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熱い注目2件:IoTおよび5GのMWC前哨戦;東芝分社への各社の動き

激しく波乱含みの世界の政治、経済そして事件のキーワードに連日、目を奪われるこのところ、勢い業界の動きを見る目にも熱気で煽られる感じ方がある。Mobile World Congress(MWC)(2017年2月27日〜3月2日:Barcelona)を控えて、モバイル機器の祭典からソリューション、プラットフォームへの色合いが濃くなる一途のなか、IoTそして数年先の5G(第5世代ワイヤレス通信)に向けた各社の熱い前哨戦が展開されている。そしてもう1つ、東芝のメモリ分社を巡って競合はじめ各社の出資の動きが続いて、業界模様の展開如何に注目させられている。

≪波乱の情勢のなかの展開≫

MWCを間近にして、IoTを巡る熱い議論、戦いが次の通り見られている。新たなキーワード、NB-IoT(narrowband radio技術)に注目が集まっている。

◇Cellular IoT Chip Battle Escalates at MWC-ARM, Sequans and Altair to compete on NB-IoT solutions (2月22日付け EE Times)
→Internet of Things(IoT)を巡る半導体レベルでの戦いが、来週のMobile World Congress(MWC)(Barcelona)でエスカレートする見込み、さながらLow-Power Wide Area Networks(LPWAN)の年となる可能性の旨。LoRaおよびSigfoxが現在LPWA市場を席巻しているが、cellular IoTの支持者たちはその人気をさらう番と思っている旨。3GPPが昨年6月、IoTに向けて開発された新しいnarrowband radio技術、NB-IoTの標準化を完了、これで半導体メーカーおよびIPベンダーは今年のMWCで大きなopportunityが与えられる旨。ベンダーとしては以下の通り:
 ARM (NB-IoT IPs)
 Sequans Communications (Monarch and Monarch SX)
 Altair Semiconductors (ALT1250) …現ソニー傘下
 Qualcomm (MDM9206)

◇EU Privacy Rules Can Cloud Your IoT Future (2月23日付け EE Times)
→来週のMobile World Congress(MWC)(Barcelona)では、成熟しているスマートフォンの最新の付属品が議論を引き起こすとは思われず、対照的に、Internet of Things(IoT)が依然熱く、続けて火勢を焚きつけているのは新しいnarrowband radio技術、完全標準化NB-IoTの登場である旨。

まだ先の5Gであるが、各社の見据えた打ち上げがMWCに向けて行われている。まずは、Samsungの5G用RFIC半導体である。

◇Samsung develops key RFIC chip for 5G-Samsung Electronics has developed 5G RF Integrated Circuit (RFIC) chips that it says will allow commercial deployment of the next-generation network in 2018.-Samsung crafts an RFIC for 5G networks (2月20日付け ZDNet)
→Samsung Electronicsが、第5世代ワイヤレスネットワークスで用いられるradio-frequency(RF) integrated circuit(IC)の開発を発表、高利得、高効率power amplifierが入る該半導体により、5Gネットワークスが来年までに20 gigabits/secでのデータ転送が行える旨。

モバイルで後れをとったIntelからは、5Gへの強い意気込みが語られている。

◇Exclusive: Intel CEO Touts New Strategy for Next Wireless Wave-Intel CEO looks to 5G for wireless redemption (2月20日付け Fortune)
→IntelのCEO、Brian Krzanich氏インタビュー。同社の初期のモバイルの失策を補うよう、第5世代ワイヤレス通信技術で利益をあげたい旨。「4Gでやったように単独ではなく、こんどは連携で進んでいく」と、同氏。

そのIntelそしてQualcommの5Gおよび4G新製品の今回のMWCでの打ち上げ模様である。

◇Intel, Q'comm Show Cellular's Split-5G demos expected to dominate LTE-era event (2月21日付け EE Times)
→今年のMobile World Congress(MWC)(2月27日〜3月2日:Barcelona)について。各社、数年でやってくる5Gのデモで入場者をブースに引きつけるが、今日使える4G新製品を販売の旨。ライバルのIntelおよびQualcommがその良い例、依然lab段階の5G capabilitiesの一方、今日のLTEで足場を広げる製品を披露する旨。Qualcommは日本のTDKとの合弁からの最初の製品を展開する一方、Intelはcellularインフラ装置に向けたgigabit-class LTE modemおよび半導体を披露の旨。

◇Qualcomm, Intel launch gigabit LTE modems-Intel, Qualcomm push LTE modems to 1 gigabit (2月21日付け RCR Wireless News)
→IntelおよびQualcommが各々今週、carriersのバンド幅をもっと効率的に働かせて、1 gigabit/sec以上の理論速度にLTEサービスを高めるmodem半導体を投入、該技術は、internet of things(IoT)アプリ, virtualおよびaugmented reality(VR/AR), およびcloud-ベースstorageなどモバイル機器を超える使用をサポートするよう設計されている旨。

◇LTE speeds outpace home internet with new Qualcomm and Intel modems-New Qualcomm and Intel modems have LTE speeds of more than 1Gbps (2月21日付け Greenbot/IDG News Service)

5G関連の動きとして、Qualcommおよび中国勢が行う試行テストである。

◇Qualcomm, ZTE and China Mobile to collaborate on 5G NR trials at 3.5 GHz-Firms team for 5G trials at 3.5 GHz (2月22日付け DIGITIMES)
→Qualcomm, ZTE(中興通訊:中国・深セン), およびChina Mobileが、3GPP(Third Generation Partnership Project)が開発している5G New Radio(NR)仕様に基づくinteroperability testingおよびover-the-air field trialsを行う計画を発表の旨。

5Gに向けたミリ波半導体開発のstartupが、ARMなどから出資を獲得している。

◇ARM invests in Blu Wireless-Blu Wireless Technology, the Bristol WiGig specialist, has received a significant investment from ARM and other strategic and private investors.-ARM, others invest in millimeter-wave startup (2月22日付け Electronics Weekly (U.K.))
→5Gなどの応用に向けたミリ波半導体開発のstartup、Blu Wireless Technologyが、ARMはじめ複数の投資家から出資を獲得の旨。

◇ARM invests in mmWave specialist (2月22日付け New Electronics)

5Gに沸くMWC開催、直前の雰囲気が表わされている。

◇5G Might Be Buzz Saw for Carriers-Shift from ARPU(average revenue per unit) to Platform (2月24日付け EE Times/Blog)
→今年のMobile World Congress(MWC)(Barcelona)が迎えるのは、データ処理およびanalytics会社, 自動車メーカー, “smart-city”およびVR/AR関連会社。手短には、新興途上の5G ecosystemにおける役割を思い描くすべてのベンダーがBarcelonaに詰めかけてくる旨。

次に、東芝のメモリ分社について。すでに連日のニュースで語られており、業界関連の受け止め、表わし方を追って時間順に以下の通りである。

◇Toshiba Seeks At Least $8.8 Billion in Chip Stake Sale-Source: Toshiba hopes to get $8.8B for chip unit (2月20日付け Bloomberg)

◇Toshiba wants to raise at least $8.8 bln from sale of chip unit majority stake-source (2月20日付け Reuters)

◇東芝、半導体事業売却で8000億円調達−主導権は確保、米アップルなど関心示す (2月20日付け 日刊工業)
→東芝が、分社して設立する半導体メモリ新会社の株式を売却し、8000億円規模の資金を調達する計画を進めていることが19日までに明らかになった旨。出資にはアップルなど複数の米国企業が関心を示している旨。東芝は新会社の株式について、完全売却の可能性を示しているが、現時点ではあくまでも東芝が3分の1超を保有し、経営の主導権を確保する方向で交渉する旨。ただ、東芝の取引銀行にはメモリ新会社株の完全売却を求める声もあり、両者の協議は難航するとみられる旨。

◇Toshiba seeks $8.8 billion for chip unit stake as banks fret over risks (2月21日付け Reuters)

◇東芝の半導体入札、評価2兆円が条件、売却4月以降 (2月22日付け 日経 電子版)
→経営再建中の東芝が検討を進めている半導体メモリ事業の分社で、出資を検討する企業やファンドに新会社の企業価値を2兆円以上と見積もるように求めたことが分かった旨。3月末としていた株式の売却時期も4月以降に先送りする旨。時間をかけて資産内容を吟味してもらい、売却益を最大化する狙い。米原子力事業を巡って計上する巨額損失の影響を補う旨。東芝は3月下旬に臨時株主総会を開き、同月末のメモリ分社を正式決議する予定。2月上旬にも出資企業を選ぶ入札を実施していたが、新たに候補企業を募る旨。

TSMCの出資名乗り、そしてSK Hynixの入札額見直しなどと続いている。

◇TSMC reportedly to join bid for stake in Toshiba memory business (2月22日付け DIGITIMES)

◇東芝半導体、台湾TSMCが出資に名乗り、協業拡大模索か (2月22日付け 日刊工業)
→東芝が分社して設立する半導体メモリ新会社の株式売却先を選ぶ入札に、半導体受託製業者(ファウンドリー)の台湾・TSMCが応札する方針であることが21日までに明らかになった旨。入札にはメモリの同業企業や米IT企業も関心を示している旨。東芝は当初20%未満としていたメモリ新会社の株式の売却比率を50%超に引き上げ、この条件変更によって、幅広い企業が入札に参加する見通しの旨。

◇SK Hynix CEO says will consider fresh bid for Toshiba chip unit stake-SK Hynix CEO looks to refresh Toshiba bid (2月22日付け Reuters)
→東芝が同社半導体事業の20%以上のequity stake売却の可能性ということで、SK HynixのCEO、Park Sung-wook氏が、該入札について見直しを行う旨。SK Hynixは、東芝半導体部門におけるmajority stakeを手に入れればNANDフラッシュメモリ市場における位置づけが大きく改善される旨。

◇SK Hynix considering fresh bid for Toshiba stake, says CEO-SK Hynix will make a fresh bid for Toshiba's flash memory business if the latter offers more of it for sale, the CEO of the South Korean chip giant has said. (2月23日付け ZDNet)

◇東芝分社、鴻海など出資を検討、株過半売却24日に決定 (2月24日付け 日経 電子版)
→経営再建中の東芝が分社する半導体メモリの新会社を巡って、米ウエスタンデジタル(WD)と米マイクロン・テクノロジーの同業2社が出資を提案する方針であることが23日わかった旨。韓国・SKハイニックスや、電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業も出資を検討している模様の旨。新会社の株式の売却比率は当初、2割未満としていたが、東芝は方針を変更、24日の取締役会で過半を売却する方針などを決議する予定、3月下旬の臨時株主総会で正式に決める旨。新会社の企業価値を2兆円以上とする出資条件も提示しており、3月初旬には候補者選定に入り、2017年度中の売却完了を目指す旨。

「東芝メモリ」としての分社が、正式に決定されている。

◇東芝、半導体メモリ分社「東芝メモリ」に、4月1日発足 (2月24日付け 日経 電子版)
→東芝は24日、半導体メモリ事業の分社化を正式決定、3月30日に開催する臨時株主総会で株主の承認を受け、新会社は4月1日に発足する旨。分社後の事業売却については「2017年度(2018年3月期)のなるべく早い段階での決定を目指す」と説明している旨。分社で発足する会社の名称は「東芝メモリ」。

限られる時間のなか、メモリの価格が高値に推移する今時点からどう動いていくか、業界図模様の展開とともに注目である。


≪市場実態PickUp≫

【東芝のBiCS 3D NAND】

上記の通りメモリ分社に向かう東芝から、先端の3D NANDフラッシュメモリのサンプル出荷および量産開始が発表されている。この分野を引っ張るSamsung、そして分社への出資先候補に名前が見えるマイクロン、SK Hynixなど今後の競合模様がどうなっていくか、そして容量拡大に向けて積み上げのしのぎを削る技術競争に、引き続き注目するところである。

◇Toshiba to begin mass production of 64-layer, 512-gigabit 3D flash in 2H17 (2月22日付け DIGITIMES)

◇Toshiba sampling 64-layer 512Gbit 3D NAND-Toshiba is sampling 64-layer 3-bit-per cell 512Gbit 3D NAND.-Toshiba samples 512Gb 3D NAND with 64 layers (2月22日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇東芝、容量6割増半導体、3次元メモリ、サンプル出荷開始 (2月23日付け 日経産業)
→東芝が22日、主力のNAND型フラッシュメモリで、記憶素子を縦に積み上げる3次元メモリ「ビックス(BiCS:Bit Cost Scalable)・フラッシュ」の次世代品のサンプル出荷を始めたと発表、回路設計や生産技術に工夫を凝らして半導体チップをさらに小型化。記憶素子を64層の積層構造として、現在の48層と比べて単位面積あたりのデータ保存容量を6割増やした旨。

【Samsungの10-nmアプリ・プロセッサ】

やはり経営側が困難な事態に見舞われているサムスン電子から、最先端の10nm FinFETプロセスに成るapplication processor(AP)の量産開始が打ち上げられている。またぞろ、以下にも出てくるTSMCとの先陣争いが熱を帯びてくる様相である。

◇Samsung Launches Exynos 9 Processor Built on 10nm FinFET (2月22日付け Converge! Network Digest)

◇Samsung starts production of new 10-nm Exynos 9 Series chip-The octa-core processor is designed for phones, VR handsets and automotive infotainment applications (2月22日付け ITWorld.com/IDG News Service)

◇Samsung launches 10nm Exynos 9-series processor (2月23日付け DIGITIMES)

◇Samsung to mass-produce 10-nano FinFET mobile AP-Samsung's Exynos 9 made with 10nm FinFET process (2月23日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→Samsung Electronicsが、同社8-コアExynos 9 Series 8895 application processor(AP)の量産を開始、10-nm FinFETプロセスでの製造の旨。該半導体は、車載infotainmentシステム, スマートフォンおよびvirtual reality(VR) headsetsに入っていくと見ている旨。

【GlobalFoundriesの45-nm RF SOI】

今後の5Gに向けたMWCでの熱気ぶりを上に示しているが、これもその1つ、Globalfoundriesの5G基地局およびスマートフォン応用におけるミリ波半導体に向けた45-nm RF SOI(45RFSOI)技術プラットフォームを以下取り出している。

◇G'foundries debuts 45nm RFSOI (2月21日付け EE Times)
→Globalfoundriesが、45-nm RF SOIに有効なprocess design kits(PDKs)を発表、5G cellular向けに24-100GHz帯のミリ波半導体製造に特に適するnodeの旨。Skyworks Solutions社が、次世代半導体用に該技術を用いる計画を示している旨。該プロセスにより、40 ohm-cm以上の基板抵抗率が得られ、寄生容量を減らし、位相および電圧swingの不均衡を最小にできる旨。

◇GlobalFoundries announces availability of 45nm RF SOI (2月21日付け ELECTROIQ)
→GLOBALFOUNDRIESが、45-nm RF SOI(45RFSOI)技術offeringを発表、今後の5G基地局およびスマートフォン応用における次世代ミリ波(mmWave) beam forming応用をサポートする先端300mm RF siliconソリューション発表のファウンドリー一番手となる旨。

◇Globalfoundries announces availability of 45nm RF SOI to advance 5G mobile communications (2月23日付け DIGITIMES)

【宿命のライバル関連2件】

長き時間軸にわたるインテルとAMDのx86を巡る戦いであるが、近々出荷が始まるAMDのhigh-end desktop CPUが、性能、価格ともにインテルの相当品を打ち負かす内容ということで成り行きが注目されている。

◇AMD Fires Volley in x86 War-Ryzen 7 beats Intel in performance, price (2月22日付け EE Times)
→Advanced Micro Devices(AMD)が、3月2日から出荷が開始される同社初版Ryzen x86の高性能および低価格で観測筋を驚かせている旨。宿命のライバル、Intelの反応如何が、どれだけの売上げがあげられるかを決める大きな要因の1つである旨。AMDのhigh-end desktop CPU, Ryzen 7 1800Xは、Intelのtop-end Core i7 6900Kの半分以下の価格で販売される一方、同様なsingle-threadそして僅かに上回るmulti-threaded性能が得られる旨。

Samsungの10-nm品を上に示しているが、対抗するTSMCの方は、5-nmプロセス技術への取り組みを以下の通り打ち上げている。寄せつけない圧力を感じさせるが、インテルそしてGlobalFoundriesともども比較、検証を要するところである。

◇TSMC on track to move 5nm to risk production in 1H19 (2月24日付け DIGITIMES)
→2月23日のTSMC annual supply chain management forumにて、同社co-CEO、Mark Liu氏。TSMCは、5-nm半導体のrisk生産を2019年前半に始める予定、7-nmプロセスは2017年第一四半期の後半にrisk生産の備えであり、2018年に量産予定の旨。

◇TSMC unveils 5-nanometer road map-STAYING AHEAD: The company will likely lead its competitors in using 5-nanometer technology, as no clear plan has been unveiled by Samsung Electronics, an analyst said (2月24日付け The Taipei Times (Taiwan))

◇TSMC says it will be first to make 5-nano chips in 1H 2019-Chip race heats up as Apple supplier aims to maintain edge-TSMC claims it will have 5nm ICs in 2019 (2月24日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→TSMCは5-nmプロセス技術の取り組みに6,000人のR&Dスタッフを擁している、と特に言及の旨。

【台湾市場関連】

台湾のIC生産額の2016年実績、2017年見込みが、TSIAとITRIから以下の通り表わされている。設計、製造および組立&テストの内訳である。

◇Taiwan IC production value rises 8.2% in 2016, say TSIA and IEK (2月20日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)と台湾政府機関、Industrial Technology Research Institute(ITRI)がまとめたデータ。設計、製造、実装およびtesting housesから成る台湾のIC業界の2016年生産額が、8.2%増のNT$2,449.3 billion($79.5 billion)。2016年第四四半期についてはNT$644.2 billion、前四半期比2.3%減、前年同期比14.4%増。

◇Taiwan IC production value to rise 5.8% in 2017, say TSIA and IEK (2月21日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Industry Association(TSIA)と台湾政府機関、Industrial Technology Research Institute(ITRI)による予測。設計、製造、実装およびtesting housesから成る台湾のIC業界の2017年生産額が、5.8%増のNT$2,591.6 billion($84.1 billion)に達する旨。

もう1つ、前回も問題含みで示したXiaomiの自前プロセッサ設計であるが、その製品発表が2月28日に行われる運びとなっている。

◇Xiaomi to announce its 'Pinecone' mobile chipset this month-The company's first in-house processor may be key to its survival in the long run.-Xiaomi will launch "Pinecone" chip next week (2月20日付け Engadget)
→Xiaomiが、同社"Pinecone"モバイルチップセットの2月28日正式投入を発表、該8-コアモバイルプロセッサは、同社の次期Mi 5cスマートフォンに入る予定の旨。

◇Xiaomi likely to unveil in-house developed CPUs on February 28 (2月21日付け DIGITIMES)
→業界筋発。Xiaomi Technologyが、2月28日開催の製品イベント招待状を送っており、社内開発のPinecone CPUsおよびentry-level to mid-rangeのスマートフォンを披露する予定の旨。Xiaomiは、2014年にLeadcore Technologyと設立した合弁で子会社のBeijing Pinecone Electronicsを通して2つのPinecone CPUs, V670およびV790を開発している旨。


≪グローバル雑学王−451≫

バブル崩壊、そして失われた何十年と、我が国の経済はどうすれば浮上するのか?アベノミクスが始まってから4年近く、デフレ脱却に向けた現時点に至るまでの施策の意味合いについて、

『経済大変動 「日本と世界の新潮流」を読み解く60の視点』
 (伊藤 元重 著:PHPビジネス新書 368) …2017年1月6日 第1版第1刷発行

より改めて2回に分けて確認していく。デフレスパイラルに陥れば、元も子もない、と賃金を上げて、物価を上昇させてこそ辿り着く我が国GDP目標(2020年までに600兆円達成)という根底である。成長戦略の奏功が伴ってこその所以がここにある。


第2章−1 どうすれば、日本経済は浮上するのか −日本の経済政策と企業・労働者の今を探る

□日本の成長戦略を読み解く
・アベノミクスが始まってから、すでに4年近く
 →経済が大きく変わった面もあるが、デフレからの脱却はまだ道半ばの感
・金融緩和策は維持しつつ、財政刺激や成長戦略をどこまで有効に活用するのか
 →今後の経済政策の重要なポイントに
・財政金融政策の運営とは関係なく、成長戦略を推進していくことが必須の条件
 →多い取り組むべき課題 …働き方改革
             …経済連携協定の推進
             …コーポレートガバナンスの改革
             …外国人労働者の活用 etc

◆「賃金上昇」が労働力不足時代の日本経済の鍵を握る
・安倍内閣は、2020年までに名目国内総生産(GDP)を600兆円にまで引き上げる目標
 →2008年のリーマン・ショックで500兆円を切った日本のGDPだが、7年ぶりに500兆円を超える模様
 →3%強の名目成長を続けていけば、2020年までに600兆円を達成する目標に近づく計算に
・鍵を握るのが物価上昇
 →政府は、さらなるアクセルを踏んでくることに
 →注目されるのが賃金の動き、上がれば物価上昇圧力にも
・これまでなかった規模の労働力の縮小
 →賃金上昇が今後の日本経済の鍵を握る、企業経営を揺さぶる要因とも
【視点12】安倍内閣が2020年までの目標とするGDP600兆円の達成は、賃金上昇の実現にかかっている。労働市場の縮小も相まって、今後も賃金上昇は続くだろう。

◆マイナス金利政策とは何か? −日銀が描く景気回復の未来予想図
・マイナス金利 …銀行が日本銀行に預けるリザーブの利子をマイナスにしようという政策
 →金融機関が積極的に融資などの形で外に出すことが求められる
・導入の重要なポイント
 →日銀が物価を絶対に引き上げるという強い意志を示したこと
 →穏やかなインフレに誘導することができれば、金融政策の効果は経済全体に広がっていく
  →今後の経済動向を見る上で重要なポイントに
・実質金利が大きくマイナス水準まで下がれば、それで住宅投資や設備投資が刺激されることが期待
・今後物価が上昇を始めるのかどうか
 →日本経済の回復の大きな鍵を握っている
【視点13】マイナス金利政策は物価上昇を望む日銀の強い意志の表れである。物価上昇による実質金利のマイナス化を通じ、投資を誘発する。これが日銀の景気回復の未来図である。

◆金融緩和、ヘリコプター・マネー…… 日本の財政のベストシナリオを考える
・15年ほど前に盛んに論議された「調整インフレ論」
 →バブル崩壊後の日本の困難な経済状況から脱却するには、ある程度のインフレが必要であるという議論
・金融政策は重要な役割を果たしてきたが、需要拡大には十分つながっていない
 →日銀が踏み込んだマイナス金利政策の成果について結論を下すのは時期尚早
 →「金融政策だけで十分だろうか」と疑問を持つ向きも
・最近は、内外の専門家の間でヘリコプター・マネーと呼ばれる政策が話題に
 →空から大量の現金をばらまけば物価は上がり、経済は良くなるはずだという意味
 →これが注目される理由は、デフレから脱却するためには、金融政策と財政政策を連携して行うことが重要であるという意味
・景気低迷の中、金融・財政の両輪を同時に回す視点も、引き続き大切なはず
・日本の財政健全化を考える際、財政赤字の早急な削減と、膨れ上がった債務残高の圧縮という二つの課題を混同しないことが重要
・ベストなシナリオ
 →2020年度末の時点で基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化が実現
 →その後、さらに財政赤字の縮小が進む
 →同時に穏やかなインフレが実現、インフレ率がもう少し高くなって債務の実質価値(GDP比)が確実に低下していく
【視点14】安倍内閣の経済運営は金融政策だけではなく、財政政策にも通じた視点で考える必要がある。その際、財政状況に不安が残るが、インフレの実現で債務問題は解消される。

◆なぜ、デフレのままではいけないのか
・日本銀行が2%の物価目標の実現を先送り
 →日本のデフレは厳しいと言わざるを得ない
 →日本のデフレの深刻さは、日本の名目GDPの数字を見れば十分
・名目GDP…貨幣価値で見た日本経済の規模
 →最も高い数値となったのは、1997年で、当時の数値は523兆円
 →1997年から毎年少しずつ下がり、2012年以降は、アベノミクスの成果もあり、少しずつ上昇
 →2015年の数値が499兆円
・粘り強くデフレ脱却の政策を続けていかなくてはならない
 →デフレの罠から抜け出せるかどうか、正念場に来ている
【視点15】デフレが続けば、賃金は上がらず、将来への不安も増大する。国民のデフレマインドを払拭するための特効薬はなく、今後も粘り強い対策が求められる。

◆公的債務を削減する課題を早期に解決する魔法はない
 −デフレ脱却に向け歩み続けよ
・日本の財政健全化に関わっている3つの問題
 →1)過去の累積ですでに膨大な公的債務を抱える
  2)現在もまだ膨大な財政赤字を垂れ流し続けている
  3)少子高齢化によって社会保障負担がピークを迎える
・当面最も力を注ぐべき課題
 →財政赤字を削減して黒字にすること
 →2020年までに国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にするという政府の目標を、是が非でも達成しなくては
・該「2020年目標」をめぐる論争
 →数値目標を立てて、徹底的に歳出を抑える、という考え方を巡る是非
 →厳し過ぎると、経済の勢いをかえってそぎ落とすことにも
・もう1つ問われる歳出の質の改善
 →無理やりの歳出カットによって2020年目標を達成できたとしても、それではその先の高齢化を乗り切れない
・もう一度、公的債務に戻って、いつまでも現状の規模を放置はできない
 →財政の黒字化は必須だが、それに加えて債務比率を減らす手法が必要に
 →多くの人の頭に浮かぶのは、穏やかなインフレによる債務削減であり、今後の大きな論点に
【視点16】基礎的財務収支の黒字化は重要だが、急激な歳出削減により経済が衰退すれば、その後の高齢化社会に対応できない。債務比率削減のためにもデフレ脱却を目指すべきだ。

◆クルーグマン(Krugman)氏の衝撃的な論文と日銀バズーカ
・バズーカと呼ばれる2度の大規模金融緩和政策は、日本経済を大きく動かした
 →残念ながら、バズーカの効果は少しずつ失われているよう
 →日銀が行なったマイナス金利政策、長期金利低下にとって、銀行の業績は悪化
 →金融政策のあるべき姿について立ち止まって考えてみる時期に来ているよう
・現在の日本はどのような状態にあるのか。いくつかのポイント:
 →1)市場を驚かせるようなバズーカは何度も効かない
  2)それでも足元の金利が大きく低下していることの意味は大きい。金融緩和状態を続けることには意味
  3)第二の矢である財政政策と第三の矢である成長戦略をどう組み合わせるのかが問われる
【視点17】大規模金融緩和はインフレへの期待を醸成することに成功した。
しかし、その効果は永続的ではない。現状を維持しつつ財政政策や成長戦略を組み合わせる必要がある。

◆金融機関を苦しめる長期金利の低下、国債の枯渇をどうするか
・黒田総裁の下で日本銀行は3度、市場を驚かせるような政策実施
 →2度はバズーカ、大規模に国債を購入する金融緩和
 →3度目の金融緩和策は、マイナス金利
・当面、金融政策でどのような弊害が出ているのだろうか
 →1つは、長期金利が異常に低くなっていること。金融機関の利益構造が脆弱に
 →もう1つ、日銀が大量に国債を購入し続けることで、市場に出回る国債が枯渇しつつある
【視点18】一定の効果をもたらした日銀の金融緩和政策は、一方で金融機関に不利益を生じさせ、市場の国債も枯渇している。今後は市場と連携を図り、軌道修正も必要ではないか。

◆日銀の金融政策に対する世の中の誤解を解く
・ひとつは、金融政策はデフレ脱却に効果がなかったという誤解
 →貨幣を増やせば株価の下落は止まる。ただ、期待するほどに物価が上がるのには、まだ力不足
・もうひとつ、金融政策はもう限界に来ていて、これ以上打つ手は残っていないという誤解
 →日本の国内には依然としてデフレマインドが強く残っている。これを払拭することが、金融政策に期待される役割
【視点19】日銀の金融緩和政策はデフレ脱却に一定の効果をもたらした。マイナス金利を通じた金融緩和状態を維持してデフレマインドを払拭するため、金融政策は今後も必要だ。

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