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日本電子デバイス産業協会発足の意義〜草の根的横断組織でニッポン復活へ

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かつて世界の頂点に君臨した日本の半導体産業は、世界2位(シェア16%)を保持しているとはいえ米国に大差をつけられ、韓国・台湾などアジア勢の急追を受けている状況だ。エルピーダメモリは経営破たんしてマイクロンに買収され、多くの半導体メーカーが苦戦を強いられている。先ごろパナソニックは何と半導体部門で7000人のリストラ断行をアナウンスし、ニッポン半導体を暗い黒雲がおおっていることはまちがいない。

一方で、CMOSセンサーではソニーが世界首位に立ち、今後の大型投資実行でウェーハ能力倍増の月産12万枚を計画し、さらなるシェア拡大を狙っている。また、環境エネルギーや家電の分野で活躍するパワー半導体のIGBTにおいても三菱電機、富士電機などの日本勢が世界シェアの75%を押さえている。LEDでは日亜化学工業が世界トップを走り、車載マイコンではルネサスが世界トップのシェア40%を保有、東芝はNANDフラッシュメモリーでサムスンとトップ争いを演じるだけでなく、次世代メモリーのMRAMにおいても世界最先行の量産技術を確立している。ニッポン半導体はこうした個別の戦いぶりを見れば、決して負けてはいない。

しかし、最大の問題点は日本勢の個別の強みが有機的に結合されることなくバラバラになっているため、大きな戦いの勢力を結集できないことにあるのだ。また、日本全体の成長戦略の将来像は全く描けておらず、どの方向に向かっていくというロードマップも示されていない。

世界的に見てもITはもはや限界成長率に達していることは明らかなのだ。このため、電子デバイス全体の次の方向性を見つけていく戦略組織が今こそ必要になってきている。マーケティング戦略なき戦いはコンパスなしで海路に出るのに等しく、ニッポン電機産業はこの点で外国勢に多くの遅れをとっている。

日本電子デバイス産業協会(Nippon Electronic Device Industry Association=略称NEDIA)は、こうした状況下においてニッポンのデバイス産業の羅針盤を示す機関として誕生した。いわば時代の必然性がNEDIAという新団体に結びついていったのだ。設立総会は9月30日(月)に東京・茗荷谷の林野会館において行われた。

NEDIAの代表理事・会長に選出された齋藤昇三氏は、日本のエレクトロニクスの最大団体であるJEITAの半導体部会のトップであり、かつ半導体大手数社に東京エレクトロンを加えた半導体産業研究所のトップも兼任している。新生NEDIAを率いる力強いリーダーとして格好の存在であるといえるだろう。同氏はこの6月まで東芝副社長の要職にあり、半導体部門のトップであった。現在は常任顧問の任にあるが、多くの電子デバイス関係者の声に応えるかたちでNEDIAのリーダーに就任したのだ。

「NEDIAは単なる業界団体ではない。成長が期待されるあらゆる最終製品の出口を捉え、それに必要な半導体などの電子デバイス、それを作るための装置、また必要な材料までを横串にしていく戦略的組織だ。この流れに沿うかたちで会員・組織を拡大していき、新たな日本の成長分野を切り開いていく」(齋藤会長)。

さて、NEDIAの母体となる組織は、一般社団法人の日本半導体ベンチャー協会(JASVA)である。JASVAは2000年の発足から13年間にわたり、多くの関係者の支援を取り付け、様々な活動を展開してきた。これが名称変更し、NEDIAに生まれ変わったのだ。この新生NEDIAには、NPO法人日本半導体エンジニアリングネットワーク協会(JSENA)および日本半導体部品工業会(JAST会)の2団体が合流し、さらに、日本EDAベンチャー連絡会(JEVeC)も合流したのだ。4団体統合による新組織であり、当初は約200社での旗揚げとなるが、数年内には500社まで拡大していく。我が国最大の会員数を持った電子デバイス関連の横断的、戦略的、そして草の根運動的な組織として様々な活動を行っていく考えだ。

9月30日の旗上げに続いて10月にも北九州、11月に京都、12月に仙台でNEDIAキックオフセミナー/交流会が開催される。これらのイベントはNEDIA会員外でも参加できるため、ぜひとも結集を呼びかけたい、と切に思っている。

(株)産業タイムズ社 代表取締役社長(NEDIA副会長) 泉谷渉

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