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先行きの市場不安定性要因:米中摩擦、メモリ価格&歩留り

活況、高水準で依然推移している半導体関連市場であるが、その先行きについて片時も目が離せない状況、情勢も続いている。米中摩擦は、両国間、そして米国内でも大統領と議会の間での応酬、駆け引きがみられ、米国・Semiconductor Industry Association(SIA)からは関税措置は逆効果を招くものとのステートメントが出されている。半導体市場を引っ張るメモリについて、価格上昇の飽和ないし低下が見られている一方、主要プロセス技術について歩留まり問題があらわれて予断を許さない状況も生じている。

≪一刻も目が離せない動き≫

中国からの輸入製品に対するTrump政権の関税賦課について、我が半導体製品にはね返るものと、米国・SIAより次のステートメントが出され、それに続く業界各紙の反応、取り上げ方となっている。

◇SIA Statement on Trump Administration Tariff Announcement (6月15日付け SIA/NEWS)
→米国・Semiconductor Industry Association(SIA)が、Trump政権の中国からの輸入製品に対する関税についての発表に関してリリースしたステートメント:
「米国半導体業界は中国の強いられた技術移転およびintellectual property(IP)慣行についてのTrump政権の懸念を共有する一方、その大方が実際には米国でリサーチ、設計、そして製造されている中国からの半導体に対する関税賦課提案というのは逆効果を招くもので、中国における重大なIPおよび産業政策問題に対応できなくなる。我々の製品に対する関税賦課が我々の競争力を損じて、中国での我々の挑戦課題に対応しない理由を説明するよう、政権側と一緒に進んで取り組んでいきたい。」

◇How Trump's China Tariffs Will Make U.S. Chipmakers Pay Fees on Their Own Chips (6月15日付け Fortune)

◇Chip Makers: We'll End Up Paying Tariffs on Our Own Goods-Semiconductor trade group says complex supply chain means Trump's levies will hit U.S. businesses (6月15日付け THE WALL STREET JOURNAL)

◇China Issues Retaliatory Tariffs as Trade Fight Heats Up-Move comes after White House imposed tariffs on $50 billion of Chinese goods (6月15日付け THE WALL STREET JOURNAL)

◇SIA releases statement on Trump Administration tariff announcement (6月20日付け ELECTROIQ)

貿易赤字、知的財産など中国に対するTrump政権の強い対抗スタンスは歓迎しながらも、米中摩擦の段階的拡大には反対せざるを得ない、米国半導体関連業界の固唾を飲む状況があらわされている。

◇Chip Industry Holds Its Breath as Trade War Heats Up-Silicon Valley opposes new tariffs on Chinese goods (6月18日付け EE Times)
→Donald Trump米国大統領が米国は半導体supply chainの多くの製品を含む中国製品$50 billionについて25%の関税を課すと発表、半導体業界アナリストおよび市場watchersが懸念をあらわしている旨。米国半導体メーカーおよびそのサプライヤは、該関税および世界の2大経済圏の間の貿易戦争の段階的拡大に大方反対の旨。多くが怖れる究極の結末は、electronic製品&コンポーネントの売上げ減少である旨。Trump政権は、該関税は中国との貿易赤字$375 billion対策、および必要となる技術移転および手ぬるいintellectual-property(IP)保護など米国業界に有害と考えられる中国の政策への対抗に必要としている旨。

このような中、Trump政権はAppleの中国で作られたiPhonesについては関税引き上げの対象から除く方向に動き始めている。

◇Report: Trump Told Apple iPhones Would be Exempt From Tariffs (6月19日付け EE Times)
→本件に通じた匿名筋引用、New York Times発。Trump政権がAppleのCEO、Tim Cook氏に対し、中国で作られたiPhonesについては関税を課さないとしている旨。このような約し方は、米国と中国をほぼ全面貿易戦争にもって行っているTrump政権の最近の動きからすると意味がある旨。

◇米中貿易摩擦、渦中の「アップル」が抱えるリスク (6月20日付け 日経 電子版)
→米国と中国の貿易摩擦が過熱するなか、米アップルが影響の最小化に向け躍起になっている旨。トランプ政権はアップル製品を関税引き上げの対象外とするもようだが、中国政府の報復を受けかねない旨。生産や販売を中国に頼ることで、米最大の時価総額を手にしたアップル。手本とされた成長モデルが政治リスクへと転じ始めた旨。

◇iPhones Seemingly Shielded from US-China Tradewar -Goods made in China to be levied with tariffs, but certain exemptions on the cards (6月21日付け EE Times Asia)

懸案の中国の通信機器メーカー、中興通訊(ZTE)の件であるが、Trump大統領と議会との膠着状態が依然続いている。

◇Trump, U.S. lawmakers meet to discuss 'problematic' measure on China's ZTE-Trump, lawmakers discuss ZTE ban (6月20日付け Reuters)
→Donald Trump大統領が水曜20日、中国のテレコムメーカー、ZTEに関して約20数人のlawmakersと会合、係争点はZTEに対する禁止を解除するTrump氏の試みを阻止する防衛法案修正であり、会合後Trump氏はメディアに対し「仕事を続けていく」旨。

◇Trump on ZTE Talks With Lawmakers: ‘We’re Working on It’-Senate has voted to reinstate ZTE sales ban (6月20日付け THE WALL STREET JOURNAL)

米国株式市場の株価の方は、摩擦懸念の一服感から9日ぶりの上げがみられる現時点である。

◇米国株、ダウ119ドル高で9日ぶり反発、石油株高い、米中摩擦の懸念は一服 (6月23日付け 日経 電子版)
→22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は9営業日ぶりに反発、前日比119ドル19セント(0.5%)高の2万4580ドル89セントで終えた旨。石油輸出国機構(OPEC)の原油増産は緩やかにとどまるとの見方から原油相場が上昇。石油株が買われて相場を押し上げた旨。ダウ平均は前日までの8日続落で約860ドル下げていたため、押し目買いが入りやすかった面もある旨。

次に、注目のメモリ半導体価格について、3カ月連続の横ばいとなっているDRAMである。

◇DRAM、上昇一服、パソコン用、5月も横ばい (6月16日付け 日経)
→データの一時保存に使う半導体メモリ、パソコン用DRAMの値上がりが一服している旨。指標となるDDR3型の4ギガビット品は5月の大口価格が4月と同じ1個3.7ドル前後。3カ月連続で横ばいとなった旨。需給の逼迫感が薄れ、価格は天井を迎えたとの見方が出ている旨。

NANDフラッシュについては低下傾向が続いている。

◇NAND型、7%安、大口価格、大容量品、量産進む、5月 (6月20日付け 日経)
→データの長期保存に使う半導体メモリ、NAND型フラッシュメモリが一段安となった旨。指標品であるTLC(トリプル・レベル・セル)の128ギガビット品は、5月の大口価格が1個あたり3.7ドル前後。前月比で7%ほど安く、4カ月連続の値下がりとなった旨。メモリメーカー各社は記憶容量を高められる「3次元品」の量産を進めており、世界的なスマートフォンの需要停滞も受け「NAND型にだぶつき感が出ている」(電子部品商社)旨。

サーバ用18-nm DRAM生産について、SamsungおよびSK Hynixともに歩留まり問題に見舞われている状況が次の通りである。今後の回復に目が離せないところである。

◇Samsung, SK Hynix 18nm DRAM production reportedly hit by unstable yield rates (6月20日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung ElectronicsおよびSK Hynixがともに、サーバDRAM生産、特にhigh-endサーバ半導体生産について、18-nmプロセス技術の不安定な歩留りに見舞われている旨。SamsungおよびSK Hynixがサーバ用18-nm DRAM生産に纏わる技術的問題に遭遇、すでに厳しいサーバDRAMs、特にデータセンター応用向けhigh-end品の供給がさらに厳しくなる旨。米国および中国のベンダーは韓国のメモリサプライヤに対し、18-nm DRAMプロセス歩留りが改善されるまで出荷を中止するようすでに求めている旨。2社が歩留りを改善するには1-2ヶ月以上かかりそうな旨。第三四半期のDRAM価格は以前の予想より急速に下がる様相、サーバDRAM供給について不安定性があらわれている旨。

一方、次に向けたメモリ開発の取り組みも並行している。

◇Samsung starts EUV DRAM R&D, says report-Report: Samsung begins R&D on EUV process for DRAMs (6月19日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが、extreme ultraviolet(EUV) lithographyプロセスによる第2世代1y-nanometer DRAMsについてのR&Dを開始、業界筋は、Samsung Foundryが今年後半の間にロジック半導体に向けてEUVでの7-nm Low Power Plusプロセスを開始後、同社が2020年までにEUVプロセスでの1y-nm DRAMsの製造を始めるとしている旨。

◇Micron says good times to continue for memory-Both DRAM and flash memory pose plenty of technology challenges. At the VLSI Symposia, Micron explained how it has overcome these hurdles and why customers will continue to demand larger and faster memory.-Micron sees memory demand continuing, challenges overcome (6月20日付け ZDNet)
→2018 Symposia on VLSI Technology and Circuits(2018年6月18-22日:Hilton Hawaiian Village, Honolulu, HI)にて、Micron Technologyの技術開発executive vice president、Scott DeBoer氏。同社が"data economy"と呼ぶものにおけるメモリ半導体需要を支えるために、artificial intelligence(AI)技術の採用を見込む旨。いろいろなstartupsがDRAMsおよびフラッシュメモリの後継を謳っているが、MicronはIntelと共同開発している3D XPointメモリ技術を自信をもって進めていく旨。

いつかはと時間の問題の感じ方があったが、中国からのメモリ半導体メーカーに向けて価格談合による罰金を科す動きが浮上してきている。

◇DRAM vendors reportedly facing hefty antitrust fines in China (6月21日付け DIGITIMES)
→業界筋発。世界のDRAMベンダー・トップ3、Samsung Electronics, SK HynixおよびMicron Technologyが、価格談合があるとして中国で最大$8 billionの罰金が科される可能性の旨。DRAM価格は2017年以降上昇しており、中国のスマートフォンベンダーの利益性を圧迫している旨。この問題にはすでに中国のAnti-Monopoly Bureau of Ministry of Commerceが注目しており、2017年12月にSamsung側と会って懸念を表明している旨。それにも拘らず、このように間に入っても2018年第一四半期におけるDRAM価格のさらなる上昇が止まっていない旨。


≪市場実態PickUp≫

【突然の辞任発表】

IntelのCEO、Brian Krzanich氏の突然の辞任発表が下記の通り行われ、半導体はじめ関連業界に衝撃を与えている。暫定CEOを当面は置いて、後任の人選が行われる運びである。半導体業界をずっと引っ張ってMoore則を代表的に最先端の支柱的存在の同社であり、台頭する新分野、新市場への切り換え対応の最中であるだけに、一刻の停滞も許されない現時点の取り巻く環境ではある。

◇#IntelToo? (6月21日付け EE Times)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏の突然の辞任発表は、Intelのworkforceだけでなく、たぶんもっとのこと、ハイテクcommunityおよびfinancial市場に衝撃となっている旨。役員会は即刻、Chief Financial Officer(CFO)、Robert Swan氏を暫定CEOに指名、同氏はeBayのCFO職から2016年にIntelに入っている旨。Intelは、内部および外部の候補を考慮、恒久リーダーを探し始めている旨。

◇Intel C.E.O. Brian Krzanich Resigns After Relationship With Employee-Intel chief Krzanich steps down; Swan appointed interim CEO (6月21日付け The New York Times)

◇インテル、突然のCEO辞任、変革の停滞懸念 (6月22日付け 日経 電子版)
→米インテルは21日、ブライアン・クルザニッチ最高経営責任者(CEO)が辞任し、ボブ・スワン最高財務責任者(CFO)が暫定的なCEOに就いたと発表、過去に従業員と同社の行動規範に違反する関係にあったことが発覚したための旨。設立50年を目前に控えたタイミングでの突然のトップ辞任は、岐路に立つ米半導体の雄にとって痛手となる旨。

◇Intel CEO Resigns-Krzanich resigns after violating company policy (6月22日付け EE Times India)

【AI関連の取り組み】

まずは大手。IBMがcomputer-visionの国際会議の場で、visual解析の効率化を図るAIハードウェア&ソフトウェアの論文プレゼンを行っている。

◇IBM Refines AI Efficiency in Visual Analysis-IBM develops BlockDrop, Neuromorphic Stereo-IBM works to make AI tech more efficient in visual analysis (6月18日付け EE Times)
→IBMが最も競争力に富んだcomputer-vision conferencesの1つとしている2018 Conference on Computer Vision and Pattern Recognition(CVPR)(6月18-22日:Salt Lake City, Utah)にて、IBM ResearchがAIハードウェア&ソフトウェアについて2件の技術論文プレゼンを行なう旨。
AIハードウェアについては、データ取得(センサ)およびデータ処理の両方にbrain-inspired spiking neural-network技術を適用して開発されたstereo-visionシステムを推進、AIソフトウェアについては、computation全体の削減に重要と考えられるステップ、“Blockdrop”についての論文の旨。両方の論文ともに、2つの異なる角度からのvisual解析効率化という同じ問題を攻略している旨。

◇IBM Develops BlockDrop and Neuromorphic Stereo (6月19日付け EE Times India)

AI半導体のstartupとして注目されているSyntiant(Irvine, CA)の音声認識に向けたAI operationsの速度を上げることからのアプローチである。

◇AI Startup Seeks its Voice-Syntiant to sample 20-TOPs/W chip this year-AI chip startup aims for voice commands (6月20日付け EE Times)
→startup、Syntiant(Irvine, CA)が、4- to 8-ビット精度を用いて20 tera-operations/watt(TOPs/W)半導体を設計しており、当初は音声認識に向けたAI operationsの速度を上げる旨。数百ないし数千ものNOR cellsアレイを用いて、TensorFlow neural-network jobsをアナログdomainで計算の旨。同社は、2018年に新規machine-learning半導体をサンプル配布、量産化に向けてSeries B資金調達を行なう旨。

【自動運転関連】

NXP Semiconductorsが、自動運転車向けハードウェアプラットフォームの一部として働くS32プロセッサファミリーを発表、車載電子システム向けの機能安全規格を遵守する現状最高性能が得られるとしている。

◇New Microcontroller Lets Cars Call the Shots Once Humans Hand Over the Wheel-NXP debuts microcontroller for self-driving cars (6月19日付け Electronic Design)
→NXP Semiconductorsが、8-core S32S microcontroller(MCU)を投入、自動運転車向けハードウェアプラットフォームの一部として働き、サンプル配布が第四四半期の予定。16-nmプロセスでの製造、800 megahertzでの動作が可能な該MCUは、自動運転車用のadvanced driver-assistance systems(ADAS)などelectronicsに向けたソフトウェア開発に要する期間を減らすとみられる旨。

◇NXP Launches First S32 Automotive Processors (6月21日付け EE Times)
→昨年10月に"whole vehicle"車載処理プラットフォームを発表して8ヶ月、NXPが先週のannual NXP Connects conference(SANTA CLARA, Calif.)にて、運転者の直接制御あるいは自動運転制御のいずれでも安全に車の加速、ブレーキおよび操舵を行なうシステムを管理する新しいプロセッサ・ファミリーを発表の旨。該新16-nm 800MHz NXP S32S microcontrollers(MCUs)は、今後の自動およびhybrid electric vehiclesを開発する自動車メーカーのニーズに適合、同社は現状最高性能のASIL D capabilityが得られるとしている旨。
(注) 車載電子システム向けの機能安全規格、「ISO26262」において、開発者が欠陥があった時のリスクを分析、分類されたASIL(Automotive Safety Integrity Level)。

◇NXP Announces Automotive Processors in S32 Family-Claims to have highest ASIL D performance of any solution today (6月21日付け EE Times India)

中国・Baiduの自動運転車技術に向けたApollo計画の取り組みのやり方が次の通りあらわされている。

◇China's Apollo Plan Explained-Baidu targets self-driving cars with the Apollo plan (6月21日付け EE Times)
→僅か14ヶ月前に披露されたBaiduの自動運転車技術に向けたApollo計画が、センサ、microchipsなど基幹ハードウェアの開発を前倒しする上で弾みがついている旨。単独で進めるのではなく、Baiduは該Apollo ecosystemのサポートに向けて世界中の複数の会社の協力を得ている一方、同社は支柱のソフトウェア開発に重点化の旨。

【半導体製造装置billings】

SEMIからの月次発表データであるが、半導体販売高の記録的な活況が依然みられる中、半導体製造装置billingsについても以下のデータが示す通り、2ヶ月連続で月次最高を更新する状況となっている。

◇North American semiconductor equipment industry posts May 2018 billings (6月20日付け ELECTROIQ)
→SEMIのMay Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report。北米半導体装置メーカー、2018年5月の世界billingsが$2.70 billion(3ヶ月平均ベース)、前月($2.69 billion)比0.6%増、前年同月($2.27 billion)比19.2%増。ここ半年の推移(金額:USM$):

Billings
Year-Over-Year
(3ヶ月平均)
December 2017
$2,398.4
28.3%
January 2018
$2,370.1
27.5%
February 2018
$2,417.8
22.5%
March 2018
$2,431.8
16.9%
April 2018 (final)
$2,689.9
25.9%
May 2018 (prelim)
$2,705.8
19.2%

[Source: SEMI (www.semi.org), June 2018]

◇North American semi equipment industry posts record billings for 2nd consecutive month (6月21日付け DIGITIMES)

【Morris Chang氏】

TSMCの総帥、Morris Chang氏の引退を最近本欄で取り上げたが、Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)が主催した同氏を送る宴席の状況があらわされている。米国・Texas Instrument(TI)から台湾に戻ってTSMC、そして台湾半導体業界をリードした同氏のいろいろ思いの詰まった回顧を想像するところがある。

◇Morris Chang: A banquet that marks the conclusion of an era (6月20日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)が最近、引退に伴ってMorris Chang氏を送る宴会を主催、そこでのハイテク業界および政府関係の指導者など出席者はみんな、"commander in chief"(前TSMC chairmanの同氏のニックネーム)の半導体業界における長年の経験をともにするよう熱心に耳を傾けた旨。Chang氏曰く、最初のトランジスタが1947年に発明され、半導体デバイスの初期の形である旨。1952年にTexas Instrument(TI)およびMotorolaがBell Labsからその特許を数hundred thousandドルで買って、世界の半導体業界の始まりとなっている旨。Chang氏が1955年に半導体事業に入って以降60年。同氏は、Gordon Moore氏はじめ多くのハイテクpioneersと会う機会があり、グローバル半導体業界の飛躍増大を目の当たりにして、台湾の半導体業界のchampionである旨。


≪グローバル雑学王−520≫

名前には馴染みがあるもののその実像、実態の理解には程遠さを感じるところがある中国のアリババについて、

『アマゾンが描く2022年の世界 すべての業界を震撼させる「ベゾスの大戦略」』
 (田中 道昭 著:PHPビジネス新書 387) …2018年1月17日 第1版第4刷発行

より、世界制覇を図る戦略面でのアマゾンとの比較に迫っていく。中国のためにインフラを整備する、よりよい世界にすると一貫した取り組みであり、強烈な個性で引っ張るアマゾンとのコントラストを感じるところである。行き着くところ、中国ブランドが先進国に通用するのか、はたまた中国政府との織り成しはうまくいくのか、我々の見る中国のイメージ、問題が彼方に浮上してくる。


第6章 アジアの王者「アリババの大戦略」と比較する

◆アリババ帝国ついに日本へ
・中国を拠点にアジア、日本、そして欧米へ、世界を席巻しようとしている企業
 →アリババ…阿里巴巴集団:Alibaba Group Holding Limited:本社は浙江省杭州市
  →検索大手、バイドゥ(百度:Baidu)、SNSのテンセント(騰訊:Tencent)と並ぶ中国三強のIT企業のひとつ
・アリババは、創業わずか20年弱、中国で独占的ともいえる地位を築いた「帝国」
 →アリババ創業者、ジャック・マー(Jack Ma:馬雲)は、「米国、中国、欧州、日本に次ぐ世界第5位のアリババ経済圏を構築する」と宣言
・EC事業にとどまることなく、物流事業やリアルショップ、クラウドコンピューティング、金融事業などにも手を広げている
 →QRコード(Quick Responseに由来)を使ったスマホ決済サービス「アリペイ」(Alipay:支付宝)
  →銀行が全国に行き渡っていない中国にあって浸透し切っている
  →すでに日本に上陸。2017年時点で、大手コンビニや百貨店など2万5000店舗以上が加盟。来春には日本人向けサービスを始めると発表
・本章では、日本人がまだ知らないアリババの正体に迫る

◆社会問題をインフラ構築で解決する
・5ファクターメソッドによるアリババの分析
・「道」のすばらしさ
 →背景にある社会的使命感の強さ
 →「社会的問題をインフラ構築で解決する」
  …中小企業の事業支援インフラを構築する複数のECサイト
  …米国の郵政公社、日本通運とも提携、24時間配達可能なスマート物流ネットワーク
  …モバイル決済「アリペイ」による金流(金融)のインフラ構築
・「有言実行」そのものである人生
 →ジャック・マーこそは、チャイニーズドリームの象徴

◆加速するリアルへの進出――アリババの「天」と「地」
・ファクター「天」
 →アマゾンすら上回るペースの「速度の経済」
  →「ユニコーン(unicorn)企業」…創業10年以内、10億ドル以上の時価総額を持つ非上場企業
   →米国・CB Insights発、2017年5月時点、中国は米国に次いで47社
    …うち、アリババグループ内の会社が7社、事業の分離独立や新規事業育成で生まれた企業
    …該グループの物流を担う菜鳥(cainiao)は、5万台以上の宅配ロッカーを設置、「いつでも配達、いつでも受け取れる」
・ファクター「地」
 →リアルワールドへの進出はアマゾンよりもはるかに先行
 →今は中国からアジアへ進出する段階
・中国は今、ネットインフラによる中国経済の変革「大衆創業、万衆創新(大衆の起業、万人の革新)」を奨励
 →大都市の問題をIT技術によって解決するスマートシティ
  →マカオが世界各地に先行する可能性はかなり高い

◆「神様」ジャック・マー――アリババの「将」と「法」
・アリババを創業した「将」、ジャック・マー
 →「中国は、世界はこうあるべきだ」という社会的なミッションを掲げて人を巻き込んでいくミッション・リーダーシップ
 →中国のためにインフラを整備する、よりよい世界にするという一貫した態度
 →ジャック・マー自身が批判されている記事や資料はほとんど見当たらない
  →賛否両論あるアマゾンのベゾスとは対照的
・組織運営を司るファクター「法」
 →アリババのVIEキャピタルストラクチャー
  …変動持分事業体。外資参入が制限されている中国の「抜け穴」をついて海外から成長資金を調達するためのスキーム

◆商流、物流、金流でアマゾンに先行
・アマゾン vs. アリババの比較
・ECサイト事業
 →「自分で仕入れて自分で売る」直販型が主体のアマゾン;マーケットプレイス型主体、中小企業や個人をサポートするビジネスモデルのアリババ
・リアル店舗の展開
 →アリババが質量ともに大きく先行
・物流は、アマゾンが最も強みにしているところ
・金流では、アリババがアマゾンを完全に凌駕
 →スマホ決済サービス「アリペイ」は世界最大級に
・クラウドコンピューティングサービスは、現時点ではアマゾンのAWSが世界No.1
・「ビッグデータxAI」
 →アリペイを含めたスマホでのアプリを通じた位置情報データの取得も進んで、ビッグデータの量や質ではアマゾンを超えていると推測
・政府との関係性
 →トランプと敵対的な関係のベゾス;アリババと中国政府との関係は現時点ではきわめて良好
・一見して明らか、アリババの成長スピードの凄まじさ
 →足元のスピード感はアマゾン以上

◆フィンテックの王者
・専門家筋の常識
 →フィンテック最先進国は中国。その最大のプレイヤーがアリババ
  →中国全土で4.5億人に利用されているスマホ決済サービス、アリペイ
・アリペイの普及は、経営学でいう「リープフロッグ」のため
 →新興国が先進国に遅れて新しい技術を手にしたとき、一足飛びに最新技術の導入が進む
 →アリペイのような第三者決済が爆発的に普及する余地をもたらした
  →低価格帯のスマホが、その動きを加速
  →2014年にオフライン決済と店舗決済が始まると、アリペイは一気に普及
・アリババにとっては、アプリは顧客にまつわるビッグデータを収集するためのチャネルでも
 →ビッグデータから個々人の「社会的信用度」を算出するサービス、「芝麻信用」
  →個人の信用が可視化される
・アリババが急いでいるブロックチェーンの取り組み
 →仮想通貨ビットコインに使われているブロックチェーン
  …主な特徴として、同一のデータを分散して保持、共有すること、そしてチェーンのように過去のデータの後に新たなデータを重ねて記録できること
  →食品の流通経路を追跡し、食品偽装を食い止められる
 →今のままの「中国ブランド」の信用力では先進国に受け入れられるのは難しいという危機意識が見え隠れ

◆アリババが予見する新リテールの到来
・アリババの「農村タオバオ(taobao:淘宝)」
 …ネット普及率の低い農村部に、買い手と売り手両方を対象にしたサービスを提供する拠点を設けるもの
 →「少子高齢化」大国となる中国における地域活性化事業ともいえる取り組み
 →Eコマース配送拠点、地元のコンビニ、さらには最近では試着室まで具備
 →すでに中国の地方創生には欠くことのできないインフラに
・アリババが出資したベンチャー企業「盒馬(フーマー)」が展開するスーパー「盒馬鮮生」
 →現在、北京と上海を中心に中国で13店舗
 →顧客が注文するとスタッフが店頭から商品をピックアップ、5km圏内には30分以内で配送
・ユーザー・エクスペリエンスの充実ぶりは、日本のスーパー以上、アマゾン以上
 →日本以上にネット通販が浸透、作り込みも実に細かい商品ページ
・無人コンビニ「TAOCAFE」の模擬店を披露
・ジャック・マーが2017年9月、明らかにした「新製造業」(ニューマニュファクチャー)構想
 →製造業とインターネット双方を有機的に融合

◆「世界中どこでも72時間以内に配達」目指す
・アリババグループの物流事業を担う会社、「菜鳥」(Cainiao)
・現在のジャック・マーのビジョン
 →「5年以内に中国の国内はどこでも24時間以内、世界中どこでも72時間以内に配達できる」物流ネットワークの構築
 →日本通運、米国の郵政公社など、国外の事業者との連携を着々と推進

◆世界初のスマートシティを実現するのは「マカオxアリババ」か
・アリババはマカオ政府とスマートシティ構想のための戦略提携締結
 →機動力でマカオを世界一のカジノ都市に育て上げたマカオ政府のスピード経営
・通貨、納税、医療、教育、観光、各種インフラに至るまで、ブロックチェーンとスマホが融合されたスマートシティがマカオで創造される可能性は大

◆アリババの世界進出を阻むものは
・コーポレートガバナンスの問題
 →上場企業と非上場企業がグループに混在
・中国ブランドが先進国に通用するのか、という問題も未知数。加えて、偽造商品の問題も
・中国のアリババから世界のアリババへの飛躍
 →こうした悪評を改善して安全性を高め、顧客たちと信頼関係を築く必要
・アリババが担ってきた事業は皮肉にも国有企業が担うべきとされる基幹産業にまで育ってきている
 →国有化リスクや中国政府からのコントロールが強まるというリスク
 →中国政府への忠誠心を明らかにしていくことは、先進国への本格進出の大きな障害になってしまう……

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