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激動を控えて迎えた2017年、政治&経済、新市場・新技術の展開如何?

新年、2017年を迎え、冬晴れのお天気模様が続く年末年始の東京の予報となっているが、この新年は世界各地で激動の要因を孕んだ幕開けの様相である。Trump次期大統領の就任を間近に控える米国、英国離脱および難民問題を抱える欧州、経済のさらなる減速が懸念される中国、そして紛争やテロに見舞われる地域とその世界全体への波及懸念など枚挙に暇なしである。半導体業界の世界では、これら政治経済のインパクトはもとより、新たな伸長をもたらす新市場の本格的な展開が待ち望まれているとともに、一層の高性能化、高機能化に必要な製造プロセスはじめ新技術の展開に注目せざるを得ないところである。

≪年末・年始の動き、読み≫

世界の政治情勢に目を遣ると、米国のオバマ大統領がロシアの米国大統領選挙へのサイバー攻撃の疑いに対抗、ロシア外交官の追放措置をとっている。

◇ロシア外交官35人追放、オバマ氏、大統領選干渉に対抗 (12月30日付け 日経 電子版)
→オバマ米大統領が29日、ロシア政府が米大統領選に干渉するためサイバー攻撃を仕掛けたとして、米国駐在のロシア外交官35人の国外退去処分、2つのロシア関連施設閉鎖など新たな制裁措置を発令した旨。サイバー攻撃に直接関与や技術供与したとして、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)など5政府機関・ロシア民間企業、GRU幹部4人を資産凍結など制裁対象に指定した旨。オバマ氏は声明を発表し「ロシア政府の最高レベルのみが指示できる」とプーチン大統領が直接関与していたとの認識を強調。さらなる制裁措置も視野に入れている考えも示した旨。

これに対して、ロシアのプーチン大統領はTrump次期大統領の就任を待ってその後に米国との関係を正していくという反応を見せている。

◇Putin vows not to stoop to Obama's level after US kicks out Russian intel operatives-Putin says Russia will not retaliate against US sanctions (12月30日付け FoxNews.com/The Associated Press)
→ロシアのVladimir Putin大統領が、ロシアは米国外交官を追放せず、Donald Trump米国次期大統領就任後米国との関係再構築に重点化する旨。
米国のBarack Obama政権は、2016年選挙の間のロシアの干渉に対抗、ロシアの35人の外交官を米国から追放すると発表した旨。


◇Putin: Russia won't expel US diplomats (12月30日付け CNN)

政治的な軋轢がまた1つ加わる一方、経済面では、中国そして東南アジアの2017年経済成長率について一段と伸びの低下が予測されている。今後の読みに引き続き注目である。

◇中国6.4%成長に減速、2017年予測、不動産バブル警戒 −エコノミスト調査 (12月30日付け 日経 電子版)
→日本経済新聞社と日経QUICKニュースが29日まとめた中国エコノミスト調査。2017年の同国の実質国内総生産(GDP)伸び率の予測平均値は6.4%と緩やかな減速が続く見通し。習近平指導部は財政出動による景気安定を目指すが、過熱気味な不動産市況の調整が足を引っ張るとの見方が強い旨。

◇東南アジア、2017年の成長率予測4.4%に低下 −エコノミスト調査 (12月30日付け 日経 電子版)
→日本経済新聞社と日本経済研究センターがアジアのエコノミストに12月中旬にかけて実施したアンケート調査「アジア・コンセンサス」。東南アジア主要5カ国(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール)の2017年の実質成長率予測は平均4.4%と、3カ月前より0.2ポイント低下。米大統領選でトランプ氏が勝利し、保護主義政策による世界貿易の停滞などの悪影響を懸念する声が目立った旨。

半導体業界に新たな伸びをもたらす新市場の本格的な展開が期待されているが、2016年の重要な動きを振り返るなかで特に注目される人工知能(AI)搭載の「アルファ碁」が以下の通り位置づけられている。

◇米科学誌 :「重力波」初観測 今年最も重大な発見に選ぶ (12月25日付け 毎日)
→米科学誌サイエンスは、今年の科学における最も重大な発見に国際研究チームによる重力波の初観測を選んだと発表、このほかの大きな成果として以下などを挙げた旨。
 *マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から体外での培養だけで卵子を大量に作ることに成功した九州大などの研究
 *人工知能(AI)を搭載した囲碁ソフト「アルファ碁」のプロ棋士への勝利
 *太陽系からもっとも近い恒星の周りで、地球に似た環境を持つ可能性がある惑星が見つかったこと

◇IoTの道拓く今年のIT業界15大ニュース (12月25日付け 日経 電子版)
→2016年のIT業界の出来事:
 1 ポケモンGOが大ヒット
 2 アップルがフェリカ対応端末発売
 3 サムスンの携帯端末が発火
 4 ソフトバンクが英ARMを買収
 5 アルファ碁が韓国のプロ棋士に勝利
 6 DeNAがキュレーションサイト閉鎖
 7 鴻海精密工業がシャープを買収
 8 富士通がレノボにパソコン事業譲渡
 9 シェアリングエコノミーが離陸
 10 楽天やイオンがドローン利用開始
 11 PPAPがネット配信で世界の話題に
 12 米ヤフーで大量の個人情報が流出
 13 AT&Tがタイムワーナーを買収
 14 ランサムウエアが新たな驚異に
 15 ソニーやHTC、MSがVR参入

このAIについては、半導体化で先行するNvidiaに対して、Intelが強く対抗するスタンスを見せている。

◇Intel strives to 'change the tide' on Nvidia-TSMC duo in AI-2017 product lineup will be a difference-maker, senior Intel exec says-Intel seeks to overtake Nvidia for AI chips (12月28日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→IntelのVice President、Raejeanne B. Skillern氏。NvidiaがファウンドリーのTSMCとともにartificial intelligence(AI)半導体分野でまだ小さいものの市場シェア獲得で引っ張っていることは認めながら、Intelの投資および2017年に出ようとしている製品により潮目が変わっていくと見ている旨。

AIも関係する新分野の自動運転について、まず欧州での取り組みである。

◇Europe Kicks Off GSA-Based Autonomous Driving Project (12月27日付け EE Times)
→グローバルnavigation satellite systems(GSA)の欧州機関が、自動運転分野で欧州衛星navigationシステム、Galileoによるサービスを探求する3年、5.4 Mユーロのプロジェクト、ESCAPE(European Safety Critical Applications Positioning Engine)をキックオフの旨。ESCAPEは、スペインの会社、FICOSAが主導、次の欧州各所パートナーとのコラボの旨。
 スペインのGMV
 フランスのRenaultおよびIFSTTAR
 イタリアのSTMicroelectronicsおよびIstituto Superiore Mario Boella

自動運転でも先行しているNvidiaの開発プラットフォームである。

◇レベル異なる自動運転に対応、NVIDIAの開発基盤 (12月27日付け 日経 電子版)
→米NVIDIAが提供している、自動運転の開発プラットフォーム「DRIVE PX 2」とその上で動作するソフトウエア基盤(OS)「DRIVEWORKS ALPHA 1」の詳細が明らかになった旨。同社CEO、JenHsun Huang氏が、同社の技術イベント(2016年10月、東京都内で開催)において国内で初めて解説した旨。NVIDIAのDRIVE PX 2は、自動運転システムに求められるハード機能を統合したSoC(System on Chip)「Parker」を搭載する車載ボード。英ARMのCPUアーキテクチャーに基づく6コアのCPUと、ディープラーニング処理に最適化されたNVIDIAのGPU「Pascal」の回路を備えており、半精度の浮動小数点演算性能は1.5TFLOPSに達する旨。
12台の車載カメラの映像を同時に処理できる旨。

AIへの意気込みを上に示したIntelであるが、自動運転においても以下の通り積極的な取り組みである。

◇Intel Driving Into 2017 With Big Plans For Autonomous Vehicles-Intel shifting emphasis from PCs to self-driving cars (12月29日付け Nasdaq.com)
→Intelのパソコン半導体からより高成長領域への移行は、自動運転車技術への大きな重点化が含まれる旨。Intelのinternet of things(IoT)領域への投資およびBMW, MobileyeおよびDelphiなど各社とのコラボにより、平均的な自動運転車が毎分作り出す40 gigabytesのデータをかみ砕く上で要のプレーヤーになる可能性の旨。

新分野が引き続き展開の度を上げていく見方が専らの2017年となっているが、以下展望のいくつかである。

◇IoT Ready to Light Up in 2017-Components in place, security awareness high-IoT deployments expected to rise rapidly in 2017 (12月28日付け EE Times)
→2016年はinternet of things(IoT)展開の基礎準備を行った一方、2017年はこのような革新の複数の運用につながっていく旨。IntelはIoT機器用の新しい半導体およびモジュールを開発しているし、半導体業界の中の統合により来る年はより広いIoT採用への道筋がつけられる旨。

◇Semiconductor rally has room to run in 2017-Chip rally to continue in 2017 (12月29日付け The Hill)
→2016年のSemiconductor Sector Indexが40%以上となり、立ち直りが来年も続きそうな旨。データセンター、車載技術(自動運転車), artificial intelligence(AI)およびinternet of things(IoT)など末端市場から伸びが牽引される旨。

◇'Open Source' Robo-Car in '17?-What's on auto industry's agenda (12月30日付け EE Times)
→高度自動運転の新しい段階への門戸を開いた2016年。robotic car開発の進路を変えそうな2017年自動車業界のagendaについて、以下の切り口:
 Open-source software for autonomous cars
 Automotive brain chips
 State of the automotive SoC today
 From HOG(histogram of oriented gradients) to CNN?
 How to certify AI
 Public acknowledgement needed

半導体の高性能化、高機能化を図っていく上で欠かせない中核に最先端の微細プロセス技術があることに昔から変わりなしであるが、その10-nmノードを巡って歩留まりがTSMCおよびSamsungともに期待通りいっていないと次の通り表わされた。

◇Foundries 10nm yield rates lower-than-expected-Sources: Foundry yields for 10nm chips are low (12月23日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TSMCおよびSamsungの10-nmプロセスがともに、予想を下回る歩留まりとなっている旨。TSMCは、Apple, HiSiliconおよびMediaTekから10-nm半導体の受注を獲得、2017年第一四半期に量産開始の運びであるが、TSMCの10-nmプロセス技術の歩留まりが期待通りではない旨。一方、Samsungの10-nmプロセス技術の歩留まりは低く、Qualcommが2017年の製品ロードマップについて急遽注意深くなっている旨。

これに早速敏感に反応したのがTSMCであり、真っ向から反論する説明となっている。

◇TSMC Says 10nm on Track, Countering Reports (12月27日付け EE Times)
→業界最先端技術nodeでのTSMCおよびSamsungの歩留りが期待から後れているというニュースmedia報道に対抗、TSMCは10-nmについて予定通りである旨。TSMCの10-nmプロセスは"まったく軌道上"にあり、2017年第一四半期に初めて売上げに寄与する、と台湾・Digitimesのwebsite記事について論駁するTSMCのCorporate Communications、senior director、Elizabeth Sun氏。同社の10-nmプロセスは、2017年第一四半期ではTSMC全体売上げの1%以下を占める旨。

そもそもTSMCの10-nm対応が以下にまとめて示されている。この1年、生きの良い応酬にも期待するところ大である。

◇New 10nm process to generate revenue in next year: TSMC-TSMC expects revenue from 10nm chips in new year (12月27日付け The Taipei Times (Taiwan)/Central News Agency)
→TSMCが、10-nm features半導体の量産を今四半期の間に開始しており、2017年第一四半期の間にそれら半導体からの売上げ実現を見込む旨。同社は、Apple, HiSilicon TechnologiesおよびMediaTekから10-nm半導体の受注を獲得している旨。


≪市場実態PickUp≫

【特許ライセンス係争】

韓国の公正取引当局が、Qualcommに対して約$1 billionの罰金を科すとしている。不公平な特許licensingビジネス慣行に対してということで、中国との経緯と対比する受け止め方がある。

◇Korea Fines Q'comm Nearly $1B-Regulator charges unfair patent licensing (12月28日付け EE Times)
→Korea Fair Trade Commission(KFTC)が、Qualcommに対して1.03 trillion won(約$1 billion)の罰金を科し、特許licensing practicesが公正でない旨。Qualcommは、"何十年もの間韓国および世界中に存在しているlicensing practicesに関して、前代未聞で根拠のない裁定"として控訴する旨。

◇Qualcomm Fined $853 Million by South Korean Antitrust Agency-Korea fines Qualcomm $853M in antitrust case (12月28日付け Bloomberg)
→韓国のFair Trade Commissionが、Qualcommに対して同国独占禁止法に抵触するとして$853 millionの罰金を科す旨。非難を受けたQualcommは、同社モバイル半導体設計での特許licensingビジネスの行い方について該決定に控訴する旨。

もう1つ、ノキアがアップルに対して特許侵害を提訴している。携帯電話市場のかつておよび現在のリーダーの間の係争であるが、ノキアの要求をアップルがここのところ拒否している状況のようである。

◇Nokia Hits Apple With Patent Suits (12月29日付け EE Times)
→以前の携帯電話市場リーダー、Nokia Oy(Espoo, Finland)が、Apple製品が特許約40件を侵害として、アジア、欧州および北米の11か国で提訴の旨。携帯電話およびcomputerメーカー、Appleは、2011年にNokia Technologiesのportfolioから特許ライセンス供与を受けたが、それ以降はNokiaからの続く要求を拒否している旨。

【スマホベンダーの対比】

スマートフォン出荷について、伸び行く中国のトップ3ベンダーと2016年出荷が目標に達しない見込みの台湾のトップ3ベンダーの対比が、以下の通りとなっている。

◇China top-3 vendors to ship over 500 million smartphones in 2017 (12月26日付け DIGITIMES)
→台湾のhandset supply chain筋発。中国のスマートフォンベンダー、トップ3、Huawei, OppoおよびVivoが、2017年に合わせて500 million台超のスマートフォン、すなわちグローバルスマートフォン出荷の3分の1を出荷する見込みの旨。2016年のそれぞれの実績に基づいて、Huaweiは2017年に170 million台、続いてOppoが160 million台そしてVivoが150 million台の出荷を目指していると見ている旨。

◇Asustek, HTC, Acer to fall short of their smartphone shipment targets for 2016 (12月26日付け DIGITIMES)
→業界筋発。台湾のスマートフォンベンダー、トップ3、Asustek Computer, HTCおよびAcerのスマートフォン出荷が、それぞれ2016年に向けて立てた目標にすべて達しない見込みの旨。Asustekは、中国、米国および欧州での予想を下回る売れ行き、並びにZenFone 3シリーズ製品の出荷遅れから、2016年は25 million台の目標に対して20 million台の出荷見込みの旨。

【アジアシリコンバレー】

台湾政府の構想に成るアジアシリコンバレー計画が、次の通り打ち上げられている。IoTの展開に向けて健全な革新を図っていく趣旨で、新市場への取り組みが推進されている。

◇Taiwan government launches Asia Silicon Valley plan (12月26日付け DIGITIMES)
→台湾政府のAsia Silicon Valley計画のheadquartersが、operationsを開始、主な目標は台湾のInternet of Things(IoT)ビジネスopportunities最大化の旨。Acerのfounder、Stan Shih氏が、該機関のhonorary presidentになる旨。台湾のNational Development CouncilによるAsia Silicon Valley計画説明ビデオでは、該プロジェクトの主要コンセプトを次の2つとしている旨。
革新およびstartupsに向けた健全なecosystemの醸成IoT業界展開の推進

【SK Hynixの積極的な取り組み】

SK Hynixが、激しい先陣争いが行われている3-D NANDフラッシュメモリについて最先端となる72層品の量産を来年後半に行うとしている。

◇Hynix to make 72-layer 3-D NAND starting in second half of 2017-SK Hynix will make 3D NAND with 72 layers (12月23日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→SK Hynixが2017年前半に72層の3D NANDフラッシュメモリデバイスを設計する計画、2017年後半の量産を視野の旨。該先端3D NAND半導体は、同社のIcheon, South Korea拠点で製造される旨。

◇SK hynix to start mass producing advanced 3D NAND chips next year (12月26日付け Yonhap News Agency (South Korea))

さらに、NANDフラッシュの生産規模拡大に向けて、新しいfabを総投資$1.8 billionで建設と、積極的な取り組みが見られている。

◇SK Hynix to build new NAND flash fab (12月23日付け DIGITIMES)
→SK Hynixが、NANDフラッシュ需要増大に対応、韓国忠清北道清州市(Cheongju)に新しいfabを建設する旨。2019年6月に完成予定、総投資がKRW2.2 trillion($1.8 billion)の見積もりの旨。

◇SK Hynix to Build Wafer Fab in South Korea (12月29日付け EE Times)
→韓国のメモリ半導体メーカー、SK Hynix社が、韓国忠清北道清州市(Cheongju, Chungcheongbuk-do)でのNANDフラッシュウェーハfabの建設に2.2 trillion won(約$1.8 billion)を充てる計画の旨。

◇SK Hynix to Boost NAND Output with $1.8 Billion Fab-SK Hynix plans $1.8B fab for NAND flash (12月29日付け Electronic Design)

【2017年10%の妙】

戻しが著しいメモリについて、2017年10%増の予測が出されたばかりである。

◇Total memory market forecast to increase 10% in 2017 (12月20日付け ELECTROIQ)
→IC Insightsが来年1月にリリースするThe McClean Reportの20周年版から、メモリの予測について。

妙に10%が共通する何件か。MediaTekの2017年第一四半期売上げが、前四半期比約10%減の見込みが表わされている。

◇MediaTek 1Q17 revenues likely to drop 10% (12月27日付け DIGITIMES)
→業界筋発。MediaTekの2017年第一四半期売上げが、季節的要因から前四半期比約10%減少する見込みの旨。同社は以前、スマートフォン半導体、特に28-nmソリューションについてのファウンドリーの生産capacityが締まっており、2016年末まで供給の制約が続くとしていた旨。それにも拘らず、在庫レベル増大について中国のスマートフォン業界で最近憶測が巡っている旨。

シリコンウェーハ価格については、2017年第一四半期に10%上昇となっている。

◇Silicon wafer suppliers hike contract prices by 10% for 1Q17-Contract prices for 12-inch wafers to rise 10% (12月28日付け DIGITIMES)
→中国語・Commercial Times発。現地および国際的シリコンウェーハサプライヤが、台湾の半導体メーカーと2017年第一四半期の12-インチウェーハ契約価格を決めており、全体平均して10%上昇の旨。

需要の戻し基調に乗って、メモリはじめspot価格が2017年は10%上がると通した見方が表わされている。

◇Chipmakers race to expand production capacity as demand rebounds -Global chipmakers struggle to meet demand (12月28日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→スマートフォン向けに設計されたNANDフラッシュメモリ半導体需要が戻しており、グローバル半導体メーカーが生産立ち上げに向かっている旨。
DRAMeXchangeによると、この需要によりこれら半導体のspot価格が来年にわたって10%上昇する可能性の旨。


≪グローバル雑学王−443≫

ベルリン、そしてトルコでのテロの惨劇の衝撃をテレビ画面で受け止めたばかりであるが、ニューヨークでの2001年9・11の同時多発テロに端を発して大きく変わった国際的危機意識という感じ方がある。黒人問題が依然覆って、9・11以降の反イスラムなど、様々な対立、亀裂に揺れる多人種、多民族の国、アメリカ合衆国について、

『紛争・対立・暴力 −世界の地域から考える』
 (西崎文子・武内進一 編著:岩波ジュニア新書 842) …2016年10月20日 第1刷発行

より、暴力と差別の推移、現状に迫っている。「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」と「監獄社会」というキーワード、そしてとりわけ、世界中で刑務所に収容されている人の20%以上がアメリカの収容者という実態に注目させられている。


I 亀裂と共生の間

アメリカ合衆国―――ヘイトクライムと監獄社会 …文章(3)

・アメリカ合衆国における暴力と差別の現状
 →キーワードは、「ヘイトクライム(憎悪犯罪)」と「監獄社会」
  …「ヘイトクライム」は、「ヘイトスピーチ」とともに、私たちにも深く関わること

◆「ヘイトクライム」とは
・2001年9・11の同時多発テロ以後、アメリカではイスラム教徒やアラブ系の人々に対する暴力行為が激増
・「ヘイトクライム」
 …「人種、民族、宗教、言語、ジェンダー、性的指向、障がいなどを理由に、特定の集団や個人に対して偏見や憎悪を抱き、それが動機となって引き起こされる暴力行為などの犯罪」
・FBIの統計調査発。2014年、全米で年間5500件近いヘイトクライムの報告
 →1995年からの20年間通して、黒人に対するヘイトクライムが件数および被害ともに最も多く、全体の35%強
・2001年に、「反イスラム」を動機とするヘイトクライムの件数が前年の28件から481件に
 →その後も現在に至るまで、年平均で160件以上

◆「ヘイトクライム」を浮かび上がらせる
・「ヘイトクライム」という言葉がアメリカで定着したのは、1990年代に入ってから
・アメリカは、多人種、多民族、多宗教、多文化の渦巻く多様性を要因とする差別、抑圧、不平等が存在する社会
・歴史上の暴力
 →暴力的に追いやられた、大陸に古くから生きてきたインディアン
 →ひどい人種差別に苦しむ奴隷制度
・大きく変わった1960年代と1970年代
 →黒人大衆を中心として展開された公民権運動
 →人種、民族、ジェンダーに基づく差別を禁止する法律の制定
・偏見と憎悪から生まれるヘイトクライムは、重大な犯罪と見なされるべきであり、罰則もより重くなるという考え方が、アメリカで少しずつ定着していった
・2015年現在では、全米50州のうち45州に、ヘイトクライムに関連する何らかの法律がある
 →ある行為が「ヘイトクライム」として起訴されるとき、通常の犯罪行為に科せられる罪状に加えて、その刑罰も重くなる
 →適用には、いくつかの問題点や批判があることも確か
  …条件となる動機を立証することの難しさ
・ヘイトクライムに関わる法律は、その存在が「偏見と憎悪に基づく犯罪」を許さないという社会的なメッセージにもなっている

◆見えなくなる差別――「監獄社会」の成立へ
・「ヘイトクライム」は見えるようになったのに、暴力と差別が「見えにくくなった」
 →1つは、公民権運動などの社会運動の成果として、あからさまな人種差別や隔離がなくなり、人種や民族を理由とする激しい暴力の数が実際に減った
 →2つ目、社会状況の改善が、皮肉なことに、「アメリカ社会における差別や暴力の問題は解決した」という誤った考え方を広めていってしまった
・1980年代に入って高まった、犯罪に対する「厳罰主義」の社会的風潮
 →アメリカでは21世紀に入り、刑務所に収容される人が200万人を超えてしまった
  …アメリカの総人口は世界人口の5%以下、世界中で刑務所に収容されている人の20%以上がアメリカの収容者
 →いまやアメリカは世界最大の「監獄社会」に
・200万人以上の収容者のうち、黒人が36%、ラティーノが22%、合わせると収容者全体の60%近くに
 →この数字を人種・民族的な犯罪性の現れと決めつけて、偏見を増大させようとする動きが絶えない
・アメリカの警察は、「人種プロファイリング」という形で、人物の肌の色や「英語のなまり」をもとに対象者を選り分けることがふつうに
 →特に黒人に対する警察官の暴力も、最近では大きな問題に
 →社会全体で黒人やラティーノの男性にかぶせられている否定的な固定イメージが、警察という組織にも浸透、差別的な傾向が生じている
・逮捕後の司法の判断においても、人種・民族を理由に被疑者の扱いが異なることも指摘
・警察全体として、そして司法制度全体として見たとき、そこには差別と呼ぶしかない対応の違いが存在、それが数字となって現れている
・アメリカでは近年、刑務所が民営化、企業がビジネスとして刑務所を建設して運営することが多く
 →ある特定の人々が狙い撃ちにされた形で閉じ込められる 
 →現代アメリカの「監獄社会」

・アメリカは現在でも、他の地域や国々と同じく、さまざまな社会的対立や亀裂に悩んでいる
 →大きいのは人種の問題
 →いま拡大している貧困の問題、つまりは貧富の格差の問題とも深く絡み合い

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