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若いエンジニアが頑張っている以上、日本の半導体も捨てたものではない

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9月23日、24日と連続してSSDM(国際固体素子材料コンファレンス)に出席した。感心したことは、最近の若いエンジニアたちの熱心さだった。若い半導体エンジニア、研究者の方たちは礼儀正しいし、何よりも半導体技術を自分のものにしようという意欲が強い。日本の半導体産業も捨てたものじゃない、と感じた。

23日夜のSimon M. Sze台湾国立交通大学兼米スタンフォード大学教授の特別講演において私も質問したが、そのあとを若い研究者が2~3名続けて質問した。Sze教授は笑顔を絶やさず答えてくれた。講演が終わってからは教授を囲み、十数年ぶりに改定された第3版Physics of Semiconductor Devicesにサインを求めて学生たちが列を作っていた。

24日には懇親パーティで、私とSze教授が半導体産業の将来について話をしていると、何やら私の後ろに若い人たちが並び、話をする順番を待っていた。Sze教授と別れると、若いエンジニアたちは次々、Sze教授と話を始めた。

1980年代には半導体デバイスの限界論がIEDM(International Electron Device Meeting)やISSCC(International Solid-State Circuits Conference)のパネルディスカッションの格好のテーマで、最先端の研究者やエンジニアが真剣に半導体デバイスの限界を議論していた。あるものは1μm以下の半導体は作れないと言い、別のものは0.2μmが経済的に作れる限界だろう、と言った。そのころSze教授は、限界論を横目に見ながら、楽観的な見方を示した。写真のレターは、1982年にPhysics of Semiconductor Devicesを出版していたJohn Wiley and Sons社のイベントでSze教授が半導体の将来について述べた時の資料である。

ここには、25年後の半導体デバイスの予言が書かれている。世界のエレクトロニクス産業は4兆ドル(400兆円)と予測しているが、現実は約200兆円である。半導体産業はそのうちの1/4を占めるから1兆ドル(100兆円)としている。現実は27兆円だからやや過大評価である。しかし、半導体デバイスの最少寸法は100〜1000オングストローム、すなわち10~100nmであるとしているが、まさにその通りだ。今45nmデバイスが製品として売られている。半導体デバイスの限界が1μm、すなわち1000nmだと議論されている中で、10~100nmだと予測したのである。これはすごい。


SOLID STATE ELECTRONICS


実は、64KビットDRAMがやっとできたばかりのころ、短チャンネル効果や、ホットエレクトロン効果など微細なMOSトランジスタの問題を取材していた。ある大手半導体メーカーの技術開発部長は、256K DRAMはもう作れないのではないか、と言った。今から見ると失笑してしまうような問題を前にその壁の向こうを見通せないのである。

超LSI研究開発組合ができたころも、3~2μmの寸法は光の波長に近づき、もう光リソグラフィでは加工できないから、電子ビームやX線リソグラフィを開発しなきゃ、といって国家プロジェクトを始めた。今から思うとプッと笑ってしまうようなことを国を挙げて真剣に議論していたのである。

しかし、現実には人間はさまざまな壁を乗り越え、問題を解決してきた。さまざまな壁があっても人間はその知恵で解決してきた。今は22nmをどうする?EUVで行けるのか?あるいは液浸と高屈折率のコンビか?など壁があるが、きっと乗り越えるのに違いない。悲観的にものを考えて、若いエンジニアのやる気を削ぐようなことがあってはならない。壁は若いエンジニアが必ず乗り越える。半導体産業が今後50年以上も続くとSze教授が予言したことは、50年後になればわかることだ。きっと当たっているに違いない。

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