セミコンポータル
半導体・FPD・液晶・製造装置・材料・設計のポータルサイト
セミコンポータル

最近どこでも出る話題/市場実態PickUp/グローバル雑学王−99

テレビの全国放送、一般番組で我々の業界、すなわち半導体、エレクトロニクス関係の話題を目にすることが増えてきている感じがある。半導体の応用範囲がほとんどの産業をカバーするとともに、個人消費者向け市場の規模、比率がグローバルに急拡大していることを、ここでも肌身に実感している。
我が国の技術の先進性、優位性というものを、もっと一般に幅広く浸透させて支持、共感を拡げることの重要性を感じている。

≪最近どこでも出る話題≫

たまたま目にしたトーク番組で、半導体、エレクトロニクス分野での韓国の伸び具合に比べて日本勢は停滞という下りのコーナーがあった。

○「たけしのTVタックル」 5月24日 テレビ朝日 午後9時25分から
 日韓併合から100年…
 韓流ブーム VS. 経済摩擦
 躍進企業のマル秘対日工作

普段はその時点の政治の実態がよく分かる率直で笑いに富んだやりとりが身上の番組であるが、我々デバイス業界仲間でよく話題にする内容が次のように表われている。

・日本は先行して自分たちで技術を創出、複雑な機能の製品をいち早くモノにするが、国内止まりでなかなか海外に出ていかないし、行こうともしない。いわゆる"ガラパゴス化"が随所に見られる。

・韓国は、海外から優秀な技術を取り込んで、世界各国・地域が欲するものをそれぞれに適合、製品化している。余分な機能はつけず、それぞれの感性にフィットさせるマーケティング手法を徹底させている。基本は同じでも自在に変身するカメレオン的アプローチである。

この番組では、サムスンにスカウトされたLi電池の技術者の例が見られたが、半導体関係ではすでに枚挙に暇なしの今までの経緯となっている。

サムスンが日本勢を圧倒している現状について、次の分析記事が見られる。
我が国と韓国の政治、経済など土俵の違いはあるが、我々の業界が直面している課題ポイントを突いていると思う。  

◇5 reasons why Samsung scares Japan (5月26日付け EE Times)
→日本のエレクトロニクス業界のビジネスマンと話すと、まずSamsungのどうのこうのが話題に。日本人がSamsungを相手にして自信を失っており、かって身代わりに鞭打たれた少年に鞭打たれている感じ方がある5つの理由について:
 1. 政治リーダーシップの在り方
 2. 緊急性の感じ方
 3. ハイテク製造についての真実
 …「製品を開発し、ハイテク品を製造する技術を持たなければ、生き残れない」(Jong-Yong Yun[尹鍾龍]氏)
 4. グローバル市場での戦い方を知ること
 5. 結果を得るために必要な量

もう一つ、どの時事、経済番組も取り上げているのが、アップルの「iPad」の国内発売である。紙の本はどうなるのか?という問題意識であるが、印刷の匂い、ページをめくる感触があってこそ、といった声が根強い一方で、「iPad」の素晴らしさへの感嘆の表情も見られる。とにかく注目のアップル、そして「iPad」であるが、関連記事として次の通りである。

◇iPad発売、直営店に行列、品切れ店舗は少なく。(5月28日付け 日経Web刊)
→米アップルの多機能携帯端末「iPad」が28日発売され、一部アップル直営店には早朝1000人規模の行列ができる一方、郊外の家電量販店では少人数しか並ばなかったところも多かった旨。夕刻時点でも販売を続けている店が目立ち、全機種品切れになった店は少ないと見られる旨。

◇ソニー・凸版など、電子書籍で連携、4社で新会社、年内に配信開始。(5月28日付け 日経Web刊)
→ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社が27日、電子書籍配信を手がける共同出資会社を7月に設立すると発表、年内にサービスを始める旨。ソニーはすでに欧米で販売している電子書籍端末「リーダー」を年内に日本で発売することも明らかにした旨。

◇アップル、時価総額でマイクロソフト抜く、米2位に。(5月27日付け 日経Web刊)
→米NASDAQ市場に上場するアップルの時価総額が26日、終値ベースで2213億ドル(19兆9000億円)となり、IT業界首位だった米マイクロソフトの2193億ドル(19兆7000億円)を抜き、約25兆円の石油最大手、エクソンモービルに次ぐ米2位に浮上した旨。アップルは新製品のヒットで好調な業績を維持しており、株式相場全体が下落する中、強さを示した格好の旨。


≪市場実態PickUp≫

2010年最初の3ヶ月間の半導体ランキングが、次の通り発表されている。メモリの急増、Samsungの強気スタンスが注目されている。前四半期比で落ち込むことの多いこの四半期でのプラス伸長は、半導体市場の戻しの勢いを反映していると感じさせる。

【第一四半期(1-3月)半導体ベンダーランキング】

◇Surging memory markets shake up top 20 IC vendors(5月28日付け EE Times)
→IC Insights社(Scottsdale, Ariz.)のMcLean Report、5月アップデートから、2010年第一四半期半導体ベンダー・トップ20、下記参照。
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2010/100527_icinsights_top20_q1.jpg
長きにわたって第2位のSamsung Electronics Co. Ltd.が、設備投資を約$9.6B(インテルとTSMCを合わせた規模)に高めて、2010年の半導体販売高が$30Bを越す勢いの旨。

◇Semis on longest quarterly growth streak since '04(5月28日付け EE Times)
→iSuppli社(El Segundo, Calif.)発。2010年第一四半期のグローバル半導体売上げが、前四半期比2%増、holiday seasonから新年始めとしては稀な増加、4四半期連続のプラスの伸びを記録して2004年以来となる旨。
第一四半期トップ10・ランキング、下記参照。  
http://i.cmpnet.com/eetimes/eedesign/2010/100528_isuppli_q1_top10_ic.jpg

中国四川省の省都、成都での半導体、エレクトロニクス関係の動きが相次ぐ印象ということで、以下の抜き出しである。

【成都(Chengdu)での動き】

◇Intel to add jobs in Chengdu plant (5月26日付け EE Times)
→半導体上向きの渦中、Intel社が、Chengdu[成都], ChinaのIC-packaging拠点で人材採用を進めている旨。同拠点は2つの工場があり、1つはMPUライン用IC-packaging、もう1つはチップセット用IC-packagingである旨。

◇SMIC, TI still in talks about fab takeover (5月26日付け EE Times)
→SMICが、Chengdu[成都], Chinaにある200-mm fabの事業継承についてTexas Instruments社と依然協議中である旨。

◇Unisem eyes IC-packaging expansion in Chengdu(5月27日付け EE Times)
→ごった返すIC-packaging業界群から脱け出ようと、マレーシアのIC-packagingおよびテスト専門、Unisem Berhad(Kuala Lumpur)がCHENGDU, Chinaにて、需要が力強くモノ不足の市場の渦中、積極的な成長戦略を進める概要を説明、中国での展開拡大、車載expertise開発および市場での買収模索を計画の旨。

◇Cisco expands efforts in Chengdu (5月28日付け EE Times)
→通信装置大手、Cisco Systems社が、中国・成都(Chengdu)での活動を拡大、中国最大のソフトウェアパーク、Chengdu Tianfu Software Parkに新オフィスを設立の旨。

小生も都内でのスマートグリッド関係のフォーラムを聴講したばかりであるが、ここでも材料に事欠かない以下の内容である。

【スマートグリッド関係】

◇Freescale rolls microcontrollers for smart meters(5月24日付け EE Times)
→Freescale Semiconductorsが、smart utility meters用を狙った統合MCUsラインを仕上げ、lowおよびmid-range meters向けの2つの新ファミリーの旨。

◇The not-so-smart grid-What exactly are the standards for the next-generation utility gird? In many cases, nobody knows.(5月25日付け Electronics Design, Strategy, News)
→スマートグリッド市場について。
Pike Research(Boulder, CO)は、先端meteringおよびdemand-responseシステムなどスマートグリッド・インフラ市場が、2009年$10Bから2013年には$35Bに増大すると見る旨。
北米のスマートグリッドutility spending(ハード、ソフト、サービス)予測として、次の通り。
 2008年 $7.5 billion
 2009年 $10.7 billion
 2010年 $13 billion
 2011年 $15 billion
 2012年 $16.6 billion
 2013年 $17.6 billion
  [Source: IDC Energy Insights]

◇Smart grid standards expected by mid-2011-IEEE, NIST efforts just two of many needs for grid upgrade(5月28日付け EE Times)
→ConnectivityWeek 2010(5月24-27日:Santa Clara, CA)にて。smart electric gridsを構築するのに必要とされる広範な一連の標準を1年以内に供給する狙い、今回の場の終わりにエンジニア連が1歩ずつの進展を報告の旨。

世界最大規模のEMS、台湾のFoxconnであるが、数10万人の従業員を抱えるといわれる中国の工場についての下記の事態であり、一般紙でも取り上げている内容である。

【Foxconnの対応】

◇Foxconn dismisses 'sweatshop' allegations (5月26日付け EE Times)
→新華通信社発。Foxconn Technology Groupのpresident、Terry Gou氏が、一連の自殺が続く渦中、同社は中国の工場労働者の搾取工場という訴えかけを否定した旨。

◇Foxconn to raise workers' wages by 20%, says FT(5月28日付け EE Times)
→Financial Times発。Foxconn(Tucheng, Taiwan)として取引、AppleおよびSonyなどhigh-profileブランド向けエレクトロニクス製品を製造するHon Hai Precision Industry Co. Ltd.が、中国人労働者の賃金を約20%上げることを計画している旨。


≪グローバル雑学王−99≫

近くて非常に遠い国、北朝鮮を9回にわたって、

『北朝鮮を見る、聞く、歩く』(吉田 康彦 著:平凡社新書 500) …2009年12月15日 初版第1刷

よりいろいろな切り口から見てきたが、今回で締めとなる。歴史、政治に翻弄された埋め難い距離感、別世界の様相が強烈に伝わってくる。最後は、北朝鮮を著者の目を通して実際に旅する気分を味わいたく思う。現実に覆いかぶさる多くの問題の早期打開をひたすら願うものである。

※北朝鮮の最新動向ニュース:
北朝鮮国防委、沈没事件「でっちあげ」、平壌で記者会見(5月29日付け asahi.com)
…北朝鮮最高権力機関の国防委員会が28日、平壌で記者会見を開き、韓国の哨戒艦沈没事件は「傀儡(かいらい)当局(韓国)によるでっちあげだ」と否定、北朝鮮外務省も同日、報道官名で「米国と南朝鮮(韓国)当局の自作劇」との談話を発表、朝鮮中央通信が伝えた旨。


[第9章 北朝鮮・旅のアラカルト
 −−−ひと味ちがう旅、ユニークな旅]

*経済制裁下でも観光旅行は大歓迎
・北朝鮮観光旅行 …四泊五日の旅で最低25万円、かなり割高
 →二重三重のハンディがあるが、北朝鮮こそ「地上最後の秘境」として隠れた人気
□政治に翻弄される北朝鮮旅行
 …1984年、外貨獲得の手段として観光事業を開始。日本人旅行者は1987年から受け入れ、しかし中断の繰り返し。
 …現時点では日本人の年間渡航者は400人前後、米朝・南北関係改善で2010年からは上向く可能性。

*北朝鮮旅行の心構え
・平壌は国家の全機能を集め、すべての点で北朝鮮を代表。地方の住民にとっては平壌に住むこと自体が夢であり、憧れに。
・東西南北から平壌市内に通じる道路の要所には検問ゲート、「移動許可証」の提示が求められる。
・著者も当初は、早朝や深夜にホテルの部屋をこっそり抜け出して市内探検の試み、ものの10分もしないうちにガイドが必死に追いかけてきて"御用"に。
・ジョギングの例 →ガイド公認かつ同伴なら大抵の要求は通る。

*いずこも同じ"魚心に水心"
・北朝鮮のエリートは思想教育・反日教育で純粋培養、プライドだけは人一倍高い
 →少しでも人間同士の友情の絆で結ばれると相手も心を開く

*モデル「北朝鮮観光旅行」
・典型的な四泊五日のコース
[第一日]
 −北京→平壌は高麗航空(旧ソ連製イリューシンの改良機)
 −バスで平壌市内へ、途中、金日成銅像(万寿台広場)に献花
[第二日]
 −午前、バスで市内観光(主体思想塔、凱旋門、人民大学習堂、地下鉄試乗など)
 −午後も市内観光つづき(万景台[マンギョンデ]の金日成の生家、大城山公園、学生少年宮殿、映画村訪問、サーカス見物、オペラ鑑賞など)
[第三日]
 −バスで一路南へ二時間半、板門店見学
 −開城で高麗王朝時代の宮廷料理の昼食
 −開城市内の仏教寺院、高麗博物館など見学
[第四日]
 −バスで一路北へ二時間、妙香山へ
 −ピラミッド型の香山ホテルで昼食
[第五日]
 −順安空港へ、北京空港で乗り換えて同日中に日本帰着

*味わい深い古都・開城の旅
・開城[ケソン] …史上初めて朝鮮半島を統一した高麗王朝(918−1392)の首都
        …北緯38度線のやや南に位置
        …朝鮮戦争の休戦協定による線引きで北朝鮮領に
 →古都の趣きがあり、息抜きに

*板門店見学は「北」からの方が自然
・「軍事境界線」(休戦ライン)
 …半島の東西248kmにわたって南北に幅2kmの「非武装地帯」(DMZ)
・朝鮮戦争(1950−1953)は半世紀以上を経て、いまだに休戦状態
・「板門店(パンムジョム)」…緊張感は韓国側の方がはるかに高い
              …日本で想像するのとは逆に北朝鮮側はのんびり
□朝鮮戦争の交戦相手は誰か
…北朝鮮は米国を重視
…「朝鮮戦争」は「国連軍」の冠をかぶった米軍と朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の戦い
…現在なお、有事の際の指揮権は米軍司令官が握る

*北朝鮮人道支援のすすめ−−一味違った訪朝のために
・NGO(非政府組織)活動への参加
 →一味違った北朝鮮旅行ができるし、隠れた素顔が見えてくる
・まず体制存続を保証、朝鮮半島非核化が実現したら大規模経済援助、しかるのちに人権状況の改善を迫る
 …三段構えのプロセス、「急がば回れ」 ⇒著者の見方

[あとがき]
・(著者は、)北朝鮮政府招待という「正面玄関からの訪問」ながら過去10回訪朝、現地事情に精通
・本書にある多くの写真 …原則として自分自身で撮影

月別アーカイブ

Copyright(C)2001-2024 Semiconductor Portal Inc., All Rights Reserved.