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熱気高まる一途、人工知能(AI)の半導体関連の取り組み

ここ数ヶ月、人工知能(artificial intelligence:AI)について半導体関連各社、そして各国・地域の挙げた取り組みに注目させられている。半導体設計の最先端を競い披露する最近のHot Chips(2017年8月20-22日:Cupertino, California)にて、誰もがAIの何かをやっているのは明らかであったと全体の印象が表されている。このところ連日グローバルに見られるAI関連の技術および製品の打ち上げとなっており、現下の半導体市場の熱い活況を支えていく感じ方があるとともに期待するところである。

≪グローバルに相次ぐ打ち上げ≫

Hot ChipsでのAIの余韻が以下の通り続いている。

◇What's New At Hot Chips-Neuromorphic computing and machine learning dominate the leading edge of chip design this year.-Hot Chips conference looks at AI, machine learning (8月25日付け Semiconductor Engineering)
→Hot Chipsイベント(2017年8月20-22日:Cupertino, California)にて、Advanced Micro Devices(AMD), ARM, Cisco Systems, Google, IBM, Intel, Qualcommなどのメーカーから科学技術者たちが、artificial intelligence(AI), machine learningおよびdeep learning応用に向けてデータセンターに入る新しい半導体についてプレゼンの旨。「deep learningはcomputersを如何に設計するかを変えてきている」と、GoogleのSenior Fellow、Jeff Dean氏。

◇Brain Research Reimagines AI-Trying to crack the brain's efficient codes (8月28日付け EE Times)
→先週のHot Chipsイベント(2017年8月20-22日:Cupertino, California)にて、神経科学とelectronicsの交差領域に取り組むserial entrepreneur、Phillip Alvelda氏基調講演。脳が如何に働いているかを理解する根本的な神秘に研究者は直面しているが、その取り組みはcomputing並びにヘルスケアでのブレイクスルーを約束する旨。

半導体業界最大手、インテルからは、1年前に買収したMovidiusの技術を展開、AIにフォーカスしたvision processing unit(VPU)、「Movidius Myriad X」が以下の通り打ち上げられている。

◇Movidius Beefs up HW Acceleration in AI Chip (8月28日付け EE Times)
→Intelの子会社、Movidiusが月曜28日、Myriad X vision processing unitを打ち上げ、Myriad 2に18ヶ月経って続く形の旨。

◇Intel unveils AI-focused Movidius VPU chip-The Myriad X VPU comes with improved processing capabilities for edge devices such as drones, VR headsets, smart cameras, wearables, and robots. (8月28日付け ZDNet)

◇Intel shows off the Movidius Myriad X, a computer vision chip with deep learning baked-in-Intel debuts next-gen Movidius VPU chip for AI (8月29日付け TechCrunch)
→Intelが、drones, robotics, smart cameras, virtual reality(VR)headsetsおよびwearable electronics用にMovidius Myriad X vision processing unit(VPU)を投入、該VPU半導体には、artificial intelligence(AI)およびdeep-learning応用に向けたNeural Compute Engineがある旨。

operating-system(OS)などソフトウェア関連のAIに向けた取り組み、考え方が表わされている。

◇AI OS ‘Orchestrates’ Cognition-Conductor cues scores of engines to pinpoint data (8月28日付け EE Times)
→artificial-intelligence(AI) operating-system(OS)プロバイダー、Veritone社(Costa Mesa, CA)が、プロセスを合理化、精度を高めるべくmulti-engine “orchestration”をAIに適用して、現実世界のデータ認識の無駄骨の問題を攻略している旨。

◇Tools To Design CNNs-If neural networking architectures are simpler than a CPU, why is it so difficult to create them?-CNN design tools start to emerge (8月28日付け Semiconductor Engineering)
→convolutional neural network(CNN:畳み込みニューラルネット)半導体設計に向けたソフトウェアtoolsが、いろいろな筋から現れ始めている旨。「アーキテクチャー遂行の点では、CPUより簡単」と、Ansysの半導体事業部門、chief technologist、Norman Chang氏。

台湾では、AI開発5ヶ年計画が推進されている。

◇Taiwan approves 5-year NT$16 billion AI development plan-Taiwan proceeds with $527M, 5-year AI program (8月29日付け DIGITIMES)
→台湾が、artificial-intelligence(AI)応用を展開する5年、$527 millionプログラムを推進、Ministry of Science and Technology(MOST)が該プログラムを監督、高性能computing, deep learning, ビッグデータanalyticsなどの領域での改善を生み出す期待の旨。

検索エンジンの中国の百度(Baidu)出身者が起こした、米国および中国で活動するAI半導体のstartupが紹介されている。

◇Ex-Baidu Scientist Blazes AI Shortcut-Native support for 3D tensor operation-Scientist founds an AI chip startup (8月31日付け EE Times)
→以前Baiduでdistinguished scientistであったRen Wu氏が起こした新しいAI半導体会社、NovuMind(Santa Clara, Calif.)について。2年前に設立、米国で35人、北京で15人の計50人のNovuMindは、deep learningへの最小のアプローチなるものをテストしている旨。

中国でのAIイベントにおいても、AI SoCsを展開するstartupの意気込みがプレゼンされている。

◇China startup Cambricon reveals ambitious AI chip shipment plan (8月31日付け DIGITIMES)
→2017 Global Artificial Intelligence Innovation Summit(8月30日:上海)の場にて、中国のAI(artificial intelligence)半導体startup、Cambricon TechnologiesのCEO、Chen Tianshi氏。同社は、向こう3年でsmart端末機器およびサーバに必要となる数億個のAI SoCsを展開予定の旨。

我が国では、ソニーとパナソニックからAIスピーカー発売が次の通り発表されている。

◇ソニーもAIスピーカー、頭脳はグーグルに依存 (8月31日付け 日経 電子版)
→ソニーとパナソニックは会話型の人工知能(AI)を搭載した家庭用スピーカーを、今秋から冬にかけてそれぞれ発売する旨。中核技術となるAIには米グーグルの技術を採用。AIスピーカーの世界的な需要拡大をにらみ、AIを自社で開発するコストを省いて市場参入を急ぐ旨。

米国でのソフトウェアエンジニア向けイベントにて、FacebookによるスマートフォンでのAIならではのvisual効果が披露されている。

◇Facebook Shows Smartphone AI, DNA Storage-Neural nets ride OpenGL on smartphones (9月1日付け EE Times)
→ソフトウェアエンジニア向けsocial networkイベント、@Scale Conference(2017年8月31日:San Jose Convention Center)にて。
Facebookが、OpenGLを用いてmachine learningで作り出されるvisual効果をスマートフォンに運用の旨。

相次ぐグローバルな打ち上げに翻弄される感があるが、折に触れ立ち止まって精一杯の理解に努める必要を感じている。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

東芝がWD連合と大筋合意、月内にも契約の動きが見られて、本当に大詰めの空気が支配した以下の流れ、経緯である。

◇Western Digital group finalizing $17 billion deal for Toshiba chip unit: source-Western Digital reportedly nears deal for Toshiba chip business (8月27日付け Reuters)
→1人の本件事情通発。Western Digitalが率いる投資家グループが、東芝の$17.4 billion半導体事業買収取引をほぼ完成させている旨。関係するすべてが木曜31日、該合意を発表する期待の旨。

◇Western Digital group finalizing $17 billion deal for Toshiba chip unit: source (8月28日付け Reuters)

◇東芝買収が白紙の危機…ハイニックス、「NAND強者」の夢は断たれる? (8月28日付け 韓国・中央日報)
→SKハイニックスが米半導体会社、ウエスタンデジタル(WD)に東芝メモリを奪われる可能性が高まった旨。朝日新聞は、東芝が半導体子会社の東芝メモリを当初の優先交渉対象だった「日韓米連合」でなく、WDが含まれた「新日米連合」に売却することで合意したと27日、伝えた旨。

◇東芝とWDトップ会談、半導体売却で詰めの協議 (8月28日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業の売却を巡って、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が28日までに来日し、東芝の綱川智社長とトップ会談することがわかった旨。東芝はWD陣営への売却に向けて出資比率や経営への関与などで妥協点を探っている旨。月内の契約締結を目指し、詰めの交渉に入る旨。

◇東芝、メモリ売却でWDと大筋合意 (8月28日付け 日刊工業)
→東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡り、米ウエスタンデジタル(WD)のスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が27日までに来日し、東芝の綱川智社長と出資条件などについて協議した旨。WDは転換社債で参加し、普通株に転換しても日本勢が議決権の過半を保持することで大筋合意した旨。WDや産業革新機構、日本政策投資銀行、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などで構成する「新日米連合」による買収の正式提案を受け、8月末の契約締結を目指す旨。

◇東芝・WD、歩み寄り、議決権の扱い焦点 (8月29日付け 日経)
→東芝が半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却を巡って米ウエスタンデジタル(WD)と28日夜にトップ会談を開き、月内決着へ歩み寄った旨。交渉が進めば、総額2兆円前後の売却が固まり、売却方針を巡り争っていた法的措置もそれぞれ取り下げる方向の旨。残る交渉テーマであるWDの将来の議決権について協議を進め、早期の最終契約締結を目指す旨。

◇東芝・WD、歩み寄り―独禁法審査、中国がカギ (8月29日付け 日経)
→東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の協議が最終局面を迎えるなか、WDの将来の議決権が交渉テーマとして残るのは、中国の独占禁止法当局がこの点を厳しく審査することが予想されるための旨。当局の方針を無視して売却を強行すれば審査期間が長期化するだけでなく最悪の場合は売却禁止を通告されるリスクもある旨。中国はメモリの主要市場のため、両社は事業への影響を最小限にとどめる方策を探る旨。

上にもある議決権の扱い、そして契約締結の作業の大変さから、9月にずれ込む気配が濃厚になった以下の内容である。

◇東芝半導体、WDが1500億円拠出、大筋合意へ詰め (8月29日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業の売却を巡り、米ウエスタンデジタル(WD)が約2兆円の買収額のうち1500億円前後を拠出することが分かった旨。東芝の綱川智社長とWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が都内で会談し、月内の大筋合意に向けて詰めの協議を進める方針を確認した旨。トップ交渉でWDの出資形態など残る課題の妥協点を探る旨。・・・今後の経営体制や新型メモリ増産の投資分担などについても、両社は交渉を続けているが、契約書作成などの作業は膨大で、当初8月中を目指していた最終契約の締結は9月以降にずれ込む可能性も出てきた旨。

◇東芝、WDに独占交渉権、半導体売却へ9月にも契約 (8月30日付け 日経 電子版)
→東芝は29日、半導体メモリ事業の売却を巡り協業先の米ウエスタンデジタル(WD)の陣営に独占交渉権を与える方向で調整に入った旨。31日に開く取締役会で決議を目指す旨。売却額は約2兆円。WDの出資方法など残る条件を今後詰めたうえで、9月中に最終契約を結ぶ考え。半年にわたり迷走した売却交渉が合意できれば東芝は経営再建に向けて前進する旨。

いったん優先交渉権を得ていた「日米韓連合」の巻き返しが、土壇場になって見られている。

◇東芝、31日に取締役会、WD連合との独占交渉確認 (8月31日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ子会社、「東芝メモリ」の売却交渉が大詰めを迎えた旨。東芝は31日の取締役会で、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)陣営と独占的な交渉を進める方針を確認する見通し。一方、売却交渉が行き詰まっていた「日米韓連合」は、中心メンバーの米投資ファンド、ベインキャピタルなどが新たな買収案を東芝に提示し、巻き返しに動いている旨。

◇Apple Is in Talks With Bain for Toshiba Chips Business (8月30日付け Bloomberg Technology)

◇Bain adds Apple for last-minute $18 billion Toshiba chip unit bid: sources (8月30日付け Reuters)

結局、WDとの交渉はいったん見送りとなり、いまだ待ち構えている3つのコンソーシアム陣営との交渉を続けることが、月末の取締役会で確認されている。

◇東芝、WDなど3陣営と交渉継続、取締役会確認 (8月31日付け 日経 電子版)
→東芝は31日、取締役会を開き、半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却先について米ウエスタンデジタル(WD)陣営など3陣営(他に「日米韓連合」を主導する米投資ファンドのベインキャピタル、および台湾の鴻海[ホンハイ]精密工業)との交渉を続けることを確認した旨。WDに独占交渉権を付与する検討をしてきたが、条件交渉が難航しているためいったん見送る旨。主取引銀行などは8月中の売却先決定を迫っていたが、東芝は期限内に決められなかった旨。

◇Toshiba says talks to sell Toshiba Memory continue (9月1日付け DIGITIMES)

◇Faced With New Bid, Toshiba Looks Set to Miss Chip Sale Deadline (8月30日付け The New York TImes)

◇Toshiba misses target date for chip unit sale, increasing business risks (8月31日付け Reuters)

◇Toshiba Fails to Pick Winner as Three Groups Bid for Chip Unit-Talks continue over Toshiba chip unit sale (8月31日付け Bloomberg)

◇No breakthrough for Toshiba, Western Digital on memory unit sale-Embattled Japanese conglomerate keeps talks open with three rival bidders (8月31日付け Nikkei Asian Review (Japan))

ずれ込んだ論点、そして現時点の状況が整理されている。

◇有力WD、強気の交渉姿勢、東芝半導体は決着ずれ込み (9月1日付け 日経 電子版)
→東芝が目指していた半導体メモリ事業の売却交渉の8月決着がずれ込んだ旨。有力候補の米ウエスタンデジタル(WD)が強気の姿勢を崩さず協議が膠着。米投資ファンドのベインキャピタル率いる日米韓連合が新たな買収案を提示したこともあり、東芝は31日にWDなど3陣営と交渉を続けると発表、なおWDを売却先の軸に据えつつ、他の提案内容も検討しながら契約締結を急ぐ旨。交渉がいったん停滞した最大の理由は、WDの出資比率の上限や、比率を引き上げる時期などで妥協点を見いだせないことにある旨。両社は東芝メモリを3年後をメドに株式公開する点で一致しており、WDはその際に議決権比率を第三者による取得を防ぐため33.3%まで引き上げることを主張、対する東芝は、独占禁止法当局の審査を通りやすくするため10年間は15%にとどめるよう求めている旨。

◇Update on the sale of Toshiba Memory Corporation (9月1日付け ELECTROIQ)
→東芝は、Toshiba Memory Corporation(TMC)の売却先候補として次の3つのconsortiaとの交渉を続けている旨。
Innovation Network Corporation of Japan, Bain Capital Private Equity LPおよびDevelopment Bank of Japan consortiumWestern Digitalなどのconsortium Hon Haiなどのconsortium現時点、東芝はさらに絞り込む決定は行っていない旨。

この事態を見ての論評が以下の通りあらわれている。双方の立場をいずれもよく理解するところがある。

◇Waiting Game Could Strengthen Toshiba's Hand (9月1日付け EE Times/Semi Conscious)
→論評記事:東京証券取引所からの上場廃止が、本当に壊滅的な運命となるのか?

◇WDも必死、東芝半導体交渉:譲れぬ事情 (9月2日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却交渉が最終局面で足踏みしている旨。有力候補の米ウエスタンデジタル(WD)は強硬姿勢を崩さず、融和ムードだった東芝は態度を再び硬化させた旨。ただWDにも譲れない事情がある旨。売却先によっては東芝メモリと協業する米サンディスクの巨額買収が失敗と評価される可能性が高まり、東芝と同様にWDもまた追い詰められている旨。

一方、メモリが引っ張る半導体の熱い活況が続く今だからこそ話し合える舞台という背景もあり、市場の動きと合わせながらの今後の注目となっていく。

【Samsungの生産増強】

東芝やウエスタンデジタル(WD)とのNANDフラッシュメモリの差を拡げるべく、市場シェア首位のSamsungが、中国・西安での生産増強を以下の通り図ろうとしている。

◇Samsung Electronics to invest $7 billion to boost China NAND chip output-Samsung budgets $7B for NAND flash in China (8月28日付け Reuters)
→Samsung Electronicsが向こう3年にわたって、Xian(西安), Chinaの同社ウェーハfab拠点でのNANDフラッシュメモリデバイスの生産増強に$7 billionを充てる計画、直ちに該Xian fabに向けて$2.3 billionの設備投資を行い、3D NANDフラッシュメモリ半導体を作る旨。

◇Samsung Electronics to invest US$7 bln in Chinese chip plant (8月28日付け Yonhap News Agency (South Korea))

◇Samsung to invest $7b in China chip business (8月28日付け The Korea Herald (Seoul))

◇Samsung to Invest $7 Billion in China Fab (8月29日付け EE Times)

◇Samsung to expand NAND chip capacity in China (8月29日付け DIGITIMES)

シリコンウェーハの確保にも怠りなく、長期供給契約の手回しが施されている。

◇Samsung seeking long-term supply contracts with wafer firms (8月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Samsung Electronicsが、2018-2019年の間のメモリ半導体およびロジックICs製造に向けて十分なシリコンウェーハ供給を確保するために、複数のウェーハメーカーと長期供給契約を結ぶよう努めている旨。
SamsungはすでにGlobalWafersとの供給契約に到達しており、実際、GlobalWafersは他の顧客に対して2018年から対応できるシリコンウェーハが30%減りそうと知らせている旨。

【MediaTekの巻き返し】

スマートフォンの市場シェアで中国のトップベンダー勢に押されて厳しい状況にある台湾のMediaTekが、8-core Helio P23およびHelio P30 SoCを投入、mid-range分野での新風盛り返しを図ろうとしている。

◇MediaTek Rolls New Smartphone Chips (8月28日付け EE Times)
→Qualcommに次いで第2位のスマートフォン半導体サプライヤ、MediaTekが、high endが勢いを失うなか市場の伸びを引っ張ると見ているmiddle-tier handsetsに向けた一対の新しいSoCsを打ち上げ、該MediaTek P23およびP30の重点は、dual-cameraスマートフォンについてであり、mid-rangeスマートフォンをAppleおよびSamsungのhigh-end offeringsから分けるギャップを詰める旨。該octa-core MediaTek半導体はともに、LTE carrier aggregationおよび最大2.3 GHz性能を供給する旨。


◇MediaTek's New Chips Support Dual Cameras, 600MHz Coverage-MediaTek's Helio P23 will bring two important features to US midrange phones next year.-MediaTek unveils chips for midrange smartphones (8月29日付け PC Magazine)
→MediaTekが、8-core Helio P23およびHelio P30 system-on-a-chip(SoC)デバイスを投入、dual cameras搭載midrangeスマートフォン向けの旨。該P23は米国で販売される電話向け、来年始めの新しいhandsetモデルで出てくる予定の旨。

◇MediaTek's new chips support dual cameras and SIMs, are bound for mid-range phones (8月29日付け Digital Trends)

◇MediaTek launches SoCs for mid-range smartphones (8月29日付け DIGITIMES)

【Western Digitalによる買収2件】

東芝との件で目を奪われがちになるウエスタンデジタル(WD)であるが、cloudサービスのUpthere、そしてフラッシュarrayのTegile Systemsと、2件の買収が以下の通り発表されている。

◇Western Digital acquires cloud services company Upthere-Western Digital buys cloud solution provider Upthere (8月28日付け TechCrunch)
→Western Digitalが、cloudサービスのUpthere買収を発表の旨。Upthereはこれまで印象的な投資家リストから$77 millionを調達しており、KPCBおよびWestern Digital Venturesが主導、Floodgate, Elevation Partners, GV, NTT Docomo VenturesおよびSquare 1 Bankという顔ぶれの旨。

◇Western Digital to acquire Tegile Systems (8月30日付け DIGITIMES)
→Western Digitalが、enterpriseデータセンター応用向けフラッシュおよびpersistent-memoryストレージソリューションのプロバイダー、Tegile Systems(Newark, CA)を買収する計画を発表の旨。

◇Western Digital Buys Flash Array Vendor Tegile (8月30日付け EE Times)
→2010年設立のTegileは、enterpriseデータセンター向けフラッシュおよびhybridストレージarraysを拡販しており、最近業界初の統合all-Nonvolatile Memory Express(NVMe) array、IntelliFlash Nシリーズを市場展開の旨。

【活況の半導体市場関連】

現下のDRAM価格の高さ加減が分析されている。

◇Why Memory Prices Are Heating Up-The issue of increasing memory prices is more complicated than many people think. -Analysis: DRAM supply won't improve any time soon (8月30日付け EE Times/Blog)
→3D ICソリューションのBeSang社(Beaverton, OR)、founder and CEO、Sang-Yun Lee氏。半導体業界では3D NANDフラッシュメモリデバイスに向けたcapacity追加が猛烈に行われている一方、Micron Technologyの評価では今年のDRAMビット伸長が15%〜20%とここ20年で最低水準の旨。「今はメモリベンダーには黄金時代、高いメモリ価格が買い手には負担になる」と、同氏の結論。

NANDフラッシュの4〜6月販売高の凄い高さ加減があらわされている。

◇半導体メモリ世界売上高、NAND型、4〜6月最高、サーバ向け出荷堅調 (8月30日付け 日経)
→英調査会社のIHSテクノロジー発。半導体メモリの代表品種でデータの長期記憶に用いるNAND型フラッシュメモリの世界売上高が過去最高を更新、4〜6月は$12.5 billionと、四半期として従来の最高だった1〜3月を6.8%上回った旨。企業のデータセンターで稼働するサーバなどへの出荷が堅調、加えて販売単価が1.8%上昇したことが寄与した旨。4〜6月はスマートフォンの生産が少ない時期にあたり、例年はNANDの需要が伸び悩む旨。

今年の半導体設備投資(capex)について、IC Insightsがさらなる予測の上方修正を行っている。

◇Most of 2017 capital spending will go to foundry and flash memory (8月31日付け ELECTROIQ)
→今年前半の半導体capital expenditures(capex)の大きな増加を受けて、IC Insightsが2017年の年間半導体capex予測を上方修正、2016年の$67.3 billionから20%増、最高記録となる$80.9 billionとする旨。前回は12%増の$75.6 billionとしていた旨。2017年capex spendingの半分強が、ウェーハファウンドリー(28%)およびNANDフラッシュメモリの格上げ(24%)向けと予測の旨。2017年53%増と見通されるDRAM/SRAM分野は、capexで最大の%伸長と見ている旨。

◇Foundry and memory will take half 2017 capex-Over half of the expected $80.9 billion 2017 capex spending will be for foundries (28%) and upgrades for NAND flash memory (24%), says IC Insights.-IC Insights: 2017 capex dominated by foundry, memory (9月1日付け Electronics Weekly (UK))

◇Most of 2017 capital spending will go to foundry and flash memory, says IC Insights (9月1日付け DIGITIMES)

半導体プローブカード市場も、メモリおよびhigh-endプロセッサが引っ張る傾向が見られている。

◇Probe card demand for memory chips, high-end APs remains strong-Sources: Probe card demand high for memories, high-end APs (8月31日付け DIGITIMES)
→業界筋発。メモリ半導体およびhigh-end application processors(APs)製造用の半導体プローブカード需要は力強いのに対して、LCD driver ICsおよびlow-endロジック半導体用は比較的鈍い旨。

気になるDRAM価格の推移であるが、パソコン用スポットが以下の通り下落している。一時的なものかどうか、引き続き注目である。

◇パソコン用DRAM、スポット価格が下落、指標品、月初比1〜3% (8月31日付け 日経)
→パソコン用DRAMのスポット(随時契約)価格が下落に転じた旨。指標品のうち、DDR3の2ギガビット品は月初比3%安い1個1.68ドル前後。容量の大きい4ギガビット品は、同1%安い1個3.23ドル前後で取引されている旨。ただ、年初と比べるといずれも1割以上高い水準。DRAMの品不足は2016年夏から続いており、大口価格は上昇傾向が続いている旨。スポット価格も下値は限定的との見方が強い旨。


≪グローバル雑学王−478≫

読み進めている間も、トランプ大統領はじめ世界を巡る激動がひっきりなしの感じ方であるが、筆者の表し方になる激転妖怪たちが蠢く世界の「大激転」時代をどう生き抜くか、

『世界経済の「大激転」――混迷の時代をどう生き抜くか』
 (浜 矩子 著:PHPビジネス新書 378) …2017年6月1日 第1版第1刷発行

より考えさせられてきたが、あと2回に分けて最終章そして締めとなる。「大激転」に振り回され、押し流されないように、グローバル時代そして激転妖怪たちの本性というものに迫っている。


第4章−1 激転妖怪たちをどう撃退するか ――不可能を可能にするために

1 課題は二つ

・激転妖怪どもを撃退するための毒消し処方箋、そこに向けての段取り
 →2つのポイント
  …第一:グローバル時代が、本来はどのような時代なのか
  …第二:改めて激転妖怪たちが共有する本源的特性を見極めること

2 グローバル時代再考

●内外均衡は相克する
・1970年代半ばとする、筆者のエコノミスト人生の起点
 →1980年代いっぱいまでの主題は、「内外均衡の相克」という問題
・国々の経済には、対内的な均衡と対外的な均衡という2つの均衡問題
 …対内−−国内における十分な雇用確保
 …対外−−国際収支が均衡、自国通貨の価値が安定している状態
 →理想中の理想は、これら内外2つの均衡が同時に達成されること
  →だが、これはなかなか難しい
・戦後間もない頃の日本
 →「国際収支の天井」。ドルを軸とする固定為替相場制度の時代、1ドル=360円
 →経済を拡大、経済社会資本を整備し直し、暮らしを豊かにしていかなければ
 →発展のための資源や資材の輸入が必要
  →対外収支の赤字が拡大…当時の「国際収支の天井」問題

●「固定為替相場制度の天井」からは解放されたが
・ドル体制の太陽神だったはずのアメリカも、内外均衡相克問題にさらされることに
 →ドルが世界の基軸通貨であり続けるための条件
  …金1オンス=35ドルの公定価格によるドルの金交換
・1971年8月15日、ニクソン・ショック
 →アメリカはドルの金交換停止を発表、「金の天井」からみずからを解放
 →基軸通貨としての地位を失った
 →国々が激しい為替変動にさらされることを意味
 →引き続き国々の上に伸し掛かり続けた内外均衡相克問題
・そして今、迎えた簡単越境のグローバル時代
 →ますます厄介さを増している内外均衡相克問題
 →どこまでが「内」であって、どこからが「外」なのかが判然としない

●誰も一人では生きて行けない、誰も親分にはなり得ない
・筆者は、常々、グローバル時代について2つの点を強調
 →第一:グローバル時代は、誰も一人では生きていけない時代
  …誰もが、数多くの誰かたちの力を借りて営む経済活動
 →第二:グローバル時代は、パックス誰でもない時代
  →「パックス・ロマーナ(Pax Romana)」…ローマ帝国による平和
        ↓
   「パックス・ブリタニカ」…大英帝国
        ↓
   「パックス・アメリカーナ」…アメリカ
        ↓
   アメリカがパックス国家だった時代も終焉
・今日のような簡単越境、そして内外均衡の相克も国際経済のトリレンマもないという状況
 →パックス誰でもなくなるのは、当たり前のこと

●グローバル時代は、天が人間の英知につきつけた最大の試練
・誰も一人では生きていけない時代であることが、おのずと、パックス誰でもない時代であることに繋がっていく
 →下手をすればカオスとパニックが常態化する時代となってしまい得る
・グローバル時代は、天が人間の英知につきつけた最大の試練であり、挑戦である

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