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今年前半20.4%増の販売高:スマホ&メモリ市場、見えてくる各社戦略

米国Semiconductor Industry Association(SIA)より月次世界半導体販売高が発表され、この6月の$39.3 billion、4-6月の$117.9 billionとともに月次、四半期の最高を更新、本年前半1-6月累計が昨年比20.4%増の飛躍を打ち立てている。この熱い活況がどう推移していくか、今後に引き続き注目である。一方、スマートフォン業界のランキングデータそしてFlash Memory Summit関連の動きについて、市場を牽引する主要プレーヤーの戦略、当面の取り組みが見えてくるところを受け止めている。

≪4-6月四半期および6月の世界半導体販売高≫

米SIAからの発表内容が、次の通りである。

☆☆☆↓↓↓↓↓
〇今年前半のグローバル半導体販売高が2017年比20.4%増−第二四半期販売高が最高を記録、前四半期比6.0%増、前年同期比20.5%増 …8月3日付け SIA/NEWS

半導体製造、設計および研究の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、2018年第二四半期の世界半導体販売高が$117.9 billionに達して、前四半期比6.0%増、2017年第二四半期に比べて20.5%増と発表した。2018年6月のグローバル販売高が$39.3 billionに達し、前月の$38.7 billionから1.5%増、2017年6月の$32.6 billionを20.5%上回った。2018年前半の販売高累計は、2017年同時点を20.4%上回っている。
月次販売高の数値はすべてWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのまとめであり、3ヶ月移動平均で表わされている。

「2018年の折り返し点、グローバル半導体業界は引き続き印象的な販売高総計を示しており、第二四半期で史上最高の四半期販売高および6月で新記録の月次販売高を収めている。」とSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏は言う。「グローバル販売高は15ヶ月連続で前年比20%以上増加し、主要製品カテゴリーのどれも6月に前年比増加している。Americas市場販売高は引き続き力強く、年初からの累計が前年同期比30%以上の増加となっている。」

次に示すように、地域別では、販売高前年同月比がすべての地域にわたって堅調に増加している。前月比ではEuropeが僅かにマイナスに転じた以外は増加している。

China
前年同月比
+30.7%/前月比 +3.2%
Americas
+26.7%/
+1.2%
Europe
+15.9%/
-0.8%
Japan
+14.0%/
+1.3%
Asia Pacific/All Other
+8.6%/
+0.5%
【3ヶ月移動平均ベース】  
市場地域
Jun 2017
May 2018
Jun 2018
前年同月比
前月比
========
Americas
6.59
8.24
8.34
26.7
1.2
Europe
3.16
3.70
3.67
15.9
-0.8
Japan
2.98
3.35
3.39
14.0
1.3
China
10.40
13.16
13.59
30.7
3.2
Asia Pacific/All Other
9.50
10.27
10.32
8.6
0.5
$32.63 B
$38.72 B
$39.31 B
20.5 %
1.5 %
--------------------------------------
市場地域
1- 3月平均
4- 6月平均
change
Americas
8.09
8.34
3.1
Europe
3.60
3.67
1.8
Japan
3.21
3.39
5.7
China
11.99
13.59
13.3
Asia Pacific/All Other
10.21
10.32
1.1
$37.10 B
$39.31 B
6.0 %
--------------------------------------

※6月の世界半導体販売高 地域別内訳および前年比伸び率推移の図、以下参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/GSR/June_2018_GSR_table_and_graph_for_press_release.pdf
★★★↑↑↑↑↑

週末の発表ということで、業界紙の取り上げとして次を見い出している。

◇First Half Chip Sales Up 20% From 2017 (8月3日付け EE Times)

2016年後半から盛り返して急激な増勢を保っている世界半導体販売高の推移が次の通りであり、当面は引き続き見守っていくデータ内容と思っている。
23ヶ月連続の前年同月比増、そして15ヶ月連続前年同月比20%以上増があらわれるところとなっている。

販売高
前年同月比
前月比
販売高累計
(月初SIA発表)
 
2016年 7月
 $27.08 B
-2.8 %
2.6 %
2016年 8月
 $28.03 B
0.5 %
3.5 %
2016年 9月
 $29.43 B
3.6 %
4.2 %
2016年10月
 $30.45 B
5.1 %
3.4 %
2016年11月
 $31.03 B
7.4 %
2.0 %
2016年12月
 $31.01 B
12.3 %
0.0 %
$334.2 B
 
2017年 1月
 $30.63 B
13.9 %
-1.2 %
2017年 2月
 $30.39 B
16.5 %
-0.8 %
2017年 3月
 $30.88 B
18.1 %
1.6 %
2017年 4月
 $31.30 B
20.9 %
1.3 %
2017年 5月
 $31.93 B
22.6 %
1.9 %
2017年 6月
 $32.64 B
23.7 %
2.0 %
2017年 7月
 $33.65 B
24.0 %
3.1 %
2017年 8月
 $34.96 B
23.9 %
4.0 %
2017年 9月
 $35.95 B
22.2 %
2.8 %
2017年10月
 $37.09 B
21.9 %
3.2 %
2017年11月
 $37.69 B
21.5 %
1.6 %
2017年12月
 $37.99 B
22.5 %
0.8 %
$405.1 B
 
2018年 1月
 $37.59 B
22.7 %
-1.0 %
2018年 2月
 $36.75 B
21.0 %
-2.2 %
2018年 3月
 $37.02 B
20.0 %
0.7 %
2018年 4月
 $37.59 B
20.2 %
1.4 %
2018年 5月
 $38.72 B
21.0 %
3.0 %
2018年 6月
 $39.31 B
20.5 %
1.5 %

スマートフォン市場のトップベンダー、サムスンの四半期業績が次のように鈍化している。

◇Samsung Electronics profit growth slows as Galaxy S9 misses sales targets (7月31日付け Reuters)

◇サムスン、スマホに暗雲、4〜6月34%減益−インド2位後退、中国シェア0%台、望みは「折り畳み」 (7月31日付け 日経 電子版)
→韓国サムスン電子のスマートフォン事業に暗雲がただよってきた旨。31日に発表した2018年4〜6月期の連結決算は営業利益が14兆8700億ウォン(約1兆4720億円)と前年同期比6%増だったが、スマホ事業は2兆6700億ウォンと同34%減少した旨。直近のシェアはインドで2位に後退、中国ではゼロ%台に下がった旨。折り畳み式の製品で巻き返しを狙うが、先行きは不透明の旨。

今後に向けて折り畳み式で広げるとタブレットになる製品が検討されている。

◇OLEDs Flex for Foldable Handsets-Smartphone/tablet combo expected in 2019 (7月30日付け EE Times)
→広げるとタブレットになるスマートフォンが、成熟したモバイル市場を新たに活気づかせるべく、来年あらわれる可能性の旨。Samsung Displayが先週後半発表、bendable画面が米国安全性テストをパスして、この長らく噂のコンセプトが現実のものになろうとしている最新の兆候の旨。

◇OLED Displays Fold in Smartphones - Literally (7月31日付け EE Times India)

長らくサムスンを数量で2位で追っているアップルは、平均単価を高める工夫、取り組みで大幅な増益を達成、サムスンと対照的、好調な業績を示している。

◇アップル32%増益、iPhone販売単価20%上昇、4〜6月 (8月1日付け 日経 電子版)
→米アップルが31日発表した4〜6月期決算。売上高が前年同期比17%増の$53.265 billion、純利益が同32%増の$11.519 billion(約1兆2880億円)。
増収増益は6四半期連続。スマートフォンの需要は停滞期を迎えているが、販売単価を2割近く引き上げ、収益性を確保した旨。腕時計型端末などスマホ以外の製品やアプリ販売の手数料収入も市場予想を上回り、業績を押し上げた旨。
iPhoneの平均販売単価は前年同期(605ドル)より19.7%高い724ドル。市場予想の693ドルも大幅に上回った旨。スマホ部門の売上高が2割の大幅減となった前日のサムスン電子の決算とは対照的な結果となった旨。

出荷台数で見る2018年第二四半期のスマートフォンベンダーのデータが、IDCより以下のようにあらわされている。サムスンの前年比減少、中国勢の伸びが目立つ内容である。中国・Huaweiがアップルを追い越す結果となっている。

◇Smartphone Rankings Shaken Up Once Again as Huawei Surpasses Apple, Moving into Second Position While Overall Market Declined 1.8% in Q2 2018, According to IDC (7月31日付け IDC)
→International Data Corporation(IDC) Worldwide Quarterly Mobile Phone Tracker速報データ。2018年第二四半期のスマートフォンベンダー出荷総計が342.0 million台、前年同期(348.2 million台)比1.8%減。これで3四半期連続の前年比減少、史上減少の4つ目の四半期の旨。これは高度に行き渡ったいくつかの市場によるものと思われるが、高い伸びの市場が依然多く存在、全体出荷の伸びに回帰するはずの旨。
2018年第二四半期世界スマートフォン市場のトップ5ベンダー

      (出荷:millions台):

ベンダー
2Q18
2Q18
2Q17
2Q17
前年比
 
出荷
シェア
出荷
シェア
1. Samsung
71.5
20.9%
79.8
22.9%
-10.4%
2. Huawei
54.2
15.8%
38.5
11.0%
40.9%
3. Apple
41.3
12.1%
41.0
11.8%
0.7%
4. Xiaomi
31.9
9.3%
21.4
6.2%
48.8%
5. OPPO
29.4
8.6%
28.0
8.0%
5.1%
Others
113.7
33.2%
139.5
40.1%
-18.5%
Total
342.0
100.0%
348.2
100.0%
-1.8%
[Source: IDC Worldwide Quarterly Mobile Phone Tracker, July 31, 2018]

◇スマホ世界出荷台数、華為が初の2位、4〜6月、アップルかわす (8月2日付け 日経)
→米調査会社、IDCが発表したスマートフォンの世界出荷台数調べで、華為技術(ファーウェイ)が中国メーカーとして初めて2位に浮上、長く続いた韓国サムスン電子と米アップルの2強体制を切り崩した旨。

Strategy Analyticsによる同じデータの分析である。

◇韓経:サムスン電子が後退する間に…ファーウェイ、スマホ販売40%増やす (8月2日付け 韓国経済新聞/中央日報日本語版)
→世界のスマートフォン市場は3四半期連続で減少傾向。市場調査会社、ストラテジーアナリティクスによると、4-6月期の世界のスマートフォン出荷量は3億5040万台で前年同期比2.8%減。
問題は上位5社のうち販売台数とシェアが減った企業は1位のサムスン電子しかない点。アップルはシェア3位に押し出されたがプレミアム戦略が成功を収め過去最高の実績を収めた旨。2011年から続いたサムスン対アップルの構図を初めて破ったファーウェイだけでなく、シャオミ、オッポなど他の中国企業もシェアを大幅に拡大した旨。スマートフォン市場の危機ではなくサムスン電子の危機という話が出てくる理由の旨。

メモリ市場では、高機能DRAMの新たな領域の広がりが続いている。

◇New Uses Vie for GDDR6 Supply (7月31日付け EE Times)
→超高速メモリを必要とするartificial intelligence(AI)およびmachine learningなどの応用で、gamersにGDDR供給が不足している旨。Micron Technologyは最近、8-Gb GDDR6メモリの量産を開始、もちろんグラフィックス市場向けであるが、車載およびnetworking分野もある旨。

一方、NANDフラッシュ市場は今年に入って価格の低下傾向が見られているが、今後さらに冷え続けるとTrendForceの見方である。

◇NAND Market Cooling Further-TrendForce sees NAND flash prices falling 10% in Q3 and Q4 (8月2日付け EE Times)
→当たり年の2017年を経て、2018年のNANDフラッシュ市場は大きく冷え続けている旨。メモリ半導体pricingを追っているTrendForceによると、NANDフラッシュのaverage selling price(ASP)が、第三四半期に10%、そして第四四半期にさらに10%下がる見込みの旨。第三四半期はconsumer electronics販売のピークであるだけに、需要が予想より弱含みとしている旨。一方、3D NANDフラッシュの供給は引き続き拡大、サプライヤが歩留りを改善、capacityを拡大の旨。electronics販売が鈍る頃合いの来年前半も価格は下がり続けると見ている旨。

◇NAND Market Hit by Oversupply-2018 going the opposite way of 2017 with regards to NAND flash (8月2日付け EE Times India)

来週に恒例のFlash Memory Summitを控えているが、中国・Yangtze Memory Technologies Co., Ltd.(YMTC)より社内開発技術を盛り込んだ3D NANDへのアプローチが発表される一方、該市場を引っ張るサムスンは不参加とのこと。戦略の素早い切り換えをうかがわせている。

◇YMTC to Detail 3D NAND Chips-Xtacking said to enable DDR4 speeds (8月2日付け EE Times)
→Yangtze Memory Technologies Co., Ltd.(YMTC)が来週、同社最新3D NAND半導体を披露、Flash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)にて、同社chief executive、Simon Yang氏による講演で中国からの先端メモリ半導体を作る活動の最初の公的議論が行われる旨。YTMCは、3D NANDへのアプローチをXtackingと呼んで表わし、"DRAM DDR4高速化の一方、業界主導のビット密度が得られ、NAND市場にとって飛躍的進歩となる"旨。
今回のFlash Memory Summitには商用3D NAND半導体を初めて発表したSamsungが不参加となっており、他の主要フラッシュベンダーすべてが参加している該イベントの開幕講演がYMTCとなっている旨。

◇China firm to debut in-house developed 3D NAND technology (8月2日付け DIGITIMES)
→中国国有のTsinghua Unigroup傘下のメモリ半導体メーカー、Yangtze Memory Technologies(YMTC)が来るFlash Memory Summit(2018年8月7-9日:Santa Clara Convention Center)に参加、社内開発の3D NAND技術, Xtackingを披露する旨。

≪市場実態PickUp≫

【米中摩擦関連の動き】

米国半導体業界からの働きかけで、中国からの輸入対象リストから半導体および関連製品を外すようトランプ政権に求める動きが以下の通りあらわれている。

◇House Leaders Call on Administration to Remove Semiconductor Tariffs (7月27日付け SIA/Blog)
→米国下院の指導者が本日、来る数日あるいは数週間で25%の関税が予定されている中国からの輸入対象リストから半導体および関連製品を外すよう、Trump政権に求めた旨。U.S. Trade Representative(USTR)、Robert Lighthizer氏宛ての手紙で、議会メンバー49人の超党派グループが、半導体への関税では中国の不公正で差別的な通商慣行に対抗する政権の目標を達成しない状況になっているとしている旨。それどころか米国のビジネスおよび消費者に損害を与える旨。SIAはこの立場を共有、引き続き半導体および関連製品に関税を課さないよう政権に急ぎ求めていく旨。

◇SEMI testifies against U.S. tariffs; Members meet with congressional leaders urging trade action (7月30日付け ELECTROIQ)
→米国半導体製造業界を代表して米国通商関税における$34 billionに反対して2ヶ月、SEMIの業界advocacy、グローバルvice president、Jonathan Davis氏が、中国製品に対する追加$16 billion関税に反対して今週思いの丈話した旨。該関税の長所をよくよく考える同じ米国interagencyパネルメンバーを前に証言、Davis氏は、ウェーハ、flat panel displays(FPDs)およびマスクを作るのに用いられる機械およびスペア部品など半導体製造に重要なアイテムに関する29の関税ラインを除くよう求めた旨。パネル証言でDavis氏は、SEMIは価値のあるintellectual property(IP)盗用に対する保護強化はサポートするが、関税はIP損失を巡る米国の懸念にはほとんど効かないと強調した旨。

◇SEMI supports congressional calls to remove China trade tariffs (7月31日付け ELECTROIQ)

米中摩擦の方は、トランプ大統領が税率引き上げを指示して中国側がさらに硬化、即座に報復措置の発表である。

◇China vows retaliation if Trump slaps 25 percent tariff on $200 billion of Chinese imports-Trump reportedly eyes tariff increase for China (8月1日付け Reuters)

◇トランプ氏、対中関税率上げ指示、2千億ドル分は25%に (8月2日付け 日経 電子版)
→トランプ米大統領が1日、2千億ドル分(約22兆円)の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、追加する関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に指示した旨。米政権は7月に対中関税の第1弾を発動したが、中国側も報復関税を課して膠着状態に陥っている旨。トランプ氏は圧力を強めて中国の妥協を促すが、貿易戦争が泥沼化する懸念もある旨。トランプ米政権は中国の知的財産権侵害を批判し、7月6日に340億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課す対中制裁を発動、さらに第2弾として160億ドル分の中国製品にも同率の関税を課すとしており、8月中に追加措置を発動する見通しの旨。

◇中国、米に報復関税、輸入6.7兆円分 (8月3日付け 日経 電子版)
→中国政府は3日夜、米国から輸入する約600億ドル(約6兆7千億円)分の製品に最大で25%の追加関税をかける報復措置を発表、トランプ米政権が2千億ドル(約22兆円)分の中国製品を対象とする第3弾の対中制裁を実施した場合に発動する旨。米中の貿易戦争は報復が報復を呼び、泥沼の様相を呈している旨。

【韓国情勢】

メモリが引っ張る半導体の活況で韓国の輸出が金額数値的には絶好調に見えるが、半導体の比率が高まる分、装置・材料など投資分も上がって、体感的には冷え込んでいる現状があらわされている。

◇韓国、7月の輸出額は過去2番目…「半導体依存」はさらに深刻に (8月2日付け 韓国・中央日報)
→韓国の7月の輸出が前年同月比6.2%増の$51.88 billion(約5兆8000億円)、1956年に関連統計の作成が始まって以来、過去2番目に多い旨。また過去初めて5カ月連続で輸出500億ドル以上となった旨。輸入は$44.88 billion(同16.2%増)で、貿易収支は$7.01 billionの黒字(78カ月連続の黒字)。
輸出は好調だが体感景気が冷え込んでいる理由として、輸出主導産業は雇用効果が少なく、設備投資が多い装置産業であるためという分析の旨。半導体・一般機械・石油化学・石油製品・鉄鋼・コンピュータなど輸出を牽引する6品目が輸出全体に占める比率は52.9%。特に半導体の比率は昨年の17%から今年は20.5%に増えた旨。

この状況も影響してか、韓国政府からは向こう10年にわたる次世代半導体材料&デバイス開発の取り組む計画が以下のように示されている。

◇South Korea to invest $1.34b in next-gen semiconductor tech-South Korea will invest 1.5 trillion won ($1.34 billion) for the next 10 years for the development for next-generation semiconductor technology to support Samsung Electronics and SK Hynix.-Next-gen semi materials, tech to get $1.34B in South Korea (7月30日付け ZDNet)
→韓国・Ministry of Trade, Industry and Energy(MOTIE:産業通商資源部)が、次世代半導体材料&デバイス開発に向こう10年にわたり$1.34 billionを充てる計画の旨。「韓国が世界のトップ半導体powerhouseとしての評判を維持するよう、次の3つの戦略、メモリ半導体における次世代材料&デバイスの開発ロジックおよび契約半導体製造(ファウンドリー)事業の促進韓国における生産ライン構築に向けて半導体材料&装置メーカーの誘致に重きを置いて半導体業界の展開をサポートする。」と、Industry Minister、Paik Un-Gyu氏。

◇Seoul to invest 1.5 tln won to bolster competitiveness in chip industry (Yonhap News Agency (7月30日付け South Korea))

追い上げの中国を意識した「半導体機密」の扱いが議論されている。

◇韓国の「半導体機密」、あわや中国に流出 (7月30日付け 韓国・中央日報)
→「知る権利」vs「営業秘密」。公開するかどうかをめぐり論議を呼んだサムスン電子半導体工場「作業環境測定報告書」の内容について一部が公開されることになった旨。国民権益委員会所属の中央行政審判委員会(行審委)は27日、「核心技術を除いて公開すべき」と決定した旨。核心技術に関する判断は行審委が2-3週以内に決める旨。工程や使用設備・化学薬品などに関する情報が含まれていることから、半導体をはじめとする産業界全体はその間、作業報告書が公開されるかどうかに注目してきた旨。
企業の立場ではライバル企業、特に韓国を追い上げている中国企業に知らせたくない内容の旨。

【M&A関連】

実装&テストの大手同士、ASEとSPILが一緒になったASE Industrial holdingの当面の業績見通しである。

◇ASE Industrial likely to post 20% revenue growth in 3Q18 (7月30日付け DIGITIMES)
→市場watchers発。IC backend houses、Advanced Semiconductor Engineering(ASE)とSiliconware Precision Industries(SPIL)の親会社、ASE Industrial holdingの2018年第三四半期売上げが前四半期比約20%増の見込みの旨。内訳として第三四半期のIC backend事業販売高が同7-8%増の一方、EMS部門は同40%増に踏み上がる旨。

もう1つは破談となった件。Dialog Semiconductor(London)が、Synaptics(San Jose, California)買収のアプローチを止めている。

◇Dialog Semiconductor ends talks to buy Synaptics-Dialog Semiconductor and Synaptics break off merger talks (7月31日付け Reuters)
→Dialog SemiconductorとSynapticsが合併の話し合いを中止、Synapticsが提案取引条件に満足でなかった旨。

◇Dialog Semi Halts Pursuit of Synaptics (8月1日付け EE Times)
→アナログおよびmixed-signal半導体メーカー、Dialog Semiconductor(London)が、買収の可能性を探っていたtouch screen controllerベンダー、Synaptics(San Jose, California)との話し合いを止める旨。

【AI関連】

グーグルがAI半導体外販を発表、Nvidiaを射程に置いている。

◇グーグル、AI半導体外販、先行エヌビディアを追撃 (7月30日付け 日経産業)
→米グーグルは25日、クラウド部門が米サンフランシスコ市で開催している開発者会議「クラウドネクスト18」において、人工知能(AI)処理に特化した半導体「TPU(Tensor Processing Unit)」を外販すると発表、名称は「エッジTPU」、10月に開発キットを発売、価格は明らかにしていない旨。基本はその名が示すように、AIを利用した処理を「エッジ」と呼ぶ端末側で実行できるようにするのが目的。グーグルはこれまでAI関連のサービスはすべてクラウドベースで提供してきた旨。

インテルからはAI革命への備えとして、コンパイラおよび新toolkitが説明されている。

◇Intel Embraces Full-Stack AI Imperative (7月31日付け EE Times)
→IntelのAI Products Group、chief operating officer(COO)、Remi El-Ouazzane氏が、IntelのAIの取り組みについて以下など重点説明。
・framework-independent deep neural network(DNN)モデルコンパイラ
 …nGraph
・アプリ開発者向けに設計された新しいtoolkit
  …“OpenVINO”(Open Visual Inference & Neural Network Optimization)

◇Intel Ready for AI Revolution-nGraph and new OpenVINO toolkit has Intel ready for all things AI (7月31日付け EE Times India)

Broadcomは、Wave ComputingのTSMCの7-nmによるAI半導体設計を支援するとしている。

◇Broadcom to Help Design Wave's 7-nm AI Chip-Broadcom to design an ASIC for Wave's 7nm AI processor project (8月1日付け EE Times)
→Wave Computing(Campbell, CA)が、同社AIシステムで7-nm AIプロセッサを開発、運用する最初のAI startupになる照準を合わせている旨。Waveは該新7-nmプロジェクトに向けたASIC設計にBroadcom社を素早くつかんでおり、2社はTSMCの7-nmプロセスnodeの使用によるWaveの次世代Dataflow Processing Unit(DPU)の開発でコラボする旨。

【3次元半導体での連携】

Tessera、Invensasと3次元半導体技術プレイヤーを傘下にもつXperiが、台湾のファウンドリー、UMCと連携、Invensasの固有技術、directおよびhybrid bondingの生産サポート行うとしている。

◇Xperi partners with UMC to support production of direct and hybrid bonding 3D semiconductor technologies (8月2日付け ELECTROIQ)

◇Xperi and UMC Partner to Produce Direct and Hybrid Bonding 3D Semiconductor Technologies (8月2日付け 3D InCites)
→Xperi Corporation(San Jose, CA)が半導体ファウンドリー、UMCとの戦略的連携を発表、両社によるXperi傘下、Invensasのdirectおよびhybrid bonding(ZiBond(R)およびDBI(R)) 3D半導体技術に向けて増大する需要へのサポートを可能にする旨。XperiとUMCはいっしょに、イメージセンサ, radio frequency(RF), MEMS, display drivers, touch controllers, SoC, アナログ, powerおよびmixed-signalデバイスなど広範囲の半導体デバイスに向けてZiBondおよびDBI技術をさらに最適化、商用化していく旨。モバイル, consumer, 車載, 通信, 産業およびInternet of Things(IoT)業界内の多彩な応用の要求に対応するために、Wafer to wafer(W2W)およびdie to wafer(D2W) bondingそして3D interconnect取り入れを行っていく旨。


≪グローバル雑学王−526≫

アメリカ・ファーストのトランプ大統領、共産党の皇帝として支配体制の強力化を図った習近平国家主席、それぞれが引っ張る米中間の政治的対立の大舞台となる北朝鮮問題について、

『「米中関係」が決める5年後の日本経済新聞・ニュースが報じない貿易摩擦の背景とリスクシナリオ』
 (渡邉 哲也 著:PHPビジネス新書 393) …2018年5月11日 第1版第1刷発行

より両国の臨むスタンスを読み解いていく。開催が危ぶまれた米朝首脳会談が、本新書発行の1ヶ月後の6月12日にシンガポールで行われて、その成否如何はいまなお連日の報道で揺れ動くところとなっている。最大のポイントの非核化をはじめ推移を見つめるとともに、今までの歴史、経緯が投げかけるものをさらに理解していく必要を感じている。


第2章 北朝鮮をめぐる米中の政治対立を読み解く

[POINT OF VIEW]
・トランプ大統領によるアメリカ・ファースト政策に呼応
 →中国では習近平国家主席の独裁体制が確立しつつある
 →両国のにらみ合いはいっそう激化
・北朝鮮に対してアメリカと中国がどういった関わり合いをするかも、今後の経済に大きく関わってくる

■トランプ vs. 習近平

Q32:習近平への権力集中で米中対立はさらに激化するか?
・完全に国家の支配を確立したといえる習近平国家主席
 →「中国はアメリカの自由主義のルールの下では動かない」と国際社会に宣言したと捉えていい
・一般的に民主主義で統治できる最大人口は、3億人程度といわれる
 →異文化、異民族、漢民族に対して批判的な勢力まで、国民を統治していくには、力で抑え込む以外に方法がない
 →これまで緩かった外資系企業に対しても共産党による支配体制を拡充、その共産党の皇帝として習近平が君臨するという構図を選択
・2012年前後の胡錦濤国家主席の時代での「自由の味は蜜の味」
 →大規模な環境破壊が深刻化しただけでなく、個人の権利主張ばかりするためにトラブルが続く社会に変容した
・2018年3月20日、全人代の閉幕式
 →習近平国家主席は「今世紀半ばまでに、『社会主義現代化強国』を実現する」という目標達成に向けた決意を明らかに
  …中国をマルクス経済に回帰させていく
 →米中両国の対立構図はますます強まっていく

Q33:トランプは世界最大の米国債保有国に介入できるか?
・アメリカは中国が米国債をどれだけ保持しているかという事実をまったく気にしていない、と思ったほうがいい
 →およそ124兆円といわれる米国債は、主に中国企業が保有
 →中国の国債保有高や外貨準備の保有高には、中国の四大銀行保有分の資産、外貨資産、企業の決済用資産などが含まれる
 →実体が伴った額ではない

Q34:アメリカは中国を為替操作国として認定するか
・米財務省は2017年10月、半期に一度の為替報告書にて
 →中国を為替操作国とは認定せず
・米ドル・人民元相場は2010年から2018年のスパンで、1米ドル=6〜7人民元のあいだで推移
 →為替操作国とは認定しなかったのは、むしろ人民元高へ誘導しているから
 →そのまま高値誘導してもらったほうが、アメリカ経済としては得策

【COLUMN】過去5年の政治対立を振り返る
・中国が人民元のSDR(Special Drawing Rights:特別引出権)バスケット入りについて国際社会に圧力をかけ始めた2012年前後
 →アメリカは大きく対中戦略を変えた
  …それまでは考え方が異なっていた、中国とのビジネスを大切にする国務省と、安全保障を担当する国防総省
 →中国がSDRバスケット入りを求めると、財務省は一気に国防総省寄りに変化
  →2013年のシャングリラ会合(アジア安全保障会議)で動いた振り子
  →日米が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島における中国の人工島建設を批判するように
・アメリカ国内で広がっていく「中国は敵国である」という認識
 →「トランプ降ろし」を声高に訴えるアメリカでのデモ組織には、中華系の団体が多くを占めている

Q35:G2論は実現するか?
・中国ではいまだにG2体制の到来を主張する声が多いのが実情
 →「米中G2論」…中国とアメリカが手を結び、共に巨大化して仲良くする体制
 →アメリカが認めるはずがなく、取った行動は、南シナ海における「航行の自由作戦」
  →南沙諸島で中国が建造している人工島に海軍のイージス駆逐艦を派遣するなど軍事的圧力
 →「政治的にも経済的にもG2論は許容しない」というアメリカからの強力なメッセージ
・G2論の実現は幻想に近い

■北朝鮮リスクと米中の思惑

Q36:中朝首脳会談、米朝首脳会談が経済に与える影響は?
・米中の政治面対立の大舞台は、何といっても北朝鮮問題
・一連の動き
 →2018年3月25日から28日まで、北朝鮮・金正恩朝鮮労働党委員長が中国を訪問
 →2018年4月27日、7年ぶり、史上3回目の南北首脳会談
 →2018年6月12日、シンガポールでの米朝首脳会談
・中国の将来を左右するだけに、今後、米中の経済対立にリンクしてくる可能性が高い北朝鮮問題

Q37:トランプは北朝鮮を攻撃するか?
・アメリカにとっての脅威は、北朝鮮より南シナ海
 →核ミサイルが飛んでこない限り、南シナ海のほうが遥かに危険
・朝鮮半島情勢に関しては、すでに朝鮮半島だけの問題ではない
 →核ミサイルが届くとなれば、朝鮮半島そのものがアメリカにとってのリスクに変わる
 →北朝鮮がイランやシリアなどにBC(生物・化学)兵器を売っていることを明かす国連レポートまでも
・今後も中国が何もしなければ、アメリカはいよいよ痺れを切らすかも

Q38:米朝戦争に発展したら、中国は北朝鮮に味方するか?
・北朝鮮と中国は、中朝友好協力相互援助条約(1961年9月10日発効)により同盟関係に
 →北朝鮮に対してアメリカが攻撃を行えば、中国はあくまでも条約上は自動参戦することに
 →現実に中国が自動参戦するかといえば、その可能性は低い
 →そもそも中朝友好協力相互援助条約は、ほぼ形骸化した条約とも
・北朝鮮問題の進展に伴い、米中の政治的対立は新たなステージに入っている

[SUMMARY OF CHAPTER ――5年後を予測するヒント]
・政治と経済は表裏一体である中国、習近平国家主席の一極体制が、国内外の経済に多大な影響を与える
・北朝鮮リスクに対して、今後も中国が何もしなければ、アメリカはいよいよ痺れを切らすかも

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