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製造業にも影響を及ぼしつつあるサブプライム問題

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サブプライムローン問題がじわじわと日本にも影響を及ぼしつつある。世界中の株安からドル安、ユーロ安につながり、円高につながってきた。1ドルが112円にまで高まった。

そもそも、サブプライムローンは、米国のプライムすなわち高所得者層ではなく、その下の低所得者層が借りるローンであり、主に住宅購入が目的のようだ。ローンを貸し付ける金融機関への返済が滞るだけでは世界経済に影響を及ぼすことはないが、最近はヘッジファンドがその貸付債権を高利回り商品として運用するようになったことが問題を大きくしている。つまり、ローンの借り手が返済不能になった結果、ヘッジファンドが焦げ付いたことが明らかになったのである。ヘッジファンドは世界中に投資しており、巨額のお金を運用するそのファンドが危ないということになったから、世界経済が慌てふためいているわけだ。

ヘッジファンドの持つ株式や各種の債券なども大丈夫か、という不安に駆られ、株を売ろうということになり株式価格の低下を招いた。株式市場はほぼ世界同時に取引されている。米国での株安は、そのまま日本、欧州、アジアでの株安につながり、機軸通貨であるドルとユーロの価値低下を招いた。その結果、円高になってきたわけである。

円高は輸出産業にとって大きな痛手となる。輸出の大きな部分を占める製造業を直撃する。日本の半導体はまだしも部品メーカーにとっては厳しい事態になる。

考えてみれば、ファンドの資金運用が世界経済に大きな影響力を持ち、製造業にまで影響を及ぼすようになってきたといえる。ファンドの大きな資金源は年金である。年金の運用をファンドが受け持ち、成長しそうな企業に出資し、成長させてから回収する。この結果、年金が膨らむというわけだ。正帰還で回っていれば資金は増殖するが、負帰還がかかれば危険極まりない。

製造業としては、為替是正のために海外生産がその解決策となる。しかし、ドルなり円なりをきちんと回して日本に還流できる国や地域で生産できなければ解決にはならない。この点、中国はやはり安全とはいえない。円やドルの持ち出しを禁止しているからだ。海外生産以外に為替是正の手はあるか。もし円がアジア域内で機軸通貨となっていれば、少なくともアジア内では日本は安定になるだろう。そのためにはこの円高を逆手にとって政府が機軸通貨政策を進めることではないだろうか。


津田建二

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