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半導体販売高予測$400 billion台が固まる中、M&Aの注目すべき動き

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IC Insightsに続き、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)そしてIHS Markitより本年の世界半導体販売高予測があらわされて、それぞれの見方で$438.5 billion、$408.6 billionそして$428.9 billionと、約20%増の大幅な伸び、$400 billionの大台越えが一致して固まってきている。メモリの高価格が引っ張って、第三四半期からSamsungがインテルを本年累計で上回ったというデータも見られている。そんな中、今後の市場の変化、方向性の備えて事業の体力そして体質の強化を図っていくM&Aに、注目すべき動きがいくつかあらわれている。

≪史上最高の先への備え≫

本年の世界半導体販売高について、先に発表されたIC Insightsのデータを再掲すると次の通りである。

◇Samsung Forecast to Top Intel as the #1 Semiconductor Supplier in 2017 -Nvidia expected to make its first appearance in the top 10 ranking this year. (11月20日付け IC Insights)
 →IC InsightsのNovember Update to the 2017 McClean Reportより。

【世界半導体ベンダー・トップ10(ファウンドリー除く)の2017年予測】

2017年販売高およびシェア(予測)
2016年販売高
1  Samsung
$65.6B
15.0%
$44.3B
2  Intel
$61.0B
13.9%
$57.0B
3  SK Hynix
$26.2B
6.0%
$14.9B
4  Micron
$23.4B
5.3%
$13.5B
5  Broadcom(*)
$17.6B
4.0%
$15.2B
6  Qualcomm(*)
$17.1B
3.9%
$15.4B
7  TI
$13.9B
3.2%
$12.5B
8  東芝
$13.5B
3.1%
$10.9B
9  Nvidia(*)
$9.2B
2.1%
10  NXP
$9.2B
2.1%
$9.5B
トップ10計
$256.7B
58.5%
$202.1B
半導体市場
$438.5B
100%
$365.6B

 (注) * ファブレス
[source: IC Insights]

春季、秋季と発表されてきているWorld Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのグローバル半導体市場予測であるが、このほど20.6%増の$408.6 billionと本年についてあらわされている。この8月時点では$413.5 billionで下方修正されているが、"信じがたいメモリ価格上昇"が影響しているものと思われる。

◇WSTS trims 2017, boosts 2018 chip market forecasts (11月28日付け EE News Europe)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationが、2017年のグローバル半導体市場予測についてこの8月時点での$413.5 billionからこのほど$409 billionに下方修正の旨。

◇世界の半導体市場、2017年は20%増、初の4000億ドル-WSTS調べ (11月28日付け 日経 電子版)
→半導体の業界団体、世界半導体市場統計(WSTS)が28日、2017年の世界の半導体市場が2016年に比べて20.6%増の$408.6 billion(約45兆3600億円)になりそうだと発表、6月の予測値から$20 billion上方修正、初めて$400 billionの大台を突破した旨。スマートフォンの大容量化やデータセンター需要の高まりで、好調なメモリ市況が市場を押し上げた旨。伸び率はリーマン・ショックでの落ち込みから急回復した2010年以来の高い水準となった旨。WSTSによると2018年も市場の拡大は続き、2017年比で7.0%増の$437.2 billionを見込む旨。

◇Internet of things promises sustained chip market surge-But oversupply could sink prices while demand grows-Chip market continues growth with cars, IoT (11月29日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) programが2017年半導体販売高を$408.6 billionと評価算定、2016年から20.6%増、6月時点の予測を約$30 billion上回る旨。車載electronicsおよびinternet of things(IoT)などの技術領域がこの伸びを引っ張っている旨。

IHS Markitからは、第三四半期のデータそして年間予測が示されているが、第三四半期のメモリの増勢がSamsungをベンダーランキングの首位に押し上げたという経緯を読み取ることができる。

◇Semiconductor industry continues upward trend toward record year (11月30日付け ELECTROIQ)
→IHS Markit発。2017年第三四半期の半導体業界はグローバル売上げ総計が$113.9 billionで引き続き増大の流れ、前四半期の$101.7 billionから12%増。
・第三四半期のトップ5ベンダー、下記参照。
  …首位がSamsung。前四半期の首位はインテル。
 ⇒http://electroiq.com/wp-content/uploads/2017/11/top_5_semiconductor.jpg

◇Semiconductor market grew 12% in Q3-IHS: Q3 chip sales rose 12% from Q2 to $113.9B (12月1日付け Electronics Weekly (UK))
→IHS Markitは、2017年の半導体売上げが21%増の$428.9 billionと半導体業界史上最高になると見ている旨。

半導体の活況は産業界に大きく及んで、機械業界について次の通りである。
いつかはやってくる変化局面への警戒感もあらわされている。

◇機械業界大忙し、半導体活況、ここにも波及、クリーンロボやボールねじ、能力増強へ (12月1日付け 日経産業)
→データセンターやスマートフォンの需要で世界の半導体市場が盛りあがり、機械業界も多忙の旨。川崎重工業のクリーンルーム用ロボット、日本精工の半導体製造装置位置決めボールねじなど、恩恵は多岐にわたる。ただ、半導体が供給過剰になる局面への備えが欠かせない旨。

年の瀬を迎えこのような市場状況の中、M&Aについていつくか注目すべき動きである。まずは、史上最大規模のハイテクM&AといわれるBroadcomがより大きなQualcommに仕掛けた1件であるが、入札額が低いとされて踏み上げに動こうとしている。

◇Broadcom Considering Sweetened Qualcomm Bid: Sources (11月22日付け U.S. News & World Report)
→本件事情通発。半導体メーカー、Broadcom Ltdが、Qualcommの大株主数人との話し合いを経て、自社株式をさらに増やしてライバルのQualcomm社買収提示の増額を検討している旨。

◇Broadcom Mulls Bigger Bid for Qualcomm - Report-Broadcom may up Qualcomm offer (11月23日付け Light Reading)
→Broadcomが、Qualcomm買収提示の増額を検討しており、自社株式をさらに増やして$100 billion以上の前回入札額を上方修正の可能性の旨。
Qualcommの株主は$80/株以下の提示では喜ばないとされている旨。

次に、昨年5月に発表、ともに半導体実装&テストの世界最大手である台湾のASEおよびSPILの経営統合の仕掛かり懸案であるが、最後の関門となっていた中国の独占禁止当局の承認が出て、来年5月にも実現する見通しになっている。

◇ASE-SPIL Merger Wins Clearance-The combined entities create an OSAT powerhouse. -ASE-SPIL merger gets final antitrust approval (11月24日付け Semiconductor Engineering)

◇ASE, SPIL to set up joint holding company in May 2018-ASE and SPIL plan to establish a joint holding company (11月27日付け DIGITIMES)
→ASEおよびSiliconware Precision Industries(SPIL)の共同ステートメント発。台湾のIC実装&テストspecialists、ASEおよびSPILが、2018年2月に臨時株主総会を召集、早くて来る5月にjoint holding companyを設立、中国が11月24日に両社合併提案に青信号を出して、必要なregulatory承認すべてを得た旨。台湾・Fair Trade Commissionが2016年11月16日に、そして米国・Federal Trade Commissionが2017年5月15日にそれぞれ該合併事案への承認を出した後の、中国・Anti-Monopoly Bureau of the Ministry of Commerceからの承認である旨。両社は合併計画を2016年5月に発表の旨。

◇台湾半導体統合を承認、中国当局、ASEとSPIL (11月28日付け 日経)
→半導体封止・検査の世界最大手、ASE(日月光半導体製造)と同業のSPILの経営統合が、2018年5月にも実現する見通しになった旨。24日に独占禁止法に基づく審査を行っていた中国商務省が統合を承認。ただSPILは同時に中国半導体大手に現地子会社の株式の一部を売却すると発表。審査通過の背後に取引があったとの観測が出ている旨。

Siemensは、今年始めのMentor Graphics買収を補完する形でmachine learningツールの強化を図る買収を行っている。

◇Siemens Buys into Machine Learning Tools That Refine Chips-Siemens acquires supplier of machine learning tools (11月27日付け Electronic Design)
→Siemensが、ICsの複雑な設計を洗練するためのmachine learning-ベースソフトウェアtoolsを供給するSolido Design Automation(Saskatoon, Saskatchewan州、カナダ)を買収、該買収は、今年のSiemensによるMentor Graphicsの$4.5 billion買収を補完するものの旨。

史上最高の先への備えを図る様々な動きが続いていく様相がある。


≪市場実態PickUp≫

【AI半導体】

人工知能(AI)技術を搭載した半導体について、インテルとNvidiaの間のdeep-learning性能効率を巡るしのぎ合いが見られる一方、ルネサスエレクトロニクスはさらに先駆けて推論まで行って高精度な異常検知が可能になるアプローチを訴求している。

◇ルネサス、AI半導体を米に先駆け投入、高精度な異常検知可能に (11月27日付け 日刊工業)
→ルネサスエレクトロニクスは月内に、人工知能(AI)技術を搭載した半導体の提供を始める旨。AI半導体を組み込んだユニットを生産ラインに設置すると、高精度な異常検知ができるようになる旨。チップレベルで低コストにAIによる推論処理を行う半導体を競合の米メーカーに先駆けて投入し、スマートファクトリーにおける組み込み用半導体の覇権獲得を狙う旨。AI技術を応用した半導体は、米インテルや米エヌビディアなども開発しているが、ただこれらは学習のための演算処理に特化しており、学習モデルを使ったデータの推論までは行っていない旨。

◇Intel Touts Auto AI Chip's Efficiency-Intel talks up its auto AI chip's efficiency (11月30日付け EE Times)
→“AutoMobility LA” auto show(2017年11月27-30日:LA Convention Center)にて、IntelのCEO、Brian Krzanich氏講演。自動運転が将来の車のすべての面を如何に変えるかという予測満載、また、大手自動運転車半導体メーカーとして、Nvidiaの自動運転向けに設計されたDrive PX Xavier SoCと比較したMobileye(現在Intel傘下)開発のEyeQ 5半導体の効率についてこの機会に記録を正している旨。最近完了したMobileye買収に関してKrzanich氏は、Intelは"競合(Nvidiaのこと)より2倍以上のdeep-learning性能効率を届けられる"と強調の旨。

【自社開発切り替え】

アップルが、こんどはpower management半導体について自社設計開発に切り替える動きが表面化してきている。これまで英国のDialog Semiconductorが供給しており、グラフィックスプロセッサ、モデムに続いてアップル向けサプライチェーンに激震が走る様相が見られている。

◇TSMC、アップルと関係強化、電源管理半導体を受託 (12月1日付け 日経)
→半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が米アップルとのビジネスを拡大する旨。アップルはスマートフォン、iPhoneの省電力性能を左右する半導体、電源管理ICについて、2018年にも一部を自社開発に切り替えるもよう。TSMCは開発支援や生産を担うことで、大口顧客のアップルとの関係を強化する旨。iPhoneの電源管理ICはこれまで主に英半導体大手、ダイアログ・セミコンダクターが担ってきた旨。

◇Apple may make its own iPhone power management chips in 2018-The news from Nikkei hit Apple supplier Dialog Semiconductor hard-Report: Apple could move power management chip production in-house (11月30日付け CNET)
→Nikkei発。Appleが、サプライヤ、Dialog Semiconductorとの連携から離れて2018年にも自前のpower management半導体を生産し始める可能性の旨。Dialogがこの噂に反応したステートメントを出し、「我々の大手顧客の設計サイクルへのvisibility水準は変わらないままであり、ビジネス関係性は正常な成り行きに沿っている」旨。

◇Dialog shares tank on report Apple to design own power chips (11月30日付け Reuters)

◇Apple's Plans Could Doom Dialog Semi (12月 1日付け EE Times)

【Samsungの第2世代10-nm】

高価格が引っ張るメモリの活況に乗って本年の半導体サプライヤランキングで長年首位固定のインテルを引きずり下ろす勢いのSamsungが、ロジックでもさらに先を走るべく同社第2世代10-nmプロセスSoCデバイスの量産を開始している。

◇Samsung begins 2nd-gen 10-nanometer production-Samsung Electronics has begun mass production of an SoC using its second-generation 10-nanometer process. (11月29日付け ZDNet)

◇Samsung starts mass production of new system on chip based on 10 nm process-Samsung makes SoC with second-gen 10nm process (11月29日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、同社第2世代10-nmプロセスsystem-on-a-chip(SoC)デバイスの量産を開始、該新SoCはこれまでのデバイスより15%エネルギー効率が良く、2018年の間に顧客製品で出てくる旨。

◇Samsung starts mass production of 10LPP process (11月30日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが最近発表、同社ファウンドリー事業が同社第2世代10-nm FinFETプロセス技術, 10LPP(Low Power Plus)で作られたsystem-on-chip(SoC)製品の量産を開始の旨。Samsungは、該10LPPプロセス技術により同社第1世代10-nmプロセス技術、10LPE(Low Power Early)に比べて最大10%高い性能、あるいは15%低い電力消費が可能になる旨。

【中国半導体市場関連】

中国半導体市場とまとめてもグローバルにいろいろな向きの動きが見られているが、今回まずは、南京市での、メモリ半導体工場建設、そして台湾からのASIC設計支援進出が次の通りである。

◇Tsinghua Unigroup secures financial support to facilitate memory chip plant (11月27日付け DIGITIMES)
→Tsinghua Unigroupが、Bank of Nanjingとの戦略的協力合意に調印、該半導体メーカーがNanjing(江蘇省南京市)に建設する$30 billionメモリ半導体工場の建設kickoffを促進する旨。該工場は、展開第一段階で10万枚の月次ウェーハcapacityを目指しており、DRAMおよび3D-NANDフラッシュ半導体の生産に用いる旨。第二段階の拡張プロジェクトが完了すると、capacityは倍増の20万枚となる旨。

◇Global Unichip sees rapid growth in custom chips-Global Unichip aims for ASIC market in China (11月27日付け The Taipei Times (Taiwan))
→Global Unichip(台湾)が、Nanjing(南京), Chinaにオフィスを開設、5年以内に従業員200人とする計画の旨。該Nanjingオフィスは、かなりのサービスを必要とするapplication-specific integrated circuits(ASICs), customized半導体の設計に特化する旨。

次に、台湾のUMCがアモイ市にもち出荷をすでに開始しているfabについて、台湾政府がさらなる投資の認可を行っている。

◇UMC Xiamen fab approved to gain US$600 million in capital (11月28日付け DIGITIMES)
→台湾・Investment Commissionが、UMCによる中国南部、Xiamen(福建省厦門市)の同社の新しい12-インチウェーハfabへの総額$600 million間接注入の申請を承認の旨。UMCの最近の投資家会合にて、同社のpresident、Jason Wang氏は、該新Xiamen fab、Fab 12Xが28-nmウェーハの出荷を開始しており、台湾南部、Tainan(台南)のFab 12Aと半導体性能が同じ品質に達していると示している旨。

【東芝メモリ関連】

東芝メモリのまずは製品発表について、最大2テラバイトのデータを蓄えられるclient SSDs、そして最大2テラビットの3D NANDフラッシュメモリデバイスのサンプルである。

◇Toshiba sampling 2Tb Flash chips-Toshiba Memory debuts flash-based SSDs (11月29日付け Electronics Weekly (UK))
→東芝メモリが、最大2 terabytesのデータを蓄えられるclient solid-state drives(SSDs)の新しいXG5-Pラインにおいて4モデルを投入、また、BiCS FLASH 3DおよびJEDECのUniversal Flash Storage(UFS)仕様version 2.1を用い、32 gigabytes, 64 GB, 128 GBおよび256 GBの容量の3D NANDフラッシュメモリデバイスについてサンプル配布している旨。

◇Toshiba Memory unveils 2TB NVMe SSD (11月30日付け DIGITIMES)

一方、東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の間の懸案の係争については、東芝メモリの売却差し止めの求めに対する国際仲裁裁判所の中間判断が来る3月下旬までに出るという見通しになっている。

◇国際仲裁裁、3月下旬までに中間判断、東芝・WD係争で (11月30日付け 日経)
→半導体メモリ事業の売却を妨害しているとして、東芝が協業先の米ウエスタンデジタル(WD)を相手取り、東京地裁に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、同地裁で開かれた旨。WDは意見陳述で、今年5月に売却の差し止めを求めて仲裁を申し立てた国際商業会議所(ICC)の国際仲裁裁判所の中間段階の判断が2018年3月22日までに出るとの見通しを示した旨。東芝は2017年9月に同事業を米投資ファンドのベインキャピタルなどの日米韓連合に売却すると決定。2018年3月末までの売却完了を目指している旨。WDと東芝はメモリ生産で協業しており、和解に向けた協議も進めており、訴訟を続けながら和解を探る「両にらみ」の状況が続いている旨。


≪グローバル雑学王−491≫

第二次世界大戦とは何か、その大戦後の国際法違反によって成立した体制が、現在に至るまで日本では続いている、と歴史や大局観を含めたリーガルマインドの重みについて、

『国際法で読み解く戦後史の真実−文明の近代、野蛮な現代』
 (倉山 満 著:PHP新書 1116) …2017年10月27日 第1版第1刷

より迫っていく前半である。いまだに歴史問題で苦しめられている我が国であるが、国際法、そして文書学(=アーカイブ)の重要性を説き続けている著者のスタンスに触れている。


第2章 戦後日本の「諸問題の根源」を国際法で解く

□日本はアメリカに宣戦布告する必要はなかった
・第二次世界大戦とは何か
 →アメリカのローズベルトと、ソ連のスターリンと、ドイツのヒトラーが、世界の秩序を破壊したのが、第二次世界大戦
・日本がアメリカに宣戦布告したのは、国際法違反でも何でもない
 →それ以前にアメリカは、アメリカ国内の日本資産を凍結したり、数々の禁輸措置を行なった
 →日本にとって死活的な問題
・日本はアメリカに宣戦せずに、オランダ領インドシナ(蘭印)を占領、ここから石油はじめ資源を確保すればよかった
 →日本は、英米に宣戦布告するという最悪手を選んでしまった
  →日本は対米英(蘭)戦に突入、そして敗北を喫する

□当然、アメリカの無差別通商破壊は国際法違反
・日本の常識は世界の非常識。では、世界の常識とは?
 →(1)「疑わしきは自国に有利に」
 →(2)「本当に悪いことをしたらなおさら自己正当化せよ」
 →(3)「やってもいないことを謝るな」
・日本は(1)、(2)をやらない。(3)はできない
 →(1)、(2)は外交のルールであり、肝。国際法というのは、この2つをやるときに正当化するための武器
・「確立された国際法規」としての国際法で見た日米戦争
 →アメリカ軍が、日本に勝つために採った2大戦術
 →I 通商破壊
    …陸に物資を届けさせないよう船舶などを撃沈すること
 →民間船への攻撃は当然、国際法違反に
 →アメリカが日本に対して行ったのは無差別通商破壊といえるもの

□二発の原爆投下に至っては二重の国際法違反
 →II 無差別都市空襲
  →アメリカが日本の本土で行なった空襲は、焼夷弾を積極的に投下
   …軍需施設を狙ってのものではない
  →広島と長崎に落とされた二発の原爆
   …無差別都市空襲自体が国際法違反なのに、非人道的兵器を使用するという二重の国際法違反
・本書が述べているような国際法の教育は、戦中も含めて行われていない
 →国際法の知識がないことが、日本の近代史学においても大きな悪影響を及ぼしている
・真面目に国際法を持ち込んで学問的な議論をすると、日本を悪い国とは言えなくなる
 →日本のアカデミズムは国際法を排除している

□「日本は無条件降伏した」がいかにデマかを検証する
・連合軍が1945年7月26日に発したポツダム宣言
 →無条件降伏を迫られたのは「全日本国軍隊」であって、日本国ではない
 →戦勝国も拘束するはずだが、戦勝国側のルール破りを拘束するための手段が敗戦国側にない
  …やりたい放題が可能

□国際法違反によって成立した体制が、現在まで続いている
・憲法の押しつけも含むアメリカの占領政策
 →疑う余地もなく国際法違反
  …日本国内で正しく国際法を教えなかった(教えられなかった)
・国際法違反によって成立した体制が、現在に至るまで日本では続いている
 →これが「戦後レジーム」
・教科書では、占領軍は日本を民主化したと教えている
 →民主化を弱体化と置き換えると意味が通じるものがたくさん
・日本には、五箇条の御誓文を紹介するまでもなく、日本独自の民主主義の伝統があった

□わが国の真の「終戦記念日」はいつか?
・国際法の原則、もう少し厳密な区別
 →終戦=戦争(含む事変)そのものの終結
 →休戦=戦闘の終結。全面的な終結を前提
 →停戦=戦闘の終結。部分的(一時的)な終結を前提
・わが国の終戦記念日はいつか
 →日本国の公式見解は、昭和27年(1952年)4月28日
  …前年9月8日に吉田茂が調印したサンフランシスコ平和条約が発行する日
 →よくいわれる昭和20年(1945年)8月15日
  …ポツダム宣言を受諾したことを天皇陛下が国民に「玉音放送」でお伝えになった日
  →満洲や樺太、千島列島ではソ連軍が侵攻、過酷な戦いに
  →「敗戦記念日」であって、終戦記念日ではない
 →次に、昭和20年9月2日
  …休戦協定(停戦協定)の調印式をミズーリ号で行なった日
  →ソ連は「わが国は調印していない」という立場
  →ソ連のような日本と交戦している国以外の連合国は、この日を終戦ととらえる傾向
・占領行政は平和な期間の出来事なのか
 →あくまで休戦期間中なので、戦時。占領行政は戦争行為
・戦争とは何か
 →「法的状態説」は「宣戦布告で始まり、講和条約締結で終了する、主権国家間の儀式」と定義

□「紙切れ」よりも「自力救済」のほうが上
・国際法とはどんなものか、理解に向けた挿話
 →1945年8月9日、ソ連が一方的に日ソ中立条約を破棄、満洲・内蒙古を侵略
 →このとき、内蒙古を守る駐蒙軍の司令官だった根本博中将
・根本中将率いる駐蒙軍は、断固戦い、敵の侵入を阻止
 →8月20日までに邦人を移動させ終えた後、21日にようやく駐蒙軍に撤退命令が出された
・国際法においては、「紙切れ」よりも「自力救済」のほうが上
 →国際法は「強制法」ではなく「合意法」ゆえ

□歴史や大局観を含めたリーガルマインドを
・国際法の理解
 →歴史や大局観を含めたリーガルマインドが要求されることに
 →事例を通じて、強制法と合意法の違いや自力救済をどう認めているかを考えてみること
・国内法の成文法の理解にとどまったリーガルマインド
 →「法」という大きな氷山の一角を観察するようなもの
・国際法の理解が求めるリーガルマインド
 →氷山をたたえる海のような広がり

□「対米英開戦の詔書」の作成者は誰だ?
・いまだに歴史問題で苦しめられている我が国
 →(著者は、)国際法の重要性を説き続けてきた
・国際法と同時に使うべき必須の武器、文書学(=アーカイブ)
 →重要な事例:「昭和16年12月8日の詔書」という文書
  →詔書…天皇の名前で出される「国務」に関する最も重要な命令書
  →対米英開戦の責任が誰にあるのか
  →この詔書の作成を行なったのは「内閣」が正解
・文書名をつけて整理をすること
 →アーカイブ=文書管理
 →科学としての再現性があり、話をするための共通のルールにできる

□「昭和天皇独白録」の内容を論じる前に「真贋」を語れ
・どのようにしてその文書が、いまに伝わったかという「伝来の素因」から見た『昭和天皇独白録』(文藝春秋、1991年)
 →メモをお持ちではなかった昭和天皇の御記憶を5名が聞き、内記部長が記した5回にわたる記録
 →うち3回は、昭和天皇は高熱でベッドの中にいらっしゃる状態
・日本近代史においては、内容(コンテンツ)の議論は汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう:蔵書が非常に多いこと)
 →様式(フォーマット)の議論は砂浜の指輪のように探さねばならない

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