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理系離れとはいうものの、実は年収・就職率で理系の方が有利

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ノーベル化学賞受賞者3名のうち、2名が日本人だったというニュースは日本中を元気にさせた。街頭インタビューの映像をテレビで見ているとみんな喜んでいる。こういったニュースが理系離れを食い止めてくれることを願いたい。

理系の方が年収は高い 出典:日本経済新聞9月20日朝刊

図1 理系の方が年収は高い 出典:日本経済新聞9月20日朝刊


高度成長期の頃の日本は理系学生をもてはやし、理系を育てることにまい進してきた。しかし、1980年代ごろから「文科の時代」とか、理系は3Kと呼ばれ嫌われてきた。学校でも文部省の方針かどうかわからないが、物理や化学、生物を履修しなくても理系に入れるような入学試験が公然と行われてきた。

しかし、理系の大学を出ると給料が安いと一般に言われている。9月20日号の日本経済新聞に面白い記事を見つけた。京都大学経済研究所の西村和雄特任教授が理系と文系の年収を比較してみたところ、理系の方が年収は高いという結果だった。現実には、製造業と金融業とで歴然と年収の差があり、理系の多い製造業よりも文系の多い金融業の方が年収は高い、ということも事実ではある。

西村特任教授が調べたのは業種の壁を取り除き、無作為に抽出して理系と文系を比較したことだ。大卒者6870人にインターネットでアンケートしたところ2152人の有効回答が得られた。文系学部出身者(平均年齢41.11歳)の平均年収が583万円に対し、理系(同41.05歳)のそれは681万円となり、理系の方が100万円ほど高かった。

これまで、「数学を勉強しても社会の役に立たない」とか、「理系は勉強が大変なのに待遇は文系よりも悪い」とか、理系に対する通説は実は正しくない、というのが西村特任教授の主張である。ムードや雰囲気だけでモノを言うことは正しくないことが実は多い。少なくともこの統計を見る限り、理系は悪くない。ノーベル賞受賞者や、年収数千万円といった一部の人たちを基準にするのではなく、平均的な人を対象とする限りにおいて、理系は決して悪くない。平均的には、一生懸命勉強すれば報われる社会にはなっている。

もちろん、最近では理系が金融業へ行くケースもあるし、給料の高い業種を選ぶこともできる。この意味では理系の方が就職する場合の選択肢は広いのではないだろうか。東洋経済5月25日のウェッブニュースによると、2011年4月に入社を希望する学生の就職内定率は2010年4月時点において56%であり、理系が67.8%、文系が45.9%という結果であったという。つまり理系の方が就職する場合でも文系よりも有利なのである。

理系がなぜ有利なのか。これは勝手な私見だが、理系は疑問があればなぜなのか、という問いかけに対する答えを求めるからではないだろうか。理系の人間はなぜこうなるのか、納得いかないことには気が済まない性質の人が多い。全てが理詰めで考える訳ではない。直感的にこうなるのではないか、と思うことは理系にもある。しかし、なぜそうなるのかを次に考える。とどのつまり、論理的な思考というよりもなぜそうなるのか、そのメカニズムが知りたい、のである。このような発想をしていれば、物事の裏を読み、そのメカニズムを説明できれば物事を理解できる。物事を理解できれば、何かあっても対処できる。対処できれば会社内部で評価される、ということにつながるのではないだろうか。ちょっと苦しいこじつけかもしれないが。

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