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東芝がニッポン半導体を担ってきた事実!〜評価額2兆円、巨大投資続行を宣言

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ニッポン半導体がシュリンクする中で東芝だけが一人孤塁を守ってきた。日本勢のお家芸であるメモリー事業についても多くの会社が消えていく中で、フラッシュメモリーという金看板を育て上げてきた。ああそれなのに、である。

国内メディアは声をそろえ、ここぞとばかりに東芝凋落の記事を面白おかしく書きなぐっているばかりだ。雑誌や新聞に載る見出しは「東芝絶滅」「東芝一気に解体」「東芝ついに上場廃止」「地獄に落ちた東芝」など、よくぞまあこれだけ悪いところだけを取り上げて実態をデフォルメして報道できるものだと、いささかあきれている。

もっとも東芝経営陣の支離滅裂さや、内部統制が全く取れていないことについては筆者も厳しい目で見ている。しかしそれ以上に、東芝半導体の戦いは1企業の問題ではなく、ニッポン半導体の浮沈をかけた戦いだということになぜメディアは気がつかないのだろう。

多くの企業がM&A、さらにはファブレス化、工場閉鎖という状況に陥っている中で、それこそ東芝はこの十数年間ニッポン半導体の盟主として業界をリードしてきた。黄金製品のフラッシュメモリーは東芝が生みの親であり、その技術を育ててきた。

そして今、東芝/Western Digital連合は宿敵Samsungとの戦いで数ポイントの差をつけ、世界チャンピオンにのし上がった。Samsungが36層から48層の3D-NANDで戦うのに対し、東芝はいきなり64層からスタートし、96層、128層、そしてまた200層まで視野に入れた技術革新で最先行しようとしている。大手マスコミはなぜ、この事実を大きく報道しないのだ。

2月9日には巨大投資ともいうべき1.5兆円を投じる四日市新工場(Y6)の着工式が行われ、成毛副社長は高らかに大型投資続行を宣言したという。データセンターのサーバーのフラッシュメモリー化が加速度的に進む以上、東芝はさらに1.5兆円規模の新工場を数棟建設に踏み切るとの情報も流れてきている。

ところで、東芝が検討を進めている半導体メモリー事業の分社化であるが、事業価値の評価は2兆円以上といわれている。これを評価しているのが米国の投資家たちであり、ここにきて「東芝株は今こそ買い」という論調が強くなってきた。こうした状況下にあっても、ひたすら東芝攻撃を続けるメディアは世界における東芝の存在感を知らない。そしてまた、東芝半導体が巨大投資をできない環境に置かれれば、それこそニッポン半導体は世界ステージから完全に降りてしまうくらいのショックであることもわかっていない。

今のところは、半導体生産で協業する米国Western Digital、スマホ大手のApple、半導体ファンドリ最大手のTSMC、さらには競合する米Micron Technologyなどが積極的に出資に応じるとの考えを表明している。まだ日本企業の名前が出ていないが、ほぼ間違いなくどこかが入札に参加するだろう。最大のポイントは日本の政府がどう出てくるかだ。つまりはいよいよ、産業革新機構の出番が近づいているといってもよいだろう。

(株)産業タイムズ 代表取締役社長 泉谷 渉

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