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2011年半導体業界模様、大台越え、高まる米国先導

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本年の半導体業界データ速報値が発表されて、金融危機、大震災、洪水と揉まれ続けて多難な2011年を反映する一方、史上最高の昨年の販売高を僅かながらでも上回って$300 BILLIONの大台をこんどこそ本当に越えそうという見方になっている。このような荒波の中でこそ特に市場をリードする最先端技術や標準化などの活動が問われると感じているが、米国メーカー勢の先導ぶりが具体的なデータとして表われている。新興経済圏の反応とともに、来年にかけて当面の注目と思う。

≪業界データ概観≫   

恒例のWSTS(World Semiconductor Trade Statistics)秋季予測が発表され、次の概要となっている。

◇WSTS drops 2012 chip market growth to 2.6% (11月29日付け EE Times)
→World Semiconductor Trade Statistics(WSTS)が、グローバル半導体市場予測を次の通り更新、2012年下方修正、2013年上方修正の旨。

前回
今回
2011年
1.3%増 $302B
2012年
7.6%増
2.6%増 $310B
2013年
5.8%増 $328B

さらに具体的なデータということで、WSTSサイトから抽出すると以下の通りである。まとめ方によりデータのベースが各様ではあるが、ここでは$300BILLIONの大台越えが前面に出ており、本年の多難な世界情勢のもとでの来年、2012年そして2013年の伸び率の見方になっていると感じている。

〓〓〓〓〓〓〓
○WSTS(World Semiconductor Trade Statistics)半導体市場2011年秋季予測−2011年の半導体市場、史上初、$300 BILLION越え (11月29日付け WSTS)
…2011年秋季予測Meeting(11月15-18日:Barcelona, Spain)に基づく内容

2011年の世界半導体市場は$302 billionと初めて$300 billionの大台に乗る見込み、大きく伸びて戻した前年、2010年からは平均以下の1.3%の伸びとなる。2012年はもっと伸びて2.6%増、そして2013年には5.8%増、$328Bを上回ると見る。

2011年の半導体業界は、欧州の負債懸念による金融混乱からくる世界経済の低迷、産業界および消費者confidenceの明らかな低下、並びに日本の大震災によるsupply chainの混乱そして最近のタイの洪水を切り抜けなければならなかった。

製品分野では、PC/NB(Notebook or PC) DRAMの供給過剰でメモリの売上げが急減しているが、microcontroller ICs, センサおよびdiscrete半導体分野の健全な伸びが埋め合わせている。

半導体市場(USM$)
伸び率(%)
≪地域別≫
2010
2011
2012
2013
2010
2011
2012
2013
Americas
53,675
55,643
56,378
59,365
39.3
3.7
1.3
5.3
Europe
38,054
38,062
37,261
39,316
27.4
0.0
-2.1
5.5
Japan
46,561
43,109
45,487
47,644
21.6
-7.4
5.5
4.7
Asia Pacific
160,025
165,458
171,049
181,759
33.8
3.4
3.4
6.3
総計
298,315
302,271
310,175
328,084
31.8
1.3
2.6
5.8

≪製品分野別≫
Discrete Semiconductors
19,802
21,939
22,685
23,906
39.7
10.8
3.4
5.4
Optoelectronics
21,702
22,836
24,172
25,798
27.3
5.2
5.9
6.7
Sensors
6,903
8,093
8,636
9,195
45.2
17.2
6.7
6.5
Integrated Circuits
249,909
249,404
254,681
269,185
31.3
-0.2
2.1
5.7
Analog
42,285
42,995
44,334
47,307
32.1
1.7
3.1
6.7
Micro
60,633
65,514
67,854
72,418
25.5
8.0
3.6
6.7
Logic
77,377
80,241
84,654
89,297
18.7
3.7
5.5
5.5
Memory
69,614
60,655
57,839
60,163
55.4
-12.9
-4.6
4.0
総計
298,315
302,271
310,175
328,084
31.8
1.3
2.6
5.8

〓〓〓〓〓〓〓

もう一つ、IHSからは2011年半導体メーカーランキングのトップ20速報データが発表されている。

◇Intel bounces back in 2011 chip company ranking (12月1日付け EE Times)
→IHSによる2011年半導体メーカーランキング・トップ20速報データについて。Intelが23%伸びてほぼ$50B規模となる見込み、そのグローバル半導体業界シェアが2010年13.2%から2011年は15.9%に高まる旨。
・2011年半導体メーカーランキング・トップ20速報
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/111201_ihs_ic_rankings.png

インテルの急伸ぶりが目立っているが、各社の本社が位置する地域別に見たデータが次の通りであり、米国地域だけがプラスの伸びとなっている。多難な環境の2011年ながら、半導体販売高をプラスに押し上げた原動力になっていると見ることができる。

◇U.S. chip firms beat rivals in 2011, says IHS (12月1日付け EE Times)
→IHS発。米国に本社を置いて半導体業界という意味では米国が支配しているAmericas地域半導体メーカーが、総計8.5%の伸び、$159Bと好調の2011年となりそうな一方、他のグローバル地域はすべて減少すると見る旨。
・本社の場所による2011年グローバル半導体売上げ地域別速報

2010年
ランク
2011年
ランク
本社地域
2010年
売上げ
2011年
売上げ
2011/2010変化
2011比率
11Americas
146,817
159,336
8.5%
50.9%
32Asia-Pacific
69,079
66,955
-3.1%
21.4%
23Japan
62,962
59,251
-5.9%
18.9%
44EMEA
28,169
27,247
-3.3%
8.7%
総計
307,027
312,789
1.9%
100.0%

トップ20ベンダーの前年比伸び率を大枠ながら分けて示すと、次のようになる。ここでも米国勢の先導ぶりを感じている。
・データ詳細、下記参照:
http://www.isuppli.com/Semiconductor-Value-Chain/News/Pages/Intel-Reasserts-Semiconductor-Market-Leadership-in-2011.aspx

1
 Intel米国
23.0%
2
 Samsung Electronics韓国
3.0%
3
 Texas Instruments米国
8.4%
4
 Toshiba日本
2.7%
5
 Renesas Electronics日本
-6.2%
6
 Qualcomm米国
39.9%
7
 STMicroelectronics欧州
-5.4%
8
 Hynix韓国
-14.2%
9
 Micron Technology米国
-17.3%
10
 Broadcom米国
7.0%
11
 AMD米国
2.2%
12
 Infineon Technologies欧州
-14.5%
13
 Sony日本
-1.4%
14
 Freescale Semiconductor米国
2.5%
15
 Elpida Memory日本
-40.2%
16
 NXP欧州
-4.7%
17
 nVidia米国
14.9%
18
 Marvell Technology Group米国
-4.4%
19
 ON Semiconductor米国
49.4%
20
 Panasonic日本
-32.0%

≪市場実態PickUp≫

米国勢の最先端技術&標準化の先導ぶりの一端を示すと感じるが、三次元実装技術を駆使した新型メモリをIBMとMicronがタッグを組んでアプローチを進めている。

【IBMとMicronの新メモリ連携】

◇Micron to tap IBM chip-stacking tech for fast memory (11月29日付け CNET/Nanotech - The Circuits blog)
→IBMとMicron Technologyが、メモリ速度を15倍高めるよう設計された技術に基づく新しいメモリ半導体、Hybrid Memory Cubeの生産を開始、IBMはメモリ並びに3D-半導体技術で用いられる"コントローラ"シリコンを製造、供給する計画の旨。
・新メモリ半導体の概観 
 …through-silicon via(TSV)技術がコントローラ半導体('logic layer')の上にメモリを重ねるのに使われる。on-chipコントローラが性能を高める鍵となる。
http://i.i.com.com/cnwk.1d/i/tim/2011/11/29/micron-hybrid-memory-cube.jpg

PC市場については、タブレットが大きく掻き立てている本年、2011年であるが、具体的なデータがここでも以下の通り表わされている。

【2011年PC出荷】

◇PC market lifted by iPad demand, says analyst (11月28日付け EE Times)
→Canalys Ltd.発。2011年のグローバルPC出荷が、15%増の415M台の見込み、圧倒的にiPadタブレットコンピュータの売上げが効いている旨。2011年のタブレット出荷は59M台に達する見込み、うち22M台が第四四半期の出荷、ここはiPadが席巻しているが、最近発表されたKindle FireおよびNook Tabletも米国市場へのインパクトが期待される旨。

◇Tablet computer market on 81% CAGR, says analyst (11月29日付け EE Times)
→IC Insights発。2011年のタブレットコンピュータを含めたグローバルPC出荷が414M台、2010年に出荷されたPCsの366M台から13%増。この予測は、月曜28日に出されたCanalys Ltd.の予測(上記参照)に近い旨。2010年、2011年の内訳、次の通り:

2010年
2011年
PC出荷
349M台
353M台
touch-screenタブレット
17M台
61M台

・≪グラフ≫ 世界PC出荷台数推移&予測: 2000年〜2015年
http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/PCtabletICinsights412.jpg

◇PC sales: New No. 2 Lenovo breathing down HP's neck (11月30日付け EE Times)
→IHS iSuppli発。第三四半期グローバルPC出荷、中国のLenovo Group Ltd.が躍進、Dell社を上回って第2位に、市場リーダー、Hewlett-Packard Co.に力強く迫っている旨。Lenovoと全体の伸び、次の通り:

Lenovo12.5M台 前四半期比14.5%増
PC市場全体90.4M台  〃  5.5%増

・2011年第三四半期世界PC出荷トップ5ランキング
http://eetimes.com/ContentEETimes/Images/111130_ihs_pc_shipments.png

◇Report: Kindle Fire tablet sparks unique business model (12月2日付け EE Times)
→IHS発。2011年第四四半期のタブレット市場、AmazonのKindle Fireが次の通り急伸すると見る旨。
1.Apple 市場シェア 65.6%
2.Amazon 3.9M台  13.8%
3.Samsung      4.8%
グローバルメディアタブレット市場:
 2010年  2011年
 17.4M台  64.7M台

半導体ではかつて日米間の激しい貿易摩擦の応酬があったが、solarエネルギーについて米中間のつばぜり合いが今度は見られている。

【通商つばぜり合い】

◇China-US solar trade war looming (11月28日付け DIGITIMES)
→中国のsolarメーカーに対して米国政府が行った公正取引および助成についての調査に反応、中国の商務部(Ministry of Commerce)が、米国のsolar、風力および水力発電プロジェクトについて同様な調査を始めると発表の旨。

≪グローバル雑学王−178≫

ここまでやらなきゃならないのか、細かく言わなきゃいけないのか、から始まって、ついにはこんなことがあるのか、と

『こんなに厳しい!世界の校則』 (二宮 皓/監修:メディアファクトリー新書 029)  
 …2011年 6月30日 初版第1刷 発行

より知らされている世界各国ぞれぞれの実態、実際の姿である。タイトルを見ると「えー!」と思わずなるが、続くそれぞれの社会、文化、気候、宗教などなど理由説明を見ると十分かどうかはともかく納得である。グローバルに融合を図る上での相互理解の難しさとその実態、実際の姿を知る必要性を改めて感じている。

第2章 校内でのふるまい ===続き===
 …常に帽子を被ること!? ワケあり行動規則たち

□トイレに入って出た時間を係に報告しなければならない(メキシコ 中学校)
・メキシコの公立中学校の基本的な授業時間
 …2部制: 午前の部 7時〜13時30分  午後の部 14時〜20時30分
 →生徒の数に比して校舎数が足りないという事情
・長時間連続した授業 …3時間連続
・トイレの入口には<prefecto>と呼ばれる担当事務員
・長い授業に耐えたご褒美として、<recreo>と呼ばれる30分休憩

□すべてのおかずを食べること (フィンランド 基礎学校)
・フィンランドでは、就学前教育から高等教育まで授業料が無償
 →日本で言えば幼稚園から大学まで
・該校則 →好きなものを選べるビュッフェ形式だからといって選り好みせず、まんべんなく食べなさい
・授業の終了時間をずらして、長蛇の列が発生する事態を防ぐやり方

□マイナス18℃以上であれば、休み時間は外に出なければならない(フィンランド 基礎学校)
・厳冬の国を生き抜くための重要なトレーニング
・子どもの耐寒機能を高めること
・マイナス18℃って? →オーロラが見られるのがマイナス20℃以下
             →外に出ると睫毛が凍り、電池の消耗が一気に早く

□話すときは"I"を用いる (オーストラリア)
・移民が多く暮らす多文化社会、多様性に対応、独特な教育制度が発達
 →柔軟で多彩な言語教育
 →オーストラリアでの柱…「ESL(English as a Second Language)」
                 「LOTE(Language Other Than English)」
・先住民アボリジニ言語の学習 →文化や歴史の理解
・"I"とは? →「自分の意思でしっかりと伝える」
       …主体性の象徴

□受け入れ難いヘアスタイルの男子生徒は、プロの床屋によって学校で散髪を受け、散髪料5ドルを支払わなければならない(シンガポール 中学校)
・「受け入れ難いヘアスタイル像」→「前髪が顔にかかってはいけない」
                     「耳またはシャツの襟に髪が触れてはならない」
                     「長いもみあげは許可されない」など
・「散髪料5ドル」〜320円ほど(1シンガポールドル=約65円)
 →家計に優しい優待サービスといえるかも

□すべての生徒は屋外に出る際には常に帽子を被ること(オーストラリア)
・世界で最も紫外線対策が徹底しているオーストラリアの校則
・オーストラリアの上空には巨大なオゾンホールが存在
 →日本の5〜8倍量の紫外線
・帽子のつばの広さは、8〜10cmが標準

□授業中の飲食禁止(ブラジル 高校)
・ブラジルでは授業中にお菓子を食べたり、机の上にジュースが置かれている光景は、当たり前のよう
 →当事者たちがおおらか
  →激しい貧富の差: 開放的なラテンアメリカ気質
・小学校で一般的に設けられている「おやつの時間」の影響
・ブラジルの甘みは、日本人の舌には相当に甘い
 →甘いフレッシュジュースに、さらに砂糖を投入

□トイレでは、使用した紙を便器の中に流さずにゴミ箱に捨てること(ベトナム 中学校)
・ベトナムのトイレ →名づけるとしたら「柄杓式」
・紙詰まりを防ぐよう、そのままゴミ箱に入れることに
・きれい好きなベトナム人、あちこちをこまめに掃除する国民性
・ベトナム語で水を「ヌオック」、これは「国」を意味する言葉でも
 →ベトナムは水の国

□教員の質問に答えるときは、教壇から1m離れたところに立ち、クラスメイトに向けて、大きな声で返答すること(ベトナム 中学校)
・求められている教師への礼儀
 →儒教の教え、つまり教師を敬う思想
・「1m」…いわば聖域としての観念的な距離
・現実には労働環境的に冷遇されている教師
 →生活費を稼ぐのに、家庭教師やアルバイトかけもちの状況

□テストでカンニングすると、男子はむち打ち、女子は4日間の謹慎とする(シンガポール 中学校)
・議論が分かれる体罰の正否
・シンガポールは「正課教育(課外活動ではない教育)」において違反した生徒には体罰を実施
・違反行為 →遅刻: テスト時の不正行為: 校内暴力・喧嘩

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