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追加関税で景況悪化の懸念が増す中、壮大な躍進の展望、SEMICON West

米国政府が中国の知的財産侵害に対する制裁関税を7月6日に発動、それでは足りぬと$200 billion相当に10%の関税を課す措置がこのほど発表されている。中国側はすぐさま対抗措置を発表するとともに、世界貿易機関(WTO)に追加で提訴するとしている。米国はじめ好調に推移している景況へのインパクトの懸念が一層高まる中、SEMICON West(2018年7月10日〜7月12日:San Francisco)が開催され、熱い活況の半導体業界を反映して、来年には$500-billionの半導体販売高の大台突破、向こう7年から10年でその倍になる読みがあらわされて、熱気の高揚に向けた対照を呈している。

≪ともに熱い戦いと読み≫

好調な米国経済をもとに米国第一を掲げるトランプ大統領率いる戦いが続いている。

◇貿易戦争、米は持久戦、トランプ氏、好調景気に自信 (7月7日付け 日経 電子版)
→米中両国が6日に互いの製品の輸入関税を引き上げ、二大経済大国は貿易戦争の局面に入った旨。輸出停滞や物価上昇がダメージとなるが、トランプ米政権は好調な景気に自信を深め、持久戦を覚悟する旨。米中は貿易不均衡だけでなくハイテク摩擦も抱えており、両国の衝突は泥沼化するリスクもある旨。

台湾業界では、特に当面する本年後半への米中摩擦の影響が懸念材料となっている。

◇US-China trade rift hitting 2H18 Taiwan electronics shipments (7月9日付け DIGITIMES)
→グローバルelectronicsおよびハイテクsupply chainsにおいて奥深い存在感の台湾ビジネス界が、米国と中国の間の通商緊張の高まりに苦しみを感じ始めており、2018年後半の従来活況の時節における出荷に新たなvariablesを生じている旨。そして、厳格な環境保護対策を施行する中国が、supply chainプレイヤー、特にAppleのそれのビジネス展望をさらにぼやけさせている旨。

そして、7月6日の制裁関税発動から間を置かず、7月10日に中国に対する追加関税が以下の通り発表されている。

◇Trump administration announces list of tariffs on $200 billion in Chinese goods-US threatens tariff on $200B more in Chinese products (7月10日付け CNBC)
→Trump政権が、2ヶ月の見直しを経て中国製品の追加$200 billion相当に10%の関税を課す計画の旨。US Trade Representative(USTR)のRobert Lighthizer代表は、米国の"不公正な慣習を止め、市場を開放、そして真の市場競争を行う"との要求に中国側が反応がないとしている旨。

◇Trump readies $200 billion in new tariffs as China trade war escalates (7月10日付け The Washington Times)

◇米、対中追加関税2000億ドル公表、9月にも6031品目 (7月11日付け 日経 電子版)
→トランプ米政権は10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表、衣料品や食料品など2千億ドル(約22兆円)に相当する6031品目の輸入に10%の追加関税を課す旨。発動は9月以降になる見通し。7月6日に課した関税に対して中国が報復に動いたため、追加関税の対象を広げて対抗する旨。中国側もさらなる報復に出る構えを示しており、両国間の対立は一段と激しくなりそうな旨。

これを受けて、中国政府は直ちにまったく同規模の対抗措置を発表している。

◇China vows to hit back over U.S. proposal for fresh tariffs (7月11日付け Reuters)

◇中国商務省「反撃取らざるを得ない」、米追加関税に (7月11日付け 日経 電子版)
→中国商務省は11日、米国が追加関税対象を2千億ドル拡大すると発表したことに「国家と人民の利益を守るため、これまでと同じように必要な反撃を取らざるを得ない」とする声明を公表、世界貿易機関(WTO)に今回の措置を追加で提訴することも明らかにした旨。声明は追加関税の対象拡大について「完全に受け入れられず、これに厳正な抗議をする」と強調、「米国の行為は中国、世界、米国自らをも傷つける」と批判した旨。

制裁を受けて経営危機に陥っていた中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)は、罰金支払いはじめ米国の求める条件を遂行して、米国政府は制裁を解除している。

◇米、ZTEの制裁見直しで最終合意、事業再開可能に (7月12日付け 日経 電子版)
→米商務省は11日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)への制裁見直しで最終合意したと発表、将来、新たな法令違反があった場合に没収する4億ドル(約440億円)をZTEが納めた段階で米国企業との取引再開を認める旨。
4月に取引禁止の制裁を科して以降、ZTEは主力製品の生産を止めるなど経営危機に陥っていた旨。

◇米、ZTEの制裁解除、米企業と取引再開 (7月14日付け 日経 電子版)
→米商務省は13日、中国の通信機器大手、中興通訊(ZTE)に科した米国企業との取引禁止の制裁を解除したと発表、同社が制裁解除の条件である罰金の支払いや経営陣の刷新を終えた旨。米中の懸案の1つが片付いた格好だが、ハイテク分野の対立は激しく、協議を前進させる材料になるとの見方は乏しい旨。

制裁措置が自らにはね返ってくる、と米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長から懸念のコメントである。

◇「関税、長引けば悪影響」、FRB議長、輸入制限を懸念 (7月13日付け 日経 電子版)
→米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は12日、米ラジオ番組でトランプ米政権が仕掛ける輸入制限に触れて「高関税が長期に渡って課せられれば、米景気に悪影響をもたらす」と指摘、関税引き上げが物価上昇と景気悪化を同時に招くリスクを指摘して「(金融政策は)極めて難しい局面に置かれるだろう」とも懸念した旨。

米中摩擦が高まるなか、欧州業界大手各社の中国との連携が目立ってきている。トランプ大統領が欧州を訪問、それぞれに反発の動きもみられる最中でもある。

◇Nokia, Siemens Ink China Deals (7月13日付け EE Times)
→米国が貿易戦争レトリックを立ち上げる中、欧州各社は、industrial IoT(IIoT), ネットワークインフラ, 5GおよびAIリサーチに向けた中国とのmega-partnership契約調印に今週忙しくなっている旨。Siemensは工業自動化およびIoTの大規模推進でAlibabaと連携する一方、Nokiaは次世代ネットワークインフラ並びに中国での共同5GおよびAIリサーチセンター構築でChina Mobileとの協働に合意の旨。

中国の今年前半の対米黒字が米国経済の好調を受けて一層拡大している。知的財産の侵害は、繰り返されている通り別次元のものであり、国際法、法令遵守の徹底を図るべきところである。

◇中国、上半期の対米黒字14%増、米経済好調で輸出拡大 (7月13日付け 日経 電子版)
→中国税関総署が13日発表した2018年1〜6月の貿易統計(ドルベース)。米国向け輸出は前年同期比14%増の2177億ドル(約24兆5千億円)、輸入は同12%増の840億ドル。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1337億ドルの黒字で前年同期を14%上回った旨。中国も輸入を増やしたが、米国経済が好調で輸出がそれを上回るペースで拡大した旨。
米国のトランプ大統領は中国の巨額の対米黒字を問題視し、5〜6月に開いた米中貿易協議で黒字を2千億ドル圧縮するように求めた旨。足元では対米黒字は拡大しており、トランプ氏が批判を強める可能性がある旨。
追加関税措置を見越し、一部の企業は上半期に駆け込みで輸出や輸入を増やした旨。下期はその反動減が出る可能性があり、下期の米中貿易の行方は見通しづらい旨。

このような米中摩擦のなか、熱い活況が続いている半導体業界の恒例イベント、SEMICON Westが次の通り開催されている。

◇SEMICON West 2018 highlights smart technologies, workforce development, industry growth (7月9日付け ELECTROIQ)
→今年の記録破りの業界の伸びに立って、SEMICON West(2018年7月10-12日:Moscone Center in San Francisco)のテーマはBEYOND SMART、トップtechnologistsおよび業界リーダが、artificial intelligence(AI)の重要性およびsmart輸送, smart製造, smart医療技術, smartデータ, ビッグデータ, blockchainおよびInternet of Things(IoT)における最新技術および流れに焦点を当てる旨。

これも恒例、半導体製造装置市場の中期的な見方であるが、史上最高を記録した昨年、2017年を、今年、そして来年とさらに更新していくという現下の勢いを受けた積極的な内容である。

◇$62.7B semiconductor equipment forecast: Top previous record, Korea at top but China closes the gap (7月9日付け ELECTROIQ)
→SEMIが、annual SEMICON West expositionにてリリースしたMid-Year Forecast。新規半導体製造装置の世界販売高について次の見方:
 2017年       2018年       2019年
 $56.6 billion   $62.7 billion   $67.6 billion
           10.8%増       7.7%増

昨年、2017年に記録した史上最高を今年、来年とさらに更新すると見る旨。2018年の販売高の内訳:
 ウェーハ処理装置       $50.8 billion  11.7%増
 fab facilities装置, ウェーハ製造, およびmask/reticle装置
                 $2.8 billion  12.3%増
 組立&実装装置         $4.2 billion   8.0%増
 半導体テスト          $4.9 billion   3.5%増

肝心の半導体市場の読みであるが、2017年に$400 billionの大台を急速に越えたばかりの販売高が、2019年には$500 billion、そして向こう7年から10年で$1 trillionを突破と、非常に強気な内容がみられている。

◇Chips Boom as Trade War Looms-DRAM prices drive the upswing-Semicon West: Memory market rolls on against the backdrop of a trade war (7月10日付け EE Times)
→annual Semicon Westイベント(SAN FRANCISCO, Calif.)のキックオフの場にて、何人かのアナリストからの市場概況。半導体業界は今年15%ほどの伸び、メモリ価格上昇が大方引っ張って2019年は初の販売高$500-billionの年に。起こりそうな大きな危険を孕むのは、米国と中国の間の貿易戦争の増大である旨。該貿易問題にも拘らず、DRAMsおよびNANDフラッシュメモリデバイス市場は今年、来年と引き続き増大していく旨。「消費者は買い続け、DRAM guysを大変喜ばせる、それこそビッグ3が3D NAND fabsを構築するのに必要とするもの。」と、SK Hynix, Samsung ElectronicsおよびMicron Technologyに関してGartnerのBob Johnson氏。

◇Memory Continues to Drive Semiconductor Record Sales-$500 billion mark in sight for 2019, but what are the trade war implications? (7月10日付け EE Times India)

◇Analysts Bullish on Chip Equipment (7月11日付け EE Times)
→Semicon West tradeshow、火曜10日のアナリストパネルにて。SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏などある市場watchersが、向こう7年から10年でグローバル半導体販売高が$1 trillionを上回る可能性を予想の旨。

製造装置では、中国市場が2019年に韓国、台湾をおさえて首位に上がる見方となっている。

◇China to become largest semiconductor equipment market in 2019, says SEMI-SEMI: China to top Korea as top buyer of IC gear in 2019 (7月10日付け DIGITIMES)
→SEMIの予測。2019年に中国での半導体装置販売高が46.6%増の$17.3 billionとなり、中国、韓国および台湾が依然トップ3の市場、中国が首位に上がっていく旨。韓国が2番目で$16.3 billionの一方、台湾が$12.3 billionの旨。

Semicon WestでもAI(人工知能)の主役ぶりがいろいろあらわされている。

◇半導体装置販売10%増、米SEMIが今年予測、IoT・AI普及で需要増 (7月11日付け 日刊工業)

◇AI Becomes the New Moore's Law-Execs, engineers point to new path (7月13日付け EE Times)
→Semicon WestでのApplied Materials主催daylongシンポジウムにて。
Moore's Lawが終わりを迎えて、代わって生き続けるAI。材料からデバイスまでハードウェア、ソフトウェアそしてシステムと、もっと大きなコラボである必要、と半導体業界の新たな結集の叫びの旨。


≪市場実態PickUp≫

【Intel設立50周年】

下記サイトの<EDN MOMENT>で示される通り、半導体業界を引っ張るIntelが来る7月18日に設立50周年を迎える。
https://www.edn.com/electronics-blogs/4238441/EDN-Moments

○ 7月18日 Intel is founded, July 18, 1968…Intelが、1968年のこの日、Fairchild Semiconductorを離れた半導体のパイオニア、Robert NoyceおよびGordon Mooreにより設立された。当初はNoyceとMooreからとって“NM Electronics”と呼んだが、Integrated Electronicsを短縮した“Intel”という名前の使用権を、Intelcoという会社から買い取った。“intelligence”につながる“intel”という言い方は、思いがけない贈り物である。Intelの当初の事業計画は、Mooreが作成、3つの非常にぼんやりとした小節から成っている。短いけれども出資を獲得するには十分であり、venture capitalist、Author Rockが$10,000を出し、会社スタートに$2.5Mを調達、RockはIntelの最初のchairmanとなった。会社創設後まもなく、非常に重要なメンバー、Andy Groveが、最初の雇用でIntelに入った。Intelは、1969年に最初の製品、3101 Schottky bipolar RAMをリリース、そしてMOS static RAMを打ち上げる。Intelの連続したmilestonesおよび同社が創設以来行った技術の進展は非常に偉大でここでの枚挙には無理があるほどだが、時間軸の進展ぶりは同社のweb siteより以下を参照:
http://www.intel.com/content/www/us/en/history/historic-timeline.html

高値のメモリ半導体が大きく引っ張る現下の市況であり、昨年はサプライヤ販売高ランキング首位の座をSamsungに奪われてそのまま今に至っているが、同社はいろいろ難局のなかの50年の節目となっている。

◇インテル、創業50年目の試練、トップ辞任で改革頓挫 (7月13日付け 日経 電子版)
→米インテルが7月18日に設立50年を迎える旨。「シリコンバレー」の由来のひとつとなり、今なお成長を続ける半導体産業の雄は近年、守勢が目立ち始めた旨。6月にはブライアン・クルザニッチ氏が従業員との過去の交際を理由に、最高経営責任者(CEO)を辞任する混乱も起きた旨。IT産業が大変革を迎えるなかで、インテルは「半導体の王」の地位を奪還できるのか。

2015年にAlteraを買収したIntelのFPGA部門であるが、このほどASICs代替のカスタム半導体メーカー、eASICの買収を発表している。

◇Intel FPGA Unit to Buy eASIC-Arm cores to lift structured ASICs in 2019 (7月12日付け EE Times)
→Intel社が、eASIC(Santa Clara, CA)買収に入札、ASICs低コスト代替のパイオニアをFPGAグループに組み込む狙いの旨。Intelは、eASICのロードマップを加速、該取引がたぶん第三四半期に完了時点でeASICのCEO、Ronnie Vasishta氏など従業員120人すべてを採用していく旨。

◇Intel to acquire custom chip maker eASIC-Intel is eying gains in market segments like 4G and 5G wireless, networking and IoT via eASIC's structured ASICs offering.-Intel looks to programmable chip development with eASIC acquisition (7月12日付け ZDNet)
→Intelが、カスタム半導体メーカー、eASICの買収を発表、Intelの技術運用および製品性能、コストおよびlife cyclesを改善する取引の旨。
programmable半導体を作り出すためにIntelのEmbedded Multi-Die Interconnect Bridge技術をeASIC技術と取り入れる期待の旨。

【BroadcomのM&A取引】

Qualcomm買収の働きかけが今年始め大々的に繰り広げられたものの不調に終わったBroadcomが、こんどはIT managementソフトウェアのCA Technologiesに矛先を向けて、以下業界各紙の取り上げである。

◇Broadcom acquires CA Technologies for $18.9B in cash-Broadcom to close on $18.9B acquisition of CA Technologies (7月11日付け TechCrunch)
→半導体メーカー、Broadcomが、主要ソフトウェアサービス会社のCA Technologiesを$18.9 billion cash取引で買収する運びの旨。
BroadcomのCEO and President、Hock Tan氏は、該買収は顧客基盤拡充に向けて"重要なbuilding block"として働くとしている旨。

◇Broadcom acquires CA Technologies for $18.9 billion, adds software to portfolio-Broadcom has plans to be a large technology infrastructure company. CA Technologies will bring recurring software revenue to the party. (7月11日付け ZDNet)

◇Broadcom buys business software firm CA for $18.9 bn (7月11日付け Yahoo/Agence France-Presse)

◇Wall Street Unimpressed by Broadcom's Latest M&A Deal (7月12日付け EE Times)
→Broadcom(San Jose, Calif.)が、IT managementソフトウェアのCA Technologies(米国New York州)を$18.9 billionのcash取引で買収する最終合意に調印、水曜11日の株価終値に20% premiumの旨。木曜12日のBroadcomの株価は急落の旨。

◇Broadcom to acquire CA Technologies for $18.9B in cash (7月13日付け ELECTROIQ)

◇ソフト大手を買収、米ブロードコム、2.1兆円で、クアルコム断念後、初の案件 (7月13日付け 日経)
→米半導体大手、ブロードコムが11日、企業向けソフトウエア大手、CAテクノロジーズを$18.9 billion(約2兆1千億円)で買収すると発表、3月に同業のクアルコムに対する買収を断念して以降では初めての買収案件となる旨。これまで半導体メーカーを中心にM&A(合併・買収)を重ねてきたが、継続的な課金収入が見込めるソフトにも手を広げる旨。

【自動運転taxis】

Daimlerが、NvidiaおよびBoschと協働、NvidiaのDrive Pegasusプラットフォームのartificial intelligence(AI)技術を搭載した自動運転taxisのテスト車両を打ち上げ、Californiaでテスト走行を行うとしている。2020年代前半に完全自動運転車を実用化する計画につながっていく。

◇Bosch, Daimler, Nvidia Seal Robotaxi Pact (7月10日付け EE Times)
→ドイツの2社、BoschおよびDaimlerが、“vehicle-drivingアルゴリズムを発生するmachine-learning方法”に向けてNvidiaのDrive Pegasusプラットフォームの運用で協力する旨。

◇Daimler, NVidia, and Bosch are teaming up to build robo-taxis for the 2020s-Daimler partners with Nvidia and Bosch to develop robotaxis (7月10日付け FastCoDesign)
→Daimlerが、NvidiaおよびBoschと協働、artificial intelligence(AI)技術搭載autonomous taxisを作り出し、"向こう10年始めに"自動運転車を出す狙いの旨。Californiaでテストを行う計画、来年後半にSilicon Valleyの都市でのpilotプロジェクトなどの旨。

◇Robotaxi Economics Decrypted-Why the robotaxi rush? (7月12日付け EE Times)
→火曜10日に発表されたBosch-Daimler-Nividaのコラボは、robotaxisの開発に正面切って重点化する連携であることを明らかにしている旨。2019年後半にSan Francisco Bay Areaで自動運転taxisのテスト車両を打ち上げる計画、BoschおよびDaimlerコンビはWaymo, General Motorsの自動運転車部門、Cruiseなどと競うことになる旨。

◇自動運転用AIシステム、ダイムラーに供給、エヌビディア (7月12日付け 日経産業)
→米半導体大手、エヌビディアが11日、自社の半導体を組み合わせた人工知能(AI)システムが、独ダイムラーと独ボッシュが開発中の完全自動運転車に採用されることが決まったと発表、自動運転の頭脳を担う半導体の開発競争が激化するなか、自動車大手や部品メーカーとの協業を通じて勝ち残りを狙う旨。

◇独ダイムラーとボッシュ、米で完全自動運転実証 (7月12日付け 日刊工業)
→独ダイムラーとボッシュは2019年後半に米カリフォルニア州でドライバーが不要な完全自動運転車を使った移動サービスの実証実験を始める旨。完全自動運転車はあらかじめ決められたルートを自動走行する旨。両社は2020年代前半に完全自動運転車を実用化する計画を掲げており、実験結果を開発に生かす旨。

【減速懸念漂う業績発表】

韓国・Samsungと台湾・TSMC。半導体業界を実質的に牽引しているアジアの二大大手の直近四半期業績に減速の陰りが見えてきている。米中摩擦による波乱要因が飛び込んできて、先行きの見方をいっそう難しくしている。

◇サムスン業績、減速懸念、4〜6月、営業益5%増どまり (7月7日付け 日経)
→半導体メモリの好況を追い風に最高益更新を続けてきた韓国サムスン電子の業績に減速懸念が出てきた旨。2018年4〜6月期の営業利益は前年同期比5%増止まり、直近の四半期比では減少した旨。メモリの成長鈍化が主因。
半導体市況や米中貿易摩擦の影響など不透明要因が多く、先行きについては強弱双方の見方が交錯している旨。

◇TSMC revenues fall 6% in 2Q18-TSMC sees Q2 revenue dip by 6% (7月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの第二四半期売上げが前四半期比約6%減、4月半ば時点のguidance、同7-8%減を僅かに上回る旨。同社の2018年6月連結売上げがNT$70.44 billion($2.32 billion)、前月比約13%減、前年同月比16.3%減。第二四半期売上げがNT$233.28 billion。


【人工知能(AI)関連】

フランス・Letiが、AIをソフトウェアおよびcloudからedgeでの組み込み半導体にもっていくアプローチをあらわしている。

◇Addressing ‘Memory Wall’ is Key to Edge-Based AI (7月9日付け EE Times)
→CEA Techのフランス技術リサーチ機関、Letiのannual innovation conference(GRENOBLE, France)にて、LetiのCEO、Emmanuel Sabonnadiere氏。急速に伸びるartificial intelligence(AI)応用に向けて高度に効率的な性能computingを可能にする、"memory wall"の対処および新しいアーキテクチャー・ソリューションの推進が、Letiにとって重点領域となる旨。AIをソフトウェアおよびcloudからedgeでの組み込み半導体にもっていく、高度に統合された全体論的アプローチである必要の旨。

◇Memory Crucial for Edge AI (7月9日付け EE Times India)

FPGAsの自動運転車向けAIシステムでの用途が取り上げられている。

◇FPGAs Drive Deeper Into Cars-Automotive OEMs are leveraging programmability for algorithms, evolving safety standards, and market differentiating features.-Automotive electronics see more use of FPGAs (7月9日付け Semiconductor Engineering)
→field-programmable gate arrays(FPGAs)が、通信およびsensing技術とともに自動運転車向けartificial intelligence(AI)システムなど先端車載electronicsでの用途がさらに広くなってきている旨。

AIを吹き込むembeddedシステムのビジネスおよび技術へのいろいろな角度からの洞察が展開されている。

◇AI Flood Drives Chips to the Edge-Deep learning spawns a silicon tsunami-Acceleration starts off in software-Many made-in-China options emerging-Competition heats up in AI cores-More startups worth considering (7月11日付け EE Times)
→Aspencore(EE Timesの親会社)のSpecial Project on Embedded Artificial Intelligence(AI)の記事。localized AIを吹き込むembeddedシステムのビジネスおよび技術にいろいろな角度から洞察を加える内容。


≪グローバル雑学王−523≫

7月6日の米国の中国に対する制裁関税発動に対して中国が全く同規模の報復を行い、そして間を置かず7月10日には米国がさらに追加措置を発表、また中国が報復に動く、という両国摩擦のまさに真っ最中であるが、

『「米中関係」が決める5年後の日本経済新聞・ニュースが報じない貿易摩擦の背景とリスクシナリオ』
 (渡邉 哲也 著:PHPビジネス新書 393) …2018年5月11日 第1版第1刷発行

より、前回に続く形で対立の背景に1990年代まで遡って迫っていく。米国が世界を圧倒的に主導した時代から、新興経済圏が台頭、特に中国の存在感が高まって現在に至っている。パワーバランスの推移と絡み合う諸事情がいろいろな切り口で分析、あらわされている。


序章 米中経済対立の背景を読み解く ―――後半

■リーマン・ショックがもたらした経済変動

Q6:冷戦後の行き過ぎた資本主義、自由主義は何をもたらしたか?
・金融の側面から追ってみる米中対立の背景
・1990年初頭の冷戦終結
 →必然的に暴走を始めた自由主義
 →リバタリアニズム(libertarianism)、新自由主義
  …「すべて民間でやればいい。政府の規制は撤廃し、全部自由にやればいい」
・その結果、過当な競争で一部の「持てる者」だけが儲かる構造に
 →現在のいわゆる「金融主導型社会」と呼ばれるシステム

 Q7:リーマン・ショックでアメリカの金融構造はどう変わったか?
・2008年のリーマン・ブラザーズの破綻(リーマン・ショック)によって変わったこと
 →投資銀行に与えられていた自由が奪われた
 →巨大な私募ファンドから、FRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)に対して銀行免許を要し、その支配下へ
  …完全に、自由な金融という枠組みは失われた
 →金融界が国にがんじがらめに管理されるように
・一方、中国の金融は実態以上に肥大化
 →中国の金融が力をつけていくことに
 →野望の初弾が、中国人民元のSDR(Special Drawing Rights:特別引出権)バスケット入り

Q8:米ドル支配体制を築いたプレトン・ウッズ体制とは?
・第二次世界大戦後半以降、維持されてきたブレトン・ウッズ体制(Bretton Woods system)
 …米ドルを世界の基軸通貨とした固定相場制
 →アメリカに世界中の金(GOLD)の8割近くが集まってしまったことに由来
  …当時は、金の引換券としての紙幣
 →米ドルと両替ができることによって、世界各国の通貨の価値を保証、裏付けする仕組み
・1971年8月、第二次ニクソン・ショック
 …ニクソン大統領が米ドルと金の交換の一時停止を宣言
 →第一次ニクソン・ショック
  …1971年7月15日、ニクソン大統領が中華人民共和国への訪問を発表
・紙幣の歴史は「国立銀行(ナショナルバンク)制度」の歴史でも
 →国立銀行…国家が民間の銀行に許可を出し、銀行は自ら保有する金を担保にして、紙幣を発行する
 →日本でもこの制度が導入され、いまもその名残
  →設立順に行名
   …第一銀行 第一勧業銀行→みずほ銀行
   …第二銀行 現在の横浜銀行
・アメリカの連邦準備制度FRS(Federal Reserve System)
 →地域別に設立された12の民間銀行の集合体、連邦準備銀行FRB(Federal Reserve Bank)をFRBがコントロールする構造
・「財金分離原則」…国家の財政と通貨発行を分離して、国家と紙幣の信用を守る

Q9:金本位制崩壊後、金に代わって価値をもったものとは?
・金以外に紙幣の価値の裏付けとなるものがあらわれた、それは石油
 →石油取引は基本的に米ドルでしかできない、だからこそ米ドルには価値
・1970年代に金本位制は完全に終焉
 →しかし、石油や資源がほとんどドルでしか買えないことから、ドルの価値は担保されている
 →産油湾岸諸国では、自国の為替相場を米ドルと連動させるドルペッグ制(dollar peg)を採用
  …クウェートは2007年に放棄
・石油と穀物という生活基本物質をアメリカが支配、それが裏付けとなり米ドルが発行されている
 →いま世界で起きている米ドル支配といわれる体制の仕組み
 →実際には裏付けとして、武力を背景とした産油国支配構造と、安全保障に基づいた周辺国との連携構造で決まる

Q10:アメリカによる金融制裁にはどんな特徴があるのか?
・アメリカによる金融制裁は、実質上の世界経済の支配体制を利用して行われる
 →課された国はアメリカの銀行と取引ができなくなり、結果的に銀行が潰れる
・ロシアは自国が世界で1、2を争う原油産油国
 →事実上、非産油国といっていい中国とは事情が異なる
・中国は貨幣の裏付けとなる石油確保については、政治的リスクを背負っているのが現実
 →他方、中国による100基以上の原発建設計画がいまだに存在
  →前提としないと、中国が世界でイニシアティブ(主導権)を取れないと考えている
・2013年、アメリカでシェール革命、大量の石油や天然ガスを自国で生産可能に
 →アメリカは、いま以上に中国に対して強気に出られる

Q11:中国が米国債を投げ売りしたら、アメリカはどう出るのか?
・「米中G2論」…中国とアメリカが手を結び、共に巨大化して仲良くする体制
 →以下の理由から、「アメリカが米国債売却を理由に中国のいいなりになる可能性は限りなく低い」
・アメリカの法律の存在
 →1977年に施工、国際緊急経済権限法(IEEPA法:International Emergency Economic Powers Act)
 →2001年の9・11後の米国愛国者法(USA PATRIOT Act:2015年に一部改正して「米国自由法」に名称変更)
 →米国債はアメリカの法律に従い発行されており、これらの法律の対象に
 →市場で投げ売りすることはできず、PC上で凍結や没収の操作をするだけの話

Q12;国際通貨の米ドルと人民元、違いは何か?
・中国・人民元の裏付けは、間接的に米ドルと両替できること
 →香港ドルと両替できる相互保証には人民元も。香港ドルが米ドルの保証を失えば、人民元で買えるものがなくなるかも
  →この事態を中国当局は危惧
・覇権国家の条件を満たすには、自国がつくった仕組みに乗ることで、その参加国に利益がもたらさなければならない
 →受け取ったお金で石油を買えない以上、人民元を使うことによるメリットは「ほぼない」

■トランプ大統領誕生後の米中関係

Q13:トランプが大統領になった本当の理由は?
・トランプ大統領は、なぜ2016年の大統領選挙に勝利できたか
 →ポイントは五大湖周辺の5つの州(インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシン)
  …鉄鋼の生産地域、ラストベルト(RUST BELT=錆びついた地域)
 →プアホワイトを中心に反旗を翻したというのが、今回のトランプ勝利の選挙の背景

Q14:インディアナ州、共和党圧勝の功労者はトヨタ?
・もう1つ、マイク・ペンス(Michael Richard "Mike" Pence)副大統領がかつてラストベルトの一角を占めるインディアナ州の知事だったこと
 →ラストベルトの地域を重視したトランプ大統領の戦略が見事にはまった
・インディアナ州プリンストンには、トヨタ自動車最大の全米生産会社TMMI(トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インディアナ)
 →韓国・ヒュンダイなどが圧力をかけて、米国議会でトヨタ車へのリコールを社会問題化
 →一方、トヨタが海外進出する際は、工場だけでなく、進出先の地域に病院や学校などの施設をつくる
 →日本側の代表格となって動いてくれたのが、当時のペンス下院議員
  →州知事になってからは頻繁に来日、日本企業の誘致をしていた

Q15:トランプが国内の製造業を見捨てない理由は?
・アメリカは、社会に経済の成長と政治の安定をもたらす中間層を維持するため
 →製造業を中心としたモノづくりの基盤を構築する必要
 →自動車と航空機という2つの産業は失うわけにはいかない

Q16:トヨタはなぜアラバマ州に工場進出するのか?
・世界一の権力者(トランプ大統領)が、一民間企業に対して工場建設地を指示
 →トヨタはすかさず、アラバマ州ハンツビルにアメリカ11か所目の生産拠点新設を決定
・経済と政治は表裏一体、切り離せない

[SUMMARY OF CHAPTER ――5年後を予測するヒント]
・中国の台頭、「ワンルール」「ワンシステム」が前提のグローバリズムが通用しなくなった
・石油と穀物という生活基本物資をアメリカが支配、米ドルが力をもつ「米ドル支配体制」が世界を席巻。お金の価値は、お金そのものでは決まらない
・トランプ大統領は、自身の支持基盤である中間層を守るために、製造業を中心とした産業地域は絶対に見捨てない

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