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メモリ市場後退のなか、新たな展開に賭けて今年後半に戻す期待も

メモリ半導体の価格低下&市場鈍化から2019年の半導体メーカー・ランキングで、2017年および2018年とSamsungに首位を明け渡した長年の王者、Intelが返り咲く見方が出ていたが、2018年第四四半期からしてそうなっているとのデータがあらわされている。メモリが引っ張る韓国では輸出が非常事態となっているが、一方、SEMIのグローバルfab設備投資見通しでは2019年は14%減と落とすものの来年、2020年は27%増と大きく戻して最高更新としている。早ければ今年後半にも高性能computing機器および5G関連応用の需要が見えるとともに、AI、VRなど新たな市場創出の根強い期待が牽引している。

≪落ち込みから垂直立ち上げへ≫

メモリ市場の急激な後退から、2019年の半導体メーカー・ランキングは、ここ2年の首位、SamsungからまたまたIntelの返り咲き、と以下の見方があらわされたばかりである。

◇Intel Expected to Regain Top Chipseller Ranking-Memory price slump will help Intel regain the chip crown (3月8日付け EE Times)
→1)IC Insightsの見通し。メモリ市場における急激な値下がりから、Samsungの販売高が昨年に比べて20%落ち込む見込み、2019年の半導体メーカーのトップとしてIntelが再び返り咲く旨。
 2)IC Insightsは、Samsung Electronicsのmicrochipの売上げがメモリ価格の低下から20%減ると見ており、Intelが半導体販売高の世界のリーダーに戻る転換の旨。次の販売高の見方:

2018年
2019年
Samsung Electronics
$75.9 billion
約$60.7 billion
Intel
$70.8 billion
約$71.5 billion

◇Intel could regain crown-Intel is on track to regain its No.1 slot as the world’s largest chip maker, says IC Insights. (3月8日付け Electronics Weekly (UK))

2018年第四四半期においてすでに、Intelの半導体売上げがSamsungを上回っている、とIHS Markitのデータである。両社ともに前年同期を下回る売上げであるが、Samsungが大きく落とした結果となっている。

◇Intel beats Samsung in Q4 2018 semiconductor revenue, claims report-IHS Markit: Intel had more Q4 chip revenue than Samsung-While Samsung has led when it comes to semiconductor revenues for the previous five quarters, a report claims that Intel grabbed the top spot in Q4 2018 (3月11日付け ZDNet)
→IHS Markit発。2018年第四四半期において、Intelの半導体売上げが$18.4 billion、対してSamsung Electronicsは$15.8 billion。両社ともに前年同期比で売上げが減ったが、Intelの2.3%に対してSamsungは約25%の落ち込み、ともにモバイルhandsetsおよびenterpriseサーバの市場低迷による旨。

◇Intel Surpasses Samsung in Semiconductor Sales Revenue in Q4 2018, IHS Markit Says-Samsung maintains number one ranking in semiconductor sales for the total year 2018 (3月11日付け IHS Markit)

◇Intel surpasses Samsung in semiconductor sales revenue, IHS says(3月12日付け DIGITIMES)

Samsungの急落は、韓国経済に深刻な逆風を引き起こす要因となっており、以下の通りである。

◇韓国、3月も輸出非常事態…10日まで輸出19.13%↓ (3月11日付け 韓国・中央日報)
→輸出不振が続いており、中国成長率の鈍化、半導体価格の下落に影響を受けたものと分析される旨。
韓国関税庁は11日、今月1〜10日の輸出は110億ドル(約1兆2200億円)で1年前の同期間より19.1%減少したと明らかにした旨。先月まで3カ月連続で減少した輸出が3月も減少傾向に始まり、不安な出発を見せている旨。品目別では半導体(-29.7%)と石油製品(-39.0%)、船舶(-9.7%)、無線通信機器(-4.1%)などが減少した旨。
一方、1〜10日の輸入は前年同期比で15.4%少ない116億ドルを記録。半導体景気の不振により半導体製造用装備の輸入が60.5%も減少し、乗用車も42.2%減少した旨。

◇【社説】「韓国の経済成長は逆風に直面した」…IMFの警告 (3月13日付け 韓国・中央日報)
→国際通貨基金(IMF)が韓国経済に警告音を鳴らした。きのうIMF年次協議団は「韓国の経済成長が中短期的に逆風に直面しており下方リスクを受けている」と診断した。潜在的成長率が下落し、二極化と所得不均衡が懸念されるという判断も出した。IMFは国内総生産(GDP)比0.5%以上の大規模追加補正予算を投じなければ今年の目標成長率2.6%は難しいと予想した。
韓国経済はますますおかしく回っていく。自動車や鉄鋼など主力産業が生産性低下と保護貿易などの余波で活力を失ったのはきのうやきょうのことではない。ほぼ唯一の柱だった半導体も景気下降傾向に入り込み輸出全体まで揺らいでいる。・・・

SEMIのグローバルfab装置spendingの見通しも、2019年は14%減と落ち込むものの2020年は27%増と最高を塗り替えるとても強気の色合いとなっている。

◇CapEx Expected to Rebound in 2020-The memory rollercoaster will drive spending on semiconductor capital equipment back up in 2020, the SEMI trade group projects in its latest report. (3月12日付け EE Times)
→SEMIのsenior principalアナリスト、Christian G. Dieseldorff氏記事。
SEMIのWorld Fab Forecastでの予想。グローバルfab装置spendingが、2019年は14%減の$53 billion、2020年には戻して27%増の$67 billionと最高更新となる旨。メモリ分野の低迷に焚きつけられ、2019年の落ち込みはfab装置spendingの3年の活況の終わりとなる旨。

◇Global Fab Spending to See 2019 Decline, New Highs in 2020 (3月12日付け SEMI)

◇Semiconductor Sending to Bounce Back in 2020-The memory rollercoaster will drive spending on semiconductor capital equipment back up in 2020, the SEMI trade group projects in its latest report. (3月13日付け EE Times India)

◇Global fab spending to see 2019 decline, but stage recovery in 2020 (3月14日付け New Electronics)

メモリ半導体の価格は下落が続くものの、下げ幅が第二四半期には小さくなる見方があらわされている。市場需要との織り成し模様に引き続き注目するところである。

◇DRAM contract prices continue downward trend (3月12日付け DIGITIMES)
→業界筋発。DRAMメモリ価格が3月にさらに低下、第二四半期まで下がる流れが続く見込み、PC OEMsなど半導体buyersが価格交渉で引き続き値切りを得ようとしていることを示している旨。それにも拘らず、契約価格の低下は第二四半期に鈍る見込み、価格が2年前のレベルに戻りそうな旨。

◇NAND flash prices to drop by up to 10% in 2Q19-Sources: Q2 NAND flash prices set to dip (3月13日付け DIGITIMES)
→業界筋発。NANDフラッシュメモリデバイスの価格低下が、ここ数週間ほど急勾配でないにしても第二四半期の間は続く見込みの旨。Samsung Electronicsが過剰在庫一掃に向けて第一四半期におけるNANDフラッシュの見積もりを積極的に下げている、と特に言及、結果として第二四半期の価格は10%を下回る値下がりとなる可能性の旨。

◇DRAM、5カ月連続下落、大口価格8%安、サーバ向け不振 (3月14日付け 日経)
→DRAMの大口需要家向け価格が一段と下落した旨。指標となるDDR4型の4ギガビット品は、2月の大口価格が1個3.3ドル前後。前月比8%安く、5カ月連続の値下がりとなった旨。DRAM全体で荷余り感が出ている旨。

今年後半以降の新たな市場展開への期待感であるが、減速、停滞の最中のSamsungのスマホ部門では、5Gの台頭そしてAI、VRの連動による新たな展開に賭けている。

◇スマホ停滞「5Gが打破」、サムスン部門トップ、AI・VRで新市場 (3月12日付け 日経)
→世界のスマートフォン市場の減速が鮮明。2019年は中国の減速や技術革新の停滞で2年連続のマイナス成長となる見通し。「次世代の高速通信規格『5G』が停滞を打破する」。スマホ世界首位の韓国サムスン電子で同事業を率いる高東真(コ・ドンジ)社長は、人工知能(AI)や仮想現実(VR)との連動で新たな市場が生まれると語った旨。
米調査会社、IDCによると、2019年の世界のスマホ出荷台数は前年比で1%近い減少となり、4%減の14億台だった2018年に続いてマイナスとなる見通し。2007年の「iPhone」発売から成長が続いた市場は転機にある旨。スマホが牽引してきた半導体市場も今年1月に減少に転じるなど、余波も大きい旨。

台湾のICおよび材料distributorsからは、今年後半からの需要の持ち直しが高性能computing機器および5G関連応用からやってくるとの見方である。

◇IC and material distributors to see demand pick up after 2Q19-Sources: IC and semi materials distributors will do better in 2nd half (3月14日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のICおよび材料distributorsには、2019年第二四半期の後まで需要の戻しが見えそうにない旨。high-endスマートフォンの季節性および売上げ未達が、2019年第一四半期のこれまでWPGおよびEdom TechnologyなどIC distributorsの売上げにマイナスのインパクトとなっている旨。しかしながら、これらIC distributorsには第二四半期の後で需要の戻しが見えてくる見込み、売上げが2019年の終わりまで戻して伸びていく旨。高性能computing機器および5G関連応用の需要が、中長期の売上げの伸びを引っ張っていく、と加えている旨。

新市場、新分野の台頭そして傾斜に一層目が離せない現時点である。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関係】
米中貿易協議の進捗関連が以下の通りの経過である。一気に決着気運の首脳会談は、結局のところ早くて4月という受け取りである。

◇米中、追加関税で駆け引き、首脳会談は4月ずれ込みも−中国「首脳が全廃へ一致」、米は段階的引き下げ案 (3月9日付け 日経 電子版)
→米中貿易協議で、双方が昨年から段階的に掛け合った追加関税の扱いでズレが生じている旨。中国の王受文商務次官は9日、貿易不均衡是正や知的財産保護策などで首脳合意すれば、即座に双方が追加関税を全廃すべきだと表明。米側は合意履行を確実にするため追加関税を残したい思惑がある旨。3月下旬をめざしていた首脳会談は4月にずれ込む公算も出てきた旨。

◇米通商代表、対中協議「合意へ最後の数週間」 (3月13日付け 日経 電子版)
→米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は12日、議会上院の公聴会で米中貿易協議について「合意に向けた最後の数週間(の段階)にあることを望む」と述べ、近いうちの交渉決着に意欲を表した旨。「米国に好ましい形で解決できなければ合意しない」と念押しし、最終的に合意に至るかどうか見通しへの言及は避けた旨。

◇China and U.S. to Push Back Trump-Xi Meeting to at Least April-US-China trade summit pushed back (3月14日付け Bloomberg)
→本件3人の事情通発。米国・Donald Trump大統領と中国・習近平国家主席の間の貿易戦争終結合意調印に向けた会談は、今月には行われず、早くて4月になりそうな旨。

◇Trump-Xi summit will not happen in March: Mnuchin (3月15日付け Reuters)
→米財務長官、Steven Mnuchin氏が木曜14日、米中の交渉はさらにやることを要しており、首脳会談は3月には行われない旨。

◇Trump: We'll know in next 3 or 4 weeks about possible China trade deal (3月15日付け CNBC)

Huawei対応について、容認スタンスを示したドイツ政府に対し米国が警告を発している。

◇ファーウェイ容認なら機密情報の共有制限、米が独に警告 (3月12日付け 日経 電子版)
→米トランプ政権はドイツ政府に対し、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が次世代通信規格「5G」の通信網構築に参加するのを容認すれば、機密情報などの共有を制限すると警告した旨。グレネル駐独米大使がアルトマイヤー独経済相に8日付で書簡を送付した旨。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙などが報じた旨。

全人代で経済成長率目標を下げた中国であるが、今年に入っての経済指標にも影があらわれている。

◇中国新車販売14%減、1〜2月、乗用車が苦戦 (3月12日付け 日経)
→中国汽車工業協会は11日、1〜2月の新車販売台数が前年同期比14.9%減の385万2000台だったと発表、新車販売の8割強を占める乗用車が苦戦した旨。中国の新車販売台数は2018年7月から前年実績を下回り続けている旨。中国政府は2019年1月から消費刺激策を打ち出したが、需要の回復には時間がかかるとの見方が強い旨。

◇中国生産5.3%増、伸び率は10年ぶり低水準、1〜2月 (3月14日付け 日経 電子版)
→中国国家統計局が14日発表した2019年1〜2月の工業生産は前年同期比5.3%増えた旨。伸び率は昨年12月(5.7%増)から減速し、2008年のリーマン・ショック直後の2009年1〜2月以来、10年ぶりの低水準だった旨。半導体や自動車の生産が振るわなかった旨。
中国では春節(旧正月)休暇の時期が毎年ずれ、春節期間中は経済活動が落ちこむため、その影響をならすために1〜2月は主な経済統計を累計値で公表する旨。

【NvidiaのM&A】

Nvidiaが、イスラエルの通信機器メーカー、Mellanox Technologiesを買収、Intelを上回る入札価格、データセンター関連で業容拡充の狙い、ということで以下業界各紙の取り上げである。

◇Nvidia Reportedly Outbids Intel for Mellanox (3月11日付け EE Times)
→Reuters news service発。Nvidiaが、ネットワーキングICベンダー、Mellanox Technologies(Sunnyvale, California)を$7 billion in cash以上で買収する取引契約を最終確定しようとしている旨。匿名筋を引用した該報道は、Nvidiaがライバル、IntelのMellanox入札額を上回る、としている旨。Nvidiaは今週はじめに該取引を発表する可能性の旨。

◇Nvidia nears deal to acquire Mellanox Technologies: source (3月11日付け Reuters)
→本件事情通、日曜10日発。半導体メーカー、Nvidia社が、同業のMellanox Technologies Ltdを$7 billion in cash以上で買収する契約に近づいている旨。該契約は、Nvidiaにとって最大の買収となり、データセンター向け半導体を作る事業が高められて、同社が主要技術ベンダーとして最もよく知られるvideo game業界への依存を減らせる旨。

◇Chipmaker Nvidia to acquire Mellanox for $6.9 billion-Nvidia is buying Mellanox for $6.9B, adding data center chips (3月11日付け Yahoo/The Associated Press)
→Nvidiaが、イスラエルのMellanox Technologiesを約$6.9 billion in cashで買収しようとしており、Mellanoxの株価が市場オープンで急騰の旨。Nvidiaは、データセンターを通したデータ高速化技術に特化するMellanoxに対してIntelなどの会社を上回る入札価格の模様の旨。

◇Nvidia Nears Deal for Data Center Tech Firm Mellanox (3月11日付け Bloomberg)

◇米エヌビディア、イスラエル社を買収へ、約7600億円 (3月12日付け 日経 電子版)
→米半導体メーカー、エヌビディアが11日、イスラエルの通信機器メーカー、メラノックステクノロジーズを69億ドル(約7600億円)で買収すると発表、同社はスーパーコンピュータやサーバなどの機器を相互に結び、データを高速でやりとりする技術に強みがある旨。エヌビディアは買収によってデータセンター向けの品ぞろえを拡充する旨。

【明日のプロセッサ開発推進に向けて】

今後の用途に向けてプロセッサ半導体設計をもっと効率よく行えるようにと、IntelがCompute Express Link(CXL)標準、RISC-V支援者たちがCHIPS(=Common Hardware for Interfaces, Processors, and Systems) Allianceを打ち上げている。

◇Intel, RISC-V Rally Rival Groups-CXL, CHIPS Alliance extend competing processor ecosystems-Rival alliances will tout Intel, RISC-V technologies (3月11日付け EE Times)
→IntelおよびRISC-V支援者たちが、明日のプロセッサを巡って競合するecosystemsを大事に育てるためにライバルのalliancesを発表の旨。
Intelは、Compute Express Link(CXL)を開始、オープンchip-to-chip interconnectであり、acceleratorsおよびメモリを結ぶために2021年から同社プロセッサで用いる予定。Alibaba Group, Cisco Systems, Dell EMC, Facebook, Google, HPE(Hewlett Packard Enterprise), Huawei, およびMicrosoftなどがメンバーの旨。
これとは別に、少数のRISC-V推進者が、Linux Foundationのプロジェクト、CHIPS(=Common Hardware for Interfaces, Processors, and Systems) Allianceを打ち上げ、instruction set architecture(ISA)に向けたopen-source IP blocksおよびtoolsの広範な一式を開発していく旨。
初期メンバーとして、Esperanto Technologies, Google, SiFive, およびWestern Digitalなどの旨。

◇Intel, RISC-V Groups Race to Develop Tomorrow's Processors-Intel and RISC-V backers announced rival alliances to nurture competing ecosystems around tomorrow's processors. (3月12日付け EE Times India)

◇Intel and tech companies create CXL standard to link datacenter CPUs to accelerators (3月11日付け VentureBeat)

◇CHIPS Alliance aims to ease RISC-V design and deployment-The Linux Foundation and RISC-V Foundation, alongside industry partners such as Google and Western Digital, are partnering to provide SoC designs and utilities. (3月11日付け TechRepublic)

RISC-V技術活用に向けて台湾各社の連携も見られている。

◇Alliance formed in Taiwan to expand RISC-V ecosystem-Taiwan group forms to support use of RISC-V technology (3月11日付け DIGITIMES)
→台湾の各社が、open-source RISC-V instruction-set architecture(ISA)に向けた技術ecosystemを構築する業界連携に参画の旨。RISC-Vは、artificial intelligence(AI), internet of things(IoT)などの応用によく適している旨。MediaTekおよびAndes Technologyなど台湾のIC design housesがRISC-Vプロセッサを開発している旨。

【台湾メーカーの業績関連】

市場の減速、低迷の煽りが、台湾各社の2月業績にも色濃くあらわれている。

◇UMC, VIS see revenues fall in February (3月11日付け DIGITIMES)

◇MediaTek February revenues slip to 1-year low (3月11日付け DIGITIMES)
→MesiaTekの2019年2月連結売上げがNT$14.16 billion($458.2 million)、前月比12.8%減、前年同月比11.4%増、12ヶ月ぶりの低水準。2019年1-2月累計がNT$30.4 billion、前年同期比2.9%増。

◇February semiconductor revenue dives-Taiwan foundries post declines in Feb. revenue-HOLIDAY DISRUPTION:Taiwan Semiconductor Manufacturing Co's sales are forecast to rebound from next month after production levels return to normal, analysts said (3月11日付け The Taipei Times (Taiwan))
→TSMCの2月売上げがNT$60.89 billion($1.97 billion)、前月比22%減、前年同月比5.8%減、22ヶ月ぶりの低水準。1-2月累計がNT$144.38 billion、前年同期比3.7%減。
UMCの2月売上げがNT$10.46 billion、前月比11.3%減、前年同月比12.15%減、2016年3月以来の低水準。1-2月累計がNT$22.26 billion、前年同期比11.27%減。
Vanguard International Semiconductor Corp(世界先進)の2月売上げがNT$2.13 billion、前月比16.88%減、前年同月比11.81%増。1-2月累計がNT$4.69 billion、前年同期比16.23%増。

TSMCにしてここ8年で最初の年間利益減少となりそうな現下の状況見込みとなっている。

◇TSMC likely to post first annual profit drop in 8 years-TSMC may see profits decline in 2019, market observers say (3月12日付け DIGITIMES)
→TSMCが今年、年間net profitsが減る様相、これには、さらに飽和したスマートフォン市場、データセンター市場の伸びの低迷、仮想通貨崩壊および不都合なマクロ経済状況が、同社第一四半期業績に対する欠陥化学材料のインパクトとあいまっている旨。TSMCは2018年に7年連続のnet profitの伸びを示し、NT$351.13 billion($11.36 billion)すなわちNT$13.23/株の最高の利益を出している旨。それにも拘らず、TSMCは2017年以降利益の伸びに低い一桁%と鈍化が見え始めている旨。

【AIの今後に向けて】

メモリおよびcompute機能がartificial intelligence(AI)にはより密接にならなければ、とMicronにおける見方、そして取り組みである。

◇AI Needs Memory to Get Cozier with Compute-Analysis: Memory and compute functions must get closer for AI (3月12日付け EE Times)
→1)Micron TechnologyがForrester Researchに委託した調査。回答者の89%が、computeおよびメモリはアーキテクチャー的に密接していることが重要としている旨。今日AIおよびmachine learningを抑えているハードウェアの制約に関して、メモリとストレージが最も一般的に引用される懸念である旨。75%以上が自分たちのメモリおよびストレージを格上げあるいはre-architectする必要性を認めている旨。
 2)ビッグデータ分析論がcomputingとデータストレージ機能をより密接にもってきている一方、その組み合わせはartificial intelligence(AI)およびmachine learning(ML)応用の需要に適合させて引き続き進まなければならない旨。Micron Technologyは、AIに重点化した$100 million ventureファンドを設立、現在開発中のDRAM-likeデバイスのサンプルを2021年に出す計画の旨。

AIの今後に向けてアナログ技術、アナログ信号処理への立ち返りを求める論調が見られている。

◇Is Analog Signal Processing the Future of AI?-Making the move from DSPs to analog signal processors for AI (3月13日付け EE Times)
→前Texas Instruments(TI)のprincipal technology fellow、現在はRice Universityの教授で駆け出しのsystem-in-package(SiP)会社、Octavo Systems(Austin, Texas)のco-founder and chief technology officer(CTO)でもあるGene Frantz氏。SiPとアナログ処理が今後となるとし、artificial intelligence(AI)にはより良いソリューションが必要で、アナログ信号処理への回帰を考えるべき旨。「信号処理の全体の考えをとってアナログarithmetic logic unit(ALU)あるいはmixed signal ALUを行えば、性能を何倍か上げ、同時に電力消費を何分の1かに減らせる。」と同氏。

◇Will Analog Signal Processing be the Future of AI? (3月14日付け EE Times India)

◇Using Analog For AI-Can mixed-signal architectures boost artificial intelligence performance using less power? (3月14日付け Semiconductor Engineering)
→唯一もっているtoolがハンマーであれば、すべてのものがくぎのように見えるが、artificial intelligence(AI)応用の開発およびそれらに向けたcomputeプラットフォームには、代替技術、アナログを見落としている可能性がある旨。


≪グローバル雑学王−558≫

ウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)、ジョージ・ソロス(George Soros)と並び「世界3大投資家」と称されるジム・ロジャーズ(Jim Rogers)による驚愕の未来予測の書、

『お金の流れで読む 日本と世界の未来−世界的投資家は予見する』
 (ジム・ロジャーズ 著  大野 和基 訳:PHP新書 1172) …2019年1月29日 第一版第一刷

を、今回から読み進めていく。著者は、イエール大とオックスフォード大からウォール街へ、ジョージ・ソロスとファンドを設立、10年で4200%という驚異のリターン。37才で引退、大学教授、TVコメンテータなど活躍。2007年、来るアジアの世紀を見越してシンガポールに移住、という目まぐるしく華々しい経歴。本書にて、著者なりの、「歴史に立脚して先を読む」方法と、時代に順応する術について解説していく、とある。序章では、風はアジアから吹いている、と題して「アジアの時代」到来のなか、刺激的な今後への読みが大胆にあらわされている。


≪はじめに≫

〓「お金の流れ」を掴むには
・私は常に、歴史の流れを踏まえながら、数年先を見るようにしている
 →成功したければ、将来を予測しなければならない
 →私が2007年に家族でシンガポールへ移住したのも、来る「アジアの世紀」を見越してのこと
・お金、つまり資本の動きは、過去にも似たような動きをしているものだと気づいた
 →歴史から「お金はどう動くか」ということを学んでいたおかげ
 →リーマンショック、中国の台頭、トランプ大統領の当選、北朝鮮の開国、など数多くの出来事を事前に予想することができた

〓歴史は韻を踏む
・作家マーク・トウェインの言葉、「歴史は韻を踏む」
 →戦争、飢餓、不況、外国人迫害、貿易戦争、移民問題―――、これらは形を変えて何度も起きている
 →韻を踏むように、少しずつ形を変えながら反復をし続ける
・1990年代から2000年にかけて、アメリカではバブルが起きた
 →住宅と金融を中心にした資産価値が高騰
 →「ザ・ニューエコノミー」という新しい用語を作ってしまったくらい
・歴史を学んだ人には、「明らかに前回のバブル崩壊と同じ兆候がある」ということはわかっていた

〓100年前に起きたアメリカのバブル崩壊に学べること
・1920年代、第一次世界大戦で疲弊したヨーロッパ
 →代わりに競争力をつけたのがアメリカ
 →当時の大統領、ハーバート・フーヴァーは「永遠の繁栄」と呼んだ
 →しかし、ほどなく1929年からの世界大恐慌へと波及
・日本でも1980年代末、大型のバブルが生じた
 →日本人も外国人も、今度こそは違うと言い張っていた
 →「今度は違う」というセリフは、危険な兆候
・歴史上、「今度は違う」ということは絶対にない

〓人と同じ思考をするな、変化に対応せよ
・人と異なる考え方をすれば、他の人には見えないものが見えてくる
 →人と同じことをして成功した人は、いままでにいない
・時代がどう変遷しているかを肌で感じ、それに順応すること

◎本書では、私なりの、「歴史に立脚して先を読む」方法と、時代に順応する術について解説


序章 風はアジアから吹いている
   ―――ただし、その風には「強弱」がある

[訳者記]
・本章では彼の投資哲学とともに、「5年後にアジアで一番幸せな国はどこか?」を考察する
 →未来の経済の地図を大まかに掴むことができるだろう

〓なぜリーマンショック、トランプ大統領誕生を的中させられたのか
・とりわけリーマンショックが起こることはその前年から目に見えていた
 →その後少なくない利益を得ることができた
・2016年のアメリカ大統領選
 →ニュースを見ながら妻と娘2人に、「勝つのはドナルド・トランプだ」と言った
 →結果としては私の予想通り

〓投資を成功させるためには歴史に学べ
・人と同じように考えている限り、大きな成功を収めることは恐らくない
 →「投資を成功させるためには歴史に学べ」というのが、私のポリシー
・歴史上のどの年を見ても、その年から15年後を見ると世界はまるっきり変わってしまっている
 →現状を理解するためには唯一、歴史を学ぶこと
・過去に起きた大きな相場の上昇や下落を調べ、その動きは何によってもたらされたのかを探る

〓「アジアの時代」の到来――世界の負債は西洋に、資産は東洋に
・現在、アメリカは有史上最大の債務国(他国からお金を借りている国)
 →世界で一番、それも世界の歴史上最も多くの借金を抱えている
・この75年間で、アメリカ・ヨーロッパ・日本から、中国・シンガポールなどアジア諸国への大規模な資本流入
 →現在、世界の負債は西洋に、資産は東洋にある
・2008年、リーマンショックに端を発する世界金融危機が発生
 →中国は、まさかの時のためにずっと貯め込んでおいた資金を使い始めた
 →中国の資産によって、世界の国はずいぶんと助けられた
・それ以降、中国は金を借りる側に
 →それでも、中国が依然として非常に大きな債権国(他国にお金を貸している国)であることに変わりはない
・債務が大きい国は、常にひどい姿になって終焉する
 →すべて歴史が教えてくれる

〓どうする日本
・だから、日本の将来を危惧しなければならない
 →私自身、心から案じている
・1990年に記録した最悪の状態は脱したものの、日本の長期債務残高はここ10年弱で増加の一途
 →もし私が10才の日本人だったとしたら、日本を離れて他国に移住することを考えるだろう

〓次に「買い」の国はここだ
・世界で最も刺激的な国
 →ここ50年の間 …日本
  ここ40年の間 …シンガポール
  ここ30年の間 …中国
・これからの10〜20年では、北朝鮮・韓国の統一国家が最も刺激的
 →まもなく北朝鮮が開かれ、韓国と統一されて1つの国に
・韓国は、日本と同じように出生率の低下がひどく、深刻な問題
 →統一により、韓国の少子化問題が軽減されるのは間違いない
・中国では、1979年から2015年まで「一人っ子政策」
 →中国は本腰を入れて、少子化問題と真剣に向き合わなければならない
・日本は、少子高齢化問題に関しては世界の最先端
 →解決できれば、日本は世界の先例に
・5年後のアジアで最も幸福な国になるのは、朝鮮半島の統一国家だろう
 →最も繁栄するから
・繁栄している国は、ほとんど必ずと言っていいほど外国人(移民)を受け入れている

〓史上最悪の世界恐慌は確実に来る
・「4〜8年の周期で大きな経済問題が起きる」…歴史が教えてくれる1つ
 →世界中の負債額が史上最悪の数字を記録
 →これで米中貿易戦争も絡んだら、とんでもない大惨事に
・国際金融協会(IIF)発:世界の債務残高は2018年3月末時点で247兆ドル
 →2008年末比約43%増加
・その一方、世界の国内総生産(GDP)の合計額は37%増にとどまっている
・2008年にアメリカでリーマンショックが起きて以来、世界中の国で債務が膨らむように
 →10年前はほとんど借金がなかった中国でさえも、いまは多大な債務

〓この10年でお金の流れは激変した
・いま世界を見渡すと、借金がない国は北朝鮮くらいしかない
 →どの国も紙幣を刷りまくっていて、まるで紙幣印刷コンテストをやっているかのよう
・ここ10年でお金の流れはずいぶんと変わった
 →リーマンショック後、世界中でやたらと紙幣を印刷するようになり始めた
・アメリカの株式市場は、2009年3月に底を打って以降、10年近く上昇を続けている
 →歴史を学んでいれば、現在のアメリカの上昇相場がいつか必ず止まるということは、誰にでも予想できる
・次に起こる経済危機は、我々の人生で最悪のものになるだろう

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