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Huaweiを巡る各国各社各機関の様々なスタンス、中国から切り札も

中国通信機器最大手、Huawei(華為技術)との取引禁止を米国政府が米国企業に命令して各方面に波紋が広がる中、世界中から様々なHuaweiに対するスタンスがあらわれている。TSMCはじめ台湾メーカーはHuaweiへの供給維持促進方向、韓国はHuaweiから供給維持の依頼、米国各社は命令遵守に前向きの一方反発に近い反応も、と米中双方および世界各国に大きな打撃を呼び起こす事態だけに非常に込み入った動きを呈している。IEEEなど団体からもHuawei排除を巡る賛否の応酬がみられているが、中国からはレアアース(希土類)の禁輸という強力な切り札が交渉材料に見えてきている。そして6月1日午前0時(日本時間同1時)、米中双方制裁関税「第3弾」が発動されている。

≪目まぐるしい動き&応酬≫

米中そして世界各国に及ぶ日々の慌ただしい動き&展開であり、3項に分けて推移を追っていく。

●Huaweiを巡るあい続く動き

TSMCはじめ台湾勢にとっては、米中の狭間でHuaweiに対応するかき入れチャンスということで、以下の通り半導体供給対応が行われている。

◇TSMC to Keep Supplying Chips to Huawei (5月24日付け EE Times)
→TSMCが、グローバル半導体ecosystemの他の各社がHuaweiに対する供給についての米国の禁止を遵守しようとも、Huaweiへの半導体製造を続ける計画の旨。5月23日の技術シンポジウムにて、注意深い考察を経てTSMCはそう言っている旨。同社は、1つのclientへのどんなインパクトも別のclientには利得を生じ得る、と特に言及の旨。

◇TSMC to Stick with Huawei (5月30日付け EE Times India)

◇Taiwan MOSFET supply chain gaining rush orders from Huawei (5月27日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Mosel Vitelicなど台湾の6-インチウェーハファウンドリーhousesが、スマートフォンおよびサーバ用のMOSFET半導体に向けた中国、たぶんにHuawei陣営からの急ぎの受注を5月に獲得しており、同社の装置稼働率が4月の50%から60-70%に高まっている旨。

◇HiSilicon continues ramping up 7nm chip orders placed with TSMC (5月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。HuaweiのHiSiliconが、少なくとも今年の終わりまでHuaweiのflagship P30シリーズスマートフォンの妥当な供給を確保するために、ファウンドリーパートナー、TSMCへの7-nm半導体の発注を立ち上げている旨。

韓国にとっても、Huaweiからは供給維持の要請があるとともに、米中の狭間での商機となる。

◇中国ファーウェイ、韓国企業に「部品供給の維持を」 (5月28日付け 韓国・中央日報)
→トランプ米政権の集中砲火を受けている中国ファーウェイ(華為技術)がサムスン電子など韓国の半導体・ディスプレー企業に部品供給ラインを維持してほしいと要請したことが分かった旨。米国が16日にファーウェイを「輸出制限ブラックリスト」に含めた後、韓国政府に対しても国務省など各種チャンネルを通じてファーウェイ制裁に参加してほしいと要求したからの旨。

◇Huawei ban puts South Korea in a familiar place: caught between the U.S. and China (5月29日付け Reuters)
→Huawei Technologiesが米国によりブラックリストに載せられて1週間足らず、100人以上の韓国の政治家およびビジネスリーダーたちがHuaweiのheadquartersおよび深セン郊外の豪華な新キャンパスを訪れている旨。

米国各社のスタンスは複雑であり、AMDは政府命令遵守のスタンスである一方、Texas Instruments(TI)およびMicron Technologyからは嵐の通過を待つような雰囲気がうかがえてくる。

◇米AMD、中国合弁先への技術移転「今後ない」 (5月28日付け 日経 電子版)
→米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のリサ・スー最高経営責任者(CEO)は28日、台湾・台北市内で日本経済新聞などの取材に応じ、過熱する米中貿易戦争について「全ての経営者が早期の解決を願っている」と述べた旨。その上で、中国企業に対し進めてきた半導体の技術移転は、今後進めない考えを明らかにした旨。スー氏は、28日から始まるアジア最大級のIT見本市「台北国際電脳展(コンピューテックス台北)」に出席するため台北市を訪れ、27日に複数メディアの取材に応じた旨。

◇Texas Instruments CEO signals Huawei about 4% of sales as he calls China ‘an opportunity’-TI CEO sees opportunity in China, despite Huawei issues (5月30日付け The Business Journals/Dallas)
→Texas Instruments(TI)のCEO、Rich Templeton氏が今週、投資家に対し、中国で伸びる、中国の顧客とともに伸びるopportunityがあり、したがって、Huawei Technologiesに対する米国政府の禁止措置にも拘らず投資していく旨。Huaweiは、TIの2018年売上げの約4%を占めている、と特に言及の旨。

◇Micron striving to cushion impact of US trade ban on Huawei (5月30日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、Huaweiに対する米国の貿易禁止のインパクトを減じるよう努めている旨。

いろいろな各方面での打撃があらわれており、まずは、Huawei製品についてである。

◇ファーウェイの最新スマホ「P30 Pro」、下取り価格は1万4000円未満 (5月28日付け Ubergizmo JAPAN)
→米国政府がエンティティリストにHuaweiを追加したことで、実質的に同社と米国企業との取引が不可能になったため、Huaweiは非常に困難な立場に置かれたと言っても過言ではない旨。これは、Huaweiが使用している技術の多くが、GoogleやIntel、Microsoftなどの米国企業によるものであるため。フォーブスのレポートによると、英国のスマートフォンの下取りWebサイトの価格を確認すると、Huawei P30 Proは130ドルにも満たないとのこと。販売価格と比較して、その価値の約90%を失ったことを意味する旨。これは、Samsung Galaxy S10 +のような下取り値で約650ドルの価値がある他のスマートフォンと対照的。

Huaweiからの米国各社への影響の警告である。

◇Huawei warns ban will hit 1,200 US suppliers (5月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)

◇ファーウェイ幹部、米禁輸措置で「米1200社が損害」 (5月29日付け 日経 電子版 14:36)
→中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の宋柳平・上級副社長は29日に広東省深セン市の本社で記者会見し、米国による事実上の輸出禁止措置について、同社と取引のある「1200以上の米企業が損害を受ける」と語った旨。米国では中堅の半導体メーカーが業績を下方修正するなど、禁輸措置の影響が広がっている旨。

我が国への打撃の見方である。

◇Huawei's trouble with U.S. ban could impact Japan's smartphone market and suppliers (5月29日付け The Japan Times)
→Huawei Technologies Co.が米中貿易戦争から続いている騒動を凌げるかどうか世界が注目、同社がWashingtonにより引き続きブラックリストに載せられれば日本に打撃を与えるという見方が広がっている旨。

マレーシアのマハティール首相は、米中の衝突はあってはならないとして両国に自制を求めている。

◇マハティール首相「米中に自制求める」:アジアの未来 −ファーウェイの技術「利用したい」 (5月30日付け 日経 電子版 11:53)
→アジアの政治・経済などについて討議する第25回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)が30日午前、都内で開幕、マレーシアのマハティール首相は過熱する米中対立について「衝突は選択肢としてあってはいけない。完全な破壊は解決にならない」と述べ、両国に自制を求めた旨。米国が輸出を禁じる中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)について「技術を可能な限り利用したい」と述べた旨。

関連アジア株への大きなインパクトである。

◇ファーウェイ関連アジア株に激震、米制裁から2週間 −カメラ部品のQテクは27%下落 (5月30日付け 日経 電子版 02:00)
→アジアの株式市場で華為技術(ファーウェイ)の主要サプライヤの株価が軒並み下げている旨。米国が事実上の制裁を加えてから2週間がたつが市場では警戒感が広がる旨。世界のスマートフォン市場の勢力図も今後塗り替わる可能性がある旨。ファーウェイの主要サプライヤの6割はアジア企業が占め、さらなる打撃は避けられそうにない旨。

IEEEはじめ技術者、標準化などの団体から、Huawei締め出しの動きが以下の通り見られている。標準化のJEDECでは、排除を緩和する見直しが行われ、一筋縄ではいかない様相があらわれている。

◇ファーウェイ、規格団体で活動停止も「影響ない」、製品開発、失速の可能性も (5月28日付け 日経)
→中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は無線技術など規格団体での活動停止に追い込まれたことに対し「日常業務に影響はない」とする声明を27日までに発表した旨。ただ今後、通信技術の標準化などでの影響力低下は避けられない旨。製品開発のスピードが失われるなど長期的には経営に悪影響が及ぶ可能性がある旨。

◇世界最大の技術者団体もファーウェイ排除、活動を制限 (5月30日付け 朝日新聞DIGITAL)
→世界最大の技術者団体、米電気電子学会(IEEE:New York)が29日、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)とその社員に対し、発行する学会誌の編集活動などへの参加を禁止することを明らかにした旨。米商務省が華為を輸出規制の対象リストに加えたため、米中摩擦が科学分野にも及んでいる旨。

◇米学会、ファーウェイ活動を制限、規格団体などは「解除」も (5月31日付け 日経)
→中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁を受け、電気情報通信分野の主要な学会である米電気電子学会(IEEE)は29日、「米国の規定や法律を順守する必要がある」との声明を出し、同社の活動を一部制限すると明らかにした旨。会員の間では、抗議のためにIEEEの役職を辞退すると表明する中国の大学教授もおり、波紋が今後広がる可能性がある旨。
一方、通信分野の規格団体では「ファーウェイ外し」を取りやめる動きが出ている旨。半導体分野で米国の規格策定を担う半導体技術協会(JEDEC)、メモリカードの規格団体であるSDアソシエーションは30日までに、一時停止していたファーウェイの会員資格を復活させた旨。米メディアによると、無線LANの業界団体であるWi-Fiアライアンスも同社の活動の制限をやめた旨。

●中国の切り札

電気自動車(EV)やデジタル家電の部材に欠かせないレアアース(希土類)の禁輸を、中国が米国にちらつかせて譲歩を迫る切り札にしようとしている。中国が圧倒的な世界シェアを握り、米国も圧倒的に中国に依存しているだけに、今後の駆け引きに注目せざるを得ないところである。

◇China hints it might use rare earths in trade dispute (5月28日付け CNBC)

◇中国、レアアース利用に言及、関税交渉で米牽制 (5月28日付け 日経 電子版 23:39)
→米国との貿易摩擦が激しさを増す中で中国政府は28日、レアアース(希土類)の輸出に言及した旨。対米貿易協議の材料として使う可能性をちらつかせ、米国を牽制した旨。

◇Explainer: China's rare earth supplies could be vital bargaining chip in U.S. trade war (5月29日付け Reuters)

◇China ready to hit back at U.S. with rare earths: newspapers (5月29日付け Reuters)

◇中国、レアアースで米牽制、米は輸入の8割依存−習氏「重要な戦略資源」 (5月29日付け 日経 電子版 19:30)
→中国が電気自動車(EV)やデジタル家電の部材に欠かせないレアアース(希土類)の禁輸をちらつかせて米国への牽制を強めている旨。中国は世界生産の7割を握り、米国は輸入の8割を中国に依存している旨。貿易戦争の激化に歯止めがかからないなか、中国にとって輸出規制は米国に対抗するカードになりそうだが、副作用を伴うもろ刃の剣でもある旨。

●米中摩擦関連の動き

現下の関連する動きを時間順序に取り出している。

米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からの警告の論調である。

◇Trump's ‘Easy’ Trade War Hits Snags as China Plays the Long Game (5月25日付け Bloomberg)
→Semiconductor Industry Association(SIA)のpresident、John Neuffer氏。米国半導体メーカーは、国家セキュリティを強化する米国の努力を支持するが、ブラックリストに載せたことから"大きくすぐ効く逆インパクト"にも直面の旨。

中国のファウンドリー最大手、Semiconductor Manufacturing International(SMIC)が、ニューヨーク証券取引所での上場を廃止予定とのこと。

◇SMIC to delist from NYSE (5月27日付け DIGITIMES)
→Semiconductor Manufacturing International(SMIC)が、New York Stock Exchange(NYSE)から同社American depositary shares(ADS)の上場を廃止する計画を発表、該決定は、米中貿易摩擦激化の渦中で行われた旨。

摩擦応酬が始まってこの1年、そして直近を振り返っている。

◇How the Trade War is Disrupting the Supply Chain (5月28日付け EE Times India)
→Trump大統領の関税は、他の国々に貿易障壁を落とさせる要領の悪いやり方と当初はみられていた旨。米中貿易戦争に入って約1年、ハイテク各社は絶えず続く供給不安定性を“the new normal”として受け入れている旨。

◇フィンテック、しぼむ中国投資、1〜3月88%減、米中摩擦や規制強化が重荷 (5月28日付け 日経)
→金融とITを融合したフィンテック分野で中国への投資が急減速している旨。米調査会社のCBインサイツによると、2019年1〜3月期のフィンテック投資は中国で1億9千万ドル(210億円)と前年同期比88%減った旨。米中貿易摩擦の激化に加え、中国当局によるオンライン融資の規制強化も重荷となり、中国ブームに転機が訪れている旨。

◇The trade war's next battle could be China's access to Wall Street (5月29日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→Donald Trump大統領の中国との貿易戦争で、この2つの経済圏が如何に絡み合うかを広く再考を急がされ、いくつかのメーカーは中国でのsupply chainsを削り、アメリカ当局は中国の会社に向けた非常に重要な技術を遮断し始めている旨。さてもう1つしっかり見つめていく重要領域があり、financial市場である旨。

この貿易戦争による損害の大きさの見方である。

◇The Tech Warfare Hurts us All (5月29日付け EE Times India)
→「技術を巡る戦争がもたらす損害は、メディアが仮定しているよりずっと重大で長く続いていく様相。」と、EE TimesのインタビューでエコノミストのDieter Ernst氏。

開催中のComputex 2019(5月28日〜6月1日:台北)での米中対立への様々な声である。

◇アジア最大級のIT見本市開幕、台湾勢、米中対立に商機、米顧客から注文増 (5月29日付け 日経)
→台湾・台北で28日、アジア最大級のIT見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス台北)が開幕、米IT大手などの参加企業からは、米中貿易戦争の激化による事業環境の急変に対する戸惑いの声が上がった旨。一方で現地の台湾勢からは、中国企業から米向けの注文を奪取するチャンスになると期待する声も出ている旨。

我が国の半導体関連の輸出の減速ぶりがあらわれている。

◇最長景気、強まる逆風、中国発の生産変調、半導体さらに減速、鋼材在庫は膨らむ (5月29日付け 日経)
→半導体製造装置や半導体部品の輸出が多い東西の拠点で異変が起きている旨。大阪港の輸出額は2018年11月から4月まで6カ月連続の前年割れで、横浜港も5カ月連続でマイナスになった旨。景気実態を映し出す製造業の購買担当者景気指数(PMI)からも輸出環境の悪化が読み取れる旨。落ち込みの主因は中国向けの減少。スマートフォン需要が一服、半導体市場は昨年後半から調整局面にある旨。

容易ならざる根底を孕んだ米中の衝突の局面である。

◇A Widening China-US Perception Gap (5月30日付け EE Times)
→一体全体我々が現状の貿易関係に如何に至っているかの理解となると、米国および中国の受け取りは合わず、衝突する旨。両サイドとも、それぞれの国、経済そして人々に対する不正な行為として感じるものについてお互いを非難している旨。

Armは、中国におけるintellectual property(IP) licensing事業を現地に託するとしている。

◇Arm gives up control of IP to China-Arm's China joint venture takes control of firm's IP -Arm has given up control of its technology to China, reports the Nikkei. (5月31日付け Electronics Weekly (UK))
→Armの半導体intellectual property(IP)の中国におけるlicensingは、Hou-An Innovation Fundなど中国の投資家が51%をもつ合弁、Arm mini Chinaが今や管理監督する旨。

中国からの対米輸出に抜け穴と、繰り返される常套手段である。

◇中国、対米輸出に抜け道、アジア経由急増 (5月31日付け 日経 電子版 18:00)
→米国の保護主義的な政策が世界の貿易構造を急変させている旨。中国から米国への輸出は2019年1〜3月期に前年同期比で152億ドル(1.7兆円弱、12%)減少。落ち込みが大きい機械や電気機器などの動きを追うと、中国からベトナムや台湾、メキシコを経由した米国への輸出が増加していることが分かった旨。米国の制裁関税の回避を狙った生産移管が相次ぐ一方で、原産地をごまかす「迂回輸出」も増えている可能性がある旨。

6月1日午前0時(日本時間同1時)、米中双方制裁関税「第3弾」が発動されている。中国からは、この前夜に中国の会社の利益を害する“unreliable”な外国の企業や組織をリスト化すると発表している。

◇China threatens corporate hit-list on eve of new tariffs on U.S. imports (5月31日付け Reuters)
→中国が金曜31日、中国の会社の利益を害する“unreliable”な海外の会社、団体および個人の前例のないhit-list披露で迫った旨。輸入米国製品に対する報復関税(600億ドル分の輸入品に対する追加関税を25%に引き上げ)が真夜中に始まる運び。

◇Silicon Valley braces for the pain as China prepares to hit back (6月1日付け SILICON VALLEY BUSINESS JOURNAL)
→中国政府が金曜31日、中国の会社へ重要技術を与えないとしていることについて米国に対する反撃、“unreliable entities list”をまとめている旨。会社名や詳細は示されていないが、ハイテク各社がすべてと思われる旨。

◇中国、対米報復関税を発動、LNGなど25%に上げ (6月1日付け 日経 電子版 04:51)
→中国政府は1日午前0時(日本時間同1時)、米国の制裁関税に対する報復措置を発動、液化天然ガス(LNG)など600億ドル(約6兆6000億円)分の米国製品への追加関税を最大25%に引き上げた旨。米国も1日以降到着する家具・家電などの中国製品に25%の税率を全面適用する旨。米中の関税合戦は再び激しさを増してきた旨。

摩擦激化に一層の拍車、引き続きしっかり注目である。


≪市場実態PickUp≫

Computex 2019(5月28日〜6月1日:台北)が開催され、主要メーカーの関連する動きが以下3項にわたっている。

【AMDおよびインテル】

ComputexでのAMD、インテルそしてNvidiaが、以下の通りあらわされている。

◇AMD Details 7nm Processors, Intel Brings AI to PCs (5月30日付け EE Times)
→今週のComputex(台北)にてAMDがIntelに確かに投げ勝ち、同社7-nm Zen 2 coreベースの第3世代Ryzenプロセッサのpricingおよびavailabilityを発表の旨。一方、Intelは、10-nm Intel Core Ice Lakeプロセッサの出荷を発表、artificial intelligence(AI)をPCにもってきている旨。そしてNvidiaは同社EGX edge AIプラットフォームを披露の旨。

微細化nodeではインテルに先行した形のAMDの製品展開の取り組みである。

◇AMD's first Navi GPUs are the Radeon RX 5000-series-The Radeon RX 5700 will target NVIDIA's mid-range RTX 2070. (5月26日付け Engadget)

◇AMD taps TSMC as it unveils gadgets-AMD will have TSMC make 7nm chips for desktop PCs, more uses (5月28日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Advanced Micro Devices(AMD)がTSMCに向いており、TSMCの7-nmプロセス技術をもってconsolesおよびcloud機器, desktop PCsおよびgaming PCs用のプロセッサを作る旨。Computex Taipei開幕前日のnews conferenceにて、AMDのchief、Lisa Su氏が最新のRadeon graphics processing units(GPUs)およびRyzen desktopプロセッサを披露の旨。

インテルは、後れをとったとされる10-nmプロセッサを出荷している、と待ちに待った発表である。

◇Intel Unveils 10th-Gen Core Chips, 10nm Ice Lake, 18% IPC Improvement, Sunny Cove Cores, Gen11 Graphics, Thunderbolt 3-Intel rolls out 10nm Ice Lake processors (5月28日付け Tom's Hardware)
→Intelが、laptop computersおよびUltrabooks向け第10世代Core "Ice Lake"プロセッサを投入、10-nmプロセスで作られた該ICは、同社の"Sunny Cove" coresを特徴としている旨。

◇Intel Ice Lake processors will be in laptops before the end of the year-Plus, some new high-performance desktop chips (5月28日付け TechRadar (UK))
→Intelが、laptops用10-nm Ice Lakeプロセッサが現在出荷しており、今年後半に最善のlaptopsおよびUltrabooksであらわれてくる、とついに発表の旨。これは、Intelが2016年に遡ってCannon Lake lineupを発表、10-nm半導体の数年にわたる後倒しを経ている旨。しかし現在、Ice LakeがComputex 2019にて発表されたIntelのProject Athenaの一環として進んでおり、Team Blueがcomputingを次のレベルにもっていくとしている旨。

AMDとインテル、宿命のライバル両社の製品に対する市場の評価に今後一層の注目である。

【Arm】

Armは、Computexにて、premiumスマートフォン向けに設計された次世代コア、Cortex-A77 CPUおよびMali-G77 GPUを披露している。5G cellular通信, machine learning(ML)およびvirtual reality(VR)における応用をサポートする期待がもたれている。

◇Arm Flexes Mobile Muscle -New smartphone cores eke out gains at same 7nm node (5月27日付け EE Times)
→Armが、2020年のhandsets搭載が見込まれるpremiumスマートフォン向け3つの次世代コア(Cortex-A77 CPUなど)をあらわした旨。該ブロックは、現状世代と同じ7-nm nodeおよび3GHz maximum周波数を狙っているが、たくさんのアーキテクチャー・アップグレードが奏功、20-40%の性能gainsが得られる旨。

◇Arm rolls out new mobile IP suite to handle 5G demands-Arm debuts mobile IP suite for 5G, ML, VR apps (5月27日付け ZDNet)
→Armが、次世代スマートフォンおよびlaptopsに向けてCortex-A77 CPUおよびMali-G77 graphics processing unit(GPU)を投入、該デバイスは、5G cellular通信, machine learning(ML)およびvirtual reality(VR)における応用をサポートする期待の旨。Cortex-A77 CPUはCortex-A76デバイスに対し20%の性能改善が得られる一方、Mali-G77 GPUはモバイル機器でのhigh-endグラフィックスに向けて設計の旨。

◇Arm unveils new solutions for premium smartphones in 2020 (5月28日付け DIGITIMES)
→来年打ち上げ予定のpremiumスマートフォン向けに設計された新しいArm Cortex-A77 CPU coreおよびMali-G77グラフィックスpartが、開催中のComputex 2019(台北)にて披露されている旨。

【QualcommとMediaTek】

同じくComputexにおけるQualcommとMediaTek、後者が前者を追う対抗関係の動きである。

Qualcommは、Lenovoと初のSnapdragon-powered 5G PC打上げを発表している。

◇Qualcomm and Lenovo reveal the first Snapdragon-powered 5G PC-Qualcomm, Lenovo unveil a Snapdragon-powered 5G PC (5月27日付け TechCrunch)
→Qualcommが本日、同社Computex press conferenceにて、Lenovoとの初のSnapdragon-powered 5G PC打上げを発表、両社は、Project Limitlessと呼ぶ該PCを“5G connectivityが得られるPCs用に構築された世界初の7-nmプラットフォーム”とあらわしている旨。7-nmプロセス技術を特徴とするQualcommのSnapdragon 8cx Compute Platformベースの該laptopは、4Gおよび5G cellular通信をサポートする旨。

◇Qualcomm, Lenovo unveil Snapdragon-powered 5G PC (5月28日付け DIGITIMES)

MediaTekは、Qualcommに対抗、第5世代cellular通信(5G)system-on-a-chip(SoC)デバイスを披露している。対抗する両社ともに、7-nmプロセス技術ベースの取り組みである。

◇MediaTek aims to take on Qualcomm with new 5G chip-MediaTek debuts 5G SoC for high-end smartphones (5月28日付け Reuters)
→MediaTekが、high-endスマートフォン向けに第5世代cellular通信system-on-a-chip(SoC)デバイスを投入、Qualcomm, Huawei TechnologiesおよびSamsung Electronicsとの競合の高まりを狙う旨。該SoCは、7-nm FinFETプロセスで製造、Mali-G77 graphics processing unit(GPU)とともにArm Cortex-A77プロセッサcoreを特徴としている旨。

◇MediaTek's 7-nanometer 5G SoC chip targets high-end devices (5月28日付け VentureBeat)

◇Mediatek Claims 5G Silicon Parity (5月29日付け EE Times)
→Mediatekが水曜29日、同社初の5G SoCを展開、7-nm FinFETプロセスで作られ、ArmのCortex-A77 CPUおよびMali-G77 GPUを最初に取り入れ、並びに最大4.7 Gbits/sのダウンロード速度のHelio M70 5G modemを統合の旨。該multi-mode 5G SoCはまた、2G, 3G, および4Gをサポート、そして先端AI応用サポートに向けた新しいAI処理unitが入っている旨。

◇MediaTek unveils 5G mobile SoC (5月30日付け DIGITIMES)
→Computex Taipei 2019にて、MediaTekが、2020年打ち上げ予定のflagshipスマートフォンに向けた新しい7-nm 5G SoCを披露の旨。

【半導体市場データ】

IC Insightsは、今年後半には半導体市場が戻していくと見ている。

◇IC market likely to stage rebound in 3Q19, says IC Insights (5月28日付け DIGITIMES)

この第一四半期は、10年ぶりの世界半導体販売高の落ち込み、とIHS Markitの見方である。

◇Global chip market posts worst quarterly performance in 10 years, says IHS-Q1 semi sales fall 12.9% on memory chip decline (5月29日付け DIGITIMES)
→IHS Markitの評価。第一四半期の世界半導体販売高が$101.2 billion、前年同期比12.9%減、メモリ半導体市場での軟化による落ち込みの旨。この落ち込みは、2009年第二四半期以来の前年同期比最悪のものとなる、と特に言及の旨。

メモリ半導体が急激に落ち込む現状であるが、現下の価格動向、そして後半には戻していくと見方がここでも、以下の通りである。

◇DRAM contract prices to fall nearly 25% in 2Q19, says DRAMeXchange (5月29日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchange発。DRAM契約市場価格が2019年第二四半期に下がり続け、前四半期比約25%低下と見ている旨。4月に平均$34に下がった8GBモジュールのASPは5月そして6月とさらに下がる見込みの旨。半導体メーカーが抱える在庫は引き続き高まって、"気乗りのしない商い"を反映の旨。

◇Global top-3 memory vendors to see sales hit bottom in 2Q19, says Digitimes Research (5月30日付け DIGITIMES)
→Digitimes Research発。メモリ半導体ベンダー世界トップ3の2019年第二四半期販売高が、第一四半期に驚くべき前四半期比売上げの低下を経て、今年の四半期最低水準となる見込み、第二四半期後半には顧客の在庫がなくなっていく様相の旨。トップ3社のうち、SK Hynixの第一四半期売上げが前四半期比34%減と最も大きな落ち込み、Samsung Electronicsの同26%減およびMicron Technologyの同27%減を上回る旨。第一四半期の3社売上げ合計が、前四半期比28%減そして前年同期比31%減と急減した旨。

【目に留まるランキング】

スイスのビジネススクール、国際経営開発研究所(IMD)による世界各国の競争力評価ランキングであるが、我が国は、1990年前後はトップクラス、その後2000年にかけて大きく低下、・・・、そして改めて知る現時点である。

◇日本の競争力は世界30位、1997年以降で最低、IMD調べ (5月29日付け 日経 電子版)
→スイスの有力ビジネススクール、IMDは28日、2019年の世界競争力ランキングを発表、日本の総合順位は30位と前年より5つ順位を下げ、比較可能な1997年以降では過去最低となった旨。企業の生産性の低さや経済成長の鈍化などが理由で、アジアの中での地盤沈下も鮮明になっている旨。

プリント回路基板(Printed Circuit Board:PCB)でも中国が急速に伸びて我が国を抜いている昨年のデータである。

◇China overtakes Japan as world No. 2 PCB supplier (5月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾が生産額および技術開発でグローバルPCB分野のリーダーであり、中国が急速に伸びて世界第2のPCBサプライヤとして日本に置き換わっている旨。Prismarkの統計より2018年のデータ:
 1. 台湾 シェア31.3%  …生産額$62.4 billion
 2. 中国    23%   …2017年の17.4%から急伸
 3. 日本    20%


≪グローバル雑学王−569≫

Trump大統領が国賓で訪日の最中に本欄を埋めているが、Huaweiへの攻勢が高まって米中摩擦の先行きに一時も目が離せないところである。この米中激突の底流にあるものを追って、

『軍事的視点で読み解く 米中経済戦争』
(福山 隆 著:ワニブックス「PLUS」新書) …2019年3月25日 初版発行

より詰めを図っていく前半である。アメリカ海軍の軍人・歴史家・戦略研究者、マハン(1840年 - 1914年)のシーパワー理論が戦略に採用されて、米国が世界をリードする超大国になったとしている。「海洋を支配するものが世界を支配する」、今日世界最大規模の海軍を擁している米国、とまずはマハンの門徒としてパクス・アメリカーナ(超大国アメリカ合衆国の覇権が形成する「平和」)達成に登り詰めた米国の軌跡を追っている。


第二章 米中激突の底流にあるもの
 ――マハンのシーパワー理論と黄禍論 …前半

〓マハンのシーパワー理論とは

□米国の地政学
・アルフレッド・セイヤー・マハン(Alfred Thayer Mahan)のシーパワー理論、「海上権力史論」
 →米国の地政学に根差すもの
 →米国は北・南米大陸の中枢を占め、太平洋と大西洋を越えてユーラシア(旧)大陸にアクセスできる位置に存在
・米国が有する地政学上2つの特色
 →(1)「広大無辺の太平洋と大西洋を隔てて、アジアとヨーロッパに対面すること」
   …米国は西欧とアジアに出現する脅威に対して十二分なバッファーゾーンを保有
 →(2)米国は「北・南米大陸」により隔絶され、大西洋と太平洋との往来が極めて困難
・米国の地政学的な特色に由来する軍事・経済・通商上の課題
 →上記特色(1)により、克服しなければならない課題
  →第1:米国が旧大陸の諸国家と通商を行うためには、大量の商船が必要
   第2:商船を防護し、通商の相手国に睨みを利かせるためには、強大な海軍の建設が不可欠
   第3:米国はアジアとヨーロッパに至る長大なシーレーン(通商航路)を確保する必要
 →特色(2)に対して、克服しなければならない課題
  →米海軍は太平洋と大西洋の二正面に配備しなければならなかった
   →結果としてその戦力は、二分されることになった
  →米国は有事に、二大洋のいずれかに戦力を集中するためには、北・南
   米大陸を横断する運河を建設する必要
   →陸地が最も狭くなるパナマ地峡が最適だった

□マハンの海洋戦略理論(シーパワー理論)の要点
・マハンが、過去の歴史を分析して到達したシーパワー理論のエッセンス
 →「海軍は商船によって生じ、商船の消滅によって消えるものである」
 →シーパワーとは、国家が海洋を支配して活用する能力の総称、海軍力のみならず商船隊や根拠地(港湾・基地)なども
・マハンの戦略思想の核心
 →「制海権を握り、戦略的に重要な地点を確保した国」が歴史を支配
 →「国力、富、国家の威信、安全は、巨大なシーパワーの保有と、その巧みな運用の副産物である」
・マハンのシーパワー理論を最も簡潔に要約すれば
 →「海洋を支配するものが世界を支配する」
 →海洋国家、米国と旧ソ連(大陸国家)が世界の覇権をめぐってしのぎを削った結果、ついに米国に軍配が上がった

〓米国はマハンの門徒――マハンの戦略を採用し超大国となった米国

□マハンの「海上権力史論」が米国に及ぼした影響
・約250年前に建国した米国が、世界の超大国にまで発展、今日、世界支配体制を構築
 →マハンのシーパワー理論を国家戦略に採用したからにほかならない
・マハンの信奉者のセオドア・ルーズベルト(Theodore "Teddy" Roosevelt)大統領(任期1901〜1909年)
 →マハンの理論・政策を積極的に取り入れ、米国の国家戦略を180度転換、「攻め」の方針を採用
 →遅ればせながら帝国主義国家として、アジアに植民地・市場を求めて乗り出すことに

□マハンのシーパワー理論を採用・実現した男――ルーズベルト大統領
・マハンの海軍戦略を理解、「新興国、米国の国策・戦略として最適である」と見抜くだけの慧眼を有し、これを国策に採用・実行した人物がルーズベルト大統領
 →マハンの海軍戦略理論に基づいて、米海軍力の強化(戦艦建造)に執念
 →海外海軍基地の獲得とパナマ運河の建設
・海外海軍基地の獲得
 →フィリピン、グアムおよびプエルトリコを獲得
 →ハワイ共和国を謀略に近いやり方で併合し自治領に(1898年)
・パナマ運河の建設
 →パナマ運河条約を結び、永久租借権などを取得して工事に着手、10年の歳月をかけて開通させた(1914年)
・米国の今日の隆盛は、「マハンの知恵」と「ルーズベルトの実行力」によりその基礎が確立されたといえる

□米国海軍がパクス・アメリカーナを支える底力
・今日米国は、世界最大規模の海軍を擁している
 →海軍戦力を世界各地の海域に展開、文字通り7つの海を支配
・米国以外の国も米海軍の海洋支配の恩恵に浴している
 →日本や中国は、米国海軍の力のお蔭で、自由貿易に励むことができる
・別の視点から見れば、世界の諸国は米海軍によって「首根っこを押さえつけられている状態」に
 →米国海軍こそがパクス・アメリカーナを支える底力

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