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新市場拡大に向けて、SSDの多様化、wearableの課題

フラッシュメモリを用いるデータセンター向けsolid state disks(SSDs)、スマートフォンに続くwearable electronics、ともに今後の有望市場として各社の取り組みが盛んに進められている。SSDsに向けては、Micron, SanDisk, およびSamsungからビッグデータ、cloud応用などを扱う新しいenterprise SSDsについて多様なportfoliosの拡大が相次いで発表されている。wearableについては、消費者浸透に向けて機能、価格など商品企画の課題への対応に迫られる現状を受け止めている。

≪揺籃期の市場≫  

データセンターに向けたフラッシュ-ベースSSDsへの主要ベンダー各社の取り組みの現状が、端的に次の通りである。

◇Major SSD Vendors Diversify Offerings for Enterprise Workloads (4月30日付け EE Times)
→フラッシュがデータセンターでさらに浸透してきて、ベンダーが、経済性を改善、さまざまな仕事量をこなすよう、自分たちのSSD offeringsを多様化している旨。ここ何週か、Micron, SanDisk, およびSamsungがすべて、SSD portfoliosを拡大している旨。

ベンダー別にまずSamsungは、業界初のデータセンター用3-bit NAND SSDの量産を開始している。

◇Samsung Begins Mass Production of Industry’s First 3-bit NAND Solid State Drive for Data Centers (4月27日付け Market Watch)

◇Samsung begins mass production of 3-bit NAND solid state drive (4月28日付け ELECTROIQ)
→Samsung Electronicsが本日、業界初、サーバおよびデータセンター向け高性能、three-bit-NAND-ベースSSDの量産を開始、この新SSDは、social networking, web browsingおよびemail, そして動作効率強化に関連する仕事量をデータセンターがより良く管理できるようにする旨。最初は大規模データセンターでの該3-bit MLC(multi-level-cell) NAND SSDsの据えつけは今四半期後半に始まる見込みの旨。
  
Micronは、やはりデータセンター用に設計、新しいSATA SSDを次の通り発表している。

◇Micron releases new SATA solid state drive (4月29日付け ELECTROIQ)
→Micron Technology社が今週、データセンターストレージプラットフォーム向けに特に設計した新しいenterprise-class solid state drive(SSD)を発表、enterprise応用は、モバイル、cloudサービスおよびconnected機器の急成長からデータスループットを高める途方もない新しい需要を受けている旨。

もう1つ、SanDiskは、4TB SAS SSDを打ち上げ、コストも従来disksに近づくとしている。

◇SanDisk launches 4TB SAS SSD, eyes more datacenter turf-SanDisk adds enterprise SSDs, targeting data centers (4月30日付け ZDNet)
→SanDiskが火曜29日、容量がより高く従来のspinning disksに近づくコストの新しいenterprise solid state drives(SSDs)を展開の旨。

このようにデータセンターを巡るフラッシュ-ベースSSDsの各社の取り組み、攻防には当面目が離せないが、wearable electronicsについては、市場の受け入れ、拡大に向けていろいろな課題が提起されている様相を感じている。まず中国のLenovoからは、フィットネス以外にどう使えるか、有用性を追求すべくSoC設計を検討するとしている。

◇Wearable Shakeup Ahead, CTO Says-Lenovo exec confirms SoC design effort (5月1日付け EE Times)
→Lenovoのchief technology officer(CTO)、Peter Hortensius氏。2014年はwearablesがフィットネス機器を超えて拡大できることを証明しなかればならない旨。また、同社は小さい半導体設計グループを作った旨。

市場アナリストからも、wearableの有望性は認めるとしても、フィットネスだけでは消費者にそのうち飽きられ、コストパフォーマンスを高める工夫、必要性が次の通り指摘されている。

◇Wearables offer hazy hope for mobile chip growth-As smartphone and tablet growth slows, watches and other devices have room to grow, an analyst says-Analyst: Wearables may boost chips if they're more affordable, useful(5月1日付け Techworld (U.K.)/IDG News Service)
→The Linley GroupのLinley Gwennap氏。モバイルプロセッサの伸びが得られるとすれば、wearable electronicsはもっと手ごろで有用になる必要がある旨。フィットネスtrackersなどwearable gadgetsはまもなく引き出しに追いやられ、多くの消費者の予算には高価過ぎる旨。

このように課題が挙げられるなか、smartwatchesはつい最近出てきたものではなく、ここにきて急成長の可能性と、次の視点を見い出している。

◇15 Years of Smartwatch Evolution-Smartwatch not new (5月2日付け EET [BLOG])
→ここ15年で約2,000のteardownsを数えて、Teardown.comでは電子機器の内側をたくさん見てきているが、面白いことに、smartwatchesは初期のteardown対象の1つであった旨。急成長のwearable Internet of Things(IoT)領域を含めて最近医療機器teardownプログラムを拡大、もう一度smartwatchesが特に興味深くなっている旨。


≪市場実態PickUp≫

【モバイル機器市場における移行】

中国メーカーの台頭でSamsung、Appleのトップ2ベンダーが後退基調という昨今のモバイル機器市場での感じられ方が、下記のアナリストの基調講演そしてこの第一四半期のデータから一層強まってきている。

◇Mobile Growth Shifts to Low End-Mobile processors are moving to the low end, analyst says (4月30日付け EE Times)
→Linley Tech Mobile Conference 2014(4月30日〜5月1日:Hyatt Regency,Santa Clara, CA:Focused on System Design Issues)にて、アナリストのLinley Gwennap氏基調講演。スマートフォンおよびタブレット市場は成熟してきており、特に中国のシステムおよび半導体サプライヤに対してビジネスopportunitiesがlow endに引っ張られている旨。今年のスマートフォンの伸びは22%と見ており、2013年から13%減、2012年から30%減となる旨。2018年までに約1.85 billion台のスマートフォンとなる一方、そのときまでにHuawei, Lenovo, およびZTEなど中国のtier oneメーカーがAppleおよびSamsungを市場シェアでぐんと上回ると予想する旨。

◇Samsung, Apple Lose Traction in Q1 (5月1日付け EE Times)
→Strategy Analytics(Boston)の最新リサーチ。スマートフォン市場のトップ2プレーヤー、SamsungとAppleの支配的な位置づけがゆっくりと後退しており、LenovoおよびHuaweiなど中国のsecond-tierメーカーが競い合いに拍車をかけている旨。Samsungは2014年第一四半期のグローバルスマートフォン市場で31.2%のシェアをもってトップを維持、前年同期の32.4%からはシェア低下の旨。
・≪表≫ 2014年第一四半期グローバルスマートフォンベンダー出荷および市場シェア
http://img.deusm.com/eetimes/2014/05/1322191/Screen-shot-2014-05-01-at-12.36.31-AM.png

◇伸びる中国製スマホ…サムスン・アップルに攻勢 (5月3日付け YOMIURI ONLINE)
→米調査会社、IDC発。2014年1〜3月期のスマートフォンの世界出荷台数が、新興国市場が拡大、前年同期比28.6%増の2億8150万台となった旨。低価格帯の商品が多い中国メーカーがシェアを伸ばし、スマホ市場をリードしてきた韓国サムスン電子や米アップルに攻勢をかけている旨。トップ4ベンダーおよびシェア、次の通り:

2014年1〜3月期
2013年1〜3月期
1サムスン
30.2%
31.9%
2アップル
15.5%
17.1%
3中国・華為技術(ファーウェイ)
4.9%
4.3%
4中国レノボ・グループ
4.6%
3.6%

【FD-SOI関連】

STマイクロのfully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)について2点、1つは、中国のSMICとファウンドリー契約を取り交わし、capacityの増強を図るとともに、Micronイタリア出身の研究者の採用を進めている。

◇ST Signs SMIC as FD-SOI foundry-ST signs a foundry deal with SMIC, will hire researchers (4月29日付け Electronics Weekly (U.K.))
→STMicroelectronicsが、fully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)技術ファウンドリーサービスでSemiconductor Manufacturing International(SMIC)と合意に達した旨。STは、Crolles, Franceのウェーハfab拠点ではFD-SOI製造のcapacityが限られる旨。一方、STMicroelectronicsは以前Micron Technologyで働いていた研究者140〜170人を採用する段取りをまもなく始める旨。

もう1つ、最先端ノードを競うFinFETには歩留り克服問題があって、FD-SOIの優位性が高まっているという以下の見方である。

◇Finfets' problems are FD-SOI's opportunity-FinFET yield woes could open the door for FD-SOI (4月29日付け Electronics Weekly (U.K.))
→KLA-TencorのCEO、Rick Wallace氏。FinFET技術での半導体生産が、半導体業界に大きな歩留り問題を課しており、代替のfully-depleted silicon-on-insulator(FD-SOI)技術にopportunityとなる可能性の旨。
「28-nmおよび20-nmにて、FD-SOIのplanar bulk CMOSと比べた低電力消費および高性能はhigh-volume携帯応用でFD-SOIに主要な競争力優位性となる。16-nm FinFET dieと比べたFD-SOI dieの低コストは、この技術ノード でのhigh-volume応用についてFD-SOI活用の圧倒的な優位性となる。」
(International Business Strategiesのfounder, chairman and CEO、Handel Jones氏)

【タイの現況】

タイのエレクトロニクス業界の現在の状況として、低賃金の製造から付加価値分野への重点化、そして現地の大学を卒業する工学系学生からの技術workforce人材不足が、次の通りである。

◇Channeling Silicon Valley: Thailand Banks on Tech Startups (4月28日付け EE Times)
→Thailand Board of Investmentのdeputy secretary general、Duangjai Asawachintachit氏。今後低賃金で競合するつもりはなく、タイを付加価値の段階に動かす重要分野に重点化していく旨。タイはすでに地域競合性からいくつかの低賃金製造分野で後退している旨。

◇Thailand Strives to Bolster Engineering Ranks (4月30日付け EE Times)
→実際にタイには十分なエンジニアがいないというのは誤った考え、とThai Embedded Systems Association(TESA)のpresidentでengineering教授のApinetr Unakul氏。タイのトップ4大学から毎年約6,000人の卒業生がおり、電気工学から車載、embedded設計まで、広範囲の工学専門分野の学位をもっている旨。しかし、タイの技術workforceに入る新卒エンジニアは十分でなく、人材の不足を生み出している旨。

【知財関係の動き】

米国特許管理会社大手が日本企業の抱える休眠特許の活用に乗り出す動き、そして国際的批判を受けて知的財産に関する事件を専門的に扱う知財裁判所を新設する中国の動きが、以下の通りである。

◇日本企業の休眠特許活用 米大手、売却元に収入分配 (4月28日付け 日経 電子版)
→米特許管理会社大手、アカシア・リサーチ(カリフォルニア州)が日本企業の抱える休眠特許の活用に乗り出す旨。電機・通信分野を中心に使われていない特許を買い取り、国内外で技術の供与先を探して利用料を獲得、売却元の企業には長期間、収入の一定割合を分配する旨。米大手の進出で休眠特許の活用に弾みがつきそうな旨。

◇中国、来春にも知財裁判所、FTA交渉の進展狙う (5月1日付け 日経 電子版)
→中国政府は知的財産に関する事件を専門的に扱う知的財産法院(裁判所)を、早ければ2015年春に新設する方針を固めた旨。まず外国企業が集積する上海と広州につくり、その後全国に広げる旨。米当局が30日公表の報告書で中国を「優先監視国」に指定するなど知財保護の甘さへの国際的批判が根強いのに対応、司法制度改革をアピールし、外国企業の進出や自由貿易協定(FTA)の締結に弾みをつける狙いの旨。

【米SIAの主張】

米Semiconductor Industry Association(SIA)が米国政府に訴える2点である。イノベーション活性高度化に向けた出資の必要、および知的財産関係の諸々の懸念の払拭を挙げている。

◇Three Reasons Congress Should Close the Innovation Deficit (4月29日付け SIA Press Release)
→米上院Appropriations Committeeが本日、アメリカのinnovation不足、リサーチおよび教育高度化への連邦出資の必要とされるものと実際との差、を詰める必要性についての聴聞会を開催、米SIAは広範な連立に参画、議会に不足解消を督促する証言文書を出した旨。

◇Government Report Highlights Semiconductor Industry's Key Intellectual Property Concerns (5月1日付け SIA BLOG)
→Office of the United States Trade Representative(USTR:アメリカ合衆国通商代表部)が今週、米国通商パートナーのIPR保護および施行の妥当性および実効性についてのannual “Special 301”レポートをリリース、該レポートはSIAのトップIPR懸念を盛り込んであり、半導体模造、通商秘密保護、特許保護、utilityモデル特許、強制技術移転および国内IPの歪んだ選択などである旨。2月にSIAは、USTRに文書を提出、4つの特定市場、中国、インド、ロシアおよびブラジルにおけるこれらはじめIPR懸念に焦点を当てている旨。


≪グローバル雑学王−304≫

すべてが石油で動くのだと世界が認識するに至るまでの経緯を、

 『国家とエネルギーと戦争』  
  (渡部 昇一 著:祥伝社新書) …2014年3月10日 初版第1刷発行

より見ていく、前回に続く後半である。第一次世界大戦前後のイギリスの石油への切り替え、アジアの石油をイギリスまで運ぶルート作り、そして飛行機が急速に発達して、ものすごい機械が全部石油で動くというエネルギー認識に世界が至るまでを触れている。


第一章 石油の時代を見抜いていた秋山真之の眼力  ≪後≫

□イギリスはなぜ、石油への切り替えに成功したか
・当時のイギリスの状況
 →1911年、チャーチルが海軍大臣に就任
 →1人の大臣に4人ぐらいの提督
 →一番耳を傾けたのは、フィッシャーという提督
・フィッシャーは、「重油に限る」と断言
 →チャーチルも重油だと決断、海軍の燃料をすべて重油に切り替え
・陸軍の落ちこぼれ士官(チャーチル)の素人の方が、かえって正しい判断ができるということも

□アジアの石油をイギリス本国まで運ぶことに成功
・当時のイギリスにおける石油の状況
 →オランダ領インドシナに石油を採ることを専門とするオランダの会社
 →イギリスが一枚加わって、ロイヤル・ダッチという石油会社に
 →これに民間会社のシェルがくっつく
・何だかんだの経過、結局、ロイヤル・ダッチと合併
 →社名を、ロイヤル・ダッチ・シェルに
 →イギリスでは第一次大戦の前にすでにこの会社があって、アジアの石油をイギリスまで運ぶルートができていた
・チャーチルの決定を受け、政府は国策としてアングロ・イラニアン会社というものを作って、認定
 →後に日本の出光と関係ができる会社
・当時イランでは、オイルと呼ばないでナフサ
 →イラン語で、「土から出る燃える液体」というような意味
・燃料を重油に切り替えると同時に、すかさず中近東の油田に手を伸ばす
 →いかにもイギリスらしいやり方
 →イラン北部の5州を除く、全イランの油田権をアングロ・イラニアン会社が掌握
・日本が全軍艦を重油に切り替えたのは、昭和5年(1930年)、優に15、6年遅れ
・イギリスは、石炭から石油への切り替えの発想が、第一次大戦が始まる前からすでに
 →キャタピラーを車輪に巻きつけて、タンクというものが発明
 →これもチャーチルの発想

□すべてが石油で動くのだと、世界は認識した
・そのころ飛行機は、驚くべき勢いで発達
 →列強の中で一番よく頑張って飛行機を活用したのがフランス
 →ドイツは飛行機よりもツェッペリン飛行船で爆撃
・第一次大戦の直後に、世界を覆った2つの大きな潮流
 →一転、世界中がデモクラシーばやりに …軍事を縮小しようという運動
 →左翼の思想が世界を席巻 …社会主義政権のロシア政府
・エネルギーからみた世界
 →ものすごい機械の時代に、それが全部石油で動く

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