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競合誌同士のEDNとEE Timesが同じ出版社から発行、日本版の運命はいかに

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アメリカのメディアは簡単には死なないようだ。われわれのような半導体やエレクトロニクスの業界情報を提供するB2Bメディアとして、米国ではSemiconductor International, Solid-State Technology, Small Times、EDN, EE Times, Electronic Designなどがあるが、Semiconductor Internationalは今年の春、閉じた。しかし、別な形で復活するという噂もある。

日本では、先月末電子材料が9月号を最後に、終わりを告げた。電子材料を発行していた工業調査会そのものが事業を停止した。日本でも半導体産業に関係する媒体が次々と休刊した。半導体専門の日経マイクロデバイスが休刊し、プレスジャーナルが事業停止し「セミコンダクターFPDワールド」が廃刊に追い込まれた。この経済不況の影響をまともに食らった昨年にこういった動きが起きた。

昨年、米国でも同様、出版社は不況の大きな波に飲み込まれた所が多い。Semiconductor Internationalは休刊、発行していたリード・ビジネス・インフォメーション(RBI)社の親会社であるリードエルゼビア社がRBIの売り先を探していた。幸い、発行したEDNは休刊せず、医療関係の媒体や展示会を発行・運営していたキャノンコミュニケーションズが買い取った。この流れで日本のEDN Japanもキャノンの傘下に入って、ほぼ1年になる。

ところが、そのEDNを発行しているキャノンを、EE Timesを発行している英国の大手出版社UBM(ユナイテッドビジネスメディア)が買収したというニュースが今朝(9月18日)、入った。なんと、EDNは競合誌であるEE Timesと同じ出版社で発行することになる。これまでの米国におけるM&Aの常識に照らし合わせて考えてみると、どちらかの媒体がもう一方の媒体をつぶしてしまうはずだ。では、つぶれるのはEDNかEE Timesか。

UBMは英国の出版社であり、媒体発行と展示会を開催しているが、利益の85%を海外から得ているグローバルな出版社だ。2007年の売り上げは8億ポンドというから1200〜1300億円くらいの規模になる。UBMは米国でEE Timesを発行していた米CMP Publicationsを買収、傘下に収めている。ここにEDNとEE Timesが傘下に入るわけで、これまでなじみの記者たちの運命がどうなるか、非常に不安に思う。最近、EDNからEE Timesに戻った記者が2名おり、再び同じ企業の中に入る。企業経営側から見ると、似たような雑誌を二つ抱える必要は全くない。どちらか一つをつぶすことはこれまでの常識だ。

そうなれば日本版も困る。これ以上、エレクトロニクス、半導体の雑誌が休刊してほしくない。産業界を活性化するための情報提供をミッションとしている情報誌ビジネスの回復を切に願う。

唯一の希望は、リードの元で休刊したSemiconductor International(SI)がChip Design Magazineという名の雑誌として復活するらしいという噂だ。この噂は正確ではない。キャノンコミュニケーションズがSIを買わなかったためだ。EE TimesかEDNをChip Design Magazineとする可能性もある。そのようにしても生き残ってほしいと願う。

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