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新メモリ半導体会社の正体は闇の中、記者会見中止に

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先週、「久々に新しい半導体メーカーが誕生しそうだ。坂本幸雄氏が半導体新会社『サイノキングテクノロジー』を設立した」、というニュースを伝えたが、残念ながらその詳細を報じることができなくなった。サイノキングテクノロジーから「記者会見は中止」という連絡が入ったからだ。代わって、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の買収提案を受け入れるというニュースが大々的に報じられた。

新しいメモリ半導体メーカー設立のニュースだけに大いに期待していた。記者発表日時は2月24日(水)13時からであった。その前日23日午前中に中止の連絡を受け取った。会見中止の理由を「この度の新プロジェクト発足に際し、世界中にありとあらゆる情報・憶測が飛び交っており、現在対応に追われております。よって、明日24日(水)に予定しておりました記者会見を止む無く中止させて頂くことに致しました。」と連絡通知で述べている。

これは、22日の当コラムで述べたように、22日(月)に報道された日本経済新聞の記事に疑問が多く、新会社は何をするのかわからなかった。そのため世界中から問い合わせを受けたため、その対応に追われ、記者会見の準備どころではなくなったのだろうと推察される。24日に記者会見を開くという知らせは、筆者は19日(金)の19時過ぎに受け取った。このため、セミコンポータルは24日までじっと待っていた。

26日は、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収提案を受け入れると発表した日である。26日の日経は、「出資を含めて総額6600億円規模の支援を受ける。鴻海はグループでシャープの議決権の約66%を押さえ、経営権を握る。創業100年を超えるシャープは電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手で連結売上高が15兆円近い鴻海の傘下に入り、成長投資を再開。経営再建を急ぐ」と報じた。前日開いた取締役会では全員一致で決めたとしている。日経はさらに「シャープの発表によると、鴻海グループからの出資額は計4,890億円。第三者割当増資を1株118円で鴻海側が引き受け、議決権の約66%を握る筆頭株主になる。議決権のない株式も17年7月以降に議決権のある普通株式にでき、その場合の出資比率は約7割になる。シャープは「上場廃止につながり得る追加取得を行わない」ことで合意したとしている。

ところが、鴻海側は、シャープとの契約を一時的に見合わせる、と鴻海の郭台銘(テリー・ゴウ)董事長がテレビメディアの前で語り、報道にズレがある。シャープの文書は、はっきりさせなければならない内容がある、と述べており、台湾のメディアはむしろ、シャープに対して債務を隠したと批判的だとしている。両社は、3月7日までに債務内容を精査し、契約を目指すとしている。

中国のファンド紫光集団が半導体および関連企業を買いあさっているが、失敗が続いている。米国のWestern Digitalを買収すると発表していたが、米当局が調査に入ることを決めたとたんに、買収を断念した。2015年9月に38億ドルを投資してWDの株式の15%を取得すると発表していた。米政府の対米外国投資委員会から今回の案件を調査すると通知したことで断念したという。つい最近でも、中国の別のファンドがFairchild Semiconductorへ高い金額の買収提案をしていたが、Fairchildの取締役会ではON Semiconductorを買収相手に決めた。

中国ファンドは今のところ、米国のMattson買収が決まっただけで、他の企業買収は進んでいない。むしろ、矛先を台湾に向けているようだ。特に後工程のSPILを買収することが決まっている。

(2016/02/29)

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