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5G端末&ビジネスの熱い競い合い、Mobile World Congress(MWC)

恒例のMobile World Congress(MWC)(2019年2月25日〜2月28日:Barcelona)が開催され、次世代の通信規格「5G」を巡る熱い競い合いが見られる予想通りの展開である。昨年は平昌五輪でも話題になった「5G」であるが、今回は直前にSamsungが折り畳みそして「5G」コンパチのスマートフォンを打ち上げて先鞭をつけており、各社の発表があい続く見え方となっている。大画面で高精細な動画が楽しめる「5G」の普及でスマートフォン市場の減速感を打ち破るべく、各社間の戦略的連携、そして韓国のビジネス先手と、5Gを軸とした様々な動き、取り組みが世界的に繰り広げられる様相である。

≪MWCとその多彩な波及の動き≫

今回のMobile World Congress(MWC)の全体的な見え方が以下の通りあらわされており、いずれも「5G」への期待をかけた論調である。

◇MWC: 5G, Foldables, & Connected Cars (2月25日付け EE Times)
→Mobile World Congress(MWC)は毎年Barcelonaの様相全体を変えているが、このCatalonianの都の大方の住民は広大なFira Barcelona exposition hallsの中がどうなっているか見ていない旨。いくつかブースを覗いてみて、5G技術(思い起こすに、この展示会はかつて“3GSM”と呼ばれていた)の有望性が焦点であった旨。

◇世界携帯見本市が開幕、再成長へ5G端末競う(NEWSFOCUS) (2月26日付け 日経産業)
→世界最大の携帯関連見本市、「MWC19バルセロナ」が25日に開幕する旨。
24日の事前イベントでは中国の華為技術(ファーウェイ)や韓国のLG電子が次世代通信規格「5G」対応の2画面端末を披露した旨。10年ほど続いたスマートフォン市場の成長が鈍るなか、各社は5G対応端末で成長の再加速を図る旨。ファーウェイの新型スマホは画面に有機ELパネルを採用。開くとタブレット、畳むとスマホとして使える旨。価格は2299ユーロ(約29万円)。2019年半ばから販売を始める予定。5Gの高速無線通信網を活用することで映画などを短時間でダウンロードして楽しめる旨。

◇5G Focus at Mobile World Congress (2月27日付け EE Times India)
→今週のMobile World Congressにて、5G accelerationが速度を上げている旨。1人のアナリスト(Tantra Analyst LLCのfounder and principal、Prakash Sangam氏)が、ここに如何に至ったかの歴史およびスマートフォン以降で5Gが意味するものを追っている旨。

ドイツそして韓国での取り組みに焦点である。ドイツ政府が推進する製造業のデジタル化・コンピュータ化を目指すコンセプト、Industry 4.0が思い浮かぶし、韓国ではこれも国を挙げて「5G」ビジネス先行への取り組みである。

◇企業間で5G活用、始動、ドイツテレコム、工場につながるロボ、韓国KT、船修繕をARで指示 (2月27日付け 日経)
→次世代の通信規格「5G」の商用化を控え、通信各社が企業間での活用に向け新たなサービスを打ち出し始めた旨。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の市場で、大量のデータを高速で送受信する環境を生かす旨。スマートフォンを使う個人向けだけでなく、製造業など異業種との協業が増え、5Gが産業の競争地図を変えそうな旨。
「5Gを使えば工場のロボットを柔軟かつ速く操作できる」。独通信大手、ドイツテレコムは25日、世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」の会場で、独照明大手のオスラムとの協業を発表した旨。

◇韓国、5Gビジネス先手、世界初、来月末にも、SK、立体映像ライブ配信、KT、車に信号の色を予告(Asia300) (2月28日付け 日経)
→韓国が世界に先駆けて、3月末にもスマートフォンを使う次世代の高速通信規格「5G」サービスを商用化する旨。5Gはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の基盤になる旨。韓国通信大手のKTとSKテレコムは立体映像配信など5G専用サービスの開発を急ぐ旨。文在寅政権は韓国経済の活性化を目指し、5Gで第4次産業革命を推進して2030年までに最大60兆円の経済効果を見込む旨。

「5G」での各社間連携が戦略的に行われており、グーグルとクアルコム、対するアップルという構図である。

◇グーグルとクアルコム、5Gで対アップル共闘、半導体など先行狙う (2月28日付け 日経)
→次世代高速通信規格「5G」を巡り、グーグルとクアルコムが距離を縮めている旨。念頭に置くのはアップルへの対抗。5G対応のスマートフォンではクアルコムの半導体とグーグルの基本ソフト(OS)を載せた端末の開発が先行している旨。アップルを共通の敵とする2社の「連合」は業界の競争環境を変えるかもしれない旨。

今回の会場の内と外の際立つ対照に視点を置いた記事である。

◇MWC in Barcelona: A Study in Contrast (3月1日付け EE Times)
→Mobile World Congress(Barcelona)は、この美しい都市をほとんど見ない引きこもった集まりであり、外と中の対比に驚くものがある旨。会場の内外で以下の注目:
 Huawei honcho doubles down
 ‘Standalone’ VR
 Xiaomi sees Keysight
 T-Mobile ‘sprints’ to Mobile World
 YouTubed at Mobile World
 Yeah, but does it make toast?
 “Foldable” is where it’s at
 Early adopter paradise …Huawei Mate X
 It's Qualcomm's world, we just live in it
 Hospital de la Santa Creu i Sant Pau
 It's spring
 Arc de Triomf
 Parc de la Ciutadella
 Wild in the Parc

Samsungが折り畳みそして「5G」コンパチのスマートフォンをMWCに先駆けて打ち上げたが、熱気の流れが続いてファーウェイ、ソニーなど「5G」対応機種のオンパレードである。

◇ファーウェイも折り畳み、5Gスマホ先陣争い (2月25日付け 日経 電子版)
→携帯シェア世界3位の中国・華為技術(ファーウェイ)は24日、次世代通信規格「5G」対応のスマートフォンを年内に発売すると発表、広げると大画面になる折り畳み式。中国の小米(シャオミ)も春に低価格機種を投入する旨。5Gの商用化を控えて韓国企業を含めた携帯各社が対応スマホを発表しており、5G対応で遅れる米アップルを追い上げる旨。
ファーウェイは世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」の25日の開幕を前に、現地で新製品を発表。「普通のスマホでは小さすぎる」。消費者向け端末事業部グループの余承東(リチャード・ユー)最高経営責任者(CEO)は、5G対応の折り畳みスマホ「Mate X」を高々と掲げた旨。

◇ソニー、超横長のスマホ、携帯見本市、5G対応機種続々 (2月27日付け 日経産業)
→25日にスペイン・バルセロナで開幕した世界最大の携帯関連見本市「MWC19バルセロナ」では次世代の携帯端末が相次ぎ発表された旨。ソニーモバイルコミュニケーションズは画面の縦横の比率が映画とほぼ同じ21対9のスマートフォンを発表、中興通訊(ZTE)も次世代の高速通信規格「5G」対応スマホを2019年前半に発売すると発表した旨。

折り畳みスマホからは、printed circuit boards(PCBs)業界へのビジネス機会が期待されている。

◇PCB makers bracing for opportunities from foldable smartphones-Sources: Foldable smartphones could be big for PCB makers (2月27日付け DIGITIMES)
→業界筋発。foldableスマートフォンの新しい波が、それらhandsetsに必要とされるprinted circuit boards(PCBs)のメーカーに向けてopportunityとなる旨。Huawei Technologies, Oppo, Samsung ElectronicsおよびTCLがfoldable phonesを披露しており、それらのモデルを作るためのflexibleボード, rigid-flexボード, 高密度interconnectボードおよびsubstrate-like PCBsの供給が各社のsupply chains次第、と特に言及の旨。

各社の動きに注目、まずはCDMAはじめ通信分野の技術的優位性を維持してきているQualcommについて。“connected vehicle”への傾斜が目立つ感じ方である。

◇Qualcomm Tightens Connected Grip (2月25日付け EE Times)
→モバイルhandsetおよびcellularネットワーク機器市場における5G技術の実力を披露するほかに、Qualcommが今週のMobile World Congressにて同社の“connected vehicle”の話を少しずつ高めている旨。

◇Qualcomm's new 4G, 5G platforms to bring improved telecommunication to vehicles-Qualcomm announced new chipsets for connected cars (2月25日付け TechCrunch)
→Qualcommが、消費者向けin-vehicle experiences創出に用いる新しい4Gおよび5Gチップセットを発表、この技術は2021年車であらわれ始めると特に言及の旨。該Snapdragon Automotive 4Gおよび5Gチップセットにより、vehicle-to-vehicleおよびvehicle-to-infrastructure通信とともに、グローバルnavigation衛星システムおよびRF Front-End functionalitiesが得られる旨。

◇Qualcomm rolls out 5G chips for cars, PCs and home broadband (2月25日付け Reuters)

◇Qualcomm Aims to Corner the Connected Vehicle Market (2月26日付け EE Times India)
→Qualcommが、新しいvehicle connectivityソリューションを展開、すでに車載connectivity市場で支配的な力をもつ同社がリードを加速している旨。以下の内容項目:
 5G Dual SIM Dual Active
 C-V2X
 Advanced Wi-Fi connectivity for automotive
 Availability

車載となると、Qualcommに対抗するNXP Semiconductorsの構図が次の通りである。

◇NXP to Kick-Start Cloud Apps for Car OEMs (2月26日付け EE Times)
→Qualcommが今回のMWCで月曜25日、telematics units用の新しい車載connectivity半導体portfolioを打ち上げ、同社は車のtelematicおよびinfotainment unitsによる車載connectivity市場を文字通りもつ一方、NXP Semiconductorsは、車のgateway市場における最大半導体サプライヤとしての地位を誇っている旨。

ロボットにも取り組むQualcommの今回の動きである。

◇Qualcomm Offers Robotics Building Blocks (2月27日付け EE Times)
→メーカーおよび開発者にとってconsumer, enterpriseおよび産業用ロボットの開発をより容易にすべく、Qualcommが同社初のrobotics専用に開発された統合、包括的offeringを打ち上げの旨。Mobile World Congress(Barcelona)で同社Robotics RB3プラットフォームを発表してから、Qualcommのrobotics, dronesおよびintelligentマシン、製品ラインmanager、Dev Singh氏は、直ちにNUREMBERG, Germanyに飛んでEmbedded World(2月26-28日)にて該新プラットフォームを巡る考え方を話している旨。

次にインテル、5G modemへの取り組みである。

◇Intel aims to push beyond phones with 5G infrastructure deals-Intel will sell more than smartphone modems for 5G (2月25日付け Reuters)
→Intelはスマートフォンに入る5G modem半導体市場で引っ張る位置づけを期待する一方、自動運転車および産業機器向けの5G modemsおよびネットワーキング装置用プロセッサおよびfield-programmable gate arrays(FPGAs)販売でも健闘を熱望の旨。

5G modemについて、インテルは中国のモバイル半導体メーカー、Unisocとの連携をご破算にし、OEMsと直接に協働することとしている。米中摩擦の影を受け止めている。

◇Intel's 5G modem alliance with Beijing-backed chipmaker ends-Unisoc loses tech partnership in new blow to China's chip ambitions (2月26日付け Nikkei Asian Review)
→Intelの中国第2のモバイル半導体メーカー、Unisocと最新5G modem半導体を共有する連携が、該技術移転によりWashingtonにおいて問題を生じ得る懸念の渦中、終わる旨。

◇Intel ends Unisoc deal so it can work directly with Chinese OEMs-Intel quits working with Unisoc over 5G tech, Chinese OEMs -Instead of working alongside Unisoc on 5G chipsets for smartphones, Intel has said it will work directly with Chinese OEMs. (2月27日付け ZDNet)
→Intelが、5G phoneプラットフォーム開発について大手チップ設計企業、Unisocとのコラボで1年前に調印した合意を終了、今では中国のoriginal equipment manufacturers(OEMs)と直接に協働できる旨。「やろうとしているのは、中国のOEMsに対して直接に我々のcomputeおよび5Gソリューションのいくつかを実質的に目指していくこと。」と、IntelのGM of 5G Advanced Technologies、Rob Topol氏。

MWCとタイミングが合っただけと思うが、先端プロセス分野で馴染みのあるインテルのMark Bohr氏の退任があらわされている。

◇Mark Bohr to leave Intel-Mark Bohr, Intel's process guru, is to retire in March, reports The Oregonian. (2月25日付け Electronics Weekly (UK))
→Intelが10-nmプロセス運用での業界先行でSamsung ElectronicsおよびTSMCに差をつけられ、Intelのベテランプロセスtechnologist、Mark Bohr氏が、来月退任予定の旨。

Micron、Western Digitalなどメモリストレージ関連で今回注目された世界最高速1TB microSD cardの取り組み、以下の通りである。

◇World's fastest 1TB microSD card, revealed at MWC, will cost $450-Latest microSD cards can hold 1TB of data-Think of all the Nintendo Switch games this baby can hold. (2月25日付け CNET)
→Western Digitalが、SanDisk Extreme UHS-I microSDXCカードを投入、以下の概要:
 最大1 terabyteのデータを蓄積
 読み出し速度 最速160 megabytes per second
 書き込み速度 最速 90 MBps
 価格 $450
 Micron TechnologyおよびLexarも、1TB microSDメモリカードを披露の旨。

◇The era of 1TB microSD cards has begun-WD and Micron can give you the smartphone space you've dreamed of (2月25日付け Engadget)
→プロセッサがもはやMoore's lawに追いつけない一方、メモリメーカーは絶えず小さくなるスペースにより多くのストレージ詰め込みを続けている旨。MicronおよびWestern Digitalがともに1TB microSDメモリカードを披露、価格当たりのスマートフォン・ストレージが大きく引き上げられる旨。該製品は、Lexarがこれまで最初となる1TB SDXCメモリカードの販売を始めた後まもなく続いてくる旨。

◇Micron unveils 1TB microSD card (2月26日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、世界最高容量のmicroSDカードを打ち上げ、1TB(terabyte)の高性能removableストレージが得られる旨。
該Micron c200 1TB microSDXC UHS-Iカードは、Micronの先端96-層3D quad-level cell(QLC) NAND技術でテコ入れの旨。同社は、3D QLC NAND技術が4K videos, 携帯電話のpicturesおよびgamesなどelectronic機器に向けたコスト効率の高いhigh-capacity consumerストレージの採用を高めると期待している旨。

そのほか、STMicroelectronicsの5Gへの取り組み、そしてArmとVodafoneのIoT連携など見られている。

◇ST Goes 5G…on Multiple Fronts (2月27日付け EE Times)
→5G半導体にふけっている"常連仲間"ではないSTMicroelectronicsが、にも拘らずこの初期の市場に入ってきている旨。STの5G opportunitiesへのアプローチは、用心深いが系統的であり、まず、テレコム基地局市場に当面重点化、GaN-on-siliconについてのMacom(Lowell, Massachusetts)とのコラボを進めようとしている旨。

◇Arm, Vodafone Formalize IoT Deal (2月27日付け EE Times)
→ArmとVodafoneが、Mobile World Congressにて戦略的連携を正式化、iSIM, internet of things(IoT)ソフトウェアおよびネットワークサービスを結びつけて、complexityを減らし、IoT機器のopen, remote供給を可能にする旨。Vodafoneはまた、車載業界に向けたIoT connectivityを引っ張るAT&Tとの連携も発表の旨。

今後の注目として5Gで立ち遅れるアップルである。Qualcommに代わる半導体の調達先となったインテルは、2019年末まで5G向けの半導体を出荷できない見通しとされ、アップルが年内に5G対応のiPhoneを出す可能性はほぼ無いとされる点である。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関係】

第2回米朝首脳会談(2019年2月27-28日:ハノイ)に一瞬目を奪われた感じ方があるが、米中摩擦については、3月2日に予定していた中国製品の関税引き上げも猶予することで合意し、間もなく合意内容などを公表する見込みとなっている。習近平国家主席との首脳会談で最終合意が探られる運びであるが、米朝の結果からして予断を許さぬところがある。ファーウェイ関連含め以下の流れの動きとなっている。

◇トランプ氏、米中貿易協議でファーウェイも議論 (2月23日付け 日経 電子版)
→トランプ米大統領は22日、中国との貿易協議で中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)について議論する可能性に言及した旨。米政権は企業秘密を窃取したりイラン制裁に違反したりしたとして同社や幹部を起訴した旨。「起訴の取り下げは検討していない」としているが、中国から譲歩を引き出す材料として使う可能性がある旨。

◇米中、首脳合意へ詰め急ぐ、関税上げ先送り検討−構造問題でなお溝、部分合意先行も (2月23日付け 日経 電子版)
→米中両国は22日、同日までの予定だった閣僚級の貿易協議を2日間延長し、週末も交渉を続けることを決めた旨。両国は貿易不均衡や人民元安の解消で一部合意にこぎつけ、トランプ米大統領は3月2日からの関税引き上げを1カ月程度猶予することを検討。習近平国家主席との3月中の首脳合意を目指し、中国の産業政策の見直しなど残る課題の詰めを急ぐ旨。

◇U.S.-China Crisis: Fallout for Global Chip Industry-EE Times Talks to Dieter Ernst-Economist sees China progressing, US still leading (2月24日付け EE Times)
→1)Mobile World Congress(2019年2月25日〜2月28日:Barcelona)の週に発行予定、AspenCore MediaのSpecial Project on Huaweiの一部。エコノミストでEast-West Centerのsenior fellow、Dieter Ernst氏とのQ&A。
 この中国のテレコム装置大手が米国およびその同盟国によって制裁を受けたときのグローバルなインパクトを詳細に吟味していく旨。
 2)エコノミストでCentre for International Governance InnovationおよびEast-West Centerのsenior fellow、Dieter Ernst氏は、中国が先端技術の開発&推進で進んでいることは認める一方、米国が多くの技術領域で依然リードを保っていると断言の旨。「2011年以降中国はIT業界のいくつかの重要領域で先行しているが、製造の輸出志向の開発モデルに対して根本的な課題に直面もしている。」と同氏。

◇Trump extends China tariff deadline, cites progress in talks (2月24日付け The Associated Press)

◇中国製品の関税上げ延期、トランプ氏「協議が進展」 (2月25日付け 日経 電子版)
→トランプ米大統領は24日、中国との貿易交渉で「構造問題などで十分な進展があった」として、3月2日を予定していた中国製品の関税引き上げを延期すると表明した旨。貿易交渉も延長し、中国の習近平国家主席との首脳会談で最終合意を目指すとした旨。
米中は2018年12月の首脳会談で90日間と期日を区切って貿易問題を集中協議すると決め、その期限が3月1日。ワシントンで4日間にわたって続けてきた閣僚級協議で、中国が米国製品の大量購入などを確約し、米政権も3月2日に予定していた中国製品の関税引き上げも猶予することで合意した旨。間もなく合意内容などを公表する見込み。

◇Trump Suggests ‘Signing Summit’ With Xi as China Talks Advance (2月25日付け Bloomberg)

◇ファーウェイ副会長の米引き渡し、カナダが審理入り決定 (3月2日付け 日経 電子版)
→カナダ司法省は1日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しを巡り、手続きを正式に進める許可を出した旨。米国側の提出した証拠などを基に引き渡しの是非を判断する方針で、孟氏は6日に出廷する旨。審理は長期化する可能性もある旨。

【ファーウェイ関連】

上の米中摩擦でも示したファーウェイ(Huawei)についての見方、動きから。

Huaweiボイコットが世界のsupply chainに与えるインパクトである。

◇Would a Huawei Boycott Unravel the Supply Chain?-Analysis: Huawei boycotts could disrupt global supply chain (2月26日付け EE Times)
→GartnerはHuawei Technologiesが昨年$26 billionのmicrochipsを購入、該中国ベンダーが米国および欧州の国々でのテレコムシステムの供給を禁止されれば、世界のsupply chainは苦痛を感じる旨。Advanced Micro Devices(AMD), Intel, MicrosoftおよびQualcommなどがHuaweiとのビジネスの重みが大きいサプライヤ、とGoldman Sachsがしている旨。

Samsungを訴えた特許係争の決着が図られている。

◇Huawei, Samsung agree to settle patent dispute in U.S. court (2月27日付け Reuters)
→中国・Huawei Technologiesと韓国・Samsung Electronicsが、米国での2年にわたる特許係争の決着に合意の旨。このAndroidスマートフォンの世界2大メーカーは、2016年以降米国および中国で法廷闘争を行っており、HuaweiがSamsungに対しauthorizationなしでcellular通信技術を使用、不合理にlicensing合意に入るのを遅らせていると申し立ての旨。

約20年に遡ってのHuaweiの米国市場における問題含みの振る舞いが指摘されている。

◇Timeline: History of Huawei's Legal Woes in the U.S. (2月27日付け EE Times)
→実際米国で初めてoperationsを設けて以降、Huawei自身、intellectual property(IP)盗用で訴えられている旨。2003年にCiscoがHuaweiを提訴、low endでCiscoと競った成り上がりのライバルは、ルータ・ソースコードの盗用&コピーで告発された旨。Ciscoはその次の年該提訴決着に合意、financial補償はなかった模様、Huaweiは問題の製品に変更を加えることに同意した旨。

◇Blog: Huawei's Pattern of Deceit (2月28日付け EE Times India)
→その通り、Huaweiは中国と米国の間の貿易のいさかいに巻き込まれているが、約20年に遡っての同社の振舞いは広範囲にわたる疑いおよび不信用を誘い出している旨。

【Samsung関連】

MWCの直前に折り畳みそして「5G」コンパチのスマートフォンを打ち上げが行われたために、一般の業界記事で捉えたところがあるSamsungの動きであるが、まずは、1テラバイトまでも今年後半予定のembedded Universal Flash Storage(eUFS)デバイスの打ち上げである。

◇Samsung Claims First 512GB Embedded UFS (2月27日付け EE Times)
→Samsung Electronicsが、最初の512GB embedded Universal Flash Storage(eUFS)デバイスの量産を開始、該デバイスは、Jedec標準化機関からのUniversal Flash Storageのversion 3.0準拠、前世代eUFS 2.1仕様の2倍の速度が得られる旨。Samsungは今年後半に1TB eUFSデバイスを出す計画、とSamsungのメモリ販売&マーケティング、executive vice president、Cheol Choi氏。

◇Samsung ramps 512GB flash module; launching 1TB in H2-Samsung boosts 512GB flash module production (2月27日付け Electronics Weekly (UK))
→Samsung Electronicsが、512-gigabyte eUFS(embedded Universal Flash Storage) 3.0 3D NANDフラッシュメモリモジュールの生産を増やしている一方、今月から128GB版を出す予定の旨。同社は、2019年後半に256GBおよび1-terabyteフラッシュモジュールを投入する計画の旨。

Samsungが半導体ファウンドリー事業拡大に向け、米国・New York州へのさらなる進出、そしてGlobalFoundries半導体製造operations買収に食指という見方の憶測を呼んでいる。

◇Is Samsung eyeing Tech Valley and GlobalFoundries NY chip fabs? (2月27日付け The Next Silicon Valley)
→Samsung Electronicsが、米国での半導体ファウンドリー事業を拡大していく一環として、New York州のTech Valley、そしてそこでのGlobalFoundries半導体製造operationsの買い占め、に注目している旨。
このような買収は、グローバルelectronics業界にわたる次世代半導体design-winsの最も大きなシェアに向けてTSMCとの直接の競い合いにSamsungをもっていく旨。また、Tech ValleyにおけるSamsungの技術基盤を大きく拡大する旨。SamsungのGlobalFoundriesへの興味を巡る憶測は、今週始めSamsung officialsとGlobalFoundries UAE ownersの間の韓国・ソウルでの会合および話し合いの報道が焚きつけている旨。

【この10年のウェーハfabs閉鎖】

IC Insightsより、この10年での半導体ウェーハfabsの閉鎖あるいは別目的再利用の件数データがあらわされている。総数97件あって我が国が36件と最多の地域別内訳となっている。

◇97 IC wafer fabs closed or repurposed during past 10 years (2月28日付け ELECTROIQ)
→IC InsightsのGlobal Wafer Capacity 2019-2023レポート。この10年の半ばでのmerger and acquisition(M&A)活動の急増そしてsub-20nmプロセス技術でICデバイスを生産する会社が増えてきて、サプライヤは効率の悪いウェーハfabsを取り除いている旨。ここ10年にわたって、世界中の半導体メーカーが97のウェーハfabsを閉鎖あるいは別の目的に再利用している旨。閉鎖あるいは別の目的再利用の地域別内訳:
 日本      36
 北米      31
 欧州      18
 Asia-Pacific  12

【各種業界データから】

メモリ半導体メーカー・トップ3社の売上げ合計の現下の大きな減少の度合いである。

◇Top-3 memory chipmakers to see combined revenues fall in 1Q19-Top memory makers' Q1 revenue to decline on falling prices (2月25日付け DIGITIMES)
→Digitimes Research発。メモリICベンダーの世界トップ3、Samsung Electronics, SK HynixおよびMicron Technologyの2018年第四四半期におけるDRAMおよびフラッシュメモリ売上げ合計が、前四半期比18%減、前年同期比26%減、季節性および価格低下による旨。該四半期のDRAM売上げ合計は前四半期比17%減、フラッシュメモリについては20%減。DRAMは該四半期のトップ3ベンダー売上げ合計の70%を占め、前四半期並みである旨。

今年の台湾の半導体業界も非常に低い伸びを見込んでいる。

◇Chip industry facing anemic growth-TSIA forecasts 0.9% growth in Taiwan's chip production value (2月26日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Taiwan Semiconductor Industrial Association(TSIA)の最新レポート。
今年の台湾半導体業界は生産額で0.9%と力のない伸びになる見込み、主には通商の不安定性およびスマートフォンの売れ行き減速の渦中での需要減少傾向の旨。

◇Taiwan IC industry output value to grow 1% in 2019, says TSIA (2月27日付け DIGITIMES)

HDDの大口価格にしても下落している。

◇HDD、大口価格下落、1〜3月、パソコン向け鈍く (2月27日付け 日経)
→パソコンなどの記憶装置であるハードディスク駆動装置(HDD)の1〜3月期の大口需要家向け価格が下落、パソコンの基幹部品であるCPUの不足が続いている旨。パソコンの組み立て工程は一部で遅れも出ている旨。基幹部品のHDDへの調達意欲も弱い旨。

特にメモリ半導体が大きく引っ張る韓国の半導体輸出であるが、ここにきての大幅な減少が以下の通りである。

◇韓経:韓国、半導体輸出量3年1カ月ぶりに減少 (2月28日付け 韓国経済新聞/中央日報日本語版)
→韓国銀行が27日に発表した「2019年1月貿易指数と交易条件」。先月の半導体の輸出物量指数(2010年=100)は437.43で、1年前より2.6%下落した旨。2015年12月に1.8%下落してから初めてのこと。
半導体輸出金額指数は昨年12月に7.9%の下落に転じ、先月には21.8%と下落幅が拡大した旨。輸出量減少は製品需要が減ったという意味のため価格下落より深刻だと分析される旨。半導体業界関係者は「半導体部品が多く使われるスマートフォンの販売が減った上に、グーグルやマイクロソフトなどインターネット企業の注文が減少した」と説明、ただ業界と韓国政府は下半期から半導体輸出不振が回復すると予想している旨。折りたたみスマホや第5世代(5G)対応スマホなどの発売で携帯電話販売が増加し、インターネット企業が下半期にデータセンターを増設すると予想されるため。


≪グローバル雑学王−556≫

高度経済成長期を突っ走るなか、渋谷の街で強烈に目を引きつけられた広告を思い出すが、その「SHIBUYA PARCO」の表看板を制作した石岡瑛子について、

『日本人だけが知らない本当は世界でいちばん人気の国・日本』
 (ケント・ギルバート 著:SB新書 443) …2018年8月15日 初版第1刷発行

より人生の足跡を辿っていく。前田美波里の資生堂・サマーキャンペーンの広告「太陽に愛されよう」もパッと目に浮かぶところである。東京で、そして単身アメリカへ乗り込んで華々しい活躍の受賞歴。2012年、73才で亡くなる直前まで仕事に打ち込んだ迫力に富んだ行程である。


第四章 様式美
 ―――世界を驚嘆させた「創造性」 …その2

□世界に発信された「都市」としての東京
 ―――石岡瑛子

〓「ファッションの街東京・渋谷」の生みの親
・「女たちよ、大志を抱け」など印象的なキャッチコピー、強く訴えかけるような人物写真、そして、デカデカと「SHIBUYA PARCO」の文字
 →1970年代から1980年代に青春を過ごした人であれば、きっと鮮明な覚え
・パルコは、ファッション系のテナントを集めた商業ビル
 →一世を風靡したしたのは、「広告の力」が大きかった
 →渋谷に、「最先端ファッションの発信地」というイメージが定着
 →地方にいながらにして、東京の最先端文化の一部になれた気分に浸れる
・そんな強烈なイメージの生みの親、アートディレクター、石岡瑛子

〓「お茶汲みは致しません」――資生堂でキャリアをスタート
・1938年東京生まれ、東京藝術大学美術学部を卒業した石岡
 →資生堂からキャリアのスタート
・グラフィックデザイナー、アートディレクターとして活躍
 →広告界の大きな賞、電通賞と日宣美賞を連続して受賞
・前田美波里を起用した資生堂・サマーキャンペーンの広告
 →キャッチコピー:「太陽に愛されよう」

〓独立、そして単身アメリカへ
・石岡は、1970年に独立、「石岡瑛子デザイン室」を設立
 →前述のパルコの広告や角川書店の広告などを手がけ
・1980年代には拠点をアメリカに
 →華々しい活躍ぶりを示す受賞歴
  →1985年、カンヌ国際映画祭芸術貢献賞
  →1987年、グラミー賞
   …実質的に、日本人初の受賞
  →1993年、アカデミー賞の衣装デザイン賞

〓死の直前まで仕事に打ち込む
・石岡は、映画、舞台、ミュージックビデオなど、各方面で衣装デザインやアートディレクションを務めた
・晩年の石岡はがんを患い、2012年、73歳で死去
 →直前まで仕事
 →晩年になってもなお最盛期
・数々のパルコ広告で使用された写真の女性たち
 →アートディレクター、石岡瑛子の姿そのものだったのかも

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