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摩擦の渦中、今後への対応…SEMICON West、インテル実装ロードマップ

休戦&緩和措置のなか予断を許さない米中摩擦、それに半導体材料の輸出管理強化を巡る日韓の応酬が高まる一途。そんな中で開催された北米での世界最大級の半導体製造装置・材料の総合展示会、SEMICON West 2019(7月9-11日:Moscone Center in San Francisco)にて、今後の業界の然るべき展望を一層拡げていく議論&取り組みがあれこれ見られている。Moore's Law継続の健全性如何がCEOパネル討議であらわれる一方、インテルは同社ロードマップ上で3つの実装技術を初めて披露、今後の性能向上持続に向けて実装に向かっていく流れをあらわしている。従来のデバイス最先端微細化とともにシステム的に性能向上維持を図る方向性に注目である。

≪今後の方向性提起≫

今回のSEMICON Westの全体概要である。

◇ 2019 Opens with Smart Technologies, Workforce Development, Industry Opportunities in Spotlight (7月9日付け SEMI)
→SEMICON West 2019(7月9-11日:Moscone Center in San Francisco)が開幕、テーマはBEYOND SMART、artificial intelligence(AI), Internet of Things(IoT)および量子computingなど最先端技術、およびSmart Transportation, Smart Manufacturing, Smart Medtech, Smart Dataおよびworkforce developmentにおける流れに焦点を当てる旨。

現下の半導体市場を反映して、装置販売高の見通しが今年は18%減、そして来年盛り返しという以下の内容&見方となっている。

◇Japan-made chipmaking equipment sales to fall 11% in fiscal 2019, says SEAJ (7月5日付け DIGITIMES)

◇Fab Tool Outlook Clouds Further (7月10日付け EE Times)
→半導体装置市場が、今年20%減少する予測、あまりにたくさんの在庫、貿易戦争そして5G不活発が、2020年に向けた見通しについて議論を呼んでいる旨。

◇半導体装置、減速鮮明で業界再編も、2019年販売18%減 (7月10日付け 日経 電子版)
→景気の影響を受けずに半導体市場が持続的に成長する「スーパーサイクル」論も影を潜めるなか、装置業界では再編機運も高まりつつある旨。

◇半導体製造装置、世界販売18%減へ、4年ぶりマイナス (7月10日付け 日経 電子版)
→国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は9日、半導体製造装置の2019年の世界販売額が前年比18%減の527億ドル(約5兆7380億円)になるとの見通しを発表、メモリ市況の悪化や貿易摩擦を受けて半導体メーカーが設備投資を抑えており、2018年末時点の予想(596億ドル)から引き下げた旨。マイナスは4年ぶりで、半導体市場の減速が鮮明になってきた旨。修正予測は9日に米サンフランシスコで開幕した半導体装置の年次会議「セミコンウエスト」で公表した旨。日本政府による韓国への半導体素材の輸出規制強化については「(装置需要には)あまり影響は及ばないだろう」(担当者)との見方を示した旨。

◇Global semiconductor equipment sales to contract 18.4% in 2019, says SEMI-SEMI: IC gear sales will decline by 18.4% this year (7月11日付け DIGITIMES)
→SEMIの予測。今年の世界半導体製造装置販売高が$52.7 billionとなり、2018年の最高を記録した$64.5 billionから18.4%減。2020年は、original equipment manufacturers(OEMs)供給のウェーハ処理装置などIC関連装置の販売で、11.6%増の$58.8 billionと見る旨。

SEMICON WestのCEOパネル討議に注目、縁遠くなった印象が否めないMoore's Lawについて、今後を踏まえいろいろ思いを込めた議論が展開されている雰囲気を感じている。

◇Debate Over Health Of Moore's Law Continues-Reporter's Notebook: At Semicon West, CEOs from across the industry continue to debate whether Moore's Law is alive or dead. (7月10日付け Semiconductor Engineering)
→Semicon West 2019は、‘AI Design Forum’で始まり、Moore's Lawがかつてと同様にパワー、性能およびarea最適化を依然可能にしているかどうか、CEOsパネルの議論を特徴としている旨。

◇Debate Over Health Of Moore's Law Continues-CEOs debate the health, relevance of Moore's Law -Reporter's Notebook: At Semicon West, CEOs from across the industry continue to debate whether Moore's Law is alive or dead. (7月10日付け Semiconductor Engineering)
→SEMICON West 2019 conference(San Francisco)にて各社CEOsメンバーが、Moore's Law、その長らく予想された活動停止およびそれが依然21世紀も関わりがあるかどうか、パネル討議を行った旨。「その性能の流れを保つために、プロセス技術に加えて行えるたくさんのことがある。」と、Advanced Micro Devices(AMD)のCEO、Lisa Su氏。

◇CEO Panel Tackles the Future of Moore's Law Question (7月10日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→SEMICON West 2019でのApplied Materials主催CEOパネル討議メンバー:
 Aart de Geus, PhD, Chairman and co-CEO, Synopsys
 Victor Peng, President and CEO, Xilinx
 Lisa Su, PhD, President and CEO, AMD
 Sanjay Mehrotra, President and CEO, Micron
 Gary Dickerson, President and CEO, Applied Materials
 John Markoff, author and former technology writer with The New York Times acted as moderator.

上記CEOメンバーの中から、お二方のコメント抽出が以下の通り。効果のほどを打ち消しながらも依然残る底流を感じるところがある。

AMDのLisa Su氏:
「・・・私はプロセスtechnologistとして育った。だからMoore's lawが効力を失っているなんて言えないし、あり得ない(笑い声)。 Moore's lawは鈍化してきていると思うが、その振る舞いの流れが進み続けるようプロセス技術に加えて行えるたくさんのことがある。ハードウェアあるいはソフトウェアあるいはシステムにおいてであろうと、それが我々みんながやろうとしていることだ。応用のすべての進展を引っ張っている我々の業界に向けたその振る舞いの流れを如何に保つか、それこそ重要なカギであり、Moore's lawを増大させる甚大な量の努力がある。・・・」

MicronのSanjay Mehrotra:
「ここ約10年、Moore's lawは大きく鈍化、実際に関連が薄れてきている。
しかし、メモリおよびストレージにおいてMoore's lawが大きな挑戦課題であることは疑いない。10年前と今日を対比、NAND並びにDRAMにおいて起きていることを見ると、ある技術移行から次の移行までで得られるビット伸長は今や半減している。確かに挑戦課題がある。しかしながら、エンジニアは常にメモリ&技術課題に対応する革新的な方法を見い出してきている。」

時を同じくして、次の記事が見られている。

◇インテルは「ムーアの法則」を終わらせない──新たな“技術リーダー”が考える半導体の未来 (7月10日付け Wired.jp)
→AMD、アップルを経てインテルのシリコンエンジニアリング担当上級副社長に就いているジム・ケラー氏について。

インテルは、先端実装に向かう流れの高まりが取り上げられる中、同社の実装ロードマップをSemicon Westにて一段と踏み込む形で以下の通り披露している。

◇Advanced Packaging: A Wonderful World (7月8日付け SEMICONDUCTOR DIGEST)
→Yole Developpementが本日、同社annual技術&市場分析, Status of the Advanced Packaging Industryをリリースの旨。最も高い売上げCAGRsおよび入っていく市場が次の通り:
 2.5D / 3D TSV ICs        26%
  …AI/ML, HPC, データセンター, CIS , MEMS/センサ
 ED (in laminate substrate)    49%
  …車載、医療
 Fan-Out             26%
  …モバイル、networking、車載

◇Intel Shows Next Steps in Packaging-Combo technique may debut in exascale supercomputer-Packages with 2X reticle dice on the horizon (7月9日付け EE Times)
→Intelのexascaleスーパーコンピュータ・プロジェクトが、同社がロードマップで示す3つのchip-stacking技法の1つを用いる最初となる可能性。
Intelは、Semicon West(SAN FRANCISCO)の場での集まりにて同社ロードマップ上で3つの実装技術を初めて披露の旨。以下の内容:
 Management Data Input/Output(MDIO)
 Co-EMIB …face-to-face Foveros 3D stacksをEMIB(Embedded Multi-die Interconnect Bridge) bridgesとつなぐ
 Omni Directional Interconnect(ODI)
該技法は、従来のシリコンscalingの進展が鈍化してより高価になってきているとき、Intelのプロセッサに強みを与える狙いの旨。ライバル、TSMCが半導体stacksのportfolioを拡大、2つのコンソーシアムが該領域での標準化を期待ということで登場の旨。

◇Intel takes the chiplet concept to the next level with co-EMIB, ODI connections-We're running out of room on a single chip die. Intel's thinking ahead about how to combine many within a single package. (7月9日付け PCWorld)

◇Who's been copying AMD's homework? Intel lifts the lid on its hip chip packaging to break up chips into chiplets-Intel unveils new packaging tech, pairing EMIB with Foveros-Interconnects, never sexy but very useful for Chipzilla's plans (7月10日付け The Register (UK))
→IntelのEmbedded Multi-die Interconnect Bridge(EMIB)が、chipletsの取り入れ容易化に向けてFoveros stacked-die技術およびOmni-Directional Interconnect(ODI)インタフェースと組み合わされている旨。Intelの本件blog postでは、該"co-EMIB" comboが製品レベルの性能、電力および面積を改善する一方、システムアーキテクチャーの完全な再考を可能にする、としている旨。

◇Intel Shows First Glimpse of Packaging Technologies on Roadmap-Intel's exascale supercomputer project may be the first to use one of three chip-stacking techniques Intel disclosed on its roadmap. (7月10日付け EE Times India)

◇Chip Stacks Hit Semicon Spotlight -Intel details technical challenges ahead (7月12日付け EE Times)
→半導体パッケージを設計&構築するエンジニアが、Semicon West(SAN FRANCISCO)でspotlightを得ている旨。従来のシリコンscalingが鈍化、性能のたるみを持ち上げようと、半導体メーカーが実装に向かっている旨。

インテルは、ほかの今後に向けた取り組みもSemicon Westと同じタイミングであらわしている。

◇Jason Kimrey: Intel's Data-Centric Platform Strategy Is A Winning Hand For Partners-Intel's Jason Kimrey touts data-centric platform (7月8日付け CRN (US))
→Intelの米国channel chief、Jason Kimrey氏。同社のchannelパートナーは、同社のdata-centricアプローチを受け入れるべき旨。「我々はずっと包括的なプラットフォームの話をしており、市場が向かっているところに重要と思う。」と説明する同氏。

◇Intel: New chip materials will enable massive AI research gains-Intel looks to new chip materials for AI tech gains (7月11日付け VentureBeat)
→IntelのVP and CTO of AI products、Amir Khosrowshahi氏が、VentureBeatの2019 Transform conference(San Francisco)にて。新型の半導体材料が、artificial intelligence(AI)およびmachine learning(ML)技術の取り入れに必要とされる次世代microchipsの開発を可能にする旨。「データセンターcomputingの今後に向けて探求できる新規材料があり、これは現実に将来のことと思う。」と同氏。

Semicon Westとは別に、今後に向けた各社の取り組みがこの時期続いている感じ方である。

XilinxのAI, 5Gに向けた最初のVersalデバイス打ち上げである。

◇Xilinx Ships Heterogeneous Chips for AI, 5G (7月8日付け EE Times)
→Xilinxが、同社heterogeneous computeアーキテクチャーに向けた1つのmilestone、初期アクセスプログラムの一環として、最初のVersalデバイスをselect顧客に出荷の旨。Versalデバイスは、Xilinxのadaptive compute acceleration platform(ACAP)を使用、高速networking, 5G, およびartificial intelligence(AI)など現代workloadsに向けた同社戦略の一環の旨。

◇Xilinx Ships First Versal Devices for AI, 5G-Xilinx kicks off its AI strategy, based on domain specific architecture. (7月10日付け EE Times India)

AMDはTSMC製造の7-nm品の販売を開始、インテルを押しやる状況が見られている。

◇AMD releases 7nm desktop CPUs, GPUs; server CPUs to come-AMD sells new desktop CPUs and GPUs made with 7nm process (7月8日付け DIGITIMES)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、Ryzen 3000第3世代シリーズのプロセッサおよびRadeon RX 5000 RDNA-ベース・シリーズのグラフィックスカードの販売を開始、すべてTSMCの7-nmプロセスで製造の旨。AMDはまた、同社7-nmサーバCPUsをまもなく投入する計画の旨。

◇秋葉原でCPUに異変―AMDに列、インテル劣勢 (7月12日付け 日経)
→パソコンの基幹部品、CPUの勢力図が激変している旨。台風の目は米半導体大手、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)。同社が7日発売した高額な最新鋭モデルは東京・秋葉原の小売店で軒並み品切れとなった旨。一方、牙城を切り崩された米インテルの製品価格は下落傾向。

Samsungは、日本からの輸出管理圧力を受ける中、材料開発など将来技術に向けた出資を行っている。

◇Samsung up funding in chip, display material R&D amid Japan export curb-Samsung funds 15 science and technology research projects (7月9日付け Pulse by Maeil Business Newspaper (South Korea))
→Samsung Electronicsが火曜9日、今年の将来技術プログラムに向けた同社research fundingおよびincubationの下で革新的半導体材料開発など15のリサーチプロジェクトを選んだ旨。該選出は、日本の市場席巻に基づく輸出管理に対抗、半導体およびLCD製造における現地業界の技術独立性を求める声の高まりからきている旨。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連】

米中双方への摩擦インパクトが、各種業界統計データに引き続きあらわれている。

◇中国、成長再び減速へ、エコノミスト調査4〜6月6.2% (7月8日付け 日経 電子版)
→日本経済新聞社と日経QUICKニュースがまとめた中国エコノミスト調査によると、中国の4〜6月期の実質国内総生産(GDP)成長率の予測平均値は6.2%だった旨。1〜3月期は前の期から横ばいの6.4%だったが、再び減速に転じる見通し。米中は6月末に貿易協議の再開で合意したものの、貿易戦争が改善に向かうとの予想は前回調査より減った旨。

◇ハイテク分野で米中拮抗 中国、9品目でシェア拡大−2018年商品・サービス調査 (7月8日付け 日経 電子版)
→ハイテク分野で米国企業と中国企業のつばぜり合いが鮮明になっている旨。日本経済新聞社がまとめた2018年「主要商品・サービスシェア調査」では、中国勢がスマートフォンなど9品目でシェアを拡大、米国勢のシェア拡大は8品目だった旨。先端技術を巡る覇権争いを裏付けた格好。激しい中国の追い上げは米国の警戒感を高め、貿易摩擦を長期化させる可能性もある旨。調査対象74品目のうち、主なハイテク25品目で上位5社に入った企業数は中国勢がのべ33社、米国勢が同38社、中国と米国の合弁企業が1社。中国勢が上位5社に入った品目でシェアを伸ばしたのは、スマホや携帯通信インフラ(基地局)、有機ELパネル、大型や中小型の液晶パネルなど9品目。

◇スマホ部品など5月輸出28%減、航空貨物失速、米中摩擦響く、スポット運賃も下落 (7月9日付け 日経)
→航空貨物の輸出量が失速している旨。スマートフォン部品などの電子部品が多い中国向けが減ったほか、自動車部品や機械類の輸送が好調だった米国向けも低調。米中貿易摩擦と中国景気の減速が、日本を発着する貨物の動きも鈍らせている旨。

◇中国の貿易先、米国3位転落、上半期ASEANが2位−対米輸入が大幅減少、東南アジア、「一帯一路」で開拓 (7月13日付け 日経 電子版)
→貿易戦争の長期化で中国の貿易構造が変わり始めた旨。中国税関総署の12日の発表によると、2019年上半期(1〜6月)の中国と米国の貿易額は前年同期比14%減の2583億ドル(約28兆円)となり、東南アジア諸国連合(ASEAN)に抜かれて国・地域別で3位になった旨。首位の欧州連合(EU)との差も開いた旨。

Huawei措置緩和について、米国政府の対応の表し方である。

◇Trump Administration Will Allow Some Companies to Sell to Huawei (7月9日付け The New York Times)

◇U.S. to approve sales it deems safe to blacklisted Huawei-Ross explains Commerce policy on selling to Huawei (7月9日付け Reuters)
→Wilbur Ross米商務長官が、米国政府のHuawei Technologies政策に関する混乱を払拭しようと、米国の会社は国家安全に関わらなければHuaweiへの装置販売のライセンスが得られるとしている旨。しかしながら、Ross氏は該ライセンスを発行するtimelineの提示は控え、見直し検討が"輸出規制想定"で始まると述べた旨。

◇Ross Spells Out Reprieve for Huawei-Commerce secretary says American firms could sell technology to Chinese tech giant as a long as national security isn’t at risk (7月9日付け The Wall Street Journal)

◇US announces significant relaxation of Huawei ban (7月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Trump政権が、米国の会社のHuaweiに対する販売制限の緩和を発表、国家セキュリティに関わる製品にのみ該禁止措置を適用する旨。この動きは、Huaweiへの販売継続を働きかけてきているハイテクメーカーにとって大きな勝利となる旨。G20サミットでのDonald Trump大統領による米中貿易戦争における休戦という先月の発表に従う旨。

◇米商務長官、ファーウェイに「安保脅威なければ輸出許可」 (7月10日付け 日経 電子版 05:58)
→ロス米商務長官は9日、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁緩和について、事実上の禁輸リストへの掲載を続けると明言した旨。「米国の安全保障に脅威がなければ(輸出)許可を出す」とも述べた旨。輸出規制を所管する商務省がこの問題で説明したのは初めてだが、輸出を認められる範囲など不透明な部分は依然残っている旨。

米中貿易交渉の再開が図られ始めている。

◇米中閣僚が電話協議、貿易交渉を再開、首脳会談受け (7月10日付け 日経 電子版 05:34)
→米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は9日、中国の劉鶴副首相と電話で協議した旨。米中首脳が6月29日に会談し「対話の再開」で合意して以降初めて。5月から途絶えていた貿易交渉が再び動き出した形だが、中国の産業補助金や互いに発動した追加関税の扱いなど対立点は多く、妥協点を見いだせるかは不透明。

日本の半導体業界の歴史の歩みが何か関連性を感じさせる、と中国での見方である。

◇Japan's chip development history relevant for China (7月10日付け Global Times)
→Feng Zhaokui氏(honorary member of the Chinese Academy of Social Sciences)記事。20世紀にグローバルelectronics生産者として台頭、日本の半導体分野は米国とgood and bad timesを経てきている旨。この歴史をしっかり分析すると、今日の我々に依然何らかの関連性がある旨。

【半導体材料の対韓輸出管理強化】

日韓双方、特に韓国側の動きが続いており、1日ごとに追って以下の通り:

[7月8日]

◇Supply-chain pain: South Korea chipmakers and their suppliers seek to bypass Tokyo curbs-Korean chipmakers try to circumvent Japan's export curbs (7月8日付け Reuters)
→韓国の半導体およびディスプレイメーカーが、photoresists, fluorinated polyimidesおよびhydrogen fluorideの出荷に対する東京の新たな制限を巡るやり方を模索している旨。Korean Society of Semiconductor & Display TechnologyのPark Jea-gun氏は、SK HynixおよびSamsung Electronicsが結果として中国および台湾のサプライヤに向いている、としている旨。

◇Japan-Korea Spat Threatens to Upend Global Technology Chain (7月8日付け Bloomberg)
→日本と韓国の間の緊張が、Samsung Electronics Co.からSK Hynix社まで半導体メーカーにひどい打撃を与える脅威、広く用いられる機器に重要なメモリ半導体などのコンポーネント生産を覆い消して、注意深く振り付けられたグローバルsupply chainをひっくり返していく旨。


◇The high-tech trade dispute rooted in Japan's wartime history (7月8日付け Reuters)
→日本が韓国に対し、スマートフォンディスプレイ&半導体に用いられるハイテク材料の輸出制限を引き締め、韓国の人々が第二次世界大戦の間に日本の会社に向けて強いられた労働を巡るソウルとの何10年もの係争の賭け金を引き上げている旨。

◇Samsung chief scrambling to secure chip materials in Japan (7月8日付け The Korea Times)

◇日本は輸出規制強化の撤回を、世界経済にも悪影響の恐れ=韓国副首相 (7月8日付け 韓国・聯合ニュース 10:55)
→韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は8日、対外経済閣僚会議の冒頭、「(韓国に対する)日本の輸出規制措置は撤回されるべきだ」と述べた旨。

◇「韓国企業に被害出れば対応」、対韓輸出規制強化の撤回要求=文大統領が初言及 (7月8日付け 韓国・聯合ニュース 15:12)
→韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は8日午後、青瓦台(大統領府)で首席秘書官・補佐官会議を開き、日本が対韓輸出規制を強化したことについて、「韓国企業に被害が発生する場合、政府としても必要な対応をせざるを得ない」とした上で、「そのようになることは望んでいない」と述べた旨。

◇2018年世界シェア、本社調査、巨人サムスン失速、半導体軟調、日本の輸出規制火種、ディスプレイ、中国勢台頭 (7月8日付け 日経産業)
→日本経済新聞社がまとめた2018年の「主要商品・サービスシェア調査」によると、半導体や薄型テレビなどハイテク分野で、サムスン電子を筆頭に韓国企業の失速がみられた旨。首位品目が減り、首位でも軒並みシェアを落とした旨。輸出型が多い韓国企業は、米中貿易戦争など海外情勢の影響を受けやすい旨。日本の対韓輸出規制も始まり、2019年は大きなシェア変動が起きそうな旨。

[7月9日]

◇日本の輸出規制、WTO理事会に緊急議題として上程=韓国政府 (7月9日付け 韓国・聯合ニュース 16:17)
→韓国外交部の金仁チョル(キム・インチョル)報道官は9日の定例会見で、スイス・ジュネーブで同日(現地時間)開かれる世界貿易機関(WTO)の物品貿易理事会で日本が対韓輸出規制を強化した問題を緊急議題として上程したと明らかにした旨。白芝娥(ペク・ジア)駐ジュネーブ大使が加盟国を対象に日本の輸出規制強化は自由貿易の原則に反する不当な措置であることを強調する見通し。

◇対韓輸出規制、広がる影響、VAIOは代替調達検討 (7月9日付け 日経 電子版 22:02)
→日本政府の対韓輸出規制の強化を受け、日韓企業が対応を急いでいる旨。
日本のパソコンメーカーの間では韓国からの半導体の調達に影響が出るのではないかと波紋が広がる旨。一方、韓国側では半導体メモリ世界首位のサムスン電子は首脳・幹部が日本や台湾を訪れ、当面の生産に必要な在庫の確保に奔走する旨。規制対象品目の拡大に備える動きも出てきた旨。

◇対韓輸出規制、対応急ぐ、半導体材料、JSRなど国内各社 (7月9日付け 日経産業)
→韓国向けの一部半導体材料の輸出規制が厳格化され、JSRなど対象に該当する企業や該当する可能性がある日本メーカーの多くは、輸出許可の申請方法の確認など急な対応を迫られている旨。規制厳格化の対象は半導体の回路の配線パターンを転写する際に塗布するレジスト(感光材)、半導体基板の回路に溝付けするエッチングガス(フッ化水素)、有機ELディスプレイなどに使うフッ化ポリイミドの3品目。最先端の半導体の製造に使うEUV(極端紫外線)用レジストが輸出規制の対象となったJSRは「個別申請に向けて準備を進めている」と対応を急ぐ旨。

[7月10日]

◇日本の輸出規制は政治的目的の報復、WTOで撤回要求=韓国 (7月10日付け 韓国・聯合ニュース 07:46)
→韓国政府は9日、世界貿易機関(WTO)の物品貿易理事会で、日本政府による半導体材料の対韓輸出規制は政治的目的に基づく不当な経済報復でWTOの自由貿易の原則にも反するとして強い遺憾を表明した旨。

◇輸出規制「問題ない」、日本、WTOで韓国に反論 (7月10日付け 日経 電子版 08:27)
→韓国政府は9日、ジュネーブで開いた世界貿易機関(WTO)理事会で、日本政府による半導体材料の対韓輸出規制を批判し、撤回を求めた旨。日本側は「WTOのルール上、全く問題ない」と反論した旨。韓国はWTOへの提訴も検討するが日本側は協議に応じない方針で、主張は平行線をたどっている旨。

[7月11日]

◇韓国外相、米に懸念伝達、日本の輸出規制「世界に混乱」 (7月11日付け 日経 電子版 11:01)
→韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相は10日、ポンペオ米国務長官と電話協議し、日本による輸出規制の強化を巡る懸念を伝えた旨。韓国外務省が11日発表した旨。康氏は「韓国企業に被害をもたらすだけでなくグローバルな供給体制を混乱させ、米企業や世界の貿易秩序にも否定的な影響を及ぼしうる」などと述べた旨。

[7月12日]

◇日韓、輸出管理で対立鮮明に、戦略物資巡り (7月12日付け 日経 電子版 01:31)
→半導体材料など戦略物資の輸出管理を巡り、日韓の対立が鮮明になっている旨。韓国は違法輸出が156件に上ったと公表し、これに日本が輸出規制を強化したフッ化水素が含まれた旨。日本側は管理の不備を指摘するが、韓国側は日本では無許可輸出の摘発件数さえ公表していないと反発し、日韓関係が一段と冷え込んでいる旨。

◇サムスン、LSI製造に支障も、「非メモリ戦略」に影、感光材の対韓輸出規制が波及 (7月12日付け 日経)
→日本政府の韓国への半導体材料の輸出規制を受け、韓国サムスン電子の非メモリ戦略に影響が出るとの見方が半導体業界に出ている旨。日本が規制する3品目の一つ「レジスト(感光材)」が、サムスンが今後の開発競争で優位に立つための最先端装置の稼働に支障をきたす恐れがあるため。業界団体「韓国半導体産業協会(KSIA)」の安基鉉(アン・ギヒョン)常務は、日本が規制を強化した感光材について「光の波長をみると、EUVと呼ばれる最先端の露光装置向けが対象だ」と指摘する旨。その上で「システムLSIをてがけるサムスンのEUVを使うラインの生産に影響が出る恐れがある」と話す旨。

◇ロシアが「フッ化水素」供給提案、日本輸出規制の活路?=韓国 (7月12日付け 韓国・聯合ニュース 11:43)
→日本が韓国に対し、半導体の製造に必要な材料の輸出規制を強化したことを巡り、ロシアが規制対象となっているフッ化水素の供給を韓国側に提案したことが12日、分かった旨。韓国企業としては代替品が調達でき、今後の議論が注目される旨。

◇日韓当局、輸出規制で初会合、半導体材料3品目巡り (7月12日付け 日経 電子版 14:05)
→日韓両政府の輸出管理の担当者が12日、経済産業省内で事務レベルの会合を開いた旨。日本政府が韓国向けの輸出規制を強化して以降、初の会合となる旨。世耕弘成経産相は2国間協議や規制強化の撤回を拒否する姿勢を示しており、経産省は今回の会合は「事務的な説明の場であり、輸出管理当局間の協議ではない」と強調している旨。

平行線を辿る状況であり、推移を見ていくしかないところ。

【M&A関連】

BroadcomによるSymantec買収の財源準備が成されたとのこと。

◇Report: Broadcom lines up financing for possible $22B bid for Symantec (7月8日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→unnamed筋引用、Bloomberg発。半導体大手、Broadcom社(San Jose)が、セキュリティソフトウェアメーカー、Symantec社(Mountain View)買収に向けて必要とする財源を獲得、$22 billionを上回る規模の取引の旨。
Symantecの株価は、このニュースから本日早い取引で5%上昇、Bloombergは以前該取引は$15 billionを上回ると報じていた旨。

Ciscoの光モジュール事業拡大に向けたAcacia Communications(Massachusetts州)買収である。

◇Cisco Bids $2.6B for Acacia-Deal targets optical networks' move to components -Cisco adds optical networking components with Acacia bid (7月9日付け EE Times)
→Ciscoは、高速ネットワークスがシステムからコンポーネントへ移行しているとき、同社の光モジュール事業を拡げる狙いの旨。

◇Cisco to acquire tiny Massachusetts supplier Acacia Communications for $2.6B (7月9日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Cisco Systems社が、Acacia Communications社を$2.6 billionで買収、データセンター間のデータ伝送を早めるよう設計された装置を販売する380人、Massachusettsの会社。Ciscoは、月曜取引を$48.06で終えたAcaciaに向けて$70/株 in cashを支払う旨。

◇How much sense does Cisco's $2.6B Acacia acquisition make? Analysts weigh in on Chuck Robbins' second-biggest buy (7月11日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

IBMのRed Hat買収が完了である。

◇IBM closes its $34 billion acquisition of Red Hat-IBM finalizes $34B Red Hat deal (7月9日付け CNBC)
→元は10月に発表されたIBMによるopen-source, enterpriseソフトウェアメーカー、Red Hatの買収が完了、IBMの史上最大の取引、米国ハイテク史上最大の1つの旨。

【IT巨人関連】

クラウドサービスの世界シェアで、マイクロソフトがアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を逆転し首位に立っている。

◇マイクロソフト、AWS抜いてクラウド世界首位 (7月9日付け 日経 電子版)
→クラウドサービスの世界シェアで、米マイクロソフトが米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を逆転し首位に立ったことが8日までに分かった旨。英調査会社、IHSマークイットが調べた2018年の売上高ベースの市場シェアでマイクロソフトが対前年比2.4ポイント増の13.8%と大きく伸びたのに対し、AWSは同1.1ポイント増の13.2%にとどまった。3位は米IBMでシェアは対前年比1.4ポイント減の8.8%、4位は米グーグルで0.5ポイント増の5.6%、5位は米セルスフォース・ドットコムで0.1ポイント減の5.0%。

アマゾンの2025年にかけた従業員再訓練の取り組みである。

◇Amazon to spend $700 million to train 100,000 workers for digital age-Amazon announces $700M workforce retraining initiative (7月11日付け CBS News)
→Amazonは、artificial intelligence(AI)およびロボットの利用でグローバルなリーダーであるが、"CBS This Morning"にて同社はhuman workforceにも投資する主要な計画を披露、2025年までに100,000人の従業員がディジタル時代に向けた新しいスキルを備えるよう、$700 million超を充てる旨。

フェイスブックが、プライバシーに関して米連邦取引委員会(FTC)から制裁金を命じられる方向である。

◇FTC approves Facebook fine of about $5 billion (7月12日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇フェイスブックに5400億円制裁金、米連邦取引委が決議 (7月13日付け 日経 電子版)
→米フェイスブックで最大8700万人分の個人情報が不正流用された事件の調査を進めていた米連邦取引委員会(FTC)が12日までに、同社に約50億ドル(約5400億円)の制裁金の支払いなどを命じる和解案を決議したことが明らかになった旨。プライバシーに関するFTCの制裁金としては過去最大規模になる見通し。

【インテルの特許競売の件】

前回も取り上げたインテルのモデム半導体関連特許の競売であるが、買い手1社に絞って今後進めていくとしている。

◇Report: Intel is halting its modem IP auction after finding a possible buyer-Report: Intel puts a hold on its modem IP auction (7月10日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Intel社(Santa Clara)が、モバイルmodem半導体に関する特許約8,500件のmultibillion-dollar競売を一時的に中止、ある単一の買い手に排他的に該portfolioを見直し検討する時間をさらに与える旨。Intelのexecutive、James Kovacs氏が火曜9日、入札者にEメール連絡、該portfolioへの"非常に強い市場の関心"にも拘らず、同社は該入札プロセスを一時中止、あるunnamed入札者との排他的交渉合意に入った旨。

◇Intel pauses modem IP auction to give unnamed buyer exclusive access (7月10日付け VentureBeat)


≪グローバル雑学王−575≫

元陸上自衛隊陸将の筆者ならではの目で、米中経済戦争について米国がいかに戦っているのか、

『軍事的視点で読み解く 米中経済戦争』
 (福山 隆 著:ワニブックス「PLUS」新書) …2019年3月25日 初版発行

より4回にわたって分析&見方が展開されていく最後4回目である。大阪での米中首脳会談が終わったばかり、その余韻、波紋が引き続いているが、全世界にインパクトを与えるこの経済戦争で、米国が中国に与える軍事的圧力として「航行の自由」作戦はじめ具体的な中身があらわされている。中国としても「中国製造2025」を国是として推進している中、米国の求める構造改革を全面的に呑めない事情は目にする報道番組から伝わってくるところである。そしてHuawei問題。5G技術競争ではすでに同社が勝っているという分析も見られていおり、「情報を制するものは世界を制す」、米中ともにそれぞれ国内の突き上げもあって手綱を緩められない中の双方応酬である。


第四章 米国は対中経済戦争をいかに戦っているのか …4分の4

〓対中経済戦争の実行状況 ――さらに前回に続く

□軍事的な圧力
・米国は、経済戦争に並行して軍事分野でも中国に圧力

1)「航行の自由」作戦
・米国は、度を越えて海洋権益を主張していると判断した国の海域や空域を対象に、米軍の艦船や航空機を派遣する作戦を実施
 →「航行の自由」作戦
 →国際法に基づき、すべての国が自由に海・空域を使えることを保証するために定期的に
・米国は、南シナ海における中国の人工島に対して、3ヶ月に1〜2回のペースで該作戦を実施する方針とされる
・米空軍による「航行の自由」作戦の空軍版、「継続的爆撃機プレゼンス作戦」
 →2018年に3回、核兵器を搭載可能なB52戦略爆撃機2機をもって南シナ海上空を飛行
・2018年9月30日、南シナ海で、米太平洋艦隊所属の米イージス駆逐艦に中国の駆逐艦が異常接近する事態

2)中距離核戦力全廃条約(INF条約)破棄
・米ソの交渉結果、誕生した「中距離核戦力全廃条約(INF条約)」
 …Intermediate-Range Nuclear Forces Treaty
 →INF条約は、「米国と旧ソ連(現ロシア)のみを"縛る"条約」
・トランプは、2018年10月20日、INF条約の破棄を表明
 →ロシアによる同条約違反の新型ミサイル開発などを理由
 →米国の狙いは、自由にINF戦力の開発と配備を進める中国に対抗するのがメイン
・中国のINF戦力
 →沖縄どころか日本の主要都市すべてを核・非核のミサイルで集中攻撃ができる
・米政権のINF条約破棄は、中国との経済戦争において圧力として使用できるカードの1つになることは間違いない

□偶発的衝突事態回避とエスカレート防止のための枠組みづくり
・アジアで対峙する米中両軍の偶発的衝突事態
 →米中が軍事衝突にエスカレートするのを防止するための偶発的衝突事態回避の枠組みの構築が急務
・米中経済戦争が行われる中、今後、南シナ海などにおいて米中両軍の偶発事態は増えることが予想される
 →以前にも増して、偶発的衝突事態回避の枠組みの構築が迫られる
・米国としては、日中間の偶発的衝突事態回避の枠組みの構築についても気になるところ
 →日中間の偶発事態も「他人事」で済ませられない

□交渉のテーブル(枠組み)の設定
・米中経済戦争の当事者は米中だが、その利害に関わるのは全世界・人類
 →米中、それもトランプ・習近平とその側近以外は、このチキンゲームの意思決定には「全く」と言っていいほど関われない
・米国はもとより、中国も、チキンゲームになぞらえられる米中経済戦争に、さまざまな「交渉のテーブル(枠組み)」を設定しているはず
 →米中首脳会談や閣僚級の外交・安全保障対話などがその代表

〓米中首脳会談とその後の展開

・米国側の発表では、制裁関税の発動猶予は中国の構造改革を条件としており、次の5分野で協議する予定
 →1.米企業への技術移転の強要
  2.知的財産権の保護
  3.非関税障壁
  4.サイバー攻撃
  5.サービスと農業の市場開放
・中国は、改革開放政策の採用以来踏襲してきた国家資本主義とそれに基づいて策定された「中国製造2025」を放棄することは絶対にあり得ない
 →「中国の構造改革」を巡る協議で、中国が米国の要求を全面的に呑む可能性はほとんどない
 →とはいえ、習近平としては幾ばくかの譲歩で致命的なパンチを回避したいのは山々だろう

〓米中のファーウェイ(華為技術)をめぐる角逐

□孟晩舟の逮捕
・米国で2018年10月(米国では10月から新会計年度)に成立した「国防権限法」
 →2019年8月13日以降、政府機関、米軍、政府保有企業がファーウェイや中興通訊(ZTE)など5社の製品や部品を組み込んだ他社製品を調達することを禁止
・米国は同盟国にも同様の措置――いわば「踏み絵」――を迫っている
 →欧州諸国にはすでに中国の触手が伸びており、国ごとに温度差があるのも事実
 →日本は官民あげて米国を支持する方向

□ファーウェイ潰し、2つの理由
・第1の理由:情報を巡る米中の覇権争い
 →「情報を制するものは世界を制す」
 →米国の情報力、最大・最強の情報機関は国家安全保障局(NSA)で、職員は約3万人
  →電子機器を使った通信情報活動(通信情報の収集、分析、集積、報告など)、SIGINT(signal intelligence)
・近年、日本政府が米国はもとより、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド――UKUSA協定締結国――との軍事・情報分野での関係を深めている
 →中国が軍事力と情報収集を強化する中、より幅広い連携が必要になっている
・ファーウェイは中国の情報能力強化を担う中核産業で、「中国製造2025」の牽引企業でも
 →相互に手の内を見せたくない米中、共に証拠は示さないものの、ファーウェイの装置やソフトにスパイ機能が埋め込まれている可能性は高い
 →ファーウェイは、米国の世界支配(パクス・アメリカーナ)の基となる「軍事」と「情報」を脅かす「尖兵」役を担っている
・第2の理由:米国がハイテク覇権の主導権を握って、米中経済戦争を有利に進めるため
 →トランプによる「ファーウェイ叩き」の目的は、ハイテクや経済分野における米中覇権争いを有利に運ぶため
・米国は、国外の遠く離れた企業やその役員でも起訴できる手法――米国検察による訴追――を創出
 →米国は、中国経済を牽引する有力企業を個別に標的として、これを潰す戦術を手に入れることに
 →中国は、トランプの仕打ちに反発を強め、追加関税の回避を巡る交渉はヒートアップする可能性

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