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CMOSイメージセンサの世界チャンピオン、ソニー〜その驚きの技術開発力

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シーズとニーズの会というユニークな団体が積極的な活動を続けている。多くは電子材料系の方々が会員の中心であり、お茶の水の化学会館を拠点に「新規事業開発のための研究と交流」をコンセプトに多くのカンファレンスも開催している。

2017年9月25日に開催された特別例会にはソニーセミコンダクタマニュファクチャリングのID開発部門長の門村新吾氏が登場し、会場は一気に盛り上がった。何を隠そう、門村氏こそがソニーのCMOSイメージセンサの黄金技術である「裏面照射」の開発を立ちあげた人であったからだ。同氏はプレイステーションのチップとして東芝と共闘した「セル」の開発に従事していたが、CCDのCMOSへの置き換えに取り組むべし、との社内意見をバックにCMOSイメージセンサにのめり込んで行く。

「1955年のこと、ソニーがまだ東京通信工業といわれていた時代からトランジスタの開発に注力していた我が社は、日本初のトランジスタラジオTR55を発表し、世界をあっと言わせた。その後の製品開発では常に半導体がベースとなり、ユニークな製品を世に送り出してきた」(門村氏)

ソニーは現在にあってCMOSイメージセンサの世界チャンピオンであり、スマホの50%以上、デジタルカメラの90%以上の世界シェアを持ち、ぶっち切っている。300mmのウェーハ能力も月産10万枚に近づいており、研究開発、設備投資の両面で、首位の座はまず揺らぐことはない。

真っ暗闇でも見える性能、140°C以上の高熱下でも動作する機能をつけ、さらにはDRAMを搭載し、1秒間のフレーム数を120枚から1000枚まで上げるという驚異の技術力は今も進化を続けている。しかし、何といってもソニーが技術的にブレークスルーを起こしたのは裏面照射という離れ技なのだ。

「従来の表面照射では入射光が配線にぶつかってしまう。そこで発想の転換を行い、配線部分を下層にし、上層にはセンサ部分を持って行けば良いと考えた。まずは配線部分を作り込み、ひっくり返してギリギリまでシリコン基板を削って行き、その上にカラーフィルタを乗っける。実のところ、成功はしたものの、まず無理と思われた開発であった」(門村氏)。

それはそうだろう。配線部分はロジックICであるから約400°Cの低温プロセスで作り込む。しかし、その後の処理では約800°Cの高温プロセスを使わなければならない。二律背反とはこのことなのだ。それでもソニーはまさに門外不出の技術を作り上げ、この矛盾を解決してしまったのだ。

裏面照射に続いて積層型を開発するが、これで回路領域と画素領域を別チップに分離することに成功する。これでスマホへの大量搭載を獲得して行くのだ。さらにDRAMを搭載する3層型のCMOSイメージセンサ開発に成功するが、これまた世界初の技術であり、実に難しい代物で、何と開発に3年間もかかったという。

「次世代に対する開発はさらに加速する。フォトダイオードの上に偏光素子センサを乗せることや、マルチ型センサで色の特徴を見るだけで物体/物性を見分けていくことなど、まだまだIoT時代に向けて無限の可能性があると思っている」(門村氏)

ちなみに、当面必要とされるCMOSイメージセンサを月間100億個作るためには、何と300mmウェーハ換算で月産100万枚のキャパシティが必要になるという。どうあっても、ソニーの大型設備投資はこれからも続いて行くしかないのだ!!

産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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