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貿易摩擦の渦中、スマホ&新市場拡大に向けたM&A、新分野への備え

ともに治まるのに時間がかかりそうな米中および日韓の貿易摩擦の渦中にあって、次の市場拡大&成長を目指して、大手プレーヤーのM&A(企業の合併・買収)が見られるとともに、5G(第5世代移動通信システム)、AI(artificial intelligence)など新分野に備える各社の動きが一層熱を帯びており、メモリはじめ低迷材料の多い半導体業界には活性化に向けて一際の奮闘が求められる中である。M&Aではアップル、インテル、そしてマイクロソフトの名前が挙がる一方、5G、AIはじめ新分野の半導体製品化に向けてTSMC、Samsungなどの取り組みが続いている。

≪次の拡大&成長に向けて≫

アップルがインテルからスマートフォン向け通信半導体事業を買収する話し合いが進んでいる、と注目再燃、以下の通りである。

◇Report: Apple mulling $1B deal for Intel modem business (7月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Wall Street Journal発。Intel社が、同社スマートフォンmodem事業をApple社に売却する話し合いに戻っている旨。unnamed筋を引用、該取引にはintellectual property(IP)並びにスタッフが含まれ、$1 billion以上の規模の旨。

◇Apple is reportedly in 'advanced' talks to buy Intel's modem division for $1 billion or more-Sources say Apple, Intel talk modem chip unit sale (7月22日付け CNBC)
→The Wall Street Journal発。Appleが、Intelのスマートフォン用modem半導体部門を少なくとも$1 billionを買収する取引完了に近づいており、該合意には同社の特許および従業員が含まれる旨。Intelは該事業で年に約$1 billionを失っている一方、Appleには5G半導体開発が高められる旨。

◇Apple in Advanced Talks to Buy Intel’s Smartphone-Modem Chip Business -IPhone maker would pay $1 billion or more for Intel patents, staff (7月22日付け The Wall Street Journal)

◇Apple in advanced talks to buy Intel's smartphone-modem chip business: WSJ (7月23日付け Reuters)

◇アップル、インテルと通信半導体の買収交渉、米紙報道 (7月23日付け 日経 電子版 07:28)
→米アップルが米インテルからスマートフォン向け通信半導体事業を買い取る交渉を進めていることが22日、明らかになった旨。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた旨。買収額は10億ドル(約1100億円)超になる旨。アップルは、高速通信規格「5G」への対応を断念し撤退を決めたインテルから知的財産や人材を取り込むことで、通信半導体の自社開発を続ける狙いとみられる旨。
アップルは米通信半導体大手、クアルコムへの依存を避けるため、主力の「iPhone」について2016年から同社に加え、インテルからも通信半導体の供給を受けてきた旨。ただ、インテルはパソコンやデータセンター向けの半導体を主力としており、スマホ分野ではアップル以外の有力な顧客企業を獲得できず収益は低迷していた旨。

間を置かず、$1 billionでの取引内容が次の通りあらわされている。アップル自社でのmodem半導体開発に今後の注目である。

◇In $1B deal, Apple buys Intel modem business, adds 2,200 employees (7月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ずいぶんな噂&憶測を経て、Apple社がIntel社のスマートフォンmodem事業を$1 billionの取引で買収の旨。該取引の一部として、約2,200人のIntel従業員がAppleに加わる、と木曜25日のリリースにて。Appleはまた、このビジネスにつながるintellectual property(IP), 装置およびリースを獲得、該取引は第四四半期に完了予定の旨。

◇Apple to Buy Intel's Modem Business for $1 Billion (7月26日付け EE Times)

◇Apple pays $1 billion for Intel unit in push for chip independence-Apple to buy majority of Intel modem unit for $1B (7月26日付け Reuters)
→Appleが、Intelのmodem部門の大方に$1 billionを支払うことで合意の旨。Appleのワイヤレス技術特許は該取引が完了すると全部で17,000件、そして約2,200人の従業員がIntelからAppleに移る旨。

もう1つ、AI技術展開関連でマイクロソフトがOpenAI(San Francisco)へのこれも同額$1 billionの出資が以下の通りである。OpenAIは、テスラの共同設立者およびCEOなどで知られるElon Reeve Musk氏が共同創設の会社である。

◇S.F. startup lands $1B from Microsoft to build super AI (7月22日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Microsoft社が、OpenAI(San Francisco)とmultiyear $1 billion投資合意締結、両社は、AI技術の領域を広げる動き、Microsoftのcloud上でcomputationalプラットフォームを構築する旨。

◇Microsoft invests $1 billion in artificial intelligence project co-founded by Elon Musk-Musk's OpenAI gets $1B investment from Microsoft (7月22日付け CNBC)
→Microsoftが、より複雑なtasksを攻略できるartificial intelligence(AI)を構築するために、Elon Musk氏のOpenAIに$1 billionを出資の旨。

◇Microsoft to invest $1 billion in OpenAI (7月22日付け Reuters)
→Microsoft社が月曜22日、OpenAI(San Francisco)に$1 billion出資、該2社は、MicrosoftのAzure cloud computingサービス上でartificial intelligence(AI) supercomputing技術を開発するmulti-year連携を形成の旨。

このような注目すべきM&Aとともに、5G、AIはじめ新分野の活性化に向けた各社の取り組みが展開されている。

TSMCは、5G対応には最先端微細化が引っ張っていく、と盛り上がり期待の前倒しである。

◇TSMC speeds up 5-nanometer chip manufacturing process due to 5G demand-TSMC sets 5nm volume production for 2020, due to 5G demand (7月19日付け VentureBeat)
→半導体の需要全体は2019年にいくぶん落ちていくかもしれないが、TSMCは初期5G機器の売上げからcutting-edgeプロセッサの需要増加を見ており、予定より"少し"早めにより進んだ技術の展開に備えている旨。

◇TSMC Sees 5G Driving Strong Demand for 7nm (7月22日付け EE Times)
→TSMCが、世界中で5G開発が加速、5-nmおよび7-nmの需要が先の予想より改善すると見ている旨。同社第二四半期業績発表にて、需要が力強いのでfull-year capital expenditure(capex)を$11 billionを上回る水準、2019年当初目標のhigh endにもっていく備えの旨。

今後の市場展開にはやはりメモリ技術が欠かせないと、サムスンはじめ関係各社のいろいろな切り口での取り組み&考え方が続いている。

◇LPDDR5 Pushes Power Down as Performance Demands Multiply-Samsung's LPDDR5 chip anticipates 5G, AI impact on premium smartphones (7月22日付け EE Times)
→12-GB LPDDR4Xの量産を発表してから僅か5ヶ月、Samsungの12-Gb LPDDR5モバイルDRAMも量産のゲートをくぐり抜けており、5G-capableであり、artificial intelligence(AI)応用を動かす見込みのpremiumスマートフォン向けの旨。

◇Using Memory Differently To Boost Speed-Memory tech evolves for use of AI, big data-Getting data in and out of memory faster is adding some unexpected challenges. (7月22日付け Semiconductor Engineering)
→artificial intelligence(AI)およびビッグデータanalyticsの優先順位があらわれてきて、メモリ技術における大きな変化を引っ張っている旨。
「AIシステムのエネルギー効率は非常に重要であり、メモリに行く必要がある毎に大量のデータを取り戻せる方法でモデルおよびtrainingデータをarrangeしたくなってくる。」と、Rambusのfellow and distinguished inventor、Steven Woo氏。

◇Chipmakers stepping up transition to 96-layer 3D NAND process-Sources: 96-layer 3D NAND process transition ramps up (7月22日付け DIGITIMES)
→業界筋発。半導体メーカーが96-層3D NANDフラッシュプロセス技術への移行を加速しており、該技術が来年半導体製造の主流に疾走、歩留まり改善しようとしている旨。96-層3D NANDの業界outputは2020年に64-層outputを追い越す見込み、と特に言及の旨。

◇Applied Materials intros high-volume manufacturing tools for new memory technologies-Applied debuts IC gear for emerging memory types (7月24日付け DIGITIMES)
→Applied Materialsが、Enduraプラットフォームの新バージョンを投入、emergingメモリ半導体技術のhigh-volume製造用の旨。同社曰く、magnetoresistive random-access memory(MRAM)製造用に5つの顧客から受注する一方、8つの顧客がReRAMおよびPCRAM半導体製造用にシステム発注している旨。

サムスンは、不具合発生で遅れていた折り畳みスマホの9月発売を発表している。

◇サムスン、折り畳みスマホ、9月発売=不具合修正で5カ月遅れ (7月26日付け JIJI.COM 04:46)
→韓国サムスン電子は25日、不具合のため発売を延期していた折り畳み式スマートフォン「ギャラクシー・フォールド」について、一部の市場で9月から発売すると発表、サムスンによれば、製品の開閉部分を補強するなどの改善を施し、「9月の発売に向けて現在最終的な製品試験を実施中」の旨。当初予定の4月から約5カ月遅れの発売となる旨。

IoT(Internet of Things)についても、新しい周波数領域を狙った新たな競合2社の出現である。

◇IoT Nets Eye LoRa, NB-IoT-Iota, Anterix plan licensed 800- to 900-MHz networks (7月23日付け EE Times)
→LoRaおよびNarrowband IoT(NB-IoT)を越えた移行、新たな競合2社がまだ見られていないspaceを見ている旨。Iota CommunicationsおよびAnterixが、Internet of things(IoT)に向けた新しいlicensed networks創出で800- to 900-MHz帯spectrumを購入の旨。該ライバル2社は、該sub-gigahertz spectrumの部分再編に向けて米国Federal Communications Commission(FCC)での仕事をテコ入れの旨。

◇Iota, Anterix Plan Licensed Sub-Gigahertz Networks-Two companies are buying licensed 800- to 900-MHz spectrum to create new wide-area networks for the Internet of things. (7月24日付け EE Times India)

5G半導体の市場概観があらわされている。

◇Chipmakers keen to roll out power-saving 5G chip solutions-Sources: Energy-efficient 5G chips are in demand (7月23日付け DIGITIMES)
→業界筋発。性能およびパワーが5G半導体設計の上でカギとなる考察点であり、顧客は高いエネルギー効率の5Gシステムを欲している旨。HiSilicon Technologies, MediaTek, Qualcomm, Samsung ElectronicsおよびUnisoc Communicationsなどのベンダーが、5G半導体市場シェアを競っている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中摩擦による市場インパクトが、いくつかの切り口でそれぞれにあらわれている。

◇Chinese Money in the U.S. Dries Up as Trade War Drags On-Chinese investment in US slips as trade dispute continues (7月21日付け The New York Times)
→Rhodium Group発。米国と中国の間の貿易係争で、2016年から2018年の間に米国への中国の投資が88%減った旨。Silicon Valley startups, Manhattanの不動産分野および州政府などが影響を受けている旨。

◇What Role does the US-China Trade War Play in the Semiconductor Downturn? (7月22日付け 3D InCites)
→米中貿易戦争が、半導体業界で働く者にとって最重要である旨。現状の低迷のどれくらいの責任があるか? どんなインパクトが業界に及ぶか?
最近のSEMICON Westで大きな話題であったことは驚きでない旨。

◇苦戦!シェア20%→0.8% 韓国サムスン「最後のスマホ工場」中国撤退か −「最後のスマホ工場」で大規模リストラ (7月24日付け FNN.jpプライムオンライン 06:40)
→中国広東省にある恵州サムスン電子は今月、公式サイトで従業員向けに他の中国メーカーなどの合同企業就職説明会を行うと発表、さらに公式サイトには地元企業の紹介などが載せられており、業界では大規模リストラの予兆と捉えられている旨。

◇米中貿易摩擦、米消費者の負担大きく、内閣府報告書 (7月26日付け 日経 電子版 16:00)
→内閣府は26日公表した報告書「世界経済の潮流」で、米中貿易摩擦の影響を検証した旨。米国による追加関税品目のうち、中国からの輸入製品が占める割合(対中依存度)は発動済みの第3弾までで2割、検討中の第4弾で4割に達する旨。中国以外の国や地域からの輸入で代替する難しさが増すうえ、携帯電話など生活に身近な品目も増え、米国の消費者の負担が重くなると分析した旨。

米国での動きの1つとして、アップルが中国からのある輸入製品についての関税免除を求めたが、Trump政権は拒否している。

◇Apple asks Trump administration not to raise tariffs on Magic Mouse and Magic Trackpad (7月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Apple社(Cupertino)がTrump政権に対し、中国からの輸入製品に対する25%関税に特別例外を設けるよう要求、Magic Mouse 2, Magic Trackpad 2, および13の他のコンポーネントは、米国で製造できないからとしてそのような高関税化対象に含めるべきでないとの主張の旨。

◇Trump rejects Apple's request for tariff relief, warns Google about its relationship with China (7月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Trump政権が、Mac Pro向けに設計されたいくつかの中国製partsについてのAppleの関税救済の要求を拒絶の旨。「米国で作れ、関税はない。」と、Donald Trump大統領が金曜26日付けtweetにて。

中国での動きとして、インパクトの一方、自立立て直しに向かう取り組みが見られている。

◇China opens up finance sector to more foreign investment-China accelerates rule relaxation for foreign investors (7月21日付け Agence France-Presse)
→中国が土曜20日、金融分野での海外投資制限を緩和、該世界第2位の経済圏は成長鈍化および米国との損害の多い貿易戦争を戦っている旨。

◇中国新市場「科創板」が取引開始、ハイテク25社上場 (7月22日付け 日経 電子版)
→中国の新しい株式市場「科創板」の取引が22日、上海で始まった旨。技術革新を牽引する企業の育成を目的に習近平(シー・ジンピン)国家主席の提唱で準備が進み、半導体や車載電池をはじめハイテク関連の25社が上場した旨。輸入に頼っていた半導体などの国産化を後押しし、米国との対立長期化に備える旨。

◇中国企業の1〜6月、低迷続く、純利益2%増どまり (7月24日付け 日経 電子版 18:00)
→中国企業の業績が低迷している旨。24日までに開示された約1700社の2019年1〜6月期の純利益見込みは前年同期比2%増にとどまった旨。習近平指導部が景気底割れを防ぐため打ち出した公共投資増の恩恵を受けて建機やセメントなどが堅調な一方、自動車や小売りなど消費関連の不振が長引く旨。米中摩擦も長期化しており、企業業績は今後も伸び悩みそうな旨。

◇中国製造2025、ロボ国産に力、産業高度化めざす −国内シェア2025年までに7割、中核技術は不足 (7月24日付け 日経 電子版 02:00)
→中国の製造現場で人手不足と人件費上昇が深刻になっているのを背景に、自動化やIT化が広がり始めた旨。政府はハイテク産業育成策「中国製造2025」で、工場でのロボット導入を支援して産業の高度化を進めるとともに、ロボットの国産比率の向上にも力を注ぐ旨。中国では足元で工作機械などの需要が落ち込むが、長期的には市場拡大が見込まれる旨。ただ中核部品を日本製に頼るなど国産化の推進には壁も高い旨。

Huawei関連は一層多面的な動きとなっているが、まずは英国の5GにおけるHuaweiである。

◇Huawei in UK 5G: It's Ethics and Politics (7月22日付け EE Times)
→2つの英国政府委員会が先週、同国5GネットワークスにおけるHuawei使用についての立場をまとめた旨。そこではネットワーク・インフラからHuaweiの装置を除外する技術的な理由はなかったが、政治的および倫理的問題、そして米国およびオーストラリアなど同盟国の間での受け取りを考慮しなければならない旨。

Trump政権は、約束通りHuaweiに対する製品のライセンス供与を与えるか、各社は急ぎ求めている中、Huaweiの北朝鮮との関係が取沙汰されノイズを与えている。

◇Trump Touts Tech Industry Support for Huawei Exemptions -Easing Huawei blacklist could help revive trade talks with China (7月22日付け The Wall Street Journal)

◇US tech CEOs support Trump on Huawei restrictions: W. House-Trump: Tech CEOs back Huawei policies (7月23日付け Yahoo/Agence France-Presse)
→White House発。主要ハイテクメーカー7社のヘッドが、Donald Trump大統領のHuawei政策を力強く支持、その会合で大統領はまた、商務省に対して該中国ベンダーに製品のライセンス供与を行えるかどうか、素早く決定するよう推進に同意の旨。しかしながらあるlegislatorsは制限継続を督促しており、特に、Huaweiが北朝鮮にワイヤレスネットワークの構築&維持において重要な支援を与えているとのWashington Post発のニュースがあらわれている旨。

◇Huawei secretly helped North Korea build, maintain wireless network: Washington Post (7月22日付け Yahoo/Reuters)

◇米、ファーウェイと北朝鮮の関係調査へ、米紙報道受け (7月23日付け 日経 電子版 05:01)
→トランプ米大統領は22日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が北朝鮮の通信網構築に関与していたとの報道を受け、同社と北朝鮮の関係を調査すると表明した旨。厳しい輸出規制の対象国である北朝鮮との関係が明らかになれば、ファーウェイへの制裁緩和を巡るトランプ政権内の議論にも影響を及ぼす可能性がある旨。

米国のロス商務長官は、対Huawei輸出許可を数週間で判断するとしている。

◇米商務長官、ファーウェイへの輸出許可「数週間で判断」 (7月24日付け 日経 電子版 04:43)
→ロス米商務長官は23日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)への輸出許可について今後数週間で判断する考えを表明した旨。企業の申請に基づき、安全保障の脅威とならないと判断すれば個別に同社への販売を認める旨。トランプ大統領が6月に制裁緩和を表明して以降、迅速な結論を求める声が高まっていることに対応する旨。これまで商務省は約35社から50件超の申請を受け取った旨。

Huawei社内では米国拠点でのレイオフが行われ、他の自動車メーカーでも同様の動きが見られている。

◇Huawei's Santa Clara R&D arm is laying off hundreds of workers amid Trump's trade war with China (7月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Reuters発。中国のハイテク大手、Huaweiが、同社R&D部門、Futureweiで働く米国の600人を上回る従業員をレイオフの旨。Futureweiは、Santa ClaraそしてSan Diego, Seattle, Boston, Dallas, ColoradoおよびNew Jerseyでオフィス稼働、レイオフの前は約850人を雇用の旨。

◇Struggling Chinese automaker cuts 47 jobs in the U.S. and halts domestic production lines (7月23日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国の自動車メーカーstartup、Seres(前SF Motors)が火曜23日、Santa Clara本社で17 jobs削減、Indianaの生産工場で30人をレイオフの旨。

contract製造大手、Flextronicsが今はFlexに社名変更とのこと。同社もHuawei対応で以下のインパクトである。

◇Report: Flex held onto $100M worth of Huawei inventory following Trump ban (7月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国・Global Times紙発。contract manufacturing大手、Flex(San Jose:前Flextronics)が、5月半ばにHuaweiへの$102 million相当の製品リリースを拒絶、Trump政権の同社ビジネス遂行禁止を引用の旨。それはFlexのHuaweiとの関係を危険にさらす可能性、2018年第三四半期でFlexのHuaweiからの売上げが約5%の旨。

◇Flex is laying off workers as it grapples with deteriorating Huawei relationship (7月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→contract manufacturing大手、Flex(San Jose:前Flextronics)が木曜25日、Trump政権のHuaweiとのビジネス遂行部分的禁止措置を通り抜けようと、今年workersをレイオフする計画の旨。

中国から製造拠点を東南アジアなど域外にもっていく動きが止まらず、現時点以下の通りである。

◇Who's Who in the Exodus from China to Southeast Asia -Here's a List of Companies Who Left China (7月23日付け EE Times)
→米中貿易戦争における25%関税の脅威から、multinationalsの中国からどこか他への離散が加速している旨。一覧リスト、下記参照:
 →ベトナム
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=1
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=2
 →マレーシア
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=3
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=4
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=5
  ⇒https://www.eetimes.com/document.asp?doc_id=1334948&image_number=6
いくつかの中国メーカーでも、全部ではなくてもある生産ラインを中国本土から移し始めている旨。

◇フィリップス、米中から生産移管、貿易摩擦を回避 (7月23日付け 日経 電子版 04:32)
→ヘルスケア大手のフィリップス(オランダ)は米中の貿易摩擦に対応するため医療機器の生産体制を再編する旨。米中でそれぞれ相手国向けに生産している製品の一部を域外に移す旨。フランス・ファン・ホーテン最高経営責任者(CEO)は22日、日本経済新聞の電話取材に「貿易摩擦の影響は深刻だ。なければ利益率はもっと伸びていた」と話した旨。

米中協議の再開が来週30日、上海での開催となっている。

◇Top U.S., China trade negotiators to meet in Shanghai next week-US-Chinese trade talks resume next week -Face-to-face US-Chinese trade talks resume next week (7月24日付け Reuters)
→米中senior officialsが、貿易係争を終わらせるべく来週上海でface-to-face交渉を再開する旨。White Houseは、Steven Mnuchin財務長官およびRobert Lighthizer米国通商代表が火曜30日、中国・Liu He(劉鶴)副首相との会合を始める、としている旨。

◇米中貿易協議、上海で30日から開催、「休戦」後初 (7月24日付け 日経 電子版 23:26)
→米ホワイトハウスは24日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国の上海を訪れて閣僚級の貿易協議を30日から開くと発表、追加関税棚上げと協議再開の「一時休戦」で合意した6月の米中首脳会談以来、対面の交渉は初めてとなる旨。米中貿易戦争が世界経済の重荷となる中、対立の緩和につながるかは不透明。

【日韓摩擦関連】

輸出規制を巡る日韓の世界貿易機関(WTO)での応酬であるが、双方一方的で接点は見い出せなかった模様である。

◇日韓、WTOで応酬へ、輸出規制、「安保」の正当性焦点 (7月23日付け 日経 電子版 23:03)
→世界貿易機関(WTO)の一般理事会が23日、スイス・ジュネーブで始まった旨。日本と韓国が半導体材料の対韓輸出規制を巡り討議する旨。双方が正当性を主張して加盟国に理解を求めるが、WTOルール違反にあたるかどうかの議論は平行線に終わる見通し。韓国はWTOへの提訴の準備を進めており、「安全保障上の適切な措置だ」とする日本の主張が認められるかが焦点になる旨。

◇輸出規制巡る日韓の対立、WTO出席国は冷ややか (7月25日付け 日経 電子版 03:52)
→韓国は24日、世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、日本の対韓輸出規制を巡る2国間対話の必要性を加盟国に訴えた旨。日本政府によると韓国からの直接の協議要請はなかったといい、日韓の議論はかみ合わないまま終わった旨。もともと一般理事会は2国間の協議を議論する場ではなく、出席国からは「理解に苦しむ」などと冷ややかな声も出た旨。

日韓摩擦はグローバルに損害&インパクトを与えると市場の反応である。

◇Blog: How the Japan-Korea Trade War Impacts the World (7月24日付け EE Times India)
→韓国への化学材料の輸出を規制、日本はすでにグローバルelectronics業界に数え切れない、そして不必要な価格で取り返しのつかない損害を与えている旨。

◇U.S. tech groups urge stop to Japan’s “non-transparent and unilateral” export curbs-Japan's export curbs must end, US tech groups say (7月24日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Semiconductor Industry Association(SIA)およびSEMIなど米国のいくつかのハイテク団体が、日本に対しmicrochip-関連材料への"不透明で一方的な"輸出規制強化を終わらせるよう求めている旨。日本と韓国の間の緊張は、ハイテクの世界supply chainにインパクトを与える可能性の旨。

「ホワイト国」から韓国を除外する手続きが進められている。

◇日韓対立、見えぬ糸口、8月にもホワイト国から韓国除外 (7月24日付け 日経 電子版 04:43)
→日本による韓国向け輸出規制の強化を巡る両国の主張は、24日の世界貿易機関(WTO)の会合でも平行線をたどった旨。日本政府は8月下旬にも輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する方針で、同日に意見公募を終えた旨。韓国はWTOに提訴する準備を加速しており、両国の対立を解決する糸口は見えない旨。

◇韓国「ホワイト国」除外の閣議決定、8月2日にも (7月26日付け 日経 電子版 11:39)
→政府は韓国向け輸出規制をめぐり、輸出管理上の信頼関係があると認めた「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を8月2日にも閣議決定する方向で調整に入った旨。政令の公布を経て、8月下旬にも正式に除外する旨。ホワイト国から外れると、事務手続きの簡素化といった一部の優遇措置が韓国への輸出で使えなくなる旨。

小生が1990年代後半に業界活動でよく行き来、馴染み深い韓国半導体産業協会(KSIA)であるが、今回の摩擦について非常に率直な見方と受け止めている。

◇「半導体材料の国産化困難」、業界幹部、輸出規制を懸念 (7月26日付け 日経産業)
→日本政府が韓国への半導体材料の輸出規制拡大を発表して3週間。韓国政府は対策として材料や製造装置の国産化支援に毎年1兆ウォン(約930億円)の予算を充てる計画を検討しているが、韓国半導体産業協会(KSIA)の安基鉉(アン・ギヒョン)常務は「有効な対策にならない」と日韓の技術格差から国産化は困難との見方を示す旨。輸出規制について「韓国企業の日本離れを招く」と懸念する旨。

【各社業績発表から】

今年に入って特に低迷が続く半導体業界であるが、直近四半期の業績発表が行われており、まず、Texas Instruments(TI)である。

◇Texas Instruments grabs more revenue than expected despite market slump-TI's Q2 revenue is down, but better than expected (7月23日付け The Business Journals/Dallas)
→Texas Instruments(TI)の第二四半期売上げが$3.67 billion、前年同期比9%減。Refinitiv's IBESデータ、アナリスト評価、$3.6 billionを上回った旨。

STMicroelectronicsはimaging分野の伸びが強調されている。

◇ST: Imaging Compensates for Soft Automotive Market (7月25日付け EE Times)
→STMicroelectronicsの2019年第二四半期net売上げが$2.17 billion、前四半期比4.7%増、前年同期比4.2%減。車載および産業市場は予想より軟化、しかしimagingが前四半期比の伸びを牽引の旨。

◇ST expects 15% Q3 sequential revenue growth-ST forecasts sequential revenue up tick will continue in Q3 (7月25日付け Electronics Weekly (UK))

◇Imaging Bolsters Quarterly Results (7月26日付け EE Times India)

メモリ半導体のSK Hynixは、やはり急激な悪化である。

◇SK Hynix posts sharp decreases in 2Q19 revenues and profits-SK Hynix's Q2 profits, revenues are down from a year ago (7月25日付け DIGITIMES)
→SK Hynixの第二四半期連結売上げが前年同期比38%減のKRW6.45 trillion、operating利益が同89%減のKRW638 billion($540.8 million)。日本と韓国の間の貿易係争が投資および生産の削減をもたらす、としている旨。

UMCは、5G半導体需要が伸びを引っ張るとしている。

◇UMC profit up 45% on high demand-Demand for 5G chips propels a 45% boost in UMC's Q2 profit (7月25日付け The Taipei Times (Taiwan))
→UMCの第二四半期net利益が前四半期比45%増、主としてmid-to-low-endスマートフォン向け半導体需要の改善による旨。

インテルは市場の予想は上回るとともに、米中摩擦による顧客での在庫積み上げで出荷が踏み上がるとする見方である。

◇Intel beats on second quarter results, raises guidance (7月26日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社が第二四半期業績でWall Streetの予想を上回り、木曜25日のafter-hours取引で株価が5%を上回る上昇。第二四半期について、売上げが$16.5 billion、前年同期比3%減、しかしWall Streetが予想していた$15.7 billionを上回った旨。利益は同17%減の$4.2 billion、すなわち92 cents/株、アナリスト予想は89 cents/株であった旨。

◇Intel says customers stockpiling chips on U.S.-China tension, hikes forecast-Intel hikes 2019 forecast as customers stockpile chips (7月26日付け Reuters)

【下方修正】

現在の市況ではやむなしであるが、国際通貨基金(IMF)が今年の経済成長を以下の通り下方修正している。

◇IMF lowers its global economic growth forecast again as risks remain to the 'downside'-IMF downgrades global economic forecast (7月23日付け CNBC)

◇IMF Cuts Global GDP Forecast for 2019, Citing Fallout From Trade Tensions -GDP growth expected to slow to 3.2%; world trade forecast to grow 2.5%, off sharply (7月23日付け The Wall Street Journal)

◇IMF calls for trade war ceasefire to revive global economy (7月23日付け The Telegraph (London))

◇世界経済3.2%成長に減速、IMF見通し、貿易戦争響く (7月23日付け 日経 電子版 22:00)
→国際通貨基金(IMF)は23日改定した世界経済見通し(WEO)で、2019年の成長率予測を前回4月の3.3%から3.2%に引き下げた旨。米中などの通商摩擦の影響で、世界の貿易量を前回予測に比べ0.9ポイントも下方修正したことが響いた旨。世界の成長率は2020年には3.5%に回復すると見込むが、IMFは「この予測は心もとない。貿易政策の解決が前提だ」と指摘した旨。
IMFは四半期ごとにWEOを改定しているが、下方修正は4期連続。

半導体売上げの今年の見通しについて、Gartnerも下方修正、9.6%減とする現時点である。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue to Decline 9.6% in 2019-DRAM Pricing to Decline 42% in 2019 Due to Demand-Driven Oversupply (7月22日付け Gartner)
→Gartner社発。2019年の世界半導体売上げが$429 billionと予測され、2018年の$475 billionから9.6%の減少。これは前四半期における予測から3.4%減。

◇Global semiconductor market revenue to decline 9.6% in 2019, Gartner says (7月23日付け The Times of India)

◇Worldwide semiconductor revenues to decline 9.6% in 2019, says Gartner (7月24日付け DIGITIMES)
→メモリはじめ半導体のpricing環境が弱含み、米中貿易戦争およびスマートフォン、サーバおよびPCsなど主要応用の伸びの鈍化と相まって、グローバル半導体市場を2009年以来の最低の伸びに追い込んでいる、とGartnerのsenior principal researchアナリスト、Ben Lee氏。

◇Semiconductor Market Conditions Deteriorate Further (7月25日付け EE Times)
→Gartner(Stamford, Connecticut)が本年の半導体市場予測を下方修正、メモリ価格低下、貿易戦争が業界に当初予想よりも激しい打撃となる旨。

【GAFA調査】

米国を代表するIT企業4社、GAFA(Google:Apple:Facebook:Amazon)について、トランプ大統領はじめ商行為について批判の目が高まっているが、米国司法省が調査に乗り出している。

◇GAFAを独禁法違反で調査開始、米司法省 (7月24日付け 日経 電子版 06:23)
→米司法省は23日、米IT企業に対して、反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)違反の可能性を視野に調査を始めると発表、グーグルやフェイスブックなど「GAFA」と呼ばれる大手4社が対象とみられる旨。世界各国で巨大化するGAFAへの懸念が高まるなか、米国でも規制強化の流れに転換する可能性がある旨。

特に、Facebookへの追求が続いている。

◇Facebook reveals new FTC antitrust investigation (7月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Facebookが、プライバシー侵害を巡る米国Federal Trade Commission(FTC)との記録的な$5bn決着に合意してほんの数時間、FTCが同社への正式antitrust調査を打ち上げた、と明らかにした旨。

◇Report: Mark Zuckerberg will personally vouch for Facebook's privacy as part of $5B FTC settlement (7月24日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→unnamed筋引用、The Wall Street Journal発。Facebook社のCEO、Mark Zuckerberg氏が、同社がユーザプライバシーを保護していることを規則正しく個人的に証明、そして、不正なステートメントを故意に行えば、追加の罰則に従う旨。

◇Facebook settles in 2 investigations. Now round 3 begins. (7月25日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→ハイテク大手に向けた新たな現実の展開。regulatorsおよびlawmakersからの精密な調査が絶えず続くようになっている旨。

【Alibabaのプロセッサ半導体】

これも米中摩擦を避ける動き。中国・Alibabaが、米国の制限にとらわれないオープンソースのRISC-V instruction set architecture(ISA)ベースのXuantie 910プロセッサ半導体を以下の通り発表している。

◇Alibaba unveils first microchip as China aims for self-sufficiency-Open-source design seen as beyond reach of US sanctions (7月25日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇Alibaba Reveals 16-core RISC-V Chip (7月26日付け EE Times)
→Alibaba Groupの半導体子会社, Pingtouge Semiconductorが今週のAlibaba Cloud conference(上海)にて、最も強力なRISC-Vベースプロセッサ, Xuantie 910を発表、artificial intelligence(AI), 5G, およびinternet of things(IoT)並びに自動運転車に向けたインフラを目指している旨。該プロセッサにより、12-nmプロセスnodeで2.5GHzの周波数にて7.1 Coremark/MHzが得られ、今日までのどのRISC-Vプロセッサより40%を上回って強力である旨。

◇Alibaba Unveils First Chip as China Pushes for Independence-Alibaba debuts a RISC-V microprocessor (7月26日付け Bloomberg)
→Alibaba Groupが、独自固有のArmおよびx86アーキテクチャー代替、open-source RISC-V instruction set architecture(ISA)ベースのXuantie 910プロセッサ半導体を投入、この動きは、特にHuawei TechnologiesおよびZTEなど中国メーカーによるアメリカの技術の使用を米国が制限していることからきている旨。


≪グローバル雑学王−577≫

前回に続いて中国から見て対米経済戦争をいかに戦っているのか、元陸上自衛隊陸将の筆者の目で、

『軍事的視点で読み解く 米中経済戦争』
 (福山 隆 著:ワニブックス「PLUS」新書) …2019年3月25日 初版発行

より解明を図っていく。米中経済戦争は、結局はトランプと習近平の差しの勝負となるが、それぞれ政権基盤の確固とした安定性は如何?それぞれの弱みが指摘され、中国が対米経済戦争を戦うための計画の骨子が著者の目で大胆に推測、要点がまとめられている。米中双方、国内が割れていてはまったく致し方なし、内外ともにしっかり押さえていく持久戦の様相を受け止めている。


第六章 中国は対米経済戦争をいかに戦っているのか

〓中国の経済戦争遂行体制――習近平のリーダーシップ
・米中経済戦争は、結局はトランプと習近平の差しの勝負
 ――チキンゲーム――
・習近平のリーダーシップについて、防衛大学校長、國分良成氏の2018年11月15日付け論文、「習近平を検証する」
 →「一つの山には一匹の虎がいるだけ」、それが中国政治の変わらぬ本質
 →中国における権力の源泉は共産党組織とマルクス・レーニン主義、これに伝統的皇帝支配の要素と毛沢東的農村革命の要素もブレンド
 →中国の成長路線は限界を露呈、組織は蔓延する金権政治の中で腐敗・弛緩
 →習近平の最大の関心は「権力掌握」、就任以来6年を経過したが、未完成で相変わらず密室の中の闘争を繰り返している
 →あらゆる分野において上からの統制を強め、支配力を強化しようとしているが、習近平体制は依然として確立されていない
 →既に失敗が証明された価値観でイデオロギーは再生するのであろうか。
  中国の政治経済体制は袋小路に
・習近平の政権基盤が盤石でない場合は「自己保身」を優先、弱みを見せまいとして、米国に対して過度に挑発的な対応をとる可能性
 →世界経済と平和にとって、取り返しのつかない結果を招く恐れ

〓中国の経済戦争計画の骨子

・中国が対米経済戦争を戦うための計画の骨子を著者が大胆に推測

□筆者が考える中国の経済戦争計画の骨子
1 情勢認識
 (1)トランプ政権は、従来の対中国政策を一変、中国のアジアにおける覇権さらには世界覇権への挑戦を断念させようとしている
  →「一帯一路」と「中国製造2025」の阻止
  →ここ数年が、中米対決の勝敗を分ける"剣が峰"
 (2)米国政府・業界は生き馬の目を抜くような経済競争の中で鍛えられ、さまざまなノウハウを蓄積
  →米国との経済分野での競争(戦争)は中国にとって、極めて不利
2 中国の経済戦争対処方針
 (1)中国の大目標は、建国100周年頃を目途に、アメリカを打倒してパクス
   ・シニカ(中国による新たな国際秩序の創生)を実現すること
 (2)「中国製造2025」の達成の「鍵」は、ハイテク覇権を握ること
  →経済も軍事も情報も米国に対して優位に立てる
 (3)米国との経済戦争においては「持久戦」、トランプの要求・挑発をかわしつつ、時間を稼ぎ、ダメージを最小限に以下を追求
  1)トランプ政権の無力化・再選阻止
  2)次期政権の対中政策の無害化
3 実行すべき具体策
 (1)あらゆる工作・謀略によりアメリカ世論の転換を図る
 (2)2020年の大統領選挙に最大限介入、"中国にとって望ましい大統領"を誕生させ、利用する
 (3)「中国製造2025」達成のためには、最先進技術分野で世界をリードする必要
  →米国のいかなる妨害をも克服、引き続き知的財産の不正獲得を継続
  →日本、イスラエル、ドイツおよび台湾などの迂回ルートからの合法
    ・非合法的な知的財産の取得に努める
  →中国独自の科学技術開発や半導体の国産化など「自力更生」を促進
 (4)速やかにアジア、アフリカ、中南米などの新興国の市場を開拓・拡大

〓中国の詭道・奇策によるトランプ降ろし

□米国の弱点は「自由民主主義国家」であること
・習近平としての当面の考え
 →"ハリケーン"のような大統領のトランプが通り過ぎるのを待つ
 →対中制裁関税に対しては、米国の要求に対して小出しに妥協案を出しながらトランプ退陣まで巧妙に時間稼ぎをするはず
 →「一帯一路」と「中国製造2025」などの中国版富国強兵戦略は、一切変更・後退・中止させないことが大方針
・米国の弱点は自由・民主主義国家であること
 →中国は、米国と戦争をしなくても、選挙でトランプを排除し、米国の対中国政策を変えることができる

□情報戦のための最高のパートナーは米国メディア
・中国のトランプ政権に対する工作目標は、「無力化・退陣・再選阻止」
 →大統領の最大の「審判者」は国民(国民世論)
 →操作できるのは、メディア
  →現在トランプは敵対関係に
・中国は、米国のメディアを"情報戦のための最高の武器"と見ているはず

□ペンス副大統領の懸念
・トランプは今に至るも、大統領選挙でロシアから「見えざる支援」を受けたのではないかとの疑惑で追求されている
 →中国による同様の介入・工作が次の米国大統領選挙で行われる可能性は高いと見るべき
・自由・民主主義国家の米国には、自分たちは意図せずとも結果的に「敵(中国)に塩を送るグループ」が存在することは確か
 →詭道・奇策(スパイなど)により、米国の外交政策に影響を与えた前例は存在
  →「ヴェノナ(Venona)」文書
   …第二次世界大戦前後にアメリカ国内にいるソ連のスパイたちがモスクワの諜報本部とやり取りした秘密通信を、アメリカ陸軍情報本部が秘密裏に傍受・解読した記録

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