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自然災害、金融危機など、困難・試練の年の半導体業界の締め

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2011年も残り僅か、史上最高のグローバル販売高を記録した2010年の余勢を駆ってスタートしたが、相次ぐ自然災害、特に我が国の大震災とそれに伴う原発事故、そしてこんどは欧州に端を発した金融危機、など困難を極める数々の要因に見舞われて、最後は下方修正、弱含みの空気が強いなかで締めを迎えている半導体業界に映ってくる。それでも2010年を若干ながら上回る販売高が通年では見込まれており、スマートフォン、タブレット、ワイヤレスそして新技術の熱気が大きく支えて、2012年につながる余韻を残している。

≪2011年の締め、そして2012年≫   

$300 billionの大台を超えるかどうか、最後まで気をもませている本年のグローバル半導体販売高である。それぞれに見方の違いがあるものと思うが、IDCからは次の表わし方となっている。

◇IDC Forecasts Worldwide Semiconductor Revenues Will Reach $305 Billion in 2012 (12月15日付け IDC)
→IDC(FRAMINGHAM, Mass.)のSemiconductor Application Forecaster(SAF)、2011年末更新版。引き続くグローバルマクロ経済問題、今年始めの半導体過剰在庫および現状のDRAM過剰供給にも拘らず、今後の半導体売上げを次の通り見る旨。
 2011年   2012年
 $296B    $305B
 3.4%増    3.1%増

Gartnerの見方では、0.9%増の$302 billionとなっている。トップ10ベンダーのデータ&注記を抄訳して以下の通りである。これにファウンドリーメーカーが入ると、また見え方が変わってくる。

◇Gartner Says Worldwide Semiconductor Revenue Grew 1 Percent to Reach $302 Billion in 2011-Semiconductor Industry's Strong Start Runs Out of Steam as Year Progresses (12月19日付け Gartners. Press Releases)
→Gartner社の速報データ。2011年の世界半導体売上げは、2010年から0.9%増の$302 billionに達する見込み、力強い本年の出だしを経て、マクロ経済の力強さについての懸念が2011年の機器および半導体受注を鈍らせている旨。
 
2011年の世界半導体ベンダー・トップ10、次の通り(売上げ単位:Millions of U.S. Dollars)。
=======

2010年
順位
 2011年
 順位
 ベンダー 2010年
 売上げ
 2011年
 売上げ見込み
 2010-2011
 伸び率(%)
 2011年市場
 シェア(%)
11Intel
41,988
51,052
21.6
16.9
22Samsung Electronics
28,097
29,150
3.7
9.7
43Texas Instruments
11,878
12,082
1.7
4.0
34Toshiba
12,360
11,695
-5.4
3.9
65Renesas Electronics
10,204
10,714
5.0
3.5
96Qualcomm
7,204
9,819
36.3
3.3
57STMicroelectronics
10,346
9,780
-5.5
3.2
78Hynix Semiconductor
9,884
9,090
-8.0
3.0
89Micron Technology
8,224
7,618
-7.4
2.5
1010Broadcom
6,604
7,091
7.4
2.3
Others
152,575
143,960
-5.6
47.7
≪Total Market≫
299,364
302,051
0.9
100.0

Source: Gartner (December 2011)

=======
・Intelの首位、No.1は20年連続、シェア16.9%は史上最高。Intelの2011年売上げには、第一四半期にInfineonから買収したワイヤレスbusiness unit(BU)が入っている。
・No. 2のSamsung Electronicsは、DRAM市場の減少に曝されたが、application-specificデバイス、特にワイヤレスアプリ・プロセッサがApple向けA5プロセッサ供給で最も力強く伸びた。
・No. 3のTexas Instrumentsは、アナログ半導体で間違いなく最強の製造capability、しかしながらマクロ経済環境の懸念が影響を与え、2011年第三四半期、そして第四四半期と受注が鈍化した。
・Intel, Qualcomm, Advanced Micro DevicesそしてNvidiaというプロセッサメーカー・グループは、業界の他を上回った。
 Intel →PC生産低調にも拘らず、サーバ事業が伸びた
 Qualcomm →4GおよびLTEモバイルサービスへの移行継続
 Nvidia →タブレット向けTegraプラットフォーム
・トップ25に入っているメモリメーカー、Hynix, MicronおよびElpidaは、DRAMの価格低下および市場シェア減により売上げが減少。Samsungの3.7%の伸びは、携帯電話ASICsが引き上げ。SanDiskは、フラッシュメモリ需要で33.5%の伸び。

現時点の業況をどう見るか、次の調査データではリーマン・ショック(Lehman Shock)の後の2008年末時点ほどには悪くないという半導体関係者の反応となっている。

◇Chip executives' confidence in decline, says KPMG (12月19日付け EE Times)
→auditおよびconsultancy会社、KPMG LLCの調査データに基づく規準指標、Semiconductor Business Confidence Indexが、次の推移の旨。
 2008年 2009年 2010年 2011年
  36     61    60   46
IDMs、ファウンドリーおよびファブレス半導体メーカーなど155人のsenior level executivesを対象に10月および11月に行ったもの。2012年に入る業界状況は弱含みであるが、2009年の始めほどに少なくともひどくはない旨。

それでは来る新年、2012年に向けて技術の流れはどうなるか、以下の見方では2011年に盛り上がったり、芽を出している新技術が一層本格的に使われるという展開が描かれている。

◇This year's tech trends in ICs to continue into 2012-Expect More Mixed Cores, Less Power, And Faster Storage (12月19日付け Electronic Design)
→moreコア, moreフラッシュ, そして低電力が、依然と今年の新ディジタル技術のテーマ。それに、価格は下がり機能性は上がっているmicroelectromechanical systems(MEMS)並びに新しいネットワーク技術および最新のトランジスタ技術が加わって、2012年はさらに発展していき設計者にはそれこそ刺激的になっていく旨。

半導体業界の前線ではどう見ているか、一つとして2012年の見方である。

◇Global high-tech industries to see rebound in 2H12, says Applied executive (12月21日付け DIGITIMES)
→Applied Materials Taiwanのpresident、Erix Yu氏。現状のほとんどの末端市場での供給過剰問題に触れながらも、グローバルハイテク業界が、2012年後半には活況を呈し始め、半導体分野はモバイル応用向け需要が引っ張るビジネス持ち直しに火がつく旨。


≪市場実態PickUp≫

2011年も掛け違い、踏み外しが、エレクトロニクス業界の随所で見られたということで、EE Timesによる10項目である。これも世の常、トップ10とともに締めの時期でのお目見えである。

【2011年の踏み外し】

◇10 notable blunders of 2011 (12月21日付け EE Times)
→力強く回復した2010年の余勢を駆ってライオンの如く入っていった2011年、しかしながら自然災害、マクロ経済懸念など厳しい試練に見舞われて子羊の如く出ていこうとしている旨。2011年はまた、どの年とも同様、エレクトロニクスの世界での踏み外しが記憶に残ることに。EE Timesがまとめたその10項目、次の通り:
1. HP's TouchPad/PC/webOS mess
2. Solyndra scandal sparks solar meltdown
3. Cisco does Flip-flop on consumer camera
4. Globalfoundries' yield woes
5. Blue Origin's gaffe
6. DTV chip business exodus
7. RIM nixes Java
8. AMD's CEO search saga
9. The unfortunately named 'smart grid'
10. CSR buys Zoran for $484 million, dumps its crown jewel

今後を担う新技術の一翼、450-mmウェーハについて、TSMCが、計画線表の維持を発表している。推移に引き続き注目である。

【TSMCの450-mmウェーハ対応】

◇TSMC to enter volume production on 18-inch wafers as early as 2015 (12月23日付け DIGITIMES)
→Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(TSMC)は、2013-2014年に18-インチウェーハ試作生産を開始、2015-16年に量産を予定という計画を維持する旨。

一気にランキング浮上する中国というのは時間の問題、致し方なしではあるが、特許の出願件数でも2010年集計で我が国が追い抜かれている結果となっている。中国での知財意識の向上ということでは歓迎すべき内容ではあるが、我が国の件数減少は非常に気になるところである。

【特許出願】

◇特許出願数、中国が世界2位、日本抜かれる (12月21日付け asahi.com)
→世界知的所有権機関(WIPO)、20日発表の報告書「世界知的所有権指標2010年版」。各国の特許当局が昨年1年間に受け取った特許出願数、次の順位:
 1 米国    49万件    7.5%増
 2 中国    39万1千件  24.3%増
 3 日本    34万4千件  1.1%減
 4 韓国    17万件
 5 欧州特許庁 15万件

下方修正、弱含みの業績発表が、各社から続いている現時点、この年末という実態である。

【業績発表から】

◇Xilinx cuts sales target (12月19日付け EE Times)
→Xilinx社(San Jose, Calif.)の12月四半期(同社第三四半期)の販売高見込み、前回の前四半期比3-8%減から、今回同9-12%減、$488.6M〜$505.2Mに下方修正、通信末端市場での大口顧客ビジネスの減少が主に効いている旨。ライバルのprogrammableロジックベンダー、Altera社の後をついていく格好の旨。

◇米マイクロン、2期連続の最終赤字、9〜11月期 (12月22日付け 日経 電子版)
→Micron Technologyが21日に発表した9〜11月期決算。売上高が$2.09B、前年同期比7%減。最終損益が$187Mの赤字、前年同期は$155Mの黒字、6〜8月期から2期連続の赤字決算、DRAMなど主力の半導体メモリの価格低迷が続いており、採算悪化に歯止めがかからない旨。


≪グローバル雑学王−181≫

そのタイトルの通り、ここまで言及、あるいは縛りを入れなければならないかを、

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮  皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より見てきたが、今回で通読完了である。それぞれの国の文化、社会、宗教など見方、考え方を如実に物語る校則というものに今後も注目したくなるとともにアップデートも意味あることと思えてくる。

第5章 その他の留意事項
 …男女交際から保護者まで、校則は容赦しない!

□ロマンチックな行動は認められない(ケニア 中等学校・共学)
・「ロマンチックな」…きわめて情緒的な表現
 →男女の恋愛や交際をたしなめる、あるいは禁止する校則
・該校則のオラシティ中等学校は、マサイ人たちが多く住む地方学校
 →中等学校在学中に20才を迎える生徒も
・実際、ケニアでは妊娠して退学になる女子生徒が少なくない
 →一概に不幸かと言えない面も

□男女交際は10代の生活で重要なことであるとはいえ、目立つ行動は控えること(イギリス パブリックスクール)
・この校則は、私立の名門校で共学、寮が併設
・1980年代に世界中に広まったHIV/AIDSの感染拡大
 →国の関与を期待するに至る
 →マーガレット・サッチャー(当時首相)は、1988年に教育法を改正、中等学校の性教育を必修科目に

□教職員と生徒がデートしたり、性的関係をもつことを禁止する(アメリカ カトリックスクール)
・この校則は、「教師と生徒」と限定している点でかなり特徴的
・特にアメリカでは、教師(成人)に対して手厳しい
 →厳しい社会的制裁を受ける
 →学校の評判だって落ちる

□保護者は年間30時間以上、学校のためになんらかの作業をしてください(アメリカ)
・この内容は、アメリカ人にとって決して高いハードルではない
 →ほぼ毎日、どこかのクラスでなにかしら行われているほど、アメリカではボランティアが盛ん
・もう一つ、保護者に対する校則の例:
「保護者が学校に苦情を言う場合は、手続きが必要になります」カリフォルニア州、ニューヨーク市、他)
 →理不尽な要求を突きつける保護者対策
 →アメリカではモンスターペアレントが長く生息することは、極めて困難

□教師になる、または学校でボランティアをする場合、指紋押捺しなければなりません(アメリカ)
・防犯のために犯罪歴の有無などをチェックすることを宣言する校則
 →世界でもとりわけ安全管理が徹底しているアメリカ
・もう一つ、アメリカの学校における安全管理
 →警察官の駐在

□恋を語り合ってはならない(中国 中学)
・中国の学校では、一貫して早すぎる恋愛(中国語で「早恋」)を推奨しない、あるいは禁止する方針
 →「学業に励むべき時期に恋をすることは、勉学に支障を来す」という考えが根強く存在
・とはいえ、なかなか解けそうにない「早恋」への包囲網

□離婚される場合、両方の親にお子さまの成績を知らせる義務があります(オランダ 中等学校)
・離婚後であっても子どもへの教育義務は等しく存在
 →学校はどちらにも子どもの成績を教えるべきとの考え
・先進的な性教育で知られるオランダ
 →離婚についても認識が開放的
 →離婚しても子どもがお互いの家を行き来、など様々なパターン

□お子さまが遅刻の報告を怠った場合、保護者に自動で電話がかかり続けます(イギリス ハイスクール・公立)
・少なくとも教育の現場に限って、遅刻に対して厳しい態度で臨むイギリス
・親が電話で遅刻の理由を説明しない限り、自動でずーっと鳴り続ける電話
 →自動電話発信システム

□お子さまが長期欠席した場合、保護者が起訴される場合があります(イギリス 政府規則)
・親の義務を定めた国の法律
 →具体的な罰則規程が明記
 →実際に該罰則が適用された例も
 …ここ数年イギリスで問題になっている「ずる休み」

□校内で性交したら退学(ブラジル 公立高校)
・ブラジルの学校におけるいわば暗黙のルール
・ブラジルの学校を訪れると、まず入口で銃を携えて立っている門番
 →いざ学校の中に入ってしまえば、取り締まる存在がいない
・麻薬の売買も退学処分を受ける行為
・教育が遅れている最大の原因は貧困
 →世界で最も所得格差が大きいといわれるブラジル

□お子さまが卒業試験を通過しなければ、小学校を卒業することはできません(メキシコ 公立小学校)
・メキシコの特異な義務教育
 →誰もが自動的に進級できるわけではない
 →メキシコの公立小学校には卒業試験が存在し、合格しないと中学校に進学できない
・メキシコの小学生
 →成績が一定の水準に届かなければ、次の学年に進級することも許されない
・メキシコでは2002年、就学前教育を義務化する法律(Obligatoriedad)が制定
 →貧困家庭の子どものケアや教育の公平性の維持

≪おわりに≫ 日本の校則、ここが足りない
・校則とは何か? →学校内規(ルール):生徒規則:生徒心得
・海外にはあって日本の校則には欠けがちな要素
 第1 校則はなぜ必要か?、生徒に充分説明する必要
 第2 校則はあくまで教育の一環であることを明言
 →「生徒の成長・発達」に資する教育のためのルールであるべき
・日本の校則にあって世界ではあまり見られない規程
 →学校外の生活を規制する内容
・日本の校則、教師への尊敬を堂々と求めてもらいたい
・本書は19カ国もの校則を並べてみるという、おそらく世界でも初めての試み

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