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「2018年後半から半導体後退」という流説に惑わされるな!!〜何の根拠もない

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年が明けて、まことしやかに「絶好調の半導体市場は、2018年後半から衰退に入っていく」というような話がチラホラと筆者の耳にも入ってくる。思わず「それなら根拠を示せ、数字を出してみろ」と声を張り上げたくなるのであるが、さすがに年をとったことだから一応は静かにしている。

それにしても半導体業界を40年近くウォッチングしてきたが、このような流説がいつも世の中を惑わせるのだ。かつて大手新聞社の記者たちは、「強誘電体メモリーは2兆円の巨大市場を構築し、DRAM、SRAMを駆逐する」との論調でキャンペーンを張っていた。またある時期には、技術系の大手雑誌は皆一様に「日本勢はメモリーで後退したがシステムLSIで再び覇権を取る」と論じておられたが、笑止千万とはこのことであろう。

周知のように現状は相変わらずDRAMが主役であり、これにフラッシュメモリーが迫るという状況で、強誘電体メモリーなるものは一応、残っているが、1回も華やかなステージに出ることはなかった。また、システムLSIの覇者はクアルコムであり、ブロードコムであり、エヌビディアであり、ほとんどが米国勢となり日本勢の影は薄い。

それはともかく、筆者の見解によれば、今や半導体市場を強力に牽引するDRAMもNANDフラッシュメモリーも何の問題もない。インテルを打ち破り、半導体の世界チャンピオンの座についたサムスンは、今年の主役はDRAMと位置づけ、積極的な設備投資を表明している。史上最高売り上げ、最高収益を出したSKハイニックスも、DRAM投資には手を抜かないと言っている。マイクロンも同様である。

この背景には、彼らDRAMメーカーの営業利益が、驚くべきことに60%と高止まりしていることが大きい。当然のことながらセットメーカーは、DRAM価格引き下げのため大型設備投資を要求している。いわゆるラーニングカーブが一番効く分野であるから、DRAM設備投資が巨大化すれば価格は下がってくるのだ。

3D-NANDフラッシュメモリーも活況は変わらない。供給過剰を懸念する声があるが、この業界を代表する気鋭のアナリストとして知られる野村證券の和田木哲哉氏は、NEDIA2018新春セミナーの中でこう言い切っていた。

「サーバー向けのフラッシュメモリー需要拡大が市場のドライバーになる。もはやスーパーサイクルとなっており、かつてのシリコンサイクルの山谷は全く気にする必要はない。超強気で行くべし」
メモリーばかりが喧伝されるが、CPU王者のインテルのファブはもはや満杯であり、全く作り切れていない。同社もまた大型投資を構えている。そしてまたソニーのCMOSイメージセンサーも絶好調であり、車載向けを睨んで今後も投資は拡大するだろう。一方でレガシーの工場稼働率も急上昇している。タワージャズの生産数量はパナソニック時代の2.3倍となっており、これも一杯。ラピスセミコンダクタのFOWLPプロセスもまた絶好調なのだ。

こうした状況はなにゆえに起きているかといえば、IoTをキーワードにした新アプリがデバイス業界に増産を要求しているからであり、いわば必然性があって投資が活発化しているのである。何となく売れそうだからアクセルを踏んでいるのではない。明確な根拠があって各社とも動いているのだ。半導体を巡る流言飛語が途絶える日は来ないだろうが、アナログな憶測だけで根拠の無い談話を出すのは、筆者も含め少し慎重になった方がいいだろう。

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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