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G'foundriesの7-nm FinFET発表とファウンドリー市場の競合熱気

米国Globalfoundriesが、7-nm Leading-Performance(LP) FinFETプロセスによる最初の生産を2018年上半期に立ち上げること、ならびに2018年下半期に同プロセスの量産対応を開始することを発表、一気に7-nmに向かってTSMC, Samsung, GlobalfoundriesそしてIntelの主要プレーヤー4社のファウンドリー対応市場での競い凌ぎ合う熱気を焚きつける様相を呈している。性能および消費電力の改善がコストに合わないという見方から、10-nmを飛ばして14-nmから7-nmに向かう動きが有力になってきている流れが見られている。

≪7-nmファウンドリーに向けた4社の凌ぎ合い≫

Globalfoundriesからの7-nm FinFETの発表が6月13日(米国時間)に行われ、以下の通り業界各紙が取り上げている。同社の元を辿ると、AMDの製造部門からスタートして、Chartered Semiconductorと合併、それからIBMの半導体部門が移ってくるとともにIBMとのアライアンスによる研究開発体制が活かされる現状となっている。

◇G'foundries Updates 7nm, EUV Plan-GlobalFoundries will make 7nm chips in 2018 (6月13日付け EE Times)
→Globalfoundriesが、同社7-nmプロセスのさらに詳細をリリース、主要ライバル、TSMCの約6ヶ月後れながら目標は越えている旨。同社はまた、7-nm ASICフローを更新、そしておそらく2019年に限定機能についてextreme ultraviolet(EUV) lithographyを用いる計画の旨。GFの7LPプロセスは、当初immersion steppersを用い、17 million gates/mm2が収まる旨。

◇Globalfoundries readies a factory that can make 7-nanometer chips (6月13日付け VentureBeat)

◇7nm Customer SoCs from Globalfoundries in H1 2018-Globalfoundries has announced the roll-out of its 7nm FinFET semiconductor technology, with design kits available now, first customer chips launching in H1 2018 and volume production in H2. (6月13日付け Electronics Weekly (U.K.))
→GlobalfoundriesのLP 7-nmプロセスは、同社14-nmプロセスより40%上回る性能、そして2倍のarea scalingの旨。該7-nmプロセスは、Saratoga County, New York StateのFab 8にて動いている旨。

◇GlobalFoundries ready to make 7 nanometer chips in 2018 (6月13日付け Times Union)

◇GLOBALFOUNDRIES on track to deliver Leading-Performance 7nm FinFET technology (6月14日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが発表した7-nm Leading-Performance(7LP) FinFET半導体技術について。

◇Globalfoundries launches 7LP FinFET process (6月14日付け DIGITIMES)

これを受けて7-nmに突き進んでさらに一段と熱気を帯びる最先端ファウンドリー市場が、以下の通り表わされている。

◇2.5D, ASICs Extend to 7nm-GlobalFoundries describes 7nm finFET details. (6月13日付け Semiconductor Engineering)
→最先端ファウンドリー市場が一段と熱気を帯びており、例えば、GlobalFoundries, Intel, SamsungおよびTSMCが最近、新しいそれぞれのプロセスを発表している旨。各ベンダーからの新プロセスは10-nmから4-nmのどこかしらに及ぶが、現状の戦いは10-nm and/or 7-nmで行われている旨。実際にベンダーの1つ、GlobalFoundriesは今週、以前に発表した7-nm finFET技術についてさらに詳細を説明、さらに同社はまた、新しい7-nm ASIC offeringを発表、そして5-nmの計画を披露の旨。

◇7nm foundry market to heat up in 2018 (6月16日付け DIGITIMES)
→市場観測筋発。ICファウンドリーが2018年の7-nm半導体量産、並びにextreme ultraviolet(EUV)を用いる7-nmプロセス技術に向けた生産に備えている旨。7-nmファウンドリー分野の主要プレーヤーは、TSMC, Samsung, GlobalfoundriesおよびIntelである旨。10-nm FinFET競争では、SamsungはTSMCに対抗してQualcommと連携しており、AppleおよびMediaTekから10-nm半導体受注を獲得している旨。それにもかかわらず、20-nmと同様10-nmは短命のnodeであり、7-nmが主要な技術の戦いの場になると思われる旨。

タイミングを合わせるように、「7-nm」がキーワードとなる競合模様が相次いでいる。まずは、Qualcommが7-nm Snapdragon品の製造をSamsungからTSMCに鞍替えする動きが表面化している。

◇Q'comm Reportedly Taps TSMC's 7nm (6月13日付け EE Times)
→韓国発行紙、ET News発。Qualcommが、10-nmビジネスはSamsungに託した後、同社7-nm Snapdragon品の製造をTSMCに戻す旨。正しければ、この切り換えでTSMCは大きく高まり、Samsungの2018年ファウンドリー事業が大きく低下する可能性の旨。Qualcommは、噂の域としてコメントは控え、SamsungおよびTSMCはコメントの求めに応えなかった旨。

◇Qualcomm ditches Samsung to work with TSMC for 7nm Snapdragon chipset-Samsung will continue to manufacture the 835 Snapdragon chipsets for Qualcomm. (6月13日付け BGR)

Qualcommに対抗するMediaTekも、7-nm製品の製造委託についてTSMCを選んでいる。

◇MediaTek Chooses TSMC for 7nm (6月16日付け EE Times)
→Qualcommに次ぐモバイル電話用半導体設計第2位のMediaTekが、7-nm製品を作るのにTSMCを選択、長期fabパートナーと密接に協力していく旨。

半導体業界最大手、Intelの動きがどうしても気になるところであるが、引き下がった様子見のスタンスが表わされている。

◇Intel sees fierce competition in manufacturing process (6月13日付け DIGITIMES)
→Intelは同社14-nmプロセスで作られた半導体に自信をもっているが、10-nm nodeでは競合に後れをとっている旨。10-nm Cannonlakeプロセッサが2018年後半以降である一方、TSMCおよびSamsungなど競合はともに10-nmでの生産を始めている旨。加えて、TSMCは2018年第一四半期に7-nmプロセスの売上げの寄与を見ている一方、Samsungは7-nmを安定して開発、IBMと連携して5-nm半導体を開発している旨。TSMCおよびSamsungの近年の積極的な新しい製造プロセス推進を見て、ある市場watchersはIntelが2017年に10-nm時代に入ると当初予想したが、8月後半にリリース予定のIntelの次期Coffee Lake-ベース・プロセッサは引き続き14-nm nodeで作られる旨。IntelはCoffee Lakeプロセッサのプロセスについて、現状のプラットフォームに対し15%性能が向上するよう設計が改善されていると特に言及の旨。

TSMCとSamsungの因縁の対決、それにGlobalfoundriesが加わってくる「7-nm」に当面注目である。

◇TSMC、アップルの受注確保へ布石、「7-nm」、時期2段階で投入、サムスン巻き返しに備え (6月14日付け 日経産業)
→TSMCが米アップルのスマートフォン「iPhone」の受注確保へ布石を打っている旨。次世代の回路線幅7-nm品を2段階で投入することで、ライバルの韓国サムスン電子の巻き返しを防ぐ構え。2018〜2019年にかけては勝負が決まる重要なタイミングが訪れそうな旨。

とは言っても、課題山積の「7-nm」について、いろいろな切り口の議論の方も活況を呈してきている。

◇Low Power-High Performance: Modeling On-Chip Variation At 10/7nm-Timing and variability have long been missing from automated transistor-level simulation tools. At advanced nodes, an update will be required.-Advanced nodes present modeling challenges (6月14日付け Semiconductor Engineering)
→7-nm〜10-nm featuresの半導体設計はon-chip variationのmodelingに絡む問題を生じている、と業界エキスパートが特に言及の旨。「10-nm以降のような先端nodesでは、該variabilityがsignoff toolsおよびシミュレーションエンジン上のtimingマージンにもっとたくさんの圧力を与えている。」と、Siemens傘下、MentorのAMS検証製品、製品マネジメント&マーケティングlead、Sathishkumar Balasubramanian氏。

◇New BEOL/MOL Breakthroughs?-Different materials, approaches for contacts and interconnects begin to surface for 7/5nm.-Chip industry looks to breakthroughs in BEOL, MOL (6月15日付け Semiconductor Engineering)
→半導体メーカーが、先端プロセスnodesにおける設計および製造の課題に対処、back-end-of-line(BEOL)およびmiddle-of-line(MOL)プロセス領域での革新を図っている旨。「scalingが10-nm以下に進むと、contactおよびinterconnect抵抗が急増していき、デバイス性能の主要な制約要素となってきている。」と、Lam ResearchのCTO for the Global Products Group、Yang Pan氏。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

Western Digital(WD)が東芝の半導体メモリ事業の売却差し止めを求める強硬策に踏み出した一方、入札の各陣営の連合、パートナー呼び込みという駆け引きの動きが、以下の通り連日のように繰り広げられている。Broadcomそして経済産業省が主導する「日米連合」の2つが有力で、6月30日までに指名される運びともされているが、まだ予断を許さないところがある。

◇Western Digital to raise Toshiba chip offer in last-ditch bid: source-Report: Western Digital to up its Toshiba bid (6月10日付け Reuters)
→Western Digitalが、東芝メモリを買収する入札額を増やす備えである一方、東芝は破産した子会社、Westinghouseからの金融負債を減らすよう建設中の2つの原子力発電所を完了させるために約$3.7 billionのutility支払いを行うGeorgia Powerとの取引を締結の旨。

◇WDが2兆円検討、株保有は断念、東芝半導体買収 (6月10日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ子会社「東芝メモリ」の売却を巡り、協業先で他社への売却に反対してきた米ウエスタンデジタル(WD)が新たな買収案を検討することが10日わかった旨。産業革新機構などと「1兆9千億円規模」と調整してきた買収額について、2兆円規模に引き上げることを目指す旨。だが、競合に比べてなお見劣りしており、WDは買収交渉で主導権を握っていない旨。

◇Here's What Sent Toshiba's Stock Spiraling Higher (6月12日付け TheStreet)

◇Exclusive - Foxconn says Apple, Dell join its bid for Toshiba chip business-Apple, Dell, Kingston said to join Foxconn's bid group for Toshiba unit (6月12日付け Reuters)

◇東芝半導体、鴻海連合に米デルなど参加 郭董事長 (6月12日付け 日経 電子版)
→台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長が12日、応札中の東芝の半導体メモリ事業を巡り、米パソコン大手のデルなどが新たに陣営に加わると明らかにした旨。買収が実現すれば米国で半導体工場建設を検討する意向も表明、入札では劣勢との見方があるものの、巻き返す姿勢を改めて示した旨。

◇Hynix joins last-minute METI-led bid for Toshiba chips - Asahi-Report: Hynix joins bid group for Toshiba chip unit (6月13日付け Reuters)

◇東芝半導体、日米連合に米ベイン合流案、革新機構と調整 (6月13日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業の売却を巡り、産業革新機構と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)を軸としてきた日米連合に米ベインキャピタルが合流する案が浮上、KKRとベインは入札手続きに個別に応札していたが、合流することで買収金額の上積みをめざす旨。ただ競合するKKRとベインの交渉は難航も予想される旨。

◇Japan government-led bid for Toshiba chip unit to include SK Hynix: sources (6月14日付け Reuters)

◇Western Digital Sues to Halt Toshiba Sale (6月15日付け EE Times)

◇Western Digital seeks court injunction to block sale of Toshiba chip unit-Western Digital tries court move to halt Toshiba chip unit auction (6月15日付け Reuters)

◇米WD、東芝を提訴へ、半導体事業の売却差し止め求め (6月15日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業の売却を巡って、協業先の米ウエスタンデジタル(WD)が14日(日本時間15日)、米カリフォルニア州の上級裁判所に売却差し止めの申立書を提出すると発表、両社は同事業の売却可否を巡って対立しており、WDは5月に国際機関に仲裁を申し立てていた旨。売却先選定が大詰めを迎える中、WDがさらなる強硬策に出たことで手続きは混迷を深める可能性もある旨。WDは声明で「東芝が半導体メモリ事業を売却するのは契約違反」と改めて主張。「東芝が契約内容を侵害する行為をやめさせるためには法的措置以外に選択肢はない」とし、上級裁判所への提訴手続きを始めた旨。

◇土壇場で「日米韓」連合案、東芝メモリ売却の入札めぐり (6月15日付け 朝日新聞DIGITAL)
→東芝の半導体子会社「東芝メモリ」売却の入札に参加する4陣営のうち、経済産業省が主導する「日米連合」と韓国半導体大手、SKハイニックスの2陣営が互いに合流する検討に入った旨。近く2兆円強の買収額を東芝に提示する方向の旨。しかし、関係者によると、日米韓連合の提案は、東芝と協業先の米ウエスタンデジタル(WD)との対立解消が前提の旨。WDは国際仲裁裁判所に東芝メモリの売却中止を申し立てており、対立が解消しないと、売却が白紙に戻るなどのリスクがある旨。提案が実現するかどうかは予断を許さない旨。

◇ベインと連合、革新機構が東芝半導体買収で (6月15日付け 日経 電子版)
→官民ファンドの産業革新機構は米ファンドのベインキャピタル(Bain Capital LLC)や日本政策投資銀行と新たな日米連合の枠組みをつくり、東芝の半導体メモリ事業の買収に乗り出す方針を決めた旨。2兆円を超える金額を提案するもようで現時点での有力候補に浮上している旨。東芝は15日に開く経営会議で革新機構などの案を協議し、月内の決着を目指す旨。2兆2千億円規模の案を示す米半導体大手ブロードコムと争う構図になる旨。東芝とフラッシュメモリを共同生産する米ウエスタンデジタル(WD)や米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が参加する案も残っており交渉の行方はなお流動的の旨。

◇東芝半導体、WDに焦り、再び拒否権、米で提訴へ (6月16日付け 日経 電子版)
→東芝の半導体メモリ事業の売却交渉が再び揺さぶられた旨。協業する米ウエスタンデジタル(WD)は15日、米裁判所に売却差し止めの申し立て手続きを始めたと発表、東芝が応札陣営の正式提案を受け取り選別に入る局面での提訴で、交渉の主導権を握りたいWDの焦りがにじむ旨。東芝側は6月中の売却先選定の日程を変えない方針の旨。

◇Bain, INCJ Said to Offer $19 Billion for Toshiba Chip Unit-Toshiba's board said to be pondering best offers for chip unit (6月16日付け Bloomberg)
→東芝の役員会合が木曜15日行われ、同社半導体事業のグローバル競売での入札トップ2を検討、6月30日までにwinnerを指名する予定の旨。米国半導体メーカー、Broadcomが約$19.8 billionで入札、米国private equity会社、Bainが2つの日本政府が支援する投資筋とともに約$19 billionの入札提示を出していると思われる旨。

【注目の新製品】

インテルのHDD向けキャッシュ「Optane」モジュールを、teardown解析のTechInsightsが調べており、搭載されているインテルとマイクロンが共同で開発した次世代メモリ「3D XPoint」の概要が以下の通り表わされている。
Intel X-Point Memoryは、PCM(phase change memory)であり、GST(ゲルマニウム-アンチモン-テルル[Ge2Sb2Te5]合金)-ベース材料がストレージに用いられている、としている。

◇Intel packs Optane module with 3D X-Point (6月12日付け EE Times India)
→TechInsightsが、Intel Optane M.2 80mm 16GB PCIe 3.0を入手してteardown解析、IntelおよびMicron製の初の商用3D X-Point製品を披露の旨。
該Intel 3D X-Pointメモリパッケージ寸法は17.6mm x 13.7mm、中に1個のX-Point Memory dieが入っている旨。該3D X-Point Memory dieの寸法は16.16mm x 12.78mm。該dieにおけるメモリ効率は91.4%、Samsung 3D 48L V-NAND(70.0%)およびIntel/Micron 3D FG NAND(84.9%)を上回る旨。該3D X-Point Memoryのメモリ密度は0.62Gb/mm2、商用2Dおよび3D NAND製品を下回る(Toshiba/SanDiskおよびSamsungの3D 48L TLC NANDで2.5Gb/mm2、およびToshiba/SanDisk 2D 15nm TLC NANDで1.28Gb/mm2)旨。

◇More Enlightenment on Optane (6月13日付け EE Times/Blog)
→50年以上に及び固体メモリデバイスの研究、プロセス開発そして設計のキャリアをもつIndependent Electrical/Electronic Manufacturing Professional、Ron Neale氏記事。

もう1つ、現在市場にあるどれよりも6倍は高速な処理が行えるというNPU(Network Processing Unit)を、Nokiaが以下の通り打ち上げている。インターネットの次の展開を繰り広げると謳っている。

◇Nokia unveils first chipset promising multi-terabit routing-Nokia debuts FP4 silicon chip (6月14日付け VentureBeat)
→Nokiaの新しいFP4シリコン半導体は、現在市場にあるものより6倍高速な処理を行い、2.4 terabits/secondである旨。

◇Nokia Touts NPU for Internet's Next Chapter (6月15日付け EE Times)
→次の段階のインターネット進化を可能にするcapabilities、Nokiaが水曜14日、2.4 Tb/sとびっくりさせる性能が得られるnetworkプロセッサ・ベースの次世代サービスルータを披露の旨。該半導体、Nokia FP4は、16-nm FinFETプロセスを取り入れており、先行品、40-nm FP3を2 full nodes先んじる旨。Nokiaは、該FP4を"世界初のmulti-terabitチップセット"としており、相対的に低い電力消費にも拘らず現在見られるどんなプロセッサよりも最大6倍強力である旨。

【Googleの自前半導体開発】

Googleもまた、カスタム半導体、モバイルSoCと自前の設計開発に向けて、人材を集める動きが以下の通り見られている。Appleそして中国と、競い合い、奪い合いが強まって続いていく様相となっている。

◇Google Hires Key Apple Chip Architect to Build Custom Chips for Pixel Phones (EXCLUSIVE)-Apple chip architect moves to Google to design ICs for Pixel phones (6月13日付け Variety)
→本件事情通筋発。Googleが、Appleからのベテラン半導体architect人材を採用、こんどは同社flagship Pixel phoneの将来版に向けて自前の半導体構築を図っている旨。8年近くApple自前の半導体開発の先頭に立ってきたManu Gulati氏がここ数週間のうちにGoogleに入った旨。

◇Google Ramps Mobile SoC Team (6月14日付け EE Times)
→Googleが、タブレットおよびスマートフォン向けモバイルSoCsを作るチームを立ち上げており、同社ハードウェアグループで約200の求人募集をかけている旨。Googleは、2016年10月にQualcommのSnapdragon SoCベースのPixelスマートフォンを打ち上げ、そのときは以前にAmazonのKindleなどの機器を作ったLab126グループを動かしていたDavid Foster氏も採用している旨。

【M&A関連】

QualcommによるNXP Semiconductorsの$38 billion買収提案について、米国当局は審査承認しているが、European Commission(EC)が以下の通り10月決定に向けた綿密な調査を開始している。

◇European Commission opens investigation into Qualcomm, NXP deal-The commission said it has concerns the deal could "lead to higher prices, less choice, and reduced innovation in the semiconductor industry."-EU will take closer look at Qualcomm-NXP deal (6月9日付け ZDNet)
→European Commission(EC)が、QualcommによるNXP Semiconductorsの$38 billion買収提案への綿密な調査を始めており、この組み合わせが半導体業界における価格上昇、選択肢減少および革新低減につながる可能性の旨。該合併は、車載用半導体、ベースバンドチップセットおよびnear-field communication(NFC) secure element ICsでの競合を抑える可能性がある旨。

◇EU Opens In-Depth Probe Into Qualcomm-NXP Deal -Inquiry comes as the EU is already investigating Qualcomm over alleged breach of antitrust rules (6月9日付け The Wall Street Journal)

◇EU antitrust regulators to investigate $38 billion Qualcomm, NXP deal (6月9日付け Reuters)

◇EC Refs Whistle Qualcomm-NXP Deal-Qualcomm's increased isolation in the world is palpable (6月10日付け EE Times)
→European Commission(EC)が金曜9日、QualcommによるNXP買収提案への綿密な調査を正式に開始、挑戦の旨。この動きは打開プロセスに少なくとも4ヶ月加わって、該半導体メーカー2社合併を抑制する旨。ECは本件の決定を2017年10月17日までに、としている旨。

もう1件、中国のファンドによる米国・Lattice Semiconductorの買収提案であるが、こちらは米国当局が慎重で、3回目の審査への挑戦と相成っている。

◇Exclusive: China-backed fund in third bid for U.S. to approve chip deal - sources-Lattice buyer seeks 3rd CFIUS review, sources say (6月11日付け Reuters)
→本件事情通筋、日曜11日発。昨年11月にLattice Semiconductor社$1.3 billion買収に合意した中国のbuyoutファンド、Canyon Bridge Capital Partners LLCが、該取引について米国の3回目の審査を受ける旨。国家的セキュリティリスク関連に向けてcorporate買収を見直しする政府panel、Committee on Foreign Investment in the United States(CFIUS)による承認をCanyon Bridgeが求めている上での動きの旨。

◇Lattice Semiconductor will try again to sell to China (6月12日付け The Oregonian)

【トランプ大統領と米国半導体業界】

就任以来波紋続きの米国のトランプ大統領であるが、先日出された2018年度予算案について、米国・SIAが半導体R&D関連の受け取りを以下の通り表わしている。軍事関連には予算化があるもののアカデミア関連では減額と、厳しい困惑が窺えている。

◇Trump's Budget Mixed Bag for Semiconductor Research -DARPA to get $200M for chip research in budget (6月13日付け EE Times/Capitol Connection)
→米国半導体業界を代弁するSemiconductor Industry Association(SIA)のpresident & CEO、John Neuffer氏記事。最近リリースされたTrump大統領の2018年度予算案は、半導体リサーチprioritiesにとって良い悪い両方の動きを含んでいる旨。Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA)は、長期半導体リサーチに向けて$200 million以上獲得、半導体scalingの先に向けたリサーチそして新しいmicrosystem材料の検討に$75 millionなどの旨。該予算計画では、National Institute of Standards and Technology(NIST), National Science Foundation(NSF)およびDepartment of Energy(DoE)のScience Officeへの出資を減らしており、nanoelectronic COmputing REsearch(nCORE)プログラムについてNISTのSemiconductor Research Corp.(SRC)への寄与にはゼロ予算の旨。

地球温暖化のパリ協定についても世界に驚きと抗議を引き起こしているが、米国の半導体およびハイテク業界がともに従来の約束を守るスタンスを改めて表明している。

◇Paris Accord: As U.S. Drops Out, Chipmakers Double Down-Industry sees bottom-line benefits of sustainability-Chipmakers will still try to go green (6月14日付け EE Times)
→パリ気候変動協定(Paris Climate Accord)から脱退するTrump大統領の計画に半導体業界が反応、持続可能でエネルギー効率の高い製造practicesへの業界のcommitmentの再確認を轟かせている旨。AMD, IBM, およびIntelなどの半導体メーカーが、Apple, Google, およびMicrosoftなど他のハイテク大手とともに、気候変動に対する行動commitmentを表わす公開書簡に署名の旨。

【中国インパクト】

現在のメモリが大きく支える半導体の活況について、中国の顧客の発注削減からそうは続かないと、韓国紙の見方が表わされている。

◇China Risk: Risks from China Emerging in Korean Semiconductor Sector-Will China slow down Korea's chip boom? (6月14日付け BusinessKorea magazine online)
→DRAMsおよびNANDフラッシュメモリデバイスの韓国のサプライヤには現時点高い需要が見えているが、中国の顧客の発注削減から今年後半この事態が鈍化する様相がある旨。「昨年の間の半導体価格の急上昇は中国ITメーカーの側での在庫蓄積によるものであり、現在の活況は一時的に過ぎない。」とUBS Securitiesの2月時点での分析。

年2回発表のスーパーコンピュータランキング・トップ500で、中国勢がトップ2を占めるなど優勢が目立っているが、危機感からか米国・Department of Energy(DoE)が助成する以下の取り組みである。米国・SIAが早速の歓迎の反応である。

◇Exascale Project Awards $258M-Researchers aim to lower cost of 2021 system (6月15日付け EE Times)
→米国・Department of Energy(DoE)が、少なくとも1台のexascale-classスーパーコンピュータを2021年までに構築する道を開くよう、ハイテク大手6社に$258 millionを授与する旨。AMD, Cray, Hewlett Packard Enterprise(HPE), IBM, Intel, およびNvidiaが、3年の助成を獲得、該PathForwardプログラムに向けたリサーチに$172 millionを投資する旨。
該助成は、昨年打ち上げの該プロジェクトの最新フェーズであり、これまで主にソフトウェア開発に約$100 millionを充てている旨。中国が世界のトップ500スーパーコンピュータのトップ2を占め、米国に1年先行して2020年にexascale-classシステムを届けるとしているタイミングでの助成の旨。

◇SIA Applauds DOE Initiative to Advance U.S. Supercomputing Technology-Exascale Computing Project awards $258 million over three years to six U.S. tech companies, including SIA members AMD, IBM, Intel (6月16日付け SIA/NEWS)
→米国・Department of Energy(DoE)のアメリカ初、exascaleスーパーコンピュータ運用への新しいリサーチ出資を称賛の旨。

2016年のスマートフォンサプライヤ・最終ランキングに見る中国サプライヤの改めて驚く伸びっぷり、占めっぷりである。

◇7 of the top 10 smartphone suppliers headquartered in China (6月15日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが最近更新した2017 IC Market Drivers Reportから、出荷台数による2016年スマートフォンサプライヤ・最終ランキング。トップ10のうち7社、トップ14のうち10社が、本社が中国の会社。ともに約90%と最も急成長の2社、OPPOおよびVivoは、親会社が同じ中国のBBK Electronicsであると特に言及の旨。トップ14社の2014年〜2016年データ、下記参照:
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2017/06/smartphone-supplier.png


≪グローバル雑学王−467≫

本当に世界情勢の激しい変化を日々知らされるというこのところの感じ方のなか、いろいろな見方に触れるべく第2弾として読み進めている

『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』
 (中西 輝政 著:PHP新書 1076) …2017年2月21日 第1版第4刷

も、最終章に入って今回はその前半である。これからの10年、我々日本そして日本人はどうあるべきか、どうすべきか。特にアメリカと中国の先々を見る上での指針に注目している。今時点の足元では、中南米への中国の外交圧力から台湾に断交連鎖の危機感が広がっている状況がある。


第6章−1 これから十年、日本はどうすべきか

◆早く見つけ、ゆっくり行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する
・日本人の世界を見る眼には、まだまだ深刻な問題があると言わざるを得ない
・国際社会のなかで生き残るために肝に銘じる必要がある四つ
 →「大きな底流を早く見つける」
  「しっかり準備をして、できるだけゆっくり行動する」
  「交渉事は、つねに粘り強く主張する」
  「大きなものが動くところでは、あるところで潮目を見て潔く譲歩する」
・(著者が)1995年に京都大に赴任したときの授業にて
 →世界を見るにあたって、今後『五つの変化』が起こることを念頭に
  …1)中東情勢の不安定化によるテロの多発
   2)ロシアの民主化の失敗
   3)中国が日本と敵対する存在に
    →中国経済が豊かになるほど、日本にとって安全保障上の脅威に
   4)アメリカの衰退
    →アメリカはやがて自国の国益第一に物事を考えるように
   5)ヨーロッパ統合の失敗
    →今後ヨーロッパでは、EUの分裂と崩壊など、いまでは考えられないようないろいろなことが起こる
・日本人の場合、几帳面過ぎる性格ゆえ、物事の大きな潮流をざっくり捉え、それについて深く考えるのが苦手
 …日本型の認識スタイル
 →物事を「懸案対処」で取り組んでしまう。必ず大きな趨勢を見誤ることに

◆アメリカの方向性を決めているのは誰か
・国務省といえども、国民の無関心を背景に粛々と東アジア政策を進めるのが、アメリカ政府の伝統的なやり方
 →しかも議会は、中国と直結
・アメリカの決定に本当に影響力のある人、とくに「ニューヨークの世論」は親中派がまだまだ強い
 →とくに日本は経済的に大事な存在。だから日本を引き寄せようとする議論も行なうが、本音では北京を大事にしたい
 →中国のほうが「速い」という問題も。即座に決定でき、アメリカ人の気風に近い。日本は組織社会で官僚国家、万事に時間がかかる
・アメリカの対外政策を真に決定するのはワシントンではなく、ニューヨーク
 →アメリカを知るには、アメリカの世論、メディア、金融界を含めた経済界など、広くアメリカの全体像を捉える必要
 →大きな決定権を握るのは価値観に左右されないドライなニューヨークの現実主義
・CFR(外交問題評議会)の議論の中身は、将来予測のよい指標に
 →CFR…外交・国際政治の雑誌として最も権威ある『Foreign Affairs』を発行するシンクタンク。1921年に発足
 →ほぼ10年後のアメリカや新政権の方向など、アメリカの国益に沿った合理的な議論
 →CFRという存在は、アメリカの政治、外交、経済政策の「奥の院」といわれる

◆CFRの対中戦略が変わってきた
・興味深いCFRの最近の動向
 →2016年のアメリカ大統領選で、どちらかといえばクリントン候補の支持を強く押し出さなかった点
・CFRのさまざまな報告書
 →2014年〜2015年を境に中国に対する態度が明確に変わってきた
 →もともと「親中派の牙城」が、ここへ来て中国批判を始めた
・20世紀の初頭以後のこの100年、アメリカにとって最優先事項は、つねに「ドル基軸体制」をいかに守るか
 →捨てがたい「エルドラド(El Dorado:黄金郷)――あるいは金のなる木」としての中国
 →われわれはつねに複眼的に、アメリカと中国を見る必要
・米中の衝突や逆に接近といった、さまざまなケースに備え、もうそろそろ待ったなしで本気を出して考えなければならないとき
 →その問題から逃げる余裕は、日本にはほとんど残っていない

◆「空気を読む」――かつてない「極右化」
・日本人がヨーロッパを見る際には、それぞれの国の国民感情を知ることも重要
 →そこの国に行けば誰でも味わえる「空気を読む」こと
・いまの「ヨーロッパの空気」をつかめば、いまやドイツがカギを握っている、といったこともすぐにわかる
 →最近はハンガリーにせよポーランドにせよ、右派あるいは極右政党が政権を握るように
 →西ヨーロッパでも、「ファシスト」や「極右」が政権を取る傾向
 →まさに、かつてない現象

◆中国共産党が経済危機を乗り越えた先の未来
・もう一方の世界の大きな攪乱要因として、中国における経済的混乱のリスク
 →中国を見るときに大事なのは、「どれほど混乱が起きようと、周辺世界が中国のことを無視したり、捨象したりできるような弱い存在になることは金輪際ない」ということ
 →ロシアとともに中国などの大陸国家が侮れないのは、彼らはかつてない、きわめて強い再生力を持っている
・大陸国家であるロシアは、無尽蔵な資源を持つ
 →中国も、大混乱を経ながら、いまや核大国としてアメリカと張り合おうとしている。これらすべてが数10年の間に起こっている
・私(著者)は世界情勢の長期予測をするうえでの今後のターゲットイヤーを、一応、「2030年」と位置づけ
 →中国経済の落ち込みも、2030年には回復していよう
 →2030年には中国の国防予算は、アメリカを軽く上回るはず
・日中間にある隔絶した「政治の指導力」の差
 →強権国家である中国の場合、経済改革が成功する可能性は高い
 →中国が、今日唱えられている国有企業を中心とした経済改革に成功すれば、2030年代には、アメリカのGDPを追い越す可能性も
・もはや、中国危機論をぶつ時代ではない。危機は日本の目の前に

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