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半導体製造装置でも日本勢は負け出していないか?

半導体産業は、グローバルな規模では2桁成長の勢いで、フィラデルフィア半導体指数も16年半ぶりに1000を突破し、史上最高を記録しそうな勢いである。日本の半導体製造装置メーカーの株価も10数年ぶりの高値を付け、各社とも海外からの受注急増で空前の好況に沸いており、経営陣は笑いが止まらない状況だ。

そのような中、最近、韓国のメディア(参考資料1)が、「SEMES(韓国最大の半導体・FPD製造装置メーカー)が世界で初めて先端超微細半導体量産用の画期的な製造装置を商用化した」と報じた。続けて「Applied Materials、Lam Research、東京エレクトロンなどの世界的な半導体製造装置メーカーが試作機さえまだ世に出せていない段階で、韓国メーカーが世界に先駆けて革新的な装置を商品化できたことは、韓国半導体製造装置業界にとって快挙だ」と述べている。

Samsungが超臨界流体をDRAM量産に採用
SEMESが製造し、韓国Samsung Electronicsの最先端(<20nmクラスの) DRAM量産ラインに多数導入されて、歩留まり向上に寄与しているのは、超臨界二酸化炭素(Supercritical CO2)を採用したシリコンウェーハ洗浄乾燥装置だと、その記事は説明している。Samsung がこの種の製造装置を量産ラインに導入したことは、一部の半導体洗浄業界関係者の間では以前から知られていたが、当事者であるSamsungやSEMES自身は一切公表していないし、学会発表もしていない。いわば韓国業界紙のスクープ記事だ。

超臨界流体は、表面張力が発生しないため、超微細化により脆弱で倒壊しやすい半導体の3次元の柱状構造を表面張力に基づく毛管力による倒壊や癒着などのダメージなしに洗浄・乾燥することが可能である〈参考資料2)。スタック型DRAM特有のシリンドリカル・キャパシタのアスペクト比の大きな柱状構造は、水や液体の表面張力による毛管力で洗浄後の乾燥の際に、パターン倒壊や癒着が起きやすい。プロセスの微細化に伴い、アスペクト比が増してきており、ますます半導体微細加工を阻害する現象として関係者の間ではよく知られ、先端プロセスを活用したい半導体メーカーは解決策を長年にわたって模索してきていた。さまざまな解決手法を試してきたが、もはや表面張力が発生しない超臨界流体に頼るしかソリューションがないということだろう。

ライバルSK Hynix は日米装置メーカーに開発要請
記事では、「SEMESはサムスンの子会社という関係のために過去に一度も同社から装置を購入していなかったSK Hynixも、超臨界流体洗浄・乾燥装置の購入の打診を図っている。ライバルの海外装置メーカーは商用化までかなりの時間がかかるものと見られる」と伝えている。しかし、韓国半導体業界関係者によると、この記述は正確さに欠けており、「半導体メモリでSamsungと激しい競争を繰り広げるSK HynixがSamsung子会社の装置を購買することは考えられない。SK Hynixは、Samsung に対抗上、日米の主要半導体装置メーカーに超臨界流体洗浄乾燥装置の開発を要請しており、すでに一部の装置メーカーの試作機がSK Hynixの研究開発ラインで評価中」とのことである。しかし、Samsung/SEMESは10年以上にわたり密かに協業を続け、多数のデータを蓄積しており、すでに先端量産ラインで実績を出しているので、競合企業が追いつくのは容易ではない。Samsung は開発中の次世代半導体メモリにも超臨界流体洗浄乾燥を適用するらしい。

今後も韓国から革新的装置が続々?
記事は「韓国半導体製造装置産業は、過去30年の間に国産化とこれを通じた外国製の装置価格引き下げに焦点を当てて来たが、今後は韓国勢が世界初の革新的な半導体製造装置を商品化する頻度が増えるだろう」と結んでいる。ちなみに、SEMESのCEOであるキム・ヨンシク氏は、自社ウェブサイト上にて、「私たちの目標は、世界半導体メーカー売上高ランキングで5位以内に入ることである」と宣言している。

日本の装置メーカーは、史上空前ともいえる好業績で、BBレシオも1.3を超えてバブルの様相だ。しかし、海外からのうなぎのぼりの装置受注に対応するため、過去の延長線上で多忙にかまけてしまって、イノベータ精神を忘れてしまっていては、海外勢の後塵を拝することになりかねない。

参考資料
1. 韓国の電子産業業界紙 전자신문(「電子新聞」)韓国語電子版 2017.2.27付
2. 服部毅:「第4章 超臨界を用いた半導体・MEMS 洗浄技術」。半導体・MEMSのための超臨界流体(近藤英一編)、コロナ社 (2012年)


Hattori Consulting international代表 服部 毅

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