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次の時代に向けて着実に押し寄せている流れ、変化

米中はじめ世界の主要、注目各国の体制が大きな節目を迎える2012年を控えて、早くもそれ以降を見据えた動きが一般の目にも見えるとともに、中東情勢の緊迫化、険悪化が次の時代に向けた時間軸を加速している現時点の様相がある。半導体・エレクトロニクスの世界も、アップルから新しいタブレットの発表があるなど、大きな飛躍による変化、変貌の到来を市場面、そしてのみならず技術面に感じるところがある。

≪いくつかの切り口≫

現下の動きから感じ取れる流れ、変化を、いくつかの切り口から見ていく。

≪新興経済圏≫

中国では全人代が開幕、向こう5年に向けてGDP成長率を7%目標としている。
今まで続いた二桁成長から大きく安定成長に切り換わり、半導体市場にもどういう変化となるか、世界の業界模様をじっくり見定めていく目が求められる。

◇中国成長率、目標は7%、庶民に配慮、ちょっぴり低めに (2月27日付け asahi.com)
→中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相が27日、週末から始まる全国人民代表大会を前に、インターネット上でネット利用者と対話した中で、2011〜2015年の「第12次5カ年計画」の国内総生産(GDP)成長率を年平均7%とする目標を明らかにした旨。昨年までの5カ年計画では年7.5%が目標だったが、実際は9〜14%台の高成長、今年からは成長目標をやや下げ、物価を抑えて庶民の暮らしに配慮しながら、省エネルギーや環境保護を重視した成長を目指す方針を示した旨。

中国に続く世界の目となるインドであるが、GDPの行く末に引き続き注目である。

◇インド8.2%成長、2010年10-12月、伸び鈍化 (2月28日付け 日経 電子版)
→インド政府が28日発表した2010年10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比8.2%、同年4-6月期、7-9月期(いずれも8.9%)に比べ減速した旨。中でも製造業の成長率は5.6%、4-6月期の13.0%、7-9月期の9.8%に比べ伸び率が鈍化した旨。他方、金融・不動産は11.2%成長となり、前2四半期(8%前後)から加速した旨。

あっさりとした以下の記事であるが、内容的にどの範囲までの許可であるのか、何か一気に加速して開いた門戸という受け止めがある。

◇China allowed to invest in Taiwan (3月2日付け EE Times)
→台湾のMinistry of Economic Affairs発。今や中国が台湾での次の分野への投資が許可される旨。
IC製造、半導体パッケージング、IC testing、LCDs、metal cutting machine tools、半導体製造装置など

新興経済圏からこんどは先進経済圏の奮起が求められる世界の全体構図と思うが、米国の失業率がやっとのこと改善、好転という発表である。市場創出による自国内での雇用喚起の努力を引き続き、という流れと思う。

≪米国失業率≫

◇米失業率、8.9%に改善、市場予測より好転 (3月4日付け asahi.com)
→米労働省が4日発表した2月の雇用統計によると、景気動向を反映する非農業部門の就業者数は前月より19万2千人増え、5カ月連続の増加、これにより失業率は8.9%と前月より0.1ポイント改善し、2009年4月以来1年10カ月ぶりに8%台に下がった旨。
2月の失業者数は1367万人と前月より19万人減り、失業率も市場予測(9.1%程度)より好転した旨。

◇8.9% unemployment and the hiring game (3月4日付け Electronics Design, Strategy, News)

このような世界情勢のなかで発表されたアップルの「iPad 2」は、パソコンから次への流れにどのようなインパクトとなるか。早速見られる反応記事である。

≪post-PC≫

◇The iPad 2 faces crowd of dual-core tablets (3月2日付け EE Times)
→Appleのchief executiveがpost-PC時代と呼びかける中、iPad 2がdual-coreタブレットの高まる声の仲間入り、現状では競合に対するApple飛び抜けには欠けるが、最新システムおよびその新しいA5 system-on-chip(SoC)では上手くいくとの見方の旨。

◇Gartner: Tablets eat into 2011 PC sales (3月4日付け EE Times)
→Gartner社が、2011年PC販売予測を5%以上下方修正、消費者を熱中させるものがモバイルPCsからタブレットのような機器に移っていることがある旨。Gartnerの2011年PC伸長は、前回の15.9%から今回は10.5%と予測している旨。2012年の世界PC出荷は2011年から13.6%増の440.6M台、前回は14.8%増と見ていた旨。今回のGarner予測改定は、post-PC時代が近づいているという最新の兆候となる旨。

今年はフランス・グルノーブルで開催されたIndustry Strategy Symposium(ISS) Europeが、来年はアブダビでの開催になりそうな流れとのこと。
Globalfoundries社の動き、進展ぶりに注目である。 

≪中東≫

◇SEMI Europe looks to Abu Dhabi (3月3日付け EE Times)
→今週開催のIndustry Strategy Symposium Europeが、2012年はAbu Dhabiでの開催を希望している旨。


≪市場実態PickUp≫

Apple社のiPad2発表は、早速にNHKのTVニュース番組が取り上げていたが、一回り薄く軽くなったタブレットを手に、相手の顔を見ながら挨拶、会話する場面には、一層世界の距離の縮まりを感じている。  

【iPad2発表】

◇Jobs on hand as Apple launches iPad 2 (3月2日付け EE Times)
→Apple社が水曜2日、press eventにて同社第二世代iPadタブレット機器を発表、現在医療休暇中のCEO、Steve Jobs氏が登場の旨。

◇iPad2は薄型・軽量・カメラ付き、ジョブズ氏が発表 (3月3日付け asahi.com)
→米アップルが2日、画面に触って操作する板状のタブレット型端末の新機種「iPad2」を発表、昨春発売した初代より処理速度が大きく向上、軽量・薄型化を進め、カメラをつけた旨。米国で11日、日本などでは25日発売、価格は初代と同じ$499(約4万900円)からの旨。
画面の大きさは初代と同じ9.7インチ。厚さは初代の約3分の2の8.8mm、重さは約90グラム減って約590グラムになった旨。互いの表情を見ながら話せるテレビ電話ができるように、端末の表と裏にカメラを装備、処理速度を2倍、画像表示性能を9倍に高めた新しい半導体を搭載した旨。

SPIE Advanced Lithography conference(SAN JOSE, Calif.)より、EUV、450-mmそしてファウンドリー業界対応の動きである。

【最先端リソ】

◇Industry mulls 6.7-nm wavelength EUV (2月28日付け EE Times)
→ASML Holding NVが13.5-nm波長技術に基づく同社初のpre-production extreme ultraviolet(EUV)リソ・ツールを出荷したばかりであるが、Nikon社によると業界では今や6.7-nm波長技術に基づくEUV開発の議論に入 っている旨。

◇TSMC to make FinFETs in 450-mm fab (2月28日付け EE Times)
→TSMCの研究開発senior vice president、Shang-Yi Chiang氏。450-mm fab計画のさらに詳細を説明、2015年あるいは2016年までに14-nm FinFETデバイスを450-mmウェーハでのフル生産処理する期待の旨。

◇Globalfoundries, TSMC square off in litho (3月1日付け EE Times)
→Globalfoundries社とTSMC、ファウンドリー業界大立者の衝突、それぞれ顧客向けプロセスofferingsおよびサービスを拡大しているが、それぞれの止まり木から互いに払いのけようという異なる戦略の旨。
例えば、Globalfoundriesは28-nmでのgate stackについてはhigh-k/metal-gateだけであるのに対し、TSMCはhigh-k/metal-gateおよびpolysilicon gate-stackオプションの両方、また、TSMCは450-mm fabsを積極的に推進、これに対してGlobalfoundriesなどIBM社の"fab club"メンバーは450-mmについては能弁でない旨。

米国上院で特許改革法案の審議が山場を迎えているようである。今までの経過、それぞれの立場による利害衝突があってすんなりとはいかない雲行きである。競争力の原動力となる特許の扱いであり、引き続き注目を要する。

【特許改革法案】

◇IEEE-USA, others challenge patent reform (2月28日付け EE Times)
→米国上院が月曜28日から審議を行う特許改革法案に反対する書簡をIEEE-USA, National Small Business Association(NSBA)などいくつかの団体が連発、該法案は大手会社に特許獲得の手助けをし、中小およびstartup会社には不利になるという共通テーマになっている旨。

◇Update: Horse trading begins on patent reform(3月1日付け EE Times)
→大小ハイテクグループからの反対に直面、特許改革を支持する米国上院議員が、かなりの変更を現在議会で討議されている法案原案に施している旨。
   
◇Patent reform debate heats up (3月1日付け EE Times)
→Obama政権メンバーがハイテク大手および企業家と格闘、特許改革法案の詳細を巡る議論が激しくなっており、いわゆるS.23法案に少なくとも2つの大きな変更を施して現在米国上院で上程されている旨。

◇Senate tables patent reform amendment (3月3日付け EE Times)
→米国上院が木曜3日、議会で審議されている特許改革法案を大方挫折させることになる上院議員、Diane Feinstein氏(D. Calif.)提案の修正を87対13と圧倒的多数で棚上げ、これは米国Patent and Trademark Officeが用いている現在の"first-to-invent"システムを維持することになる旨。


≪グローバル雑学王−139≫

食の質の良さをこれからグローバル市場に高めて、広めていこうという我が国であるが、食料自給率について

『世界の国 1位と最下位 −国際情勢の基礎を知ろう−』
 (眞 淳平 著:岩波ジュニア新書 664) …2010年9月17日 第1刷 発行

から様々なデータを見るにつけ、その低さと今後に向けた課題を知らされること多々である。


第III部 社会

第8章 食料自給率

□食料自給率とは
・「食料自給率」…ある国の国民が一日に取る食料にうち、その国の中で生産している割合
・種類1:「カロリーベースの食料自給率」
     …総カロリーのうち、国産の食料のカロリーがどれくらいの割合を占めているか
     →家畜のエサが国産品か輸入品か、なども考慮に
     →魚介類の場合は、その国の漁船がその国にある港に水揚げしたもの

□金額ベースと品目別の食料自給率
・種類2:「金額ベースの食料自給率」
     …食料全体の消費額に占める国内生産分の金額の割合
・種類3:「品目別自給率」
     …品目別に、国内消費量に占める国内生産量の割合(重量ベース)

□先進国における「カロリーベースの食料自給率」
・「カロリーベースの食料自給率」(『平成21年度版 食料・農業・農村白書』)
 オーストラリア 237% →国民が食料として消費するカロリーの2倍以上の食料を生産
 カナダ     145%
 アメリカ    128%
 フランス    122%
 ドイツ     84%
 イギリス    70%
 イタリア    62%
 →日本は    40%

□「穀物自給率」を見る
・「世界各国の穀物自給率」(農林水産省 2003年発表)
 オーストラリア 333% →消費する穀物の3倍以上を生産
 アルゼンチン  249% →肥沃な「パンパ」
 ガイアナ    228% →ブラジルの北側
 ウルグアイ   205%
 フランス    173%
 タイ      162%
 カザフスタン  150%
 カナダ     146%
 パラグアイ   142%
 ハンガリー   141%
 アメリカ    132%
 ・・・
 中国      100%
 イギリス    99%
 イタリア    73%
 スイス     49%
 日本      27%
 オランダ    24%

□穀物自給率が低い国
・穀物自給率がゼロ …16の国・地域
 →アイスランド、U.A.E.、ジャマイカなど、熱帯や冷・寒帯の島国、砂漠の国など
・データのある世界175の国・地域のなか
 穀物自給率が100%以上  →33
 20%を下回る         →40
 50%を下回る         →69
 80%を下回る         →112

□日本の自給率
・日本の穀物自給率 …27%(125番目)
 →全体として、コメは消費に見合うだけの収穫、いも類、キャベツなどの野菜もかなりの自給率、穀類、野菜類などの自給率は低いものも多い

□急増する食料需要
・近年、世界における食料需要は大幅増
 →       1970年から2005年まで
 世界の人口    約1.8倍
 小麦の需要    1.9倍
 トウモロコシ   2.7倍
 大豆       4.8倍
・畜産物の消費量が増えていけば、結果的に、穀物の需要はどんどん増加していく
・バイオ燃料 …自然界のさまざまな有機物から作られる燃料
 →「化石燃料」よりも、温暖化につながりにくい
 →食用に使われるべき穀物の供給量が減る可能性

□厳しくなる食料需給
・穀物市場の特徴
 1.輸出入される貿易量が、生産量全体の10〜12%程度と少
 2.主要な穀物輸出国が限られている
 3.穀物輸入量は、アジアの国・地域が全体のうちの多くを占めている
・近年、輸出を禁止したり、輸出枠を設定したりする農産物の輸出国が増えている

□輸入食品の安全性
・国内からは見えにくい部分も多い輸入食品
 →輸入品をめぐる問題の解決は簡単ではない

□遺伝子組み換え作物に対する懸念
・「遺伝子組み換え(GM)作物(genetically modified organism)」
 …作物が持つ遺伝子に、ある機能を持った遺伝子を組み込むことで、新たな機能を持たせようとして開発された作物
 →「機能性」…油分が多いなど
  「高収量性」
  「保全性」…日持ち
  「ストレス耐性」
・GM作物で指摘される問題点
 →人体への影響 …アレルギー反応など
 →自然界への影響…GM作物の花粉などが、将来的に、外の世界に拡散する可能性
 →種子を特定の企業が支配している現状

□日本に特有な事情
・日本の農業を取り巻く状況
 →農業の多くの部分を支えているのは高齢者
 →専業農家が少ない
 →農家の経営規模が小さい

□日本の課題
・2010年4月から、農家への「所得補償制度」試行
 →2つの政策の柱:
  *コメのかわりにつくる作物の作付面積に応じて、交付金を支払う
  *コメの生産調整を行う農家に対する、主食用のコメの作付面積に応じた交付金の支払い
・今後、日本の農業をどうしていくのか
 →多くの人々が考えていかなければならない問題

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