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Spansion、2個のモータを独立に制御できるマイコンを製品化

Spansionは、富士通セミコンダクターのアナログおよびマイクロコントローラ部門を昨年買収したが、その成果がこれからのIoT時代に生きてくる、とCEOのJohn Kispert氏は述べた。

図1 Spansionのソフトウエアとフラッシュ技術と、富士通の持つARMコア、電源電力、センサインターフェース技術 IoTには接続性を入手するだけ 出典:Spansion


図1 Spansionのソフトウエアとフラッシュ技術と、富士通の持つARMコア、電源電力、センサインターフェース技術 IoTには接続性を入手するだけ 出典:Spansion


Kispert氏は、「Spansionの技術はソフトウエアとNORフラッシュ技術、富士通はARMコアと電源、センサインターフェースを持っている。これからは両社の持っていない「接続性(Connectivity)」に力を入れる」(図1)と語った。両社が一緒になり、Spansionの持つ分野、富士通セミコンの持つ分野がちょうど相補えることで、残りの接続性の部分だけを手に入れれば、IoTのためのプラットフォームができる。

IoTとカーエレクトロニクスとは全く違う分野だが、あらゆる分野でトップレベルのセキュリティが要求されるようになるという。特に、スマートシティやスマートグリッドなどのインフラ系では高い信頼性が求められる。カーエレクトロニクスとスマートシティとは応用分野が違っても、高信頼性は共通であり、信頼性の高い半導体デバイスはどちらの分野でも使えるようになる。

今回、IoTではないが、自動車内のモータを2台同時に独立して制御できるマイコンを製品化した(図2)。クルマの中には、パワーウィンドウ、ワイパー、ドアミラー、スライド式ドアなど、さまざまなところにモータが使われている。最近は、アイドリングストップ機能が搭載され、回生ブレーキで発電機を回すようになっている。一つのマイコンで二つのモータを独立に制御できれば、消費電力を大幅に減らせることに加え、部品点数が減るため開発リソースも削減できる。


図2 ARM Cortex-R5デュアルコアマイコンを自動車に使う 出典:Spansion

図2 ARM Cortex-R5デュアルコアマイコンを自動車に使う 出典:Spansion


「Traveo」と呼ばれるこの新製品マイコンファミリは、ARMのCortex-R5コアをデュアルで集積しており、モータ制御を狙って12ビットのA-DコンバータとR-D(resolve to digital)コンバータも集積している。Cortex-RシリーズはリアルタイムOS (RTOS)に対応したCPUコア。クルマ応用では制御だけではなく高速の演算機能も求められる。このため、RTOSを使い、しかもR-Dコンバータもハードウエアで構成した。

R-Dコンバータは、モータの回転角を検出し、それをデジタルに変換する回路。従来のシステムでは、R-Dコンバータを外付けしたり、あるいはその変換機能をCPUで制御したりしていた。角度データを検出しサイン・コサインのデータをテーブルから読み、比較する。プログラムでデータを作れるためフレキシブルだが動作速度は遅かった。

Traveoでは、R-Dコンバータをハードウエア回路で組んでおり、角度、サイン、コサイン、角速度のデータを即座に計算するため、CPUはどの時点でもこれらのデータを読み取ることができる。CPUの負荷が軽くなるため、処理速度は速い。200MHzで動作し、FPU(浮動小数点ユニット)も集積している。

(2014/05/30)

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