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抜け駆けの設備投資、新機軸の登場・・この時期またまた激動

本年の設備投資計画が打ち上げられ、半導体市場予測がそれぞれプレゼン披露される時節である。欧州の金融危機が年をまたいで続いており、中国はじめ新興経済圏の成長の伸びに大きく影響している中、半導体関係ではインテル、三星電子の最大手2社が、他社に差をつける抜け駆けの設備投資を発表している。このような環境でこその積極投資、節目の2012年への国家としての期待など、それぞれの戦略を感じる一方で、新しい機軸の事業が発表されたり、見えてきており、打つ手の今後に注目である。

≪一連の打ち上げ発表≫    

本年は1月23日が旧正月であるが、新年の本格的な始動から旧正月にかけて事業戦略の目玉および市場の読みが各社、各機関から出てくるのが、ここのところ通例のパターンと感じている。今年は、三星グループがその先鞭を切って次の大々的な発表が行われている。

◇サムスン、過去最大の48兆ウォン投資・2万6000人雇用 (1月17日付け 韓国・中央日報)
→サムスングループが16日、今年の投資計画と採用規模を確定、過去最大規模となる前年比12%増の47兆8000億ウォン(約3兆3000億円)を投資、約2万6000人を採用する旨。会社側は投資拡大と雇用創出を通して未来成長動力を拡充、国家経済の発展に寄与するため、過去最大の投資・採用を実施することにした、と説明の旨。

◇Samsung plans $41 billion logic, OLED investment spree (1月17日付け EE Times)
→ロジック半導体およびOLEDディスプレイに特に重点化の旨。

韓国全体としての気運を感じるが、大統領選挙を控えており積極的な景気浮揚に賭ける意気込み、スタンスが見えてきている。

◇今年の設備投資、韓国4大財閥17%増、需要回復に備え先手。 (1月18日付け 日経)
→サムスン、現代自動車、SK、LGの韓国四大財閥の2012年の投資計画が17日出揃い、設備投資額などの4グループ合計は前年比17%増の97兆4千億ウォン(約6兆5300億円)となった旨。景気が不安定な時期に先行して集中投資、回復時に競合他社を振りきる得意の「逆張り投資」といえる旨。ただ韓国では経済成長を体感できない庶民が「反財閥」に傾いており、各社は景気対策に取り組む姿勢をアピールして世論に配慮する意向もにじむ旨。

総統選挙を終えた台湾では、TSMCの比較的慎重な見方、取り組みとなっており、大きなコントラストを感じている。

◇TSMC sees Q4 profit squeezed, lowers 2012 capex (1月18日付け EE Times)
→TSMC(Hsinchu, Taiwan)の12月31日締め2011年第四四半期連結売上げ約$3.5B、前四半期比1.7%減、前年同期比4.9%減。2012年のcapital expenditureは約$6B、2011年の$7.3Bから約18%減を見込む旨。

◇TSMC's Chang cuts 2012 chip market growth forecast (1月18日付け EE Times)
→TSMCのchairman and CEO、Morris Chang氏。2012年のグローバル半導体業界の年間の伸長予測を、3ヶ月前時点の3-5%から、今回2%に下方修正の旨。

半導体No.1のインテルの動向が気になると思っていたら、時を合わせたように設備投資計画が発表され、予想を格段に上回って業界全体を元気づける内容となっている。

◇Intel posts another record revenue year (1月19日付け EE Times)
→Intel社が年間売上げ$54Bと2年連続最高更新、前年($43.6B)比24%増。

◇Intel says 2012 capex will top $12 billion (1月19日付け EE Times)
→Intel社(Santa Clara, Calif.)が、2012年のcapital spendingに$12.1B〜$12.9Bを充てる旨。2011年は約$10.5B、これを下回ると見る向きがあったが、逆に大きく上回るcapexで、半導体製造toolサプライヤには喜ばしい驚きとなる旨。

早速にインテルと三星の突出ぶりが取り上げられている。最先端の微細化、集積化を進めてこその半導体業界の拡がりであり、他社に差をつける見方も然りではあるが、そうは言っていられない全体を引き上げる刺激、インパクトに期待するところがある。

◇IC Insights: Intel, Samsung 'smell blood in the water' (1月20日付け EE Times)
→IC Insights社発。Intel社とSamsung Electronics Co. Ltd.が今週、積極的な2012年capital spending計画を披露、これら最大手2社は、競合を引き離す機会と見て、それに向けて大胆に投資する備えの旨。その投資計画に基づくと、IntelとSamsungを合わせて今年の半導体capital expenditures全体の約半分を占める見込みの旨。
・Intel、Samsung、TSMCトップ3の設備投資推移&予測:2009〜2012年
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/120120_ic_insights_capex.jpg

新機軸ということでは、インテルのスマートフォン向けプロセッサ市場への参入が浮上しているが、今まで席巻しているARMとの間でメッセージの応酬が見られている。

◇ARM's East unimpressed with Medfield, design wins (1月20日付け EE Times)
→Reuters発、CESの場で行ったインタビュー記事。プロセッサ技術licensor、ARM Holdings plc(Cambridge, England)のCEO、Warren East氏は、Intelによる低電力Medfield system-chipおよびそのdesign winsについての発表に動じるところはない旨。「Intelがスマートフォンdesign winsをいくつか獲得するのは避けられず、重大な競争相手だ。彼等はパワー効率を引っ張っていけるか?もちろんそれはない。しかし彼等にはまだたくさん魅せるものがある。」

◇Android will run better on our chips, says Intel-Intel touts Android performance on its new processors (1月17日付け EE Times)
→中国市場から始めて拡大を目指すIntelのスマートフォンを先導する前Palm executiveで現在はIntelのUltra Mobility部門、vice president and GM、Mike Bell氏。

◇Opinion: ARM is no longer an underdog (1月20日付け EE Times)
→先週のCESにて、ARMのEVP of strategy、Iain Drew氏「Intelと比べると、人員では100,000に対し、我々は2000人。Intelが行っている売上げの小さな部分である」。ARMはIntelとは全く違ったビジネスモデル、かなり数の多い製品を出している旨。

もう一つシステム機器としての大注目、アップルからは、iPadがそれぞれ自分用の教科書になるというコンセプトの事業が打ち上げられ、今後の市場の反応に注目である。

◇iPadが電子教科書に、米アップル、教育事業本格参入 (1月20日付け asahi.com)
→米アップルが19日、タブレット型端末「iPad」を使った教育事業に本格参入すると発表、教育に強い出版大手と組み、動画や3次元映像をたくさん用いる電子教科書を提供する旨。
この日配り始めたiPad用の無料ソフト「iBooks 2」をダウンロードすると、触れて動かせるグラフや動画、写真がちりばめられた教科書を使えるようになる旨。出版社が$14.99以下で電子教科書を販売、生徒がiPad上に自分用のノートをつくることもできる旨。また、同時に配布するパソコン用の無料ソフト「iBooksオーサー」を使うと、だれでも電子教科書を作ることができる旨。


≪市場実態PickUp≫

新年早々恒例、SEMIのannual Industry Strategy Symposium(ISS) (HALF MOON BAY, Calif.)が行われており、本年の世界経済および半導体市場について以下の見方である。

【2012年の経済および半導体市場】

◇ISS: Top Ten Economic Trends in 2012 (1月17日付け ELECTROIQ)
→IHSのsenior director, center for forecast and modeling、Duncan Meldrum氏による2012年の経済の流れトップ10:
1. The United States will probably avoid a recession.
2. Europe is headed for a second dip.
3. Asia will continue to outpace the rest of the world.
4. Growth in other emerging markets will (mostly) hold up.
5. Commodity prices will (mostly) move sideways.
6. Inflation will diminish almost everywhere.
7. Monetary policy will either be on hold or ease further.
8. Fiscal policy set to tighten further in the US and Europe.
9. With the exception of the euro, the dollar will keep sliding.
10. Most of the risks to the outlook are on the downside.

◇Analyst warns of chip downturn in 2013 (1月17日付け EE Times)
→International Business Strategies(IBS)社のfounder and CEO、Handel Jones氏。今年の半導体業界は6-7%の伸び、しかし2013年は米国経済の鈍化から減少する旨。

ISSとは別に、例年強気の読みで知られるアナリスト筋からも本年の半導体市場の伸び8%となっており、現在のグローバルな動静では致し方なしということか、慎重な見方が大勢に感じている。

◇Bullish Penn sees chip market growth of 8% in 2012 (1月20日付け EE Times)
→Future Horizons Ltd.のfounder and chief analyst、Malcolm Penn氏。
2012年のグローバル半導体市場が、8%増の$323.2B、フラットな第一四半期を経て年後半には戻していくと見る旨。

半導体市場の質を改善するという意味で、究極の偽造防止を図る以下の取り組みに注目している。

【偽造防止徹底技法】

◇Counterfeit chip R&D launched for DoD suppliers-DNA to be employed to fight chip counterfeiting in mil/aero market (1月17日付け EE Times)
→College of Nanoscale Science and Engineering(University at Albany:Albany, NY)が、Applied DNA Sciences(Stony Brook, NY)と連携、コンピュータ用半導体の偽造を防止するAPDNのSigNature DNA製品についてさらなるR&Dを行う旨。

健康、医療に向けたエレクトロニクス、半導体も、本年の新機軸の一端を担うのは間違いなく、萌芽の流れを取り上げていく。

【医用エレクトロニクス】

◇Health monitoring system features body-worn wireless sensors (1月17日付け EE Times)
→Cambridge Wirelessが打ち上げた人間の健康状態を監視する次世代モバイル製品、Equivital EQ02 LifeMonitorについて。人間の身体からのデータを感知、記録、処理そして伝送する'wear and forget'原理で設計された身体装着の小型センサを取り入れている旨。

◇Medicines with embedded microchip! (1月19日付け EE Times India)
→Proteus Biomedical(Redwood City, CA)が、患者の薬の服用をモニターするようセンサを入れた新時代の錠剤を発表、該製品、'Helius'は消化、食べられるmicrochipとも呼ばれる旨。Heliusには、'ingestible event markers(IEM)'というセンサがあり、薬に製造プロセスの一部として直接取り入れられる旨。

インテルの積極投資を上記に述べているが、今後10年に向けて要する半導体製造およびR&Dコストの理論的な見方がIntel社メンバーから個人的に発表されている。各個人のこのような見方から始まって、それを結集して事業戦略の決断までもっていく基本、要諦を改めて感じている。

【向こう10年のIC製造およびR&Dコスト】

◇Intel: $100 Billion Required for IC Manufacturing (1月16日付け SemiMD.com)
→Intel社Technology and Manufacturing Group、senior vice president and general manager、William Holt氏。トランジスタについての飽くことを知らない需要に付いていくために、最先端半導体メーカーは、将来10年にわたってIC製造およびR&Dコストだけで驚くなかれ$100B以上を費やす必要の可能性の旨。Holt氏の見方は従来のIC数量需要およびdie sizesに基づいて理論的、Intelの実際の予測ではない旨。
・≪図面≫新デバイスを可能にする今後の構造および材料 (Source: Intel)
http://semimd.com/wp-content/uploads/2012/01/newdevices.jpg
・≪グラフ≫急騰し続ける半導体設計コスト
http://semimd.com/wp-content/uploads/2012/01/chipcost.jpg


≪グローバル雑学王−185≫

ハイテク国家、経済大国、日本的経営と、我が国が伸びている絶頂期の趣きが強く、今となっては懐かしく感じる雰囲気がどうしても漂うところが感じられるが、

『100万人が笑った! 「世界のジョーク集」傑作選』 (早坂 隆/著:中公新書ラクレ 400)  
 …2011年11月10日 発行

より、日本人が登場するジョークの第二弾である。先進経済圏の鈍化、大震災および原発事故と、厳しく低迷する環境が続く我が国であるが、国際的には日本人のイメージが大きくおいそれとは変わらないという下りも見られる。


第3章 日本人を笑え!【その1−2】

◎小型化を図る国民性
・「なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし」(『枕草子』)
 →日本人の感覚の中に「小さいものを良きもの」ととらえるDNAがあるのかも
・小さなものへのこだわりが生んだ大きな経済成長
・日本人の謙虚な姿勢、海外で誤解を生むことも多い
 →自分を「小さく」見せようとする不思議な国民性を持った民族

■ロボット秘書 【ハイテク国家】
アメリカ人ビジネスマンが、出張でトウキョウを訪れていた。商談がうまくまとまったので、彼はリラックスした気分で日本人のビジネスパートナーに言った。
「しかし、君の秘書はとても美人だね」
すると日本人は、笑って答えた。
「実はね、彼女は最新型のロボットなんだよ」
アメリカ人は驚いて言った。
「嘘だろう!」
「本当さ、じゃあ、説明しよう。彼女の左の耳を引っ張ると、録音が可能となる。右の耳を引っ張ると、タイプを打ってくれる。他にもいろいろな機能があるが、そう、夜のお供だってしてくれるんだ」
「夜の相手だって!そんなバカなことが…」
「信じられないなら試してみるがいい」
アメリカ人は、そのロボットと共に、社内の休憩室へと消えていった。するとしばらくした後、
「ギャア!助けてくれ!」
というアメリカ人の悲鳴が聞こえてきた。日本人が舌打ちをした。
「しまった!口が鉛筆削りになっていることを言い忘れた!」

◎日本のフルーツ
・育成中のスイカに四角い箱をかぶせてつくる「四角いスイカ」
 →なぜだか意外と外国で知られる
・「曲がったキュウリが捨てられている」
 →「信じがたきニッポン」を笑うネタ
・温州みかん、海外では「サツマ(Satsuma)」の愛称
・日本のリンゴやイチゴ
 →中国やタイなどでは高額商品
・「柿」も世界的に流通
 →「Kaki」でそのまま通用

■レストランにて 【経済大国】
ドイツ人と日本人とイタリア人が一緒に食事へ行った。食後、三人はそれぞれこう考えていた。

ドイツ人は、割り勘にするといくらか考えていた。
日本人は、三人分払うといくらか考えていた。
イタリア人は、おごってくれた人になんと礼を言うか考えていた。

◎豊かなお金持ち国家
・「ハイテク国家像」と同様に、普遍的な対日観として「お金持ち」のイメージ
・2004年、イラク・サマワに日本の自衛隊が駐留
 →当初、日本に対しての過大な期待
 →日に日に日本への不満が増大、市民による反日デモも、過剰な期待の裏返し

■作文 【日本的経営】
ある時、学校の先生が「象」を題材にした作文を書いてくるよう、子どもたちに言った。

フランス人の生徒は、象の恋愛についての短編エッセイを書いてきた。
ドイツ人の生徒は、象の生態についての分厚い研究論文を書いてきた。
インド人の生徒は、象と宗教の関係について調べたレポートを書いてきた。
ユダヤ人の生徒は、「象と反ユダヤ主義」という論文を書いてきた。
日本人の生徒が書いてきた作文の題名は、「象と日本的経営術」だった。

◎定番のビジネスマンジョーク
・「日本人ジョーク」として最も多いのが、ビジネスやお金にからんだ定番のジョーク
・日本人が叫ぶ「不況」、「格差社会」、「新たなる貧困」
 →国際的にはピンとこない人の方が多いだろう
・世界のジョークには今でも、ビジネスに長けた金持ちで、「ずる賢い」日本人がしばしば登場

■経営の合理化 【日本的経営】
あるビジネスマンが、日本人のボスに言った。
「私は三人分の仕事をしています。給料をもっと上げてください」
すると日本人ボスが答えた。
「給料については検討する。だが、その前に誰と誰の分を余計に働いているんだ? その二人をクビにしよう」

■日伊の違い その一 【日本的経営】
問い:なぜ日本のオフィスでは、静かにしなければならないのか?
答え:みんなが仕事に集中し、没頭しているから。
問い:なぜイタリアのオフィスでは、静かにしなければならないのか?
答え:みんな寝ているから。

■日伊の違い その二 【日本的経営】
ケース一 …日本人が仕事をしている夢を見た。彼は夢の中で考えた仕事のプランを、翌日の仕事に活かした。
ケース二 …イタリア人が仕事をしている夢を見た。起きてみると、彼は本当にオフィスにいた。

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