ビジネスおよび伸長の種の育成、米国輸出No.1の半導体業界の訴え
本年の半導体市場予測について、プラス一桁の伸びは固まってきているが、年初時点での予測から上方修正するものと逆に下方修正するものが混在する現状となっている。米SIAは、上方修正の見方となっているが、東日本大震災のインパクトを覆ってあまりある世界市場の伸びとともに、米国輸出の第1位である半導体業界を繰り返し強調して、ビジネスおよび市場の創出につながる種の育成を推進する政策を政府に引き続き強力に訴えかけている。
我が国に置き換えてもこのような動きの必要性を強く受け止めている。
≪2011年半導体市場予測≫
米SIAは、本年そして2013年にかけてのグローバル半導体予測について、WSTSの見方を支持するとともに当面の中期的な半導体市場を次のように展望、発表している。
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○アメリカNo.1輸出業界が、2013年までのグローバル販売高の伸びを展望−アメリカハイテク業界の礎石が、グローバル販売高増大を予測、経済回復継続のためのpro-business政策を勧奨 …6月21日付けSIAプレスリリース
半導体製造&設計の米国のleadershipを代表するSemiconductor Industry Association(SIA)が本日、World Semiconductor Trade Statistics(WSTS) organizationのmid-yearグローバル半導体販売高予測を支持、2011年は5.4%増の$314.4 Billionに伸びるグローバル半導体販売高を見込む、と発表した。この見方は、2010年11月のWSTS予測、4.5%増を上回っている。WSTSは、半導体の流れの正確かつタイムリーな指標を提供するグローバル半導体メーカーの広大なグループ会合を開いて、年間予測の表を作成している。
該半導体業界は、2013年まで穏やかな前年比増加を予想、high-endエレクトロニクスのグローバルな需要および新興経済圏での伸びが引っ張っている。
2012年および2013年についての予測は、それぞれ7.6%および5.4%と、着実な一桁の伸びが引き続くとしている。WSTSは、2010年から2013年で3年compound annual growth rate(CAGR)が6.13%と見通している。
「不安定な経済のなか、半導体業界は米国経済の引き続きbright spotとなっている。今やこれまで以上に、経済成長継続を助長する唯一の方法は民間部門に権限を与えることであり、革新、競合そして伸長と最善を尽くすようにすることである。」とSIA President、Brian Toohey氏は言う。「これらの見通しは単に見積もりである。ここで米国の政策がこれらの伸びの数字に陰に陽に影響を与え得ることを想起することが重要である。これゆえに我々は、経済革新再生につながるpro-business, pro-growth政策を今や制定にもっていくよう議会および政権を急がせている。」
日本を除くすべての地域市場、すなわちAmericas, EuropeおよびAsiaは、2011年に前年比増加を見通している。日本の減少は、2011年3月の大震災による影響からきているが、他の地域の伸びのあるものは混乱を軽減するsupply chainシフトの結果として出てきているものである。
追加として、2011年および2012年で二桁伸長を見込むものにセンサおよびMicro I/Csカテゴリーがある。consumerエレクトロニクス機器および特に車載分野での安全関連義務化の需要増大が、センサ・カテゴリーの伸びを引っ張っている。Micro I/Csは、2011年に11.7%、2012年に13.1%の前年比増が見込まれているが、一つとして特に中国、インドはじめ新興市場でのタブレット分野の急増並びにスマートフォン使用増加が引っ張っている。
・WSTS Forecast Summary
⇒http://www.sia-online.org/clientuploads/WSTS_Spring_2011_Forecast1.pdf
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本年、2011年の半導体市場について、5.4%増の$314.4 Billionと前回から上方修正しており、いずれにしても史上最高を更新となるものの、市場リサーチ各社からは、前回からの見方がプラス、マイナス錯綜している状況が見られている。まずは同じ米SIAと同じプラスである。
◇IHS raises chip market growth forecast (6月21日付け EE Times)
→IHS iSuppli(El Segundo, Calif.)発。2011年のグローバル半導体市場が$325.9Bと今回予測、2010年の$304.1Bから7.2%増、前回4月時点の7%増から上方修正の旨。また、2010年から2015年までのcompound average growth rate(CAGR)を6.3%と予想している旨。
・グローバル半導体売上げ伸長 推移&予測:2003〜2015年
⇒http://www.eetimes.com/ContentEETimes/Images/News/2011-06-21IHSchipMarket.jpg
一方、マイナス、弱含みとしては以下の通り。
◇Gartner: chip market to grow 5.1% in 2011 (6月21日付け EE Times)
→Gartner社発。2011年のグローバル半導体市場予測が、2010年から5.1%増の$315B、前回第一四半期での予測、6.2%増から下方修正の旨。
◇Semiconductors weak through 2012, Semico predicts (6月22日付け ElectroIQ)
→Semicoが、2011年下半期および2012年始めは半導体市場は弱含みと予想、Semico inflection point indicator(IPI)が2010年5月以降どんどん低下してきている旨。2010年8月にSemico inflection point indicator(IPI)が、2009年12月以来の落ち込みを経ている旨。
・Semico IPIの推移と半導体販売高予測グラフ
⇒http://www.electroiq.com/content/dam/eiq/online-articles/2011/06/semicoipisincemay10.jpg
市場の次の種をどんどん育成していかなければ、という米SIAのアピールは、今後を左右する先進経済圏の喫緊の課題ということと強く賛同するところであるが、米国エレクトロニクス業界の有力団体、Consumer Electronics Association(CEA)からも同じ主旨の訴えかけが行われている。
◇CEA calls for signing Declaration of Innovation (6月24日付け EE Times)
→CE Week(NEW YORK)にて、Consumer Electronics Association(CEA)のpresident and CEO、Gary Shapiro氏が、発明工夫および革新を通して米国経済を再び元気にする劇的な動き、Declaration of Innovationを提示の旨。
≪市場実態PickUp≫
スーパーコン性能世界一の座を日本勢が奪還している。小生も前回首位の「地球シミュレータ」を見学したことがあるが、あれから9年の月日かと率直な思いである。
【世界最高速スーパーコン】
◇Japan takes Sparc to 8 Petaflops (6月20日付け EE Times)
→富士通製スーパーコン、K Computer(神戸のRiken Advanced Institute for Computational Science)が、Top 500 list最新版で断然の世界最高速システムに、Sparc-ベースプロセッサ68,544個が動かしている旨。
◇富士通のスパコン、性能世界首位に、日本製9年ぶり (6月20日付け 日経 電子版)
→世界のスーパーコンの性能を集計する「トップ500プロジェクト」が20日に発表した最新ランキング。富士通が開発した次世代スパコン「京」が世界首位に、日本のスパコンが首位になるのは2002年6月のNECの「地球シミュレータ」以来の旨。
米国の特許改革法案が、以下の経過概要で下院を通過している。上記の通り、発明工夫および革新がますます求められるご時世であり、やっと法制化が具体化してきたという長い時間経過の流れのなかの一区切りと感じている。
【米国特許改革法案】
◇U.S. House to vote on patent reform (6月21日付け EE Times)
→米国下院が水曜22日にも、広範な特許改革法案に投票の運び、MPU発明の前以降議会が取り組んでいない領域、特許改革を制定する6年の活動における最終の大きなステップとなる可能性の旨。
◇Houses passes patent reform bill (6月23日付け EE Times)
→米国下院が、特許改革法案を304-117の投票で可決、米国特許システムを改造する最後の大きなハードルの旨。最終的な法案は、3月に上院を通過した前回版との調整が必要、Obama大統領は結果として生じる法制化には署名するとしている旨。いわゆるAmerica Invents Actは、世界中の他のほとんどの特許局と調和するよう、米国特許システムをfirst-to-inventからfirst-to-fileシステムに移行するものである旨。
◇Opinions divided on patent reform impact (6月24日付け EE Times)
→昨日米国下院を通過した特許改革について、大手エレクトロニクスメーカーは一般に称賛、歓迎、個人発明家は批判的な旨。議会は依然、多様な範囲の事項に及んでインパクトを穏やかにする見込みの法制化を完了しなければならない旨。
中国で設計されたものが米国西海岸で製造されるという、今までとは逆方向の事例が、次の通り出てきている。silicon-germanium(SiGe)製造という専門的な性格ではあるが、中国の設計水準の高まりと同時に一層の融合の時代の前触れを感じるところがある。
【ファブレス設計の逆の流れ】
◇Shenzhen fabless firm selects U.S. foundry (6月21日付け EE Times)
→Tower Semiconductor Ltd.(Migdal Haemek, Israel)発。ファブレスIC半導体メーカー、Southwest Integrated Circuit Design Co. Ltd.(SWID) (Shenzhen[深セン], China)が、次の高周波ICsに向けてsilicon-germanium BiCMOS製造プロセス技術を選択、TowerのNewport Beach, California拠点で製造する旨。
≪グローバル雑学王−155≫
欧州のお酒の旅から、こんどはアメリカへ。1ヶ月余りかけてのアメリカの1951年春時点、お酒の味わいを、
『世界の酒』 (坂口 謹一郎 著:岩波新書 264)
…1957年 1月17日 第 1刷 発行
2010年11月19日 第30刷 発行
より辿ってみる。自動化を進め、広範な消費者に向けたアメリカの酒ビジネスということで、お酒の通にはいまいち、すなわちまずいという受け取りになっている。市場急拡大を目指した近代化真っ只中のアメリカの当時事情を感じている。
17 オートメーション(アメリカ)
★イギリスのサザンプトンからニューヨークへ、8万トンのクイン・エリザベス号で。1951年3月5日着。
□量でゆく世界一
・アメリカは、ビールは第2位の西ドイツを2倍で引き離す世界一、ウィスキーももちろん世界一。
・アメリカの特産
→ライ・ウィスキー
→ケンタッキーのブルボン・ウィスキー(とうもろこし)
→ジャマイカのラム(甘蔗)
□カクテール(Cocktail)の世紀
・アメリカらしい飲み物
→例のカクテール →多くは婦人の嗜好を追いかけるような傾向
・流行るカクテール
→カクテール・パーティーがいちばん簡単で能率的
□混ぜて飲む酒
・混ぜて飲む酒は、カクテールのほか、
フィズ(Fizz)
コリンス(Collins:ジンかラムに柑橘とミネラル・ウォーターを加えた飲物)
エグノグ(Egg Nog:蒸留酒に卵を加えて温めた飲み物)
デージー(Daisy:蒸留酒と果汁を加えて冷やしたアメリカの飲物)
リッケー
・カクテールとは?
→「蒸留酒、ビタース、香味料および砂糖を混じ、氷を加えた飲み物」(辞書)
→シェーカーで振って、カクテール・グラスという一定の容器に分注してつくる
→大切なことは、あくまでも食前用のアペリチーフの性格
□まずいアメリカの酒
・アメリカの酒 →一般に酒通には評判がよくないよう
□オートメーションの功罪
・ビールの製造工程も、ウィスキーの方も、なるべく人を使わないように、極度のオートメーション
・工程の機械化が進むにしたがって、工員が自分の持ち場の仕事に対する興味をだんだん失っていく(シュリッツ・ビール会社の重役)
□コンシューム・アクセプタンス
・アメリカの醸造工業
→生産のスピード化、製品品質の均一化に重点
→消費調査(コンシューム・アクセプタンス)の強化
・消費者には、ウィスキーを知らないフランスなどヨーロッパ大陸の子孫、黒人、酒の味などわからない婦人が相当に入る
□ビールとお菓子
・ニューヨークのブルックリンにラインゴールドという、アメリカでも有数のビール工場
→最近の10年間に、その売上高を10倍に拡大
→婦人がお菓子を食べながらでも飲み得ることを標準とする方針
□ウィスキー会社変じて飼料会社
・粕や廃液の中に、動物蛋白因子のような未知生長因子
→厄介者変じてこの工業の立役者となりそうな気配
⇒ウィスキー会社変じて飼料会社となるの観
□石油のウィスキーは飲まずにすむか
・廃液の利用により、合成化学工業からの同一製品に優に対抗していけるように
★半年にわたる長い酒の旅を終了。1951年4月10日、サンフランシスコからプレジデント・ウィルソン号に乗船。