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世界的な脱炭素は半導体産業にインパクト〜欧米310兆円投資の波に乗れ‼

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世界の半導体産業はコロナ禍にあっても伸び続けている。2020年は前年比5%成長を果たし、2021年も少なくとも同10%以上の伸びが見込まれており、55兆円市場が視えて来ている。

これを牽引するのは、何といっても5G高速の波であり、データセンター建設ラッシュ、そしてテレワーク拡大によるIT投資であろう。しかし今後の半導体市場を語る上で、見逃してはならないものがある。それは全世界的な脱炭素シフトの急加速である。

「2021年のデータセンター投資は一気に増えるだろう。これはメモリー生産の急拡大をもたらしていく。キオクシアにはビッグチャンスが来ている。しかし、一方でカーボンニュートラル、つまりは脱炭素社会の構築に向けては、気の遠くなるような各国の巨大投資が準備されている。カーボンゼロにするためには、少なくとも世界全体で1000兆円を超える投資が必要であり、ここでも半導体デバイスが大活躍するのだ」

こう語るのは、今やニュース番組の「報道ステーション」にも度々登場する名アナリストの南川明氏である。南川氏によれば、脱炭素シフトで最も重要な半導体はパワーデバイスであり、そして日本勢が得意とするセンサ需要も急上昇するというのだ。

確かにバイデン政権になってからは、米国政府はひたすら脱炭素に対する投資を実行し、大きな雇用を生み出すと喧伝している。基本的にはこうした姿勢をシリコンバレーに林立する米国半導体産業は歓迎しているのだ。

米国のカーボンニュートラル関連の投資は200兆円、EUもまた120兆円を投入するとアナウンスしている。そして遅れをとっていた日本もようやくにして重い腰を上げた。菅首相が、所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスのゼロをぶち上げたのだ。

もちろん、EV、ハイブリッド車、燃料電池車などのエコカーシフトもすごい勢いで進んでいくだろう。スマートシティ構築の波も世界を覆っていく。世界のそこいら中に ミニタイプのエッジ型データセンターが配置されていくわけであり、CMOSイメージセンサは監視だけではなく、計測・分析の分野にまで踏み込むわけだから、ソニーには強い追い風が吹いてくる。

そして何よりも重要なことは、石炭・石油火力に代わる再生可能エネルギーの存在であり、これを急速普及させることが望まれている。特に動きの激しいのは欧州であり、洋上風力発電については、官民をあげて100兆円を投資し、2030年には70GW以上の発電容量に持っていくとしている。

太陽光発電は一時減速したが、この分野で圧倒的なシェアを持つ中国が再びの強化を打ち出している。太陽光の能力は既に100GWを上回っているとみられるが、これは2015年当時に比べて5倍まで増えてきていることに注目したい。

洋上風力にしても、太陽光にしても、パワーコンディショナーが必須であり、すなわちここにパワー半導体モジュールが大活躍していくステージが出来てきた。このモジュールはEVにおいても、超重要な存在なのでもある。

パワーデバイスは、日本のお家芸であり、三菱電機、富士電機、ローム、東芝、ルネサス、サンケン電気、新電元工業などが、一大飛躍の時を迎えることになるだろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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