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EDNもEE Timesもそれぞれ出版し続けることが決定

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半導体産業界で大きな話題(参考資料1)となっていた、EDNとEE Timesを同一会社の下に置くことになった「その後」についてだが、二つのブランドを独立に発行し続けることが決まったというニュースを海外メディア関係者から今日、聞いた。電子業界誌がこれ以上失われてほしくない。どちらも独立して従来通りにメディア活動できることが保証されたという訳だ。

日米の電子技術者は回路設計に強いEDNと、電子産業のニュースに強いEE Timesを使い分けて読んでいた。回路設計、回路アイデアやその背景を知りたい、というエンジニアはEDNを、業界のニュースを誰よりも早く知りたいというエンジニアやマーケティング技術者はEE Timesをとっていた。

半導体技術者は、電子回路の設計がプリント回路上と半導体シリコン基板上と両方で行われるようになっている現状では、回路情報も必要不可欠になる。その回路情報は製造プロセスと非常にリンクするようになっており、プロセスバラつきを考慮した設計が求められるようになる。億単位のトランジスタが集積されている最先端のSoCでは、温度や電圧のバラつきと省電力化による低電圧化によるプロセスマージンをともに考慮に入れた設計が不可欠になる。バラつきの許容範囲を意識しながら、かといってワーストケースではなく歩留まりも確保するというマージンのとり方、いわゆるプロセスコーナーと呼ばれる手法である。

一方、製造プロセス技術者はプロセスだけに関心を払っていればよいという訳ではない。DFM(デザインフォーマニュファクチュアリング)はもちろん、デザインとの協調プロセスが欠かせない。さらに、使われるチップの応用を熟知したうえで、プロセス開発の指針を立てる必要がある。チップの平均単価が1〜2ドルの製品のプロセスと40ドルのプロセス(インテルのPC/サーバー以上のプロセッサ向け)とは違うのが当たり前である。そのプロセス指針を立て、営業利益率20〜30%となる製品の作り方を考えていかなければならない。これが競争力である。

残念ながら、半導体プロセスだけを中心とした雑誌やウェッブは半減した。半導体プロセスだけのメディアには広告を出さないような産業になってきているからだ。一方で、先週東京大手町で開かれたASML/ブライオンのリソグラフィセミナーには大勢のオーディエンスが集まった。波長(193nm)よりも短い回路パターンを加工するのにシミュレーションを駆使して最適な光源の形状を求めて、リソグラフィを行うという技術がArFレーザーリソグラフィでは当たり前になってきた。ArFの先にくるEUVリソグラフィも注目を集めている。こういった新しいプロセスには回路設計者も注目を集めている。もはや、プロセスだけ、回路だけ、といった線引きは意味をなさなくなりつつある。

半導体プロセスエンジニアにも役に立つ雑誌としてEDNやEE Timesがある。新しい回路技術や産業界のニュースに耳を立て、プロセス技術に生かしていくことこそ、新しい時代のプロセス技術者のあり方ではないだろうか。セミコンポータルは、回路もプロセスも、ビジネスモデルも、半導体に必要なソフトウエアも、これからの成長市場もカバーしている。日本の半導体メーカーが世界に負けないように強くなってほしいという思いを記事やブログとして伝え、そのために必要な情報を提供している。セミコンポータルではカバーしきれない細かいニュースはEDN JapanやEE Times Japan、さらには日経エレクトロニクス、半導体産業新聞、電子ジャーナルなどがカバーしてくれている。こういったメディアが減れば日本の半導体産業は弱くなる。自戒を込めて、産業と共にメディアも共存を意識して成長していきたいと願う。

参考資料
1. 競合誌同士のEDNとEE Timesが同じ出版社から発行、日本版の運命はいかに (2010/09/21)

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