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Micron、メモリからAIアクセラレータへ製品ポートフォリオを拡大

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Micron Technologyが日本とシンガポールで工場の拡張に力を入れていることを既報したが(参考資料12)、米国では製品ポートフォリオを広げる方針を発表した。これまで、DRAMとNANDフラッシュ、3D-Xpointメモリというメモリ事業にフォーカスしてきたが、NORフラッシュやAIアクセラレータボードにまで手を広げることを明らかにした。

図1 研究所のあるサンノゼのMicronビル

図1 研究所のあるサンノゼのMicronビル


Micronは2日間にわたるイベントを企画しており、現地時間10月24日にユーザーやサプライチェーンなどのパートナーを招いて「Insight 2019」を開催した。それに先立ち、23日に行われたプレス/アナリスト向けのメディアデイでは、その概要が明らかになった。Micronはメモリメーカーの未来を見据え、ITのメガトレンドを捉えている。ビッグデータの機が到来し、次の10年はデータのパワーに基づき、IoTから生まれたビッグデータをさまざまな応用に使うことになる。差し詰めMicronはファブのデータを生産性向上などに使っている。

Micronのビジョンは、社会が情報を駆使して生活を豊かにする方法を変えていくことで、そのために今はイノベーションにフォーカスするという。Micronが得意なメモリとストレージのサブシステムこそ、機械学習などのAIのインテリジェンスを使って独自の差別化製品やサービスを生むことになるという。

今後10年を見渡すと、ITのメガトレンドの一つであるAIやIoT関係も強化しており、AIに関しては、ディープラーニングのアクセラレータ(図2)を開発しており、単なるメモリメーカーからソリューションプロバイダに変貌しようとしている。このために必要なコンパイラやデバイスドライバなどのソフトウエアから、アプリケーションソフトウエアを作るためのAPIまでもカバーしてきたFwdnxt(Forward Nextと発音)社を買収した。半導体の垂直統合になるとしている。


図2 Micronのディープラーニング用アクセラレータ

図2 Micronのディープラーニング用アクセラレータ


ただ、そうは言ってもメモリ会社であることは間違いない。システム一般ではなく、AIはメモリと深く関係するからこそ、AIのディープラーニングの学習や推論のための使い勝手を良くするためのプラットフォームを開発した。このソリューションビジネスを行うためのパートナーやカスタマとのエコシステムを構築していくことになろうと同社CEOのSanjay Mehrotra氏(図3)は述べている。


図3 Micron CEOのSanjay Mehrotra氏

図3 Micron CEOのSanjay Mehrotra氏


もう一つ、メモリビジネスからの派生品としてセキュリティの開発プラットフォームも明らかにした。「Authenta」と名付けたセキュアなサブシステムは、NORフラッシュを用いて認証を行う。IoTデバイスが大量に増えて、セキュリティに不安が残るようになることに対処したもの。

Micronのメモリ階層システムは、メモリ(DRAM、NVDIMM)、ストレージクラスメモリ(パーシステントメモリ:3D-Xpoint)、ストレージ (TLC/QLC NAND SSD)としている。階層的にはDRAMの下に来るNVDIMMは今後10年にデータセンターで重要なデバイスとなるだろうとMicronは見ている。


図4 3D-Xpointメモリを搭載したSSD「X100」

図4 3D-Xpointメモリを搭載したSSD「X100」


3D-Xpointメモリを搭載した初めてのSSD「X100」(図4)を今回発表した。これまでのNANDフラッシュと比べて、ハンド幅が9GB/sと広く、入出力の転送速度が250万IOPSと、従来の製品の3倍速いという。NANDフラッシュのSSDと比べて、読み出し・書き込みのレイテンシは1/11と小さい。

参考資料
1. Micronが広島工場に数十億ドルを投資する理由 (2019/06/12)
2. Micronがメモリ不況中にNANDフラッシュ工場を拡張する理由 (2019/08/23)

(2019/10/25)

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