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新分野&メモリが引っ張る市場模様:Nvidia関連および1Qランキング

ここ6ヶ月$30 billion/月超え、そして4ヶ月連続前年同月比二桁%増の販売高と非常に活況を呈している半導体業界であるが、AI、IoT、自動運転車、データセンター、AR/VRなどのキーワードがずらっと相次ぐ新分野、そして半導体カテゴリー別ではメモリ製品が大きく引っ張っている。AI関連で絶好調の米国Nvidiaの業績発表およびイベントでのプレゼン打ち上げ、およびIC Insightsによる2017年第一四半期半導体サプライヤ・ランキングにおけるメモリベンダーの急伸ぶりから、現時点の活況の市場模様に触れてみる。

≪活況に沸く半導体関連業界≫

AIはじめ高性能computing関連の現状最も注目の市場領域を引っ張っているNvidiaの動きについて、まずは直近四半期の業績の好調ぶりである。

◇Nvidia's data center business powers revenue beat (5月9日付け Reuters)

◇エヌビディア、2-4月期の純利益2.4倍、AI関連の半導体が好調、株価は時間外で急伸 (5月10日付け 日経 電子版)
→画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアが9日発表した2017年2-4月期決算。売上高が前年同期比48%増の$1.937 billion、純利益が同2.4倍となる$570 million(約570億円)。主力のゲーム向けに加え、データセンターや自動運転車など人工知能(AI)関連の半導体需要が好調だった旨。2017年5-7月期の売上高は$1.911〜1.989 billionと、前年同期比33〜39%増を見込む旨。

GTC(GPU Technology Conference)(2017年5月8-11日:Silicon Valley)が開催され、Nvidiaの現下の取り組みが以下の通り打ち上げられている。deep learning技術についてアプリ開発者の教育訓練を行う“Deep Learning Institute”の活動計画である。

◇Nvidia Takes Deep Learning to School (5月9日付け EE Times)
→Nvidiaがartificial intelligence(AI)に今後を賭けていることが自然にあらわれる兆候のなかに、最近の“Deep Learning Institute”立ち上げがあり、今年開発者の数を100,000に増やす計画の旨。Nvidiaは、2016年にdeep learningの開発者10,000人の教育訓練実施の旨。「ここ数年にわたってAIは"科学のすべての部分"に食い込んでおり、ガン研究, robotics, 製造から金融サービス, 不正検出およびintelligentビデオ解析に及ぶすべての応用に不可欠のコンポーネントになってきている。」
と、開発者プログラムを担当するNvidiaのvice president、Greg Estes氏。

◇H2O.ai teams up with Nvidia to take machine learning to the enterprise-Nvidia trains developers on deep learning (5月9日付け VentureBeat)
→昨年deep learning技術について10,000人のapplication開発者の教育訓練を行ったNvidiaが、今年は同社Deep Learning Instituteを通して100,000人の開発者を教育する計画の旨。同社は、Nvidiaのgraphics processing units(GPUs)上で動作するmachine learningおよびdeep learningモデルを顧客が発案できるようにするartificial intelligence(AI)ソフトウェアについてもう1つのSilicon Valleyの会社, H20.aiと協働している旨。

次に、deep learningなどAI応用に向けた大規模処理プロセッサが発表されている。

◇Nvidia unveils massive AI processing chip Tesla V100-Nvidia debuts chip for AI, deep learning (5月10日付け VentureBeat)
→Nvidiaが、deep learningなどartificial intelligence(AI)応用に向けたTesla V100プロセッサを披露、TSMCの12-nm FinFETプロセスで作られ、815mm2の寸法の該半導体は、5,000個以上のcoresおよび21.1 billion個のトランジスタが入っている旨。

◇Nvidia's Latest Chip Contains Five Thousand Cores Aimed at Deep Learning-Nvidia's chief Jensen Huang said that the processor's die size is 815 millimeters or around the size of an Apple Watch face. (5月10日付け Electronic Design)

今回のGTCの広範囲にわたる内容、注目度の高まりなど全体の概要、雰囲気が以下の通り表わされている。

◇Nvidia Rolls Volta GPU For 'AI Revolution' -Volta taps 12nm TSMC and Samsung HBM2 -Toyota taps Nvidia for ADAS -An oblique lesson in Moore's law -A shifting GPU game -AWS takes machine learning to the edge -Machine learning down on the farm -Here come the security robots -Inspur preps a modular GPU server -HPE shows a flexible server -IBM, Cisco show GPU servers -To Mars and beyond (5月11日付け EE Times/Slideshow)
→GTC(GPU Technology Conference)(2017年5月8-11日:Silicon Valley)より注目内容。Nvidiaのfounder and chief executive、Jensen Huang氏の2時間の基調講演、“Powering the AI Revolution”にて、machine learningがcomputingの新時代を輝かせており、最新GPU, Voltaがその好ましい燃料になる期待の旨。該annual Nvidiaイベントは、7,000人以上の参加者と新記録、農業から医薬品および公共安全まで広範囲の応用にわたるneural networks使用拡大への関心の高まりがある旨。

今回打ち上げられた提携として、自動運転におけるトヨタ自動車との取り組みが次の通り表わされている。

◇Toyota Selects Nvidia, Intel Feels Heat (5月11日付け EE Times)
→NvidiaがGPU Technology Conference水曜10日、Toyotaが市場投入に向けて計画しているadvanced autonomous driving systems(ADAS)にNvidiaのDrive PX AI車載プラットフォームを搭載使用する旨。

◇米エヌビディア、自動運転でトヨタと提携、AI機器やソフトを提供 (5月11日付け 日経 電子版)
→画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアが10日、トヨタ自動車と自動運転で提携すると発表、人工知能(AI)機器やソフトをトヨタに提供し、今後数年で実用化が見込まれる自動運転車の開発スピードを加速させる狙いの旨。米電気自動車(EV)大手のテスラに提供している自動運転用AI基盤、「エヌビディア・ドライブ」をトヨタに提供する旨。

次に、IC Insightsからこのほど表わされた2017年第一四半期半導体サプライヤ・ランキングであるが、トップ10の顔ぶれが以下の通りである。まずは、Samsung、SK HynixおよびMicronとメモリ関連サプライヤの急伸ぶりが目立つところとなっている。

◇Infineon Rides Automotive Wave into Top-10 Semi Supplier Ranking-Memory market surge propels SK Hynix and Micron up two spots in the top-10 ranking. (5月9日付け IC Insights)
→IC Insightsが今月後半リリースするMay Update to the 2017 McClean Reportより2017年第一四半期半導体サプライヤ・ランキングについて。トップ10の顔ぶれ:
 1. Intel
 2. Samsung
 3. SK Hynix
 4. Micron
 5. Broadcom
 6. Qualcomm
 7. TI
 8. 東芝
 9. NXP
 10. Infineon
IntelのSamsungに対するリードが僅か4%、第二四半期には入れ替わる可能性も。DRAMおよびNANDフラッシュ市場の最近の急増で、SK HynixおよびMicronがともに2つランクアップ。トップ10の新顔として、InfineonがMediaTekに置き換わって第10位に。

もう1つ、InfineonがMediaTekに替わってトップ10入り、第10位と、車載関連が押し上げており、業界各紙も注目である。

◇Infineon rides automotive wave into Top-10 semi supplier ranking (5月9日付け ELECTROIQ)
→半導体販売高トップ10サプライヤ推移、下記参照:
 1993年 2000年 2006年 2016年 2017年第一四半期
http://electroiq.com/wp-content/uploads/2017/05/semi-sales-leaders.png

◇Automotive Growth Pushes Infineon Into Top 10-First SiC products received well by market-Auto chips propel Infineon into the top 10 (5月8日付け EE Times)

◇Infineon rides automotive wave into top-10 semi supplier ranking, IC Insights says (5月9日付け DIGITIMES)

InfineonとMediaTekについては、対照的な業績発表が以下の通りである。

◇Infineon Strengthens Position in Automotive-First SiC products received well by market (5月8日付け EE Times)
→Infineonの3月31日締め四半期の売上げが1.77 billion euro(約$1.93 billion)、前四半期比7%増、前年同期比10%増。車載用半導体分野が伸びの大方を引っ張っており、産業用およびpower製品も伸びている旨。

◇MediaTek April revenues decrease-MediaTek sees April's consolidated revenue fall to $588M (5月8日付け DIGITIMES)
→モバイルSoCサプライヤ、MediaTekの2017年4月連結売上げがNT$17.75 billion($588.3 million)、前月比14.8%減、前年同月比22.9%減。MediaTekの第二四半期販売高guidanceから、市場観測筋は5月に売上げが下げ止まると見ている旨。

さて、この活況の半導体業界の捉え方であるが、SamsungおよびSK Hynixとメモリ2大トップを擁する韓国では有史以来最大という表現が見られている。

◇【中央時評】サムスン半導体も死にそうなときがあった (5月10日付け 韓国・中央日報)
→檀君以来半導体が最大の金の卵を産んでいる。サムスン電子は24年ぶりにインテルを抜き今年半導体1位企業に登板する見込みだ。中国の半導体崛起は尋常でないが、半導体のスーパー好況の見通しは依然として明るい。
市場調査機関ICインサイツとガートナーは「スマートフォンとコンピュータのほかにも新規市場が急膨張している。特にクラウドと自動運転車は半導体を吸い込む新たなブラックホール」とした。半導体黄金時代だ。

3D NANDはじめメモリ新製品対応が引っ張って、半導体製造装置業界についても以下の表わし方となっている。

◇半導体活況、リーマン前水準、装置大手、最高益相次ぐ、今期経常、IoTや動画配信普及 (5月11日付け 日経)
→半導体関連業界が活況に沸いている旨。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や動画配信サービスなどの普及でデータ容量が爆発的に増え、データ保存に必要な半導体の需要も拡大する構造的な変化が背景。恩恵は半導体製造装置メーカーに及んでおり、10日までに出そろった主要6社の2018年3月期の業績予想は6社中3社が経常最高益を見込む旨。

◇Semiconductor sector surging on IoT, smartphones-Orders for chipmaking machines return to pre-financial-crisis levels-Chip gear makers get a boost from robust IC sales (5月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

ゴールデンウィーク明けの週、東芝メモリ入札を巡る動きが活発化、以下の目まぐるしい日々の動きとなっている。生産面で協業するWestern Digitalとの契約違反の件についての応酬を抱えながら、入札の各陣営、連合体入り乱れての働きかけ、駆け引きが展開されている模様である。政府主導の日米連合の構想の踏み上げが最新の動きとなっている。

◇KKR in Talks With Toshiba for Preemptive Chips Unit Bid: Sources-KKR may make preemptive bid for chip unit (5月8日付け Bloomberg)
→事情通筋引用。KKRが、東芝の半導体事業に向けて競合を吹き飛ばす入札を行うことについて、東芝と交渉中にある旨。該private equity会社とその入札パートナーは、東芝のメモリ半導体事業に少なくとも$16 billionを出す備えである旨。

◇Toshiba ups ante in chip unit sale with attack on Western Digital-Toshiba claims its chip unit plans do not violate Western Digital deal (5月9日付け Reuters)
→東芝が、半導体事業売却提案が契約違反とするWestern Digitalに反論、競売過程に干渉しないようWestern Digitalに伝えている旨。東芝は先週2通の手紙をWestern Digitalに送り、1つは、該売却を阻止しようとするならWestern Digitalを相手取って法的措置をとる可能性としている旨。

◇Toshiba Warns Western Digital to Stop Impeding Chip Sale (5月9日付け Bloomberg)

◇東芝、WDに「妨害停止」求める、半導体売却巡り (5月10日付け 日経)
→半導体メモリ事業の売却を急ぐ東芝が、生産面で協業する米ウエスタンデジタル(WD)に反論する書簡を送っていたことが9日、わかった旨。東芝に入札手続きの停止を求めているWD側に対し、東芝側は売却する権利があると主張した旨。両社は合弁契約の解釈を巡って対立し、同事業の売却手続きが遅れている旨。東芝は3日付でWDに書簡を送付した旨。

◇東芝半導体、入札期限の先延ばし検討、追加参加狙う (5月11日付け 日経 電子版)
→東芝は半導体メモリ事業の売却手続きを巡り、5月19日としていた2次入札の期限を先延ばしする検討に入った旨。同社は事業価値を「2兆円以上」とするなか、応札企業による資産査定作業が遅れ、生産面で提携する米ウエスタンデジタル(WD)との協議も難航、独占禁止法の審査が通りやすい投資ファンドにいったん売却する「二段階売却」案も浮上している旨。東芝は1次入札を3月末に締め切り、応札した10社前後から5陣営程度に絞り込んだが、5月19日としていた2次入札の期限を5月下旬に延期する方針の旨。

◇東芝、米WDとトップ会談、半導体売却、協議継続で一致 (5月11日付け 日経)

◇Toshiba, Western Digital chiefs talk out memory spat-Dispute unresolved, but both sides agree to keep trying-Toshiba, Western Digital talks will continue (5月11日付け Nikkei Asian Review (Japan))

◇東芝、入札期限延期を検討、半導体売却、日米連合の準備待ち (5月12日付け SankeiBiz)
→経営再建中の東芝が半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、19日としていた2次入札の期限を先延ばしする検討に入ったことが11日、分かった旨。政府が主導する産業革新機構や米ファンドなどによる日米連合の陣容が固まっていないほか、生産で協業する米ウエスタンデジタル(WD)と売却の協議が難航しているための旨。

◇政府主導、2.8兆円構想、東芝半導体買収めぐり日米連合 (5月13日付け 朝日新聞DIGITAL)
→東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡り、政府系ファンドの産業革新機構を軸とする日米連合が最大2.8兆円の買収額を提示する準備を進めていることが分かった旨。複数の日本企業や米アップルにも参加を呼びかけており、月内をめどに枠組みを固めることを目指す旨。

【Qualcommの660, 630半導体】

Qualcommが、従来high-end phonesにだけ入っている優れたphotographyおよびセキュリティfeaturesなどの機能をmid-rangeにもたらしていくSnapdragon 660および630モバイルプラットフォームを投入している。台湾のMediaTekにはさらに圧力となる動きである。

◇Qualcomm's 660, 630 chips bring high-end performance to mid-range phones (5月8日付け BGR)

◇Qualcomm's new Snapdragon chips will make features like dual smartphone cameras more affordable (5月8日付け VentureBeat)

◇Qualcomm unveils Snapdragon 660, 630 mobile platforms-The processors include features originally only found in premium product families.-Qualcomm debuts 2 Snapdragon mobile chips (5月9日付け ZDNet)
→Qualcommが、優れたphotographyおよびセキュリティfeaturesが得られるmidrangeスマートフォンプロセッサとして役立つよう設計されたSnapdragon 660および630モバイルプラットフォームを投入、該半導体は、dual front-facingカメラのhandsetsを可能にする旨。

◇Qualcomm ramping up shipments of mid-tier smartphone CPUs (5月10日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Qualcommが、mid-tierスマートフォン分野に向けてSnapdragon 660およびSnapdragon 630 CPUsの出荷を立ち上げ予定、台湾のスマートフォンAPプロバイダー、MediaTekにさらに圧力を与えていく旨。Qualcommは、Xiaomi Technology, OppoおよびVivoなどいくつかの中国のfirst-tierスマートフォンベンダーとビジネス関係を構築、high-endモデル向けにQualcommのSnapdragon 835半導体採用が決まっている旨。

【中国半導体メーカーにおける動き】

中国のメモリメーカーとして突き進んでいるYangtze River Storage Technology(YMTC)が、3D NANDに取り組む計画を表わしているが、その発表が、台湾のDRAMメーカー、Nanya Technologyの出身で現在はYangtze Riverのacting chairmanを務めるCharles Kao氏により行われている。

◇Yangtze River to produce 64-layer 3D NAND in 2019-Yangtze River, the China memory start-up, will have a 64-layer 3D NAND chip in mass production in 2019, according to Digitimes.-Yangtze River plunges into 3D NAND flash (5月8日付け Electronics Weekly (U.K.))
→かつては台湾のDRAMメーカー、Nanya Technologyを率い、現在はYangtze Riverのacting chairmanであるCharles Kao氏。

◇YMTC 64-layer 3D NAND technology ready for mass production in 2019, says acting chairman (5月8日付け DIGITIMES)
→中国・Yangtze River Storage Technology(YMTC)のacting chairmanでTsinghua Unigroupのexecutive VP、Charles Kau氏。YMTCは、2017年末に32-層3D NAND製品サンプルを出す計画、2019年には64-層NAND半導体の量産に入れる予定の旨。2020年までにYMTCは、より大きなライバル、Samsung Electronicsとの技術gapを2年に詰めていく旨。YMTCは特許portfolioを強化しており、向こう2-3年にわたって同社3D NAND技術がいくつかのライバルを凌いでいく自信がある旨。

中国のトップ専業ファウンドリー、SMICの第一四半期の業績および第二四半期の見込みが以下の通り表わされているとともに、同社CEOの交代が発表されている。

◇Chip maker SMIC posts steady first-quarter earnings growth amid market headwinds-SMIC reports higher Q1 profit, names CEO (5月10日付け South China Morning Post (Hong Kong))
→SMICの3月31日締め第一四半期の売上げが前年同期比25%増の$793.1 million、net profitが同13.7%増の$69.8 million。

◇SMIC expects revenues to drop 3-6% in 2Q17 (5月11日付け DIGITIMES)
→中国の専業ファウンドリー、SMICの2017年第一四半期売上げが$793.1 million、前四半期比2.7%減、前年同期比25%増。2017年第二四半期は、前四半期比3-6%減少すると見ている旨。

◇SMIC Names Haijun Zhao CEO (5月10日付け EE Times)
→中国最大の半導体ファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)が水曜10日、Haijun Zhao氏をCEOに指名、2011年以降同社chief executiveのTzu-Yin Chiu氏を引き継ぐ旨。2010年にSMICに入ったZhao氏は、2013年以降SMICのchief operating officer(COO)を務めている半導体業界25年のベテランの旨。

◇SMIC transitions CEO responsibility to Dr. Haijun Zhao (5月10日付け ELECTROIQ)

【4月の落ち込み】

月別売上高が発表される台湾の半導体業界各社であるが、このほど発表されているこの4月分について、TSMC、UMCそしてASEと、目立つ落ち込みとなっている。特にTSMCは、37ヶ月ぶりの低い水準である。

◇ASE April revenues down 10% on-month (5月8日付け DIGITIMES)
→実装&テストのAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)の2017年4月連結売上げがNT$20.49 billion($678.7 million)、前月比約10%減、前年同月比1.3%増。2017年1-4月売上げ累計はNT$87.04 billion、前年同期比5.4%増。

◇TSMC April revenues decrease (5月10日付け DIGITIMES)
→TSMCの2017年4月連結売上げがNT$56.87 billion($1.88 billion)、前月比33.8%減、前年同月比14.9%減、37ヶ月ぶりの低水準の旨。2017年1-4月売上げ累計はNT$290.79 billion、前年同期比7.6%増。

◇UMC, VIS April revenues down (5月10日付け DIGITIMES)
→UMCの2017年4月連結売上げがNT$11.93 billion($393.62 million)、前月比6.5%減、前年同月比10.8%増、12ヶ月ぶりの低水準の旨。2017年1-4月売上げ累計はNT$49.34 billion、前年同期比9.2%増。

半導体が引っ張る台湾の輸出であり、4月の全体輸出総額についても連動するインパクトが見られている。

◇Taiwan April export value down on month, up on year, says MOF (5月8日付け DIGITIMES)
→台湾・Ministry of Finance(MOF)が8日リリースした統計データ。
台湾の2017年4月の輸出入総額:
 輸出 $24.32 billion 前月比 5.4%減 前年同月比 9.4%増
 輸入 $21.53 billion 前月比 1.1%減 前年同月比23.5%増
うち台湾製最大輸出品目のelectronicコンポーネント:
    $7.625 billion 前月比12.2%減 前年同月比10.7%増
1-4月累計額:
 輸出 $96.42 billion 前年同期比13.6%増
 輸入 $82.86 billion 前年同期比22.1%増

【IoT関連】

internet of things(IoT)半導体のインタフェース仕様におけるセキュリティ問題について、MIPI Allianceが取り組んでいくとしている。

◇MIPI addresses security concerns of IoT chip interfaces-MIPI takes on IoT chip interface security (5月8日付け Electronics Weekly (U.K.))
→MIPI Allianceが、Security Birds of a Feather(BoF)グループを結成、特にinternet of things(IoT)半導体に向けて、モバイル機器インタフェース仕様におけるセキュリティ問題に注目していく旨。これら懸念としては、availability, confidentialityおよびintegrityがある旨。

IoT関連の特許出願について特許庁が調査、2005〜2014年について我が国の出願が最も多いデータ内容となっている。

◇主要国特許出願、IoT日本最多、2005〜2014年 (5月9日付け 日経)
→特許庁が8日、2016年度の特許出願の技術動向調査を公表、2005〜2014年の日米欧中韓など主要国への出願状況を調べたところ、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術を使った製造業関連では、日本の出願が最も多く調査対象の4割超だった旨。


≪グローバル雑学王−462≫

超大国、米国の存在により世界平和が維持されている、すなわちパックス・アメリカーナの今後の行方はどうなるか、

『日本人として知っておきたい「世界激変」の行方』
 (中西 輝政 著:PHP新書 1076) …2017年2月21日 第1版第4刷

より、著者の主張に触れていく後半である。以下読み進める間でも北朝鮮の核実験の動きに向けて、米国海軍の原子力空母、カールビンソン(Carl Vinson)が朝鮮半島近海へ向けて航行、我が国海上自衛隊の護衛艦が防護の任務に就くなど、米日韓で備える日々のニュースに注目させられている。暴発を抑えるには、米国を中心とした国際的連携力が欠かせない現実を改めて知るところである。


第3章−2 介入か孤立か――パックス・アメリカーナの行方

◆「アメリカの理念」はどちら向きにもなりうる
・「世論の強い国」、アメリカ
 →民意の振れ幅が大き過ぎて、政治・外交上の振る舞いが180度変わってしまう
 →孤立主義 ⇔ 国際主義(対外介入主義)
・意識するとしないとにかかわらず、アメリカ人が自らの国益にとって正しいと信じ選択した結果が、なぜか「アメリカの理念」となる
 →ここが、我々にとって最も理解することの難しい「アメリカの本質」そのもの

◆パックス・アメリカーナの三つの指標
・この二十数年、冷戦後の世界に君臨したパックス・アメリカーナの今後の推移をどのように見るべきか
 →3つのわかりやすい指標
・第一:アメリカ経済の「力強い回復」が再び世界を引っ張っていくことになるかどうか
 第二:「テロの大波」をアメリカは食い止めることができるのか
 第三:今後もパックス・アメリカーナの存続を期待できるのか、とりわけ、南シナ海に大きく膨張し続ける中国への対応
    →世界の貿易の40%がこの南シナ海経由で行われている

◆「米軍の抑止力」の本質
・南シナ海の事態に対していち早く危機感を持ったのは、ほかならぬ日本
 →2016年4月12日、日本の海上自衛隊の護衛艦二隻が、ベトナムの軍事拠点、カムラン湾に寄港
 →日本のかつてない戦略的な対外介入政策の発動
・すでに我が国は、海上保安庁の巡視船をフィリピン、ベトナムに供与
 →中国から見れば明白な「日本による南シナ海への軍事関与」ということに
・中国が南シナ海で行なっている国際法秩序への挑戦は、日本としては何としても抑止しなければならない
・短期的に考えられる中国側の対抗措置
 →東シナ海での一連の対日軍事挑発
・そもそも、いかなる国の間でも、国家というものの本質上、領土問題は潜在的につねに一触即発の危機を孕んでいる
・日本人は、アメリカの掲げる「抑止力」という概念の本質をもう一度しっかり押さえておかねばならない
 →「抑止」というのは、相手国との間で武力衝突が「起こらないようにする」ことだけが目的
・たしかに現在、アメリカの力による中国の抑止は効いている
 →中国がそれを敢えて乗り越えてきたとき、アメリカがそれを「自国の安全への脅威」として対処するかどうか、考えにくい
 →アメリカ自身の「生存」に関わる国家としての根本原則に関わってくる問題
・そもそも、アメリカが東アジアに軍事力のプレゼンスを置いている理由
 →北東アジア地域の紛争を抑止し、アメリカの安全と経済上の国益そして地域の平和を保つという目的のため
・国家というものの本質から考えて、他国の防衛に「死力を尽くす」国など、どこにもないことは、つねに直視すべき命題

◆第二次大戦後の世界秩序の崩壊
・中国は、いまやその存亡を懸けて、いわば死に物狂いで南シナ海の現在の支配権つまり実質的な中国の領有状態を守ろうとするだろう
・アメリカが中国を南シナ海の軍事拠点から本気で排除
 →これは、もはや21世紀の「アメリカの選択肢」としては極めて考えづらいこと
・アメリカが南シナ海で進行中の中国による軍事拠点化を長期にわたって止められないなら
 →これまで続いてきたパックス・アメリカーナは少なくいっても大幅に後退することに
・冷戦後のアメリカ主導の世界秩序に正面から挑戦し、あからさまに他国領土の侵略と併合を既成事実化
 →中国だけではなく、「プーチンのロシア」によるクリミア占領はいまや完全に既成事実化
 →第二次大戦後の世界秩序の崩壊というべき出来事
 →日本にとってかつてない「大変な時代」が到来
・さらに、我々日本人には、度重ねて核実験そして多数の弾道ミサイルの発射を続ける北朝鮮の行方
 →そもそも、「核放棄を約束しない北朝鮮と交渉しようとすること」自体が危険極まりないこと
 →北朝鮮がここまで核実験を重ねた後というタイミングでの米朝接近の恐ろしさ

◆日本からなぜ核武装論が起きないのか
・韓国ではとくにこの数年、「核武装論」がまさに花盛り
 →一因として、アメリカによる北朝鮮の事実上の核保有の容認あるいは米朝接近の動きを封じようとすること
・トランプの「暴言」の意義をあらためて考えるとき
 →アメリカの「核の傘」に頼らず、自力で核兵器を開発
・北朝鮮の核保有とイランの核開発、中国の南シナ海の海域支配とロシアのクリミア併合
 →「世界秩序の支柱」を外すことになるような深刻な事態がすでに既成事実化
 →それほどまでにアメリカは弱体化しているのだろうか
 →パックス・アメリカーナが崩れ去る様をまざまざと日本に教えているように思われる

◆ジョージ・ケナンの慧眼
・冷戦時代、ソ連の「封じ込め戦略」を立案した外交官、ジョージ・ケナン
 →国力に余裕のあるうちに、常識的で「持続可能な外交戦略」に転換すべき、と冷戦後主張
 →さらなる覇権の拡大を図るベーカーやクリントンの外交路線は最も危険な選択として、強く批判
 →世界各地に介入しようとするアメリカの姿勢を強く否定
・その私(著者)でさえ、冷戦後のアメリカがこれほど世界中に介入を繰り返し、自らも本来よりもずっと早期に疲弊と衰退に陥ってしまう、とは正直いって予想していなかった
 →世界に対する孤立主義、否、「不介入路線」へのアメリカ外交の転換に備え「一極として立つ日本」を目指して、我々は今こそ強靭な思考と独立の気概を取り戻さねばならない

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