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清濁併せ呑む市場・顧客密着、苦境打開に向けて

我が国の半導体・エレクトロニクス業界の非常に厳しい状況が続いており、各方面でその改善、打開に向けた議論が行われ、喫緊求められる行動、対策が講じられている。先端科学技術立国に向けて如何に再生するか、世界を引っ張る新事業分野を如何に開拓するか、とはいえ、当面の売上げを高めて、あるいは集中・選択をさらに施して、事業運営が回転していかないと動き出す話ではない。心広く多様な価値観を受け入れていく基本で、グローバルな市場・顧客密着を図ることの重みを改めて考えている。

≪現下の状況のもと注目した論説2点≫

ソニーの人員削減発表に対する韓国紙の受け取りである。

◇サムスンに押され…ソニーが1万人の人員削減 (4月10日付け 韓国・中央日報)
→ソニーが年内に従業員1万人を削減することにしたと日本経済新聞が9日に報道、1万人は世界のソニーの従業員数16万8200人の6%に相当、ソニーの減員措置はサムスン電子やLG電子などとのグローバル競争で押されながら業績が悪化したことにともなうもの、ソニーは2011年度に2200億円の赤字を計上すると予想されている旨。4年連続の赤字、特に一時世界を席巻したソニーのテレビ部門はサムスンやLGに押され8年連続で赤字から抜け出せずにいる旨。

インドでも即座に次の反応である。

◇Sony to cut 10000 jobs worldwide, 'India' not in the list (4月10日付け EE Times India)

時を同じく、シャープでは先端工場について次の動きとなっている。

◇シャープ、堺工場を連結対象外に、稼働率低迷で重荷 (4月10日付け 朝日新聞デジタル)
→シャープが液晶パネルの主力工場である堺工場(堺市)の運営会社の株式を一部売却、3月下旬に資本提携を発表した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が筆頭株主となることが10日、分かった旨。液晶テレビ事業の不振が続き、2012年3月期の連結業績での赤字幅は3900億円前後に拡大する見通しの旨。今回、さらに7%超を部材で取引のある大日本印刷と凸版印刷に売却する方向、シャープの出資比率は40%未満となり、連結子会社から外れる旨。

かたや韓国のサムスン電子は、相前後して過去最高を更新する業績発表をまたぞろ行っている。

◇サムスン、営業利益最高に、1〜3月4200億円 (4月6日付け 日経 電子版)
→サムスン電子が、今月下旬の正式発表に先立って予想値を公表、2012年1〜3月期の連結営業利益が前年同期比97%増の5兆8000億ウォン(約4200億円)前後になった模様と発表、「ギャラクシーノート」などスマートフォンが好調、四半期ベースの過去最高を更新した旨。

このような現況のもと、いろいろ思いを馳せることになるが、重なるところが多く代弁している趣きの論説記事を見い出している。まずはよく言われているサムスン電子のグローバル密着マーケティング戦略に改めて注目する内容である。

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○「優秀さ」こそが弱点 (4月10日付け 産経ニュース)

ある知り合いから韓国・サムスングループの社長と会ったときのエピソードを聞き、世界を席巻する勢いの源泉が垣間見えた気がした。以下、その概要:

その1:
「苦戦続きだった中東地域である機能を新たに付加した携帯電話がバカ売れしました。」。その答えは「磁石」。どこにいても常に、イスラム教の聖地メッカの方角が分かるような仕組みになっている。中東地域で圧倒的多数を占めるイスラム教徒は1日5回、決まった時間にメッカの方角に向かって礼拝するため、この携帯は非常に重宝がられたのだ。

その2:
インドで富裕層向けの大容量冷蔵庫を発売したが、当初はパッとしなかった。ところが、あるモノをつけたところ、一気に売れ出したという。正解は「鍵」。メイドらが“無断拝借”するのを防ぐためだとか。

そのほかにも、中国の農村地域では服だけでなく野菜も洗える洗濯機が人気を集めているという。

現地に入り込んだ戦略のすごみは感じたものの、社長の自信満々ぶりに、知り合いは「(日本は)技術で負けていないと思うだけに気分が悪かった」と話すのだが、返す刀で日本のものづくり企業のネックは「技術者」と言い切る。

日本製品はどこよりも優れているというプライドを持っているから、「どの製品にも最高の技術を盛り込みたがり、消費者に近い販売現場からの意見を聞かない」のだという。

市場も欧米が中心で、新たな機能を盛り込むほど売れた時代はあった。だから日本企業は、技術開発をすべてに優先させてきた。

しかしいま、急速に存在感を増しているのは未成熟な新興国の市場であり、ふもとに広がる未開のフィールドに踏み込んでいく大転換が求められている。
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他にもインドネシアでだったか、虫取り・虫よけ機能付きエアコンの例を思い起こすが、現地の市場・顧客に目線を合わせて密着する商品開発が奏功しているという理解である。我が国で掲げてきている最先端シーズ・技術の打ち上げだけでは、残念ながら現下の市場経済では回転していかないことは多々経験、承知せざるを得ないところがあり、"清濁併せ呑む市場・顧客密着"の重みをますます感じている。

もう一つ、韓国での論説記事から、日本側に向けた率直な思いの丈が表わされている。

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○「韓国はまだまだ」と話していた大前研一氏…今は何と言うだろうか (4月11日付け 韓国・中央日報)

日本の世界的経営コンサルタント兼経済評論家の大前研一氏に7年前に東京でインタビュー、いろいろなことを尋ねたが、今でも忘れられないのがサムスン電子とソニーに関する内容だ。

サムスン電子の成功を認めながらも、「サムスン電子を韓国企業と考えれば誤算」という奇怪な答弁が返ってきた。サムスン電子は外観だけが韓国企業であり、実際には日本企業の強みと長所を徹底的に内化して自分のものにした事実上の日本企業だという論理だった。サムスン電子は韓国で日本製品の最大輸入会社であり、核心部品・装備を日本に依存しているという事実を忘れてはいけないという言葉も述べた。

ソニーが1万人を年内に削減することにしたという。グローバル競争で苦戦し、結局、人員を削減するのだ。電気・電子部門で世界最大企業になったサムスン電子は、今年1−3月期だけで5兆8000億ウォンの営業利益を出したと暫定集計されている。前年同期比97%増の金額だ。大前氏がどんな反応を見せるかが気になる。今でも「韓国はまだまだ」と毒舌を続けるのだろうか。

日本社会が活力を失ったと言っても、今でも日本は韓国に比べてずっと先を行く先進国だ。政治の支えがないからそうであり、経済大国、文化大国としての底力は相変わらずだ。日本に行って数日間過ごせばすぐに分かる。日本社会で「下山論」と「成長論」が衝突しているのは、それだけ日本社会が成熟段階に入ったという証拠なのかもしれない。

人間万事塞翁が馬だ。順境だからと喜ぶこともなく、逆境だからと落ち込むこともない。サムスン電子も今は好調だが、いつまで続くかは誰にも分からない。永遠の勝者はいない。各自が自分の場で自分の本分と任務を全うすることが重要だ。自分のことに集中せず、とんでもないところに目を向けると問題が発生する。最近の世の中はそうやって一発で転んでしまうこともある。
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さらに意見交換を深めたい気分にもなってくるが、大統領選挙のなかにあってものづくりへの回帰が我が国と同様に議論を呼んでいる米国でも以下の視点があって、市場への距離感という意味で我が国に共通するものを受け止めている。

◇The distinction between manufacturing and production, and why it matters (4月10日付け EE Times)
→米国大統領選挙が熱気を帯び、失業率が約8%と高止まりのなか、エンジニアおよびtechniciansを仕事場に戻す方法として焦点が当てられている米国製造を再生させるeffortsについて。
 製造:使用に適する製品に仕立てること
 生産:使える品物を作ること


≪市場実態PickUp≫

2011年のファブレス市場の詳細データが発表され、IC市場全体の20%以上の規模となっている。トップ25社の内訳が、米国12社、台湾5社、欧州4社、中国2社、シンガポールおよび日本各1社である。

【2011年ファブレス市場】

◇Top 25 fabless IC companies in 2011 (4月12日付け ELECTROIQ)
→IC Insights発。2011年のファブレスIC市場全体は$64.9B、うち80%をトップ25社で占めた旨。販売高が$1Bを上回ったのが12社、トップはQualcommで約$10Bの販売高、米国メーカーがトップ10のうち8社の旨。世界ファブレスIC販売高は4%の伸び、IC市場全体の1%を上回っている旨。

◇Spreadtrum, Dialog, MegaChips shine in fabless rankings (4月12日付け EE Times)

これら3社はそれぞれ、中国、欧州、日本である。

◇Spreadtrum a star performer among fabless IC firms in 2011, says IC Insights (4月13日付け DIGITIMES)

ファブレス大手が、ファウンドリーに対して最先端プロセス生産化の前倒しを煽る動きが見られている。

◇IC Firms Want Foundries to Speed Up finFET Roadmaps (4月12日付け SemiMD.com)
→22-nmノードでのIntel社のfinFET立ち上げの渦中でプロセス競争に後れをとるまいと、Nvidia, Qualcommなど先端ファブレス半導体メーカーが警鐘を鳴らして劇的な1ステップ、即ちファウンドリー・パートナーにそれぞれのfinFET生産スケジュールの前倒しを働きかけている旨。

台湾のファウンドリー大手、TSMCおよびUMCが、時を同じく新工場起工の発表を行っている。それぞれに最先端に向かう動きであり、上記のファブレスメーカーへの呼応を感じるところがある。

【台湾ファウンドリー揃い踏み】

◇TSMC begins further expansion of Fab 14 (4月9日付け DIGITIMES)
→TSMCが月曜9日、Tainan(台湾・台南)のSouth Taiwan Science Parkにて同社Fab 14 GigafabのPhase 5起工式を挙行、Hsinchu(新竹)の同社Fab 12 Phase 6に続いて、該拠点は先端20-nm技術についてもう一つの重要な生産センターとなる旨。20-nm技術は、Fab 12で2013年に量産開始予定、Fab 14 Phase 5拠点はTSMC第二の20nm-capable fabであり、2014年始めに量産開始予定の旨。

◇UMC to break ground for new factory buildings at 12-inch fab in May (4月10日付け DIGITIMES)
→UMCが5月に、Southern Taiwan Science Park(STSP)にある同社12-インチFab 12Aでの新しい工場建屋(Phase 5および6)の起工式を行う予定、新たなcapacityは28-nmプロセスに重点化する旨。UMC社内では、2012年末までに28-nmプロセスが売上げの5%を占める一方、40-nmセグメントが15%の比率と見ている旨。

専業ファウンドリー業界としては、以下の今後数年の売上げ予測が出されている。

◇Semiconductor foundries expect double-digit growth through 2015 (4月11日付け ELECTROIQ)
→IHS iSuppli Semiconductor Manufacturing and Supply Market Trackerレポート。タブレット、ultrabooksおよびスマートフォンの伸長の波に乗って、2012年の専業半導体ファウンドリー事業が、12%増の$29.6B、半導体業界全体で予想される伸びの約3倍になると見る旨。2010年は45%増、2011年は3%増止まりの経緯の旨。

≪世界専業半導体ファウンドリー売上げ予測≫
 [SOURCE: IHS iSuppli Research, April 2012]
 2011 2012  2013 2014 2015
 $26.5 $29.6 $33.6 $37.5 $42.2 Billion

最先端プロセスの話題が高まってくるが、EDAツールにおいてもこれへの対応を見据える動きである。

【最先端EDAツール】

◇EDA tool aims at 10-nanometer 3-D (4月9日付け EE Times)
→FinFETsなど3-Dトランジスタのultra-compact構造をモデル化できる数少ないツールの1つがSEMulator3D、これは元はMEMS設計向けにEDAソフトウェアハウス、Conventor社(Cary, North Carolina)が作り出したが、今日ほとんど先端半導体設計に独占的に使われている旨。例えばIBMは、22-nmノード以降でのFinFETs設計にSEMulator3Dを選択している旨。

久方ぶりに四半期パソコン出荷に注目する感じ方があるが、いつのまにやらLenovoおよびASUSの急伸ぶりに気づかされている。

【第一四半期PC出荷】

◇Gartner Says Worldwide PC Shipments Grew 1.9 Percent in First Quarter of 2012 (4月11日付け Gartner)
→Gartner社(STAMFORD, Conn.)発。2012年第一四半期の世界PC出荷台数総計が89M台、前年同期(87.3M台)比1.9%増。ベンダー別出荷台数データ、次の通り:


ベンダー
2012年第一四半期
2011年第一四半期
1Q12-1Q11
出荷台数
シェア
出荷台数
シェア
伸び率
HP
15,305,413
17.2%
14,785,739
16.9%
3.5%
Lenovo
11,629,510
13.1
9,075,667
10.4
28.1
Dell
9,826,121
11.0
9,984,358
11.4
-1.6
Acer Group
9,684,524
10.9
10,660,254
12.2
-9.2
ASUS
5,361,994
6.0
4,420,328
5.1
21.3
Others
37,171,419
41.8
38,357,841
43.9
-3.1
総計
88,978,981
100.0
87,284,188
100.0
1.9


≪グローバル雑学王−197≫

世界の国・地域ごとに居酒屋の歴史を見てきたが、こんどは居酒屋と特に関係深いテーマを取り上げて、

『居酒屋の世界史』 (下田 淳/著:講談社現代新書 2120)  
  …2011年 8月20日 発行

よりそれぞれの通史に触れてみる。そのテーマとは、「教会」「売春」「芸人」「犯罪・陰謀」とよくも悪しくも人間の生々しい本性の表われ方である。今回ははじめの2つのテーマについて、聖と俗の混淆から分離していく過程を見ていく。


第七話 教会と居酒屋

・中世ヨーロッパでは、教会が祭りや冠婚葬祭後の宴会の場
 →聖と俗が混淆する場
・16世紀の宗教改革頃からこうした教会のありようは非難の対象に
 →多くの教会の俗なる機能は居酒屋へと移る
・現在でも、教会のそばには必ずカフェ、レストラン、居酒屋など
 →歴史的産物

○教会内での宴会への非難
・ヨーロッパでの教会内での宴会への非難
 →その代わりの場としての居酒屋の側面
・ルターやカルヴァンなどの宗教改革者
 →教会はあくまで礼拝だけを行う聖なる空間、という考え方
 →居酒屋に「俗性」が移り、この時期に居酒屋が激増
・宿屋=居酒屋はアジールでもあった
 →アジール…法の外に置かれた「聖域」

○冠婚葬祭と居酒屋
・中世スウェーデンに「三つのビール」という言葉
 →婚約式、結婚式、葬式
・居酒屋が成立する以前は、冠婚葬祭の宴会場は教会
・中近世の居酒屋は、冠婚葬祭だけでなく、教会や世俗の祭り、契約祝いなどの宴会を催す場所に

○洗礼祝い
・洗礼は、新生児をキリスト教の共同体に迎え入れる教会の重要な儀式
・工業社会以前のドイツの農村
 →教会で洗礼を終えると、居酒屋に直行、宴会は5-6時間続いた

○二四時間つづく宴−−−結婚披露宴
・19世紀までのドイツの農村部
 →結婚について3回、居酒屋で祝いの宴
 →◇婚約式後の宴会
  ◇新婦の嫁入り道具を運び入れる日
  ◇結婚式後の披露宴 ⇒一番盛大
・フランスやドイツの農村では、19世紀になっても伝統的披露宴のかたちを残す
 →結婚披露宴が12時間、時には24時間も

○精進落とし
・死者を教会墓地に埋葬後、居酒屋で精進落とし
 →酒でお清めするのは日本と同じ

○巡礼教会と居酒屋
・13世紀頃以降、修道院や巡礼教会は、1軒ないし数軒の居酒屋を経営していた
 →宿屋=居酒屋が巡礼者にとって必須の施設に
・居酒屋は教会から生まれた
 →聖と俗が「棲み分け」、俗性が居酒屋へ


第八話 売春と居酒屋

・中近世より、公娼制度が発達。私娼の根城が居酒屋。
・第二次大戦後、居酒屋は酒を飲む所、売春は禁止・抑制
 →「棲み分け」へ

○エピクロスの学園に通った売春婦
・古代オリエントの記録で三つの女性の職業
 →巫女、居酒屋の女、売春婦
・現代と異なって、売春に寛容であった古代

○古代ローマとビザンツ帝国
・ローマ時代の諸都市では、居酒屋は売春の巣窟
 →客は下層民が多かった
・古代から居酒屋は売春の場を提供
 →客としての男性の溜まり場

○公娼制度の起源
・本格的な公娼制度の登場は中近世
 →14世紀、フランス・アヴィニョン市は公営売春宿を設立
 →公娼制度は、私娼追放を目的、売春を当局が管理

○安居酒屋もレストランも
・1601年、スペインのセビリアには約3000人の売春婦
 →根城が居酒屋(宿屋)
・18世紀のパリ、パレ・ロワイヤル(様々な店舗、レストラン、劇場、庭園など)には毎日1500人もの売春婦

○二〇万もの居酒屋売春婦
・1908年の調査、フランスで20万人の居酒屋売春婦(私娼)
・19世紀に入ると、居酒屋売春が増加
 →封建制度が崩壊、王侯・貴族が自宅に売春婦を呼べなくなった

○居酒屋売春婦の衰退
・フランス、戦後1946年、公娼制度は正式に禁止。イタリアでも廃止。
・現在、居酒屋を根城にしたような、かつての売春行為はどこでも激減

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