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それぞれの先行き、インテルの10-nmとSIAのリサーチビジョン

次期スマートフォン用のモバイルプロセッサ製造に向けてSamsungとTSMCの間で10-nm以降の対応を競い合う動きが繰り広げられているなか、半導体業界最大手、インテルの対応が注目される折り、同社の投資&購買筋向けイベント、Technology and Manufacturing Dayにて10-nm対応はじめライバル他社に如何に先行するか、プレゼンが行われている。Moore's Lawは鈍化していないと伝統の路線が主張されている一方、米SIAがSemiconductor Research Corp.(SRC)とともにPost-CMOSリサーチ重点を表わしており、それぞれの先行きに思いを巡らせている。

≪CMOS scalingの分かれ目≫

10-nmプロセス技術についてのSamsungとTSMCの間の凌ぎ合いが、Samsungが若干先行という分析も目に入るなか、引き続いている。

◇TSMC to begin volume production of A11 chips in April, says paper-Report: TSMC to start making Apple's A11 chips next month (3月27日付け DIGITIMES)
→中国語・Economic Daily News(EDN)発。TSMCが、4月にAppleのA11半導体の量産を開始、7月前に該半導体の50 million個の生産capacityを準備する旨。2017年9月に打ち上げ予定の次期iPhoneシリーズを動かす該A11半導体は、10-nm FinFETプロセスで作られ、wafer-level integrated fan-out(InFO)実装技術で収容される旨。

これに対して、遅れ加減のインテルの対応&動向が注目されていたが、火曜28日の同社Technology and Manufacturing Day(San Francisco)にて以下の概要のプレゼンが行われている。

◇Intel Unveils 10, 22nm Processes-Transistor-density metric proposed-Praise for 10nm, mixed reactions for metric-FinFETs compete with FD-SOI-More details on 14nm, foundry-Intel intros 10nm and 22nm process tech (3月28日付け EE Times)
→Intelが、今年10-nm半導体の製造を開始、ライバル連に採用するよう挑むmetricを用いてトランジスタ密度で業界をリードする旨。これとは別に同社は、22-nm低電力FinFET nodeを発表、Globalfoundriesなどライバルからのfully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)ファウンドリービジネスと競う旨。10-nmでは、Intelは100.8 million個/mm2のトランジスタを収容、TSMCおよびSamsungが現在生産している10-nmファウンドリープロセスはその密度の約半分と見積もられる旨。Intelのmetricは、大小ロジックセルのを平均化している旨。「包括的で定量的、そして正直なmetricと思う」と、同社senior fellow and director of process architecture and integration、Mark Bohr氏。

トランジスタ密度について新たなmetricが提案され、これによるライバル他社に対する優位性が訴えられている。

◇Intel Now Packs 100 Million Transistors in Each Square Millimeter (3月30日付け IEEE Spectrum)

◇Intel's 10nm Process: It's More Than Just Chip Scaling-Intel's latest announcements could lead to big changes in the framework of new processors. (3月30日付け PC Magazine)

◇Intel digs deep to keep Moore's Law alive-Intel is changing the way it measures process technology advancements in a bid to hang on to Moore's Law-Intel makes adjustment in Moore's Law metrics (3月28日付け CIO.com/IDG News Service)
→Intelが、ロジックトランジスタ密度を測る上でより広いcell幅を使用、Moore's Lawに極めて重要なmetricを変えている旨。同社は、14-nmプロセス技術から10-nmおよび7-nmへの移行を図っている旨。

◇Intel: Moore's Law isn't slowing down (3月28日付け VentureBeat)

◇Intel: Our 10-nanometer chips will cost 30% less than the competition's (3月28日付け VentureBeat)

「Moore's Lawは絶えてはいない、少なくとも我々については。」と、インテルのexecutive vice president leading manufacturing, operations and sales、Stacy Smith氏のコメントにある。他にも実装上の新技術、embedded multi-die interconnect bridge(EMIB)が改めて紹介されている。

◇Intel puts two chips in a single package more efficiently (3月28日付け VentureBeat)
→Inteが、2つの半導体を単一パッケージに低コスト化およびcomputerの全体性能改善を図るよう如何に収めるかを解決、embedded multi-die interconnect bridgeについて。

SamsungがQualcomm向けに10-nm半導体、Snapdragon 835をすでに生産しており、TSMCに少しながら先んじているという見方があるなか、インテルの10-nm半導体がどうあらわれてくるか、2倍のトランジスタ密度、"hyper scaling"に高まる注目である。

◇Intel: Our next chips will be a 'generation ahead' of Samsung-Its 10-nanometer chips have double the transistors of rival tech. -Intel claims chip tech advantage over Samsung (3月29日付け Engadget)
→Intelが、長らく遅れている10-nm Cannon Lake半導体が出てくると、トランジスタを2倍に搾り込む"hyper scaling"が奏功、ライバルのSamsungおよびTMSCより1世代フルに先行する、としている旨。Intelは、たぶんにbuyersおよび投資家をなだめるために、昨日の同社Technology and Manufacturing Dayにてこの情報をすべて提示の旨。

一方、木曜30日には、米SIAがSemiconductor Research Corp.(SRC)とともに今後の半導体技術革新を維持するためのリサーチ優先順位リストを以下の通り表わしている。Moore's Lawに代表される従来の微細化が終わりを迎えるとして、新しい材料、技法、アーキテクチャーなどに主眼が置かれている。

◇Chip Industry Outlines Post-CMOS Research Focus -SIA, SRC look toward post-CMOS technology (3月30日付け EE Times)
→Semiconductor Industry Association(SIA) trade groupが木曜30日、向こう数年半導体技術革新を維持するためのリサーチ優先順位の包括的リストを提示、従来のCMOS scaling時代が終わりに近づき、エンジニアが新しい材料、製造技法、アーキテクチャーおよび構造に向いている旨。
Semiconductor Research Corp.(SRC)とともに展開されたSIAの73ページのレポートは、14のリサーチ重要領域を表わしている旨。

◇Semiconductor Industry Sets Out Research Needed to Advance Emerging Technologies, Unleash Next-Generation Semiconductors-New SIA-SRC report calls for robust research investments throughout the semiconductor industry and value chain (3月30日付け SIA/NEWS)
→SIA-SRCのレポート、"Semiconductor Research Opportunities:
An Industry Vision and Guide"について。14のリサーチ重要領域:
 1. Advanced Devices, Materials, and Packaging
 2. Interconnect Technology and Architecture
 3. Intelligent Memory and Storage
 4. Power Management
 5. Sensor and Communication Systems
 6. Distributed Computing and Networking
 7. Cognitive Computing
 8. Bio-Influenced Computing and Storage
 9. Advanced Architectures and Algorithms
 10. Security and Privacy
 11. Design Tools, Methodologies, and Test
 12. Next-Generation Manufacturing Paradigm
 13. Environmental Health and Safety: Materials and Processes
 14. Innovative Metrology and Characterization
レポート内容、下記参照。
https://www.semiconductors.org/clientuploads/Research_Technology/SIA%20SRC%20Vision%20Report%203.30.17.pdf

◇Semiconductor industry sets out research needed to advance emerging technologies (3月30日付け ELECTROIQ)

インテルのMoore's Law路線主張とある種のせめぎ合いを感じるところがあるが、それぞれの先行きに健全な業界の進展拡大を願うものである。

長らく続いた国際半導体技術ロードマップ(ITRS)はIEEEに引き継がれて、前回以下の概要を示しているが、新たな記事を加えて以下再掲している。

◇Roadmap Says CMOS Ends ~2024-IRDS points to chip stacks, new architectures-Systems innovations are on the horizon (3月23日付け EE Times)
→装い新たな半導体ロードマップに取り組むエンジニアからのwhite paper発。伝統的な半導体scalingは2024年頃までに終わりに達すると見る旨。
良いニュースとして、広範多彩、新しい種類のデバイス、半導体stacksおよびシステム革新が、computing性能, パワーおよびコストにおける利点を引き続き約束している旨。International Roadmap for Devices and Systems(IRDS)の一部として本日発行された9つのwhite papersの1つである旨。
 ≪総括表≫ …2021年から物理的寸法のred wall
 ⇒http://m.eet.com/content/images/eetimes/IDRS%20semis%20x%201382__1490304919.png

◇IEEE unveils next lifecycle phase of the IRDS to drive computing industry beyond Moore's Law (3月31日付け ELECTROIQ)
→IEEEが、International Roadmap for Devices and Systems(IRDS)の展開の次のmilestone phaseを発表、IEEE Rebooting Computing(IEEE RC) Initiativeが主催するIEEE Standards Association (IEEE-SA) Industry Connections(IC) Programの旨。computing業界の今後に向けた該initiativeの中核ミッション&ビジョンを補強する一連の9つのwhite papersを打ち上げの旨。

それぞれの示す今後の展望に注目ということと思う。


≪市場実態PickUp≫

【東芝メモリ入札関係】

TVニュース一般報道のトップ項目の1つとなっている東芝を巡る動きであるが、世界の業界各紙の反応、表わし方を引き続き追って以下の通りである。
Westinghouse Electric Company LLC.のChapter 11(連邦倒産法第11章)適用申請、1次入札締め切り、臨時株主総会での半導体メモリ事業の分社決議、そして米国の2社から2兆円提示という動きの推移となっている。

◇東芝、WH破産法申請、米原発子会社、28日にも、韓国電力公社に支援要請 (3月27日付け 日経)
→東芝の経営危機の主因である米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)が米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する方針を決めたことが26日わかった旨。WHが28日にも開く取締役会で正式に決議する見通し。WHは適用申請後の支援先として韓国電力公社グループに協力を要請した旨。実現すれば東芝はWHを連結から切り離すことができ、再建への道が開ける旨。

◇Westinghouse Files for Bankruptcy, in Blow to Nuclear Power (3月29日付け The New York Times)

◇Toshiba memory spinoff raises tech security fears-Japanese group must give thought to blocking leaks, corporate lobby chief says-Japan execs worry about Toshiba unit sale (3月29日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→特に中国が東芝メモリの買い手になる場合のIT技術流出の懸念について。

◇SK Hynix consortium bids over $9 billion for Toshiba chip unit: Maeil Business (3月29日付け Reuters)

◇東芝再建、崖っぷち、半導体売却は高値必須 (3月30日付け 日経 電子版)
→経営再建中の東芝が崖っぷちに追い込まれた旨。米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の法的整理に伴い2017年3月期に1兆円超の連結最終赤字に陥る旨。国内製造業で過去最大の損失、当初想定を上回る衝撃の旨。海外原発の損失拡大リスクを完全遮断する狙いだが、稼ぎ頭の半導体メモリ事業の高値売却を迫られるなど代償も大きい旨。

◇東芝半導体の応札額低調、10社前後が名乗り (3月30日付け 日経 電子版)
→東芝は29日、分社する半導体メモリ事業への出資を募る1次入札を締め切った旨。競合企業や取引先、ファンドなど10社前後が名乗りをあげた旨。
東芝は同事業の価値を1兆5千億〜2兆円と見積もり、巨額損失の穴埋めに充てる考えだが、応札企業の出資額は想定より伸び悩んだ模様の旨。国内工場の維持や2018年3月末までの売却完了といった条件を提示する東芝側と出資企業側の思惑は複雑。さらに日本政府は「技術流出の観点から中国・台湾勢への売却は厳しい」(経済産業省幹部)という方針を示しており、売却先の選定にはなお時間がかかる見通しの旨。

◇東芝、半導体分社を決議、臨時株主総会が終了 (3月30日付け 日経 電子版)
→東芝は30日、臨時株主総会を開き、半導体メモリ事業の分社を決議した旨。財務体質は厳しく、稼ぎ頭のメモリ事業を売却して再建できるのか。
迫の1日が始まった旨。

◇Toshiba gets go-ahead for chip unit sale at angry shareholder meeting-Toshiba can sell chip unit, shareholders say (3月30日付け Reuters)

◇Toshiba Investors Approve Chip Sale After Assailing Management (3月30日付け Bloomberg)

◇Toshiba Shareholders OK Chip Unit Sale as Bidders Mount (3月31日付け EE Times)

◇Impact of Toshiba Sales: Change is Coming in Global Semiconductor Market (3月30日付け BusinessKorea)
→SK Hynix, Western DigitalおよびMicro Technologyなど主要半導体メーカーのどの1社が入札を獲得しても、グローバル半導体市場は大変貌を遂げる様相の旨。

◇東芝、防衛分野の半導体事業は継続、安保に配慮 (3月31日付け 日経 電子版)
→東芝による事業売却を巡り、東芝が探知レーダーなど防衛分野の半導体事業は継続する意向を防衛省に伝えていたことが30日、分かった旨。防衛装備品や技術の中国への流出など安全保障上の懸念に配慮した旨。

◇Toshiba to shield defense technology from memory ops sale-Assures Japanese government it will guard sensitive expertise-Toshiba to keep military chip lines (3月31日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→日本のレーダーシステムおよびP-1哨戒機に東芝の半導体が入っている旨。

◇Toshiba offered $17.9 billion for chip unit by Silver Lake and Broadcom: Nikkei (3月30日付け Reuters)

◇東芝、難路の半導体売却交渉、分社を決議、技術流出の防止課題、米社が2兆円提示 (3月31日付け 日経)
→経営再建中の東芝は30日、臨時株主総会を開き、半導体メモリ事業の分社を決議。新会社株式の過半を売却し、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の法的整理に伴う巨額損失を埋める旨。世界シェア2位の同事業への関心は高く、米社から2兆円の買収提案があったことが同日、分かった旨。東芝は先端技術の流出を防ぎつつ、早期の高値売却を探るが、この先の道も平たんではない旨。出資の名乗りを上げた米韓台10社前後のなかで、米投資ファンドのシルバーレイク・パートナーズ、米半導体大手のブロードコムが2兆円程度と高い買収額を示した模様の旨。シルバーレイクは米IT大手、デル・テクノロジーズに出資しており相乗効果が見込める旨。ブロードコムは企業向け通信機器用半導体をまとめて取り込む狙いの旨。

【2017年IC市場伸長予測】

IC Insightsが2017年世界IC市場伸長予測について、DRAMおよびNANDフラッシュのメモリの急増を見込んで、当初の5%の読みを11%と倍以上に踏み上げている。

◇Semiconductor Outlook Lifted on Surging Memory Prices -IC Insights raises 2017 outlook on memory boom (3月30日付け EE Times)

◇IC Insights more than doubles its 2017 IC market growth forecast (3月30日付け ELECTROIQ)

◇IC Insights more than doubles 2017 IC market growth forecast (3月30日付け DIGITIMES)
→IC Insightsが2017年世界IC市場伸長予測について、当初の5%の見通しから倍以上の11%に上方修正の旨。DRAMおよびNANDフラッシュメモリ市場について大きく引き上げており、それぞれ39%および25%の伸びを見込んでいる旨。

【中国・Tsinghuaの政府資金確保】

半導体業界M&Aの嵐の目、中国のTsinghua Unigroupが、さらなる世界的な活動の拡大強化に向けて中国政府系からの資金を以下の通り獲得、今後の動きに一層注目である。

◇China's Top Chipmaker Secures $22 Billion to Expand Globally-Unigroup nails down $21.8B in funding (3月28日付け Bloomberg)
→中国・Tsinghua Unigroupが、operationsの世界的拡大に向けてChina Development Bankおよび中国・Integrated Circuit Industry Investment Fundからの資金、$21.8 billionを準備、買収などの目的で用いる可能性の旨。

◇China's Tsinghua Unigroup signs financing deals for up to 150 bln yuan (3月28日付け Reuters)

◇Tsinghua Unigroup to obtain more funds from government (3月29日付け DIGITIMES)
→Tsinghua Unigroupが28日、China Development Bank(CDB)との契約調印を発表、2020年までCNY100 billion($14.5 billion)の融資支援を受ける旨。Tsinghua Unigroupはまた、中国・National Semiconductor Industry Investment Fund(Big Fundとして知られる)の監督で2014年に設立されたSino IC Capitalと別の合意に達しており、最大CNY50 billionが注入される旨。

【ウーバーの自動運転車事故】

ライドシェア(相乗り)サービスの最大手、米国のウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)の自動運転車が、以下の通りアリゾナ州で試験運転中に横転事故を起こしている。今後に向けて注目の新分野であり、再発防止から完全な自動運転実現に至る確実な進み具合に目が離せないところである。

◇米ウーバー、自動運転車が試験中に事故、アリゾナ州で (3月26日付け 日経 電子版)
→米ライドシェア最大手、ウーバーテクノロジーズの自動運転車が米アリゾナ州での試験運転中に横転事故を起こした旨。深刻なけがなどの被害は報告されていない旨。ウーバーはサービスを中断し原因の検証に入った旨。
人間の運転手との道の譲り合いに失敗したのが原因とみられる旨。完全な自動運転の実現に向け、道路上での人間の運転手とのやりとりが大きな課題になっている旨。ウーバーは「自動運転モード使用中に起こった事故だが、顧客は乗っていなかった」とのコメントを出した旨。事故が起きたのは自動運転に向けてスウェーデン・ボルボ・カーと共同開発した多目的スポーツ車(SUV)車両。運転手が乗り込みハンドルをいつでも握れる状態にしているが、高速走行中でうまく対応できなかった模様の旨。

◇Uber Yanks Robo-Cars after Arizona Crash-Can machines learn to work and play well with other children? (3月27日付け EE Times)
→Uber Technologiesが、Arizonaでの金曜24日の事故の後、Tempe, Arizona, PittsburghおよびSan Franciscoでのpilotプログラムで運用される同社自動運転車のすべてを引き上げた旨。

◇Police Report Untangles Uber Crash Mystery (3月30日付け EE Times)
→Tempe (Ariz.) Police DepartmentからのUber車の3月24日衝突事故レポートについて。


【Intelの3D XPoint製品】

引き続いてIntelの3D XPointメモリ技術に注目。サーバ用Optane SSDsに続いて、PCsの応答が著しく改善されるM.2 cardsの販売開始が表わされている。改善の程合い、コストパフォーマンスが注目される。

◇Intel's next-gen hyperfast Optane SSDs for PCs to ship in April-PCs will be able to boot twice as fast on Optane SSDs-Intel sets April shipments of PC Optane SSDs (3月27日付け Computerworld)
→IntelのPCs用Optane solid-state drives(SSDs)の出荷が4月24日に始まる旨。3D XPointメモリデバイスに基づくOptane SSDsは、PC bootingを2倍高速にし、内部データストレージ性能を14倍高める旨。

◇Intel Pumps Up PCs with Optane-Sub-$100 M.2 cards accelerate hard drives-A deeper look into the benchmarks (3月27日付け EE Times)
→Intelが来る4月24日、PC hard drives向けacceleratorsとして同社3D XPointメモリを用いるM.2 cardsの販売を開始、今月始め発表されたサーバ用solid-state drives(SSDs)に続くIntelから2番目の3DXP製品になる旨。Intelは、該新カードにより応答が改善されるPCsが作り出されるとしている旨。


≪グローバル雑学王−456≫

石油価格で目にするように新興国の勢いが弱まる一方、欧州や日本の景気低迷が続く中、

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

より鍵を握る米国の動きから今後のグローバル経済の潮流に迫る後半である。オバマ政権からの路線変更を図るトランプ政権の打つ手が、医療保険制度改革法(オバマケア)を見直す代替法案が撤回に追い込まれるなど拒否反応が目立つ現時点でもある。米国の政治と経済の足取り、方向性に一層注目するところである。


第4章−2 グローバル経済の新潮流を読む −世界経済の鍵を握る米国は何を考えているのか

◆石油価格下落の何が問題なのか?
・石油価格指標WTI
 →2014年の春先に110ドル、それが一時は35ドルを切るような水準まで低下
  →石油関連を原材料として使っている企業のコストは低下、業績改善に
・世界経済全体から見れば、石油価格下落は懸念材料として捉える向きが強い
 →背景に世界的な景気低迷
 →中国経済の減速がその象徴。多くの新興国や途上国の景気が後退
・経済にとっては、何ごとも急激に変化することは好ましいことではない
・石油価格が暴落していることは、様々な政治リスクを伴うことに
 →大きく揺さぶられる中東の政治情勢
・ただ、今の時点で過度に悲観的な議論をする必要はない
 →石油価格がこのまま下落を続けるとも考えにくい
【視点46】石油価格の急激な下落は新興国の景気後退を反映したものである。日本企業への影響・世界的株安への影響・中東の政治への影響など、今後も石油から目が離せない。

◆世界経済の主導権は「新興国」から「先進国」へ戻りつつある
・2008年のリーマン・ショックまでは、グローバルな資金の流れは新興国へ
 →該ショックを転機に大きく変わったBRICs
 →ブラジル、ロシア、インド経済は厳しい状況に
・内需関連の投資を刺激した中国
 →一時的に経済を刺激する効果はあったが、過剰設備や過剰供給を生み出した
 →中国も、他の新興国と違いはなかった
・気になる人民元の動き
 →人民元の為替レートが顕著な低下傾向
 →中国の外貨準備が急速に縮小
・新興国や資源から資金が出ていくというトレンドがさらに顕著になるのか注意して見る必要
・世界経済の流れが新興国主導から先進国主導に戻ったと考えれば、それほど悲観的になることもない
 →いずれにしても、世界の資金の流れは不安定、円レートもその影響を大きく受ける
【視点47】経済後退とは無縁と言われていた中国でも、資金流出が本格化してきた。日本の円レートがその影響をどれだけ、どのタイミングで受けるのか、見極める必要がある。

◆ケインズの美人投票とリスクオフ
・2016年の年初のグローバル市場は、リスクオフの流れで大混乱
 …投資資金がリスクを避けて一斉に安全資産に逃げ込むような状況
・ケインズの美人投票のたとえ
 →為替のような市場では、自分がその通貨をどう評価するのかということよりも、市場の参加者がどう評価するのかということが重要
 →誰が美人だろうかということについて、皆がどう考えているのだろうか、と考えることが求められる
・パニック状態になった市場にあわせてパニックに陥る必要はない
 →少し時間が経てば、市場は落ち着くはず、より正確な評価が出てくるはず
 →そうした評価は市場の動きにも反映されるはず
【視点48】世界市場の混乱により「美人投票」の思考で市場がリスクオフに傾くのは仕方がない。今は短期的なマネーの流れに踊らされず、長期的な視野で判断を行いたい。

◆為替レートが円高に振れる理由 −1ドル120円から106円へ
・2016年5月の連休中を狙ったような円高の動き
 →少し前には120円台が、5月4日時点では1ドル=106円台に
・為替レートが円高に方向に動くきっかけ
 →1つは米国。景気の動きに慎重に
 →2つ目は、日本銀行の動き。金融政策の効果が限界に来ているのではないかという見方
 →3つ目に、新興国の動き。中国の景気減速、新興国からの資金流出の動きなどで円を安全資産として買いに来ている
・いかにもタイミングが悪かった、日本国内の市場が閉まるゴールデンウィーク
 →政府による為替介入への警戒の必要が少ない連休
 →急速に円高が進んでしまった
・ある程度の円高が定着する可能性はあるが、際限なく円高に向かうとも考えにくい
 …(注) 現下の2017年3月20日時点では、1ドル=112.61円
【視点49】米金利引き下げペースの衰え、日銀の政策への不信感、新興国の資金流出が急速な円高を招いている。しかし際限なく円高が続く可能性も低く、一概に悪いわけでもない。

◆「欧州が日本になりそうだ」が意味するもの
・日本はデフレで経済低迷を続けていたが、欧州経済の「日本化」が始まろうとしているという表現も
 →リーマン・ショック後もっともパフォーマンスのよかった英国、EU離脱の影響で経済の見通しも暗い
・新興国も先進国も経済が振るわないことで、世界全体としての景気低迷感が強くなっている
 →そうした流れの象徴が、歴史的な低水準にある長期金利
・様々な形でデフレ的な要因が日本に襲いかかっているが、その大本にあるのは世界経済全体が長期停滞的な状況にあること
 →金融政策・財政政策・成長戦略という当初の三本の矢の機能を最大限に発揮すること
  →ポイントは、三本の矢を束ねるということ
【視点50】欧州の日本化に代表される世界経済の停滞が続く。中国などの新興国も経済が振るわない。日本は三本の矢を束ねた総合力を活かして、デフレを脱却すべきだ。

◆米国の金利上昇が円安ドル高を招く −気になるFRBの動向
・米国が政策金利を引き上げる方向に動く兆しが見えること
 →日本経済にとって少なくとも2つの意味
  1)米国経済の景気が回復すること …恩恵が日本にも及ぶ
  2)為替レートへの影響 …イエレンFRB議長の発言を受け、円安に大きく動き、株価も大幅に上昇
・新興国では厳しい景気、資源国の経済も資源安の影響で低迷
 →こうしたときには、先進国の経済が世界経済を支えなくてはいけない
 →どうしても米国経済への期待が大。これからも米国の政治と経済の動きから目が離せない
【視点51】米国の金利上昇は、世界経済の回復と円安ドル高を意味する。新興国の勢いが弱まり欧州や日本の景気低迷が続く中で、今後の米国の政治と経済から目が離せない。

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