インテルとAMDを巡るそれぞれの生産対応、ここ数週間での激動
インテルの10-nm開発先延ばしおよび14-nm供給逼迫の一方、AMDはファウンドリー戦略を変更、TSMCと結びついてプロセッサ市場シェアを拡大、とインテルとAMD関連の生産対応の局面がここ数週間激動を呈している。最先端微細化を公約してその通りに長年業界を引っ張ってきたインテルだけに、TSMCおよびSamsungの7-nm対応を目にするとインテルの実態は如何にと振り返らざるを得ないところがある。AMDも、もともとの製造分身で後にIBMの半導体部門が合体しているGlobalFoundriesが7-nmの開発を中止という最近の背景があり、それぞれの今後の展開の方向性に目が離せない状況である。
≪最先端微細化での後退≫
1ヶ月あまり前に遡るが、激動の経過を辿っていくと、GlobalFoundriesが、7-nm nodeについての開発の取り組みを無期限中止、現状の技術改善による顧客&市場対応に重点化する旨、以下の通り発表を行っている。
◇GlobalFoundries Halts 7nm Work-Next FinFET node would have cost $2-4B-TSMC seen as “steward of the industry” (8月27日付け EE Times)
→半導体技術を最先端に引っ張っていく競争が、3社(Intel、Samsung、TSMC)に絞られている旨。Globalfoundriesが、7-nm nodeについての取り組みを中止、同社workforceの5%以下をレイオフ、ASICグループを完全子会社にして残る7-nmファウンドリーの1社と連携していく旨。該nodeで利益をあげていくのに必要な40-50,000枚ウェーハ/月capacityの立ち上げには$2-4 billionを同社に要した旨。「この投資は他をやるほどに理に適わなかった。」と、3月に同社chief executiveに指名されたFab 8の前general manager、Tom Caulfield氏。
AMDとGlobalfoundriesというと、もとは一緒で設計開発と製造で分かれ、後者にはIBMも加わったという経緯であるが、AMDは、TSMCとの結びつきを強める政策変更から次の通り市場シェアの回復が図られる見通しとなっている。
◇AMD may regain 30% global desktop CPU market share in 4Q18 (9月25日付け DIGITIMES)
→業界筋発。2017年に黒字に戻して後、AMDは2018年に引き続き好業績の勢いを得ており、株価が最近12年ぶりの高水準、およびTSMCからの完全ファウンドリーサポートおよびIntelの10-nmプロセッサ打ち上げの遅れが奏功、グローバルdesktopプロセッサ市場シェアが本年第四四半期にまた30%を取り戻しそうである旨。AMDは、ファウンドリー戦略を劇的に変更、Globalfoundriesとの連携を緩めて、7-nmプロセスでのGPUs, サーバおよびPCプロセッサ製造でTSMCと契約の旨。該政策変更により、半導体歩留りおよび性能改善並びに顧客への出荷正常化に向けた市場の期待の渦中、AMDの株価は2018年半ば以降ずっと元気を回復している旨。
一方のGlobalfoundriesは、7-nmへの取り組みを中止、現状のプロセスnodes強化を図る方向を打ち出している。
一方、14-nm製品の供給問題そして10-nm製品の遅れと、厳しい状況が相次いで伝わってくる感じ方があるこのところのIntelであるが、喫緊のPCプロセッサ逼迫解消に向けてOregon, Arizona, IrelandおよびIsraelの各拠点での14-nm capacity増強に$1 billionの追加投資が行われている。
◇Intel Promises to Boost 14nm Production (9月28日付け EE Times)
→供給逼迫の渦中売上げ不足の懸念を和らげるよう、Intelが金曜28日、年間販売高目標、$69.5 billionに適合する供給は行えるとしている旨。同社はまた、本年のcapital spendingを最高の$15 billionに高め、そして来年10-nm半導体を量産化する計画を繰り返し述べた旨。Intelの暫定CEO、Bob Swann氏は、Oregon, Arizona, IrelandおよびIsraelのIntel Fabsでの14-nm capacity増強に$1 billionなどcapital spending増の旨。
そこで現下の動きであるが、Intelは、旧型チップセットの生産を14-nmプロセスから22-nm nodeに割り当て直している。
◇Intel reallocating production to ease constraints-Intel shifts production to reduce chip supply constraints (10月10日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Intelが、2019年1-3月の間のプロセッサ供給問題を緩和する目標で、旧型チップセットの生産を14-nmプロセスから22-nm nodeに割り当て直している、とIntel Microelectronics Asia LLC Taiwan Branch sales enabling manager、Shane Yu(余孝倫)氏。14-nm生産capacityのもつれを解くことで、notebook computersなどの用途のCoreプロセッサが続いてサーバ・プロセッサの製造に利する旨。
プロセッサ製品展開について、Intelは、シェアを伸ばすAMDに対抗、第9世代Core CPUsを以下の通り打ち上げている。
◇Intel claims best gaming processor with 9th Gen Core unveiling-Intel unveils 9th Gen Core as world's "best gaming processor" (10月8日付け VentureBeat)
→Intelが第9世代Core K-シリーズCPUを披露、"世界最善のgamingプロセッサ"と謳っている旨。該プロセッサの速度は最大5 gigahertzに達し、quad DDR4メモリchannelsおよび最大68のPCI Express lanesが含まれる旨。
◇Intel's 9th-generation Core processors reach up to 5GHz-It's going toe-to-toe with AMD's latest Ryzen chips. (10月8日付け Engadget)
◇Intel's New Processors Spin Up High-End Performance for the Masses (10月8日付け Wired)
→Intelの新しいCore X-シリーズプロセッサはpremiumコンテンツcreationプラットフォームに重点化、同社はまた、最高速consumer-focusedプロセッサ, Core i9-9900Kも投入の旨。
◇9th-Gen Intel Core CPUs Take Aim at AMD's Ryzen (10月9日付け EE Times)
→Intelが、同社第9世代Core desktopプロセッサを披露、PC gamingおよびcreative professionalsに重点、明らかにsmallerライバル、AMDのRyzenデバイスが標的の旨。New York Cityでのグローバルwebcastイベントにて、Intelは、animatorsなどcontent creators向けの新しいCore X-シリーズ高性能プロセッサのより詳細、およびcompute-intensive workloadsに向けた28-core Xeon workstation半導体についての更新内容も示している旨。Ryzenの成功とIntelの10-nm生産化のつまづきが合わさって、AMDのプロセッサ市場シェアが10%以下から向こう数年にわたって25%〜30%にもなるというアナリストの見方につながっている旨。
◇New Intel CPUs Target AMD Ryzen -Intel looking increasingly desperate on consumer CPU side with launch of 9th generation Core chips (10月10日付け EE Times India)
データセンター、自動運転と新分野への着実な取り組み、事業拡大を行ってきているIntelであるが、AIについての連携を次の通り進めようとしている。
◇Intel collaborates on new AI research center at Technion, Israel's Technological Institute (10月9日付け ELECTROIQ)
→イスラエルの科学技術研究機関、Technionが今週、同所の新しいartificial intelligence(AI)リサーチセンターでIntelが同所とコラボしている旨。該発表は、Intelのchief technology officer(CTO)、Dr. Michael Mayberry氏およびIntelのcorporate vice presidentでArtificial Intelligence Products Groupのgeneral manager、Dr. Naveen Rao氏が出席した同センターの開所式で行われた旨。
Intelを巡る環境の厳しさについて、我が国からの視点である。
◇米インテル、振るわぬ株価と狭まる包囲網 (10月12日付け 日経 電子版)
→半導体大手、米インテルの先行きに暗雲が漂い始めている旨。主力の半導体は競合するエヌビディアなどとの競争が激化。量産分野でも微細化競争で後れをとっているとされ、株価はさえない旨。「半導体の盟主」の浮沈は日本企業への影響も大きく、関係者は固唾をのんで見守っている旨。
EUV lithographyについてSamsungなどと肩入れしていたIntelであるが、そのstakeを下げる動きである。
◇Intel Again Cuts Stake in ASML (10月12日付け EE Times)
→lithographyベンダー、ASML holdingが今週始めにNetherlands' Authority for Financial Marketsで行ったregulatory filing発。Intelが、ASMLでの同社stakeを3%以下に削減の旨。
最先端微細化への取り組み、そして生産戦略の柔軟な対応と、特にIntelとAMDの動きを1つの切り口として半導体業界の大きな流れに注目せざるを得ないところである。
≪市場実態PickUp≫
【米中摩擦関連】
米中摩擦に「スパイ」半導体の報道が輪をかけて、サーバのマザーボードメーカーにも生産を中国から他に移す圧力が加わっている。
◇Taiwan server makers under pressure to speed up move-out from China-Sources: Makers of server motherboards feel pressed to leave China (10月8日付け DIGITIMES)
→業界筋発。サーバmotherboardメーカーが、生産を中国から台湾などの国々へ移すよう顧客からの圧力を受けている旨。中国製品に対する米国の関税およびスパイ目的の半導体がSupermicroサーバmotherboardsに取りつけられたとするBloomberg報道が、この展開の背景にあると特に言及の旨。
米中摩擦の長期化、そして激化の懸念から、世界景気予測の下方修正、さらには株価の連日の続落につながっているとの見方が以下行間に日増しに強まっている感じ方がある。世界同時株安への落ち込みをなんとか食い止めたい動きがまさに見られている現時点である。
◇世界景気予測2年ぶり下方修正、IMF、貿易戦争響く (10月9日付け 日経 電子版)
→国際通貨基金(IMF)は9日に世界経済見通しを改定し、2018年の成長率予測を3.7%と7月時点から0.2ポイント下方修正した旨。トランプ米政権が仕掛ける貿易戦争がさらに激しくなれば世界景気は2019年以降に最大0.8ポイント下振れすると警告した旨。世界経済見通しの下方修正は2016年7月以来、約2年ぶりで、2008年の金融危機後の景気拡大局面は転換点にある旨。IMFは2019年の世界の成長率予測も0.2ポイント下方修正した旨。米中の貿易戦争で景気が減速し、米利上げによる新興国の通貨安も世界経済を下押しする旨。
◇アジア株も全面安、上海は3年11カ月ぶり安値 (10月11日付け 日経 電子版)
→日米株価の急落を受け、11日のアジア株式市場も全面安となっている旨。
上海株の下落率は4%を超え、3年11カ月ぶりの安値をつけた旨。香港や韓国、フィリピンなども年初来安値を更新している旨。
◇米国株、ダウ続落で831ドル安、2月上旬以来の下げ幅 (10月11日付け 日経 電子版)
→10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、前日比831ドル83セント(3.1%)安の2万5598ドル74セントで終えた旨。下落幅は2月8日以来の大きさ。米長期金利の上昇を受けてハイテク株を中心に株式の割高感につながった旨。米中貿易摩擦の長期化懸念から投資家がリスク回避姿勢を強めたのも相場の重荷だった旨。株売りのきっかけとなったのは長期金利の上昇。米中摩擦への警戒感の高まりも売りを誘った旨。10日朝、ムニューシン米財務長官は中国が為替操作をしないよう徹底的に求める方針を示したと報じられ、米国が中国への強硬姿勢を強めるとの見方が広がった旨。中国の景気減速も重荷となり、中国事業の比率が高い銘柄が売られた旨。
◇米国株、ダウ続落し545ドル安、値動き荒く、リスク回避姿勢強まる (10月12日付け 日経 電子版)
→11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比545ドル91セント安の2万5052ドル83セントと7月23日以来ほぼ2カ月半ぶりの安値で終えた旨。前日に800ドル超下落し、11日も不安定な値動きが続いた旨。貿易摩擦による米企業業績への悪影響も意識され、ダウ平均の構成銘柄すべてが下げた旨。
9月26日付けで米司法省によるスパイ容疑での中国人逮捕の記事が見られたばかりであるが、次の摘発が続いて米政権の厳しく臨むスタンスを映し出している。
◇米、中国封じ先鋭化、産業スパイ容疑で高官摘発 (10月12日付け 日経)
→トランプ米政権が国益を脅かす存在とみなす中国の封じ込めに拍車をかけている旨。10日に中国情報機関高官による産業スパイの摘発を明らかにし、中国を念頭に置く投資規制の詳細も公表した旨。11月に迫る中間選挙への介入も繰り返し牽制している旨。米中は広範な分野で覇権を争う「新冷戦」の瀬戸際に立つが、対立の先鋭化を避ける道筋は見えない旨。
【「スパイ」半導体記事の波紋】
Bloomberg Businessweekによる中国製「スパイ」半導体の記事の波紋は、上記の米中摩擦でも触れているが、AmazonおよびApple、そしてサーバ製造のSupermicroが該記事内容を強く打ち消している状況である。
◇'Bloomberg Hack Report Erroneous' claims Amazon and Apple-Follows Supermicro in refuting claims of Chinese spy hardware in its products (10月7日付け EE Times India)
グローバルelectronics supply chainの変化が避けられないとするアナリストの見方があらわされている。
◇Analysts Foresee Supply Chain Impact from Chip Hack Report (10月6日付け EE Times)
→AmazonおよびAppleなど米国メーカー約30社のサーバに中国のスパイが半導体を置いたという報道を受けて、グローバルelectronics supply chainでの変更をアナリストが予想している旨。米国政府および法人筋の非公式の話を引用しているBloombergの報道は、中国人民解放軍の1部門が米国メーカーのoperationsに不法に侵入、グローバルsupply chainを危険にさらしている、としている旨。
◇Validation Changes Coming after Chip Hack Fallout-Mistrust against Chinese suppliers a real threat after Supermicro reports, say analysts (10月9日付け EE Times India)
中国側からの反応の1つである。
◇Experts question whether China has technical know-how to pull off chip hack-Tapping into a private server via the hardware would be a complicated process that also requires a degree of luck, says one expert (10月9日付け South China Morning Post)
→中国の技術エキスパートの中に、Bloombergが先週報道したスパイ半導体hackの真実性に疑問を呈しており、理由はただ1つ、中国にやってのけるノウハウがあると思えない旨。
【AI関連の動きから】
Nvidiaが、advanced driver assistance system(ADAS)応用に向けたAI半導体を以下の通り推進している。
◇Nvidia Enters ADAS Market via AI-Based Xavier (10月10日付け EE Times)
→Nvidiaが今週、欧州での同社GPU Technology Conference(GTC)(Munich)にて、同社がadvanced driver assistance system(ADAS)市場を追いかけてきている戦いを宣言、もともとはLevel 4自動運転車向けに設計されLevel 2+ carsに下げているAI-ベースNvidia Drive AGX Xavier Systemを今や推進している旨。NXP, Renesas, およびIntel/Mobileyeなどライバルの半導体ベンダーが供給のADASソリューションですでに混み合っている競合景観の中で、NvidiaのGPU-ベース車載SoCはそれぞれ自動運転車を試作するOEMsにとって単に"開発プラットフォーム"に留まらないと自信を示している旨。今回のGTCの場でNvidiaは、Volvo自動車が次世代ADAS車に向けてNvidia Drive AGX Xavierを使用、2020年代はじめから生産されると発表の旨。
◇Nvidia RAPIDS accelerates analytics and machine learning-New open source libraries from Nvidia provide GPU acceleration of data analytics an machine learning. Company claims 50x speed-ups over CPU-only implementations.-Nvidia pushes AI chip for ADAS applications (10月10日付け ZDNet)
→Nvidiaが、advanced driver-assistance systems(ADAS)の1要素としてartificial intelligence(AI)プロセッサ、Drive AGX Xavier Systemの使用を推進しており、Volvoの次世代車での該AI-ベースコンポーネント採用につながっている旨。同社はまた、graphics processing units(GPUs)が加速するanalyticsおよびmachine learning用open-sourceライブラリ一式、RAPIDSを投入、ソフトウェア開発に向けてPythonインタフェースを提示の旨。
もう1つ、中国・Huaweiが自社サーバ用の自前開発のAI半導体を披露している。中国の業界自立化を引っ張る動きとなっている。
◇Huawei unveils new AI chips amid Chinese technology ambitions-Huawei reveals AI chips for use in company servers (10月10日付け Reuters)
→世界最大のテレコム機器メーカー、中国のHuawei Technologies Co Ltdが、自社のサーバで用いる2つのartificial intelligence(AI)半導体を披露の旨。自前の半導体使用は、北京政府のMade in China 2025開発計画に沿っており、すべての国内機器の40%において半導体など現地製の製品をさらに多く入れるよう目指している旨。
◇China's Huawei Seeks to Chip Away at Silicon Valley's AI Supremacy-New AI chips align with broader efforts by Beijing to reduce its dependence on advanced U.S. technologies (10月10日付け The Wall Street Journal)
【AppleのPMIC事業買収】
Appleが自前開発にもっていく候補の1つというかつての覚えがあるが、power management IC(PMIC)について購入元の英国の半導体メーカー、Dialog Semiconductorの事業買収を直接行う動きが以下の通りみられている。
◇Apple Pays $600 Million for Dialog's PMIC Business (10月11日付け EE Times)
→Appleが、英国の半導体メーカー、Dialog Semiconductorのpower management IC(PMIC)事業の大半を総額$600 millionで買収、すでにApple半導体開発に重点化のDialogエンジニア300人プラスassetsに$300 million、および向こう3年にわたって供給されるDialog製品前払いに$300 millionなどの旨。連携および技術licensing合意として発表、Dialogは該3年取引にわたる製品について契約保証の旨。PMICsの2018年Apple売上げは$875 millionの見込みであるが、2019年後半から減り始めて2022年までにphase outの運びの旨。
◇Apple inks $600M deal to license IP, acquire assets and talent from Dialog to expand chipmaking in Europe-Apple, chipmaker Dialog sign $600M deal (10月11日付け TechCrunch)
→Appleが、欧州の半導体メーカー、Dialog Semiconductorの一部を買収、およびDialogの事業の残る部分からのitemsを購入する$600 million取引に合意の旨。該取引は2019年の間に完了、Appleの支払いには現状および今後のintellectual property(IP)ライセンス料が含まれる旨。
◇Apple gets critical iPhone technology in $600 million Dialog deal (10月11日付け Reuters)
両社'Win-Win'取引との見方があらわされている。
◇Apple-Dialog Deal Seen as 'Win-Win' (10月12日付け EE Times)
→AppleによるDialog Semiconductorのpower management IC事業の$600 million取引は、Appleの見方から鋭敏な動きであるだけでなく、Dialogにはあり得る最善のシナリオでもある旨。
【Micronの動き】
メモリ半導体のMicron Technologyのchief executiveに、SanDiskの前CEO、Sanjay Mehrotra氏が就任しているが、新製品開発に難題を抱える中、AI開発に向けた$100 million venture fundが船出の目玉として打ち上げられている。
◇Chipmaker Micron to invest $100 million in artificial intelligence companies-Micron plans up to $100M investment in AI startups (10月10日付け Reuters)
→Micron Technologyが、自動運転車あるいは工場自動化に向けたartificial intelligence(AI) toolsを開発しているstartupメーカー支援で$100 millionほどを出資する計画の旨。同社のnonprofit部門、Micron Foundationも、AIを開発あるいは研究している大学およびnonprofitsに$1 millionの助成を行う計画の旨。
◇Micron Places $100 Million AI Bet-CEO vows to accelerate new product launches (10月11日付け EE Times)
→Micron Technologyが、同社の新しいchief executiveのSAN FRANCISCOでのcoming-out partyにて、AIに重点化した$100 million venture fundを発表、そのSanDiskの前CEOでco-founderのSanjay Mehrotra氏は、commodity DRAMs整理統合で生き残った1つとして最もよく知られる同社での新製品投入の加速化を誓った旨。Samsung, SK Hynix, および東芝というライバルを追うメモリ&ストレージ大手の同社には難関のとき。Hybrid Memory Cube(HMC)およびAutomataプロセッサなど打ち上げ製品が大きな牽引を得られず、Intelと共同設計した3DXPointメモリは遅れて、同社売上げは今や2020年に先延ばしの旨。
◇Micron announces US$100 million venture investment to accelerate AI innovation (10月12日付け DIGITIMES)
→Micron Technologyが、AIおよびmachine learningに力強く重点化するstartupsに最大$100 millionを投資、該発表は、inaugural Micron Insight 2018イベント(San Francisco)にて行われた旨。
≪グローバル雑学王−536≫
チェコというと、1964年東京オリンピックでの「オリンピックの名花」、体操のベラ・チャスラフスカさん、そしてポーランドというと、独立自主管理労働組合「連帯」のワレサ議長(ポーランド語ではレフ・ヴァウェンサ)がまず浮かんでくる年代ではあるが、
『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』
(早坂 隆 著:PHP新書 1149) …2018年7月27日 第1版第1刷
より、今回はその両国の重厚な美しい街並みの印象が強い路地裏に触れていく。チャスラフスカさん、ワレサ議長それぞれ1990年前後の民主化に至る苦難の歩みを今までも目にしてきているが、両国それぞれ現地市井に実際に立った著者の目を通して改めて知る苦難の歴史である。
第四章 チェコ・ポーランド―――救われた生命、奪われた生命
□世界で最も美しい街の"有力候補"
・チェコの首都、プラハは、世界で最も美しい街の有力な候補の1つ
→戦争の被害が小さく、首都でありながら古くからの街並みが残存
…「石畳の細い路地」が迷路のように交錯
…多くの尖塔が林立する「百塔の都」
…中心部を貫くヴァルタヴァ川(ドイツ語では「モルダウ」)
…ヴァルタヴァ川の西岸に広がる小高い丘の上に立つ街の象徴、プラハ城
→現在では大統領府や博物館など
・1968年に起きた民主化運動「プラハの春」
→スローガン:「ドゥプチェクを城へ(プラハ城のこと)!」
・共産主義体制が崩壊したのは、1989年のビロード革命
・スロバキアとの連邦が解消されたのは、1993年のこと
□日本人の資質に感銘を受けたザビエル
・ヴァルタヴァ川に架かるカレル橋
→500m以上もあるゴシック様式の巨大な橋、全体が「歩行者天国」に
→欄干には30体にも及ぶ聖像、その1つがフランシスコ・ザビエルの像
→宣教師としてインドやマレー半島など、アジア各地を巡っていた
→ザビエルは日本人の「知識欲」に対し、特に強い感銘を受けたよう
→プラハは歴史的にイエズス会の強い影響
□国民一人当たりのビール消費量が世界一
・チェコは「ピルスナー」の発祥の地
…下面発酵ビール、「貯蔵工程で熟成させたビール」のこと。一般的に「ラガー」とも
※上面発酵のビールは「エール」
→現在、日本を含めて世界各地で愛されているビールの多くは「ピルスナースタイル」
・チェコでは、ビールが水やコーラよりも安い値段で売られている
・香辛料を少なめにした素朴な味付けが特徴のチェコ料理
→ローストポークやソーセージに、酢キャベツ(ザワークラウト)やクネドリーキ(小麦粉を団子状にして茹でたもの)を添えて食べるのが代表的
□チェコ語のマリオネット劇に隠された過去
・プラハには国立のマリオネット劇場
→「人形劇」、チェコの名物の1つ
→時間もしっかり2時間ほど、極めて本格的なもの
→「音楽の都」という表現に相応しいプラハ
・チェコでマリオネット劇が盛んな背景
→哀しくも逞しき歴史の物語
→かつてオーストリア=ハプスブルク帝国の支配下にあったチェコは、ドイツ語の使用を強制された
→唯一、母国語であるチェコ語の使用を許されていたのがマリオネット劇
・「日本にだって国立の文楽劇場がある」と、日本での友人の話
→自国の文化こそ自身には見えにくいものであるという真理の一端
□ポーランド孤児救出とその恩返し
・チェコの北東部に位置する隣国、ポーランド
→過去に何度も「地図上から消えた」という歴史
→歩みの中には日本との深い友情の物語も
→日本による「孤児救出」の逸話
・1917年のロシア革命
→シベリアで暮らすポーランド人の生活はいっそう苛酷なものに
→1918年、ポーランドはアメリカが提唱した「14ヵ条の平和原則」に基づく形で独立を回復
→シベリアにいるポーランド人たちの惨状は変わらず
→翌1919年、「ポーランド救済委員会」設立
→結局、最後に同委員会が頼った先が日本
→日本政府は速やかに救済を決断、孤児たちに救いの手を差し伸べた
・1922(大正11)年には第2回となる救済事業が実施
→第1回と合わせて、計765名の孤児が救出された
・70年以上を経た1995年、「阪神・淡路大震災」の折り、ポーランドでは「孤児救出の恩返しを」という運動
→被災地に対する多額の支援金
□高い人気を誇るワルシャワ大学「日本学科」
・ポーランドの首都、ワルシャワは、第二次世界大戦の際に壊滅的な打撃
→終戦後、ワルシャワ市民たちは街の復元に尽力
→1980年にはユネスコの世界遺産に登録されるにまで
・ワルシャワ旧市街の中心に位置する旧市街広場
→旧市街広場の南部には、ポーランド国内で最大の規模を誇るワルシャワ大学のキャンパス
→同大には現在、日本学科が設けられており、高い人気を誇っている
→ワルシャワ大学以外にも、50以上の日本語教育機関
・日本への関心の高いポーランド
→相撲も人気、特に「女子相撲」の競技人口が多い
□アウシュビッツと人間の本性
・ポーランドの歴史に触れる上で、どうしても避けて通れない「アウシュビッツ」
…ドイツ語であり、現地では「オシフィエンチム」
→かつて王国の首都として栄えた古都、クラクフからバスに乗って2時間ほど西に
→アウシュビッツ強制収容所の跡地に到着
…第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの絶滅政策(ホロコースト)において最大級の犠牲者を出した強制収容所
→28もの棟があり、それぞれ展示室として整備
・アウシュビッツから2kmほど離れた場所に、「第二アウシュビッツ」の異名をもつビルケナウ収容所
→「アンネの日記」で知られるアンネ・フランクも、ここへと移送された
→その後、ドイツのベルゲン・ベルゼン強制収容所に移され、そこでチフスに罹患、15年間の生涯