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便利、快適な使い勝手の飽くなき追求、高まる新市場分野開拓の波動

スマートフォンにIC乗車券機能が入り、海外でも買い物ができるようになる。街を自動運転のタクシーが走って利用できる。本当にどこまで便利、快適な生活空間になっていくのか、それらを目指した具体的な連携のアプローチがグローバルに展開している。artificial intelligence(AI)、virtual reality(VR)、machine、visionソフトウェア、およびcloudデータベースなどを駆使するそれぞれの半導体技術における展開、進展とともに、便利がゆえの安全性、信頼性への視点の重みに注目するところである。

≪問われる信頼性≫

便利、快適さの追求、まずは、我が国で利用できるiPhoneでのIC乗車券機能である。

◇アイフォーンにIC乗車券機能、アップルが日本向け計画-関係者 (8月26日付け ブルームバーグ)
→複数の事情通発。米アップルが、スマートフォン「iPhone」で公共交通機関の運賃支払いができる日本向け新機能を計画している旨。将来のiPhoneには、ソニーが開発し日本で普及している非接触ICカード技術様式「FeliCa」が採用される旨。FeliCaチップの搭載により、iPhoneにバスや電車の乗車券を保存でき、ユーザーはICカードを使わなくてもスマホを自動改札機の読み取り部分にかざすことで乗下車できる旨。

◇IPhone ready to play catch-up in Japan with swipe-to-pay chips-Report: Apple develops iPhone tap-to-pay feature for mass transit in Japan (8月26日付け The Japan Times/Bloomberg)

もう1つ、海外でスマホで買い物ができる「アンドロイドペイ」である。

◇グーグル決済、秋にも上陸、スマホ支払い −まず三菱UFJと提携 (8月31日付け 日経 電子版)
→米グーグルは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と組み、今秋にも日本でスマートフォンを使った電子決済サービス「アンドロイドペイ」を始める旨。日本はIC交通乗車券「スイカ」や「楽天Edy」などが普及するが、利用は国内に限られる旨。「世界仕様」のサービス上陸で、消費者は海外でも自分のスマホで買い物ができるようになる旨。スマホ決済を巡っては米アップルも「アップルペイ」と呼ぶ独自サービスを日本で始める準備を進めている模様、スマホの基本ソフト(OS)を握る世界2強が参入することで、国内勢との顧客の囲い込み競争が激しくなりそうな旨。

次に、自動運転タクシーの実験が以下の通りシンガポールで始められている。エンジニア1名が同乗するとのことであるが、安全確保に向けた今後のステップが課題になる。

◇シンガポールで自動運転タクシーの実験開始、MIT発ベンチャーが先手 (8月26日付け 日経BP ITPRO)
→米マサチューセッツ工科大学(MIT)の2人の研究者が立ち上げた自動運転車開発の米nuTonomyが25日、シンガポールで自動運転タクシーの実験サービスを同日開始したと発表、自動運転車の公共テストはこれが世界で初めての旨。タクシーには改造電気自動車を使用、フランスRenaultの「Zoe」および三菱自動車の「i-MiEV」に自動運転用ソフトウエアやセンサを搭載する旨。安全確保のために、nuTonomyのエンジニア1名が同乗する旨。

◇Self-driving taxis begin picking up passengers in Singapore (8月28日付け EE Times India)

自動運転車をリードするGoogleからの先のHot Chips chip conferenceでのプレゼンである。洗練された半導体の最前線を引っ張るのはもはやPCsおよびスマートフォンではなく、artificial intelligence(AI)およびmachine visionソフトウェアという下りに注目している。

◇How self-driving cars will drive demand for high-end chips-Self-driving cars call for more powerful processors (8月28日付け VentureBeat)
→Googleが、自動運転車という初期段階の分野のリーダーとなっており、その技術は、artificial intelligence(AI)およびmachine visionソフトウェアの限界を押しやるだけでなく、半導体技術およびハードウェアシステムをも推進している旨。Googleの自動運転車部門、ハードウェアエンジニア、Daniel Rosenband氏が、Hot Chips chip conference(Cupertino, Calif.)での基調講演でそのことを詳細に説明の旨。その話は、洗練された半導体の最前線を引っ張るのはもはやPCsおよびスマートフォンではないことを示す多くのプレゼンの1つであり、引っ張っているのは、運転を支配するartificial intelligence(AI)アルゴリズムの車の実行を助ける半導体および車が歩行者あるいはバイクを見分ける助けを行うmachine visionソフトウェアであるとしている旨。

自動運転車に向けた米中2社間の連携が打ち上げられている。

◇Chip-Maker Nvidia Teams Up With Baidu to Develop an Artificially Intelligent, Self-Driving Car -Partnership comes after Baidu received approval this week to test autonomous vehicles in California-Chinese internet firm, US chipmaker partner for self-driving car (9月1日付け The Wall Street Journal)
→中国のinternet大手、Baiduと半導体メーカー、Nvidia(Santa Clara, Calif.)が、artificial intelligence(AI)およびcloudデータベースの自動運転車で連携する旨。今週、BaiduはCaliforniaで自動運転車をテストする許可をregulatorsから得ている旨。

スマホによる都市計画の可能性が、次の通り表わされている。

◇Ford / MIT Collaborate on Future-Smartphones Accelerate Urban Planning (8月29日付け EE Times)
→今日ほとんど誰もが持っているスマートフォンの匿名位置を利用、Ford Motor CompanyとMassachusetts Institute of Technology(MIT)が、ほぼリアルタイムのanalyticsをもって少なくとも都市地域についてより良い未来を計画できるとしている旨。世界で最も引用される一般科学ジャーナル誌、Proceedings of the National Academy of Sciencesにおいて本日29日披露、歴史的なcell phone位置データのほんの6週間分でほぼ即座に解析の可能性、都市計画者が選別するのに数年要するインフラ開発およびresource配分に向けた最適計画が得られる旨。

現下のスマホに目を遣ると、虹彩および顔認識の需要が高まっている。

◇Demand set to boom for iris- and face-recognition chips for smartphones-Sources: Smartphones to use more chips recognizing faces, irises (8月30日付け DIGITIMES)
→業界筋発。スマートフォン向け虹彩および顔認識の需要が急増、中国および台湾のファブレスメーカーがこの分野に踏み込んでいる旨。富士通およびSamsung Electronicsがともに2016年に向け虹彩scannersを組み込んだflagshipスマートフォンを投入する一方、スマートフォンなどモバイル機器ベンダーが顔認識技術の導入を図っている旨。

◇Orders for iris recognition chips to boost Xintec 2017 revenues, says report-Report: TSMC unit will fill orders for iris-recognition chips in Q4 (8月31日付け DIGITIMES)
→中国語・MoneyDJ.com発。CMOSイメージセンサ並びにMEMSおよび指紋センサの実装サービスに特化しているTSMCの関連会社、Xintec(台湾)が、2016年第四四半期に虹彩認識ソリューションに向けた新規受注を遂行し始める旨。Xintecは、2017年に虹彩認識半導体の量産に入る予定、同年の売上げが高められる旨。

virtual reality(VR)機器に向けた高解像度のOLEDsへのアプローチが表わされている。

◇Sunic System Promises 2,250ppi OLEDs for VR (8月31日付け EE Times)
→第16回International Meeting on Information Display(IMID 2016:8月23-26日:Jeju, Korea)にて、OLED deposition装置メーカー、Sunic System(韓国)が、11K(2,250 ppi) AMOLEDsに向けた技術的ソリューションを披露の旨。virtual reality(VR)では、高解像度が重要で約2,000ppi程度が必要であり、VRデバイスで臨場感をよく感じることができる旨。

中国でのartificial intelligence(AI)に向けた過熱ぶりが以下の通りである。

◇中国、AI百花繚乱、百度・テンセント…すでに100社、政府振興策で過熱、「バブル」指摘も (9月2日付け 日経)
→中国が人工知能(AI)産業の育成にカジを切り始めた旨。国を挙げて関連企業や技術を振興し、2018年までに「1千億元(約1兆6千億円)産業にする」旨。ネット大手の百度(バイドゥ)や騰訊控股(テンセント)をはじめ100社強が参入しており百花繚乱の様相を強める旨。

高まる新市場分野開拓に事故はつきものであり、すべてについて安全性、信頼性が問われるところとなる。

◇スペースXの爆発事故、フェイスブックの計画に打撃 (9月2日付け 日経 電子版)
→米宇宙開発ベンチャー、スペースXのロケット「ファルコン9」の爆発事故は、アフリカで通信衛星を使ったインターネット接続サービスを計画していた米フェイスブックにとって打撃となる旨。

internet of things(IoT)関係への活発な取り組みが続いており、以下関連する内容である。

◇Silicon as Disruptive Platform for IoT Applications (8月29日付け ELECTROIQ)
→CEA-Letiのchief executive officer(CEO)、Marie Semeria氏、SEMICON Westでのインタビュー記事。Grenoble近く、美しいフランスアルプスの麓に位置するフランスR&Dおよび試作製造campusであるCEA-Letiが、Internet-of-Things(IoT)用システムソリューション開発に向けて活動範囲を如何に拡げていくか。

◇China manufacturing IoT spending to hit US$128 billion by 2020 as industry shifts from production to services, says IDC (9月1日付け DIGITIMES)
→IDC発。中国の製造企業のInternet of Things(IoT)への出資が、2016年から2020年まで14.7%のCAGR、2020年までに$127.5 billionに達する見込みの旨。ソフトウェアおよびサービスが製造業界におけるIoT出資の高速な伸びを引っ張って、合わせた市場シェアが60%超の旨。中国の第13次5ヶ年開発計画に秘められているIoTは、同国の戦略的な新興業界になっていく旨。

IoT向けSoC設計での独特の課題が指摘されている。

◇Context Is Everything: Knowing what's around a chip determines success and failure of designs.-System context counts for consumer, industrial IoT (8月29日付け Semiconductor Engineering)
→consumerあるいは産業用internet of things(IoT)応用向けsystem-on-a-chip(SoC)デバイス設計には、スマートフォン向け設計より広い考察が必要になる旨。「ワイヤレスnetwork環境の中で何千も出てくるようなシステム背景の中のSoCを考えると、そこには非常に独特の課題がある」(Cadence Design SystemsのSystem & Verification Group、製品マネジメントsenior group director、Frank Schirrmeister氏)旨。

IoT半導体で中核となるMCUについて、中国メーカーの取り組む目標である。

◇China market: Huada aims to become largest MCU vendor locally (9月1日付け DIGITIMES)
→China Electronics Corporation(CEC)の関連会社、Huada Semiconductor(中国)が、中国国内市場でMCU製品のトップサプライヤになることを目指している旨。中国におけるMCU市場は年に約CNY30 billion($4.49 billion)に達しているが、中国のプレーヤーは該分野で主要な役割が果たせていない旨。


≪市場実態PickUp≫

【Intel関連】

Intelは最近ARMとの連携を打ち上げているが、TSMCからApple顧客を奪う狙いとの見方である。

◇Intel aims to challenge TSMC over Apple chip orders by 2018-Intel could seize iOS chip business from TSMC by 2019, analysts say (8月26日付け Nikkei Asian Review (Japan))
→アナリストの予測として、Intelが、大方はARM Holdingsとの新たな連携から、2-3年以内にTSMCからAppleのiPhone向け半導体受注を捉える可能性の旨。「IntelはAppleに関わり始めており、TSMCからtop-tier顧客の1つか2つ手にする狙い」と、Gartnerのベテラン半導体アナリスト、Samuel Wang氏。

そのIntel、本来のプロセッサについて、14-nmプロセス強化版により第7世代Core PCプロセッサ、Kaby Lakeを以下の通り発表している。

◇Intel Debuts 14nm+ Processors-Process gives Kaby Lake 12% boost (8月30日付け EE Times)
→Intel社が、14nm+プロセスで作られ4K video改善に重点化した同社第7世代Core PCプロセッサ、Kaby Lakeを正式に発表、Intelの14nmプロセス強化から12%の改善が得られている旨。

◇Intel launches its 7th-generation Core processors for the 4K and VR era-Intel debuts Core chips for 4K video, VR applications (8月30日付け VentureBeat)
→Intelが、14-nmプロセスで製造、"Kaby Lake" microarchitecture搭載のCoreモバイルプロセッサラインを打ち上げ、該半導体は、4Kビデオediting, gaming, virtual reality(VR)などcompute-intensive応用向けの旨。

◇Intel launches Seventh-Gen Kaby Lake mobile CPUs (8月30日付け Bit-Tech.net)
→Intelが、同社次世代Kaby Lake microarchitectureを正式に打ち上げ、laptops, tablets, およびtwo-in-ones用の低電力品から始めて、2017年1月にdesktop品が続く旨。

◇Intel Pushes 4K Video With Latest Chip Line-The seventh generation of its flagship line of PC chips will come with built-in features to help play or edit video technology in high-end format Ultra HD (8月30日付け The Wall Street Journal)

Intelにとって市場開拓の重点となる中国について、IoT、millennial世代がキーワードとなるブランド戦略が表わされている。

◇Intel will increase branding investments in China-Intel targets China's millennials, IoT market (8月31日付け China Daily (Beijing))
→IntelのGlobal Marketing and Communications Group、vice-president、Penny Baldwin氏。中国は、Intelにとって市場開拓の重点であり、internet of things(IoT)および2020年までにconnected機器500億台を期待、グローバルな注目度を高めていく旨。しかしながらもっと喫緊には、Intelの中国における活動は、"中核の消費者であるだけでなく影響力のあるビジネス決定者であるmillennial世代(2000年以降に成人、あるいは社会人になる世代)に重点化する"旨。

Samsungの下記の動きに似た低コスト半導体のリリースが控え目に行われている。

◇Intel quietly releases “Apollo Lake,” new low-cost chips for cheap PCs-Intel debuts "Apollo Lake" processors for lower-end desktops, laptops (9月1日付け Ars Technica)
→Intelのbudget PCs向けに新しいCPUおよびGPUアーキテクチャー搭載の"Apollo Lake"プロセッサについて。

【Samsungの14-nm Exynos】

最新スマートフォン「ギャラクシーノート7」の250万台回収で揺れているSamsungであるが、手ごろなモデルに向けた14-nm Exynos 7570プロセッサの量産&立ち上げを以下の通り行っている。

◇Samsung unveils affordable 14nm Exynos 7570 processor-Samsung ups 14nm Exynos 7570 processor production (8月30日付け Android Authority)
→Samsung Electronicsが、同社Exynos 7570プロセッサを擁してentry-levelスマートフォンおよびinternet of things(IoT)機器を目指しており、14-nm FinFETプロセスでの量産に入っている旨。4つのARM Cortex-A53コアで設計された該quad-core半導体は、28-nmプロセスで作った同様のプロセッサよりエネルギー効率が30%上回る旨。

◇Samsung announces mass production of 14nm Exynos chips (8月30日付け DIGITIMES)
→14-nmで4つのCortex-A53コアを擁するExynos 7570は、28-nmで作られた先行品に比べてCPU性能が70%改善、およびパワー効率が30%改善される旨。

◇Samsung mass-produces 14-nano processors for budget models (8月30日付け The Korea Times (Seoul))

【3D-NAND関連】

3D-NANDが今後盛り上がる市場のキーワードとなってきており、まずは国内半導体製造装置メーカーの受注からの見え方である。

◇半導体装置の受注回復、9年半ぶり高水準 −7社4〜9月、次世代品向けが軸、東エレクは1割増 (8月27日付け 日経)
→半導体製造装置メーカーの受注回復が鮮明、大手7社の2016年4〜9月期(上期)の受注高は約7300億円と、2015年度下期比で約4%増えそうな旨。2006年度下期以来、9年半ぶりの高水準、サーバに使う3次元メモリなど、次世代半導体を製造する装置の需要が旺盛の旨。東京エレクトロンは1割増、日立国際電気は2割増となるなど、7社中5社の受注が増える旨。

ノートPCでのSSDs採用率が以下の通り急速に進みそうであるが、3D-NANDフラッシュの対応する浸透率が見込まれている。

◇Laptops are about to get a whole lot faster-SSDs will offer as much as 10X the speed of HDDs-SSDs to speed up performance of laptops, DRAMeXchange predicts (8月29日付け Computerworld)

◇SSD adoption in notebooks to top 50% in 2018, says DRAMeXchange (8月30日付け DIGITIMES)
→DRAMeXchangeが、notebooksにおけるSSDs採用が2016年に30%を上回るという2016年始め時点での見積もりを維持、2018年には56%に達すると予想の旨。

3D-NANDの製造についての見方が表わされている。

◇3D-NAND Deposition and Etch Integration (9月1日付け ELECTROIQ)
→Lam Researchのcorporate vice president、Harmeet Singh氏が、Flash Memory Summit 2016での同社プレゼンについて。2D-NANDがlithographyにより可能になったのと違って、3D-NANDはdeposition and etch enabledである旨。3D-NANDで40-nmデバイスについて話している一方、最先端の2D-NANDは、蓄積されるelectrons-per-cellの限られる数および隣接セル間の寄生分によるrepeatabilityにより、息切れしてきている旨。

◇3D-NAND Deposition and Etch Integration-3D NAND calls for deposition and etch to work together (9月1日付け SemiMD.com)
→3D NANDフラッシュメモリデバイスを製造する需要は、depositionおよびetchingプロセスの密接な統合を求めている旨。「我々はdepositionおよびetchが独自に顧客ロードマップを定義づける時代にいる」と、Lam Researchのcorporate vice president、Harmeet Singh氏。

【M&Aの動き】

ソフトバンクによる買収の件、ARMの株主総会にて以下の通り圧倒的多数で承認されている。

◇ARM Investors Nod to Its Sale to SoftBank (8月30日付け EE Times)
→ARMの株主が火曜30日、Londonでの総会で日本のSoftBankへの売却を圧倒的多数で承認、Cambridge, the U.K.の31年になる非常に成功したプロセッサIPコアの会社、ARMの独立性に正式に終止符を打つ動きの旨。

◇British tech champion ARM's sale to Japan's SoftBank wins shareholder nod-ARM shareholders approve the company's sale to SoftBank (8月30日付け Reuters)

◇英アーム、ソフトバンクの買収承認、株主総会 (8月31日付け 日経 電子版)
→英半導体開発大手、アーム(ARM)・ホールディングスが30日、ロンドンで株主総会を開き、ソフトバンクグループの傘下入りを承認した旨。ソフトバンクの買収額は約240億ポンド(約3兆2千億円)、日本企業による過去最大の海外企業の買収が決まった旨。30日の株主総会では、事前の投票も含めて議決権ベースで94.92%がソフトバンクの傘下入りに賛成した旨。

ON SemiconductorがFairchild Semiconductor買収が進むための条件となるON Semiの事業売却が合意されている。

◇ON Semi to Sell Automotive IGBT Biz to Littelfuse (8月30日付け EE Times)
→ON Semiconductor(Phoenix, AZ)が、Fairchild Semiconductor買収が進められるよう、同社ignition IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)パワーデバイス事業のLittelfuse(Chicago, IL)への$104 millionでの売却に合意の旨。

昨年の急激な余波が続いている半導体業界のM&Aであるが、今年の今までについての動きがまとめられている。

◇IC Industry M&A: Who's Left to Buy? (8月31日付け EE Times)
→2016年も8ヶ月、グローバル半導体業界のM&Aがもう1つ大型の年の様相になっており、相違として、取引の数は減っている一方、SoftbankがARMを$32 billion in cashで買収する計画などいくつかの取引の規模が非常に大きくなっている旨。現時点、M&A関連での注目先:
 Intersil Corp.
 Maxim Integrated Products, Inc.
 Xilinx
 Lattice Semiconductor
 Silicon Labs
 Marvell Technology Group
 Integrated Device Technology, Inc.

◇2016 IC Industry: Who Grabbed What...So Far (9月2日付け EE Times)
→2016年これまでの半導体業界M&A、以下の通り。
 Softbank - ARM                    $32 billion
 ADI - Linear                     $14.8 billion
 Microchip - Atmel                   $3.56 billion
 Chinese Consortium - NXP's Standard Products business $2.75 billion
 Infineon - Cree's Wolfspeed              $850 million
 Cypress Semiconductor - Broadcom's wireless IoT biz  $550 million
 Sony - Altair Semiconductor              $212 million
 Chinese Consortium - Exar Corp.'s display IC subsidiary $136 million
 Rambus - Inphi's memory interconnect business     $90 million
 MaxLiner - Broadcom's wireless infrastructure backhaul biz $80 million
 STMicroelectronics - AMS' NFC, RFID biz        $77.8 million +
 SMIC - Lfoundry                    $55 million
 GigOptix - Magnum Semiconductor            $55 million
 MaxLinear - Microsemi's Broadband Wireless Unit    $21 million
 Murata - Sony's industrial battery 
 Wurth - Amber Wireless
 Qorvo - GreenPeak

【NRAM技術ライセンス】

知財関係の動きとして、富士通の半導体部門が、carbon nanotubesを用いるnon-volatile RAM、NRAMに向けた技術のライセンスをNantero社(米国)から受けて、55-nmプロセス製品リリースに向けて共同開発を行うとしている。

◇Fujitsu Semiconductor licenses Nantero's NRAM, begins developing memory products (8月31日付け ELECTROIQ)
→Fujitsu Semiconductor LimitedおよびMie Fujitsu Semiconductor Limitedが、Nantero社(米国)からcarbon nanotubesを用いるnon-volatile RAM、NRAMに向けた技術のライセンス供与を受け、55-nmプロセス技術ベースの製品リリースに向かって共同開発を行う合意に達した旨。3社は、embeddedフラッシュメモリより数1000倍高速のrewritesおよび何1000倍も多くのrewrite cyclesが得られ、DRAMをnon-volatile memoryで置き換えられる可能性をもつNRAM non-volatile RAMを用いる製品開発を狙っている旨。

◇Nantero signs NRAM licensing agreement-Nantero licenses carbon nanotube RAM tech to Fujitsu (8月31日付け New Electronics)
→Nantero社(米国)が、carbon nanotubesベースのNano-RAM nonvolatileメモリ技術についてFujitsu SemiconductorおよびMie Fujitsu Semiconductorにライセンス供与、富士通は、2018年末までにDDR4インタフェース搭載、55-nm planar NRAMプロセスで製造されるembeddedメモリモジュールを出す計画の旨。

◇Nantero licensees prepare for CNT memory production (8月31日付け Electronics Weekly (U.K.))

◇Fujitsu now making DRAM killer with 1,000x performance boost (8月31日付け Computerworld)


≪グローバル雑学王−426≫

アメリカに続いて国際情勢をどう見るか、そして対処する「ロジック」の具体例について今回は、

『世界に負けない日本 −国家と日本人が今なすべきこと』
 (薮中 三十二 著:PHP新書 1045) …2016年5月27日 第一版第一刷

より、中国、北朝鮮、ロシアそしてASEANという国・地域を対象に示されるとともに、イランの核疑惑対応そしてG8サミットという外交の前線舞台で著者が実際に動いた取り仕切りが語られている。主張すべきは絶対に主張しなければグローバル社会では負け、主催国への根回しの重要性、など改めて外交の要諦を知らされ、また、ヨーロッパの中国経済重視はじめ意外な感覚やそれぞれに距離感の違いあれど普段からの理解、交流の重みというものを受け止めている。


第2章 国際情勢の見方と「ロジック」の具体例   =後半=

2 世界は中国をどう見ているのか

■ヨーロッパの中国に対する見方
・「世界が中国をどのように見ているか」
 →今後、日本が中国と向き合う上で極めて重要
・「中国がアメリカを追い越し、世界一の経済大国になるかどうか?」
 →日本人は、80%近くが中国はアメリカを追い抜くことはないとの答え
 →対して、ヨーロッパでは60%の人が中国はアメリカを追い抜くとの見方
・欧州に加え、アメリカの中でも中国がアメリカを追い抜くと見ている人が少なくない、という事実
・世界の動きへの影響の例
 →英国が先頭を切って2015年の春、中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加を決定
 →メルケル・ドイツ首相が中国を8回も訪問、中国経済を重視

■願望を含んだ日本の見方
・日本が中国経済について極めて悲観的な見方をする裏
 →「中国経済がアメリカを追い抜く、などというは絶対にあってほしくない」という強い願望も影響しているのでは
・客観的に世界の流れを見て、日本の針路を見定める必要

2 ロジックの具体例――六ヵ国協議で試みたロジック発言

■なぜ、六ヵ国協議で拉致問題を取り上げるのか
・北朝鮮の核問題を国際的に取り扱う六ヵ国協議において、ロジックで苦労した
 →協議初日の冒頭発言で「拉致問題」を取り上げなくてはならない
 →日本国内における拉致問題の政治的重要性に鑑みれば、極めて自然なこと
 →しかし、国際的にはなかなか理解が得られなかった

■北朝鮮の拉致問題解決の切り札
・(著者が)考え出したロジック
 →北朝鮮に核放棄を決断させるには経済的な支援が不可欠なもう1つの要素
 →日本の支援が大規模、かつ確実なもの
 →日朝間の懸案解決、とりわけ拉致問題の解決が不可欠
・六ヵ国協議の日本側冒頭発言で拉致問題解決の重要性を訴えると、予想通り北朝鮮は激しく反発
 →アメリカだけでなく、意外にもロシアの代表が日本の主張に理解
 →北朝鮮が席を立つという展開には至らなかった

4 アメリカに対しても、理不尽なことは糺すべき

・イランの核疑惑発覚に対する制裁の件
 →制裁対象となる企業から国連安保理の常任理事国は例外にすることを検討している、という新聞報道
  …イランへ禁輸品を外国企業が不正に輸出した場合、ロシアや中国など国連安保理の常任理事国であれば不問に
 →こうした時、直ちに日本はアメリカに対し物を言わなくてはいけない
・結局、2010年春のこの新聞報道は否定され、アメリカ政府も絶対に中国を特別扱いすることなどありえないと日本側に釈明
・主張すべきは絶対に主張しなければグローバル社会では負け
 →肝に銘じておく必要

5 G8サミットでの経験

・G8サミットのシェルパを務めた経験
 →シェルパ…サミットでは首脳の個人代表(実質的には補佐役)のこと
・シェルパ会合で各国は自国の立場を最大限有利に展開するため丁々発止のやりとり展開
 →自国にとって決定的な重要課題を基本文書に盛り込むためにはさまざまな工夫
  →個々の問題を離れ、何人かのシェルパとの友情関係を確立
   …大事な人間関係
  →当方の案に絶対反対という国のシェルパと向き合い、大声で反対しないようにもっていく
  →最終的に大事なのは議長国への根回し

■いかにして「拉致問題」を基本文書に入れ込むか
・こうした取り組みをしても上手くいく保証はない
 →2005年のサミットでは、拉致問題解決の重要性とこれに対する各国の支持を基本文書に入れてもらうことが日本にとっての最重要課題
 →ところが、サミット本番の朝5時に最終版文書を手に入れると、拉致問題への言及が入っていなかった!
 →事務局の前に陣取り、最終的に拉致問題への言及が入るまで、座り込んで確認した

■ロシア、圧巻のもてなし
・2006年のG8サミット、ロシアが初めて議長国を務めるサミットで、凄かったプーチン大統領の熱の入れ方
 →シェルパにロシアの状況を理解させ、少しでもロシアに同情的な考えを持ってもらおうとした
  →シェルパをクレムリンの奥深くまで案内、ロシア皇帝の居間や寝室まで披露、ロシアでは格別のアレンジ
  →4月にはタタールスタン共和国の首都、カザンに案内
   …ロシアはまさに多様性に富む国、少数民族に配慮、異なる宗教にも寛容な国、と強調したかったよう
・サミット本番が近づき、サンクトペテルブルクでの事前会合
 →「ロシア風もてなし」の徹底
 →ロシアにとってサミットの雰囲気をよくするのに役立ったことは間違いない

6 ASEANの不満――親しき仲にも礼儀を忘れてはいけない

・2003年11月、東京で日ASEAN特別首脳会議開催
 →ASEANが非常に重視した会合
 →域外での特別首脳会議、日本との格別な関係に鑑み、日本が最初と決定
 →その時、もう1つ、TAC(東南アジア友好協力条約)を域外国にも開放するという決定
・(著者は)2002年12月に外務省のアジア太平洋州局長になったが、北朝鮮問題に忙殺され、ASEANのことまでは手が回らず
・ASEANの東京駐在大使の1人からアドバイス、慌てて日ASEAN特別首脳会議の準備会合に参加
 →次長に任せていたが、ASEAN10か国の次官が勢揃い
 →TAC加入問題、加入しないと、日本はASEANを重視していないのではないか、という疑問が大きくなるだけ
・省内では慎重論が出されたが、ASEANとの関係を維持強化するにはTAC加入が不可欠という主張で乗り切り、なんとか危機を回避
 →ASEANとの関係は基本的に良好であっても、常にASEANの動きに目を配り、大事なASEANとの関係が少しでも傷つかないように心を配る必要
・今後とも問題がなくとも常に日本の方から大事にしていく必要

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