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Rambus、IPライセンス事業からメモリ製品事業へ拡大

メモリのIPライセンスビジネスを展開してきたRambusが、ファブレスとしてDRAMチップ販売ビジネスも手掛けることになった。最先端高速DRAMとしてのDDR4規格に準じたDRAMおよびそれを搭載したメモリモジュールDIMM用メモリインターフェースチップをチップセットとして販売する。

図1 Rambus社メモリ&インタフェース部門担当VPのEly Tsern氏

図1 Rambus社メモリ&インタフェース部門担当VPのEly Tsern氏


Rambusは従来、メモリ用IPライセンスに加え、暗号化技術、LED照明なども企業買収によって事業拡大してきた。メモリビジネスはメモリメーカーとの競合があったため、これまではIPライセンスビジネスにフォーカスしてきた。しかし、DDR4という最大2666Mbpsと超高速のデータやり取りが求められる仕様になってくると、それを設計できる企業は限られてくる。Rambusは、DRAM単体では競合するSamsungやSK Hynix、Micron(エルピーダ)がシステムメーカーに供給するDIMMに向けたチップセットならば、「こういった顧客からも歓迎された」(Rambus社メモリ&インタフェース部門担当バイスプレジデント兼チーフテクノロジストのEly Tsern氏(図1))ことから、メモリチップセットの販売をすることになった。

超高速のDDR4は、次世代サーバーが主な市場。これほどまでの高速化は、これ以外の市場ではまだ求められていない。Rambusの顧客は、FacebookやAmazon、Google、Microsoftなどデータセンター向けや、企業内大規模システムを構築するHewlett-Packard、Lenovo、Ciscoなどのネットワーク機器メーカーで、DIMMを供給する。加えて、IAサーバー用CPU市場で98%の市場シェアを握るIntelともパートナーシップを組むIntelにもDIMMを供給、Intelからデータセンターや企業に提供する。Intelは次世代のマイクロアーキテクチャSkylakeではDDR4を本格的に採用するため、Intelとパートナーを組むことは高速メモリメーカーにとっては欠かせない。

高速サーバーでは、メモリ容量を拡大するほどCPUとのやり取りが高速になるため、容量増大が求められている。Rambusは今後3年間でサーバーに搭載される容量は2倍以上になると見ている。しかも高速性も求められ、現在主流のDDR3からDDR4への変更が進み、2017年にはサーバー分野でのDDR4は80%以上、2018年には100%になると市場調査会社のIDCは予測する。

しかし、実際にモジュール同士を接続するとなると配線遅延が問題となり、メモリスピードと容量とは相反することが多い。このため、DRAMを9個(内1個はパリティチェック用)単位でモジュール(DIMM:Dual Inline Memory Module)に搭載するだけではなく、中継バッファの役割を果たすドライバICも必要になる(図2)。Rambusは、RCD(Register Clock Driver)と呼ぶメモリインタフェースドライバICも開発、このチップもDIMMに搭載する。これにより、DIMMを多数接続できるようになる。


図2 DDR4のメモリモジュールDIMMにはRCDが必要 出典:Rambus

図2 DDR4のメモリモジュールDIMMにはRCDが必要 出典:Rambus


このチップセットRB26に搭載されるDDR4 DRAMは、2666Mbpsという高速のバンド幅を持つが、実力値は2933Mbpsだという。これだけマージンがある製品は他にはないとTsern氏は言う。

今後、サーバー向けDIMMのチップセットに関するロードマップもRambusは用意しており、システム性能の強化や、信頼性の向上、セキュリティの確保などへ進めていくとしている。

(2015/09/01)

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