets on the rise, the US Justice Department warns-Trade secret theft rising in China, says Justice Department (9月22日付け CNBC)
→通商秘密窃盗を示す事例がますます多くなってきており、大方が中国関連、と米国Deputy Assistant Attorney General、Adam Hickey氏。2012年以降該departmentのNational Security Divisionがもたらす経済スパイ活動事例の80%を上回って中国関連、その度合いが近年高まってきている旨。

◇貿易と投資、同時減速、米中摩擦で製造業に影 (9月23日付け 日経 電子版 23:00)
→世界景気の変調を示す指標が増えている旨。貿易戦争による企業心理の悪化で、米国で製造業の景況感が3年ぶりに「不況」に転落した旨。中国はIT分野を中心に生産が急減速する旨。金融危機後、10年越しの回復局面にあった世界経済は貿易と投資の同時減速に見舞われる旨。景気が下振れするかは、いまのところ底堅い消費と雇用の耐久力にかかっている旨。

◇U.S. business investment downturn could pressure slowing economy-US business investment takes bigger drop than estimated (9月26日付け Reuters)
→米国商務省最新データ。第二四半期の米国における事業投資の落ち込みが当初見積もりより鋭かった旨。冷めた企業利益の伸びと合わせてその縮退は、消費者支出が経済の伸びを保つに十分かどうか、疑念を生じている旨。

Huawei装置を購入した米国顧客に切り換えを促す資金支援の動きである。

◇U.S. lawmakers propose $1 billion fund to replace Huawei equipment-Bipartisan House group seeks $1B to replace Chinese gear (9月24日付け Reuters)
→中国ベンダーから装置を購入するいくつかのワイヤレスプロバイダーが、金曜27日に聴聞会をもつ予定のHouse Committee on Energy and Commerceからの超党派lawmakersグループが提案している対策のもと、該装置切り換えに$1 billionを受け取る旨。上院で投入されたものに似た該法案は、ZTEおよびHuawei Technologiesの顧客により国家セキュリティinterestsを保護する狙いの旨。

◇U.S. lawmakers propose $1 billion fund to replace Huawei equipment (9月25日付け Reuters)

米中摩擦の資本市場への広がりの動きがあり、一層の焚きつけの可能性がある。

◇米中摩擦、資本市場に飛び火、米強硬派が中国外し要請 (9月24日付け 日経 電子版 23:23)
→米中摩擦が株式投資や新規上場といった資本市場に広がってきた旨。対中強硬派の議員は米公的年金に中国株投資を見合わせるように要請、米上場の中国企業には監督強化の流れが強まる旨。一方の中国は規制緩和で自国に海外マネーを呼び込む戦略に傾く旨。貿易と先端技術の争いが金融に及べば米中マネーの往来が滞り、経済を下押しする恐れがある旨。

◇トランプ政権が対中証券投資の制限検討、米報道 (9月28日付け 日経 電子版 01:59)
→トランプ米政権が米国から中国への証券投資の制限を検討していることが分かった旨。米メディアが27日報じた旨。米市場に上場する中国企業の上場廃止も検討している旨。政権内の議論はまだ初期段階とされるが、実際に規制に動けば中国を含む世界の金融市場に大きな影響を及ぼし、米中対立が一段と激しくなる可能性がある旨。

米中閣僚級協議、10月開催の予定である。

◇China trade talks are set to resume on Oct. 10 (9月26日付け CNBC)
→米国と中国の間の貿易協議が10月10-11日Washingtonで再開予定、と該協議に密着した3人発。

【日韓摩擦関連および日米貿易合意】

日韓政府間の対立が続く中、Samsungの対日本スタンスそして韓国向けフッ化水素輸出のデータである。

◇Samsung and Japan suppliers steadfast in keeping ties, for now -Report: Samsung maintains links with Japanese suppliers -Risk for future of 'semiconductor coalition' remains amid prolonged political discord (9月23日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→Samsung Electronicsが、日本と韓国の間の通商衝突にも拘らず、半導体およびディスプレイ材料の日本のサプライヤとのconnectionsを持続の旨。該日本のメーカーはSamsungに対し、通常のpaperworkが完了される限り供給および通商の現状が維持される、と知らせている旨。

◇韓国向けフッ化水素、輸出ゼロ、8月貿易統計 (9月27日付け 日経 電子版 10:37)
→財務省が27日発表した8月の貿易統計(確報)によると、半導体製造に使うフッ化水素の韓国向け輸出が数量、金額ともにゼロとなった旨。前年同月は3378トン、2年前の8月は2590トンを輸出していた旨。日本政府は7月4日から、フッ化水素など半導体材料3品目の韓国への輸出管理を厳格化、その影響が統計でも裏付けられた旨。

米中および日韓の摩擦の渦中、日米貿易協定の方は、車の追加関税回避を確認して合意&締結に至っている。

◇U.S.-Japan trade deal hits snag as Tokyo seeks assurances on car tariffs-Car tariffs reportedly hinder US-Japanese trade deal (9月24日付け Reuters)
→日本側officialsが日本製自動車および自動車部品に国家セキュリティ関税を米国側が課さないという保証を求めて、日米貿易合意を完了させる奮闘がつまづいている旨。

◇日米貿易協定、閣僚級で最終合意、茂木氏「全交渉終了」 (9月24日付け 日経 電子版 10:16)
→茂木敏充外相は23日夜(日本時間24日午前)、日米貿易交渉を巡って米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と会談、茂木氏は会談後の記者会見で「交渉をすべて終了し、きょう合意した」と述べ、最終合意に達したことを明かした旨。安倍晋三首相が25日(日本時間26日)にトランプ米大統領との首脳会談で交渉妥結を正式に確認する旨。

◇Trump, Abe ink trade deal as U.S. withholds auto tariffs for now-US, Japan sign limited bilateral trade deal (9月25日付け BNN Bloomberg (Canada))

◇米国向け車関税「撤廃」明記へ、貿易協定、時期示さず (9月25日付け 日経 電子版 02:00)
→日本政府が米国と妥結を目指す貿易協定をめぐり、米国向けの自動車や自動車部品の関税について撤廃する方針を明記する方向で最終調整していることが分かった旨。撤廃の時期は明示せず、米国と協議を継続する旨。事実上の先送りとなるが、日本側は将来の関税撤廃の布石にしたい考え。

◇Trump announces limited trade pact with Japan (9月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→日米の該取引により、アメリカの牛肉、豚肉、小麦、チーズ、アーモンド、ワインなどの製品に対する日本の障壁が下がる一方、日本のタービン、機械装置、自転車、緑茶、花などの製品についてのアメリカの関税が削減される旨。

◇車の追加関税回避を確認、日米首脳、貿易協定締結へ (9月26日付け 日経 電子版 05:23)
→安倍晋三首相とトランプ米大統領は25日午後、米ニューヨークで日米貿易協定の締結で合意、日本側によると、両首脳は米国による自動車への追加関税の回避を確認した旨。自動車や自動車部品の関税撤廃は先送りし、農産品は米国産牛肉や豚肉を環太平洋経済連携協定(TPP)と同水準に下げる旨。トランプ氏は新たな貿易交渉に意欲を示した旨。

【SiC半導体工場】

LED半導体のCree社(North Carolina)が、米国ニューヨーク州での$1 billionのSiC半導体製造工場への投資を発表している。2015年9月にオーストリアの半導体メーカー、ams AGが工場建設計画を打ち上げた場所と同じかと思われる。

◇$1 billion semiconductor plant to be built in Mohawk Valley (9月23日付け Albany Business Review)
→Cree社(North Carolina)が本日、Utica近くのMarcyでの新しい半導体製造工場に$1 billionを投資する計画を発表の旨。該ニュースは、オーストリアの半導体メーカー、ams AGが、Marcyにおける該siteでのcomputer用半導体工場建設で$2 billionを投資する計画をもらしてから約3年となる旨。そのプロジェクトは1,000 jobs創出が見込まれた旨。

◇Semiconductor company Cree to invest $1B in upstate NY plant-Semiconductor company plans $1B plant in N.Y. (9月23日付け The Associated Press)
→半導体メーカー、Creeが、世界最大のsilicon carbide(SiC)製造工場をUtica, N.Y.近くに建設する計画、該$1 billion拠点の取り組みは2022年に完了予定、漸次従業員600人になっていく旨。

◇Cree plans $1B semiconductor plant in Marcy (9月23日付け Times Union (Albany, N.Y.))

【台湾ファウンドリー関連】

UMCが、Mie Fujitsu Semiconductor Limited(MIFS)(三重県桑名市)の完全買収を完了している。

◇UMC Receives Final Approval for 100% Acquisition of Mie Fujitsu Semiconductor (9月25日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→United Microelectronics Corporation(UMC)が、前UMCとFujitsu Semiconductor Limited(FSL)の間の300-mmウェーハファウンドリー合弁、Mie Fujitsu Semiconductor Limited(MIFS)の完全買収について、関係するすべての政府当局からの最終承認など完了条件すべてを満足した旨。該買収の完了は、2019年10月1日予定の旨。

◇UMC gets green light for Mie Fujitsu acquisition-UMC proceeds with purchase of Mie Fujitsu (9月26日付け The Taipei Times (Taiwan))

一方、TSMCは、業界最先端7-nm半導体の受注が旺盛で、本年後半の売上げを大きく回復させる予測となっている。

◇TSMC's Leading-Edge Fab Investments Set Stage for Sale Surge in 2H19-World's largest foundry benefits from increasing demand and tight supplies of 7nm devices. (9月25日付け IC Insights)

◇Big pay-back for TSMC capex-TSMC's heavy investments in advanced wafer-fab technology are set to pay off significantly as it continues the production ramp of 7nm ICs in the second half of this year, according to an analysis in IC Insights’ September Update to the 2019 McClean Report. (9月26日付け Electronics Weekly (UK))

◇TSMC leading-edge fab investments set stage for sale surge in 2H19-IC Insights: TSMC's capital spending revives 2019 revenue (9月26日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。TSMCの先端製造技術への投資継続により、Apple, Huawei Technologiesなどの顧客からの7-nm半導体発注でいまや配当が得られてきている、と特に言及の旨。2019年売上は2018年並みである一方、今年後半の売上げは前年同期比32%増と予測する旨。

【中国半導体市場】

来年には中国が半導体製造装置の国・地域別最大購入元になるというSEMIの見方である。

◇China Poised to Lead in Chip Equipment Spending (9月23日付け EE Times)
→SEMI発。半導体製造装置市場は、中国がメモリICsなど新製品に向けた生産装置spendingを高めて活性化、来年は回復する様相、中国が期待される装置を購入すれば、史上初めて中国が世界最大のfab tools購入元になる旨。

米中摩擦の渦中での「中国製造2025」の実態があらわされている。

◇「中国製造2025」は封印、目立たぬように技術開発−中国70年目の試練(2) (9月24日付け 日経 電子版 23:00)
→「全面的な量産体制確立を急げ」。中国内陸部、湖北省武漢市郊外に紫色を配した真新しい巨大工場がそびえ立つ。中国の国家主席、習近平(シー・ジンピン、66)の母校、清華大学傘下の半導体大手、紫光集団(Tsinghua Unigroup)の子会社、長江存儲科技(長江メモリー・テクノロジーズ:Yangtze Memory Technologies:YMTC)。紫は清華大のイメージカラー。
原油を超える年3千億ドル(約32兆円)以上を輸入する半導体は中国の「弱点」。2018年、米企業との取引を断たれた国有通信機器大手、中興通訊(ZTE)は半導体を調達できずに白旗を揚げた。米中貿易戦争が長期化するなか、長江メモリーへの期待が高まる。
「中国製造2025を口にするな」。習側近がひそかに命じたのは米中対立が激化した2019年初めのこと。・・・・・

グローバル半導体業界販売高の本年の落ち込みの推移の中、中国は昨年比では弱いものの安定した伸びの販売高という台湾発の見方である。

◇China semiconductor revenues increase 11.8% in 1H19, says Digitimes Research (9月26日付け DIGITIMES)
→Digitimes Researchのfigures発。本年前半のグローバル半導体業界の需要弱含みにも拘らず、中国の半導体業界は販売高が前年同期比11.8%増、引き続き安定しているが、2018年前半よりは依然伸びが弱い旨。


≪グローバル雑学王−586≫

米中貿易戦争の渦中にあって、日々世界政治&経済の慌ただしい動きに注目させられているが、キーワードとなるHuaweiそして5Gについて、まずは、

『米中貿易摩擦と中国ハイテク産業の現状』
 丸川 知雄(東京大学社会科学研究所教授) 『學士會会報』No.938 2019-V

より現状の概要を知り、次回から新書で詳細に入っていくことにする。中国の技術進歩に歯止めをかけるための米国の追加関税措置。中国における特許出願件数の2001年から2017年の急激な伸び、そして国際出願数で中国が米国に急迫する現時点。そしてなにより、ファーウェイが5Gの標準基本特許の約15%を保有していて世界トップ、対して日本の電機産業は5%弱、となると米国のみならず我が国もうかうかしてられない事態に改めて気づかされるところである。ファーウェイの「1+8+N」戦略とあるが、台湾の産官学共同活動、人材育成に向けたプロジェクト「5+2 Industry Transformation」(以下参照)に似た表現の響きを感じている。
(注)“5 Pillar Industries”…Internet of Things
           (“Asia・Silicon Valley”とも)
            Biomedical
            Green Energy
            Smart Machinery
            Defense
  “+2”       …“new agriculture”
            “circular economy”


■中国が世界のハイテク覇権を握る?
・2018年ににわかに激しくなった米中貿易摩擦
 →21世紀のハイテクの覇権をめぐる争いでも
・アメリカが中国をたたくのに用いている追加関税
 →中国からの輸入を減らすだけでなく、中国の技術進歩に歯止めをかけることを目的
・そもそもアメリカが世界中の顰蹙を買ってまで抑えつけなければならない
 ほど中国のハイテクの発展はすごいのだろうか
・中国自身もアメリカから急にライバル視されたことに戸惑っている
 →2015年に公布された中国のハイテク産業政策「中国製造2025」
  →自国の産業は「規模ばかり大きくて、力は強くない」と総括
  →目標は建国100周年の2049年までに世界の製造強国の最前列に立つ、というもの

■技術指標と先端分野
・技術開発の活発さを示す指標として特許の出願件数
 →2001年の中国における特許出願件数は6万件、約半分が国外からの出願
 →2017年には138万件(うち国内からの出願が125万件)
  →アメリカ(61万件)や日本(32万件)に大差をつけて世界1位
・2017年の中国の国際出願数は4万8882件
 →初めて日本を抜き、アメリカ(5万6624件)に次いで世界第2位
・スーパーコンピュータや宇宙開発は軍用技術の側面
 →各国で独自の体系を作っているので、国際市場で競争することは少ない
・アメリカが中国たたきを演じているのはむしろ民生分野
 →攻撃のターゲットにしているのはファーウェイ(華為)とZTE(中興)
 →いずれも通信機器やスマホを生産する中国メーカー

■ファーウェイとZTEへの攻撃
・ファーウェイとZTEは、特許の国際出願数においてここ何年も続けて世界のトップ3社入り、中国を代表するハイテク企業
 →FCC(連邦通信委員会)は2018年に米国内の通信事業者がこの2社の機器を使うことを事実上禁じる措置
 →アメリカ企業がこの2社に製品を売ることを禁ずる制裁
・ファーウェイもZTEも、スマホのICには米クアルコム社、OSには米グーグル社のものを使用
 →これらが調達できなくなることは死活問題
 →ZTEは、2018年4月に窮地に陥り、なんとか禁輸から罰金に「減刑」してもらって命拾い

■ファーウェイの実力
・ファーウェイに対する禁輸措置は、2019年5月に発動
 →自前の備えはあるが、今まで使っていたICやOSが使えなくなることの打撃は大
 →ファーウェイの任正非CEOは、2019年の売上げが前年並みに留まるとの見通し
・ファーウェイはこれまでも会社の存続に関わる試練をたびたび経験
 →その都度研究開発に力を注ぐことで難局を乗り切ってきた
 →2018年も売上げの14%を研究開発に投じ、全従業員の45%にあたる8万人以上が研究開発に従事
・ファーウェイは5Gの標準基本特許の約15%を保有していて世界トップ
 →5Gは大量のデータを遅延することなく通信できる技術
  …自動運転やVR(仮想現実)/AR(拡張現実)などさまざまな技術への応用が期待
・ファーウェイの「1+8+N」戦略
 …「1」はスマートフォンのことで、すべての5G機能のセンターとなるのはスマホだという考え。
  「8」は、パネル、ウエアラブル、ハードディスク、パソコン、イヤホン、VR(仮想現実)、AIスピーカー、自動車機器で、5G技術が一次的に応用される主な領域。
  「N」(ナンバーの意)は、スマートホーム、スマートシティの無数の応用分野を指す。
・ファーウェイのスマホ工場の印象は鮮烈
 →全長120mの生産ラインで基板作りから最終製品の箱詰めまで一気通貫で作ってしまう
 →1ラインには17名の作業員がいるが、全員一流大学の卒業生、彼らの提案によって作られた数々のカラクリ
・日本の電機産業は5Gの標準基本特許の5%弱を保有するのみ
・急成長する中国に対する我々の認識を絶えず更新していかなければならない
 →損をするのは我々自身

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