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激動模様|そして3社に…ロジック最先端:引き続くメモリcapex増大

半導体業界の今後に向けてどんな通過点になるのか、激動要素を孕んだ2点に注目である。Intel、Samsung、TSMCおよびGlobalfoundriesに絞られていたロジック最先端プレーヤーから、Globalfoundriesが7-nm nodeについての取り組みを止めると明らかにし、淘汰の推移の1つの大きな節目となっている。もう1つ、現下のメモリの活況を反映してIC Insightsが、今年の半導体設備投資(capex)総額について初めて$100 billionの大台を越えるとともに内訳でメモリ関連が合わせて53%と半分以上を占めると予測している。一寸先は闇の様相を伴いながらの現実の展開に一層目が離せないところがある。

≪求められる戦略的舵取り≫

GlobalFoundriesが月曜27日、7-nm nodeについての開発の取り組みを無期限中止、現状の技術改善による顧客&市場対応に重点化する旨、以下の通り発表を行っている。

◇GlobalFoundries Halts 7nm Work-Next FinFET node would have cost $2-4B-TSMC seen as “steward of the industry” (8月27日付け EE Times)
→半導体技術を最先端に引っ張っていく競争が、3社(Intel、Samsung、TSMC)に絞られている旨。Globalfoundriesが、7-nm nodeについての取り組みを中止、同社workforceの5%以下をレイオフ、ASICグループを完全子会社にして残る7-nmファウンドリーの1社と連携していく旨。該nodeで利益をあげていくのに必要な40-50,000枚ウェーハ/月capacityの立ち上げには$2-4 billionを同社に要した旨。「この投資は他をやるほどに理に適わなかった。」と、3月に同社chief executiveに指名されたFab 8の前general manager、Tom Caulfield氏。

◇GF Puts 7nm On Hold -Foundry forms ASIC subsidiary as it focuses on 14nm/12nm and above.-GlobalFoundries puts off 7nm R&D; AMD switches to TSMC (8月27日付け Semiconductor Engineering)
→GlobalFoundriesが、より成熟したプロセスnodesの腕を磨く方を選んで7-nmプロセスの開発を中止、その間は約5%のworkforce削減を実行、同社application-specific integrated circuit(ASIC)事業を完全子会社としてファウンドリー事業から切り離す再編を行っていく旨。ウェーハfab拠点をGlobalFoundriesに分離したAdvanced Micro Devices(AMD)は、GlobalFoundriesの動きの結果として7-nm発注をTSMCに移していく旨。

◇AMD's next wave of 7nm CPUs and GPUs will be manufactured by TSMC-AMD's next-gen products--all aimed at Intel and Nvidia--will be manufactured by TSMC as long-time partner GlobalFoundries shifts its focus. (8月27日付け ZDNet)

◇GlobalFoundries drops out of race to develop next-gen semiconductor technology (8月27日付け Reuters)
→世界第2位のcontract半導体メーカー、GlobalFoundriesが月曜27日、次世代半導体製造技術の開発を止めて、代わりに現在ある技法の改善に重点化する旨。clientsとしてQualcomm社, Advanced Micro Devices Inc(AMD), Broadcom社およびSTMicroelectronicsなどがある同社は、より微細、高速な7-nm技術についてのリサーチを無期限に凍結する旨。月曜早くAMDは、7-nm生産のすべてをファウンドリー市場leader、TSMCあるいは自らは工場をもたない各社のために半導体を製造するcontract市場にもっていく旨。

◇GlobalFoundries reshapes technology portfolio (8月28日付け ELECTROIQ)

◇GlobalFoundries Forfeit 7nm Manufacturing-Will stick to 14nm, citing high development costs and low customer demand on 7nm (8月28日付け EE Times India)

◇Globalfoundries puts 7nm FinFET program on hold (8月28日付け DIGITIMES)
→Globalfoundriesが、高成長市場において差別化したclients向けofferingsに重点強化、技術portfolioに新生面を開いている旨。向こう何年かclientsの次の波に役立つよう先端FinFETを再調整、14/12nm FinFETプラットフォームをこれらclientsにさらに適切とするよう開発resourcesを移して、RF, embeddedメモリ, 低電力など一連の革新的なIPおよびfeaturesを届けていく旨。

この動きについての論評、まずは、そして3社になった、と業界の長きにわたるロジック最先端プレーヤーの淘汰の推移についてである。
GlobalFoundriesは数年前にIBMの半導体製造部門と合併した経緯である。

◇IFTLE 395: And Then There Were 3; IC History for the Younger Generation (8月29日付け ELECTROIQ)
→大方の資金が最先端nodes, すなわちleading edgeに充てられて、何十年通してwinnersおよびlosersがあり、最終的に最後のplayersテーブルにはTSMC, Samsung, GlobalFoundriesおよびIntelがついていたが、先週、GlobalFoundriesが7-nm FinFETプログラムの無期限凍結を発表した件について。

なぜ7-nm開発を中止したのか、についてである。

◇Why Globalfoundries Decision to Halt 7 nm Development Makes Sense (8月29日付け Electronics 360)
→IHS Markitの半導体製造senior director、Len Jelinek氏。
GlobalfoundriesはNew York州に先端fabを1つもっており、7 nm/5 nmに向けた先端fabはもう作らない。加えて同社指摘のように、先端技術を用いる主要high volume clientはAMDの1社だけ。彼らのclientsの大多数は7-nm以降の技術を必要としないというのが、彼らの市場の正確なassessmentである旨。

残る一角、Intelについて、PC市場への供給不安、そしてSamsungおよびTSMCに対する遅れが指摘される現時点でもある。

◇Intel Ceding Leadership in EUV (8月31日付け EE Times)
→1990年代の後半に最初にEUV開発を始めたかつて世界最大の半導体メーカー、Intelが、EUVを主導していく動きを断念の様相。IntelはすぐにはEUVを入れていかない、とBernsteinのelectronicsエンジニア&アナリスト、Mark Li氏。同社は10-nm立ち上げに困難を抱えており、7-nmにおけるEUVは数年先の見込み。当面、SamsungとTSMCが用心深いながらもEUVを推進しており、2019年投入に向けてEUVを開発の一方、世界の主要半導体メーカーの他は後れている様相の旨。Intelは今や離された第3位に見える旨。

◇Intel 14nm chip supply shortfall to affect PC shipments for 2H18-Intel falls short in 14nm chips, could disrupt PC market (8月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Intelの新世代14-nmプロセッサの供給がすでに需要に不足しており、出荷が大きく影響を受けて2018年後半のPC市場には主要変動要因となる可能性の旨。10-nm CPUsの打ち上げを2019年後半に遅らせる決定の後、Intelは2つの新しい14-nmプロセッサをリリースしたばかり、すなわちslim notebooksおよびタブレット向け第8世代Core U低電力モバイルプロセッサ、コード名Whiskey LakeおよびCore Y Amber Lakeプロセッサの旨。

Globalfoundriesの先端品の最大手顧客であるAMDが現状直面する2点があらわされている。

◇Opinion: Interview with AMD's Su on change in foundry, its roadmap and new head of client-compute business-Lisa Su, CEO of Advanced Micro Devices, explains some recent changes with Ryan Shrout (8月28日付け Market Watch)
→Advanced Micro Devices(AMD)が直面する問題2点について:
 *GlobalFoundriesの7-nm製造の取り組み中止
 *Computing and Graphics Business Group、senior vice president and general managerであったJim Anderson氏の退社

後者の動きについて、業界紙の取り上げである。

◇Lattice names ex-AMD exec as new CEO-Former AMD exec named CEO of Lattice Semiconductor (8月27日付け The Business Journals /Portland, Ore.)
→AMDのComputing and Graphics Business Group、senior vice president and general managerであったJim Anderson氏が、Lattice Semiconductorのpresident and CEOに指名され、暫定CEO、Glen Hawk氏の後を継ぐ旨。
Latticeはここ1年大きな変化を経てきており、Trump政権が同社の中国投資家への売却を阻止、CEOのDarin Billerbeck氏が退任の旨。

◇Lattice Semi Names Ex-AMD Exec CEO (8月28日付け EE Times)
→Lattice Semiconductorが、前AMD executive、Jim Anderson氏を9月4日付けで同社president and chief executiveに指名の旨。2015年以降AMDのcomputing and graphics group、general managerであったAnderson氏は、Darin Billerbeck氏が退任を発表した3月以来LatticeのCEOを務めていたGlenn Hawk氏を引き継ぐ旨。

◇Ex-AMD Man to head Lattice-Jim Anderson to take over as president and CEO on September 4th. (8月29日付け EE Times India)

もう1つの激動模様として、IC Insightsからの今年の半導体capital expenditures(capex)についての予測発表の内容である。現下の活況を反映、総額が$102.0 billionと初めての大台突破、さらにメモリが53%と半分以上を占めるという見方である。

◇Memory ICs to Account for 53% of Total 2018 Semi Capex-Flash memory is forecast to represent the largest share of capital spending while DRAM capex grows at the highest rate this year. (8月28日付け IC Insights)
→IC Insightsの予測。今年の半導体capital expenditures(capex)総額が$102.0 billionに増大、業界初、capexの1年での$100 billion大台越えの旨。2017年の$93.3 billionから9%増、2016年に対しては38%増となる旨。
メモリ合わせて今年のcapexの53%を占める予測。メモリデバイスの比率が6年で約倍増、2013年の27%($14.7 billion)から2018年の予測、53%($54.0 billion)、2013-2018年のCAGRが30%にのぼる旨。

◇Memory Forecast to Account for 53% of Semiconductor Capex-IC Insights: More than half of capex is going to memory (8月29日付け EE Times)
→IC InsightsのMcClean Report最新版。今年のメモリ半導体のcapital spendingが、業界全体capex、$102 billionの53%を占める見込み、わずか5年前のメモリ比率の約2倍の旨。NANDフラッシュベンダーのすべてが3D NAND capacityを立ち上げて、NAND-関連capex総額が$31 billionを上回って全体の31%、これはNANDフラッシュcapexが91%伸びた2017年に対して13%増となる旨。一方、DRAMおよびSRAMのcapexは、2017年の82%増の後の2018年は41%増、総額$22.9 billionで全体の22%の旨。

◇Memory ICs to account for 53% of total 2018 semi capex (8月29日付け ELECTROIQ)

◇Memory Attracts More Investment-Capital expenditure in rapid rise (8月30日付け EE Times India)

Samsung、SK Hynixの大規模投資がすでに打ち上げられているが、この予測発表のタイミングでMicron Technologyが同社Manassas, Virginia工場でのメモリ生産増強投資を以下の通り発表している。

◇Micron announces $3B investment in U.S. for DRAM and NAND (8月29日付け ELECTROIQ)
→Micron Technologyが、Manassas, Virginiaの同社工場でのメモリ生産増強に向けて2030年までに$3 billionを投資する計画、向こう10年にわたり新たに1,100 jobsを生み出す旨。該投資は、売上げの30%台前半の比率でcapex投資を行うMicronの長期的モデルで考えられている旨。該拡張は、Manassas拠点(Washington, D.C.の西約40マイル)の位置づけを高品質、高信頼性メモリ製品に向けた急成長市場におけるMicronのリーダーシップをサポートすることに置く旨。

◇Micron to invest $3 billion in memory chip factory in Manassas, Virginia-Micron to expand Va. facility with $3B investment (8月29日付け VentureBeat)
→Micron Technologyが、1,100 jobsを加えて同社Virginia拠点を拡大、向こう12年にわたって$3 billionの投資を発表の旨。同社CEO、Sanjay Mehrotra氏は、該投資が自動車用半導体の伸び行く需要への適合に期待とし、該市場は2021年までに$6 billionに達する見込みの旨。

◇Memory chip maker Micron announces $3B expansion in Manassas (8月29日付け St. Joseph News-Press (Mo.) /The Associated Press)

◇Micron Technology plans $3 billion expansion of Virginia plant (8月29日付け Reuters)

◇Micron to Invest $3 Billion in Virginia Fab Expansion (8月30日付け EE Times)

◇Micron Expands U.S. DRAM Manufacturing-$3 billion USD to be invested over the next decade in its Virginia, U.S. DRAM fab (8月30日付け EE Times India)

◇Micron discloses US$3 billion expansion of 12-inch plant in US (8月30日付け DIGITIMES)

地元への寄付が行われている。

◇Micron Foundation establishes $1M fund for Virginia colleges and universities (8月30日付け ELECTROIQ)
→Micron Foundationが、Virginiaの高度研究機関に$1 millionをcommit、女性および不公平な扱いを受けているマイノリティに重点化、新世代のtechnicians, scientistsおよびエンジニアに出資する旨。

最先端ロジックは割の合う市場対応になるのか、そしてメモリの活況はいつの時点でどんな変わり目を迎えるのか、ジレンマに富んだ中での戦略的舵取りが問われている。


≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連の動き】

関税対象の半導体関連について、SEMIより米国政府に対してインパクトの証言が引き続き行われている。

◇SEMI testifies against third round of U.S. tariffs citing damage to semiconductor supply chain (8月27日付け ELECTROIQ)
→中国製品$200 billion相当への関税を検討している米国政府interagencyパネルの前での先週の証言で、SEMIは約100関税linesの除去を求め、すべて材料およびmachinesなど半導体製造プロセスに重要となるitemsが入っている旨。SEMIは価値のあるintellectual property(IP)をより良く保護する活動を力強くサポートする一方、関税は中国の通商慣行への対応に役立たず、究極的には大きく意図しない結果をもたらす、としている旨。

鉄鋼およびアルミニウムの輸入に関して、Trump大統領がいくつかの国に関税の緩和を認めている。

◇Trump allows targeted relief on steel, aluminum quotas: Commerce Department-Trump eases tariffs on some steel, aluminum imports (8月29日付け Reuters)
→米国商務省(Commerce Department)、水曜29日発。Donald Trump大統領が、いくつかの国々からの鉄鋼およびアルミニウム割り当て救済目標を認める宣言に署名の旨。韓国、ブラジルおよびアルゼンチンからの鉄鋼およびアルゼンチンからのアルミニウムが今回対象の旨。

制裁措置を解除された中国のZTEであるが、その後も打撃が残る現状があらわされている。

◇Embattled ZTE Is Back on Track, But Its Core Problem Remains (8月30日付け Fortune)
→中国のスマートフォンメーカー、ZTEが"元のさやに収まった"と、米国が制裁解除後2ヶ月足らず、最近任命されたchairman、Li Zixue氏が宣言の旨。それは良いニュースの響きがあるが、ZTEは制裁依然と同じ不安定な位置にあるという意味合いの旨。

メキシコ、そしてカナダとの通商話し合いが行われ好転の兆しもみられるが、米中摩擦が膠着状態で続く現在、グローバルには貿易戦争の終息が程遠い見方となっている。

◇Quarterly Investment Guide: Trump's reported plans to slap China with tariffs on $200 billion, Apple and other blue chips brace for the fallout (8月30日付け CNBC)
→株式市場は米国-メキシコの通商取引の展望で今週新高値、しかしグローバル貿易戦争は終わりなんてものではない旨。

【新「iPhone」発表】

新しいiPhoneシリーズの発表を控えて、台湾のTSMC, Foxconn両社の第四四半期売上げの記録的な押上げが予想されている。

◇TSMC, Foxconn 4Q18 revenues to hit new highs on iPhone shipments-Sources: Shipments of new iPhones to boost Q4 revenue at TSMC, Foxconn (8月28日付け DIGITIMES)
→業界筋発。9月半ばに発表予定の新しいiPhoneシリーズの出荷が年末までに70-75 million台に達する見込み、iPhone 6シリーズ打ち上げ以来の最高の性能の旨。これにより、TSMCおよびFoxconnなど主なサプライパートナーの売上げが2018年第四四半期において新記録に押し上げられる見込みの旨。Appleはまもなく3つの新しいiPhone機器をリリース予定、2つのOLEDモデル(5.8-インチおよび6.5-インチ)および6.1-インチLCDモデルの旨。

その3日後のこと、Appleより新「iPhone」モデルの発表を来る9月12日(水)に行う旨、以下の通りメディア関連への招きが発せられている。

◇Apple expected to unveil new iPhone models on September 12 (8月31日付け Reuters)

◇アップル、9月12日に新「iPhone」発表 (8月31日付け 日経 電子版)
→米アップルはスマートフォン「iPhone」の新製品発表会を9月12日午前10時(日本時間13日午前2時)から開くことを決めた旨。今回は有機ELディスプレイを採用した「X(テン)」の後継機種に加え、画面が6.5インチの大型機や、液晶を採用して価格を抑えるモデルの3機種を出す見込み。新製品の動向はアップルの今後の業績を大きく左右するだけに、投資家や部品メーカーも高い関心を寄せている旨。
30日に報道関係者に案内を送付、発表会は昨年と同様に新本社内のスティーブ・ジョブズシアターで開催。iPhoneに加えて、パソコン「Macbook」やタブレットの「iPad Pro」、腕時計型端末「アップルウオッチ」の新製品も発表される見通しの旨。

【「IFA2018」】

世界最大級のconsumer electronicsおよびhome appliancesの展示会、IFA 2018(8月31日〜9月5日:Berlin)が開催され、目に留まった記事範囲での注目である。

上記で、絞られていくロジック最先端プレイヤーとして1つに取り上げたIntelであるが、今回のIFA2018では新しい第8世代モバイルCPUsを以下の通り披露している。

◇At IFA, Intel unveils new 8th-generation mobile CPUs-Ahead of new PC announcements by its OEM partners at this week's bigIFA show in Berlin, Intel announced a half-dozen new mobile CPUs. Gigabit Wi-Fi, wake-on-voice support, and all-day battery life are on the menu.-Intel introduces new mobile CPUs (8月28日付け ZDNet)
→Intelが、軽量Windows laptopsおよびtwo-in-one機向けに設計の2つのCPUsを披露、該UおよびYシリーズpartsは同社CPUsの第8世代Coreファミリーメンバーであり、その投入は、該新半導体を軸に構築されたシステムのハードウェア・パートナーによる展開に先んじる旨。

◇Intel unveils new eighth-Gen processors for notebooks and 2-in-1s (8月30日付け DIGITIMES)
→Intelが、第8世代Intel Coreプロセッサファミリーへの追加を発表:U-シリーズ(以前のコード名 Whiskey Lake)およびY-シリーズ(同 Amber Lake)は薄くて軽いnotebooksおよび2-in-1sにおけるconnectivityに向けて初めて最適化の一方、究極のモバイル性能および長い電池寿命も得られる旨。

サムスン電子からは、次世代技術、「量子ドット」を活用した8Kテレビである。

◇サムスン電子、8Kテレビを開発、次世代技術を採用 (8月30日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子は30日、8Kテレビを開発したと発表、次世代技術の「量子ドット」を活用したテレビで、現在主流の4Kテレビに比べ4倍の解像度を持つ旨。サムスンに次ぐシェアを持つ韓国LG電子も有機ELパネルを使った8Kテレビの投入を発表しており、8Kを巡る争いが盛り上がっている旨。
31日に一般公開が始まる家電見本市「IFA」で発表、画面サイズは65〜85型。テレビの大画面化が進むと解像度の違いがはっきりとわかるようになるため、高解像度の商品投入が相次いでいる旨。

全体基調として、AIおよびセンサ技術を駆使した「考える家電」が謳われている。

◇「考える家電」開発競う、欧州最大の見本市開幕 (8月30日付け 日経)
→欧州最大の家電見本市「IFA2018」が29日、ドイツ・ベルリンで開幕、今回の見どころは「考える家電」。人工知能(AI)やセンサを組み合わせ自発的に動いたり、他の機器とネットでつながり消費者の要望に応えたりする旨。考える家電にはデータ利用の技術も欠かせない旨。日中韓欧メーカーはIFAで未来の家電を競い合う旨。

記者の目での全体概要がまとめられている。

◇欧州最大の見本市IFA開幕、人の気持ち察する家電、パナ、「未来のキッチン」、サムスン、圧倒的存在感、グーグル、陰の主役 (8月31日付け 日経産業)
→欧州最大の家電見本市(IFA)が29日、ドイツ・ベルリンで開幕。集めたデータを使って暮らしを快適にしてくれる「考える家電」などが目玉。
ことし創業100周年のパナソニックは過去と現在、未来を意識した構成で展示。なかでも報道陣の注目を集めていたのは「未来のキッチン」。
展示会の主役はオレだ――。そう言わんばかりにベルリンの街でひときわ目立つのが、韓国のサムスン電子。最寄り駅からすぐ目に入る大きな建物を展示会場として、ベルリンの空港にも大きな看板を置いている。世界のメーカーが日参する米グーグルの看板も多い。日本企業の存在感が乏しいのが、少しばかり残念。
メーカー各社とIT大手は並び立つのか、それともどちらかが駆逐されるか。競争相手は複雑に入り乱れている。

【AI関連】

恒例の人工知能(AI)関連の動きであるが、Intelが中国のAI start-upへの出資を取りまとめて調印している。

◇Intel Capital Leads Undisclosed Series B Round In Chinese AI Firm ICE Tech-Intel Capital invests in ICE Tech, an AI startup in China (8月29日付け China Money Network (Hong Kong))
→Intel Corporationのグローバル投資部門、Intel Capitalが、中国のAI start-up、ICE Tech Science & Technology Co., Ltd.への出資series B roundを主導、Green Pine Capital PartnersおよびFrees Fundも参加、ICE Techが昨日深セン(Shenzhen)での調印式を発表の旨。

先のHot Chips(2018年8月19-21日:Cupertino, CA)でのAIの重点の置かれ方、そして今後の半導体アーキテクチャーの要になっていく様相があらわされている。

◇13 Hot Chips from Summer 2018-Startup Tachyum vies with Intel's Xeon-Could Optane draw a legal challenge?-NEC accelerator lowballs Nvidia V100-Harvard takes AI to new low for IoT-MIT beats Arm with navigation chip-Arm flexes muscle of its new ML core-Samsung pushes up smartphone performance-Mythic shows processor-in-memory in progress-Google gives snapshot of Pixel Visual Core-IBM takes a breather at the 14-nm node-Fujitsu brings Arm core to supercomputers-Nvidia shows the prowess of its GPU server-Intel, AMD, and Middle East peace (8月30日付け EE Times/Slideshow)
→今年のHot Chips(2018年8月19-21日:Cupertino, CA)は、25の講演、うち16が少なくともartificial intelligence(AI) jobsに一部は重点化の旨。
Internet of Things(IoT)およびスマートフォン向け超低電力デバイスからデータセンター向けpower-hungryシリコンまで広範囲の旨。x86を巡る業界統合で数年このmicroprocessor(MPU)イベントの興味が薄れ気味であったが、machine learningの台頭で半導体アーキテクチャー専門のエンジニアには再びhot spotとなっている旨。

【HIロードマップ】

Moore's Lawが減衰していくとしてITRS(国際半導体技術ロードマップ)が中止された後、半導体およびエレクトロニクスの今後をどう方向づけて描いていくか。Heterogeneous Integration(HI)ロードマップへの支持が以下の通り見られている。

◇Mapping the Future of Electronics-Momentum builds for industry's Heterogeneous Integration Roadmap (8月24日付け EE Times)
→SEMIなどの業界機関がHeterogeneous Integration Roadmapへの関与を推進しており、Moore's Lawが減少していく後の何年でmicrochip技術が如何に展開していくか提示する旨。「roadmapにより次のステップに如何に辿り着くか、考え方が得られる。」と、TechSearch InternationalのE. Jan Vardaman氏。

◇Why I'm Involved With the HI Roadmap (8月24日付け EE Times/Blog)
→Etron Technology(台湾)のchairman, CEO and founder、Nicky Lu氏記事。指数関数的な経済および業界成長を引っ張ってきているMoore's Lawが限界に達しており、半導体、ICおよびmicroelectronics業界は、機能、性能およびpower featuresについてブレイクスルーの追加をもたらすもう1つの指数関数的成長driverを必要としている旨。


≪グローバル雑学王−530≫

中長期的に見れば対中国輸入制限はアメリカにとってプラス側面が多いという見方があるものの、足元では関税は中国の通商慣行への対応に役立たず、究極的には大きく意図しない結果をもたらすと半導体はじめ業界の反発が高まる現時点であるが、

『「米中関係」が決める5年後の日本経済 新聞・ニュースが報じない貿易摩擦の背景とリスクシナリオ』
 (渡邉 哲也 著:PHPビジネス新書 393) …2018年5月11日 第1版第1刷発行

より、トランプ大統領の世界戦略を読み解く後半である。いまや中国と切っても切れない仲になっているドイツ、そしてEU脱退からオーストラリア、カナダなど英連邦の国々との結びつきが高まっていくイギリス、その中でユーラシア大陸以外の国々で結ばれた「価値観外交」の成立を目指しているアメリカの姿が浮かび出てくる。


第4章 トランプの世界戦略を読み解く ―――後半

Q65:2月の世界同時通貨安の原因はアメリカ? それとも中国?
・グローバル化が緩やかに終焉に近づく
 →グローバルサプライチェーン(供給網)が小さくなり、政治的にコントロールしやくすくなる
・アメリカがグローバリズムの終焉をめざす過程
 →トランプ大統領が進める輸入制限、対中制裁は今後の中国の株式市場で、じわじわ効果が出てくるのでは
・2018年2月上旬、中国で株価の大幅下落
 →2017年12月27日に起きた中国・人民元の銀行間市場の高騰が影響
  →どの銀行にも資金がない状態を招いた
 →クレジット・クランチ(金融収縮)が起きていることが世界で認識されてしまった
 →2月上旬に起きた、仮想通貨も含めた世界的な通貨安も、これが引き金に
・同じ時期に、安邦保険集団と海航集団の資金ショートの問題まで表面化
 →安邦保険集団は春節明け直後に国有化
・換金性が高い株式などの流動性が高いものを中心に中国企業が売りに走ったのでは
 →結果、株価はするすると落ちていった

Q66:今後の米中対立のゆくえは?
・グローバリズムが終焉に近づいていく過程でアメリカ主導の「切り離し」が始まっている、という見方も
・2018年4月、ペルーで開かれた米州首脳会議
 →トランプ大統領は「中南米諸国のパートナー国は中国ではなくアメリカであるべき」との考え
・中国が共産主義的な志向、体制をさらに拡大していく
 →アメリカは中国を自由主義経済から切り離さなければいけないという選択に

■米中に翻弄される欧州

Q67:アメリカのTPP復帰の可能性は?
・就任直後の2017年1月23日、トランプ大統領はTPP(環太平洋パートナーシップ協定:Trans-Pacific Partnership)から離脱する大統領令に署名
 →保護主義に傾いているトランプ政権にすれば当然の選択
・ところが2018年1月末、トランプ大統領は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での演説でTPP復帰を検討する考え
 →EU離脱後にTPP加入を検討しているイギリスの存在が大きく影響していると思う
  →もともとTPPは中国包囲網の要素が強い
   …「ルールを守る国同士で自由な貿易を促進しましょう」という趣旨
・アメリカのTPP加入は、2018年3月に発表した対中制裁と根っこの部分でつながる
 →加盟国を制裁の除外対象にすれば両立が可能
・アメリカ・ファースト=保護貿易主義ではない
 →アメリカのルールにすべての国が従うのであれば、それは多大なメリット
 →中国のようにアメリカのルールに従わない国が出てきておいしいとこ取りをされてしまうと、このルールは破綻
・アメリカにとって最も都合のいい体制は、アメリカ・ファーストの路線
 →アメリカ・ファーストと、自由貿易は並立可能

Q68:アメリカが期待するイギリスの役割は?
・イギリスにとってアメリカは同じ法体系と同じ言語を操る国
 →国のバックボーンが似ており、兄弟のような関係
・金融においてはウォール街よりもシティの方が国際的な取引には適する
 →グリニッジ標準時をもっており、24時間どこの国ともマーケットアクセス可能
 →為替取引に最も適した国というのがシティのあるイギリス
・仮にイギリスがブレグジット(EUからのイギリス脱退)によって欧州を捨てる選択
 →英連邦の国々であるオーストラリア、カナダ、そしてアメリカと手を組めば、ユーラシア大陸以外の国々で結ばれた「価値観外交」が成立
・最近強化されつつある日英の防衛協力体制
 →「21世紀の日英同盟」などと呼ぶメディアも
・行き着く先は単一保護主義というブロック経済
 …保護主義的ではあるが公正な貿易を行う国同士
 →日本とアメリカ、イギリスは三国同盟的に仲良くなっていく可能性は見えてきている

Q69:EUの「親玉」ドイツは米中どちらにつくか?
・第二次世界大戦では日本と同盟関係にあったドイツ
 →いまや中国と切っても切れない仲に
  …中国・海航集団が投資銀行大手のドイツ銀行の筆頭株主に
  …中国の大手自動車メーカー、吉利は独ダイムラーの筆頭株主
・リーマン・ショック後、ウォール街に代わって中国の金融に入り込んでいったドイツ銀行
 →アメリカが売った中国資産を買い込み
・中国とドイツが蜜月関係になり、それがドイツ国内でも物議を醸している
 →興味深いドイツの地域性
  →共産主義、社会主義的な層が厚くなっている
 →いまや東ヨーロッパの一国として捉えた方が
 →覇権国家、アメリカが警戒心を強めるのは当然

[SUMMARY OF CHAPTER ――5年後を予測するヒント]
・今回の輸入制限、対中制裁は中国のマーケットを大きく揺るがしている
 →アメリカ主導の「切り離し」が中国に対して
・アメリカのTPP復帰はイギリス次第
 →アメリカは、ユーラシア大陸以外の国々で結ばれた「価値観外交」の成立を目指している

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