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いまやすべてのキーワードは中国だ〜IT、環境のけん引役として巨大な存在に

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「いまや34品目の主要家電の70%は中国で作られている。ノートPCにいたっては、90%の生産が中国であり、これまでコアであった台湾から一気に移されてしまった。中国をキーワードにしたビジネスでなければもはや勝ち残れない。」

半導体産業新聞の上海支局にあって、長く中国ビジネスをウォッチしてきた黒政典善支局長の言葉である。確かに中国の場合、世界の生産国としての価値が高まると同時に、一大消費国として世界を引っぱるということも言えるのだ。ノートPCについては、ほとんどのアナリストが2010年の世界の成長率が10%強と読んでいた。しかし中国の旺盛な需要は、ガボガボとすべてのものを飲み込んでおり、おそらくは20〜30%の成長率に上方修正されることは間違いないだろう。また自動車販売台数は、09年に年間1350万台となり、米国、日本を一気に抜き去り、中国はいまや世界一に君臨している。

「液晶TVはワールドワイドで1億4000万台の市場となっているが、このうち1億台は中国で作られている。また中国におけるローエンドの液晶TVの普及はすさまじいものであり、18〜20インチが飛ぶように売れている。」

こう語るのは、液晶向けTACフィルムの世界シェア80%を保有する富士フィルムの幹部だ。驚くべきことに、中国では徹底的な省エネルギーを呼びかけているために、VA液晶などではなく、古い世代のTN液晶が輝度を明るくするという意味で、すごい勢いで普及しつつあるというのだ。

半導体の世界においても、中国は主役にのし上がっている。それは、世界で巻き起こっている環境エネルギー革命の主役が中国になるからだ。第12次5ヵ年計画の中で、照明の近代化と省エネ化を呼びかける中国政府は、世界に最先行する形でLED照明を立ち上げている。日本やアメリカがもたもたしている間に、中国におけるLED照明は、驚くなかれ、すでに1兆円の規模になっているというのだ。もちろん技術は台湾から移植されており、材料はほとんど日本からとなっている。また中国政府は、環境車の普及と国産化を急速に進める考えであるが、パワーエレクトロニクスに関する技術の蓄積がほとんどない。このため、なんとしても日本が得意とするパワーデバイスの技術を移植したいと考えている。最近では、中国からのリクエストはLEDやパワーデバイス製造用の中古装置が大量に欲しいというものだ。

さらにここにきて、驚くべき発表が行われた。次世代電力ネットワークとして期待されるスマートグリッドの構築に対し、中国政府は50兆円の巨額を投入するというのだ。そうなれば、フラッシュメモリー、システムLSI、マイコン、パワーデバイスなど、中国向けの半導体需要は急上昇することになるだろう。ここ当分は、生産と消費の両面で、日米欧のキーパーソンは、こぞって中国詣でを続けることになりそうだ。

産業タイムズ 取締役社長 泉谷 渉

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