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グローバル市場の現実を映し出す事業売却、人員削減の動き

早々の動きとしてまた、IBMのサーバ事業がいくつか経緯があって中国のLenovo Groupに売却という動きが見られている。IBMは高マージン機種に、そして今やハイテク汎用品のx86-ベースシステムはLenovoが受け持つ展開である。またも繰り返されるグローバル市場の移行、変動による動きと映る一方、市場の中身の変貌、地域的な実態に合わせた各社の人員削減による調整の動きが相次いでいる。半導体・エレクトロニクス市場に宿命的となっているグローバルな波動、うねりへの対応が本年も早々に始まっている。

≪早々のそれぞれの展開≫  

IBMのサーバ事業売却については、なかなかまとまらない事態が伝えられていたが、ここにきて次のように一気に合意する1週間という感じ方である。

◇IBM Revives Effort to Sell Low-End Server Business-Dell Among Those Interested in Acquiring Business With Thinner Margins-Sale of IBM's low-end server unit is possible, sources say (1月19日付け The Wall Street Journal)
→IBMが、同社low-endサーバ部門売却を再び始めており、Dellが見込みのある買い手の旨。IBMとLenovo Groupが、該サーバ事業売却で昨年広範囲にわたる交渉を重ねたが、合意に至らなかった旨。

◇Lenovo resumes talks to buy IBM unit: source (1月20日付け Reuters)
→該事情通筋発。中国のLenovo Group Ltdが、International Business Machines(IBM)社のlow-endサーバ部門買収協議を再開の旨。

数日の間を置いて、以下の合意となっている。

◇IBM/Lenovo Deal Wins Praise-X86 server unit fetches $2.3B (1月23日付け EE Times)
→IBMが、Intel-ベースサーバ事業をLenovoに$2.3 billionで売却、IBMは高マージンのPowerおよび固有独自サーバに重点化、一方、Lenovoは間違いなくハイテク汎用品となっているhigh-volume x86-ベースシステム市場を拡大していく旨。

確認、修正のあとが見られるタイトル表現も見られている。

◇CORRECTED-UPDATE 1-Lenovo to buy IBM's low-end server business in China's biggest tech M&A-Lenovo confirms deal to acquire IBM's low-end server unit (1月23日付け Reuters)
→該合意には、BladeCenter and Flex System bladeサーバ&スイッチ, Flex統合システム, NeXtScaleおよびiDataPlexサーバ, およびSystem xサーバが含まれる旨。

◇Lenovo Agrees to Buy IBM Server Business for $2.3 Billion (1月23日付け The New York Times)

IBM、Lenovoそれぞれの現時点での強みに今後を託す展開である。

◇IBMのPCサーバ事業、レノボ、2400億円で買収、企業向けを拡大、規模広げ競争力向上 (1月24日付け 日経)
→中国パソコン大手、レノボ・グループ(聯想集団)が23日、米IBMからパソコンをベースにした安価な「PCサーバ」事業を買収すると発表、買収額は23億ドル(約2400億円)、今回の買収を機に企業向けサーバ事業に本格進出、パソコンや携帯電話など個人向けが主体だった事業構造の転換を進める旨。IBMは好採算のクラウド事業などに注力、ハードウエア事業は高性能機に絞り込む旨。

インテルも、Intel MediaのassetsをVerizon Communicationsに売却する動きが見られている。

◇Intel Sells Media Assets to Verizon (1月21日付け EE Times)
→Verizon CommunicationsとIntelが火曜21日、Verizonがcloud-ベースTV製品&サービスに注力する部門、Intel Mediaのassetsを買収、その値段は明らかにしていない旨。

事業売却に続いて、人員削減の動きであるが、世界的な事業、地域調整を目指してこの1週間のうちに発表されたものが以下の通りとなっている。

まずは、前回も触れたが、インテルの業績発表直後の人員削減計画である。

◇Intel to reduce global workforce by five percent in 2014-Intel plans 5% reduction in its workforce (1月17日付け Reuters)
→Intelが2014年の売上げが変わらないだろうという予測を出した後、出てきた動きのニュース。自然減、buyoutsおよびレイオフによる5,000 positions以上の人員削減に。

日本の工場拠点買収を進めているイスラエルのTower Semiconductorであるが、足元での削減予定が見られている。

◇Tower to fire 40 in Israel-Tower Semiconductor will fire 40 of its 1,200 employees in Israel as layoffs will be made in all departments. -Sources: Tower will lay off 40 in Israel (1月20日付け Globes (Israel))
→Tower Semiconductorが、イスラエルで従業員1,200人の内40人をレイオフする予定、同国の2つのウェーハ製造拠点の生産稼働率が60%〜85%となっている旨。

Texas Instruments(TI)でもグローバルな調整を図る動きであるが、特に、日本市場のパイ低下が謳われている。

◇Texas Instruments to cut 1,100 jobs worldwide -TI will reduce workforce by 3% as profit outlook dims (1月21日付け Reuters)
→Texas Instruments(TI)が、インド、日本および米国で1,100 positions、同社世界従業員の3%を削減、第一四半期net incomeがアナリスト平均評価を下回る見込みのための旨。「ハイテク市場は時々成熟し、お金の使いどころのバランスを取り直す必要がある。日本の場合、市場の大きさがここ数年低下している。」(TIのChief Financial Officer、Kevin March氏)

そして、我が国、ルネサスエレクトロニクスでのさらなる人員削減が、発表となっている。我が日本半導体市場の底上げが、それこそ今また喫緊の課題である。

◇ルネサス、5400人追加削減へ、国内の4分の1 (1月22日付け 日経 電子版)
→ルネサスエレクトロニクスが、2015年度末までに国内で5400人の人員削減に踏み切る方針を固めた旨。約2万人にのぼる国内従業員の25%に相当、同社は国内の工場や開発拠点の集約など構造改革を進めている旨。閉鎖工場のほか、管理部門などを含めて人員削減を加速、経営再建を急ぐ旨。

◇Renesas Said to Plan Cutting 5,400 Jobs in Bid to Boost Profits-Report: Renesas may institute a 20% workforce reduction (1月22日付け Bloomberg)

◇Further cuts at Renesas show woes of Japan chip industry (1月23日付け The Japan News)

IBMの半導体関連でも、昨年に続く形で近々のレイオフが発表されている。
グローバル市場、各地域市場の現実、動静に引き続き注目である。

◇IBM plans to cut jobs-Layoffs in state next month could include Albany operations-IBM is planning to reduce its workforce in N.Y. (1月23日付け Times Union (Albany, N.Y.))
→IBMが来月、New York州で数100人のworkersレイオフを予定、その多くはAlbanyなどHudson Valley locationsのmicroelectronics製造operationsを担当するSystems and Technology Groupの旨。その規模は、同社がPoughkeepsieおよびEast Fishkillの700人など、3,300人の米国workersをレイオフした昨年と同様と見られる旨。
 

≪市場実態PickUp≫   

韓国の世界半導体市場シェアが昨年、日本を初めて上回るというデータが、韓国から発信されている。確定データは来月待ちとなるが、ここにも我が国の存在感アップが待たれる状況がある。

【韓国が日本を上回った2013年】

◇S. Korea overtakes Japan in global market share for semiconductors-South Korea says it led Japan in 2013 sales of chips (1月20日付け Yonhap News Agency (South Korea))
→韓国政府・Ministry of Trade, Industry and Energy発。昨年の韓国の半導体製造は$50.06 billionの販売高と見積もられ、2013年世界半導体販売高の15.8%を占め、日本の13.9%を上回る旨。Korea Semiconductor Industry Association(KSIA)からのfiguresを引用、韓国より半導体販売高が多いのは米国だけ、該市場の52.4%の旨。このfiguresが正式に確認されれば、韓国のグローバル市場シェアが日本を上回るのは初めてとなり、2013年第四四半期の確定figuresは2月に出される予定の旨。

◇Korea's World Chip Market Share Rises to 15.8% Overtaking Japan's 13.9% (1月21日付け Korea IT Times)

市場シェアが上昇しながらも、大きな問題点を内包する韓国業界の自らの分析である。

◇半導体シェア2位の韓国、核心装備は日独から輸入…システム半導体では存在感薄く (1月22日付け 韓国・中央日報)
→メモリ市場より4倍以上大きいシステム半導体分野では韓国企業の存在感は見当たらない旨。昨年末基準で韓国のシステム半導体市場でのシェアはせいぜい5%にすぎない旨。システム半導体の設計・開発を専門にしてきた韓国のファブレス企業が技術(米国)と価格(台湾など)競争に敗れ業種を変えたり淘汰されたための旨。
韓国政府も深刻なメモリ半導体偏重状況を懸念しており、産業通商資源部は、「昨年10月に半導体産業再跳躍戦略をまとめた。今後付加価値が高いシステム半導体開発と核心装備・素材を国産化することに政策の焦点を合わせていくだろう」と話している旨。

活況のモバイル機器向けのデバイスに大きく支えられたファウンドリー業界の2013年の総括決算が、以下の通りである。TSMCはじめ専業の圧倒的な伸びが際立つ結果となっている。

【2013年ファウンドリー業界】

◇Foundries Flourishing, says McLean Report-Study: Foundries enjoyed a 14% revenue boost in 2013 (1月23日付け Electronics Weekly (U.K.))
→IC Insightsのannual McClean Report発。昨年のSiファウンドリー世界売上げが$42.8 billion、2012年の$37.6 billionから14%増、うちTSMCおよびUMCなど専業ファウンドリーが16%増の$36.2 billion、一方、integrated device manufacturers(IDMs)のファウンドリー事業が2%増の$6.6 billionの旨。
・≪グラフ≫ ICおよびファウンドリー市場の伸び:2011〜2018年
http://static.electronicsweekly.com/news/wp-content/uploads/sites/16/2014/01/IC-Insights-IC-Market-growth-300x242.jpg

◇Global IC foundry sales rise 14% in 2013, says IC Insights (1月23日付け DIGITIMES)

モバイル機器の活況は、2013年の半導体消費ランキングにもくっきりと表われている。2社からのデータでともに、AppleとSamsungのトップ2で合わせて$50 Billionを越える結果となっている。

【2013年半導体消費ランキング】

◇Samsung, Apple Chip Buys Topped $50 Billion in 2013-Reports cite Apple, Samsung as top chip buyers in 2013 (1月23日付け The Wall Street Journal)
→Gartner発。Samsung ElectronicsとAppleの2社が昨年、2013年に消費した半導体が$53.7 billion、2012年の$46 billionから17%、即ち$7.7 billion増、この2社は半導体消費tableのトップに位置する一方、2社の市場シェアは2013年で17%、2011年から5%上げている旨。

◇Apple and Samsung remain biggest semiconductor buyers, says IHS (1月24日付け DIGITIMES)
→IHS発。2013年の半導体spendersトップ2、次の通り:
 Apple    $30.3 billion  30%増
 Samsung  $22.2 billion  17%増

中国向けのデバイスソリューション出荷で大きく伸びている台湾のMediaTekに、以下のような逆風の事態が見られている。

【MediaTek関連】

◇Novatek, Realtek to ramp up TV chip shipments to China-Novatek, Realtek will ship more TV chips to China, sources say (1月21日付け DIGITIMES)
→業界筋発。TV用半導体サプライヤ、Novatek MicroelectronicsとRealtek Semiconductorが、2014年に中国向けのTV半導体出荷を大きく立ち上がらせる可能性、MediaTekが中国で押さえていたTV半導体市場シェアを、同業、MStar Semiconductorとの合併後、中国政府が制限する決定を行ったことによる旨。

◇MediaTek shares slip on downgrade-JPMorgan Chase downgrades MediaTek outlook; shares still tumbling (1月22日付け The Taipei Times (Taiwan)/Chinese News Agency)
→JPMorgan Chaseが、MediaTekの見通し概況を格下げ、TD-LTE半導体の開発に時間がかかる過ぎている旨。MediaTekの株価は、年初来7.55%下げている旨。

モバイルDRAMが好調のマイクロン傘下のエルピーダメモリについて、投資再開そして間近に社名変更と、以下の通りである。

【エルピーダメモリ関連】

◇エルピーダ、投資再開、DRAM増産へ800億円 (1月22日付け 日経 電子版)
→エルピーダメモリが、広島工場(東広島市)で最先端の半導体メモリの生産に乗り出す旨。約800億円を投資、スマートフォン向けメモリを2割増産、3年ぶりの投資再開となる旨。2012年2月に法的整理となった同社は米半導体大手、マイクロン・テクノロジーの傘下で再建中、日米連合で世界首位の韓国サムスン電子を追い上げる旨。

◇エルピーダが2月末日で「マイクロンメモリ」に (1月23日付け 日経Tech-On!)
→エルピーダメモリが、2014年2月28日に社名を「マイクロンメモリ ジャパン(英語表記:Micron Memory Japan)」に変更する旨。社名変更自体は以前から計画を明かしていたが、期日を決め、正式に発表した旨。子会社の秋田エルピーダメモリ(秋田県秋田市)も社名を「マイクロン秋田(英語表記:Micron Akita)」に変更する旨。


≪グローバル雑学王−290≫

グローバル世界を読み解くには、宗教が最大の補助線になり、宗教を理解すれば、そのための最大の鍵が手に入るという案内に惹かれて、

 『世界は宗教で動いてる』  
  (橋爪 大三郎 著:光文社新書) …2013年6月20日 初版1刷発行

を、今回から読み進めていく。様々な信仰、文明の世界を、
 −ヨーロッパ文明とキリスト教
 −宗教改革とアメリカの行動原理
 −イスラム文明の世界
 −ヒンドゥー教とインド文明
 −中国文明と儒教・仏教
 −日本人と宗教
に分けて、それぞれQ&A形式で説明されている。まずは、キリスト教の世界に浸っていく。


≪まえがき≫

・たしかに日本では、宗教と正面からぶつかる機会は多くない
・日本以外のたいていの国
 →経済・政治・法律・・・社会生活を、まるごとひっくるめたものが「宗教」
・本書は、「宗教で読み解く世界」の講義がもと
 →ディスカッションを交わした双方向のやりとりのまとめ
・いま、グローバル世界で必要
 →異なった信仰やちがった文明に属する人びとが、どういう国際社会(コミュニティ)をつくって行けるか、という構想

第一講義 ヨーロッパ文明とキリスト教
 −イエスの父はヨセフか、それとも神か

クエスチョン1 一神教は、God(神)と人間の関係をどうとらえているか

◆なぜ神は絶対なのか
・Godが人間を創造
 →「主」と「僕」、Godが「主」、造られた人間はGodの所有物、Godは人間を自由にしてよい、という考え方
・近代的「所有権」
 →自分の所有物を、絶対的に支配することができる
 →私有財産制度が確立 →封建制から近代社会に移行
・「使用」…自由に使えること
 「収益」…それから収入を得てよい
 「処分」…自由に処分できる
・近代的所有権は、Godと被造物(人間など)の関係を、人間とモノの関係にあてはめたもの
 →一神教の社会では、近代的所有権は導入しやすい
 →Godが人間に絶対的支配権を及ぼすという考えがあったから受け入れられた
・私たち日本人は、所有権なしに生きていけないくせに、その恩恵が一神教に由来することをあまり意識していない
・Godに教えてもらうしかない、それを教えているのが一神教
 →Godの「絶対的主権」の考え方がわからないと、一神教は理解できない
・日本人が一神教の考え方を理解するには、「学習」しなければならない
 →日本文化のなかに、こうした考え方はかけらもない

◆神は怖い
・人間が抱く感情 →Godは「怖い」
 →ユダヤ教の神、ヤハウェ(エホバとも)…怖い神、強い神
・イエス・キリストが現れて、別の神のスタイルを提示
 →神が人間を大事にすることを愛と呼び、神の厳しさは愛なのだ
 →これがキリスト教
・まず神は「怖い」という感覚があり、そのうえで「愛されている」と言われる
 →人間は、「ああ、よかった」となる
 →怖さと愛のサンドイッチ
・愛していると言いながら、本当に愛しているかどうか、最後までわからない
 →半面として、怖い神
・愛と厳しさ、この二つが縒り合わさっているのがキリスト教の、神と人間の関係

◆神の冒涜とはなにか
・一神教の世界で、もっとも罪深いことに
 →本当はいないはずなのに、Godの代わりに神だと思って拝む
  →冒涜になる
・イエス・キリストは、なぜ死刑に
 →ユダヤ教の指導者たちを怒らせるようなことを言った
 →(後の)クエスチョン2でも触れる

◆聖書を買おう
・聖書を買うのに、注意したい点
 第1:旧約聖書と新約聖書が一冊になっているもの
  →できれば、「旧約聖書続編つき」…もともと聖書として読まれていたものが、いろいろな事情で本編から外された書物
 第2:「引照つき」であること
  →聖書は、引用の塊
  →聖書はお互いを引用し合う関係の塊
  ※福音        −イエス・キリストの言葉
   福音書       −イエスの言動を記録した文書
   新約聖書の四つの文書−マタイによる福音書
             −マルコによる福音書
             −ルカによる福音書
             −ヨハネによる福音書

◆聖書とはなにか
・本文は何語で書かれている?
 →新約聖書…ギリシャ語
  旧約聖書…ヘブライ語
・旧約聖書は、スクロール(巻物)、写本から写本へと筆写
 →最古のもの…レニングラード写本 →1008年ごろのものと言われる
・人間の生命は、神に吹き込まれた息吹(風)
 →息吹が取り上げられると、人間はもとの無機材料に戻る
・聖書は、日本語に書いてある通りに読めばよいというものではない
 →英語版でダブルチェックを!
・聖書といってもいろいろ
 →どの聖書を読むかにまず、注意!

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