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新分野へのうねり…インテルのMobileye買収:Embedded World

昨年は同時株安、原油安と世界経済の減速で始まったが、今年は世界の政治経済の波乱含みの激動で覆われており、株価だけは最高を更新する現状となっている。半導体業界で見ると、スマートフォンはじめモバイル機器の減速基調のなか、新分野そして新技術の開拓、挑戦が旺盛に続いていることは昨年、今年と変わりないところである。現下の新分野へのうねりの動きとして、インテルによる自動運転車技術のMobileye(イスラエル)買収、そして多彩なアプローチが繰り広げられている「2017 embedded world Exhibition & Conference」(3月14日〜16日:ドイツ・ニュルンベルク)に注目している。

≪相次ぐ各社の戦略的打ち上げ≫

インテルが、自動運転車技術を世界的に引っ張るMobileye(イスラエル)を153億ドル(約1兆7000億円)で買収とまたまた大型のM&Aの動きとなっている。これを受けた業界各紙の表わし方である。

◇Intel Rocks World with $15B Mobileye Buy (3月13日付け EE Times)
→プロセッサ世界最大手、Intelが、advanced driver assistance systems(ADAS)および自動運転向けcomputer vision半導体&アルゴリズムを世界的に引っ張るMobileye(イスラエル)の買収に約$15 billionを充てる計画の旨。

◇Intel buys Mobileye in $15.3B deal, moves its automotive unit to Israel-Intel to pay $15.3B for self-driving car systems firm Mobileye (3月13日付け TechCrunch)
→Intelが、自動運転車技術メーカー、Mobileyeの$15.3 billionでの買収を確認、両社は昨年来自動運転車システムについてのパートナーとして協働している旨。

◇Intel to buy Mobileye for $15 billion in largest purchase of Israeli tech-Deal between computing giant and automotive technology firm marks latest push by a major tech company toward self-driving cars (3月13日付け The Times of Israel)

◇Intel's $15 billion purchase of Mobileye shakes up driverless car sector (3月13日付け Reuters)

続いて、この買収に対する反応、分析が行われている。多様なインパクトとともに、将来の車社会そして車のもたらすデータのイメージ、意味合いが浮かんでくる。

◇Intel/Mobileye Duopoly: Dream or Nightmare? (3月15日付け EE Times)
→Intelの月曜13日のMobileye買収が、業界関係者の間に入り混じった感じ方および対照的な見方を起こさせている旨。興奮、当惑、驚き、恐怖、自信、そして失望の向きもある旨。

◇Intel bets on selling Mobileye data, with maps a first test (3月15日付け Reuters)
→IntelによるMobileye(Israel)の$15.3 billion買収提案を理解する上で、自動運転車が回りの道路および物体をスキャンして作成、まとめるデータが売上げの源となる可能性がある旨。Intel社のChief Executive、Brian Krzanich氏曰く、そのデータが該取引にカギとなり、mapping技術による最初の実体的な売上げの流れが見えてくる旨。McKinsey & Companyによると、自動運転車データにより2030年までにグローバルに$450-$750 billionがもたらされて、車の中でのショッピング、entertainmentセンターとしての車、およびデータに基づく都市計画改善など広範囲の応用がある旨。

◇インテル、モービルアイ買収、自動運転8兆円市場に的、自動車業界に足がかり (3月17日付け 日経産業)
→米インテルは先進運転支援システムのモービルアイ(イスラエル)を153億ドル(約1兆7000億円)で買収することを決めた旨。インテル史上2番目の大型買収で狙うのは、2030年に約8兆円規模と見込まれる自動運転車市場の主導権。世界の主要な完成車、部品メーカーと取引があるモービルアイを取り込み、技術開発や陣営作りを急ぐ旨。

組み込みハードウエアとソフトウエアの国際展示会「2017 embedded world Exhibition & Conference」(3月14日〜16日:ドイツ・ニュルンベルク)より、各社の多彩なアプローチである。まずは、Xilinxの人工知能エンジンの取り組みである。

◇Xilinx AI Engines Steers New Course-Where computer vision meets machine learning-Xilinx embraces AI/machine learning with stack (3月13日付け EE Times)
→システム設計者がより広範なembeddedシステムで使えるdeep neural networks用に設計されたone-size-fits-allの推論エンジンは単一ではないが、今週のEmbedded World(2017年3月14-16日:Nuremberg, Germany)にてXilinxが、“reVision” stackなるものを展開、この認識を変える期待の旨。Xilinxは該stackを、ハードウェア設計expertiseがほとんどないソフトウェアおよびシステムエンジニアがずっと広くintelligent vision guidedシステムをより容易に早く開発できるよう設計している旨。

Silicon Labsからはinternet of things(IoT)機器開発向けに練り上げたSoCsである。

◇Silicon Labs Beefs Up IoT SoCs (3月14日付け EE Times)
→multiprotocolワイヤレスIoT SoCsのこれまでのバージョンを販売して1年、Silicon LabsがEmbedded World(2017年3月14-16日:Nuremberg, Germany)にて、新たに拡張されたWireless Gecko SoCsのportfolio、EFR32xG12を展開、昨年投入されたGeckosに対して"大幅に強化"されている旨。

◇Embedded World 2017 - Silicon Labs enhances Gecko MCUs-Silicon Labs beefs up its Gecko MCU line (3月14日付け New Electronics)
→Silicon Labsが、Jade and Pearl Gecko microcontrollers(MCUs)を投入、internet of things(IoT)機器開発をサポートするために同社EFM Gecko MCU rangeに新しいfeaturesを加えている旨。該新MCUsから、IoT機器に向けてcybersecurity対応能力増加、複数の低電力センサおよびtouch-controlインタフェースが得られる旨。

NXP Semiconductorsは、車載ソフトウェア設計の高速化、そして新技術、fully depleted silicon on insulator(FD-SOI)に賭けるアプローチである。

◇Embedded World 2017 - NXP accelerates automotive software design-NXP aids auto software design with suite (3月14日付け New Electronics)
→NXP Semiconductorsが、scalable ARM Cortex-ベースmicrocontrollers(MCUs)ラインをサポートするautomotive-gradeツール&ソフトウェア一式、S32K1を披露、該software design kit(SDK)は今や同社S32 Design Studioの一部であり、Eclipse-ベース統合開発環境である旨。

◇NXP Goes All In on FD-SOI-NXP moves to FD-SOI for lower-power chips (3月15日付け EE Times)
→fully depleted silicon on insulator(FD-SOI)をやるべきか?やらざるべきか? 半導体業界にはその問いに備えのないプレーヤーが残っているが、NXP SemiconductorsのEmbedded World(2017年3月14-16日:Nuremberg, Germany)での発表は、このシェイクスピアの板挟みについに終止符を打つ可能性の旨。NXPは、最も低電力の汎用applicationsプロセッサというi.MX 7ULPを打ち上げ、該設計より、15 uW以下のdeep-sleep suspended電力消費となり、これまでの低電力i.MX 7デバイスより17倍改善される旨。NXPは当面、FD-SOI技術ベースのmicroprocessor(MPU)設計に取り組んでいる旨。

Analog Devicesからは、IoTセンサの一層の低電力化である。

◇EW: ADI aims to slash power consumption of IoT sensors-ADI offers low-power MCUs for IoT sensors (3月14日付け Electronics Weekly (U.K.))
→Analog Devicesが、internet of things(IoT)センサnodesとともに働くよう設計された低電力ADuCM4050 microcontroller(MCU)を投入、同社はまた、該新MCUを対になるADXL372 micropower microelectromechanical system(MEMS) accelerometerを披露の旨。

日本勢として、SocionextのGPUコア搭載SoCが発表されている。

◇Embedded Chip Uses PowerVR Series8XE GPU-SoC uses Imagination GPU core (3月14日付け Electronics360)
→Socionextが、Imagination TechnologiesからのPowerVR Series8XE graphics processing unit(GPU)を特徴とするSC1810 system-on-a-chip(SoC)デバイスを投入、該SoCは、quad-coreプロセッサを搭載、Embedded World conference(Nuremberg, Germany)にて披露されている旨。

ON Semiconductorからは、IoT開発を加速化するソリューションである。

◇Embedded World 2017 - ON Semi offers solutions to accelerate IoT development projects-ON Semi intros IoT Development Kit (3月14日付け New Electronics)
→ON Semiconductorが、ARM mbed operating system(OS)で動く32-ビットARM Cortex-M3コア搭載の同社NCS36510 system-on-a-chip(SoC)デバイスを特徴とするIoT Development Kitを披露の旨。

だんだんと大きなうねりになっていく流れに、引き続き注目である。


≪市場実態PickUp≫

【SEMICON China関連】

SEMICON China 2017(3月14-16日:Shanghai New International Expo Centre[SNIEC])が開催され、世界最大の規模で、中国半導体業界自立化に向かう最中、様々な切り口のプレゼン、反応が飛び交っている。

◇SEMICON China 2017 opens tomorrow in Shanghai (3月13日付け ELECTROIQ)
→SEMICON China 2017(3月14-16日:Shanghai New International Expo Centre[SNIEC])について。60,000人超の入場を見込む旨。

◇Semicon China 2017 kicks off with nearly 900 exhibitors (3月14日付け DIGITIMES)
→約900の出展社、約3,000のブース、ここ6年続けてSEMICON Chinaは半導体業界にとって世界最大、最も影響力のあるtrade showとなっている旨。

中国における12-インチfab capacityの展開である。

◇China 12-inch fab capacity set to boom-China is building more 12-inch fabs (3月14日付け DIGITIMES)
→中国の主要半導体メーカーが新しい12-インチfabs構築の運び、中国における全体12-インチfab capacityが向こう2-3年にわたって最高になる見込みの旨。SMICは、新しい12-インチfabsを1つは上海、他を深センに開設する計画を披露、上海の新しい12-インチfabは2018年に14-nm半導体の量産に入る予定、深センの12-インチラインは成熟したプロセス技術による半導体製造を行い、初期生産が2017年末までに始まる予定の旨。これら新拠点により12-インチウェーハ110,000枚/月が加わる旨。Shanghai Huali Microelectronics, Huaian Imaging Device Manufacturer, Tsinghua Unigroup, Fujian Jin Hua Integrated CircuitおよびHefei Chang Xinも、12-インチfabs構築に目をつけている旨。

中国のトップメーカーから、世界に打って出るにはまだまだと引き締めのプレゼンである。

◇China's top chipmaker downplays rivalry with US-SMIC chairman says Chinese semiconductor companies are still too weak-SMIC chairman says China still has a way to go (3月15日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→SEMICON China conference(2017年3月14-16日:上海)にて、中国最大のシリコンファウンドリー、Semiconductor Manufacturing International(SMIC)のchairman、Zhou Zixue氏。中国はまだ海外の半導体メーカーと競い合えず、米国、韓国、日本および台湾のメーカーのようにグローバルトップ20に入るメーカーがない旨。
中国が引っ張る半導体製造装置市場の拡大ぶりである。後に示すSEMIからの2月billingデータの原動力になっている。

◇China Fab Boom Fuels Equipment Spending Revival (3月16日付け EE Times)
→SEMI trade group発。2016年のfab tool spendingの伸びそして特に期待されている2017年および2018年の伸びの多くは、中国における半導体fab建設ブームの見通しが引っ張っている旨。SEMIが昨年発行したfab-building trackingレポートによると、2017年から2020年の間にグローバルに稼働開始予定の62のfront end fabsのうち、26が中国にある旨。

中国の産業用IoT(IIoT)への積極的な取り組みである。

◇China's Gamble on Industrial IoT (3月16日付け EE Times)
→中国が、Industrial Internet of Things(IIoT)に大きく賭けている旨。
中国政府は、同国のIIoTが2020年までに450 billion RMB(約$65 billion)に伸びると見ており、中国のIoT市場全体の約4分の1を占める旨。中国のIIoT分野は25%以上の伸び率を維持している旨。

中国の半導体設計業界の躍進ぶりが表わされている。

◇China IC design industry growing-China's IC design houses grow, proliferate (3月16日付け DIGITIMES)
→中国の半導体設計メーカーが、2014年の681から2016年には1,362と2年にわたって倍増、大方は政府の助成のお蔭の旨。China Semiconductor Industry Association(CSIA)によると、中国で最大のIC設計メーカーはHiSilicon Technologiesであり、年間売上げが$3.76 billion。

◇China fabless IC firms expand global market share in 2016 (3月17日付け DIGITIMES)
→IC Insights発。ファブレスメーカーIC販売高について米国が依然最大のシェアを占める一方、最も大きく市場シェアを伸ばしているのは中国のサプライヤからきている旨。

良い話ばかりにあらず、中国のM&A攻勢には世界の警戒感が強まっている現実がある。

◇China faces resistance in acquisition of foreign chipmakers-Experts say domestic resources need consolidation to avoid overcapacity (3月16日付け Nikkei Asian Review)
→中国のM&A買い漁りが終わる可能性の旨。中国のハイテクメーカーexecutives曰く、海外の半導体分野への中国の買収介入が現在、海外当局およびメーカーの警戒心の高まりから抵抗に直面している旨。

いずれにせよ、今回のSEMICON China 2017の概観である。

◇Semicon China: Chipmakers talk about Moore's Law and China's fast-growing IC industry (3月17日付け DIGITIMES)
→Semicon China 2017にて、半導体大手のIntel、IC packagerのAdvanced Semiconductor Engineering(ASE)、装置ベンダーのASML, Lam ResearchおよびTokyo Electron(TEL)、そしてnano-electronicsリサーチ機関のImecから、Moore's Lawを妥当に維持する革新、および中国の急速に伸びる自前の半導体業界についての講演があった旨。

【東芝メモリ入札関係】

日々推移を追うことになる東芝メモリの入札関係であるが、この足元の数日の動きが以下の通りである。日本政府、そして米国政府も入っていかざるを得ない流れが強まっている。

◇Toshiba offers memory chip shares as collateral for loans: sources (3月15日付け Reuters)

◇東芝、半導体新社株を担保に、銀行団に融資継続要請 (3月16日付け 日経 電子版)
→経営再建中の東芝が15日、都内で取引銀行向け説明会を開催、東芝は4月末まで協調融資を継続するよう求め、東芝が半導体メモリ事業を分社化して発足する「東芝メモリ」の株式などを新たに担保として提供すると表明した旨。

◇東芝再建に公的資金案、半導体分社、政策投資銀を活用 (3月17日付け 日経 電子版)
→経営再建中の東芝を巡り、公的資金を使って支援しようという動きが出てきた旨。東芝が分離・売却する半導体事業の新会社「東芝メモリ」について、政府系の日本政策投資銀行が一部出資する検討に入った旨。経済産業省も官民ファンドの活用を模索する旨。東芝メモリの入札にはライバルの韓国・台湾勢などが関心を示している旨。海外への技術流出を防ぐため、外資傘下になっても日本勢として一定の株式を確保する必要があると判断した旨。

◇Toshiba Attracts 10 Potential Bidders for Chips Business-Toshiba chip unit brings in multiple bidders (3月17日付け Bloomberg)
→東芝の半導体事業入札が引きつけている分野が広がっており、半導体メーカー他社、日本の金融機関およびprivate equity会社などの旨。入札額は$6.2 billionから$15.9 billionに及ぶ見込み、原子力事業からの償却、$6.3 billionの帳消しにもっていく旨。

◇東芝再建、悩む日米政府、技術流出・雇用に懸念 (3月18日付け 日経 電子版)
→東芝の経営再建が日米両政府を巻き込んだ問題に発展してきた旨。共通する懸案が米原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の破綻処理と半導体メモリ分社の行方。技術の流出や雇用問題につながりかねないための旨。日本政府系の日本政策投資銀行は分社するメモリ事業への一部出資も検討する旨。ただ特定の企業への関与が国民の理解を得られるかを両政府は測りかねている旨。

【最先端を競う打ち上げ】

10-nm以降の取り組みを競う各社の打ち上げが続いている。まずは、TSMCについて。CADメーカーとの連携、そしてロードマップのアップデートである。

◇Cadence achieves certification for TSMC's 7nm process technology (3月14日付け ELECTROIQ)
→Cadence Design Systems社が、モバイルおよびhigh-performance computing(HPC)プラットフォーム用の7-nm FinFET設計革新をさらに進めるためにTSMCとの緊密なコラボから出てきているいくつかの新しいcapabilitiesを発表の旨。

◇Mentor Graphics announces further certification of design tools for TSMC 12FFC and 7nm processes (3月17日付け DIGITIMES)
→Mentor GraphicsおよびTSMC発。TSMCが、12FFCプロセスの現状版についてCalibre Platform並びにAnalog FastSPICE(AFS) Circuit Verification Platformを、TSMC 7nm V1.0プロセスについてCalibre Platform、Nitro-SoC place and route(P&R) Platform, およびAFS Platformを、それぞれ認証の旨。

◇TSMC Tips 7+, 12, 22nm Nodes-EUV rolls into 7+nm node in 2018-First generation 7nm starts its ramp-Advances push into 3nm, machine learning -TSMC reveals new nodes, will use EUV for 7nm (3月16日付け EE Times)
→TSMCがannualイベント(SANTA CLARA, Calif.)にて、新しいhigh-, mid-およびlow-endプロセスの計画を披露、extreme ultraviolet(EUV) lithographyを用いる7-nm FinFET node強化、16-nmプロセスの12-nm格上げおよびfully depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)への同社の答、22-nm planar技術などがある旨。同社はまた、2つのchip-stacking技法への強化、RF CMOSの進展および3-nm node以降への道を開くトランジスタおよび材料の取り組みを表わしている旨。加えて、machine learningを用いる設計capabilitiesのpreviewを行い、年末までに提示される旨。

中国のSMICからは7-nmへの仲間入りを目指すメッセージが表わされている。

◇SMIC to enter 7nm R&D, says CEO-SMIC CEO sets plans for 7nm R&D (3月14日付け DIGITIMES)
→SMICのCEO and executive director、Tzu-Yin Chiu氏。中国の専業ファウンドリー、SMICは、2017年後半7-nmプロセス技術のR&D開始を図っていく旨。SMICは、7-nm半導体を作れるIntel, TSMC, Samsung ElectronicsおよびGlobalfoundriesなど世界の主要半導体の仲間に入る旨。近年は売上げの12-13%を年間R&D投資に充てて、先端ノード技術への重点化を高めている旨。

TSMCとつばぜり合いを演じているSamsungの7-nmへの取り組み、そして現在歩留まり問題が方々聞こえてくる10-nmについてこれまでのレビューおよび具体的な展開が表わされている。

◇Samsung to ramp 7nm in 2018-Samsung plans volume production of 7nm chips (3月14日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsが12日、China Semiconductor Technology International Conference(CSTIC)(上海)にて、同社ファウンドリー技術ロードマップを披露、7-nmプロセスnodeの量産が2018年になる旨。半導体メーカーはsub-10nmプロセス技術への移行でさらに多くの課題に遭遇、該nodeの歩留り改善に苦しむ可能性、と同社技術VP、Ho-Kyu Kang氏。
gate-all-around field-effect transistors(GAA FET)技術が該問題を克服するアプローチになる旨。

◇Samsung on track for 10nm FinFET process production ramp-up (3月16日付け DIGITIMES)
→Samsung Electronicsの10-nm FinFETプロセス技術の生産立ち上げが、顧客のニーズに適合して着実な高歩留りで進んでいる旨。Samsungは第1世代10-nm LPE(Low Power Early)シリコンウェーハをこれまでに70,000枚以上出荷、2016年10月に業界初の10LPE量産を開始している旨。2015年に遡って、Samsungは3D FinFET構造ベース、モバイル応用向け14-nm FinFET LPE技術を投入の旨。

◇Samsung to mass produce new 10-nm app processors-Samsung to put 10nm ICs into volume production (3月16日付け The Korea Herald (Seoul))
→Samsung Electronicsの10-nm features、第2世代applicationプロセッサが、2017年末までに量産に入り、2018年に第3世代が作られていく旨。

◇10-nm Mobile AP: Samsung to Mass Produce 10-nm 3G Mobile AP Chips Later This Year (3月17日付け BusinessKorea magazine online)

【MediaTekを巡る動き】

10-nm FinFET技術の歩留まりが量産規模に高めるには低過ぎるという業界筋の見方が出ているMediaTekの10-nmプロセッサであるが、QualcommがMediaTekを出し抜いてシェアを拡大する状況が見られている。

◇Qualcomm expanding Snapdragon 835 market share at the expense of MediaTek Helio X30-Sources: Qualcomm widens Snapdragon 835 share (3月14日付け DIGITIMES)
→市場筋発。Qualcommが、10-nm Snapdragon 835 SoCsの市場シェアをMediaTekを出し抜いて引き続き拡大、台湾のAPソリューションベンダー、MediaTekは相当品、Helio X30半導体の量産出荷を2017年第二四半期までは行えない旨。10-nm半導体の低歩留りの報道にも拘らず、Qualcommはグローバル主要スマートフォンベンダーからのSnapdragon 835の受注を引き続き獲得、第二四半期から出荷がかなり伸びていく旨。

中国のスマートフォンベンダーにおける具体的な切り換えの動きである。

◇Meizu to switch part of smartphone AP orders from MediaTek to Qualcomm in 3Q17, say sources (3月14日付け DIGITIMES)
→上流supply chain筋発。現在スマートフォン出荷の90%超をMediaTek application processor(AP)ソリューションで供給している中国のスマートフォンベンダー、Meizuが、2017年第三四半期にQualcommからのAPソリューションを大きく採用し始める予定、本年のMeizuの出荷の30%がQualcomm-poweredモデルになる見込みの旨。Meizuの動きは、中国国内のライバルベンダー、OppoおよびVivoが2016年第四四半期にスマートフォン生産全体でのMediaTekのAPソリューション使用比率を下げ始めた後に出ている旨。

MediaTekは、10-nmに先立って12-nmプロセスでこの場をつないでいく展開がうかがえている。

◇MediaTek to roll out 12nm product in 2H17 (3月16日付け DIGITIMES)
→IC backend houses筋発。MediaTekが、TSMCにより作られる新しいモバイルSoCソリューションを展開する計画、2017年後半にTSMCの12-nmプロセス技術を用いる旨。該TSMC 12-nmプロセスは実際には16-nm技術の縮小版であり、過渡的プロセスとみられる旨。一方、TSMCは10-nmプロセス技術の歩留り改善を引き続き行っており、商用生産に満足のいく水準に達していない旨。

【米国における業界関連の動き】

米国Semiconductor Industry Association(SIA)が、下院の法人税改革提案の支持を表明している。

◇Semiconductor Industry Association Supports House Tax Reform Blueprint (3月14日付け SIA/NEWS)
→米国Semiconductor Industry Association(SIA)が、米下院“Better Way”法人税改革提案を改革に向けた妥当な出発点として支持を発表の旨。

◇SIA Backs House Republicans' Tax Plan (3月14日付け EE Times)
トランプ政権であるが、案の定、「H-1B」ビザを止める動きでIT業界に懸念が広がっている。

◇トランプ政権、専門職ビザの優先審査停止 −米IT業界に懸念 (3月15日付け 日経 電子版)
→米IT業界が最も恐れていたトランプ政権の移民政策が具体化し始めた旨。
国土安全保障省移民局は高度な専門技能を持つ外国人向けの査証(ビザ)「H-1B」の申請手続きを優先的に処理する「特急審査」制度を来月から最大6カ月間停止する旨。同制度は主要企業の大半が利用しており、人材採用の停滞などへの懸念が広がっている旨。

そして来る10月からの年度に向けた予算教書の中身も、半導体業界から見ると後退色の強いものとなっている。

◇In Trump Budget, More for Military, as His Supporters May Lose Out (3月15日付け The New York Times)

◇Trump budget seeks defense spending boost, major cuts in other agencies-Trump budget boosts military, cuts EPA, State (3月16日付け Fox News/The Associated Press)
→Donald Trump大統領が本日、新しい$1.15 trillion予算案をリリース、軍事支出を増やすが、Environmental Protection Agency(EPA)およびState Department(国務省)への出資は削減する旨。該予算は、National Oceanic and Atmospheric Administration(アメリカ海洋大気庁)助成を削減、Global Climate Change Initiative(地球気候変動イニシアティブ)へのすべての出資を削減する旨。

◇Here's what Trumps's budget proposes to cut (3月16日付け CNN)

◇トランプ政権の予算案、4つのポイント (3月16日付け THE WALL STREET JOURNAL 日本)
→ドナルド・トランプ米大統領の2018会計年度(2017年10月〜2018年9月)予算教書の概要は政権の優先項目を明確に示している旨。それは対外援助、芸術、環境、公共放送への支出を大幅に削減し、軍備増強と国境警備強化の予算を増やすことの旨。トランプ大統領にとって、選挙公約を具体的な数字に置き換える初めての場となる旨。

【SEMIの北米半導体装置業界月次データ】

SEMIが20年以上続いた月次のbook-to-bill(BB比)データの発行をこの1月に止めており、業界分析にbookingsはもはや要しないと考える向きが出てきた模様である。そこで2月のデータが以下の通りBillings Reportとして、以下の通り表わされている。中国が引っ張る現下の活況を映し出す中身となっている。

◇Fab Tool Sales Keep Climbing (3月17日付け EE Times)

◇North American semiconductor equipment industry posts February 2017 billings (3月17日付け ELECTROIQ)
→SEMIのFebruary Equipment Market Data Subscription(EMDS) Billings Report発。「メモリおよびファウンドリーメーカーが先端半導体技術に引き続き投資、Billings水準が依然高められている。これらの投資は、3D NANDおよび1X-nmデバイスの立ち上げに道を開いている。」と、SEMIのpresident and CEO、Ajit Manocha氏。ここ半年の推移:

Billings(3ヶ月平均)
Year-Over-Year
September 2016
$1,493.3
-0.1%
October 2016
$1,630.4
20.0%
November 2016
$1,613.3
25.2%
December 2016
$1,869.8
38.5%
January 2017 (final)
$1,859.4
52.3%
February 2017 (prelim)
$1,973.1
63.8%

[Source: SEMI (www.semi.org), March 2017]

◇North American semiconductor equipment industry posts US$1.97 billion in Feb billings (3月17日付け DIGITIMES)


≪グローバル雑学王−454≫

グローバル経済が展開していく中、最先端の成長分野を如何に伸ばし、展開していくか。しかしながら、実戦部隊を担う若年層は人口分布で減少傾向の我が国。それでは伸ばすために、補うために、どうするか?「企業」「地方」「人材」の切り口で工夫、戦略など具体的な成功例を

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

より見ていく後半である。オリンピックを控えて、グローバルな人材交流、外国人人材の活用と、意識の改革が求められる一方、コンビニのネットワーク化、品揃えの価格対応、「どれでも100円」の魅力、など工夫、戦略それぞれの引きつける魔力が表わされている。


第3章−2 日本の成長を支えるローカル戦略とグローバル戦略 −「企業」「地方」「人材」それぞれの視点

◆JETプログラムで広がる外国人人材の輪
・(著者が)先日、オーストラリアのメルボルンで会議に出た折、メルボルン大学の先生の、日本で生活した話が印象的
 →瀬戸内海の西の端の方に位置する島、大分県姫島村
 →オーストラリアの若者が瀬戸内海の離島の姫島に来たきっかけは、日本政府のJETプログラム
  …The Japan Exchange and Teaching Program
・JETプログラムのような形で長期的に日本に関わる人材を育成していくことも大切
【視点36】日本政府のJETプログラムによって、日本と一生を通じて関わる多くの外国人人材が育成されている。このような長期的な人材交流もグローバル時代には重要だ。

◆日本人は外国人の労働力をどう捉えるべきか
・海外では、外国人の労働力を育児や介護に利用するのは当たり前のことに
 →香港の例:家政婦雇用、月に4万円ほど、5年以上前の話
  …香港のマンションでは、二畳から三畳程度の家政婦部屋がついたものも
 →台湾の例:インドネシアの若い女性が、月5万円で住み込みの世話
  …3人以上の子どもあるいは80才以上の同居の高齢者がいる場合、インドネシアやベトナムなどの外国人の家政婦を雇える
・日本は、香港や台湾などとはまったく違う状況
 →結果的に介護や育児の負担が国民に重くのしかかることに
 →外国人人材をもっと活用するのが有効だと思う
【視点37】海外では、育児や介護に外国人労働力を活用するのは一般的になっている。将来的には介護離職や待機児童といった問題を解決するため、外国人人材の活用は必須である。

◆これまでも、これからも変化し続けるセブン-イレブン
・流通業界における2016年のもっとも大きな話題
 →セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の引退発表
・第一号店が開業してから約40年となるセブン−イレブン
 →この間の日本経済の変化を取り込み、もっとも確実に実現
 →コンビニ業界だけでなく小売業界全体の雄であり続けてきた
・コンビニに変化を迫った要因は何か
 →「日本の消費市場の成熟化と過剰なまでに増えたコンビニの店舗数」
 →「情報技術の変化による消費行動の変化」
 →「少子化・核家族化による人口減少と世帯数の増加」
・コンビニのとった変化
 →金融ビジネス、弁当の宅配、コーヒーなどの中食の強化など、ビジネスを広げる
 →コンビニは多くの人にとって生活を支えるインフラに
 →店が全国津々浦々に広がることで、価値が高まるネットワークとしての店舗
・店と情報ネットワークの補完性をフル活用、コンビニはさらに強力になるはず
【視点38】セブン-イレブンは、経済変化に対応し続けることでトップを走ってきた。今後はネットワーク化するコンビニの情報を活用し、さらなる高みへと向かうだろう。

◆戦略を変えて生き残り続ける吉野家の価格哲学
・吉野家ホールディングスの安部修仁会長とこのほど2002年以来久しぶりにまとまった対談
 →この間の日本経済の環境変化と、そこでの外食産業の姿の変化がよく見える
・2002年はバブルが崩壊した直後
 →まだ右肩上がりの時代の名残、価格破壊が業界の大きな流れ
 →「やすい」を徹底させた低価格路線…当時の成功戦略
・吉野家はその後、様々な厳しい試練
 →米国発のBSE(牛海綿状脳症)騒動に端を発した牛丼販売の停止
 →「すき家」という強力なライバルの成長
・特に興味深いのは、デフレが後退する中で外食や消費財産業がどのように対応していくのかという点
 →品揃えによって、結果的に平均単価が高くなる効果の期待
  …ベジ丼、麦とろ御膳、鰻重三枚盛
【視点39】吉野家は、徹底したコスト管理によって価格競争を制してきた。現在は、物価や人件費が上昇する中、品揃えを増やして客単価を上げる戦略で、成長を続けている。

◆ブランドビジネスの成功を決める「フォーカルポイント」
・ブランドビジネスのサマンサタバサジャパンリミテッドでの4つのポイント
 →1.よい商品を作る
  2.よい場所でビジネスをする
  3.よいプロモーションを行う
  4.よい人を育てる
・明確に定義しなくても当事者の多くが何となく合意できる点
 →フォーカルポイント
・企業活動でも、販売側も顧客も同じフォーカルポイントを共有、その商品や店のブランドの価値がより明確に
 →自分の商品やサービスの価値をきちっと理解し、その価値を顧客と共有すること
 →ブランドビジネスの基本
【視点40】成功するブランドは自社の商品やサービスの価値を理解し、その価値を顧客と共有できている。販売側と顧客が合意している価値の提供こそ、ブランド構築の鍵である。

◆消費者を飽きさせない創意工夫の必要性
・100円ショップのダイソーを運営する大創産業の矢野博丈社長
 →「次々に新しい商品を開発していかないと客に来てもらえない」
 →常に新製品を出し続けなければ失速してしまう…消費財流通の現実
・多くの商品では高い利益率を長期間維持することは難しい
 →次々に新しい商品を発売する必要
・ファッショントレンドがあり季節性も強いアパレル
 →ここでも常に変化の追求が必要
 →店舗の運営でも「色」への戦略的な取り組みが必要
  →1年を10回以上に分け、それぞれの時期の色。例えば11月のはじめから数週間は黄色
【視点41】消費者は単なる必要性以上の変化を求めており、企業側は新商品を出し続ける必要がある。店頭商品の見た目にも工夫を凝らし、常に変化を感じさせることも重要だ。

◆ダイソーだけが知っているシンプルな戦略
・ダイソーがなぜ100円ショップを始めたのか
 →大幅に値崩れした商品をトラックに積んで、全国の公民館前や小売店の催し物売り場で販売するビジネスから発展
 →雑多な商品、いっそのことすべて100円に
 →逆転の発想:「あの店に行けばすべて100円」という単純さが強力なパワーに
・24時間営業
 →「いつでも店が開いている」という安心感と「どれでも100円」という安心感には似た面
・あとはほしい商品が店にあるかどうかが勝負
 →ダイソーの成長期に中国経済の生産能力が伸びたことは追い風に
・「10万個ならいくら、100万個ならいくら」という話
 →想像するよりもはるかに大きな規模のスケールメリット
【視点42】ダイソーは商品価格を100円に統一することで、売り手と顧客双方の煩わしさを排除することに成功した。この「確実性」がもたらすメリットは想像以上に大きい。

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